JP4973847B2 - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示素子の液晶配向膜を形成するために用いられる液晶配向剤および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、電気的特性が良好であり、かつ印刷性の良好な液晶配向膜を与える液晶配向剤およびそれを用いた液晶表示素子に関する。
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板表面にポリアミック酸、ポリイミドなどからなる液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙内に正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90°捻れるようにした、いわゆるTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。また、TN型液晶表示素子に比してコントラストが高くて、その視角依存性の少ないSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や、垂直配向型液晶表示素子が開発されている。STN型液晶表示素子は、ネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを液晶として用い、液晶分子の長軸が基板間で180°以上にわたって連続的に捻れる状態となることにより生じる複屈折効果を利用するものである。
これらに対し、非特許文献1および特許文献1に記載されているように、透明導電膜上に突起を形成して液晶の配向方向を制御する、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)方式と呼ばれる垂直配向型液晶表示素子が提案されている。MVA方式の液晶表示素子は、視野角、コントラストなどに優れ、液晶配向膜の形成においてラビング処理を行わなくてよいなど、製造工程の面でも優れている。TN、STN、MVA方式に好適な液晶配向膜としては、液晶表示素子の残像消去時間が短いなどの性能が要求されている。また、それら液晶配向膜の形成に用いられる配向剤としては、オフセット印刷において優れた印刷性が要求される。
"液晶"Vol.3 No.2 117(1999年) 特開平11−258605号公報 特開平6−222366号公報 特開平6−281937号公報 特開平5−107544号公報 J. DURAN and N. S. VISWANATHAN(IBM Research Laboratory), POLYMER IN ELECTRONICS, 239−258(1984) K. Hasegawa, Polymer Journal. Vol. 31, No. 2, 206(1999)
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、電圧保持率を維持しつつ、かつ蓄積電荷を低減させ、さらに優れた印刷性を備えた液晶配向剤およびそれを用いた液晶表示素子を提供することである。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明の上記目的は第一に、下記一般式(1)
Figure 0004973847
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または一価の有機基であり、XはCH=CR−(ただしRは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。)で表される基を有する一価の有機基であり、mは2または3である。)
で表される化合物を含有する液晶配向剤(以下、「第一の液晶配向剤」という。)によって達成される。
本発明の上記目的は第二に、上記一般式(1)で表される化合物を重合して得られた重合体を含有する液晶配向剤(以下、「第二の液晶配向剤」という。)によって達成される。
本発明の上記課題は第三に、上記いずれかの液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
本発明の第一の液晶配向剤は、上記一般式(1)で表される化合物を含有する。
上記一般式(1)において、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または一価の有機基である。この一価の有機基としては、例えばアルキル基、アルコキシル基、芳香族基などを挙げることができる。かかるアルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく使用でき、具体的には例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−メチル−プロピル基、3−メチル−プロピル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。上記アルコキシル基としては、炭素数1〜12のアルコキシル基が好ましく、その具体例として例えばメトキシル基、エトキシル基、n−プロポキシル基、イソプロポキシル基、n−ブトキシル基、2−メチル−プロポキシル基、3−メチル−プロポキシル基、n−ペントキシル基、n−ヘキシロキシル基などを挙げることができる。上記芳香族基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フェナントレン基、ピレン基、ペリレン基、アントラセン基、フルオレン基などを挙げることができる。
上記のうち、Rとしては水素原子または芳香族基が好ましく、水素原子、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基またはフルオレン基がより好ましく、さらに水素原子またはフェニル基が好ましい。
また、上記のうち、Rとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシル基、エトキシル基、n−プロポキシル基、イソプロポキシル基またはn−ブトキシル基がより好ましく、さらに水素原子が好ましい。
上記一般式(1)におけるXはCH=CR−(ただしRは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。)で表される基を有する一価の有機基である。上記の炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基などを挙げることができる。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
かかるXの具体例としては、例えばビニル基、アリル基、スチリル基などを挙げることができ、これらのうち、アリル基またはスチリル基が好ましい。
上記一般式(1)におけるmは2または3である。
式(1)で表される化合物の具体例として例えば下記式(1−1)〜(1−30)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004973847
Figure 0004973847
Figure 0004973847
Figure 0004973847
Figure 0004973847
Figure 0004973847
Figure 0004973847
Figure 0004973847
本発明の第二の液晶配向剤は、上記一般式(1)で表される化合物を重合して得られた重合体を含有する。重合反応に供する上記一般式(1)で表される化合物としては、式(1)においてRが水素原子または芳香族基である化合物であることが好ましい。重合反応に供する化合物の好ましい具体例として、例えば上記式(1−1)〜(1〜12)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(1)で表される化合物の重合反応は、好ましくは適当な溶媒および重合開始剤の存在下、ラジカル重合により行うことができる。
上記一般式(1)で表される化合物の重合反応に使用することのできる溶媒としては、例えばアミド系溶媒、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、カーボネート系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒などを挙げることができる。上記アミド系溶媒としては、例えばN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど;
上記炭化水素系溶媒としては、例えばベンゼン、トルエンなど;
上記エーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼンなど;
上記ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど;
上記ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど;
上記アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなど;
上記カーボネート系溶媒としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど;
上記ニトリル系溶媒としては、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど;
上記エステル系溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルなどを、それぞれ挙げることができる。
上記一般式(1)で表される化合物の重合反応に使用できる重合開始剤としては、例えばアゾ化合物、有機過酸化物、過酸化水素などを挙げることができる。上記アゾ化合物としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4―シアノバレリアン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など;
上記有機過酸化物としては、例えばベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどを、それぞれ挙げることができる。
これら重合開始剤の使用量としては、上記一般式(1)で表される化合物100重量部に対して、好ましくは0.001〜100重量部であり、より好ましくは0.01〜70重量部である。重合開始剤として有機過酸化物または過酸化水素を用いる場合には、それと還元剤とを併用して、レドックス型開始剤としてもよい。
上記一般式(1)で表される化合物を重合して得られた重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは500〜100,000であり、より好ましくは1,000〜50,000である。
本発明の液晶配向剤は、上記一般式(1)で表される化合物、または上記一般式(1)で表される化合物を重合して得られた重合体を必須成分として含有するが、その他に、下記式(I−1)
Figure 0004973847
(式中、Pは4価の有機基であり、そしてQは2価の有機基である。)
で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸および下記式(I−2)
Figure 0004973847
(式中、Pは4価の有機基であり、そしてQは2価の有機基である。)
で表される繰り返し単位を有するポリイミドからなる群から選択される少なくとも1種、接着性向上剤などを含有することができる。
上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により合成することができ、上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、上記式(I−1)においてPがPであり、QがQである繰り返し単位を有するポリアミック酸を脱水閉環することにより得ることができる。
上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂環式テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
上記脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、下記式(I)および(II)
Figure 0004973847
(式中、RおよびRは芳香環を有する2価の有機基であり、RおよびRは水素原子またはアルキル基であり、複数存在するRおよびRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物などを挙げることができる。
上記脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(2)〜(5)
Figure 0004973847
で表される化合物などを挙げることができる。
上記テトラカルボン酸二無水物のうち、脂環式テトラカルボン酸二無水物としては1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、上記式(I)で表される化合物のうち下記式(6)〜(8)
Figure 0004973847
で表される化合物などまたは上記式(II)で表される化合物のうち下記式(9)
Figure 0004973847
で表される化合物が、良好な液晶配向性を発現させることができる観点から好ましく、特に好ましいものとして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)および上記式(6)で表される化合物を挙げることができ、とりわけ2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物が好ましい。
また、脂肪族テトラカルボン酸二無水物および芳香族テトラカルボン酸二無水物のうちの好ましいものとしては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
これらテトラカルボン酸二無水物は、一種のみを使用してもよく、二種以上を混合して使用してもよい。一種のみを使用する場合、脂環式テトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。一方、二種以上を混合して使用する場合には脂環式テトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物の混合物を使用することが好ましく、脂環式テトラカルボン酸二無水物の使用割合が全テトラカルボン酸二無水物に対して50モル%以上であることがより好ましい。
上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸の合成に用いられるジアミンとしては、例えば芳香族ジアミン、脂肪族または脂環式ジアミン、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基に含まれる以外の窒素原子を有するジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。
上記芳香族ジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾールなどを挙げることができる。
上記脂肪族または脂環式ジアミンとしては、例えば1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などを挙げることができる。
上記分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基に含まれる以外の窒素原子を有するジアミンとしては、例えば2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミンなどを挙げることができる。
さらに、上記ジアミノオルガノシロキサンとしては、下記式(10)
Figure 0004973847
(式中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
で表される化合物などを挙げることができる。
これらのジアミンは、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらジアミンのうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾールまたはN−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾールが好ましい。
本発明の液晶配向剤にプレチルト角発現性を付与する場合には、上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸の合成に用いるジアミンの一部または全部を下記式(Q−1)
Figure 0004973847
(式中、Zは単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−またはアリーレン基であり、Rは炭素数10〜20のアルキル基、炭素数4〜40の脂環式骨格を有する1価の有機基または炭素数6〜20のフッ素原子を有する1価の有機基である。)
または下記式(Q−2)
Figure 0004973847
(式中、Zは上記式(Q−1)におけるのと同じ意味であり、Rは炭素数4〜40の脂環式骨格を有する2価の有機基である。)
で表される構造を有するジアミン(以下、「特定ジアミン」という。)とすることが好ましい。これにより、上記式(I−1)における基Qおよび基Qの一部または全部を上記式(Q−1)または(Q−2)で表される構造の基とすることができ、プレチルト角の発現に資する。
上記式(Q−1)において、Rで表される炭素数10〜20のアルキル基としては、例えばn−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられる。また、上記式(Q−1)におけるRおよび上記式(Q−2)におけるRで表される炭素数4〜40の脂環式骨格を有する1価または2価の有機基としては、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロデカンなどのシクロアルカン由来の脂環式骨格を有する基;コレステロール、コレスタノールなどのステロイド骨格を有する基;ノルボルネン、アダマンタンなどの有橋脂環式骨格を有する基などが挙げられる。これらの中で、特に好ましくはステロイド骨格を有する基である。上記脂環式骨格を有する有機基は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子や、フルオロアルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基で置換された基であってもよい。
さらに、上記式(Q−1)におけるRで表される炭素数6〜20のフッ素原子を有する基としては、例えばn−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素数6以上の直鎖状アルキル基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの炭素数6以上の脂環式炭化水素基;フェニル基、ビフェニル基などの炭素数6以上の芳香族炭化水素基などの有機基における水素原子の一部または全部をフッ素原子またはトリフルオロメチル基などのフルオロアルキル基で置換した基が挙げられる。
また、上記式(Q−1)および上記式(Q−2)におけるZは、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−S−またはアリーレン基であり、アリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
上記式(Q−1)で表される構造を有するジアミンの具体例としては、例えばドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、下記式(11)〜(15)
Figure 0004973847
で表される化合物などを挙げることができる。
上記式(Q−2)で表される構造を有するジアミンの具体例としては、例えば下記式(16)〜(18)
Figure 0004973847
で表される化合物などを挙げることができる。これらの特定ジアミンは、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これら特定ジアミンのうち、上記式(11)、(13)、(15)または(16)で表される化合物が好ましい。
特定ジアミンの全ジアミン量に対する使用割合は、発現させたいプレチルト角の大きさによっても異なるが、TN型、STN型液晶表示素子の場合には0〜5モル%、垂直配向型液晶表示素子の場合には5〜100モル%が好ましい。
上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸の合成におけるテトラカルボン酸二無水物の使用量としては、合成に供されるジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる量が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる量である。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下、好ましくは10分〜50時間、より好ましくは30分〜30時間行われる。
ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えば1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ヘキシルオキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を例示することができる。
有機溶媒の使用量(α)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(β)が、反応溶液の全量(α+β)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
上記の如き有機溶媒の一部を、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などにより置き換えることができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
ここで使用することができる貧溶媒の量としては、全溶媒中の好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出させる工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸を精製することができる。
上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、上記式(I−1)においてPがPであり、QがQである繰り返し単位を有するポリアミック酸を脱水閉環することにより得ることができる。
脱水閉環にあたっては、アミック酸構造の全部を脱水閉環してイミド環としてもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環してアミック酸構造とイミド環構造とが共存する重合体としてもよい。本発明に用いることのできるポリイミドとしては、全繰り返し単位に対するイミド環を有する繰り返し単位の割合(以下、「イミド化率」という。)が、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上である。イミド化率が40モル%以上の重合体を用いることによって、残像消去時間の短い液晶配向膜が形成可能な液晶配向剤が得られる。
ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。反応時間は、好ましくは10分〜5時間であり、より好ましくは30分〜3時間である。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法の場合、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、所望するイミド化率によるが、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。イミド化率は上記の脱水剤および脱水閉環触媒の使用量が多いほど高くすることができる。なお、脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は、好ましくは30分〜10時間であり、より好ましくは1〜7時間である。
このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法におけると同様の操作を行うことにより、得られたポリイミドを精製することができる。
上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸または上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。この末端修飾型のポリアミック酸またはポリイミドを用いることにより、本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。このような末端修飾型のポリアミック酸またはポリイミドは、ポリアミック酸を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
以上のようにして得られる上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸または上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、その対数粘度(ηln)の値が好ましくは0.05〜10dl/g、より好ましくは0.05〜5dl/gである。
本発明における対数粘度(ηln)の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で粘度の測定を行い、下記数式(1)によって求められるものである。
Figure 0004973847
本発明の液晶配向剤が上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸または上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含有するものである場合、その使用割合は、第一の液晶配向剤にあっては上記式(1)で表される化合物1重量部に対して、好ましくは1,000重量部以下であり、より好ましくは10〜500重量部である。一方、第二の液晶配向剤にあっては上記式(1)で表される化合物を重合して得られた重合体1重量部に対して、好ましくは100重量部以下であり、より好ましくは5〜80重量部である。
本発明の液晶配向剤は、上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸および上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの双方を含有するものであることが好ましい。この場合、上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸および上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの合計の使用量が上記範囲内であることが好ましい。また、上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸および上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの使用割合としては、上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸と上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドとの合計量に対する上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸の使用量として、好ましくは50〜95重量%であり、より好ましくは55〜90重量%である。
上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸および上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、ともに、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物およびジアミンから合成されたものであることが好ましい。この場合、全テトラカルボン酸二無水物中に占める2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物の使用割合は50モル%以上であることが好ましい。
上記接着性向上剤としては、例えば官能性シラン含有化合物、エポキシ化合物などを挙げることができる。
上記官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
上記エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(N−アリルーNーグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
上記のごとき接着性向上剤の使用割合は、第一の液晶配向剤にあっては上記式(1)で表される化合物100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは0.1〜30重量部である。一方、第二の液晶配向剤にあっては上記式(1)で表される化合物を重合して得られた重合体100重量部に対して、好ましくは30重量部以下であり、より好ましくは0.1〜25重量部である。
本発明の液晶配向剤は、上記式(1)で表される化合物、または上記式(1)で表される化合物を重合して得られた重合体、および任意的に添加されるその他の成分を好ましくは有機溶媒中に溶解して調製される。本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃であり、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶配向剤に使用することのできる有機溶媒としては、例えば1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ヘキシルオキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドなどを挙げることができる。これらのうち、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドまたは3−ヘキシルオキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドが良好な印刷性を示すことから特に好ましい。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の全成分から溶媒を除いた重量を、液晶配向剤の総重量で除した値。)は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲にある。すなわち、本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる場合がある。
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤から形成された配向膜を具備する。
本発明の液晶表示素子は、例えば次のような方法によって製造することができる。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤をオフセット印刷法、スピンコート法、あるいはインクジェット印刷法により塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもできる。液晶配向剤塗布後の加熱温度は80〜300℃とされ、好ましくは120〜250℃とされる。なお、ポリアミック酸を含有する本発明の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって配向膜となる塗膜を形成するが、さらに加熱することによって脱水閉環を進行させ、よりイミド化された塗膜とすることもできる。形成される塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
(2)次いで、形成された塗膜面を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。また、本発明の液晶配向剤により形成された液晶配向膜に、例えば特許文献2(特開平6−222366号公報)や特許文献3(特開平6−281937号公報)に示されているような、紫外線を部分的に照射することによってプレチルト角を変化させるような処理、あるいは特許文献4(特開平5−107544号公報)に示されているような、ラビング処理を施した液晶配向膜表面にレジスト膜を部分的に形成し、先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去して、液晶配向膜の液晶配向能を変化させるような処理を行うことによって、液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。液晶としては、ネマチック型液晶およびスメクチック型液晶を挙げることができ、その中でもネマチック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の実施例および比較例において、液晶配向剤およびこれから得られた液晶配向膜の評価は、以下の方法によった。
[電圧保持率]
液晶表示素子に5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。
[焼き付き試験]
図1のようなITO電極を持つセルを作製した。電極Aに直流電圧10.0V、電極Bに直流電圧0.5Vを室温にて24時間印加した。電圧を除去後、電極A、Bに直流電圧0.1〜5.0Vを0.1V刻みに印加した。それぞれの電圧における電極A,Bの輝度差により焼き付き特性を判断した。すなわち、輝度差が大きい場合に焼き付き特性が悪いと判断し、焼き付きが見られなかったものは「○」とし、焼き付きが発生していたものは「×」とした。
[印刷性評価]
片面全面にITO膜が形成された127mm(D)×127mm(W)×1.1mm(H)のガラス基板を用意し、このガラス基板の透明電極面に、各実施例または各比較例で得られた液晶配向剤を孔径0.2μmのマイクロフィルターで濾過した後、液晶配向膜塗布用印刷機(日本写真印刷(株)製、オングストローマー S−40L)を用いて塗布した。80℃に設定したホットプレート密着式予備乾燥機で溶媒を除去し、200℃で60分間焼成してITO膜付きガラス基板上に液晶配向膜を形成した。得られた配向膜のムラを目視にて評価した。ムラの見られなかったものを「○」とした。
[配向膜のイミド化率評価]
配向膜のイミド化率測定は、非特許文献2(J. DURAN and N. S. VISWANATHAN(IBM Research Laboratory), POLYMER IN ELECTRONICS, 239−258(1984))に準じて赤外線吸収測定法によった。
イミド化率の評価は、上記の印刷性評価後の試料を削り出したものを試料として行った。
合成例1
合成例1は、非特許文献3(K. Hasegawa, Polymer Journal. Vol. 31, No. 2, 206(1999)に準じて行った。
窒素雰囲気下中、300mL三口フラスコに4,4’−ジブロモビフェニル 3.1g(10mmol)およびN−アリルアニリン2.8g(21mmol)を入れ、トルエン80mLを加えて溶解した。この溶液に、ナトリウム−t−ブトキシド5.8g(60mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(Pd(dba))0.46g(0.5mmol)および2,2’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)0.93g(1.5mmol)を室温下で加えた。この混合物を窒素下100℃にて16時間攪拌し反応させた。反応混合物を室温に戻し、分液ロートを使ってアンモニア水とメタノールとの混合溶液(アンモニア水/メタノール=1/4(体積比))2リットルで洗浄した。有機溶剤層を硫酸ナトリウムで脱水後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、上記式(1−5)で表される化合物2.1を得た。この化合物を、以下「化合物M(1−5)」という。
合成例2
合成例1において、N−アリルアニリンの代わりに4−ビニルアニリン2.5g(21mmol)を使用したほかは合成例1と同様に実施し、上記式(1−3)で表される化合物2.7gを得た。この化合物を、以下「化合物M(1−3)」という。
合成例3
上記合成例1で合成した化合物M(1−5)の1.0g(2.4mmol)および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.01gをN,N−ジメチルホルムアミド15mLに溶解し、60℃にて8時間攪拌した。反応溶液を冷却後、大過剰量のメタノール中に投入し反応性生物を沈殿させた。沈殿をメタノールで洗浄し、次いで減圧下40℃にて15時間乾燥することにより、重合体0.4gを得た。この重合体を、以下「化合物P(1−5)」という。
合成例4
合成例3において、化合物M(1−5)の代わりに上記合成例2で合成した化合物M(1−3)の1.0g(2.57mmol)を使用したほかは合成例3と同様にして実施し、重合体0.45gを得た。この重合体を、以下「化合物P(1−3)」という。
ポリイミド合成例1
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112.09g(0.50モル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン157.15g(0.50モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン93.54g(0.865モル)、3,3’−(テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル)ビス(プロピルアミン)24.85g(0.10モル)および3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン12.86g(0.02モル)、モノアミンとしてn−オクタデシルアミン8.09g(0.03モル)をN−メチル−2−ピロリドン4,500gに溶解し、60℃で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメタノールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥することにより、対数粘度0.80dl/gのポリアミック酸380gを得た。得られたポリアミック酸30gをN−メチル−2−ピロリドン570gに溶解し、ピリジン23.4gおよび無水酢酸18.1gを添加し110℃で4時間脱水閉環し、上記と同様にして沈殿、洗浄、減圧を行うことにより、対数粘度0.78dl/gのポリイミド(これを「ポリイミド(ア−1)」とする)18.6gを得た。
ポリイミド合成例2
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物224.17g(1.0モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン108.14g(1.0モル)、およびコレスタリル−3,5−ジアミノベンゾエート7.842g(0.015モル)をN−メチル−2−ピロリドン4500gに溶解し、60℃で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメタノールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥することにより、対数粘度0.75dl/gのポリアミック酸(これを「ポリアミック酸B−2」とする)を400g得た。得られたポリアミック酸30gをN−メチル−2−ピロリドン570gに溶解し、ピリジン23.4gおよび無水酢酸18.1gを添加し110℃で4時間脱水閉環し、上記と同様にして沈殿、洗浄、減圧を行うことにより、対数粘度0.78dl/gのポリイミド(これを「ポリイミド(ア−2)」とする)19.2gを得た
ポリアミック酸合成例1
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物196.12g(1.0モル)、ジアミン化合物として2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル212.3g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン4500gに溶解させ、40℃で3時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度0.91dl/gのポリアミック酸(これを「ポリアミック酸(イ−1)」とする)390gを得た。
ポリアミック酸合成例2
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物95.06g(0.50モル)、ピロメリット酸二無水物109.06g(0.50モル)、ジアミン化合物として2,7−ジアミノフルオレン196.25g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン4500gに溶解させ、40℃で3時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度0.95dl/gのポリアミック酸(これを「ポリアミック酸(イ−2)」とする)390gを得た。
実施例1
ポリイミド合成例1で得られたポリイミド(ア−1)およびポリアミック酸合成例1で得られたポリアミック酸(イ−1)を、ポリイミド:ポリアミック酸=20:80(重量比)になるように、γ−ブチロラクトン/N−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ混合溶剤(重量比71/17/12)に溶解し、これにN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを、ポリイミドとポリアミック酸との合計100重量部に対して2重量部および上記合成例1で合成した化合物M(1−5)をポリイミドとポリアミック酸との合計100重量部に対して10重量部加え、固形分濃度3.5重量%の溶液および6.0重量%の溶液を作成した。それぞれの溶液を十分に攪拌後、孔径1μmのフィルターを用いて濾過し、本発明の液晶配向剤を調製した。
上記液晶配向剤のうち、固形分濃度3.5%の溶液を、厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、スピンナーを用いて塗布(回転数:2,500rpm,回転時間:1分間)し、200℃で1時間加熱することにより膜厚0.08μmの塗膜を形成した。この塗膜にレーヨン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロールの回転数400rpm、ステージの移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行った。上記液晶配向膜塗布基板を、イソプロパノール中に1分間浸漬した後、100℃のホットプレート上で5分間加熱した。次に、一対の透明電極/透明電極基板の上記液晶配向膜塗布基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、液晶注入口を残して、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より基板間に、ネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を張り合わせ、液晶表示素子を作製した。得られた液晶表示素子の電圧保持率評価および焼き付き評価を上記記載の方法に従って行った。
また、固形分濃度6.0重量%の溶液を用い、上記記載の方法に従って印刷性評価を行った。さらに印刷性評価後の試料を用いてイミド化率の評価を行った。
実施例2〜8
合成例で合成した化合物、ポリイミドおよびポリアミック酸として表1に記したものを使用したほかは実施例1と同じ手順で行った。
実施例9
ポリイミド合成例2で得られたポリイミド(ア−2)を、N−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ混合溶剤(重量比50/50)に溶解し、これにN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンをポリイミド100重量部に対して2重量部加え、さらに化合物M(1−5)をポリイミド100重量部に対して10重量部加え、固形分濃度3.5重量%の溶液および6.0重量%の溶液を作成した。それぞれの溶液を十分に攪拌後、孔径1μmのフィルターを用いて濾過し、本発明の液晶配向剤を調製した。液晶表示素子の作成方法、液晶表示素子の評価方法、および配向剤印刷性評価方法は実施例1と同じ方法で行った。
実施例10〜12
実施例9において、化合物M(1−5)の代わりに表1に記載のものを使用したほかは実施例17と同じ手順で行った。
比較例1、2
ポリイミドおよびポリアミック酸は表1に記したものを使用し、化合物M(1−5)を加えなかったほかは実施例1と同じ手順で行った。
比較例3
化合物M(1−5)を加えなかったほかは実施例9と同じ手順で行った。
上記実施例および比較例の結果はすべて表1にまとめて示した。なお、表1中、「−」は、当該欄に該当する成分を使用しなかったことを示す。また、電圧保持率の欄の「>99%」は、測定値が99%を超えたことを表わす。
Figure 0004973847
実施例および比較例における焼き付き試験のために作製したセルの模式図である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004973847
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または一価の有機基であり、XはCH=CR−(ただしRは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。)で表される基を有する一価の有機基であり、mは2または3である。)
    で表される化合物を含有することを特徴とする液晶配向剤。
  2. が水素原子である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. が芳香族基である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  4. 上記一般式(1)で表される化合物を重合して得られた重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。
  5. さらに、下記式(I−1)
    Figure 0004973847
    (式中、Pは4価の有機基であり、そしてQは2価の有機基である。)
    で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸および下記式(I−2)
    Figure 0004973847
    (式中、Pは4価の有機基であり、そしてQは2価の有機基である。)
    で表される繰り返し単位を有するポリイミドからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  6. 上記式(I−1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸および上記式(I−2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含有し、且つこれらポリアミック酸およびポリイミドが、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物およびジアミンから合成されたものである、請求項5に記載の液晶配向剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
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