JP4966758B2 - 傾斜地用べた基礎 - Google Patents
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Description
また、上述したように、図8に示すべた基礎では、上側立ち上り部については、上端付近まで土に埋もれることから、外側から大きな土圧がかかるので、肉厚を大きくする必要があり、このために、施工が煩雑になる上に、施工費用がかさむ。
また、上述したように、図8に示すべた基礎では、上側立ち上り部にかかる土圧と下側立ち上り部にかかる土圧とを比較すると、下側立ち上り部にかかる土圧よりも、上側立ち上り部にかかる土圧の方が大きいことから、べた基礎全体としては、傾斜の下側へ押し下げようとする力が働くこととなるので、掘削して平坦にした地盤の上に底盤が設けられているものの、必ずしも安定とは限らない。
請求項1記載の発明は、傾斜した地盤に設けられる傾斜地用べた基礎10に係るものであって、傾斜した地盤の地表面に沿って傾斜して設けられる底盤20と、底盤20の下面から下方へ向けて延び地盤内に埋設される根入れ部30と、底盤20の上面から上方へ向けて延び建物の土台を支持する立ち上り部40と、を備えていることを特徴とする。
ここで、本発明の傾斜地用べた基礎10の適用地盤は、砂質土、粘性土、ロームなど一般の住宅基礎地盤と同等(長期地耐力20kN/m2以上)の支持性能を得られる地盤である。
また、「底盤20」は、傾斜した地盤の地表面に沿って傾斜して設けられるものである。
また、「根入れ部30」は、底盤20の下面から下方へ向けて延びるものであり、地盤中に埋設されるものである。底盤20の下面と地盤との間に働く摩擦力が、地盤に対する傾斜地用べた基礎10の滑動阻止に、最も大きく寄与するものであるが、この根入れ部30も、底盤20の下面から下方へ向けて延びて、地盤中に埋設されることから、地盤に対する傾斜地用べた基礎10の滑動阻止に、大きく寄与するものである。
また、本発明によれば、地盤を深く掘削しなくても済むことから、掘削による深い穴が生じることもない。このため、足場などの仮設工事を減らすことができるので、その分、仮設工事の費用を低く抑えることができる。
また、本発明によれば、地盤を深く掘削しなくても済むことから、掘削により発生する残土が少なくて済む。このため、残土を処理する手間を低減できるとともに、残土処理費用を低く抑えることができる。
また、本発明によれば、上側立ち上り部41も下側立ち上り部42も、土に埋もれることはない。このため、背景技術で説明したような「下側立ち上り部42よりも上側立ち上り部41の方に大きな土圧がかかる」という事態が生じないので、この点では安定しているといえる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の傾斜地用べた基礎10を限定したものであって、地盤の傾斜角度を「θ」とし、建物および傾斜地用べた基礎10の総重量を「M」とし、建物および傾斜地用べた基礎10の重心を「G」とし、建物および傾斜地用べた基礎10の回転中心を「O」とし、GとOとの垂直方向のずれを「H」とし、GとOとの水平方向のずれを「L」とし、底盤20の下面の断面係数を「F」とし、底盤20の下面の総面積を「A」とし、根入れ部30における傾斜の下側を向く面の総面積を「B」とし、地盤と底盤20の下面との間の摩擦係数を「μ」とし、地盤の地耐力を「C」とし、傾斜地用べた基礎10が滑動するときに根入れ部30が地盤から受ける圧力を「D」とし、下記の「式1」および「式2」を満たすように形成されていることを特徴とする。
「式2」:(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C
また、「θ」は、地盤の傾斜角度を意味する。
また、「M」は、建物および傾斜地用べた基礎10の総重量を意味する。すなわち、「M」は、建物の重量と、傾斜地用べた基礎10(底盤20、根入れ部30、および立ち上り部40を含む)の重量との和を意味する。また、傾斜地用べた基礎10の重量には、底盤20の重量と、根入れ部30の重量と、立ち上り部40の重量とが含まれる。建物の重量を「M1」とし、傾斜地用べた基礎10の重量を「M2」とし、底盤20の重量を「M21」とし、根入れ部30の重量を「M22」とし、立ち上り部40の重量を「M23」とすると、「M」=「M1」+「M2」=「M1」+「M21」+「M22」+「M23」である。
また、「O」は、建物および傾斜地用べた基礎10の回転中心を意味する。
また、「H」は、GとOとの垂直方向のずれを意味する。
また、「L」は、GとOとの水平方向のずれを意味する。
また、「F」は、底盤20の下面の断面係数を意味する。底盤20の下面の総面積「A」=J×Jの場合には、F=J3÷6によって求めることができる。
また、「A」は、底盤20の下面の総面積を意味する。
また、「B」は、根入れ部30における、傾斜の下側を向く面の総面積を意味する。
また、「C」は、地盤の地耐力を意味する。
また、地耐力とは、地盤がどの程度の荷重に耐えられるか、また、地盤の沈下に対して抵抗力がどの程度あるかを示す指標である。
また、「D」は、傾斜地用べた基礎10が滑動するときに、あるいは傾斜地用べた基礎10が滑動しようとするときに、根入れ部30が地盤から受ける圧力を意味する。
またここで、傾斜地用べた基礎10が滑動しようとするときに、根入れ部30によって押圧される側の地盤内の土に生じる圧力を、「受動土圧」という。つまり、「受動土圧」とは、傾斜地用べた基礎10が滑動しようとするときに、地盤内における根入れ部30を受け止める側の土に生じる圧力をいう。
P=γ×h×tan2(45+(φ÷2))+2Qtan(45+(φ÷2))
この式によれば、受動土圧「P」は、地表面からの深さが深くなるに従って、次第に大きくなっていく。そして、受動土圧「P」の、地表面から根入れ部30の下端部までの平均値が、「D」に相当する。つまり、「D」は、地表面から根入れ部30の下端部までの、受動土圧「P」の平均値である。
「式1」:(M×cosθ×μ)+(B×D)≧(M×sinθ)
および
「式2」:(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C
を満たすように形成されている。
つまり、本発明では、傾斜地用べた基礎10は、(M×cosθ×μ)+(B×D)≧(M×sinθ)、かつ、(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C、の条件を満たすように形成されている。
また、「M×cosθ×μ」は、底盤20の下面と地盤との間に働く摩擦力を意味するものである。
また、「B×D」は、根入れ部30による、滑動を阻止する方向に働く抵抗力を意味するものである。
またここで、本発明では、傾斜地用べた基礎10が、「式1」および「式2」を満たすように形成されている、つまり、「式1」および「式2」を満たすように、傾斜地用べた基礎10の各部、具体的には、底盤20や根入れ部30など、が形成されているのである。
また、抵抗力「B×D」を大きくするには、例えば、根入れ部30の数を増やして、総面積「B」を大きくすればよい。また、根入れ部30の上端部から下端部までの深さを深くして、総面積「B」を大きくしてもよい。また、根入れ部30の数を増やすとともに、根入れ部30の上端部から下端部までの深さを深くして、総面積「B」を大きくしてもよい。
このように、摩擦力「M×cosθ×μ」が、「M×sinθ」よりも小さければ、根入れ部30の数を増やすなり、根入れ部30の深さを深くするなり、根入れ部30の数を増やすとともに深さを深くするなどして、総面積「B」を大きくし、「式1」を満たすように設計すればよいのである。もちろん、摩擦力「M×cosθ×μ」が、「M×sinθ」よりも大きくても、根入れ部30の数を増やすなり、根入れ部30の深さを深くするなり、根入れ部30の数を増やすとともに深さを深くするなどして、総面積「B」を大きくするように設計すれば、安定性をより一層高めることができるのである。
そして、
「式1」:(M×cosθ×μ)+(B×D)≧(M×sinθ)
および
「式2」:(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C
を満たすように、傾斜地用べた基礎10を形成すれば、つまり、(M×cosθ×μ)+(B×D)≧(M×sinθ)、かつ、(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C、の条件を満たすように、傾斜地用べた基礎10を形成すれば、滑動したり傾いたりすることなく、傾斜した地盤の地表面に安定して留まるのである。
図1ないし図6は、本発明の実施の形態を示すものである。
図1は、傾斜地用べた基礎10の平面図、図2は、傾斜地用べた基礎10のA−A線断面図、図3は、傾斜地用べた基礎10のB−B線断面図、図4は、傾斜地用べた基礎10の施工に用いられる型枠であって周縁部に用いられるものの断面図、図5は、傾斜地用べた基礎10の施工に用いられる型枠であって中央部に用いられるものの断面図、図6は、傾斜地用べた基礎10の施工に用いられるものであって型枠内に流し込んだ生コンクリートが傾斜面に沿って流れ出さないように止めるためのコン止めバー75を示す斜視図である。
図1ないし図3に示すように、本実施の形態に係る傾斜地用べた基礎10は、傾斜した地盤の地表面に沿って傾斜して設けられる底盤20と、底盤20の下面から下方へ向けて延び地盤内に埋設される根入れ部30と、底盤20の上面から上方へ向けて延び建物の土台を支持する立ち上り部40とを備えている。
ここで、本実施の形態に係る傾斜地用べた基礎10の適用地盤は、砂質土、粘性土、ロームなど一般の住宅基礎地盤と同等(長期地耐力20kN/m2以上)の支持性能を得られる地盤である。
(底盤20)
図2に示すように、底盤20は、傾斜した地盤の地表面に沿って傾斜して設けられるものである。
また、底盤20の傾斜角度は、15度以下にすることが好ましい。
この底盤20の下面と地盤との間に働く摩擦力が、地盤に対する傾斜地用べた基礎10の滑動阻止に、最も大きく寄与するものである。
また、図1に示すように、本実施の形態では、底盤20は、平面視矩形に形成されており、上側および下側の2辺が、Z軸方向に平行とされ、水平方向に延びており、また、残りの2辺が、X軸方向に平行とされ、地盤の地表面に沿って傾斜している。
(根入れ部30)
図1ないし図3に示すように、根入れ部30は、底盤20の下面から下方へ向けて延びるものであり、地盤中に埋設されるものである。
また、図1ないし図3に示すように、本実施の形態では、底盤20の周縁部に沿うようにして、根入れ部30が設けられているとともに、底盤20の中央部をZ軸方向に横切るようにして、根入れ部30が設けられている。より具体的には、底盤20の周縁部のうち上側の辺に沿うようにして、Z軸と平行な根入れ部30が設けられ、また、底盤20の周縁部のうち下側の辺に沿うようにして、Z軸と平行な根入れ部30が設けられ、また、底盤20の中央部を横切るようにして、Z軸と平行な根入れ部30が設けられている。また、底盤20の周縁部のうち上側および下側以外の2辺に沿うようにして、X軸と平行な根入れ部30がそれぞれ設けられている。
また、底盤20の上側の辺に沿って設けられている根入れ部30を「上側根入れ部33」とし、底盤20の下側の辺に沿って設けられている根入れ部30を「下側根入れ部34」とし、底盤20の中央部を横切るように設けられているものを「中央根入れ部35」とし、底盤20の上側および下側以外の2辺に沿って設けられている根入れ部30を「側方根入れ部36」とする。
(立ち上り部40)
立ち上り部40は、底盤20の上面から上方へ向けて延び、建物の土台を支持するものである。
また、図1ないし図3に示すように、本実施の形態では、底盤20の周縁部に沿うようにして、立ち上り部40が設けられている。より具体的には、底盤20の周縁部のうち上側の辺に沿うようにして、Z軸と平行な立ち上り部40が設けられ、また、底盤20の周縁部のうち下側の辺に沿うようにして、Z軸と平行な立ち上り部40が設けられ、また、底盤20の周縁部のうち上側および下側以外の2辺に沿うようにして、X軸と平行な立ち上り部40がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、本実施の形態では、底盤20が、傾斜した地盤の地表面に沿って傾斜して設けられ、また、上側立ち上り部41および下側立ち上り部42が、底盤20の上面から上方へ向けて延びるように形成されている。このため、本実施の形態では、上側立ち上り部41も、下側立ち上り部42も、土に埋もれることはない。
また、図1および図2に示すように、本実施の形態では、下側立ち上り部42は、下側根入れ部34の鉛直上方に設けられている。そして、下側立ち上り部42と下側根入れ部34とは、底盤20を挟んで鉛直方向に連続するように形成されている。
また、図1および図3に示すように、本実施の形態では、左右の各側方立ち上り部43は、左右の各側方根入れ部36の鉛直上方にそれぞれ設けられている。そして、各側方立ち上り部43と各側方根入れ部36とは、それぞれ、底盤20を挟んで鉛直方向に連続するように形成されている。
(地盤と底盤20と根入れ部30との関係)
ここで、地盤の傾斜角度を「θ」とし、建物および傾斜地用べた基礎10の総重量を「M」とし、建物および傾斜地用べた基礎10の重心を「G」とし、建物および傾斜地用べた基礎10の回転中心を「O」とし、GとOとの垂直方向のずれを「H」とし、GとOとの水平方向のずれを「L」とし、底盤20の下面の断面係数を「F」とし、底盤20の下面の総面積を「A」とし、根入れ部30における傾斜の下側を向く面の総面積を「B」とし、地盤と底盤20の下面との間の摩擦係数を「μ」とし、地盤の地耐力を「C」とし、傾斜地用べた基礎10が滑動するときに根入れ部30が地盤から受ける圧力を「D」とする。
また、「M」は、建物および傾斜地用べた基礎10の総重量を意味する。
すなわち、「M」は、建物の重量と、傾斜地用べた基礎10(底盤20、根入れ部30、および立ち上り部40を含む)の重量との和を意味する。また、傾斜地用べた基礎10の重量には、底盤20の重量と、根入れ部30の重量と、立ち上り部40の重量とが含まれる。建物の重量を「M1」とし、傾斜地用べた基礎10の重量を「M2」とし、底盤20の重量を「M21」とし、根入れ部30の重量を「M22」とし、立ち上り部40の重量を「M23」とすると、「M」=「M1」+「M2」=「M1」+「M21」+「M22」+「M23」である。
また、「O」は、建物および傾斜地用べた基礎10の回転中心を意味する。
また、「H」は、GとOとの垂直方向のずれを意味する。
また、「L」は、GとOとの水平方向のずれを意味する。
また、「F」は、底盤20の下面の断面係数を意味する。底盤20の下面の総面積「A」=J×Jの場合には、F=J3÷6によって求めることができる。
また、「A」は、底盤20の下面の総面積を意味する。
また、「B」は、根入れ部30における、傾斜の下側を向く面の総面積を意味する。
また、「μ」は、地盤と底盤20の下面との間の摩擦係数を意味する。
またここで、地盤が粘性土であり、かつ、底盤20がコンクリート造であれば、μ=0.35であり、また、地盤が砂質土およびロームであり、かつ、底盤20がコンクリート造であれば、μ=0.45であり、また、地盤が砂利または砂であり、かつ、底盤20がコンクリート造であれば、μ=0.55である。
また、地耐力とは、地盤がどの程度の荷重に耐えられるか、また、地盤の沈下に対して抵抗力がどの程度あるかを示す指標である。
また、「D」は、傾斜地用べた基礎10が滑動するときに、あるいは傾斜地用べた基礎10が滑動しようとするときに、根入れ部30が地盤から受ける圧力を意味する。
また、傾斜地用べた基礎10が滑動しようとするときに、根入れ部30によって押圧される側の地盤内の土に生じる圧力を、「受動土圧」という。つまり、「受動土圧」とは、傾斜地用べた基礎10が滑動しようとするときに、地盤内における根入れ部30を受け止める側の土に生じる圧力をいう。
P=γ×h×tan2(45+(φ÷2))+2Qtan(45+(φ÷2))
この式によれば、受動土圧「P」は、地表面からの深さが深くなるに従って、次第に大きくなっていく。そして、受動土圧「P」の、地表面から根入れ部30の下端部までの平均値が、「D」に相当する。つまり、「D」は、地表面から根入れ部30の下端部までの、受動土圧「P」の平均値である。
「式1」:(M×cosθ×μ)+(B×D)≧(M×sinθ)
「式2」:(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C
つまり、本実施の形態では、傾斜地用べた基礎10は、(M×cosθ×μ)+(B×D)≧(M×sinθ)、かつ、(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C、の条件を満たすように形成されている。
また、「M×cosθ×μ」は、底盤20の下面と地盤との間に働く摩擦力を意味するものである。
また、「B×D」は、根入れ部30による、滑動を阻止する方向に働く抵抗力を意味するものである。
またここで、本実施の形態では、傾斜地用べた基礎10が、「式1」および「式2」を満たすように形成されている、つまり、「式1」および「式2」を満たすように、傾斜地用べた基礎10の各部、具体的には、底盤20や根入れ部30など、が形成されているのである。
また、抵抗力「B×D」を大きくするには、例えば、根入れ部30の数を増やして、総面積「B」を大きくすればよい。また、根入れ部30の上端部から下端部までの深さを深くして、総面積「B」を大きくしてもよい。また、根入れ部30の数を増やすとともに、根入れ部30の上端部から下端部までの深さを深くして、総面積「B」を大きくしてもよい。
このように、摩擦力「M×cosθ×μ」が、「M×sinθ」よりも小さければ、根入れ部30の数を増やすなり、根入れ部30の深さを深くするなり、根入れ部30の数を増やすとともに深さを深くするなどして、総面積「B」を大きくし、「式1」を満たすように設計すればよいのである。
(施工方法)
まず、傾斜地用べた基礎10を設ける前に、地盤の締め固めを十分に行う。
良好な地盤の場合、傾斜地用べた基礎10の底盤20下の砕石地業50は、最小厚さを60mmとする。
また、外周の根入れ部30の法切り部は、締め固めを十分行い法面をモルタル養生することで、砕石地業50を省略できる。
また、法面角度は、砂質土の場合は45度、粘性土の場合は60度を標準とする。
また、防水性能の向上やひび割れ防止のため、立ち上り部40を含めて、コンクリートは、できる限り一体打ちにすることが好ましい。このため、本実施の形態では、図4および図5に示す、浮かし型枠60を用いる。
また、足部61は、コンクリート釘66などで、捨てコン55の上面に固定される。
また、棒部62の上端付近には、雄ネジが形成されて雄ネジ部67とされているとともに、雄ネジ部67にはナット68が螺合されている。
また、下桟木63における、棒部62に対応する位置には、下桟木63を上下に貫通する貫通孔69が設けられている。この貫通孔69の内径は、棒部62の上端付近の雄ネジ部67の外径よりは大きく、かつ、雄ネジ部67に螺合されるナット68の外径よりは小さくしてある。そして、この貫通孔69には、下側から、棒部62の上端付近の雄ネジ部67が挿入されるようになっている。そして、ナット68を右回りあるいは左回りに回すことで、下桟木63の高さを、ひいてはベニヤ64の高さを、上下に調整できるようになっている。
また、本実施の形態では、コンクリートのスランプは、15cmを標準とするが、15cmに限られるものではない。また、スランプとは、生コンクリートの流動性を示す指標である。生コンクリートを、上の内径が10cm、下の内径が20cm、高さが30cmの、ほぼ円錐台の中空のスランプコーンに詰める。そして、スランプコーンを鉛直上方に引き抜いた後に、生コンクリートが最初の高さからどのくらい下がるかを計測する。このどのくらい下がったかの計測値が、スランプであり、単位はcmで表わされる。また、スランプは、コンクリートを練るときに加える水の量によって変化する。加える水の量が多いと、生コンクリートは軟らかくなって、スランプは大きくなり、逆に、加える水の量が少ないと、生コンクリートは硬くなって、スランプは小さくなる。スランプが大きいほど、軟らかいコンクリートということになる。
(作用・効果)
以上説明したように、本実施の形態では、底盤20が、傾斜した地盤の地表面に沿って傾斜して設けられる。このため、底盤20を設けるにあたって、地盤を深く掘削する必要がないので、掘削の手間を省くことができる。
また、本実施の形態では、地盤を深く掘削しなくても済むことから、掘削による深い穴が生じることもない。このため、足場などの仮設工事を減らすことができるので、その分、仮設工事の費用を低く抑えることができる。
また、本実施の形態では、底盤20が、傾斜した地盤の地表面に沿って傾斜して設けられ、また、立ち上り部40としての上側立ち上り部41も下側立ち上り部42も、底盤20の上面から上方へ向けて延びるように形成される。このため、上側立ち上り部41も下側立ち上り部42も、土に埋もれることはない。したがって、上側立ち上り部41の肉厚を大きくしなくても済むので、施工が楽であるとともに、施工費用を低く抑えることができる。
また、背景技術で説明した、図8に示すべた基礎では、地盤が深く掘り下げられることから、上側立ち上り部41および下側立ち上り部42の双方とも、高さが高くなるとともに、上側立ち上り部41については、外側からの土圧を考慮して肉厚を厚くしている。このため、背景技術で説明した、図8に示すべた基礎では、その分、全体の重量が増すこととなる。したがって、べた基礎であるにもかかわらず、20kN/m2よりも大きな地耐力、例えば、30kN/m2以上の地耐力が必要となる。これに対し、本実施の形態では、地盤を深く掘り下げなくても済むことから、上側立ち上り部41について、高さを高くしなくてもよく、また、土圧を考慮して肉厚を厚くしなくてもよいので、その分、全体の重量の増加を抑えることができる。したがって、地盤を掘り下げる場合と比較して小さな地耐力を前提として設計できるのである。
また、本実施の形態では、「式1」を満たすように設計されていることから、建物および傾斜地用べた基礎10の全体が傾斜の下側方向(X軸方向)へ向けて滑動しようとする力よりも、滑動を阻止する方向に働く力の方が大きくなるので、傾斜した地盤の地表面に安定して留まるのである。
そして、本実施の形態では、
「式1」:(M×cosθ×μ)+(B×D)≧(M×sinθ)
および
「式2」:(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C
を満たすように、傾斜地用べた基礎10が形成されていることから、つまり、(M×cosθ×μ)+(B×D)≧(M×sinθ)、かつ、(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C、の条件を満たすように、傾斜地用べた基礎10が形成されていることから、滑動したり傾いたりすることなく、傾斜した地盤の地表面に安定して留まるのである。
なお、底盤20の下側の辺に沿って形成される下側根入れ部34は、基礎が滑動する際に持ち上がって、受動土圧を失う可能性がある。このため、下側根入れ部34以外の根入れ部30で「式1」を満たすように設計し、施工する。そうすると、安全性がさらに高まり、より好ましい。
また、地盤の地表面の傾斜角度が15度を超える場合には、例えば、図7に示すように、地盤を掘削して、傾斜角度が15度以下の基礎面をつくる。そして、この傾斜角度が15度以下の基礎面を地表面として、この上に底盤20を設ける。そうすると、安全性がさらに高まり、より好ましい。
ここで、(M×cosθ×μ)≧(M×sinθ)を「式3」とし、
「式3」:(M×cosθ×μ)≧(M×sinθ)
および
「式2」:(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C
を満たすように、傾斜地用べた基礎10を形成する。
すなわち、「式1」に代えて「式3」を満たすように、傾斜地用べた基礎10を形成する。
そうすると、滑動を確実に防止して、安全性をより一層高めることができる。
またここで、(M÷A)≦Cを「式4」とし、
「式1」:(M×cosθ×μ)+(B×D)≧(M×sinθ)
および
「式4」:(M÷A)≦C
を満たすように、傾斜地用べた基礎10を形成する。
すなわち、「式2」に代えて「式4」を満たすように、傾斜地用べた基礎10を形成する。
そうすると、十分な安全性を保ちつつも、設計を容易にすることができる。
さらに、
「式3」:(M×cosθ×μ)≧(M×sinθ)
および
「式4」:(M÷A)≦C
を満たすように、傾斜地用べた基礎10を形成する。
すなわち、「式1」に代えて「式3」を満たすようにするとともに、「式2」に代えて「式4」を満たすように、傾斜地用べた基礎10を形成する。
そうすると、滑動を確実に防止して、安全性をより一層高めることができる上に、設計を容易にすることができる。
30 根入れ部 31 X軸方向根入れ部
32 Z軸方向根入れ部 33 上側根入れ部
34 下側根入れ部 35 中央根入れ部
36 側方根入れ部 40 立ち上り部
41 上側立ち上り部 42 下側立ち上り部
43 側方立ち上り部 50 砕石地業
55 捨てコン 60 浮かし型枠
61 足部 62 棒部
63 下桟木 64 ベニヤ
65 上桟木 66 コンクリート釘
67 雄ネジ部 68 ナット
69 貫通孔 70 鉄筋
75 コン止めバー
Claims (2)
- 傾斜した地盤の地表面に沿って傾斜して設けられる底盤と、
底盤の下面から下方へ向けて延び地盤内に埋設される根入れ部と、
底盤の上面から上方へ向けて延び建物の土台を支持する立ち上り部と、
を備えていることを特徴とする傾斜地用べた基礎。 - 地盤の傾斜角度を「θ」とし、
建物および傾斜地用べた基礎の総重量を「M」とし、
建物および傾斜地用べた基礎の重心を「G」とし、
建物および傾斜地用べた基礎の回転中心を「O」とし、
GとOとの垂直方向のずれを「H」とし、
GとOとの水平方向のずれを「L」とし、
底盤の下面の断面係数を「F」とし、
底盤の下面の総面積を「A」とし、
根入れ部における傾斜の下側を向く面の総面積を「B」とし、
地盤と底盤の下面との間の摩擦係数を「μ」とし、
地盤の地耐力を「C」とし、
傾斜地用べた基礎が滑動するときに根入れ部が地盤から受ける圧力を「D」とし、
下記の「式1」および「式2」を満たすように形成されていることを特徴とする請求項1記載の傾斜地用べた基礎。
「式1」:(M×cosθ×μ)+(B×D)≧(M×sinθ)
「式2」:(M×cosθ÷A)+((M×sinθ×H)+(M×cosθ×L))÷F≦C
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