JP4964491B2 - 血管位置検出器具 - Google Patents

血管位置検出器具 Download PDF

Info

Publication number
JP4964491B2
JP4964491B2 JP2006120667A JP2006120667A JP4964491B2 JP 4964491 B2 JP4964491 B2 JP 4964491B2 JP 2006120667 A JP2006120667 A JP 2006120667A JP 2006120667 A JP2006120667 A JP 2006120667A JP 4964491 B2 JP4964491 B2 JP 4964491B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood vessel
vessel position
position detecting
light emitting
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006120667A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007289400A (ja
Inventor
正文 森本
芳夫 早崎
勝博 片山
幸雄 小島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Boseki Co Ltd
University of Tokushima
Original Assignee
Nitto Boseki Co Ltd
University of Tokushima
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Boseki Co Ltd, University of Tokushima filed Critical Nitto Boseki Co Ltd
Priority to JP2006120667A priority Critical patent/JP4964491B2/ja
Publication of JP2007289400A publication Critical patent/JP2007289400A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4964491B2 publication Critical patent/JP4964491B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、人体内部に照射した光の散乱光を観察することにより、血管の位置を肉眼にて確認しつつ注射等を行うための血管位置検出器具に関するものである。
採血や点滴も含む人体の血管への注射は、医療現場で高頻度に行われている行為であり、通常は、指触によって血管の位置を確認した後に注射を行っている。しかし、血管の太さ、血管の強度、血管の柔軟性等は患者の体質、病状、年齢等によって異なっており、医師、看護士等の医療行為を行う医療従事者といえども、人体の血管の位置を迅速かつ正確に確認することは容易ではなかった。とりわけ、医療経験が充分でない医療従事者が注射を行う場合には、血管の位置を正確に確認し難い場合があり、注射針(中空針)を血管に正確に刺すことができず、何度も刺し直さなければならなかったり、薬液が血管外に漏れたりする等の不都合が発生する問題があった。
これらの問題に対して、人体内部に光を照射して、血管の位置を確認する方法が試みられている。例えば、特許文献1にはスコープ状の装置を用いて人体の血管を観察し、その血管の上の皮膚表面にマークを付け、装置を取り除いた後に注射を行う方法が提案されている。また、特許文献2には撮像素子を介してモニターに表示された画像を観察しながら注射を行う方法が提案されている。
特開2003−052699号公報 特開2004−237051号公報
特許文献1に記載された方法は、実際に中空針を刺す時点では、肉眼で血管を確認していないという欠点がある。特許文献2に記載された方法は、モニターで血管位置を確認するため視界と手元が一致しないという欠点があり、これらはいずれも充分に満足できる方法ではなかった。
本発明の目的は、人体の血管の位置を容易に確認できる装置であり、かつ、血管を肉眼にて確認しつつ注射を行うことのできる装置を提供することにある。
本発明の一観点によれば、被験者の皮膚に接触させて血管の位置を視認により検出するための血管位置検出器具であって、孔部を有し第1面と第2面とを有する平板形状の基板と、基板の第1面の孔部周囲に配置された複数個の発光ダイオードとを含み、発光ダイオードがダイレクトボンディングにより製造されたものである血管位置検出器具が提供される。
発光ダイオード(LED)は、消費電量が少ないため、乾電池や蓄電池を電源として使用でき、そのため血管位置検出器具の小型化、携帯化が可能となる。また、発熱量が少ないため人体に接触しても、光源自体の温度が高くならず、皮膚に接触させても被験者が熱さを感じることはなく、火傷を負わす懸念もない。いわゆる「砲弾型」発光ダイオードに比較して、ダイレクトボンディングにより製造された発光ダイオードは、薄くすることが可能である。そのため、皮膚との密着性が高くなり、皮膚表面に照射した光が、効果的に人体内部に侵入し、散乱して血管が見えやすくなる。
本発明の他の観点によれば、被験者の皮膚に接触させて血管の位置を視認により検出するための血管位置検出器具であって、孔部を有する平板形状の基板と、基板の一方の面における孔部周囲に配置された複数個の発光ダイオードとを含み、基板が、被験者の腕の形状にあわせて予め曲面に成形されている、血管位置検出器具が提供される。被験者の腕の形状にあわせて曲面に成形されているため、皮膚との密着性が高くなり、皮膚表面に照射した光が、効果的に人体内部に侵入する。
本発明における血管位置検出器具の基板中央の孔部の空間から皮膚を観察すると、可視領域の光による皮膚内部からの散乱光を背景にして血管が影となり、血管の位置を肉眼にて確認することが可能である。これにより、人体の血管の位置を容易に確認でき、血管を肉眼で確認しながら注射をすることができるので、注射針を何度も刺し直さなければならなかったり、薬液が血管外に漏れたりする等の注射を行う際に発生する不都合を低減できる。さらに、本発明における血管位置検出器具は、被験者の皮膚との密着性が大きいため、発光ダイオードの光が効率的に皮膚内部に侵入するとともに、取り扱いも容易になり、注射作業が行い易くなる。
以下、本発明を図面に基いて詳細に説明する。これらは、本発明を具体化するために例示するものであって、本発明を特定するものではない。
本発明でいう「注射を行う」という行為は、血管に中空針を穿刺して薬液を注入する行為(注射)、血管に中空針を穿刺して血液を採取する行為(採血)、血管に中空針を穿刺して長時間に渡って連続的に薬液を注入する行為(点滴)等の、血管に中空針を穿刺して行う医療行為の全てを含むものである。
また、基板から見て、発光ダイオードの設けられた方向を下方、その反対の方向を上方ということがある。
図1に本発明に係る血管位置検出器具1の一例を示す。基板2は、中央部に孔部3の形成された平板であり、皮膚に接触させる面には、孔部3の周囲に複数の発光ダイオード4が設けられている。
血管位置検出器具1の基板2の孔部3は、一部が開放されたものが好ましい。このような形状であれば、例えば点滴の際に、注射針を刺したままで、血管位置検出器具1を取り外すことが可能になる。
基板はどのような形状にすることができる。例えば、図2(a)〜(d)に示すように環状の基板を用いることもできる。この場合、円形、楕円形、多角形のいずれかの環状でもよく、さらに、環状の一部が開放されたもの、またはU字形でもよい。
図1の基板2の孔部3は、8角形の一片が開放された形状であるが、孔の形状は、円形、楕円形、多角形にでき、その形状は限定されない。孔部の内径は20〜40mmが好ましい。基板2を、被験者の注射を行うべき所定位置に接触させ、孔部3の空間を通して、血管の位置を肉眼で観察しながら注射を行う場合に、血管を視認しながら注射を行うための必要な領域広さを確保するためである。
孔部3の周囲に配置される発光ダイオード4は、ダイレクトボンディングにより製造されたものにできる。ダイレクトボンディングによる発光ダイオード4は、一般的な砲弾型の発光ダイオードに比べて、形状がより薄くなるため皮膚との密着性が高くなり、そのため照射角度も広くなるため、皮膚内部に効率よく光が侵入する。
発光ダイオード4には、レンズ効果を付加させる光学手段を具備させることができる。このような光学手段としては、例えば、各発光ダイオード4を被覆する透明樹脂の突起体20とできる。この突起体20は、発光ダイオード4から放射される光を皮膚内部に向けて屈折させる(レンズ効果)ため、皮膚表面に照射した光が効果的に人体内部に侵入して散乱する。突起体20は、半球、直方体など、レンズ効果を有するどのような形状でもよいが、例えば、図3に示す形状にすると好ましい。この形状は、直方体又は正方体のうちの、被験者の皮膚に接触する面から、対向する2辺に沿った稜線部がそれぞれ切り取られた8面体であり、切り取られた稜線部の一方が孔に向かって配置されている。このような形状にすると、発光ダイオード4からの光が孔部3の下の皮膚に、より効果的に方向付けられる。すなわち、レンズ効果がより効果的に発揮され、皮膚内部に効率よく光が侵入する。
発光ダイオード4の配置された面(基板の第1面)に、基板を被覆する透明層22を有することが好ましい。透明層22は透明樹脂層であることが好ましい。とりわけ、耐アルコール性の樹脂が好ましい。この透明層22によって発光ダイオードが保護されることにより、医療現場で、腕等の血管位置を検出しようとする場所を、アルコールで洗浄することができる。また、発光ダイオード4および基板2の下面は、人体に接触するため、血液等の汚染物が付着しやすいが、このような透明有機樹脂で被覆することにより、基板2および発光ダイオード4をこれらの汚染から保護することが可能になる。このように被覆すれば、有機樹脂に汚染物が付着しても、容易に除去することができる。
発光ダイオードの配置されていない面(基板の第2面)に、有色または着色された層24を有することが好ましい。とりわけ、有色または着色された層24は、有色または着色された樹脂層であることが好ましい。この樹脂層24により、光が上に漏れず、位置検出しようとする血管に光の指向が集中しやすくなる。すなわち、遮光効果がある。着色の色は、遮光効果のある色であれば限定されないが、黒色が最も好ましい。着色の場合は、第2面の全面を着色することもでき、または発光ダイオードの配置された周辺部分だけが着色されていてもよい。
基板の第1面を被覆する透明樹脂層22、および基板の第2面を被覆する有色または着色された樹脂層24は、同じ材料でできていてもよく、異なる材料でできていてもよい。材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ウレタン、シリコン等が可能であるが、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が、成型の容易性から好ましい。
また、基板の第1面を透明な樹脂層22で被覆し、基板の第2面を有色または着色された樹脂層24で被覆し、基板2の縁部近傍で透明な樹脂層22と有色または着色された樹脂層24とが接着された構成とすることもできる。このような構成の血管位置検出器具1を製造する場合、透明樹脂層22と発光ダイオード4を有する基板2とを接触するように、透明樹脂層22と基板2とを重ねて2層にし、その基板2の上に、有色または着色した樹脂層24を、熱を加えた状態で成型させながら、基板2周辺の有色または着色樹脂と透明樹脂とを溶融状態にさせて接着させて溶着部26を製作することが好ましい。そのため、着色樹脂24と透明樹脂22とは、両方とも同じ材質、好ましくはポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
レンズ効果を有する突起体20と、基板の第1面を被覆する透明層22とは、どちらも基板2に配置することができるが、その場合には、突起体20は透明層22の上に設けられてもよく(図4(a))、あるいは突起体20の上に透明層22が被覆されてもよい(図4(b))。このように、発光ダイオード4と突起体20とは、離れていてもよく、それらの間に透明層22の一部があってもよい。あるいは、図4(c)のように、透明樹脂層自体を、突起体を有する形状に形成して、レンズ効果を持たせることも可能である。その場合、被覆時に突起体を形成することもよく、または予め突起体を形成した透明層を基板に被覆してもよく、その他どのような形成方法も可能である。
血管位置検出器具1は、人体に固定できるようになっていることが好ましい。そのためには、基板2を、人体の所定位置に固定するためのバンドの形状にしてもよく、また血管位置検出器具1に人体の所定位置に密着させる取付手段28を更に設けてもよい。取付手段28は、人体の所定位置に固定するためのバンド、または、基板2の発光ダイオード4側の面に接着された粘着シートであってもよい。また、取付手段28に、ファスナーを備えた伸縮可能なバンドでもよく、さらに、固定の際にバンドを強く引きすぎると血管位置検出装置に負担がかかり破損するおそれがあるため、バンド14の一部に張力緩和機構を設けてもよい。また、取付手段28は、円弧状の腕輪であって、弾力によって変形させて腕にはめるものでも良い。取付手段28により、血管位置検出器具1は被験者の腕に固定されるので、観察者は、片手で基板を保持する必要がなく、両手を用いて注射を行うことができる。なお、取付手段の回りに、アルコールや血液等の汚れを防ぐカバーを設けることもできる。
孔部3の孔は、最大幅が20〜40mmであることが好ましく、発光ダイオード4の数は、10〜60個が好ましく、15〜45個が更に好ましい。血管を視認しながら注射を行うためには、皮膚の内部の照明領域を効率良く照らさなければならないため、上記光源数が必要である。
発光ダイオード4は、ピーク波長が400〜800nm(可視領域)、とりわけ550〜800nm(黄色光から赤色光)、最適には580〜620nmにある単色光源が好ましい。発光ダイオード4は、ピーク波長の異なる2種類以上の単色光源を有していてもよい。血管のコントラストが明確に視認されるからである。その場合には、血管位置検出器具1が、発光ダイオード4を切り替えるスイッチをさらに備え、それにより、いずれか1種類の単色光源を点灯する場合と、2種類以上の単色光源を任意に組み合わせて点灯する場合とが選択可能になっていることが好ましい。皮膚の色や質などの個人差にも幅広く対応できる。このような構成の場合に、多くの発光ダイオード4を配置するため、図5に示すように、1ヶ所の樹脂の内部にピーク波長の異なるLED素子(4A、4B)を複数種類封入したものを用いてもよい。
スイッチは、制御部21に配置することができる。制御部21は、図1のように基板2に隣接して配置することもできるが、基板とは分離して設けることもできる。
発光ダイオード4は、250〜800ミリカンデラ(mcd)の輝度を有する光を発光するものが好ましい。発光ダイオード4に使用する電流は、少なければ充分な輝度が得られず、多すぎれば発熱が強まり被験者に不快感を与えるため、輝度と発熱の兼ね合いを考慮すると、電流値は14〜18mAが適している。さらに、発光ダイオード4は、皮膚表面に照射した光が、効率的に人体内部に侵入し散乱することが望ましいため、60度〜180度の指向特性を有することが好ましい。光源の光量が不充分な場合は光源から離れた部分が暗くなり血管の位置が不明確になるので、発光ダイオード4の配置を基板の形状に合わせて一重に配置するだけではなく、二重あるいは三重に配置して、視野内の光量を確保することもできる。このようにすると、孔部3の空間から見える皮膚は、散乱光によって明るくなり、明確に血管の位置を確認できる。
さらに、血管位置検出器具1には、発光ダイオード4の輝度を調整する制御回路を有することが好ましい。制御回路は、制御部21に設けることができる。制御回路を設けることにより、適宜、発光ダイオード4の輝度を増減させることが可能になる。制御回路による制御は、電流量を変化させるものでも、配置された複数個の発光ダイオード4のうち点灯する個数を変化させるものでもよい。
血管位置検出器具1を被験者の皮膚に密着させるためには、基板2が、人体の所定の取り付け位置、例えば被験者の腕の形状に適合させて予め曲面に成型されていることが好ましい。血管位置検出器具1を使用する状況としては、肘から前腕部5にかけての腕を曲げたときに内側になる側の静脈への注射や点滴が最も多い。このような部位で、血管位置検出器具1を皮膚に密着させるには、使用する部位の局面形状を考慮する必要がある。使用される腕の形状にあわせて基板を予め曲面に成形しておくことにより、密着性を高めることができる。
基板2は、絶縁性を有する有機樹脂、例えばポリイミド樹脂が好ましい。被験者の皮膚への密着性向上のためには、基板は薄いことが好ましく、とりわけ、基板2の厚さが0.1〜2mmであることが好ましい。
本発明による血管位置検出器具1は、血管位置検出器具1を皮膚に押し当てると発光ダイオード4が点灯するようになっている接触スイッチを備えることができる。注射などを行うのに適した箇所を探すには、血管位置検出器具の位置と方向を変えながら皮膚の表面を移動させる必要がある。その際に発光ダイオード4が点灯したままでは、皮膚表面からの反射光のため目が眩み、観察者の識別能力が低下する。また、血管位置検出器具1を動かすたびに手動でスイッチを切り替えていては能率が悪くなる。そこで、接触スイッチを設け、基板2が皮膚に押し付けられると発光ダイオード4が点灯して、皮膚から離れると光が消えるようにできる。接触スイッチは、基板の皮膚との接触面側に設けることが好ましい。
血管位置検出器具の使用に際しては、人体の任意の部位に固定するために、片手で把持可能であることが好ましく、そのため、血管位置検出器具の幅が100mm以下であることが好ましい。
発光ダイオード4は、孔部3の周囲に概ね等間隔で配置されていることが好ましい。理由は以下の通りである。
発光ダイオード4を配置するにあたっては、発光ダイオード4の列の一部が血管を横切るように配置することが好ましい。仮に、発光ダイオード4が直線状に並べると、発光ダイオード4の直下は明るいが、離れるほど暗くなる。図6(a)に示すように、発光ダイオード4の列が血管6と平行になると、光の弱い部分に血管が隠れるようになり、視認し難い状況が起こり得る。他方、図6(b)に示すように、発光ダイオード4の列の一部が血管6を横切るように配置すれば、少なくとも発光ダイオード4の直下の部分で血管6の識別が可能になる。(実際には発光ダイオード4は皮膚と接触する面に設置されるが、図6では発光ダイオード4の位置を示すために図示している。)
発光ダイオード4が基板2の孔部3の周囲に沿って概ね等間隔に配置されると、血管位置検出器具1がどのような向きで置かれても、血管が発光ダイオード4の列を横切るようになり、血管位置の検出が確実に行うことができる。
基板2の材質は、血管位置検出器具1の薄さと強度とを同時に満足させる必要がある。しかし、可撓性を得るため等のために基板を十分に薄くする場合には、基板2のみでは強度が十分でない場合もある。そのため、血管位置検出器具1は、基板2を補強するための補強板を更に有することができる。補強板としては、ステンレス鋼板等の可撓性の金属板が好ましい。
図7に、皮膚に接触した発光ダイオード4からの光の進行の一例を示す。光が皮膚に垂直に近い角度で当たると、皮膚表面での反射は少なく、皮膚内部へ進行する割合が大きいが、光と皮膚の角度が浅くなると、皮膚表面で反射される割合が大きくなる。発光ダイオード4から照射された光が皮膚11の表面で反射すると、反射光の強度が大きいため、視野が明るくなりすぎて、皮膚内部からの散乱光に含まれる血管の位置情報が識別できないという問題が発生する。
これを防ぐため、図8に示すように、発光ダイオード4の上方及び側方に、皮膚表面からの反射光を遮断するための遮光壁9を設けることができる。これによって、皮膚表面からの反射光は、遮光壁9により閉じ込められ、観察者の目に届くことがなく、観察者は主に皮膚内部からの散乱光を観察できるので、正確な血管の位置の確認が可能になる。
遮光壁は、反射光が、遮光壁9と皮膚で囲まれた発光ダイオード4を含む空間から漏れないようにできれば、どのように配置してもよい。
このような遮光壁9の材質は、発光ダイオード4から照射される光の漏れを確実に防ぐことが求められるため、皮膚と隙間無く密着するように、弾力性を有するものが望ましい。使用される材質としては、シリコーンゴムやポリウレタンゴムが例示される。
皮膚表面からの反射光を軽減するためには、図9に示すように、発光ダイオード4が皮膚11を窪ませるように、血管位置検出器具を強く皮膚に押しつけて密着させることもできる。発光ダイオード4と皮膚との間の空気の層をなくすことで、皮膚の表面での反射を減らし、光が効率よく皮膚内部に照射され、コントラストが良くなり、血管の識別が容易になる。
発光ダイオード4の形状や材質によっては、例えば砲弾型の場合には、強く押しつけすぎると被験者に不快感を与えるので、図10に示すように、前記の遮光壁9と併用することも有効である。図10に示す例では、遮光壁9の下端と、発光ダイオード4の下端を同じ水準の位置にすることにより、皮膚に押し付けられて、遮光壁9がその弾性のために撓む分だけ、発光ダイオード4が皮膚に押し入ることができる。発光ダイオード4が皮膚を窪ませるべき深さは、遮光壁の下端の位置と弾性力によって決定することができる。
外部への光の漏れを少なくするためには、血管位置検出器具1が皮膚と密着するように、装置自体が薄くなければならない。他方、注射を行う際には、中空針を抜くときに血管に指を添えて止血するのが通常であるが、血管位置検出器具1が厚すぎるとこの作業が行いにくくなる。これらを考慮すると、血管位置検出器具1の厚さは0.5〜5mmであることが好ましい。また、透明層22、または有色又は着色層24を有する場合は、透明層22は、2〜3mm、有色又は着色層24は、約3mmが好ましい。
血管位置検出器具の少なくとも皮膚に接する表面を、使い捨て可能な保護シートで覆うことにより、血液や薬液が血管位置検出器具1に付着することを防ぎ、衛生面での安全性を高めることができる。保護シートは、使用する度に着脱するものでも、多層の薄膜からなり順次外部の層から剥離させるものでもよい。この保護シートの素材は、一般に使い捨ての滅菌手袋などに使用される素材が使用可能である。
血管位置検出器具1は、皮膚内部で散乱した光による照明領域内で、血液が光を吸収するために血管が影となって見える現象を利用しているので、外部の照明光によって視野が明るい場合には、血管の識別が難しくなる。そのため、血管位置検出器具1の上部にカバー13を設けることができ、観察時に外部からの光を遮断することにより、コントラストが良くなり、血管の識別が容易になる。血管の位置を見つけるまではコントラストの影響が大きいが、ひとたび血管の位置を認識すると、周囲の明るさが多少変化しても見失わないので、カバー13は、折りたたみ、開閉、及び/又は着脱が可能なものとすることができる。
カバー13の形状は、例えば前腕部に使用する場合には、腕の先端方向は開放されており、注射などの処置を行うために必要な視野と手元を妨げないものとできる。具体的な形状として、蛇腹のような折りたたみ可能なもの(図11(a)および(b))や、蓋が枢動して開閉可能になっているもの(図12(a)〜(c))が例示される。
以上のような本発明に係る血管位置検出器具は、これを人体の所定部位、例えば図13に示すように、肘関節を含む前腕部5に固定し、基板中央の孔部3から観察すると、可視領域の光による散乱光を背景にして血管6が影となり、血管の位置を肉眼にて確認することが可能である。
図13は、環状の一部が開放された基板形状を有する血管位置検出器具を用いて、点滴のような輸液管8の接続された中空針7を被験者の腕に注射している様子を示す。基板の皮膚に接する面に設けられた発光ダイオード4からの光により、孔部3の空間に血管6が明確に見えている。中空針7を血管に確実に穿刺できる。基板の一部が開放されているため、血管6に輸液管8の接続された中空針7を穿刺し固定したまま、血管位置検出器具1を取り外すことが可能である。
図14に発光ダイオード4によって照明される領域を示す。本発明は、皮膚内部で散乱した光による照明領域10内で、血液が光を吸収するために血管が影となって見える現象を利用している。皮膚11の内部の照明領域10が効率良く照らされるので、血管を視認しながら注射を行うことができる。
このように、本発明に係る血管位置検出器具を使用すると、血管の位置を容易に確認でき、かつ、血管を視認しながら注射を行うことができるため、医療行為の熟練者のみならず非熟練者であっても、血管の位置が正確に把握できないがために何度も刺し直したり、薬液が血管外に漏れたりする等の注射を行う際の不都合を低減することができる。
以上に説明した本発明の特徴は、様々な応用例に適用するために、最適な形態に変形し、組み合わせることが可能である。本明細書には明示的には示していなくても、当業者であれば、そのような変形または組み合わせが黙示的に示されていることは理解できよう。
本発明に係る血管位置検出器具の一具体例を示す概略図。(a)は発光ダイオードの配置されていない側から見た概略図であり、(b)は発光ダイオードの配置された側から見た概略図である。 本発明に係る血管位置検出器具の他の具体例を示す概略図。 突起体の形状の一例を示す概略図。 突起体と透明樹脂の配置を示す概略断面図。(a)は透明層の上に突起体が設けられた例を示し、(b)は突起体の上に透明層が被覆された例を示し、(c)は透明層自体に突起体を形成した例を示す。 1つの光源にピーク波長の異なるLED素子を複数種類封入した例を示す概略図。 光源の列と血管の関係を示す平面図。(a)は光源の列と血管が平行になる位置関係を示し、(b)は血管が光源の列を横切る位置関係を示す。 皮膚表面からの反射光を示す断面図。 遮光壁を設けた場合の皮膚表面からの反射光を示す断面図。 光源を密着させた場合の皮膚表面からの反射光を示す断面図。 遮光壁を設け、かつ、光源を密着させた場合の皮膚表面からの反射光を示す断面図。 外部からの光を遮断する折りたたみ可能なカバーを示す斜視図。(a)は折りたたんだ状態、(b)は広げた状態を示す。 外部からの光を遮断する開閉可能なカバーの閉じた状態を示す斜視図。(a)は閉じた状態、(b)は半開させた状態、(c)はほぼ完全にあけた状態を示す。 血管位置検出器具を点滴に使用する概略図。 光源によって照明される領域を示す断面図。
符号の説明
1 血管位置検出器具
2 基板
3 孔部
4 発光ダイオード
5 前腕部
6 血管
7 中空針
8 輸液管
9 遮光壁
10 照明領域
11 皮膚
13 カバー
20 突起体
21 制御部
22 透明層
24 有色または着色層
26 溶着部
28 取付手段

Claims (38)

  1. 被験者の皮膚に接触させて血管の位置を視認により検出するための血管位置検出器具において、該血管位置検出器具が、
    孔部を有し、第1面と第2面とを有する平板形状の基板と、
    基板の第1面の孔部周囲に配置された複数個の発光ダイオードとを含み、
    前記発光ダイオードがダイレクトボンディングにより製造されたものであり、
    前記血管位置検出器具は、被験者の皮膚に接触させて、前記孔部を通して血管の位置を肉眼で観察しながら注射を行うことができるようになっていることを特徴とする血管位置検出器具。
  2. 前記発光ダイオードにレンズ効果を付加させる光学手段を有することを特徴とする請求項1に記載された血管位置検出器具。
  3. 前記光学手段が、各発光ダイオードを被覆する透明樹脂の突起体であることを特徴とする請求項2に記載された血管位置検出器。
  4. 前記突起体の形状が、直方体又は正方体の被験者の皮膚に接触する面から、対向する2辺に沿った稜線部がそれぞれ切り取られた8面体であることを特徴とする請求項3に記載された血管位置検出器。
  5. 前記基板の第1面に、前記基板を被覆する透明層を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  6. 前記透明層が透明樹脂層であることを特徴とする請求項5に記載された血管位置検出器具。
  7. 前記基板の第2面に、有色または着色された層を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  8. 前記有色または着色された層が、有色または着色された樹脂層である請求項7に記載された血管位置検出器具。
  9. 前記基板の第1面に、前記基板を覆う透明な樹脂層を有し、
    前記基板の第2面に、有色または着色された樹脂層を有し、
    前記基板の縁部近傍で、前記透明な樹脂層と前記有色または着色された樹脂層とが接着されている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  10. 前記基板が、被験者の腕の形状にあわせて予め曲面に成形されている、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  11. 前記基板の孔部が、開放されたものである請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  12. 前記基板を人体の所定位置に密着させる取付手段を更に有する請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  13. 前記取付手段が、人体の所定位置に固定するためのバンドである請求項12に記載された血管位置検出器具。
  14. 前記取付手段が、基板の光源側の面に接着された粘着シートである請求項12に記載された血管位置検出器具。
  15. 前記孔部の孔の最大幅が20〜40mmである請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  16. 前記発光ダイオードの数が、10〜60個である請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  17. 前記発光ダイオードの数が、15〜45個である請求項16に記載された血管位置検出器具。
  18. 前記発光ダイオードが、前記孔部の周囲に概ね等間隔で配置されている請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  19. 前記発光ダイオードが、ピーク波長が400〜800nmにある単色光源である請求項1から請求項18までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  20. 前記発光ダイオードが、ピーク波長が550〜800nmにある単色光源である請求項19に記載された血管位置検出器具。
  21. 前記発光ダイオードが、ピーク波長が580〜620nmにある単色光源である請求項20に記載された血管位置検出器具。
  22. 前記発光ダイオードが、ピーク波長の異なる2種類以上の単色前記発光ダイオードを有する請求項19から請求項21までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  23. 前記血管位置検出器具が、光源を切り替えるスイッチをさらに備え、それにより、いずれか1種類の単色発光ダイオードを点灯する場合と、2種類以上の単色発光ダイオードを任意に組み合わせて点灯する場合とが選択可能になっている請求項22に記載された血管位置検出器具。
  24. 前記発光ダイオードが、250〜800ミリカンデラの輝度を有する光を発光する請求項1から請求項23までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  25. 前記発光ダイオードが、60度〜180度の指向特性を有する請求項1から請求項24までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  26. 前記発光ダイオードの輝度を調整する制御回路をさらに含む請求項1から請求項25までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  27. 血管位置検出器具が、更に遮光壁を具備し、それにより、皮膚表面で反射された光源光が遮蔽されるようになっている請求項1から請求項26までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  28. 前記遮光壁が、各光源の上方及び側方周囲に設けられている請求項27に記載された血管位置検出器具。
  29. 前記基板が、絶縁性を有する有機樹脂により構成されている請求項1から請求項28までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  30. 前記基板の厚さが0.1〜2mmである請求項1から請求項29までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  31. 血管位置検出器具の少なくとも皮膚に接触する表面が、使い捨て可能な保護シートで覆われている請求項1から請求項30までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  32. 血管位置検出器具を皮膚に押し当てると前記光源を点灯させるようになっている接触スイッチを備える請求項1から請求項31までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  33. 外からの光を遮断するカバーを備える請求項1から請求項32までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  34. 前記カバーが、折りたたみ可能である請求項33に記載された血管位置検出器具。
  35. 前記カバーが、開閉可能である請求項33に記載された血管位置検出器具。
  36. 前記カバーが、着脱可能である請求項33から請求項35までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  37. 前記血管位置検出器具の幅が100mm以下であり、それにより片手で把持可能になっている請求項1から請求項36までのいずれか1項に記載された血管位置検出器具。
  38. 被験者の皮膚に接触させて血管の位置を視認により検出するための血管位置検出器具において、該血管位置検出器具が、
    孔部を有する平板形状の基板と、
    基板の一方の面における孔部周囲に配置された複数個の発光ダイオードとを含み、
    前記基板が、被験者の腕の形状にあわせて予め曲面に成形されている、血管位置検出器具。
JP2006120667A 2006-04-25 2006-04-25 血管位置検出器具 Expired - Fee Related JP4964491B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006120667A JP4964491B2 (ja) 2006-04-25 2006-04-25 血管位置検出器具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006120667A JP4964491B2 (ja) 2006-04-25 2006-04-25 血管位置検出器具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007289400A JP2007289400A (ja) 2007-11-08
JP4964491B2 true JP4964491B2 (ja) 2012-06-27

Family

ID=38760616

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006120667A Expired - Fee Related JP4964491B2 (ja) 2006-04-25 2006-04-25 血管位置検出器具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4964491B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2177721C2 (ru) * 1995-12-27 2002-01-10 Сисмекс Корпорэйшн Атравматичный анализатор крови
JP2006102110A (ja) * 2004-10-05 2006-04-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd 血管位置提示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007289400A (ja) 2007-11-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4648329B2 (ja) 血管位置検出装置
US10987100B2 (en) Systems and methods for increased operating room efficiency
US20140155753A1 (en) Disposable light source for enhanced visualization of subcutaneous structures
JP2017515630A (ja) 増大された手術室効率のためのシステムおよび方法
JP2017515630A5 (ja)
JP2009225863A (ja) 剥離シート付き両面粘着シート
JP2016096955A (ja) 生体情報測定機器
US20210353807A1 (en) Ultraviolet ray irradiation device and ultraviolet ray blocking unit
JP4964491B2 (ja) 血管位置検出器具
KR102116363B1 (ko) 초음파 시술 탐색자용 접착형 멸균 커버
JP2023184755A (ja) 針注射を容易にするための装置
KR101506707B1 (ko) 투과조명을 이용한 혈관 탐색장치
JP3144999U (ja) ベルト式採血用透光照明器
JP2011206407A (ja) 剥離紙付き粘着シートおよびシートキット
KR200484320Y1 (ko) 혈관탐색장치
WO2023153319A1 (ja) 血管可視化装置、血管穿刺システム及び血管可視化システム
KR102518020B1 (ko) 초음파 탐색자용 점착 멸균 커버
CA2994034A1 (en) Disposable eye patch/shield
KR101730442B1 (ko) 혈관 탐색 장치
JP2010063707A (ja) シート構造体
CN110022757A (zh) 光学成像设备及光学成像设备盖
KR101265281B1 (ko) 외과 수술용 프로텍터
WO2020043393A1 (en) Light blocking structure and method of blocking ambient light
JP2018114020A (ja) 生体情報測定プローブ
JPH1043297A (ja) 注射器針の保護カバー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110802

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120323

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4964491

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150406

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees