JP4968104B2 - プレス成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
図1、2に示すように、プレス成形品1、5は、素材であるブランク2、6の略中央部に図示しないパンチによって凸状の立体形状に成形される部分3、7(以下「パンチ成形部」という)と、その周囲の平面状のフランジ4、8とを有する。図2において破線で示す形状がプレス成形下死点の外形形状である正規形状であるが、離型後における弾性回復現象によって実線で示されるように角度θを有するひねれが発生する。このひねれは、弾性回復現象であるので、プレス成形素材であるブランク6が高強度になるほど顕著に発生することが知られる。ひねれが発生したプレス成形品5は、製品として要求される形状精度を得られないばかりか、治具等を用いて他部品と強引に組み立てようとすると組立品自体が捻じれてしまうこともある。
はじめに、本発明の原理を簡単に説明する。
図5は、本発明によるひねれの低減機構の説明図である。同図に示すように、本発明では、引張残留応力発生部位であるパンチ成形部12aを冷却し、又は圧縮残留応力発生部位であるフランジ12bを加熱して、フランジ12bの温度がパンチ成形部12aの温度よりも高くなるようにフランジ12bとパンチ成形部12aとに温度差を設けることにより、パンチ成形部12aに引張りの塑性変形を発生するとともにフランジ12bに圧縮の塑性変形を発生させ、その後室温に戻る過程において発生する熱応力によってプレス成形品12の残留応力を相殺することにより、ひねれを低減する。
図6(a)〜図6(c)は、平板13の変形状態と熱応力分布とをそれぞれ示す説明図である。
プレス金型(ダイス、ホルダー)にヒーター等の加熱手段を組み込むことによって、プレス成形品に熱を付与することができる。
同図に示すように、プレス成形品15にはもともとプレス成形によりフランジ15bに圧縮の塑性変形領域が発生するとともにパンチ成形部15aには引張りの塑性変形領域が発生する。このため、プレス成形品15には、僅かな温度差を与えられることにより、塑性変形が発生する。
プレス金型の成形下死点でフランジの温度がパンチ成形部の温度より高くなるようにパンチ成形部15aとフランジ15bとに温度差を付与すると、図9に示すように、塑性変形領域は図8に示す場合よりも当然拡大するものの、塑性変形は弾性変形に比べてひずみ変化に対する応力変化が小さいため、パンチ成形部15aとフランジ15bの応力差の変化は小さい。
図10に示すように、プレス成形品15を金型から離型した後、空冷過程において高温のフランジ15bは冷却されることにより引張りの熱応力が生じて圧縮応力が緩和され、一方、低温のパンチ成形部15aはフランジ15bから熱が移動してくることにより加熱されて圧縮の熱応力が生じ引張り応力が緩和される。このため、図11に示すように、プレス成形品15の温度が均一になると、パンチ成形部15aとフランジ15bの応力差が低減又は事実上解消され、プレス成形品15におけるひねれが低減される。
例1はブランクが冷間状態でプレス成形機にセットされ、それ以降に所定の部位に温度差を付与する方法であるが、プレス成形前のブランクに予め熱を加えて温度分布を付与しておいてもよい。
例2のように予めブランクに温度分布を付与することが難しい場合は、予めブランクに均一な温度を付与してプレス加工に供し、プレス加工機の内部で寸法精度の不良の原因となる引張り応力が発生する部位を、プレス金型により冷却(上記ひねれの場合はパンチとの接触により成形品のパンチ成形部を冷却)し、一方、圧縮応力が発生する部位をプレス金型に組み込んだヒーター等で保温することにより、プレス成形品に温度差を付与することができる。
予め温度差を付与したブランク16(中央部測定温度:80℃,フランジ端部測定温度150℃)を、ヒーターにより160℃に昇温したダイスを有するプレス金型を用いてプレス成形した。
このプレス成形装置17は、パンチ18、ブランクホルダー19及びダイス20を有する。ダイス20には、棒状のヒーター21を挿設するための多数のヒーター投入孔22が設けられている。ヒーター投入孔22に挿設されたヒーター21によってダイス20を上述した温度分布に加熱することにより、ブランク23を所望の温度分布に加熱することができる。
この試験方法2は、予めブランクに温度差を付与しないで金型内で付与する方法である。
同図において斜線を付したホルダー19及びダイス20に図示しないヒーターを組み込んで160℃に昇温させた状態でブランク23に接触させ温度を付与する。一方、パンチ18と底当て24とをブランク23に接触させることにより、パンチ成形部となる部位を抜熱しこの部位の温度上昇を抑制する。この方法を用いてブランク23へ温度分布を付与することにより、成形後の離型直後の温度分布が図14の温度測定ラインA、Bとなるようにした。
図18は、ひねれが発生したプレス成形品25に対して温度分布を付与することにより、発生したひねれを低減する方法を示す説明図である。
本実施例では、ひねれの角度は、プレス成形品26のパンチ成形部26aにおいて長手方向中心線を挟み距離290mmの位置におけるライン(イ)とライン(ロ)を、前記長手方向と直交する平面に投影した場合における、ライン(イ)及びライン(ロ)の交差角度(deg.)として、求めた。
2、6 ブランク
3 パンチ成形部
4 フランジ
7 パンチ成形部(引張残留応力発生部位)
8 フランジ(圧縮残留応力発生部位)
9 パンチ
10 ブランクホルダー
11 ダイス
12 ブランク
12a パンチ成形部
12b フランジ
13 平板
13a 内部
13b 周囲
14 プレス成形品
15 プレス成形品
15a パンチ成形部
15b フランジ
16 ブランク
17 プレス成形品
17a パンチ成形部
17b フランジ
17−1 プレス成形装置
18 パンチ
19 ブランクホルダー
20 ダイス
21 ヒーター
22 ヒーター投入孔
23 ブランク
24 底当て
25 プレス成形品
25a プレス成形部
25b フランジ
26 プレス成形品
26a パンチ成形部
Claims (3)
- プレス金型で拘束されたブランクをプレス成形することによってパンチ成形部及びその周囲のフランジを有するプレス成形品を製造する際に、
前記プレス成形によって前記パンチ成形部の周囲のフランジに発生する圧縮残留応力の発生部位及び引張残留応力の発生部位を予め求めておき、
前記プレス成形の途中又は該プレス成形を終了した後に、プレス金型により前記プレス成形における成形下死点で規定される形状に拘束されるプレス成形品に対して、前記フランジの一部である前記圧縮残留応力の発生部位の温度を、前記パンチ成形部の一部である前記引張残留応力の発生部位の温度よりも高くするとともに前記フランジの一部と前記パンチ成形部の一部との間に熱応力による塑性変形を発生させることができる温度差を付与し、
前記プレス金型による該プレス成形品の拘束を開放すること
によって、前記圧縮残留応力、及び前記引張残留応力の差により生じる捩れモーメントによってプレス成形品の全体にわたって発生する寸法精度不良であるひねれを抑制又は解消すること
を特徴とするプレス成形品の製造方法。 - 前記温度差は、前記フランジの一部又は前記圧縮残留応力発生部位の一部に対応する、前記プレス成形を行われる前の前記ブランクの一部を加熱することによって、設けられる請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
- 前記温度差は、前記プレス金型に設けた加熱手段により前記プレス成形の途中又は該プレス成形を終了した後の被成形材のフランジ又は圧縮残留応力発生部位を加熱することによって、設けられる請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
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