JP4974004B2 - 粒子状物質浄化用触媒及びそれを用いた粒子状物質浄化方法 - Google Patents

粒子状物質浄化用触媒及びそれを用いた粒子状物質浄化方法 Download PDF

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Description

本発明は、粒子状物質浄化用触媒並びにそれを用いた粒子状物質浄化方法に関する。
内燃機関から排出される排ガスには、燃焼により生じた煤及びその他の炭素粒子状物質等を含む粒子状物質(PM)が含まれている。そして、このような粒子状物質は動植物に悪影響を及ぼす大気汚染物質として知られている。そのため、粒子状物質を低減することを課題として種々の粒子状物質浄化用触媒が研究されている。
例えば、特開2005−66559号公報(特許文献1)や特開2005−21818号公報(特許文献2)においては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素−酸化アルミニウム複合物、酸化ケイ素、ゼオライト等の酸化物担体と、前記酸化物担体に担持されたアルカリ金属成分とを含有する触媒が開示されている。また、特開2005−125254号公報(特許文献3)においては、ジルコニウム複合酸化物担体と、前記ジルコニウム複合酸化物担体に担持されたアルカリ金属とを含む触媒が開示されている。更に、特開2006−272288号公報(特許文献4)においては、鉄酸化物を12質量部含有する金属酸化物担体と、前記金属酸化物担体に担持されたアルカリ金属とを含有する触媒が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜4に記載のような従来の触媒においては、粒子状物質浄化性能と耐熱性の両立という点で必ずしも十分なものではなかった。
特開2005−66559号公報 特開2005−21818号公報 特開2005−125254号公報 特開2006−272288号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分に高い粒子状物質浄化性能を有するとともに十分に高い耐熱性を有し、高温条件下で使用した後においても十分に高い粒子状物質浄化性能を発揮することが可能な粒子状物質浄化用触媒、並びに、その粒子状物質浄化用触媒を用いた粒子状物質浄化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、酸化鉄の含有比率が50質量%以上である金属酸化物からなる多孔質担体を用い、前記多孔質担体にセシウムを担持することにより、十分に高い粒子状物質浄化性能を有するとともに十分に高い耐熱性を有し、高温条件下で使用した後においても十分に高い粒子状物質浄化性能を発揮することが可能な粒子状物質浄化用触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の粒子状物質浄化用触媒は、内燃機関からの排ガスに含まれる粒子状物質を酸化して浄化する粒子状物質浄化用触媒であって、
酸化鉄の含有比率が50質量%以上である金属酸化物からなる多孔質担体、並びに、該多孔質担体に担持されたセシウム及び/又はセシウムと鉄との複合酸化物を含有すること、及び、
前記セシウムの担持量(前記複合酸化物中に含有されたセシウムも含む。)が、前記多孔質担体100質量部に対して10.6〜30質量部であること、
を特徴とするものである。
上記本発明の粒子状物質浄化用触媒においては、前記多孔質担体に、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金及び金からなる群から選択される少なくとも一種の貴金属が更に担持されていることが好ましい。
また、上記本発明の粒子状物質浄化用触媒においては、前記金属酸化物が、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一種を更に含有するものであり且つ前記金属酸化物中の前記酸化鉄の含有比率が50〜99質量%であることが好ましい。
さらに、上記本発明の粒子状物質浄化用触媒においては、前記複合酸化物が、組成式:CsFe(式中、xは1〜6の範囲の数値を示し、yは1〜2の範囲の数値を示し、zは2.5〜5での範囲の数値を示す。)で表される複合酸化物であることが好ましく、組成式:CsFeで表される複合酸化物であることがより好ましい。
また、上記本発明の粒子状物質浄化用触媒においては、前記多孔質担体中の前記酸化鉄と、前記複合酸化物との粉末X線回折によるピーク強度比([複合酸化物の最大ピーク強度]/[酸化鉄の最大ピーク強度])が、1〜20%の範囲にあることが好ましい。
さらに、上記本発明の粒子状物質浄化用触媒においては、前記多孔質担体に、セシウム以外のアルカリ金属が更に担持されていてもよい。
また、本発明の粒子状物質浄化方法は、上記本発明の粒子状物質浄化用触媒に排ガスを接触させて、排ガスに含まれる粒子状物質を酸化して浄化することを特徴とする方法である。
なお、本発明の粒子状物質浄化用触媒及び粒子状物質浄化方法によって、上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の粒子状物質浄化用触媒においては、触媒の活性種がセシウムの超酸化物(CsO)であると推察される。そして、多孔質担体にセシウムが担持された粒子状物質浄化用触媒の場合には、CsOの触媒中での安定性は、セシウムが担持された担体の性質に依存するものと推察される。ここで、担体の酸性質が比較的強い場合には、CsOが生成されたとしても担体にCsO中の電子が吸引されてしまうため、CsOが不安定化される。そのため、担体の酸性質が比較的強い場合には、CsOが生成し難い。これに対して、担体の塩基性質が比較的強い場合には、担体からCsOへ電子が供与されるため、CsOは安定化される。そのため、担体の塩基性質が比較的強い場合には、CsOは比較的生成し易い。
また、多孔質担体にセシウムが担持された粒子状物質浄化用触媒の場合には、担体に担持されたセシウムの高温条件下での蒸散は、担体との相互作用によって抑制される。そのため、触媒の耐熱性もセシウムを担持させる担体の性質に依存するものと推察される。担体の塩基性質が比較的強い場合には、セシウムが塩基性質のものであるため、担体とセシウムとの間に十分な相互作用が得られず、高温条件下でセシウムが蒸散し易い。反対に、担体の酸性質が比較的強い場合には、セシウムと担体とが良好に相互作用し、セシウムの蒸散が抑制される。従って、触媒の浄化性能という観点からは塩基性質が比較的強い担体が好ましく、耐熱性の観点からは酸性質が比較的強い担体が好ましい(図1参照)。そして、多孔質担体にセシウムが担持された粒子状物質浄化用触媒の場合においては、酸化鉄の含有比率が50質量%以上である金属酸化物からなる多孔質担体を用いることで、多孔質担体にセシウムに対する適度な酸性質と塩基性質とが付与されているため、触媒の活性種であるCsOの生成促進と高温条件下でのセシウムの蒸散の抑制とが同時に図られ、十分に高い粒子状物質浄化性能と十分に高い耐熱性とが同時に発揮されるものと本発明者らは推察する。
また、多孔質担体及び前記多孔質担体に担持されたセシウムと鉄との複合酸化物を含有する粒子状物質浄化用触媒の場合においては、触媒中でのCsOの安定性は、主として、複合酸化物中のFeの性質に依存する。すなわち、セシウムと鉄(Fe)との複合酸化物においては、セシウムに対して複合酸化物中のFeがより隣接して存在するため、セシウムが複合酸化物中のFeによる酸化作用を主として受け易い。そして、このような複合酸化物においては、前記Feの酸化作用によりCsOの生成が促進され、CsOがより安定化されるものと推察される。また、多孔質担体にセシウムと鉄との複合酸化物が担持された粒子状物質浄化用触媒の場合には、複合酸化物中において、セシウムと酸化鉄とが原子レベルで良好に相互作用するため、セシウムの蒸散がより十分に抑制されるものと推察される。また、本発明の粒子状物質浄化用触媒が前記多孔質担体及び前記多孔質担体に担持されたセシウムと鉄との複合酸化物を含有する触媒である場合においても、酸化鉄の含有比率が50質量%以上である金属酸化物からなる多孔質担体を用いているため、担持成分(前記複合酸化物、又は、セシウム及び前記複合酸化物)に対して適度な酸性質と塩基性質とが付与される。そのため、本発明においては、多孔質担体及び前記多孔質担体に担持されたセシウムと鉄との複合酸化物を含有する粒子状物質浄化用触媒の場合においては、触媒の活性種であるCsOの生成促進と高温条件下でのセシウムの蒸散のより高度な抑制とが同時に図られ、十分に高い粒子状物質浄化性能と十分に高い耐熱性とが同時に発揮されるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、十分に高い粒子状物質浄化性能を有するとともに十分に高い耐熱性を有し、高温条件下で使用した後においても十分に高い粒子状物質浄化性能を発揮することが可能な粒子状物質浄化用触媒、並びに、その粒子状物質浄化用触媒を用いた粒子状物質浄化方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の粒子状物質浄化用触媒について説明する。すなわち、本発明の粒子状物質浄化用触媒は、内燃機関からの排ガスに含まれる粒子状物質を酸化して浄化する粒子状物質浄化用触媒であって、
酸化鉄の含有比率が50質量%以上である金属酸化物からなる多孔質担体、並びに、該多孔質担体に担持されたセシウム及び/又はセシウムと鉄との複合酸化物を含有することを特徴とするものである。
本発明にかかる多孔質担体は、酸化鉄の含有比率が50質量%以上の金属酸化物からなる。このような金属酸化物中における酸化鉄の含有比率が50質量%未満では、金属酸化物の酸性質又は塩基性質が比較的強くなって、触媒の粒子状物質浄化性能と耐熱性とを両立させることができなくなる。すなわち、本発明においては、前記金属酸化物中における酸化鉄の含有比率を50質量%以上とすることによって、多孔質担体にセシウム及び/又はセシウムと鉄との複合酸化物に対する適度な酸性質と塩基性質とを付与することを可能とし、これによって粒子状物質浄化性能と耐熱性との両立を可能とする。また、前記金属酸化物としては、より高い水準で浄化性能と耐熱性とを両立させるという観点からは、酸化鉄の含有比率がより高いものが好ましく、酸化鉄の含有比率を75質量%以上とすることがより好ましく、90質量%以上とすることが更に好ましい。
また、本発明にかかる多孔質担体においては、比表面積の保持性能を向上させること等を目的として、前記金属酸化物中に前記酸化鉄以外にも他の酸化物を含有させることができる。このような他の酸化物としては、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一種を含有する酸化物が好ましい。また、前記金属酸化物が他の酸化物を含有する場合、前記金属酸化物中の酸化鉄の含有比率は50〜99質量%であることが好ましく、75〜99質量%であることがより好ましい。前記金属酸化物中の酸化鉄の含有比率が前記上限を超えると、他の酸化物による効果(例えば高比表面積化等)が十分に得られなくなる傾向にある。
また、本発明の粒子状物質浄化用触媒が前記多孔質担体及び前記多孔質担体に担持されたセシウムと鉄との複合酸化物を含有する触媒である場合においては、セシウムと酸化鉄との反応を阻害せずに、比表面積の保持性能を向上させるという観点から、多孔質担体中に、酸化鉄よりも塩基性度の高い金属酸化物を含有させることが好ましい。このような鉄よりも塩基性度の高い金属酸化物としては特に制限されないが、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム及び酸化ランタンが挙げられ、酸化セリウム、酸化ジルコニウムがより好ましい。
また、前記多孔質担体に鉄よりも塩基性度の高い金属酸化物を含有させる場合において、鉄よりも塩基性度の高い金属酸化物の含有比率としては、1〜50質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましい。このような鉄よりも塩基性度の高い金属の酸化物の含有比率が前記下限未満では、その酸化物による効果(例えば高比表面積化等)が十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、塩基性質が比較的強くなって、触媒の活性と耐熱性とを両立できなくなる傾向にある。
また、前記多孔質担体の形状としては特に制限されないが、用途にあわせて適宜、ペレット形状、モノリス形状とすることができる。このうちモノリス形状とする場合には、ストレートハニカム基材またはディーゼルパティキュレートフィルター基材に前記多孔質担体をコートすればよい。なお、基材はコージェライト製、炭化ケイ素製又はチタン酸アルミニウム製のもの等を挙げることができる。
さらに、前記多孔質担体の比表面積としては特に制限されないが、1〜200m/gであることが好ましく、10〜100m/gであることがより好ましい。前記比表面積が前記上限を超えると、多孔質担体が焼結しやすくなり、得られる触媒の耐熱性が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満では、アルカリ金属成分の分散性が低下する傾向にある。このような比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
また、このような多孔質担体の製造方法は特に制限されず、上述のような金属酸化物からなる多孔質担体を製造することが可能な公知の方法を適宜採用することができる。また、このような多孔質担体としては、市販されている酸化鉄等の金属酸化物をそのまま又は混合して用いてもよい。
また、前記酸化鉄としては、FeO、Fe、Fe、FeOから選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましく、高温条件下における安定性及び触媒調製時における水溶液中での分散性が比較的良好であることから、Feを用いることがより好ましい。
また、本発明においては、前記多孔質担体にセシウム及び/又はセシウムと鉄との複合酸化物が担持されている。このようなセシウムの担持量(前記複合酸化物中に含有されたセシウムも含む。)としては特に制限されないが、前記多孔質担体100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。このようなセシウムの担持量が前記下限未満では、十分な触媒活性が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると高温条件下で過剰量のセシウムが蒸散するといった問題が生じる傾向にある。また、このようなセシウムを前記多孔質担体に担持させる方法としては、特に制限されず、担体にセシウムを担持することが可能な公知の方法を適宜採用でき、例えば、セシウムの塩を含有する水溶液を前記多孔質担体に含浸させた後に乾燥し、焼成する方法を採用してもよい。
また、本発明の粒子状物質浄化用触媒が前記多孔質担体及び前記多孔質担体に担持されたセシウムと鉄との複合酸化物を含有する触媒である場合においては、前記セシウムと鉄との複合酸化物は特に制限されないが、組成式:CsFe(式中、xは1〜6(より好ましくは4〜6)の範囲の数値を示し、yは1〜2(より好ましくは1.5〜2)の範囲の数値を示し、zは2.5〜5(より好ましくは4〜5)の範囲の数値を示す。)で表される複合酸化物が好ましく、より高度な水準で活性と耐熱性とを両立させるという観点から、組成式:CsFeで表される複合酸化物であることがより好ましい。なお、このような複合酸化物中においては、セシウムに対して近接した位置にFeが存在するため、セシウムがそのFeによる酸化作用をより受け易くなり、CsOの生成が促進されるとともに、セシウムの蒸散をより効率的に抑制できるものと推察される。
また、本発明の粒子状物質浄化用触媒が、前記多孔質担体及び前記多孔質担体に担持されたセシウムと鉄との複合酸化物を含有する触媒である場合においては、前記多孔質担体中の前記酸化鉄の粉末X線回折による最大ピーク強度と、前記複合酸化物の粉末X線回折による最大ピーク強度との比([複合酸化物の最大ピーク強度]/[酸化鉄の最大ピーク強度]:ピーク強度比)を1〜20%(より好ましくは2〜10%)の範囲とすることが好ましい。すなわち、本発明においては、前記多孔質担体中の酸化鉄と、前記複合酸化物との粉末X線回折によるピーク強度比が、上述のような範囲となるようにして、粒子状物質浄化用触媒中に、セシウムと鉄との複合酸化物の含有させることが好ましい。このような多孔質担体中の酸化鉄と、複合酸化物とのピーク強度比が1%未満では、複合酸化物による効果が十分に得られなくなる傾向にあり、他方、20%を超えると、複合酸化物による効果が、それ以上得られなくなる傾向にある。なお、ここにいう「最大ピーク」とは、CuKαのX線源を用いた場合のX線回折パターンの2θ角が20°〜40°の範囲において、ベースラインからピークトップまでの高さの強度差が100cps以上のものの中で、最大のものをいう。また、前記多孔質担体中の前記酸化鉄はX線回折パターンの2θ角が20°〜40°の範囲において、24.0°〜24.3°、33.1°〜33.4°及び35.5°〜35.8°の位置に、最大ピークの候補となる主要ピークが現れる。一方、前記複合酸化物はX線回折パターンの2θ角が20°〜40°の範囲において、27.0°〜27.3°及び28.3°〜28.6°の位置に、最大ピークの候補となる主要ピークが現れる。また、このような強度比は、式:[強度比]=([複合酸化物の最大ピーク強度]/[酸化鉄の最大ピーク強度])×100を計算することにより算出することができる。さらに、このようなX線回折測定の方法として、測定装置としてリガク社製粉末X線回折装置RINT−TTRIIIを用いて、CuKα線を用い、50KV、300mA、ステップ角度0.01°の条件で測定する方法を採用することができる。
また、前記多孔質担体及び前記多孔質担体に担持されたセシウムと鉄との複合酸化物を含有する粒子状物質浄化用触媒を得る方法としては、特に制限されないが、例えば、セシウムの塩を含有する水溶液を前記多孔質担体に含浸し、乾燥させた後、700〜900℃(より好ましくは750〜850℃)で1〜10時間程度焼成して、多孔質担体の表面上において前記複合酸化物を形成せしめて、前記多孔質担体及び前記多孔質担体に担持されたセシウムと鉄との複合酸化物を含有する粒子状物質浄化用触媒を得る方法を採用してもよい。このような焼成温度や焼成時間このような焼成温度及び焼成時間が前記下限未満では、前記複合酸化物の形成が促進されず、セシウムを、セシウムと鉄との複合酸化物として担持させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記複合酸化物が分解し、活性が低下する傾向にある。なお、このような方法を採用する場合においては、焼成温度や焼成時間の条件を適宜変更することによって、多孔質担体の表面上に形成される複合酸化物の量を変更することが可能である。
さらに、本発明においては、得られる触媒に対してより高い粒子状物質浄化性能を付与するとともにHC及びCO浄化性能を付与するという観点から、前記多孔質担体に、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金及び金からなる群から選択される少なくとも一種の貴金属が更に担持されていることが好ましい。また、このような貴金属成分の中でも、粒子状物質に対するより高度な酸化能を付与するという観点から、白金、ロジウム、パラジウムを用いることが好ましく、白金を用いることが特に好ましい。なお、これらの貴金属成分は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、このような貴金属の担持量としては、特に制限されないが、前記多孔質担体100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。このような貴金属の担持量が前記下限未満では、貴金属による効果が十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、コストの増加といった問題が生じる傾向にある。また、このような貴金属成分を前記多孔質担体に担持せしめる方法としては、特に制限されず、担体に貴金属を担持することが可能な公知の方法を適宜採用でき、例えば、貴金属の塩(例えば、ジニトロジアンミン塩)や錯体(例えば、テトラアンミン錯体)を含有する水溶液を前記多孔質担体に含浸させた後に乾燥し、焼成する方法を採用してもよい。
また、本発明においては、前記多孔質担体に、セシウム以外の他のアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)が更に担持されていてもよい。前記多孔質担体に、セシウム及び/又は前記複合酸化物とともに前記他のアルカリ金属を担持させることで、排ガス中のNOと硝酸塩活性種が生成され、浄化性能が向上する傾向にある。なお、このような他のアルカリ金属を担持させる方法としては、特に制限されず、前述のセシウムを担持させる方法と同様の方法を適宜採用することができる。
また、本発明の粒子状物質浄化用触媒の形態は特に制限されず、例えば、ハニカム形状のモノリス触媒、ペレット形状のペレット触媒等の形態とすることができる。ここで用いられる基材も特に制限されず、パティキュレートフィルタ基材(DPF基材)、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等が好適に採用することができる。また、このような基材の材質も特に制限されないが、コーディエライト、炭化ケイ素、ムライト、チタン酸アルミニウム等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材が好適に採用することができる。
以上、本発明の粒子状物質浄化用触媒について説明したが、以下、本発明の粒子状物質浄化方法について説明する。すなわち、本発明の粒子状物質浄化方法は、上記本発明の粒子状物質浄化用触媒を排ガスと接触させて、排ガスに含まれる粒子状物質を酸化して浄化することを特徴とする方法である。このように、本発明の粒子状物質浄化方法においては、上記本発明の粒子状物質浄化用触媒を用いているため、十分に高い粒子状物質浄化性能を有するとともに十分に高い耐熱性を有し、高温条件下で使用した後においても十分に高い粒子状物質浄化性能を発揮することが可能であり、長期に亘り十分に高い活性で粒子状物質を酸化して浄化することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
酸化鉄100質量%からなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムと、前記多孔質担体に担持された白金とを含有する粒子状物質浄化用触媒(Cs/Pt/Fe(100質量%))を調製した。すなわち、先ず、Fe(戸田工業株式会社製の商品名「TIC8048」)50gと、Pt濃度4.57wt%のジニトロジアンミン白金(Pt(NH(NO)水溶液(田中貴金属製)21.9gと、CsOH(和光純薬工業製)9.99gと、イオン交換水500gとを混合した後、これを80℃の温度条件で3時間蒸発乾固させて触媒前駆体を得た。次に、得られた触媒前駆体を空気中、110℃の温度条件で12時間乾燥させた後、更に、空気中、500℃の温度条件で3時間焼成した。そして、このようにして焼成した後の触媒前駆体を圧粉成型することにより粉砕してペレット状(粒径150−250μm)にした後、空気中、750℃の温度条件で5時間焼成することによって本発明の粒子状物質浄化用触媒を得た。
(実施例2)
Fe50gの代わりに、Fe(戸田工業株式会社製の商品名「TIC8048」))37.5gとAl(日揮ユニバーサル製の商品名「NST5」)12.5gとからなる酸化物混合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化鉄75質量%と酸化アルミニウム25質量%とからなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムと、前記多孔質担体に担持された白金とを含有する本発明の粒子状物質浄化用触媒(Cs/Pt/Fe(75質量%)−Al(25質量%))を得た。
(実施例3)
Fe50gの代わりに、Fe(戸田工業株式会社製の商品名「TIC8048」)25gとAl(日揮ユニバーサル製の商品名「NST5」)25gとからなる酸化物混合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化鉄50質量%と酸化アルミニウム50質量%とからなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムと、前記多孔質担体に担持された白金とを含有する本発明の粒子状物質浄化用触媒(Cs/Pt/Fe(50質量%)−Al(50質量%))を得た。
(実施例4)
ジニトロジアンミン白金水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、酸化鉄100質量%とからなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムとを含有する本発明の粒子状物質浄化用触媒(Cs/Fe(100質量%))を得た。
(比較例1)
Feの代わりに、ZrO(第一稀元素化学工業製の商品名「RC100」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化ジルコニウム100質量%からなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムと、前記多孔質担体に担持された白金とを含有する比較のための粒子状物質浄化用触媒(Cs/Pt/ZrO(100質量%))を得た。
(比較例2)
Feの代わりに、CeO(第一稀元素化学工業製の商品名「酸化セリウム」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化セリウム100質量%からなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムと、前記多孔質担体に担持された白金とを含有する比較のための粒子状物質浄化用触媒(Cs/Pt/CeO(100質量%))を得た。
(比較例3)
Feの代わりに、Al(日揮ユニバーサル製の商品名「NST5」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化アルミニウム100質量%からなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムと、前記多孔質担体に担持された白金とを含有する比較のための粒子状物質浄化用触媒(Cs/Pt/Al(100質量%))を得た。
(比較例4)
Feの代わりに、TiO(石原産業製の商品名「TTO51A」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン100質量%からなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムと、前記多孔質担体に担持された白金とを含有する比較のための粒子状物質浄化用触媒(Cs/Pt/TiO(100質量%))を得た。
(比較例5)
Fe50gのかわりに、Fe(戸田工業製の商品名「TIC8048」)12.5gとAl(日揮ユニバーサル製の商品名「NST5」)37.5gとからなる酸化物混合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化鉄25質量%と酸化アルミニウム75質量%とからなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムと、前記多孔質担体に担持された白金とを含有する比較のための粒子状物質浄化用触媒(Cs/Pt/Fe(25質量%)−Al(75質量%))を得た。
[実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた粒子状物質浄化用触媒の性能の評価]
<粒状物質酸化活性試験>
実施例1〜3及び比較例1〜5で得られた粒子状物質浄化用触媒に対して、それぞれ粒状物質酸化活性試験を実施した。すなわち、先ず、円筒状サンプル管瓶内に、粒子状物質浄化用触媒0.475gと模擬粒子状物質としてのカーボンブラック(東海カーボン製)0.025gとを添加した。次に、円筒状サンプル管瓶を6時間回転させて、添加した前記粒子状物質浄化用触媒と前記カーボンブラックとを撹拌し、粒子状物質浄化用触媒の外表面にカーボンブラックが付着した試料を得た。次に、得られた試料0.5gを直径30mm、長さ300mmの石英管内に充填した後、O(10容量%)/HO(10容量%)/N(80容量%)からなる混合ガスを前記試料に対して流量30L/分の割合で供給した。なお、前記混合ガス(入りガス)の温度は、初期温度を200℃とし、200℃から20℃/分の昇温速度で昇温した。そして、入りガス温度340〜360℃の温度(触媒床の温度が300℃程度となる温度)条件下における出ガス中のCOおよびCO濃度を測定することにより、酸化速度を求めた。なお、酸化速度は、入りガスの温度340〜360℃の温度条件下において、前記石英管からの出ガス中のCO及びCOの濃度を測定し、その温度におけるカーボンブラックの酸化量を算出した後、時間1時間、触媒150gあたりの酸化速度に換算して算出した。得られた結果を図2及び図3に示す。
図2及び図3に示す結果からも明らかなように、実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた粒子状物質浄化用触媒においては、十分な酸化速度で粒子状物質を酸化できることが確認された。これに対して、比較例3〜5で得られた粒子状物質浄化用触媒では、十分な酸化速度で粒子状物質を酸化できないことが確認された。
図2に示す結果に関して検討すると、実施例1及び比較例1〜4で得られた粒子状物質浄化用触媒は、触媒中の多孔質担体(金属酸化物)の種類のみが相違するものである。そこで、触媒中の金属酸化物の種類に着目すると、酸化速度に対する寄与という観点からの金属酸化物の序列は、Fe≒ZrO≒CeO>>Al>TiOとなることが分かった。このような結果から、ZrO、CeO等のセシウムに対して比較的強い塩基性質を示す金属酸化物やFeなどのセシウムに対して適度な酸・塩基性質を示す金属酸化物は、粒子状物質浄化活性を向上させるのに効果的な担体となることが確認され、反対に、Al、TiO等のセシウムに対して比較的強い酸性質を示す金属酸化物は粒子状物質浄化活性を向上させるのに効果的な担体ではないことが確認された。
次に、図3に示す結果に関して検討すると、実施例1〜3及び比較例5で得られた粒子状物質浄化用触媒は、多孔質担体(金属酸化物)中の酸化鉄(Fe)の含有比率のみが相違する。そこで、前記金属酸化物中の酸化鉄の含有比率に着目すると、酸化速度に対する寄与という観点からの金属酸化物の序列は、Fe(100質量%)>Fe(75質量%)‐Al(25質量%)>Fe(50質量%)‐Al(50質量%)>Fe(25質量%)‐Al(75質量%)であることが分かった。このような結果から、Feの含有比率が低下すると、酸化速度が低下することが確認された。また、一般にディーゼルエンジンの平均排ガス温度300℃程度における粒子状物質(PM)の平均排出量が2g/h/L程度であるため、モノリス基材1Lあたりに触媒150g程度の構成を想定すると、酸化速度は2g/h/150g−cat程度以上であることが要求されるため、所望の酸化速度を得るにはFeの含有比率を50wt%程度以上とすることが必要であることが確認された。
<熱処理又は水熱処理後の粒子状物質浄化用触媒に対する粒状物質酸化活性試験>
実施例1及び比較例1〜2で得られた粒子状物質浄化用触媒に対して、熱処理又は水熱処理を施した後、前述の粒状物質酸化活性試験と同様の粒状物質酸化活性試験を実施した。得られた結果を図4に示す。なお、熱処理と水熱処理の方法は以下に示す通りである。
〈熱処理〉
熱処理は、粒子状物質浄化用触媒を、空気中、750℃の温度条件下において50時間加熱する処理である。なお、図4及び図5中において、熱処理後の粒子状物質浄化用触媒を熱耐久品と称する。
〈水熱処理〉
水熱処理は、HOを3容量%含有する空気中、750℃の温度条件下において50時間加熱する処理である。なお、図4及び図5中において、水熱処理後の粒子状物質浄化用触媒を水熱耐久品と称する。
<熱処理又は水熱処理後の粒子状物質浄化用触媒中のセシウムの含有量の分析>
実施例1及び比較例1〜2で得られた粒子状物質浄化用触媒に対して、前述のような熱処理又は水熱処理を施した後、ICP発光分析により、セシウム(Cs)の含有量を測定した。得られた結果を図5に示す。なお、図5中におけるCsの含有量は、多孔質担体の質量を100とした時の質量として標記した。
図4及び図5に示す結果からも明らかなように、ZrO又はCeOを多孔質担体として用いている比較例1〜2で得られた粒子状物質浄化用触媒においては、Csの仕込量に対して触媒中のCsの含有量は熱処理によって大きく低下していることが確認された。このような結果は、触媒からCs成分が蒸散により損失したことに起因するものと推察される。また、図2に示す熱処理前の粒子状物質浄化用触媒の酸化速度と比較すると、比較例1〜2で得られた粒子状物質浄化用触媒においては、酸化速度が熱処理によって大きく低下し、熱耐久品では所望の酸化速度が得られないということが確認された。このような結果から、ZrOやCeO等のセシウムに対して比較的強い塩基性質を示す金属酸化物は、触媒の耐久性の観点からは、多孔質担体として利用することに適さないものであることが分かった。
一方、Feを多孔質担体として用いている実施例1で得られた粒子状物質浄化用触媒においては、比較例1〜2で得られた粒子状物質浄化用触媒と比較して、熱処理後又は水熱処理後のCs含有量の低下が十分に抑制されていた。このような結果は、Feを多孔質担体として用いることによって、Cs成分の蒸散が抑制されたためであると推察される。また、図2に示す熱処理前の粒子状物質浄化用触媒の酸化速度と比較しても、実施例1で得られた粒子状物質浄化用触媒においては、熱処理又は水熱処理を施しても酸化速度が大幅に低下するというようなことはなく、熱耐久品、水熱耐久品でも所望の酸化速度が得られるということが確認された。このような結果から、Feは、セシウムに対して適度な酸、塩基性質を有しており、耐久性の向上に効果的なものであるということが分かった。
<硫黄被毒処理後の粒子状物質浄化用触媒に対する粒状物質酸化活性試験>
実施例1及び4で得られた粒子状物質浄化用触媒に対して、硫黄被毒処理を施した後、前述の粒状物質酸化活性試験と同様の粒状物質酸化活性試験を実施した。得られた結果を図6に示す。なお、硫黄被毒処理の方法は以下に示す通りである。
〈硫黄被毒処理〉
硫黄(S)被毒処理は、実施例1及び4で得られた粒子状物質浄化用触媒に対して、SO(30ppm)/O(10%)/CO(10%)/HO(10%)/N(バランス)からなる混合ガスを、流量30L/分、入りガス温度350℃の条件で40分間供給する処理である。
図6に示す結果からも明らかなように、本発明の粒子状物質浄化用触媒(実施例1及び4)においては、白金(Pt)の担持の有無に拘らず、ほぼ同等の酸化速度が得られることが確認された。また、白金を担持しないことで(実施例1)、硫黄被毒による触媒活性の低下がより高い水準で抑制できることが確認された。
(実施例5)
酸化鉄100質量%からなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムと鉄との複合酸化物とを含有する粒子状物質浄化用触媒を調製した。すなわち、先ず、円筒状のDPF(Diesel Particulate Filter:直径30mm、高さ50mm、体積35mL、重量14g、セル密度300セル/in2、平均気孔径27μm、気孔率67%、壁厚0.3mm)に、酸化鉄の担持量が150g/Lとなるようにして硝酸鉄水溶液を浸漬し、空気中、110℃の温度条件で12時間乾燥した後、空気中、500℃の温度条件で3時間焼成し、フィルタ型の酸化鉄担体を得た。次いで、前記フィルタ型の酸化鉄担体に対して、セシウムの担持量が0.2mol/Lとなるようにして水酸化セシウム水溶液を含浸し、空気中、110℃の温度条件で12時間乾燥した後、空気中、850℃の温度条件で5時間焼成(以下、このような焼成工程を「最終焼成工程」という。)し、DPF上に粒子状物質浄化用触媒が担持されたフィルタ型触媒を得た。なお、粒子状物質浄化用触媒は、酸化鉄100質量%からなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムと鉄との複合酸化物とを含有する触媒である。
(実施例6)
最終焼成工程における焼成温度を850℃から800℃に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、粒子状物質浄化用触媒が担持されたフィルタ型触媒を得た。
(実施例7)
最終焼成工程における焼成温度を850℃から750℃に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、粒子状物質浄化用触媒が担持されたフィルタ型触媒を得た。
(比較例6)
酸化鉄を担持させる代わりに、酸化ジルコミウムの担持量が150g/Lとなるようにしてオキシ硝酸ジルコニウム水溶液を浸漬することによって酸化ジルコミウムを担持させた以外は、実施例5と同様にして酸化ジルコニウム100質量%からなる多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたセシウムとを含有する比較のための粒子状物質浄化用触媒が担持されたフィルタ型触媒を得た。
[実施例5〜7及び比較例6で得られた粒子状物質浄化用触媒の性能の評価]
<X線回折(XRD)測定>
実施例5〜7で得られた各フィルタ型触媒中のコート層から採取した粒子状物質浄化用触媒に対してX線回折(XRD)測定を行った。このようなXRD測定においては、実施例5〜7で得られた各フィルタ型触媒から採取した粒子状物質浄化用触媒をそれぞれ試料とし、測定装置としてリガク社製の商品名「RINT−TTRIII」を用い、CuKα線、50KV、300mA、ステップ角0.01°の条件で測定を行った。得られた結果を図7に示す。
図7に示す結果からも明らかにように、実施例5〜7で得られた各フィルタ型触媒中の粒子状物質浄化用触媒においては、多孔質担体中の酸化鉄(α−Fe)のピーク以外に、CsFe(複合酸化物)に由来するピークが確認された。また、このような複合酸化物に由来するピークの強度は、焼成温度を750℃(実施例7)、800℃(実施例6)、850℃(実施例5)と高くするに従って大きくなることが確認され、前記最終焼成工程において、より高温で焼成処理を施すことにより、より多くのCsFe(複合酸化物)が形成されることが確認された。さらに、実施例5〜7で得られた各フィルタ型触媒中の粒子状物質浄化用触媒においては、2θ角が20°〜40°の範囲において、多孔質担体中のα−Feの最大ピーク強度と、CsFe(複合酸化物)の最大ピーク強度との強度比([複合酸化物の最大ピーク強度]/[α−Feの最大ピーク強度])が、それぞれ、2.3%(実施例5)、4.5%(実施例6)、5.5%(実施例7)であることが確認された。なお、このような結果から、焼成温度を750℃とした場合には、粒子状物質浄化用触媒中に含有されるセシウムは、主として酸化セシウムのままで存在し、一部が複合酸化物中に存在することが予想される。
<熱耐久試験後の粒子状物質浄化用触媒に対する粒子状物質酸化活性試験>
実施例5〜7及び比較例6で得られた各フィルタ型触媒を用いて、各触媒に対して熱耐久試験を行った後、粒状物質酸化活性試験を実施した。各試験の内容を以下に示す。
〈熱耐久試験〉
熱耐久試験は、実施例5〜7及び比較例6で得られた各フィルタ型触媒に対して、O(10容量%)、CO(10容量%)、HO(3容量%)及びN(バランス)からなる混合ガスを流量1L/分の割合で流通させて行った。なお、前記混合ガスの温度は、初期温度を室温とし、昇温速度20℃/分で750℃まで昇温し、750℃で50時間保持した。
〈粒子状物質酸化活性試験〉
粒子状物質酸化活性試験においては、先ず、模擬粒子状物質としてのカーボンブラック(東海カーボン製)50mgと、エタノール50mLとを混合した後、超音波を10分間照射し、懸濁液を調製した。次に、得られた懸濁液を、熱耐久試験の各フィルタ型触媒の上部から流し込み、透過した懸濁液を、再度フィルタ型触媒の上部から流し込む操作を繰り返し行った。なお、このような操作は最終的に濾液が透明になるまで繰り返し行い、これによってフィルタ型触媒に懸濁液を浸漬させた。その後、懸濁液が浸漬したフィルタ型触媒をN気流中において、500℃の温度条件で10分間加熱し、エタノールを除去することによって、フィルタ型触媒の外表面にカーボンブラックが付着した試料を得た。
次に、得られた試料に対して、O(10容量%)、HO(10容量%)及びN(バランス)からなる混合ガスを流量15L/分の割合で流通させた。なお、前記混合ガス(入りガス)の温度は、初期温度を200℃とし、昇温速度20℃/分で600℃まで昇温した。そして、入りガス温度340〜360℃の温度条件下において、試料に接触した後の混合ガス(出ガス)中に含まれるCO及びCO濃度を分析し、その温度におけるカーボンブラックの酸化量を算出した。その後、時間1時間、フィルタ触媒1Lあたりの酸化速度に換算して、粒子状物質酸化速度を算出した。得られた結果を図8に示す。
図8に示す結果からも明らかように、実施例5〜7で得られた粒子状物質浄化用触媒においては、粒子状物質に対する酸化速度が十分に速く、粒状物質酸化活性が十分に高いことが確認された。これに対して、比較例1で得られた比較のための粒子状物質浄化用触媒は、粒子状物質に対する酸化速度が遅く、粒状物質酸化活性が十分なものではないことが確認された。また、実施例5〜7で得られた粒子状物質浄化用触媒の粒子状物質酸化速度の序列は、速度が速い順に、実施例5>実施例6>実施例7となり、前記最終焼成工程における焼成温度を高くするに従って、熱耐久試験後の粒子状物質の酸化性能が向上することが確認された。
また、図7に示す結果と、図8に示す結果とを併せ勘案すると、触媒中において、セシウムと鉄との複合酸化物がより多く形成されている場合に、熱耐久試験後の粒子状物質の酸化性能がより高くなっていることが分かる。このような結果から、担体として酸化鉄(100質量%)を用いた場合に、焼成温度を750、800、850℃の順に高くするに従って、前記複合酸化物(CsFe)の形成が促進されるものと推察される。更に、前記担体に担持された前記複合酸化物を含有する粒子状物質浄化用触媒(実施例5〜7)においては、セシウムと鉄との複合酸化物がより多く形成されている場合(実施例5>実施例6>実施例7)に、熱耐久試験後の粒子状物質の酸化性能がより高くなっていることから、前記複合酸化物を形成してCs成分が表面に固定化されるとCs成分の蒸散による損失がより十分に抑制されるものと本発明者らは推察する。
以上説明したように、本発明によれば、十分に高い粒子状物質浄化性能を有するとともに十分に高い耐熱性を有し、高温条件下で使用した後においても十分に高い粒子状物質浄化性能を発揮することが可能な粒子状物質浄化用触媒、並びに、その粒子状物質浄化用触媒を用いた粒子状物質浄化方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明の粒子状物質浄化用触媒は、粒子状物質の浄化性能に優れるため、ディーゼルエンジン等の内燃機関からの排ガスに含まれる粒子状物質を浄化するための触媒として特に有用である。
金属酸化物の活性と耐久性との関係を示す概念図である。 実施例1及び比較例1〜4で得られた粒子状物質浄化用触媒の酸化速度を示すグラフである。 実施例1〜3及び比較例5で得られた粒子状物質浄化用触媒の酸化速度を示すグラフである。 実施例1及び比較例1〜2で得られた粒子状物質浄化用触媒の熱処理又は水熱処理後の酸化速度を示すグラフである。 実施例1及び比較例1〜2で得られた粒子状物質浄化用触媒のセシウムの含有量を示すグラフである。 実施例1及び4で得られた粒子状物質浄化用触媒の硫黄被毒処理前後の酸化速度を示すグラフである。 実施例5〜7で得られた各フィルタ型触媒のコート層から採取した各粒子状物質浄化用触媒の粉末X線回折(XRD)パターンを示すグラフである。 実施例5〜7及び比較例6で得られたフィルタ型触媒の熱耐久試験後の酸化速度を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 内燃機関からの排ガスに含まれる粒子状物質を酸化して浄化する粒子状物質浄化用触媒であって、
    酸化鉄の含有比率が50質量%以上である金属酸化物からなる多孔質担体、並びに、該多孔質担体に担持されたセシウム及び/又はセシウムと鉄との複合酸化物を含有すること、及び、
    前記セシウムの担持量(前記複合酸化物中に含有されたセシウムも含む。)が、前記多孔質担体100質量部に対して10.6〜30質量部であること、
    を特徴とする粒子状物質浄化用触媒。
  2. 前記多孔質担体に、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金及び金からなる群から選択される少なくとも一種の貴金属が更に担持されていることを特徴とする請求項1に記載の粒子状物質浄化用触媒。
  3. 前記金属酸化物が、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一種を更に含有するものであり且つ前記金属酸化物中の前記酸化鉄の含有比率が50〜99質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子状物質浄化用触媒。
  4. 前記複合酸化物が、組成式:CsFe(式中、xは1〜6の範囲の数値を示し、yは1〜2の範囲の数値を示し、zは2.5〜5の範囲の数値を示す。)で表される複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の粒子状物質浄化用触媒。
  5. 前記複合酸化物が、組成式:CsFeで表される複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の粒子状物質浄化用触媒。
  6. 前記多孔質担体中の前記酸化鉄と、前記複合酸化物との粉末X線回折によるピーク強度比([複合酸化物の最大ピーク強度]/[酸化鉄の最大ピーク強度])が、1〜20%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の粒子状物質浄化用触媒。
  7. 前記多孔質担体に、セシウム以外のアルカリ金属が更に担持されていることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の粒子状物質浄化用触媒。
  8. 請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の粒子状物質浄化用触媒に排ガスを接触させて、排ガスに含まれる粒子状物質を酸化して浄化することを特徴とする粒子状物質浄化方法。
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