JP4968766B2 - リチウムイオン二次電池負極用の炭素材料およびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池負極用の炭素材料およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用の負極材料に適した炭素材料とその製造方法、ならびに、その炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池負極材料およびリチウムイオン二次電池負極に関するもので、特に、電気自動車用電源のような大電流の出力(放電)と入力(充電)を必要とする用途に好適である。
携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、パソコン等携帯機器の小型化に伴い、特に民生用電気機器類に使用する駆動用電源として、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池等が使用されている。特に最近では、高エネルギー密度、高作動電圧であるリチウムイオン二次電池が広く使用され、急速な成長を示している。またこれら民生用機器類の駆動用電源と並行して、電力貯蔵や電気自動車(ハイブリッド車を含む)等に使用される大容量でしかも大型のリチウムイオン二次電池の開発も進められている。
リチウムイオン二次電池を電気自動車用電源として使用する場合は、民生用機器類の駆動用電源とは異なる特性が要求される。
民生用機器類駆動用電源には高エネルギー密度が要求されるのに対し、電気自動車用電源には、高エネルギー密度よりも高出入力パワー特性が要求される。即ち、発進時や加速時等における大電流の出力(放電)特性と制動時における大電流の入力(充電)特性の両方が要求される。
この電気自動車用電源向けリチウムイオン二次電池に要求される、高出入力パワー特性とは、出入力時に取り出せる電力を示すものであり、これが大きい程、大きい電流を効率良く取り出したり取り込むことができ、負極材料として使用される炭素材料の影響を大きく受ける。
従来のパワー特性を改善させた負極材料として、例えば特許文献1には、炭素質又は黒鉛質の芯材に、熱分解性黒鉛質の被膜を沈積されてなる材料が開示されている。また、例えば特許文献2には、BET法による測定における比表面積が10〜20m2/gで、かつ、平均繊維直径が0.1〜0.3μmである黒鉛質炭素繊維を用いる技術が開示されている。この技術は、炭素繊維は比表面積が大きいことから、リチウムの吸蔵・脱離反応における反応表面積が大きく、パワー特性が良好なリチウム二次電池を構成できるとの思想に基づいている。
これらとは別に特許文献3には、大きな充放電容量を有するリチウムイオン二次電池用として、ミクロポアの細孔構造を特定の構成にした負極材が開示されている。この細孔構造の構成にある直径0.28〜0.50nmの細孔は、リチウムイオン(イオン径:0.076nm)が進入または拡散する経路となるには十分な大きさであり、これが充放電容量の増大に寄与しているものと推測される。
加えて、非特許文献1には、リチウムイオン二次電池中のリチウムイオンの挙動について、報告されている。
特開2000−357506 特開2002−117846 特開平09−293507 田村英雄監修、「次世代リチウム二次電池」、(株)エヌ・ティー・エス、2003年、p.124〜130
しかしながら、特許文献1には、熱分解性黒鉛質の被膜沈積による容量向上は示されているものの、高出入力パワー特性の改善については何ら触れられていないという問題がある。
また、特許文献2の技術は、高出入力パワー特性のうち出力(放電)パワー特性のみが示されており、入力(充電)パワー特性については検討されていない。この技術に対し本発明者が実施した追試によれば、黒鉛質炭素材料は、出力パワー特性に優れるが入力パワー特性は満足できない、という問題が明らかになった。
さらに、特許文献3に開示される負極材では、高出入力パワー特性は劣るという問題が推定される。何故なら、非特許文献1にも示されている通り、通常のリチウムイオン二次電池中のリチウムイオンは、溶媒数分子と溶媒和していることが知られている。この溶媒和したリチウムイオンの径は約1nmと算出され、高出入力パワー特性に重要と考えられる溶媒和リチウムイオンが負極材中を進入または拡散するためには、特許文献3に開示される細孔構造では適さないと考えられるからである。
本発明者は、炭素材料に関する研究とこれから得られた種々の炭素材料を、リチウムイオン二次電池用負極材料としての評価を繰り返した結果、負極材料のなかでも適切なものを選択しなければ、それを使用したリチウムイオン二次電池の高出入力パワー特性は良好なものにはならないとの知見を得た。
本発明は、この知見に基づくものであり、上記問題を解決し、高出入力パワー特性が良好なリチウムイオン二次電池の負極材料として好適な炭素材料とその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料、ならびにリチウムイオン二次電池用負極を提供することを目的としている。
(1)上記課題を解決するため、本発明に係るリチウムイオン二次電池負極用の炭素材料は、窒素吸着等温線からBET法により求められる全比表面積が10〜40m/gで、かつBJH法により求められるメソポア領域の比表面積が10〜40m/gであり、さらに前記全比表面積に対する前記メソポア領域の比表面積の比が0.7以上であることを特徴とする。
(2)本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材料は、上記(1)を含むことを特徴とする。
(3)本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極は、上記(2)を用いることを特徴とする。
(4)上記課題を解決するため、本発明に係る上記(1)記載の炭素材料の製造方法は、ピッチと樹脂を、ピッチの軟化点以上かつ樹脂の融点以上で溶融混合し、次いで炭化処理することを特徴とする。
(5)上記課題を解決するため、本発明に係る上記(1)記載の炭素材料の製造方法は、ピッチと熱硬化性樹脂を、ピッチの軟化点かつ熱硬化性樹脂の融点以上、硬化温度以下で溶融混合し、次いで炭化処理するを特徴とする。
(6)上記(4)または(5)において、炭化処理の後、酸化性雰囲気で賦活処理することを特徴とする。
本発明の炭素材料は、全比表面積とメソポア領域の比表面積を上記(1)の範囲としたことから、負極材中への溶媒和リチウムイオンのスムーズな進入または拡散を確保することができる。さらに、この炭素材料を使用したリチウムイオン二次電池負極は、負極材中への溶媒和リチウムイオンのスムーズな進入または拡散を確保できることから、高出入力パワー特性に優れ、発進時、加速時および制動時に大電流の充放電(出入力)を繰り返し行う電気自動車用大型二次電池用として好適である。
また、本発明の炭素材料の製造方法は、ピッチと樹脂を溶融混合させることにより、ピッチマトリックス中に樹脂がナノスケールで分散し、炭化処理すると炭化収率の違いによりナノスケールで分散した樹脂の位置に微細な細孔が形成されるので、上記(1)の炭素材料を確実に製造することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。本明細書において、炭素材料の比表面積は、常法に従い、窒素吸着等温線(液体窒素温度おける吸着等温線)から算出されたものであり、BET法により算出される比表面積を全比表面積とし、BJH(Barrett-Joyner-Halenda)法により算出される2〜50nmのメソポア領域の比表面積をメソポア比表面積とする。
本発明の炭素材料では、全比表面積が10〜40m2/gであり、かつメソポア比表面積が10〜40m2/gであり、しかも前記全比表面積に対するメソポア比表面積の比が0.7以上である。上記全比表面積は、好ましくは10〜20m2/gである。本発明の負極材料は、上記のようなメソポア比表面積と全比表面積を有していれば、その他細孔径の大きさについては特に限定されない。
リチウム二次電池用負極材料として用いたときに、全比表面積およびメソポア比表面積が10m2/g未満のものは、リチウムイオン二次電池の出入力パワー特性が悪化し、40m2/gを超えるものは、初回の充電容量と放電容量の差である損失(ロス)が大きくなるので、10〜40m2/gとする。また、全比表面積に対するメソポア比表面積の比率が0.7未満のものは、出入力パワー特性が悪化するので、0.7以上とする。
上記のようなメソポア比表面積と全比表面積を示す、メソ細孔構造を有する炭素材料を得るためには、炭化収率が異なる、ピッチ(理論炭化収率:約93%)および樹脂(理論炭化収率:65〜77%)を溶融混合し、ナノスケールでピッチ中に樹脂を分散させることが重要である。次いで炭化処理することにより、上記のようなメソポア比表面積と全比表面積の値を示す炭素材料を得ることができる。
このメソ細孔形成のメカニズムは、ピッチマトリックス中に分散した樹脂が炭化処理によって、炭化収率に基づき優先的に炭化処理され、それによって微細な細孔構造が形成される。また、ピッチと樹脂の酸化速度は異なり、樹脂の方がピッチより酸化速度が速いため、賦活化処理によりさらにメソ細孔構造が発達したものが得られる。
本発明に使用されるピッチは、石炭系ピッチもしくは石油系ピッチである。これらの内、不純物質が比較的低濃度である石炭系ピッチがより好ましい。
また、本発明に使用される樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が使用される。熱硬化性樹脂は、加熱すると流動状態になり、さらに加熱すると固化するものをいう。固化したものは、再度加熱しても流動状態にはならない。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂もしくはメラミン樹脂等が使用できる。熱可塑性樹脂は、加熱すると流動状態になり、冷却すると固化するものをいう。固化したものも、再度加熱すると再び流動状態になる。熱可塑性樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、スチロール樹脂、ポリカーボネート樹脂もしくはナイロン樹脂等数多くの樹脂の種類があり、これらを使用できる。
ピッチと樹脂の混合割合としては、黒鉛網面構造の形成の容易さから質量比として50:50〜95:5の範囲が好ましい。
ピッチおよび樹脂の溶融混合は、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、プラスチコーダ等加熱装置を具備した混練機等により行うことができる。
溶融混合時の温度は、ピッチの軟化点以上かつ樹脂の融点以上とする。ピッチの軟化点又は樹脂の融点未満の場合、粉体同士の混合となり、ナノスケールでピッチ中に樹脂を分散させることができない。
また、樹脂が熱硬化性樹脂の場合、硬化温度以下であることが好ましい。硬化温度より高い場合、熱硬化性樹脂が硬化してしまい、ナノスケールでピッチ中に樹脂を分散させることができず好ましくない。
樹脂が熱可塑性樹脂の場合の上限温度は特に限定されないが、熱分解等を防止することから200℃以下であることが好ましい。
溶融混合の滞留時間は15分以上、3時間以下が好ましい。
溶融混合に、特に押出機を使用する場合、滞留時間に連動するが、回転速度は5〜200rpmが好ましい。
炭化処理としては、不活性ガス雰囲気下で700〜2000℃の温度範囲で実施することが好ましい。700℃より低いと黒鉛網面構造の形成が不十分で、これを用いたリチウムイオン二次電池は充電容量に対する放電容量の割合、いわゆる効率が低下して好ましくない。2000℃を超えると、特に全比表面積が大幅に低下して好ましくない。
賦活化処理としては、水蒸気、炭酸ガス等の酸化性ガス雰囲気下、800〜1300℃の温度範囲で実施することが好ましい。また、賦活化処理は、炭素化処理の後に引き続き実施する。
本発明の製造方法によれば、ピッチがマトリックスとなり、炭化処理により比較的低温で炭素網面構造が形成されるうえ、導電性が向上し、特に電子・電気部品用材料として好ましい炭素材料が得られる。
本発明の炭素材料は、不純物質が低濃度で導電性が高いため、種々の用途で利用価値が高い。例えば、電気二重層キャパシタの分極性電極材料、各種吸着材料や脱臭材料、もしくは触媒担持材料等である。それぞれの用途、使用箇所もしくは使用状況等に応じて、球状、粒状もしくは粉末状等の形状で、適宜使用することが可能である。
例えば、本発明の炭素材料はリチウムイオン二次電池用負極材料として好適であり、本発明ではこの負極材料を用いたリチウムイオン二次電池用負極も提供される。
負極は、一般的な方法に準じて製造する。負極材料に、結着剤および導電剤を必要に応じて適宜加えて混合し、必要に応じて適量の溶媒(分散媒)を添加する。これを十分に混練することにより、スラリー状の負極ペーストに調製する。次いで、この負極ペーストを銅等の金属箔製の集電体の表面へドクターブレード等を使用して薄膜状に塗布し、乾燥させた後、必要に応じてプレス等により負極活物質の密度を高め、シート状の負極に調製する。このシート状の負極は、評価するリチウムイオン二次電池の仕様に応じて、そのまま使用することも可能であるし、短冊状あるいはディスク状に切り出して使用することも可能である。
結着剤は特に限定されるものではなく、既に公知のものを使用すればよい。例えば、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、またはポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂、等を使用することが可能である。結着剤は、負極材料に対して0.1〜20質量%の量を使用することが好ましい。なお、上記結着剤は、その添加量が多すぎると電池の内部抵抗を大きくする原因となり、少なすぎると負極材料粒子相互および集電体との接着が不十分となる原因となり、好ましくない。導電剤としては、カーボンブラックやアセチレンブラック等が、必要に応じて使用される。使用する際には、負極材料に対して0.1〜20質量%の量が好ましい。また、溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を使用することが可能である。溶媒は、負極材料に対して等量〜10倍の量で使用することが好ましい。
上記で説明した本発明のリチウムイオン二次電池用負極の評価は、半セル系またはフルセル系のリチウムイオン二次電池を、適宜使い分けることにより実施した。
半セル評価は、上記負極と金属リチウムを対極として構成した電池を使用するものである。一方、フルセル評価は、上記負極とそれより高い酸化還元電位を有する正極と対向させて構成した電池を使用するものである。この場合、対向させる正極としては、層状岩塩構造のLiCO2もしくはLiNO2、スピネル構造のLiMn2O4、またはオリビン構造のLiFePO4等の、リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とするものである。これらの物質を用いて正極にした場合、3.6〜4.2Vの作動電圧を示すリチウムイオン二次電池を、構成することが可能である。
上記リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とする場合、粉末状のリチウム遷移金属複合酸化物に結着剤および導電剤を適宜加えて混合し、適当な溶媒を加えてスラリー状の正極ペーストに調製する。次いで、この正極ペーストをアルミニウム等金属箔製の集電体の表面へドクターブレード等を使用して薄膜状に塗布し、乾燥させた後、必要に応じてプレス等により正極活物質の密度を高め、シート状の正極を調製する。
結着剤は上記負極の場合と同様に、例えば、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、またはポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、等を使用することが可能である。結着剤は、負極材料に対して0.1〜20質量%の量を使用することが好ましい。なお、上記結着剤は、その添加量が多すぎると電池の内部抵抗を大きくする原因となり、少なすぎると負極材料粒子相互および集電体との接着が不十分となる原因となり、好ましくない。導電剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラックもしくは黒鉛等の炭素質粉体を、1種のもしくは2種以上を混合したもの、等が必要に応じて使用される。使用する際には、負極材料に対して0.1〜20質量%の量とすることが好ましい。また、溶媒としては、N―メチル―2―ピロリドン等の有機溶剤を使用することが可能である。溶媒は、負極材料に対して等量〜10倍の量で使用することが好ましい。
評価用のリチウムイオン二次電池は、正極もしくは対極、ならびに負極を使用し、これらをセパレータを介して対向させ、電解液中に浸漬させることにより形成する。セパレータは、正極(もしくは対極)ならびに負極を分離し、かつ非水系電解液を保持するものであり、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂の不織布や多孔性材料が使用される。非水系電解液は、電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解させたものである。ここで使用する有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒を使用するのが望ましい。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ―ブチロラクトン、アセトニトリル、1,2―ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソランもしくは塩化メチレン等の内、1種のもしくは2種以上を混合した液を使用することが可能である。また、電解質としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6もしくはLiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を使用することが可能である。
なお、上記セパレータおよび非水系電解液に替えて、ポリエチレンオキサイド等の高分子量ポリマーと、LiClO4やLiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を使用した高分子固体電解質を使用することも可能である。また、ポリアクリロニトリル(PAN)等の固体高分子マトリクスへトラップさせたゲル電解質を使用することも可能である。
以上のように構成される評価用のリチウムイオン二次電池であるが、その形状は円筒型、積層もしくはコイン型等、種々の形状のものを使用することが可能である。いずれの形状の場合も、セパレータを介して正極(もしくは対極)を負極と対向させて電極体となし、当該電極体におけるそれぞれの電極を、外部へ通じる正極端子および負極端子へリード線等により接続した上で、この電極体を非水系電解液と共に電池筐体に密閉して電池を完成することができる。
以上、評価用のリチウムイオン二次電池の形態について説明したが、上述した形態は一形態にすぎず、評価用のリチウムイオン二次電池は、上記形態をはじめとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えたうえで、種々の形態で評価すれば良い。
次に本発明を、実施例1および実施例2により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(本発明例1)
(1)リチウムイオン二次電池用炭素材料の製造
原料として石炭系ピッチ(JFEケミカル(株)製;軟化点約80℃)とフェノール樹脂(住友ベークライト(株)製 PR311;融点82℃、硬化温度約160℃)を質量比で80:20となるように粉体混合した。これをバッチ式溶融混練機(パーカーコーポレーション製)に投入し、140℃、30rpmで1時間溶融混練した。これを窒素雰囲気下、1150℃で3時間炭化処理を実施した。その後、炭酸ガス雰囲気下、1000℃で3時間賦活化処理を実施し、炭素材料を得た。
上記で得られた炭素材料の全比表面積(BET法による)およびメソポア比表面積(BJH法による)を、ASAP2400(micromeritics社)を使用して液体窒素温度(77K)における窒素吸着法により得られた窒素吸着等温線を元に、算出した。結果を表1に示す。
(2)全比表面積
全比表面積はBET法により算出した。液体窒素温度における窒素吸着等温線の測定結果から下式(1)、(2)により単分子層吸着量を算出し、窒素の分子占有面積(0.162nm2)より比表面積を算出するBET多点法により実施した。
Figure 0004968766
Figure 0004968766
ここで各記号の意味は、p:平衡圧、p0:飽和蒸気圧、v:平衡圧pにおける吸着量、vm:単分子層吸着量、C:固体表面と吸着質との相互作用の大きさに関する定数(BET定数)、S:比表面積、およびσN:窒素単分子占有面積、である。
(3)メソポア比表面積
BJH法により細孔がシリンダー状であると仮定して、細孔径分布を吸着等温線より2〜50nmの範囲のメソポア比表面積を算出した。細孔径分布および細孔容積の測定シリンダー状の細孔半径rpは(3)式で表される。一方、吸着層の厚みは標準試料のt―プロットより、コア半径rkは次の(4)式で表されるKelvin式から誘導される(5)式より求められる。脱着時のメニスカス半径rmがコア半径rkに等しいと仮定し、液体窒素温度における窒素の場合に(5)式となる。
Figure 0004968766
Figure 0004968766
Figure 0004968766
ここで各記号の意味は、rp:細孔半径、rk:メニスカス部分のコア半径、t:平衡圧pにおける吸着層の厚み、γ:液体の表面張力、VL:液体のモル体積、rm:メニスカス半径、R:気体定数、T:測定温度、およびθ:液体と細孔との接触角、である。
(4)リチウムイオン二次電池半セルによる評価
上記で得られた炭素材料を負極材料として使用して負極を作製し、リチウムイオン二次電池半セルにより性能評価を実施した。結果を表1に示す。
負極材料を90質量部にポリフッ化ビニリデン(以下pVDF)を10質量部を混合し、これに適量のN―メチル―2―ピロリドンを添加し、十分に混練し、負極ペーストを調製した。この負極ペーストを厚さ18μmの銅箔製集電体の片面に塗布し、乾燥させた後、プレスにて圧縮して、負極活物質層が50μmとなるように調製した。これを2cm2の面積を持つ円盤状となるように打抜いた。
対向する対極は金属リチウム板(厚み500μm)を20mmφの円盤状に打抜いて使用した。
上記負極および対極で、20μmのポリエチレン製セパレータを挟み、宝泉(株)製HSセルに挿入し、非水系電解液を注入してリチウムイオン二次電池半セルを完成させた。なお、非水系電解液としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを体積比で1:1となるように混合した溶媒に、電解質として1mol/lとなるようにLiPF6を溶解させた電解液を使用した。
充放電の測定は北斗電工製定電流試験装置を使用した。半セルの放電容量を1時間で放電可能な電流値を1Cとして、先ず、0.2Cの定電流充電し、その後に2時間定電圧充電を0Vまで実施した。さらにその後、0.2Cの定電流放電を2.0Vまで実施し、放電容量を求めた。その後、定電流充電を1C、3C、5Cとして、上記と同様に放電および充電を実施し、それぞれ0.2Cの場合の放電容量に対する割合(放電特性および充電特性)を求めた。
(本発明例2)
負極材料の原料として、石炭系ピッチとフェノール樹脂を質量比で75:25となるように紛体混合して使用したこと以外は、本発明例1と同様にした。さらに、リチウムイオン二次電池半セルで、本発明例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
負極材料の原料として、ピッチのみを使用したこと以外は、本発明例1と同様にした。さらに、リチウムイオン二次電池半セルで、本発明例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
負極材料の原料として、フェノール樹脂のみを使用したこと以外は、本発明例1と同様にした。さらに、リチウムイオン二次電池半セルで、本発明例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
負極材料として人造黒鉛である平均粒径25μmの黒鉛化メソフェーズ小球体を使用したこと以外は、本発明例1と同様にした。さらに、リチウムイオン二次電池半セルで、本発明例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004968766
表1から明らかなように、負極材料の全比表面積とメソポア比表面積の絶対値とその比率を所定の範囲に制御することにより、放電および充電時の特性が顕著に改善された。
(本発明例3)
(1)リチウムイオン二次電池フルセルによる評価
負極は、実施例1の本発明例1と同様の方法で得られた円盤状のものを使用した。一方、対向する正極の作成は以下の通りとした。化学式LiCoO2の層状岩塩構造リチウムコバルト複合酸化物を、正極活物質として使用した。このLiCoO2の90質量部に、導電剤としてアセチレンブラックを5質量部、結着材としてpVDFを5質量部混合し、適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加し、十分に混練して正極ペーストを得た。この正極ペーストを厚さ50μmのアルミニウム箔製集電体の片面にドクターブレードを使用して塗工し、乾燥させた後、プレスにて圧縮して、正極活物質層が50μmとなるように調製した。これを2cm2の面積を持つ円盤状となるように打抜いた。
上記負極および正極で、厚さ20μmのポリエチレン製セパレータを挟み、非水系電解液に浸漬させて2032型コイン型電池ケースに挿入し、リチウムイオン二次電池フルセルを完成させた。なお非水系電解液として、上記実施例1の本発明例1と同様に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを体積比で1:1となるように混合した溶媒に、電解質として1mol/lとなるようにLiPF6を溶解させた電解液を使用した。
このリチウムイオン二次電池フルセルを使用して、出入力パワー特性評価を実施した。パワー特性評価は室温で、SOC50%の充電状態(定格容量の50%充電された状態)において、電池の定格容量を1時間で放電可能な電流値を1Cと規定した場合に、1C〜5Cまでの異なる定電流で10秒間充電または放電させた。その際の電池電圧の変化を測定し、電流−電圧直線(横軸:電流値、縦軸:電圧値)を求めた。
出力パワーは、電流−電圧直線において、異なる電流値における放電時の電池電圧の変化値を外挿し、その上で、10秒間で放電終止電圧(下限電圧)2.5Vに達すると仮定した場合の最大電流値を求め、さらに、その最大電流値に放電終止電圧2.5Vを乗じた値とした。入力パワーは同様に、10秒間で充電終止電圧(上限電圧)4.2Vに達すると仮定した場合の最大電流値を求め、その最大電流値に充電終止電圧4.2Vを乗じた値とした。その結果を表2に示す。
(本発明例4)
負極として、上記実施例1の本発明例2で調製した物を使用したこと以外は、本発明例3と同様にして評価した。結果を表2に示す。
(比較例4)
負極として、上記実施例1の比較例3で調製した人造黒鉛である平均粒径25μmの黒鉛化メソフェーズ小球体を活物質とした物を使用したこと以外は、本発明例3と同様にして評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004968766
表2から明らかなように、負極材料の全比表面積とメソポア比表面積の絶対値とその比率を所定の範囲に制御することにより、出入力パワー特性が特性が顕著に向上した。特に、黒鉛質材料では欠点であった入力パワー特性が大幅に改善された。

Claims (6)

  1. 窒素吸着等温線からBET法により求められる全比表面積が10〜40m/gで、かつBJH法により求められるメソポア領域の比表面積が10〜40m/gであり、さらに前記全比表面積に対する前記メソポア領域の比表面積の比が0.7以上であるリチウムイオン二次電池負極用の炭素材料。
  2. 請求項1記載の炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材料。
  3. 請求項2記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を用いたリチウムイオン二次電池用負極。
  4. ピッチと樹脂を、ピッチの軟化点以上かつ樹脂の融点以上で溶融混合し、次いで炭化処理する請求項1記載の炭素材料の製造方法。
  5. ピッチと熱硬化性樹脂を、ピッチの軟化点かつ熱硬化性樹脂の融点以上、硬化温度以下で溶融混合し、次いで炭化処理する請求項1記載の炭素材料の製造方法。
  6. 炭化処理の後、酸化性雰囲気で賦活処理する請求項4または5に記載の炭素材料の製造方法。
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