JP4971856B2 - 析出型銅合金 - Google Patents

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Description

本発明は強度と導電性に優れ、例えば電子機器用のばね材に好適に適用できる銅合金に関する。
端子、コネクタ、スイッチ,リレー等の電気・電子機器用のばね材(コネクタ用材)には優れたばね特性、曲げ性、導電性が要求され、従来からりん青銅等が用いられてきたが、近年では電子部品の一層の小型化の要請から高強度高導電性の合金が開発されている。
また,電気・電子機器の大電流化に伴ってジュール熱の発生が多くなり,さらに車搭載用のコネクタでは周囲の温度の影響もあるため、上記ばね材には耐熱性が要求されている。例えば、耐熱性が低い場合,長時間の使用によって接圧の低下を招き,接点不良の欠陥を招くことになる。
一般に、Cuに強化元素を添加して高強度化すると導電率が低下し、一方で導電率を上昇させるためCu純度を高めると低強度となる関係がある。そこで、Cu母相中に第二相を晶出させた合金系(複相合金)が開発された。この合金は、強加工することにより第二相がファイバ状に分散され、りん青銅と同等の強度を持ちつつ、母相はCuであるため、導電率が60%IACS(international annealed copper standard、焼鈍標準軟銅に対する電気伝導度の比)を超える高導電性材が得られている。この複相合金系としては、Cu-Cr、Cu-Fe、Cu-Nb、Cu-W、Cu-Ta、Cu-Agなどが知られている。
これら複相合金の中でも、高強度、高導電の合金系として、Ag相を晶出させたCu-Ag合金が知られているが(例えば特許文献1参照)、Agを3質量%以上添加する必要があり原料コストが高いという問題がある。そこで、銅への固溶限(3質量%)よりも低いAg濃度で高強度が得られる技術として、Cu母相からAg相を晶出させる代わりに、加工途中の熱処理でAg相を析出させ、晶出Ag相と同様に強度と導電性を向上させる技術が報告されている(例えば非特許文献1参照)。
一方、Agの晶出相や析出Ag粒子を利用したこれらの銅合金の場合、圧延されて400℃程度の熱処理を受けるとAg相が分断,球状化(pinching-off)するため、耐熱性が低いという問題がある。そこで、Cu母相に炭化物等の粒子を分散させて耐熱性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平07-022058号公報 特開2000-96163号公報 独立行政法人物質材料研究機構、2005年12月5日 プレスリリース、<URL:http://www.nims.go.jp/jpn/news/press/pdf/press132.pdf>
しかしながら、上記した従来技術の場合、銅合金をバネ材に加工した後の実際の使用時の耐熱性が依然として不充分である。例えば、上記特許文献2記載の技術の場合、1時間の熱処理に対する耐熱性(いわゆる半軟化温度)は確認されているが、バネ材を実際の製品に使用する場合は長時間の耐熱性(高温又は常温での応力緩和特性)が要求される。例えば、CPUソケット等の電子機器の場合、150℃×1000時間での耐熱性試験(後述する応力緩和試験)を基準とすることが多い。
このように、耐熱性の評価といっても、半軟化温度の評価と,応力緩和試験とは異なる特性を評価するものと考えられる。各評価について具体的に説明すると、半軟化温度の評価は、銅箔に加工した銅合金を樹脂と接着する際やキュア(熱処理)する際の耐熱性を評価するものと考えられる。すなわち、これらの処理では,400℃×1時間程度の熱処理を実施するのでその時点での強度が重要となり、軟化特性の基準として半軟化温度が適する。そして、半軟化特性を向上させる方法としては,転位の動きを抑制するか又は再結晶温度を上げることが有効であり、析出物による転位のピン止め(pinning)や、添加元素による再結晶温度の上昇が有効となる。
一方,銅合金をCPUソケット等のバネ材に加工した場合、大電流によるジュール熱の発生によって軟化が起こり,接圧の低下を招く恐れがある。従って、一定温度での接圧(応力)の緩和率を評価することが必要となる。この応力緩和特性は,原理的には半軟化特性と関係せず,へたりの主要因は結晶粒の粒界(界面)すべりであり、一般的にこの界面すべりを抑制するものとして析出物が有効であると考えられる。
しかしながら、従来の銅合金はいずれも応力緩和率が高い(長時間耐熱性に劣る)ことを本発明者らは見出した。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、熱間加工性、半軟化特性及び応力緩和特性に共に優れた析出型銅合金の提供を目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の析出型銅合金は、Ag:1.0質量%以上(但し、Ag:1.0質量%を除く)3.0質量%未満、Cr,Zr,Fe及びPの群から選ばれる1種以上の析出型元素(但し、Pは必ずFeと共に含まれる):合計量で0.05質量%以上1質量%以下、残部が銅及び不可避的不純物からなり、Agと前記析出型元素とがCu母相中に析出物としてそれぞれ析出し、前記析出型元素の析出物の粒径が20〜100nmであり、0.2%耐力(YS)が700MPa以上である。
記析出型元素の合計含有量が0.1質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
さらに、Sn,Mg,Mn及びTiの群から選ばれる1種以上の固溶型元素を合計で0.01%以上1%以下含有することが好ましい。
電率(EC)が60%IACS以上、MBR/t≦1、応力緩和特性が40%以下であることが好ましい。


本発明によれば、熱間加工性、半軟化特性及び応力緩和特性に共に優れた析出型銅合金が得られる。
以下、本発明に係る析出型銅合金の実施の形態について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
(組成)
[Ag]
Ag濃度を1.0%以上3.0%未満とする。本発明は、銅への固溶限(3質量%)以下の濃度のAgを含有させ、加工途中の熱処理でAg相を析出させる。そして、析出したAg相が圧延により延伸されることで、Ag相とCu相との界面に蓄積される転位が増加し、高強度が得られると共に、Ag相がCuマトリックスへ固溶しないので高導電率を確保できる。
Agが3%以上含有されると、鋳造(凝固)時にCu母相中に第二相として晶出し、熱間加工時に液相が生成するために熱間加工性が劣ると共に、原料コストが増大し、さらに導電率も低下する。又、Ag含有量が1.0%未満であると、Cu母相へのAgの析出量が充分でないため、強度が充分に向上しない。
[析出型元素]
上記銅合金は、Cr,Zr,Fe及びPの群から選ばれる1種以上の析出型元素(但し、Pは必ずFeと共に含まれる)を合計量で0.05%以上1%以下含む。
これらの元素は、銅合金素材を冷間加工後に時効熱処理することによって、Cu母相内に主に析出し、銅合金を析出硬化させる。Cr、Feは単独で析出し、ZrはCu-Zr金属間化合物として析出する。又、PはFeと共に添加されFe-P金属間化合物として析出する。Cu-Zr,Fe-P金属間化合物の組成比は限定されないが、通常それぞれ,Cu:Zr=9:2,Fe:P=2:1の組成比である。
上記析出物は主としてCu母相に析出するが、析出せずに合金中に固溶しているものもあるため、合金中の析出型元素濃度で規定している。析出型元素の合金中の濃度は、例えば湿式法で測定することができる。
なお、銅合金素材の加工途中の熱処理により、Cu母相中にAgと析出型元素とがそれぞれ析出することになる。例えば、析出型元素としてCrを添加した場合、最終組織には2種類の析出物(AgとCr)が存在する。
析出型元素の合計含有量を0.05%以上1%以下とする理由は、合計含有量が0.05%未満であると析出物が充分に析出せず、1%を超えると析出物の粒径が100nmを超えて粗大になり、後述する問題を生じる場合があるからである。
好ましくは、析出型元素の合計含有量を0.1%以上1%以下とすると、応力緩和率がさらに低減し、バネ材により一層好適な材料となる。
銅合金中の析出型元素の含有割合は、例えば得られた材料の表面又は断面をオージェ電子分光分析法(AES:Auger Electron Spectroscopy)により分析し、元素定量を行うことで求めることができる。この場合、予め、各元素の純物質に対して検量線を作成しておき、定量を行えばよい。
[固溶型元素]
さらに、本発明の合金に、Sn,Mg,Mn及びTiの群から選ばれる1種以上の固溶型元素を合計で0.01%以上1%以下含有することが好ましい。固溶型元素はCu母相内に主に固溶し、銅合金を固溶強化させ、又、銅合金の再結晶温度を上昇させるので、耐熱性(半軟化温度)が向上する。
固溶型元素の合計が0.01%未満の場合、固溶強化が充分でない傾向にあり、1%を超えると導電率が低下すると共に曲げ加工性も劣化する傾向にある。
合金中の固溶型元素の含有割合の測定方法は、上述した析出型元素の含有割合の測定方法と同様とすることができる。
[不可避的不純物]
上記銅合金中の不可避的不純物の含有量は、JISに規格する無酸素銅と同一であるのが好ましい。例えば、JIS H 2123に規格する無酸素形銅C1011における、不純物の含有量と同等にすることができる。
これらの不純物としては、Gd,Y,Yb,Nd,In,Pd,Teを挙げることができる。
(析出物による効果)
既に述べたように、半軟化特性を向上させる方法としては,析出物による転位のピン止め(pinning)や、添加元素による再結晶温度の上昇が有効となる。又、応力緩和特性を向上させる方法としては,結晶粒の粒界(界面)すべりを抑制する析出物が有効である。
本発明の銅合金においては、Cu母相と延伸されたAg粒子との界面が粒界に対応し、上記した析出物によって界面すべりを抑制することができる。つまり、本発明においては、上記した析出物により、半軟化特性及び応力緩和特性のいずれの特性も向上させることができる。
さらに、上記固溶型元素を含む場合は,耐熱性(半軟化温度)がより一層向上する。
前記析出型元素による析出物の粒径は20〜100nmであることが好ましい。析出物はCu母相に主に析出し、圧延による第二相の延伸を妨害するため、析出物の粒径が析出したAg相の厚み程度に粗大化すると、析出物が第二相を分断し、第二相が延伸しなくなって曲げ加工性が劣化し,高強度も得られない.特に、本発明においては、析出した第2相(Ag粒子)の大きさは100nm程度であるため,これらの析出粒子の粒径は100nm以下とする必要がある。但し、析出物の粒径が20nm未満であると、その後の加工等によって析出物が母相内に再固溶するので、20〜100nmの範囲とする。
なお、前記析出型元素による析出物と、析出したAgを明確に区別することができる。すなわち、冷間圧延後の組織では、上記析出粒子がほぼ球状であるのに対して、Ag粒子は圧延方向に延伸している。
Ag粒子と析出粒子とは以下のようにして区別することができる。まず、試料の表面または断面をオージェ電子分光分析法(AES;Auger Electron Spectroscopy)等の元素分析用機器により分析し、全ての粒子を元素分析する。そして、予め、各元素の純物質に対して作成して検量線に基づいて、試料の各粒子の定量を行えばよい。
析出物の粒径は、例えば最終冷間圧延前の合金条を圧延方向に平行に厚み直角に切断し、断面の析出物を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡により10視野程度観察して求めることができる。析出物の大きさが5〜50nmの場合は50万倍〜70万倍の倍率、100〜2000nmの場合は5〜10万倍で撮影を行うとよい。そして、撮影した写真の画像を画像解析装置(例えば、株式会社ニレコ製、商品名ルーゼックス)を用いて大きさ5nm以上の析出物のすべてについて個々に長径a、短径b,及び面積を測定し、それらの平均値から析出物の粒径を計算することができる。
析出物を微細化する方法として、例えば300℃〜600℃の温度で0.5〜100時間の時効熱処理を行うことができる。なお、この熱処理を冷間加工後に行うと,固溶した析出元素の拡散が促進され,析出し易くなるので望ましい。又、加工度が大きい時点で熱処理をすると、その後に冷間加工しても強度が向上し難いため,できるだけ低加工度における熱処理を行うことが望ましい。一方,加工前に熱処理をすると固溶した析出元素が析出しにくくなるが,15時間程度の長時間の熱処理を行えば微細に析出し,析出強化の効果が得られるので、加工前に熱処理をしてもよい。
以上のように、微細な析出物を母相に析出させることで、好ましくは0.2%耐力が700MPa以上の銅合金が得られる。
(製造)
本発明の銅合金は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、電気銅又は無酸素銅を主原料とし、上記化学成分その他を添加した組成を溶解炉にて溶解し、インゴットを作製する。インゴットを例えば均質化焼鈍、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍、冷間圧延、焼鈍を順次行うことで、圧延材が得られる。冷間圧延は、例えば加工度η=3.5以上で行うことが好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。
本発明の銅合金は、ばね用材料(条)、箔等の種々の形態とすることができる。例えば、本発明の銅合金をばね材用の条とした場合、コネクタ等の電子機器に適用可能である。コネクタとしては、公知のあらゆる形態、構造のものに適用できるが、通常はオス(ジャック、プラグ)とメス(ソケット、レセプタクル)からなっている。端子は、例えば串状の多数のピンが並設され、他のコネクタと嵌合した際に端子同士が電気的に接触するよう、適宜折り曲げられてバネのようになっていることがある。そして、通常、コネクタの端子が上記電子機器用銅合金で構成されている。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.試料の作製
電気銅に表1〜表4に示す組成の元素をそれぞれ添加して真空溶解してインゴットを鋳造し、これを800℃の温度で3時間の条件で均質化焼鈍し、950℃で溶体化処理後、熱間圧延を施した。さらに面削して冷間圧延を行い、板厚0.1mmのばね材用試料を作製した。冷間圧延の間に時効処理(500℃で15時間)を施した。冷間圧延の総圧延加工度を99.7%とし、1パスあたりの加工度30〜36%,張力350MPa以上(ただし、冷間圧延の初期パスでは150MPa、板厚が薄くなった後期パスでは375MPa程度)とした。
又、析出元素に由来する析出物の粒径は、最終冷間圧延前の合金条を圧延方向に平行に厚み直角に切断し、断面の析出物を走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡により10視野観察して求めた。
Ag粒子と析出粒子とは以下のようにして区別した。まず、試料の断面をオージェ電子分光分析法(AES;Auger Electron Spectroscopy)により分析し、測定視野中の全ての粒子を元素分析した。そして、予め、各元素の純物質に対して作成して検量線に基づいて、試料の各粒子の定量を行った。
次に、析出物の大きさが5〜50nmの場合は50万倍〜70万倍の倍率、100〜2000nmの場合は5〜10万倍で撮影を行った。そして、撮影した写真の画像を画像解析装置(株式会社ニレコ製、商品名ルーゼックス)を用い、大きさ5nm以上の析出物のすべてについて個々に長径a、短径b,及び面積を測定し、それらの平均値から析出物の粒径を計算した。
<試料の評価>
(1)強度の評価
JIS-Z2241に従い、試料の引張強度を測定し、0.2%耐力(YS:yielding strength)を求めた。試料はJISに従って作製した。
(2)導電性の評価
四端子法にて、試料の導電率(EC)を求めた。単位の%IACS(international annealed copper standard)は、焼鈍標準軟銅に対する電気伝導度の比である。ただし、合金に上記添加元素(Sn等)を含む場合,導電率が低下するので、添加元素を含まない場合は60%IACS以上であれば、導電性が良好である。
(3)曲げ加工性の評価
日本伸銅協会技術標準(JBMA T307)に従ってW曲げ試験を行った。圧延直角方向に延びる10mm幅の試料(t:試料厚さ)について最小曲げ半径(MBR)を求めた。そして、以下の基準で各実験例及び比較例の試料を評価した。
○:MBR/tの値が基準例の値より小さいもの
△:MBR/tの値が基準例の値より大きいもの
×:MBR/tの値が基準例の値よりかなり大きいもの
基準例のMBR/tは1程度である。
(4)応力緩和率
高温下での応力緩和特性として、応力緩和率(日本伸銅協会(JCBA)の技術標準:JCBA T309)を測定した。この試験は、幅10mmの短冊試験片を片持ちはりに取付け、高温の曲げ状態で所定時間保持後のたわみ変位(自由端における所定位置の変位)を初期状態と比較し、温度によるへたりを評価する方法である。試験後と初期状態のたわみが変わらない場合の応力緩和率の値は0%となり、試験後のたわみが初期状態より大きくなるほど、応力緩和率の値が大きくなる(応力が低下する)。
応力緩和率は次式
応力緩和率=(y−y)/y×100(%)
(但し、y=所定時間経過後のたわみ変位(mm)、y=初期たわみ(mm)、y=設定高さ(mm))で与えられる。
又、設定高さは次式
=(2/3)×l×l×σ/(E×t)
(但し、l=標点距離(mm)、σ=負荷応力(kg/mm);0.2%耐力の80%または0.2%耐力以下の任意の応力、E=ヤング率(kg/mm)、t=板厚(mm))で与えられる。
応力緩和の測定は、試料を150℃とし、一定の緩和率を示すまで測定を行った。具体的には、25,50,100,200時間の応力緩和率を測定していき、およそ1000時間でほぼ一定の応力緩和率を示したので、この値を応力緩和率とした。
なお、一般的に使用されるリン青銅の150℃×1000h後の応力緩和率は40%程度である。従って、以下の各実施例及び比較例の評価において、応力緩和率が45%以下のものを耐熱性が良好であるとみなした。
得られた結果を表1〜表4に示す。
Figure 0004971856
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Figure 0004971856
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表1〜表3から明らかなように、各実施例の場合、0.2%耐力が700MPaに向上すると共に、曲げ加工性に優れ、導電率も良好であった。さらに各実施例の場合、応力緩和率がほぼ40%以下であり、耐熱性にも優れていた。
又、固溶型元素としてMg、Mn、Sn、Tiをさらに添加した実施例65〜76の場合、同じ成分組成の実施例に比べ、YSが大きくなり、強度が向上した。例えば、実施例65〜67は、実施例34と同一組成であるが、固溶型元素をさらに添加したものである。
但し、析出型元素の合計含有量が0.1%未満である実施例1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61の場合、合計含有量が0.1%以上である他の実施例に比べると応力緩和率が若干高くなった。
又、時効処理を700℃で15時間に変更した実施例77、78の場合、析出物の粒径が100nmを超えたため、同じ成分組成の実施例34に比べて応力緩和率が若干高くなった。
一方、表4から明らかなように、析出型元素の合計含有量が1.0%を超えた比較例1〜8の場合、導電率が60%未満に低下した。
析出型元素の合計含有量が0.05%未満である比較例9〜12の場合、応力緩和率が50%近い値まで上昇し、耐熱性に劣った。
Ag濃度が1.0%未満である比較例13〜20の場合、YSが700MPa未満に低下し、強度に劣った。
Ag濃度が3%を超えた比較例21の場合、熱間加工で割れが生じ、試料を作成することができなかった。これは、Ag濃度が3.0%以上になると晶出相の液相化によって熱間加工性が低下するためと考えられる。
時効処理を300℃で15時間に変更した比較例22〜25の場合、YSが700MPa未満に低下し、強度に劣った。これは、時効時にAg粒子が充分に析出しなかったため、その後の圧延によって生じるAg相が少ないためと考えられる。

Claims (4)

  1. Ag:1.0質量%以上(但し、Ag:1.0質量%を除く)3.0質量%未満、Cr,Zr,Fe及びPの群から選ばれる1種以上の析出型元素(但し、Pは必ずFeと共に含まれる):合計量で0.05質量%以上1質量%以下、残部が銅及び不可避的不純物からなり、Agと前記析出型元素とがCu母相中に析出物としてそれぞれ析出し、前記析出型元素の析出物の粒径が20〜100nmであり、0.2%耐力(YS)が700MPa以上の析出型銅合金
  2. 前記析出型元素の合計含有量が0.1質量%以上1質量%以下である請求項1記載の析出型銅合金。
  3. さらに、Sn,Mg,Mn及びTiの群から選ばれる1種以上の固溶型元素を合計で0.01%以上1%以下含有する請求項1又は2に記載の析出型銅合金。
  4. 電率(EC)が60%IACS以上、MBR/t≦1、応力緩和特性が40%以下である請求項1ないしのいずれかに記載の析出型銅合金。
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