JP4973822B1 - 海水淡水化システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の海水淡水化システムは、海水と下水とから工業用水と飲料水とを得るための海水淡水化システムSであって、下水から活性汚泥を除去し浄化するMBR1と、MBR1の透過水から塩分を第1の濃縮水s6に含み除去し、工業用水s1を生成する第1のRO膜2と、海水を透過させて当該海水中の粒子を除去するUF膜3と、UF膜3を透過した処理水s5bの塩分が第2の濃縮水s7に含み除去され飲料水s2を生成する第2のRO膜4と、第2のRO膜4で除去された第2の濃縮水s7と第1のRO膜2で除去された第1の濃縮水s6とが送られ攪拌される攪拌装置5と、攪拌装置5で撹拌された混合液の塩分が第3の濃縮水s9に含まれ除去され工業用水s3が生成される第3のRO膜6とを具備している。
【選択図】図1
Description
従来、海水、下水を淡水化するシステムとして、図5に示す淡水化システムS100がある。
下水は、ポンプp101によりMBR(Membrane Bioreactor)101に送水され、MBR101で下水中の固形分の活性汚泥などが除去され、MBR101を透過したMBR透過水が、ポンプp102により低圧RO膜(Reverse Osmosis Membrane)102に送水される。
ポンプp102により送水されたMBR透過水は、低圧RO膜102を透過することで塩分などの不純物を含む濃縮水s104がほぼ半分除去され淡水化され、残り半分の生産水s101の工業用水が生産される。
淡水化システムS100における海水からの生産水s102である工業用水の生産は以下のように遂行される。なお、海水の塩分濃度は、3〜4%程度である。
攪拌槽104からポンプp104により中圧RO膜105に送水された混合水s103は、中圧RO膜105を透過することで、1/2程度が塩分などの不純物を含むブラインs105として除去され、残り1/2程度が淡水化された生産水s102(工業用水)として生産される。つまり、生産水s102の工業用水は、海水の1/2プラス下水の1/4程度の容量をもって生産される。
なお、ブラインs105の圧力エネルギは、動力回収装置106で回転エネルギとして回収され、ポンプp104を迂回した一部の混合水s103の中圧RO膜105への送圧の動力源(エネルギ源)として用いられる。
淡水化システムS200は、図5の淡水化システムS100における下水の濃縮水s104を、攪拌槽204に送水せず、下水の淡水化と海水の淡水化とを独立して構成したものである。
その他の構成は、図5の淡水化システムS100と同様であるから、淡水化システムS100の構成要素に200番台の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
従来の淡水化システムS100(図5参照)は、淡水化システムS200(図6参照)に比較し、次のメリットがある。
具体的には、下水からの排水(濃縮水s104)を用いない場合には、海水からの生産水は海水の1/2程度の容量であったものが、下水の1/2程度の容量増水した分、生産水s102の工業用水を多く取水できる。
なお、本願に係る先行技術文献として特許文献1がある。
第1に、一般に飲料水の需要が大きいものの、海水を淡水化する過程で下水の一部(濃縮水s104)を混合させるために、海水から飲料水を造水することができない。
第2に、通常、海水の供給量が下水の供給量に比較し大きい場合が多いにも拘らず、海水の供給量が大きい場合には、海水を淡水化する過程に下水を加える効果が低減する。
本発明は上記実状に鑑み、海水から飲料水を生産できるとともに工業用水を増水でき、造水コストが低廉な海水淡水化システムの提供を目的とする。
<<実施形態1>>
図1は、本発明に係る実施形態1の淡水化システムの概念的構成図である。
実施形態1の淡水化システムSは、下水から工業用水s1を造水するために、下水から活性汚泥などを除去し浄化するMBR(Membrane Bioreactor)1と、下水に含有される塩分やイオンなどの不純物を除去し淡水化する低圧RO膜(Reverse Osmosis Membrane)2とを具備している。
RO膜(逆浸透膜)は、水は通すが塩分などの低分子物質やイオンを通しにくい半透膜である。低圧RO膜2は、下水の塩分濃度が0.1%程度で低いので、比較的低い透過圧約1〜2MPa(メガパスカル)で塩分などを除去する低圧のRO膜である。
UF膜(限外ろ過膜)3は、膜の孔径と海水中の除去対象物質の分子の大きさによって分子レベルのふるい分けを行い、除去対象である粒子を除去する。
高圧RO膜4は、海水の塩分濃度が3〜4%程度であるので、比較的高い透過圧、約6〜8MPa(メガパスカル)で塩分などを除去する高圧のRO膜である。
下水は、ポンプp1により、MBR1に送水され、MBR1を透過して下水から活性汚泥フロックや細菌などが除去される。MBR1を透過した下水のMBR透過水s5aは、ポンプp2により、低圧RO膜2に送水され、低圧RO膜2を透過することで、塩分やイオンなどの不純物を含む下水濃縮水s6が除去され淡水化され、工業用水s1が生産される。
低圧RO膜2で除去された塩分やイオンなどの不純物を含む塩分濃度0.2%程度に濃縮された下水濃縮水s6は、低圧RO膜2から攪拌槽5に送水される。
海水は、ポンプp3により、UF膜3に送水され、UF膜3を透過して海水中の粒子が除去される。そして、UF膜3で粒子が除去された海水のUF膜透過海水s5bは、ポンプp4により、高圧RO膜4に送水される。UF膜3を透過したUF膜透過海水s5bは、高圧RO膜4を透過することで、ほぼ半分が塩分やイオンなどの不純物を含む海水濃縮水s7として除去され、残りの半分が淡水化された飲料水s2として生産される。
攪拌槽5からの下水濃縮水s6と海水濃縮水s7との混合液は、高圧RO膜6を透過することで、ほぼ半分が塩分やイオンなどの不純物を含むブラインs9として除去され、残りの半分が淡水化された工業用水s3として生産される。
1.海水を淡水化する経路に下水を混合させないため、需要が大きい飲料水s2が生産できる。
量2の下水からは、低圧RO膜2を透過させることで量1の工業用水s1が得られる。一方、量2の海水からは高圧RO膜4を透過させることで量1の飲料水s2を生産できる。さらに、高圧RO膜4で除去された量1の海水濃縮水s7と、低圧RO膜2で除去された量1の下水濃縮水s6とを撹拌して高圧RO膜6を透過させることで、量1の工業用水s3が取水される。
結果的に、実施形態1の淡水化システムSでは、量2の下水と量2の海水とから、量1の飲料水s2と量2の工業用水s1、s3が得られる。
図5に示すように、量2の下水は、低圧RO膜102により淡水化され量1の工業用水(生産水s101)が生産される。また、量2の海水には、攪拌槽104で量1の下水の濃縮水s104が加えられるので、中圧RO膜105を透過することで、量2の海水と量1の下水の濃縮水s104の1/2の1.5の量の工業用水(生産水s102)が生産される。
従って、従来例1の淡水化システムS100では、量1の生産水s101と量1.5の生産水s102とを合計し、量2.5の工業用水が得られることになる。
量2の下水は、図6に示すように、低圧RO膜202を透過させることで淡水化され、量1の工業用水(生産水s201)が得られる。一方、量2の海水は高圧RO膜205を透過させることで淡水化され、量1の飲料水(生産水s202)が得られる。
図2は、実施形態2の淡水化システムを示す概念的構成図である。
実施形態2の淡水化システム2Sは、実施形態1の淡水化システムSの低圧RO膜2を省略した(設置しないで)構成としたものである。その他の構成は、実施形態1の淡水化システムSと同様な構成であるから、同一の構成要素には同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
海水濃縮水s7とMBR透過水s22との混合液は、ポンプp5によって加圧され、高圧RO膜6を透過することで、半分が塩分やイオンなどの不純物を含むブラインs23として除去され、残り半分が淡水化された工業用水s21として生産される。
また、RO膜(逆浸透膜)が、同一種類の高圧RO膜4、6となるので、メンテナンスが容易でさらにメンテナンス性が向上する。よって、維持管理性がより良好となる。
なお、実施形態1の淡水化システムSの作用効果は同様に奏する。
図3は、変形形態1の淡水化システムを示す概念的構成図である。
変形形態1の淡水化システム3Sは、実施形態1の淡水化システムSの高圧RO膜4、6の除去流の下流にそれぞれ動力回収装置34、36を設けて動力を再利用する構成としたものである。
これ以外の構成は、実施形態1の淡水化システムSの構成と同様であるから、同一の構成要素には、同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
そこで、淡水化システム3Sでは、高圧RO膜4からの海水濃縮水s7の流路に動力回収装置34を設けている。
そこで、淡水化システム3Sでは、高圧RO膜6からのブライン(海水濃縮水)s9の流路に動力回収装置36を設けている。
動力回収装置34、36は、それぞれ高圧の海水濃縮水s7、ブラインs9の圧力エネルギを回転エネルギとして回収できるので、効率が高い状態で使用することが可能である。従って、実施形態1の淡水化システムSの動力(エネルギ)の削減が可能であり、省エネルギ化を図ることが可能である。
図4は、変形形態2の淡水化システムを示す概念的構成図である。
変形形態2の淡水化システム4Sは、実施形態2の淡水化システム2Sに、変形形態1と同様に、高圧RO膜4、6の除去流(s41、s42)の下流に動力回収装置44、46を設けたものである。
その他の構成は、実施形態2の淡水化システム2Sと同様であるから、同一の構成要素には同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
なお、変形形態1では、動力回収装置34、36の両方を設けた場合を例示したが、動力回収装置34、36のうちの何れかを設けるように構成してもよい。同様に、変形形態2では、動力回収装置44、46の両方を設けた場合を例示したが、動力回収装置44、46のうちの何れかを設けるように構成してもよい。
なお、前記の実施形態、変形形態では、下水から活性汚泥を除去し浄化する浄化装置として、MBRを例示したが、自然沈殿法、砂ろ過、消毒などMBR1以外の浄化装置を適用しても構わない。
また、前記の実施形態、変形形態の説明で使用した数値は一例を示したものであり、これらの数値に限定されるものではない。
2 低圧RO膜(第1のRO膜)
3 UF膜
4 高圧RO膜(第2のRO膜)
5 攪拌槽(攪拌装置)
6 高圧RO膜(第3のRO膜)
34 動力回収装置(第1の動力回収装置)
36 動力回収装置(第2の動力回収装置)
S、3S 淡水化システム(海水淡水化システム)
s1、s3 工業用水
s2 飲料水
s5b UF膜透過海水(処理水)
s6 下水濃縮水(第1の濃縮水)
s7 海水濃縮水(第2の濃縮水)
s9 ブライン(第3の濃縮水)
Claims (2)
- 海水と下水とから工業用水と飲料水とを得るための海水淡水化システムであって、
前記下水を透過させて活性汚泥を除去し浄化するMBRと、
前記MBRを透過した透過水を透過させ、その塩分が第1の濃縮水に含まれ除去されるとともに工業用水を生成する第1のRO膜と、
前記海水を透過させて当該海水中の粒子を除去するUF膜と、
前記UF膜を透過した処理水を透過させ、当該処理水の塩分が第2の濃縮水に含まれ除去されるとともに飲料水を生成する第2のRO膜と、
前記第2のRO膜で除去された前記第2の濃縮水と前記第1のRO膜で除去された第1の濃縮水とが送られ攪拌される攪拌装置と、
前記攪拌装置で撹拌された混合液を透過させ、その塩分が第3の濃縮水に含まれ除去されるとともに工業用水を生成する第3のRO膜とを
具備することを特徴とする海水淡水化システム。 - 前記第2の濃縮水の圧力エネルギを回収する第1の動力回収装置および前記第3の濃縮水の圧力エネルギを回収する第2の動力回収装置のうちの少なくとも何れかを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の海水淡水化システム。
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