JP4963344B2 - 液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルムの製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルム、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルムの製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルム、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4963344B2
JP4963344B2 JP2004265154A JP2004265154A JP4963344B2 JP 4963344 B2 JP4963344 B2 JP 4963344B2 JP 2004265154 A JP2004265154 A JP 2004265154A JP 2004265154 A JP2004265154 A JP 2004265154A JP 4963344 B2 JP4963344 B2 JP 4963344B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
soluble polymer
water
polymer solution
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004265154A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006077196A (ja
Inventor
和典 二村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2004265154A priority Critical patent/JP4963344B2/ja
Publication of JP2006077196A publication Critical patent/JP2006077196A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4963344B2 publication Critical patent/JP4963344B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)

Description

本発明は、液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法に関する。また本発明は、前記製造方法により得られた液晶分散型水溶性高分子溶液を用いた液晶分散型水溶性高分子複合フィルムの製造方法に関する。前記製造方法により得られた液晶分散型水溶性高分子複合フィルムは偏光子として有用である。前記偏光子は、偏光板、光学フィルムに利用でき、さらにこれらは液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、PDP等の画像表示装置に好適に用いられる。
時計、携帯電話、PDA、ノートパソコン、パソコン用モニタ、DVDプレイヤー、TVなどでは液晶表示装置が急速に市場展開している。液晶表示装置は、液晶のスイッチングによる偏光状態変化を可視化させたものであり、その表示原理から偏光子が用いられている。特に、TV等の用途にはますます高輝度かつ高コントラストな表示が求められ、偏光子にも、より明るく(高透過率)、より高コントラスト(高偏光度)のものが開発され導入されている。
前記偏光子として、本出願人は、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子中に液晶性複屈折材料を微小領域として分散させた溶液をフィルム化した高分子複合フィルムを、さらにヨウ素染色したものを提案した。当該液晶性複屈折材料を微小領域として分散含有する高分子複合フィルムは、延伸すると、液晶性複屈折材料により形成された微小領域も延伸され楕円体としてフィルム中に存在する。かかる偏光子の吸収軸方向の直線偏光が入射されると散乱が起こる。散乱により光路長が増大することにより、吸収軸方向の光がヨウ素に吸収される確率が増し、高偏光度、高透過率となる(特願2003−329744号)。
前記高分子複合フィルムの製膜溶液は、例えば、大きな撹拌容器内において、水溶性高分子と液晶性複屈折材料を含有する混合溶液をワンバッチで調製していた。そして、前記混合溶液を撹拌機により高剪断撹拌し、液晶性複屈折材料が微小領域として小径化し分散した溶液を得ていた。
しかし、大容量の撹拌溶液を高剪断で撹拌させるためには、装置の制約があること、均一分散溶液を調製するまでに時間がかかること、大容量の溶液全体を高温に保たなければならないこと、エネルギーコストが大きいこと等の課題点がある。
また撹拌所要動力が不足すると微小領域が小径化されなくなるといった課題がある。高分子複合フィルム中に、粒径の大きな(数十μm)微小領域がある場合には、延伸した際に微小領域内で液晶性複屈折材料が配向不良した状態で存在し、偏光解消を起すおそれがある。偏光解消が起こると、異方性散乱の効果が発揮されないばかりか、偏光子そのものの特性を悪化する原因となる。そのため、粒径の大きな(数十μm)微小領域を無くすことが望まれる。
高分子水溶液中に粒子を分散させる方法としては、分散温度、分散翼の最大周速を制御する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法を前記高分子複合フィルムの製膜溶液の調製に適用しても、粒径の大きな(数十μm)微小領域を無くすことは困難である。
特開平9−241386号公報
本発明は、液晶性複屈折材料を含有する微小領域が、水溶性高分子溶液中に小粒径で分散している液晶分散型水溶性高分子溶液を比較的簡易な方法により製造する方法を提供することを目的とする。
また本発明は、前記製造方法により得られた液晶分散型水溶性高分子溶液を用いた液晶分散型水溶性高分子複合フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は前記製造方法により得られた液晶分散型水溶性高分子複合フィルムを提供すること、当該フィルムを用いた偏光子を提供すること、当該前記偏光子を用いた偏光板や光学フィルムを提供することを目的とする。さらには当該偏光子、偏光板、光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す製造方法により前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、液晶性複屈折材料により形成された微小領域が、所定濃度で水溶性高分子溶液中に分散している偏光子用液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法であって、
液晶性複屈折材料と透光性水溶性樹脂を溶媒に溶解した水溶性高分子溶液とを、液晶性複屈折材料が前記所定濃度よりも高濃度になるように、かつ、水溶性高分子溶液中の透光性水溶性樹脂100重量部に対して、液晶性複屈折材料の使用量が50重量部以下の範囲になるように調整した混合溶液を調製する工程(1)、
前記水溶性高分子溶液中に、前記液晶性複屈折材料が、最大粒径6μm以下の微小領域で分散するように、前記混合溶液を高剪断撹拌する工程(2)、
前記微小領域が分散した水溶性高分子溶液と、透光性水溶性樹脂を溶媒に溶解した水溶性高分子溶液を混合して、前記微小領域が、前記所定濃度になるように希釈化する工程(3)、および
前記希釈化した水溶性高分子溶液中の微小領域を均一に分散撹拌する工程(4)を含むことを特徴とする偏光子用液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法、に関する。

本発明の製造方法では、まず工程(1)において、最終的に目的とする、液晶性複屈折材料により形成される微小領域の濃度(工程(3)で希釈した後の溶液における微小領域の濃度)よりも高濃度で混合溶液に液晶性複屈折材料等の微小領域の形成材料を添加した混合溶液を調製する。次いで、前記混合溶液に対して、小径化した微小領域が分散するように高剪断撹拌工程(2)を施す。高剪断撹拌工程(2)では、撹拌可能な容量で撹拌する。また工程(2)で得られた、微小領域が分散した水溶性高分子溶液は、希釈化工程(3)を施した後に、再度、前記微小領域を均一に分散撹拌する工程(4)を施す。
このように本発明の製造方法では、微小領域を小径化させる高剪断撹拌工程(2)と、その後に工程(3)で希釈化した微小領域が分散した水溶性高分子溶液の均一撹拌工程(4)の操作を分離した。高剪断撹拌工程(2)と均一撹拌工程(4)の操作を分けることで、大容量のワンバッチで撹拌するよりも精度良く、微小領域を小径化して分散させることができ、かつ短時間で液晶分散型水溶性高分子溶液を調製できる。また微小領域の粒径を緻密に制御することができ、特殊な大型装置を使用しなくても汎用の装置により簡便に操作を行うことできる。また本発明の製造方法では、液晶分散型水溶性高分子溶液の製造にあたり、溶液全体を液晶温度以上に加熱する必要が無いので、エネルギー的にも有利であり、かつ昇温にかかる時間も短縮される。
また従来の大容量のワンバッチにおける高剪断撹拌では、得られる液晶分散型水溶性高分子溶液に気泡が混入しやすい。塗工溶液に気泡が混在している状態で塗工を行うと、乾燥後のフィルム表面に気泡が発生してしまい、目的とする用途として使用できない欠点となる。脱泡方法としては、加圧減圧を繰り返す脱泡方法、インラインでの脱泡機、自然放置等が挙げられるが、溶液の容量が多いと、完全に脱泡されるまでの時間や手間を要する。特に、大容量で調製した溶液について、製膜後に支障が無いレベルまで脱泡させるのに時間がかかるが、本発明の製造方法では脱泡に関しても短時間で行うことができる。
液晶分散型水溶性高分子複合フィルムにおいて、液晶性複屈折材料により形成される微小領域の粒径が数十μmになると、液晶性複屈折材料が配向不良となる。上記製造方法では、高剪断撹拌工程(2)において、微小領域が最大粒径6μm以下の小径化になるように精度よく分散させている。微小領域の最大粒径は6μm以下であり、さらには4μm以下、さらには3μm以下であるのが好ましい。微小領域の平均粒径は、0.5〜4μm程度、さらには1〜2μmであるのが好ましい。また、微小領域の粒度分布は均一であるのが好ましく、分散が2以下、さらには0.5以下であるのが好ましい。微小領域の粒径(最大粒径、平均粒径、分散)は、実施例に記載の偏光顕微鏡写真の画像解析により算出される。
前記液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法において、前記混合溶液を高剪断撹拌する工程(2)を別々に複数回行って、それぞれに粒径が異なる微小領域が分散した水溶性高分子溶液を調製することができる。複数の高剪断撹拌工程(2)において調製された、それぞれに粒径が異なる微小領域が分散した水溶性高分子溶液は、希釈化工程(3)において、またはその前に混合してから均一撹拌工程(4)を施すことにより、粒径の異なる微小領域が均一分散された液晶分散型水溶性高分子溶液を得ることができる。微小領域はそれぞれに粒径が異なるものであるが、いずれも最大粒径6μm以下になるように制御される。
また、高剪断撹拌工程(2)とは別に、最大粒径が6μmを超えるように制御した微小領域が分散した水溶性高分子溶液を調製しておき、これを高剪断撹拌工程(2)で得られた最大粒径が6μm以下の微小領域が分散した水溶性高分子溶液と前記同様の方法で混合して、粒径の異なる微小領域が均一分散された液晶分散型水溶性高分子溶液を得ることができる。かかる方法によれば、例えば、粒径が1μm程度の微小領域と粒径が10μm程度の微小領域が分散した液晶分散型水溶性高分子溶液を得ることができる。
前記液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法において、液晶性複屈折材料は少なくとも2種用いることができる。これにより、液晶種の異なる微小領域が均一分散された液晶分散型水溶性高分子溶液を得ることができる。また、液晶性複屈折材料を少なくとも2種用い、かつそれぞれの混合溶液について高剪断撹拌工程(2)を別々に行って、それぞれに粒径と液晶種が異なる微小領域が分散した水溶性高分子溶液を調製することができる。異なる液晶性複屈折材料は、液晶温度範囲などの物性値が異なるため、同一条件の高剪断撹拌で分散させることができない場合もある。このような場合には、それぞれの高剪断撹拌条件で、液晶種が異なる微小領域が分散した水溶性高分子溶液を調製することができる。
また本発明は、前記製造方法により得られた液晶分散型水溶性高分子溶液を、フィルム化する工程を有することを特徴とする液晶分散型水溶性高分子複合フィルムの製造方法、に関する。また本発明は、前記製造方法で得られた液晶分散型水溶性高分子複合フィルム、に関する。
また本発明は前記液晶分散型水溶性高分子複合フィルムからなることを特徴とする偏光子、に関する。
また本発明は、前記偏光子の少なくとも片面に、透明保護層を設けた偏光板、に関する。
また本発明は、前記偏光子、前記偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム、に関する。
さらに本発明は、前記偏光子、前記偏光板または前記光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置、に関する。
本発明は、液晶性複屈折材料により形成された微小領域が、所定濃度で水溶性高分子溶液中に分散している液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法であり、下記工程(1)乃至(4)を有する。
(工程(1))
まず工程(1)で、液晶性複屈折材料と水溶性高分子溶液とを、液晶性複屈折材料が前記所定濃度よりも高濃度になるように調整した混合溶液を調製する。
水溶性高分子溶液は、透光性水溶性樹脂を溶媒に溶解したものである。透光性水溶性樹脂としては、可視光領域において透光性を有するものを特に制限なく使用できる。たとえば、ポリビニルアルコールまたはその誘導体があげられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものがあげられる。さらには、スルホン基、アミノ基、チオール基、燐酸基等の官能基を有するものがあげられる。
ポリビニルアルコールの重合度やケン化度はフィルム強度、偏光性能、耐久性の点から適宜に選択される。重合度は500〜10000程度が好ましく、さらには1200〜5000が好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は50〜100モル%が好ましく、90モル%以上、さらに95モル%以上がより好ましい。
またポリビニルアルコール以外の透光性水溶性樹脂としては、例えばポリビニルピロリドン系樹脂、アミロース系樹脂等があげられる。前記透光性水溶性樹脂は、成形歪み等による配向複屈折を生じにくい等方性を有するものでもよく、配向複屈折を生じやすい異方性を有するものでもよい。
水溶性高分子溶液は、前記透光性水溶性樹脂を水または水と均一混合できる溶媒に常法により溶解することにより調製する。水以外の溶媒としては、水と均一混合できるものを用いることができる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、アミルアルコール、オクタノール、エチレングリコール、アルキルセロソルブ等のアルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の極性溶媒があげられる。アルコール系溶媒は、脱泡を促進するために用いることができる。なお、水溶性高分子溶液の調製時の撹拌は高剪断撹拌の必要は無く、汎用装置による撹拌で十分行うことができる。
水溶性高分子溶液の濃度は特に制限されないが、7重量%以上が好ましい。低濃度であると、溶液粘度が低くなり製膜する上で好ましくない。前記溶液濃度は、7〜30重量%、さらには12〜20重量%であるのが好ましい。なお、最終目的が溶液の調製であり、製膜にあたっては濃度調整を別途行うのであれば、7重量%未満の低濃度の溶液でもよい。また、製膜にあたり塗工方法を制御することにより、7重量%未満の低濃度の溶液を用いることができる。
水溶性高分子溶液は、各種添加剤を含有することができる。例えば、一般的にポリビニルアルコールフィルム用の溶液には可塑剤、界面活性剤、消泡剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、ポリオールおよびその縮合物等があげられ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられる。可塑剤の使用量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系フィルム中20重量%以下とするのが好適である。
また、紫外線吸収剤、難燃剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、着色剤等の各種の添加剤を本発明の目的を阻害しない範囲で含有させることができる。
これら添加剤は、工程(1)において調製した混合溶液、混合溶液を調製する前の液晶性複屈折材料、また各工程の段階、最終的に得られた液晶分散型水溶性高分子溶液に添加することができるが、均一性を考えた場合には、水溶性高分子溶液に溶解させておくのが好ましい。一方、液晶性複屈折材料の高剪断撹拌工程(2)において、各種添加剤が存在することで、小径化、分散性に影響を与えるのであれば、高剪断撹拌工程(2)の後、さらに希釈化工程(3)を経た後に添加剤を添加するのが好ましい。
なお、水溶性高分子溶液中での液晶性複屈折材料の分散は、水溶性高分子溶液に用いる透光性水溶性樹脂と液晶性複屈折材料との相分離現象を利用する方法があげられる。例えば、液晶性複屈折材料として透光性水溶性樹脂とは相溶しにくい材料を選択し、水溶性高分子溶液に液晶性複屈折材料を界面活性剤などの分散剤を介して分散させる方法などあげられる。液晶性複屈折材料と透光性水溶性樹脂の組み合わせによっては分散剤を入れなくてもよい。
液晶性複屈折材料は、少なくとも配向処理時点で液晶性を示すものが好ましく用いられる。すなわち、液晶性複屈折材料は、配向処理時点で液晶性を示していれば、フィルム化後の微小領域においては液晶性を示していてもよく、液晶性を喪失していてもよい。
液晶性複屈折材料は、ネマチック液晶性、スメクチック液晶性、コレステリック液晶性のいずれでもよく、またリオトロピック液晶性のものでもよい。また、液晶性複屈折材料は、液晶性熱可塑性樹脂でもよく、液晶性単量体の重合により形成されていてもよい。液晶性熱可塑性樹脂の場合には、フィルム化後の耐熱性の観点から、ガラス転移温度の高いものが好ましい。少なくとも室温ではガラス状態であるものを用いるのが好ましい。液晶性熱可塑性樹脂は、通常、加熱により配向し、冷却して固定させて、液晶性を維持したままフィルムにおいて微小領域を形成する。液晶性単量体は配合後に、重合、架橋等により固定した状態でフィルムにおいて微小領域を形成させることができるが、形成した微小領域では液晶性が喪失されてしまうものがある。
前記液晶性熱可塑性樹脂としては、主鎖型、側鎖型またはこれらの複合型の各種骨格のポリマーを特に制限なく使用できる。主鎖型の液晶ポリマーとしては、芳香族単位等からなるメソゲン基を結合した構造を有する縮合系のポリマー、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリエステルイミド系などのポリマーがあげられる。メソゲン基となる前記芳香族単位としては、フェニル系、ビフェニル系、ナフタレン系のものがあげられ、これら芳香族単位は、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。
側鎖型の液晶ポリマーとしては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリ−α−ハロ−アクリレート系、ポリ−α−ハロ−シアノアクリレート系、ポリアクリルアミド系、ポリシロキサン系、ポリマロネート系の主鎖を骨格とし、側鎖に環状単位等からなるメソゲン基を有するものがあげられる。メソゲン基となる前記環状単位としては、たとえば、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系、フェニルシクロヘキサン系、アゾキシベンゼン系、アゾメチン系、アゾベンゼン系、フェニルピリミジン系、ジフェニルアセチレン系、ジフェニルベンゾエート系、ビシクロへキサン系、シクロヘキシルベンゼン系、ターフェニル系等があげられる。なお、これら環状単位の末端は、たとえば、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロアルケニル基等の置換基を有していてもよい。またメソゲン基のフェニル基は、ハロゲン基を有するものを用いることができる。
また、いずれの液晶ポリマーのメソゲン基も屈曲性を付与するスペーサ部を介して結合していてもよい。スペーサ部としては、ポリメチレン鎖、ポリオキシメチレン鎖等があげられる。スペーサ部を形成する構造単位の繰り返し数は、メソゲン部の化学構造により適宜に決定されるがポリメチレン鎖の繰り返し単位は0〜20、好ましくは2〜12、ポリオキシメチレン鎖の繰り返し単位は0〜10、好ましくは1〜3である。
前記液晶性熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が45℃以上、さらには70℃以上であることが好ましい。また、重量平均分子量が2千〜10万程度のものが好ましい。
液晶性単量体としては、末端にアクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性官能基を有し、これに前記環状単位等からなるメソゲン基、スペーサ部を有するものがあげられる。また重合性官能基として、アクリロイル基、メタアクリロイル基等を2つ以上有するものを用いて架橋構造を導入して耐久性を向上させることもできる。
液晶性単量体を用いる場合には、硬化、架橋されるための光重合開始剤、熱重合開始剤、光増感剤、重合禁止剤等を液晶性単量体とともに用いることができる。これら開始剤等は、混合溶液を調製する前の液晶性複屈折材料に含有させることができる他、工程(1)において調製した混合溶液、混合溶液を調製する前の水溶性高分子溶液、また各工程の段階、最終的に得られた液晶分散型水溶性高分子溶液に添加することができる。
光重合開始剤としては各種のものを特に制限なく使用できる。例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア819等があげられる。光重合開始剤の配合量は、前記液晶性複屈折材料100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、より好ましくは0.01〜10重量部程度、さらに好ましくは0.05〜5重量部である。
光増感剤としては、ベンゾイン系光増感剤、アセトフェノン系光増感剤、ベンジルケタール系光増感剤等の光増感剤があげられ。たとえば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイル、2−メチルベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、トリフェニルホスフィン、2−クロロチオキサントン等が例示される。光増感剤の添加量は、光重合開始剤と同様である。
重合禁止剤としては各種のものを特に制限なく使用できる。たとえば、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノン、メトキノン、p−ベンゾキノン、フェノチアジン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、カテコール、p−t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、アンスラキノン、2,6-ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、t−ブチルカテコール等があげられる。同様の効果を示すものであればいずれのものを用いても良い。重合禁止剤の添加量は、光重合開始剤と同様である。
微小領域を形成する材料は、前記液晶性複屈折材料に全てが限定されるものではなく、透光性水溶性樹脂と異なる素材であれば、非液晶性の樹脂を用いることができる。樹脂としては、ポリビニルアルコールとその誘導体、ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレンテレフタレート、アクリルスチレン共重合体などがあげられる。また微小領域を形成する材料としては、複屈折を持たない粒子などを用いることができる。当該微粒子としては、たとえば、ポリアクリレート、アクリルスチレン共重合体などの樹脂があげられる。微粒子のサイズは特に制限されないが、0.05〜500μm、好ましくは0.5〜100μmの粒子径のものが用いられる。微小領域を形成する材料は、前記液晶性複屈折材料が好ましいが、前記液晶性複屈折材料には非液晶性複屈折材料を混入して用いることができる。さらには微小領域を形成する材料にて、非液晶性複屈折材料を単独で使用することもできる。
前記液晶性複屈折材料と水溶性高分子溶液とから混合溶液を調製する方法は特に制限されず、例えば、水溶性高分子溶液に液晶性複屈折材料を添加することにより行う。
添加時の液晶性複屈折材料は固体、液晶状態、液晶等方転移温度以上の液体状態のいずれの状態で添加してもよい。液晶性複屈折材料の添加時の水溶性高分子溶液、または添加後の混合溶液は、液晶性複屈折材料の液晶温度以上に加熱した状態とする。これにより、液晶性複屈折材料は液晶状態になる。
液晶性複屈折材料は添加にあたり、液晶性複屈折材料を溶解させる溶媒に溶解し、または溶解することなく用いられる。溶媒は使用しないほうが好ましい。溶媒は、微量な溶媒であれば水溶性高分子溶液の熱により揮発することができる。一方、最終的に得られる液晶分散型水溶性高分子溶液に溶媒が溶存していると、製膜後に気泡となるおそれがある。したがって、製膜後に気泡の原因とならない、揮発しやすい溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、たとえば、水、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等があげられる。水溶性高分子溶液の溶媒と、液晶性複屈折材料の溶媒とは同一でもよく異種でもよい。
液晶性複屈折材料と水溶性高分子溶液から得られる混合溶液は、最終的に得られる液晶分散型水溶性高分子溶液が含有する液晶性複屈折材料の所定濃度よりも高濃度になるように調整する。
最終的に得られる液晶分散型水溶性高分子溶液が含有する液晶性複屈折材料の所定濃度は、例えば、水溶性高分子溶液中の透光性水溶性樹脂100重量部に対して、液晶性複屈折材料を0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
混合溶液においては、前記所定濃度よりも、透光性水溶性樹脂に対する液晶性複屈折材料の割合が大きくなれば特に制限はされない。工程(1)においては、通常は、水溶性高分子溶液中の透光性水溶性樹脂100重量部に対して、液晶性複屈折材料の使用量を、50重量部以下の範囲で混合溶液を調製するのが好ましい。
(工程(2))
工程(2)では、前記水溶性高分子溶液中に、前記液晶性複屈折材料が、最大粒径6μm以下の微小領域で分散するように、前記混合溶液を高剪断撹拌する。これにより、分散媒である水溶性高分子溶液中に液晶性複屈折材料を小径化した微小領域を均一分散させる。
撹拌装置は、最終目的の液晶分散型水溶性高分子溶液に対して、高濃度(高粘度)の混合溶液を均一に高剪断撹拌できるものであればいずれの装置でもよい。例えば、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー等が挙げられる。通常、ホモミキサーを使用する場合、ホモミキサーの回転数は1000rpm以上が好ましい。さらには3000rpm以上が好ましい。回転数が小さくなると、微小領域が小径化されない可能性が考えられる。高剪断撹拌に供する混合溶液量は、装置に見合った撹拌可能な容量で行うのが好ましい。高剪断撹拌は、混合溶液を均一に分散されるものであれば、バッチ型でも流通型のいずれの方法でもよい。撹拌時間は、回転数と相関してくると考える。高回転数ならば短時間、低回転数ならば長時間かかる。
なお、工程(2)を別々に複数回行い、粒径のそれぞれに粒径が異なる微小領域が分散した水溶性高分子溶液を調製する場合には、異なる条件の高剪断撹拌を行う。複数の工程(2)により得られたそれぞれの水溶性高分子溶液は、希釈化工程(3)等において混合される。
(工程(3))
前記工程(2)で得られた微小領域が分散した水溶性高分子溶液と、水溶性高分子溶液を混合して、前記微小領域が、前記所定濃度になるように希釈化する。
工程(3)で用いる希釈用の水溶性高分子溶液は、前記微小領域を所定濃度に希釈化できるものであれば、混合溶液の調製工程(1)で用いたものと同種であってもよく、異種であってもよい。
また、工程(3)で用いる希釈用の水溶性高分子溶液は、前記所定濃度になるように希釈化できるものであれば、混合溶液の調製工程(1)で用いたものと異なる濃度であっていてもよい。通常は、工程(3)で用いる水溶性高分子溶液は、混合溶液の調製工程(1)で用いたものと同種、同濃度のものを用いるのが好ましい。混合溶液の調製工程(1)で用いる水溶性高分子溶液の濃度は、高剪断撹拌工程(2)における微小領域の粒径を制御でき、工程(3)で用いる希釈用の水溶性高分子溶液は、希釈化を適宜に制御でき、それぞれに応じた濃度を用いることができる。
なお、微小領域が分散した水溶性高分子溶液と希釈用の水溶性高分子溶液との混合は、微小領域が分散した水溶性高分子溶液に希釈用の水溶性高分子溶液を添加してもよく、その逆でもよい。希釈用の水溶性高分子溶液の温度は液晶性複屈折材料の等方転移温度以下が望ましい。等方転移温度以上であると、小径化された微小領域が再結合したり、不安定な状態になるおそれがある。
(工程(4))
工程(4)では、前記希釈化した水溶性高分子溶液中の微小領域を均一に分散撹拌する。液晶性複屈折材料により形成された微小領域が最大粒径6μm以下に小径化し、所定濃度で水溶性高分子溶液中に分散している液晶分散型水溶性高分子溶液が得られる。
工程(4)での撹拌は、高剪断撹拌工程(2)で用いるような高剪断撹拌機を用いる必要はなく、希釈化工程(3)で得られた希釈化された水溶性高分子溶液の全体を均一に混ぜることができるものであれば、汎用撹拌機を使用することができる。
撹拌時には、気泡が入らないように条件を制御して行なうのが望ましい。得られる液晶分散型水溶性高分子溶液に脱泡操作を行う時間を短縮でき、また気泡が入らないフィルムが作製できる。したがって、希釈化工程(3)で混合する、前記工程(2)で得られた、微小領域が分散した水溶性高分子溶液と、希釈化用の水溶性高分子溶液は、予め脱泡されたものを用いるのが好ましい。
脱泡方法は、例えば、得られた液晶分散型水溶性高分子溶液等を、放置することにより行うことができる。この際、等方転移温度以上であると、小径化された微小領域が再結合したり、不安定な状態になるおそれがあるため、溶液温度は液晶性複屈折材料の等方転移温度以下が好ましい。ただし、溶液温度が高いほど粘度低下し脱泡速度は速くなるため、前記温度以下で放置温度は高いほうが好ましい。脱泡には脱泡機を使用してもよい。例えば、加圧、減圧を繰り返す脱泡方法、インラインでの脱泡機等、また特開2002−66431号公報、特開平11−47508号公報等に記載の脱泡方法を採用することもできる。
得られた液晶分散型水溶性高分子溶液には、フィルム化する工程(I)を施して液晶分散型水溶性高分子複合フィルムを製造する。これによりマトリクス中に微小領域が分散されたフィルムを作製する。
液晶分散型水溶性高分子複合フィルムを偏光子として用いる場合には、さらに、
(II)前記(I)で得られたフィルムを配向(延伸)する工程、
(III)前記マトリクスとなる透光性水溶性樹脂に、ヨウ素系吸光体を分散させる(染色する)工程、
を施すことにより偏光子が得られる。なお、工程(I)乃至(III)の順序は適宜に決定できる。
前記液晶分散型水溶性高分子溶液をフィルム化する工程(I)では、前記溶液を加熱乾燥し、溶媒を除去することにより、透光性水溶性樹脂により形成されるマトリクス中に微小領域が分散されたフィルムを作製する。フィルムの形成方法としては、キャスティング法、押出成形法、射出成形法、ロール成形法、流延成形法などの各種の方法を採用できる。
前記フィルムを配向する工程(II)は、フィルムを延伸することにより行うことができる。延伸は、一軸延伸、二軸延伸、斜め延伸などがあげられるが、通常、一軸延伸を行う。延伸方法は、空気中での乾式延伸、水系浴中での湿式延伸のいずれでもよい。湿式延伸延を採用する場合には、水系浴中に、適宜に添加剤(ホウ酸等のホウ素化合物,アルカリ金属のヨウ化物等)を含有させることができる。延伸倍率は特に制限されないが、通常、2〜10倍程度とするのが好ましい。
かかる延伸により、微小領域を形成する液晶性複屈折材料は、延伸方向に配向され複屈折を発現させる。また工程(III)をヨウ素系吸光体を延伸軸方向に配向させることができる。
微小領域は延伸に応じて変形することが望ましい。微小領域が非液晶性複屈折材料の場合は延伸温度が樹脂のガラス転移温度付近、微小領域が液晶性複屈折材料の場合は延伸時の温度で液晶性複屈折材料がネマチック相またはスメクチック相等の液晶状態または等方相状態になる温度を選択するのが望ましい。延伸時点で配向が不十分な場合には、別途、加熱配向処理などの工程を加えてもよい。
液晶性複屈折材料の配向には上記延伸に加え、電場や磁場などの外場を用いてもよい。また液晶性複屈折材料にアゾベンゼンなどの光反応性物質を混合したり、液晶性複屈折材料にシンナモイル基等の光反応性基を導入したものを用い、これを光照射などの配向処理によって配向させてもよい。さらには延伸処理と以上に述べた配向処理を併用することもできる。液晶性複屈折材料が、液晶性熱可塑性樹脂の場合には、延伸時に配向させた後、室温に冷却させることにより配向が固定化され安定化される。液晶性単量体は、配向していれば目的の光学特性が発揮されるため、必ずしも硬化している必要はない。だたし、液晶性単量体で等方転移温度が低いものは、少し温度がかかることにより等方状態になってしまう。こうなると異方散乱でなくなって、逆に偏光性能が悪くなくので、このような場合には硬化させるのが好ましい。また液晶性単量体には室温で放置すると結晶化するものが多くあり、こうなると異方散乱でなくなって、逆に偏光性能が悪くなくので、このような場合にも硬化させるのが好ましい。かかる観点からすれば、配向状態をどのような条件下においても安定に存在させるためには、液晶性単量体を硬化することが好ましい。液晶性単量体の硬化は、たとえば、光重合開始剤と混合してマトリクス成分の溶液中に分散し、配向後、いずれかのタイミング(ヨウ素系吸光体による染色前、染色後)において紫外線等を照射して硬化し、配向を安定化させる。望ましくは、ヨウ素系吸光体による染色前である。
前記マトリクスとなる透光性水溶性樹脂に、ヨウ素系吸光体を分散させる工程(III)は、一般には、ヨウ素をヨウ化カリウム等のアルカリ金属のヨウ化物等の助剤とともに溶解させた水系浴に前記フィルムを浸漬する方法があげられる。前述したように、マトリクス中に分散されたヨウ素とマトリクス樹脂との相互作用によりヨウ素系吸光体が形成される。浸漬させるタイミングとしては、前記延伸工程(II)の前でも後でもよい。ヨウ素系吸光体は、一般に延伸工程を経ることによって著しく形成される。ヨウ素を含有する水系浴の濃度、アルカリ金属のヨウ化物などの助剤の割合は特に制限されず、一般的なヨウ素染色法を採用でき、前記濃度等は任意に変更することができる。
また得られる偏光子中におけるヨウ素の割合は特に制限されないが、透光性水溶性樹脂とヨウ素の割合が、透光性水溶性樹脂100重量部に対して、ヨウ素が0.05〜50重量部程度、さらには0.1〜10重量部となるように制御するのが好ましい。
偏光子の作製にあたっては、前記工程(I)乃至(III)の他に、様々な目的のための工程(IV)を施すことができる。工程(IV)としては、たとえば、主にフィルムのヨウ素染色効率を向上させる目的として、水浴にフィルムを浸漬して膨潤させる工程があげられる。また、任意の添加物を溶解させた水浴に浸漬する工程等があげられる。主に水溶性樹脂(マトリクス)に架橋を施す目的のため、ホウ酸、ホウ砂などの添加剤を含有する水溶液にフィルムを浸漬する工程があげられる。また、主に、分散したヨウ素系吸光体の量バランスを調節し、色相を調節することを目的として、アルカリ金属のヨウ化物などの添加剤を含有する水溶液にフィルムを浸漬する工程があげられる。
前記フィルムを配向(延伸)延伸する工程(II)、マトリクス樹脂にヨウ素系吸光体を分散染色する工程(III)および上記工程(IV)は、工程(II)、(III)が少なくとも1回ずつあれば、工程の回数、順序、条件(浴温度や浸漬時間など)は任意に選択でき、各工程は別々に行ってもよく、複数の工程を同時に行ってもよい。例えば、工程(IV)の架橋工程と延伸工程(II)を同時に行ってもよい。
また、染色に用いるヨウ素系吸光体や、架橋に用いるホウ酸などは、上記のようにフィルムを水溶液への浸漬させることによって、フィルム中へ浸透させる方法の代わりに、液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法に際し、または製造後に後で、工程(I)のフィルム化前に任意の種類、量を添加する方法を採用することもできる。また両方法を併用してもよい。ただし、工程(II)において、延伸時等に高温(例えば80℃以上)にする必要がある場合であって、ヨウ素系吸光体が該温度で劣化してしまう場合には、ヨウ素系吸光体を分散染色する工程(III)は工程(II)の後にするのが望ましい。
以上の処理をしたフィルムは、適当な条件で乾燥されることが望ましい。乾燥は常法に従って行われる。
得られた偏光子(フィルム)の厚さは特に制限されないが、通常、1μmから3mm、好ましくは5μmから1mm、さらに好ましくは10〜500μmである。
本発明によって得られた偏光子は、既存の吸収型偏光板と同様の機能を有するため、吸収型偏光板を用いた様々な応用分野へ何ら変更することなく用いることができる。
得られた偏光子は、常法に従って、その少なくとも片面に透明保護層を設けた偏光板とすることができる。透明保護層はポリマーによる塗布層として、またはフィルムのラミネート層等として設けることができる。透明保護層を形成する、透明ポリマーまたはフィルム材料としては、適宜な透明材料を用いうるが、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮断性などに優れるものが好ましく用いられる。前記透明保護層を形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、二酢酸セルロースや三酢酸セルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護層を形成するポリマーの例としてあげられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
偏光特性や耐久性などの点より、特に好ましく用いることができる透明保護層は、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムである。透明保護層の厚さは、任意であるが一般には偏光板の薄型化などを目的に500μm以下、さらには1〜300μm、特に5〜300μmが好ましい。なお、偏光子の両側に透明保護層を設ける場合は、その表裏で異なるポリマー等からなる透明保護フィルムを用いることができる。
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。
本発明の偏光板は、前記透明保護フィルムと偏光子を、前記接着剤を用いて貼り合わせることにより製造する。接着剤の塗布は、透明保護フィルム、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。貼り合わせ後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着層を形成する。偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。接着層の厚さは、特に制限されないが、通常0.1〜5μm程度である。
本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1 /4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
偏光板や光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味する。
(粒径の観察)
得られた液晶分散型水溶性高分子溶液をガラス板にはさみ、偏光顕微鏡(ニコン(株)製のECLIPESE600POL)にてクロスニコル観察(40倍率)した。偏光顕微鏡画像の液晶性複屈折材料により形成された微小領域の粒径(平均粒径、最小粒径、最大粒径、分散)は、観察画像を画像処理により2値化して、解析ソフトで計測した。三谷商事(株)製のWin ROOFを使用した。なお、微小領域の粒径は、微小領域の最長長さをいう。
実施例1
重合度2400、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分13重量%のポリビニルアルコール水溶液と、メソゲン基の両末端に一つずつアクリロイル基を有する液晶性単量体(ネマチック液晶温度範囲が55〜75℃)とグリセリンを、ポリビニルアルコール:液晶性単量体:グリセリン=100:40:15(重量比)で、全量が260gになるように混合して、80℃(液晶温度範囲以上)に加熱して混合溶液を調製した。
前記混合溶液を、特殊機化工業(株)製のT.K.ホモミクサーMARKIIで10000rpm×20分間、高剪断撹拌を行った。この際、溶液の温度は80℃となるように恒温で行った。
撹拌後の溶液を、重合度2400、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分13重量%のポリビニルアルコール水溶液とグリセリンを、ポリビニルアルコール:グリセリン=100:15(重量比)で混合した全量が1740gの溶液とを35℃で混合し、ポリビニルアルコール:液晶性単量体:グリセリン=100:5:15(重量比)で全量2000gとした。
この溶液を新東科学(株)製のスリーワンモータBL−600で350rpm×20分間撹拌を行い、液晶分散型水溶性高分子溶液を得た。得られた溶液中に分散している微小領域の粒径を観察した結果を表1に示す。また図1に偏光顕微鏡写真を、図2に粒度分布を示す。
比較例1
重合度2400、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分13重量%のポリビニルアルコール水溶液と、メソゲン基の両末端に一つずつアクリロイル基を有する液晶性単量体(ネマチック液晶温度範囲が55〜75℃)とグリセリンを、ポリビニルアルコール:液晶性単量体:グリセリン=100:5:15の重量比で、全量が2000gとなるように混合し、80℃(液晶温度範囲以上)に加熱して混合溶液を調製した。
前記混合溶液を、特殊機化工業(株)製のT.K.ホモミクサーMARKIIで10000rpm×60分間、高剪断撹拌を行い、液晶分散型水溶性高分子溶液を得た。この際、溶液の温度は80℃となるように恒温で行った。得られた溶液中に分散している微小領域の粒径を観察した結果を表1に示す。また図3に偏光顕微鏡写真を、図4に粒度分布を示す。
Figure 0004963344
実施例1では、粒径が1μm程度の微小領域が形成されており、且つ6μm以上の粒径が生成されていないのに対し、比較例1では6μm以上の粒径の微小領域が生成された。実施例1における平均粒径、分散は比較例1よりかなり小さく、実施例1は、比較例1よりも分散状態が良いことが分かる。
実施例2
重合度4000、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分11重量%のポリビニルアルコール水溶液と、メソゲン基の両末端に一つずつアクリロイル基を有する液晶性単量体(ネマチック液晶温度範囲が55〜75℃)とグリセリンを、ポリビニルアルコール:液晶性単量体:グリセリン=100:30:15(重量比)で、全量が280gになるように混合して、80℃(液晶温度範囲以上)に加熱して混合溶液を調製した。
前記混合溶液を、特殊機化工業(株)製のT.K.ホモミクサーMARKIIで10000rpm×20分間、高剪断撹拌を行った。この際、溶液の温度は80℃となるように恒温で行った。
撹拌後の溶液を、重合度2400、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分13重量%のポリビニルアルコール水溶液とグリセリンを、ポリビニルアルコール:グリセリン=100:15(重量比)で混合した全量が1350gの溶液とを35℃で混合し、ポリビニルアルコール:液晶性単量体:グリセリン=100:5:15(重量比)で全量1630gとした。
この溶液を新東科学(株)製のスリーワンモータBL−600で350rpm×20分間撹拌を行い、液晶分散型水溶性高分子溶液を得た。得られた溶液中に分散している微小領域の粒径を観察した結果を表2に示す。
比較例2
重合度4000、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分11重量%のポリビニルアルコール水溶液と、メソゲン基の両末端に一つずつアクリロイル基を有する液晶性単量体(ネマチック液晶温度範囲が55〜75℃)とグリセリンを、ポリビニルアルコール:液晶性単量体:グリセリン=100:5:15の重量比で、全量が1630gとなるように混合し、80℃(液晶温度範囲以上)に加熱して混合溶液を調製した。
前記混合溶液を、特殊機化工業(株)製のT.K.ホモミクサーMARKIIで10000rpm×60分間、高剪断撹拌を行い、液晶分散型水溶性高分子溶液を得た。この際、溶液の温度は80℃となるように恒温で行った。得られた溶液中に分散している微小領域の粒径を観察した結果を表2に示す。
Figure 0004963344
実施例2では、粒径が1μm程度の微小領域が形成されており、且つ6μm以上の粒径が生成されていないのに対し、比較例2では6μm以上の粒径の微小領域が生成された。実施例2における平均粒径、分散は比較例2よりかなり小さく、実施例2は、比較例2よりも分散状態が良いことが分かる。
実施例3
重合度2400、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分13重量%のポリビニルアルコール水溶液と、メソゲン基の両末端に一つずつアクリロイル基を有する液晶性単量体A(ネマチック液晶温度範囲が55〜75℃)とグリセリンを、ポリビニルアルコール:液晶性単量体:グリセリン=100:30:15(重量比)で、全量が300gになるように混合して、80℃(液晶温度範囲以上)に加熱して混合溶液を調製した。
前記混合溶液を、特殊機化工業(株)製のT.K.ホモミクサーMARKIIで10000rpm×20分間、高剪断撹拌を行った。この溶液を溶液Aとする。この際、溶液Aの温度は80℃となるように恒温で行った。
重合度2400、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分13重量%のポリビニルアルコール水溶液と、メソゲン基の両末端に一つずつアクリロイル基を有する液晶性単量体B(ネマチック液晶温度範囲が50〜72℃)とグリセリンを、ポリビニルアルコール:液晶性単量体:グリセリン=100:30:15(重量比)で、全量が300gになるように混合して、75℃(液晶温度範囲以上)に加熱して混合溶液を調製した。
前記混合溶液を、特殊機化工業(株)製のT.K.ホモミクサーMARKIIで10000rpm×20分間、高剪断撹拌を行った。この溶液を溶液Bとする。この際、溶液Bの温度は75℃となるように恒温で行った。
重合度2400、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分13重量%のポリビニルアルコール水溶液とグリセリンを、ポリビニルアルコール:グリセリン=100:15(重量比)で混合した全量が2310gの溶液と、溶液Aと溶液Bとを35℃で混合し、ポリビニルアルコール:液晶性単量体:グリセリン=100:5:15(重量比)で全量2910gとした。
この溶液を新東科学(株)製のスリーワンモータBL−600で350rpm×20分間撹拌を行い、液晶分散型水溶性高分子溶液を得た。得られた溶液中に分散している微小領域の粒径を観察した結果を表3に示す。
実施例4
重合度2400、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分13重量%のポリビニルアルコール水溶液と、メソゲン基の両末端に一つずつアクリロイル基を有する液晶性単量体A(ネマチック液晶温度範囲が55〜75℃)、メソゲン基の両末端に一つずつアクリロイル基を有する液晶性単量体B(ネマチック液晶温度範囲が50〜72℃)とグリセリンを、ポリビニルアルコール:液晶性単量体A:液晶性単量体B:グリセリン=100:30:30:15(重量比)で、全量が600gになるように混合して、80℃(液晶温度範囲以上)に加熱して混合溶液を調製した。
前記混合溶液を、特殊機化工業(株)製のT.K.ホモミクサーMARKIIで10000rpm×20分間、高剪断撹拌を行った。この際、溶液の温度は80℃となるように恒温で行った。
撹拌後の溶液を、重合度2400、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分13重量%のポリビニルアルコール水溶液とグリセリンを、ポリビニルアルコール:グリセリン=100:15(重量比)で混合した全量が2310gの溶液とを35℃で混合し、ポリビニルアルコール:液晶性単量体:グリセリン=100:5:15(重量比)で全量2910gとした。
この溶液を新東科学(株)製のスリーワンモータBL−600で350rpm×20分間撹拌を行い、液晶分散型水溶性高分子溶液を得た。得られた溶液中に分散している微小領域の粒径を観察した結果を表3に示す。
比較例3
重合度2400、ケン化度99.9%のポリビニルアルコールを溶解した固形分13重量%のポリビニルアルコール水溶液と、メソゲン基の両末端に一つずつアクリロイル基を有する液晶性単量体A(ネマチック液晶温度範囲が55〜75℃)、メソゲン基の両末端に一つずつアクリロイル基を有する液晶性単量体B(ネマチック液晶温度範囲が50〜72℃)とグリセリンを、ポリビニルアルコール:液晶性単量体A:液晶性単量体B:グリセリン=100:30:30:15(重量比)で、全量が2910gになるように混合して、80℃(液晶温度範囲以上)に加熱して混合溶液を調製した。
前記混合溶液を、特殊機化工業(株)製のT.K.ホモミクサーMARKIIで10000rpm×60分間、高剪断撹拌を行い、液晶分散型水溶性高分子溶液を得た。この際、溶液の温度は80℃となるように恒温で行った。得られた溶液中に分散している微小領域の粒径を観察した結果を表3に示す。
Figure 0004963344
実施例3では、液晶ドメインが粒径1μm程度で分散されており、且つ数十μmの液晶ドメインの形成は確認されなかった。実施例4では、異なる液晶種を同一の高剪断撹拌条件で分散させているが比較的小径化されており、分散が低く均一に分散されている。比較例3では、異なる液晶種を大容量で高剪断撹拌しているために、不均一分散しており、数十μmの液晶ドメインの形成も確認された。したがって、本発明は、異種の液晶で同一粒径で分散させた溶液を調整する場合にも有効であること分かる。
実施例1で得られた液晶分散型水溶性高分子溶液の偏光顕微鏡写真である。 実施例1で得られた液晶分散型水溶性高分子溶液の粒度分布を示すグラフである。 比較例1で得られた液晶分散型水溶性高分子溶液の偏光顕微鏡写真である。 比較例1で得られた液晶分散型水溶性高分子溶液の粒度分布を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 液晶性複屈折材料により形成された微小領域が、所定濃度で水溶性高分子溶液中に分散している偏光子用液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法であって、
    液晶性複屈折材料と透光性水溶性樹脂を溶媒に溶解した水溶性高分子溶液とを、液晶性複屈折材料が前記所定濃度よりも高濃度になるように、かつ、水溶性高分子溶液中の透光性水溶性樹脂100重量部に対して、液晶性複屈折材料の使用量が50重量部以下の範囲になるように調整した混合溶液を調製する工程(1)、
    前記水溶性高分子溶液中に、前記液晶性複屈折材料が、最大粒径6μm以下の微小領域で分散するように、前記混合溶液を高剪断撹拌する工程(2)、
    前記微小領域が分散した水溶性高分子溶液と、透光性水溶性樹脂を溶媒に溶解した水溶性高分子溶液を混合して、前記微小領域が、前記所定濃度になるように希釈化する工程(3)、および
    前記希釈化した水溶性高分子溶液中の微小領域を均一に分散撹拌する工程(4)を含むことを特徴とする偏光子用液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法。
  2. 前記混合溶液を高剪断撹拌する工程(2)を別々に複数回行って、それぞれに粒径が異なる微小領域が分散した水溶性高分子溶液を調製することを特徴とする請求項1記載の偏光子用液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法。
  3. 液晶性複屈折材料を少なくとも2種用いることを特徴とする請求項1または2記載の偏光子用液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法。
  4. 前記混合溶液を調製する工程(1)および希釈化する工程(3)で用いる水溶性高分子溶液が同種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光子用液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法。
  5. 混合溶液を調製する工程(1)および希釈化する工程(3)で用いる水溶性高分子溶液の透光性水溶性樹脂が、重合度は1200〜10000、ケン化度は90〜100モル%のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偏光子用液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法。
JP2004265154A 2004-09-13 2004-09-13 液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルムの製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルム、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 Expired - Lifetime JP4963344B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004265154A JP4963344B2 (ja) 2004-09-13 2004-09-13 液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルムの製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルム、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004265154A JP4963344B2 (ja) 2004-09-13 2004-09-13 液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルムの製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルム、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006077196A JP2006077196A (ja) 2006-03-23
JP4963344B2 true JP4963344B2 (ja) 2012-06-27

Family

ID=36156914

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004265154A Expired - Lifetime JP4963344B2 (ja) 2004-09-13 2004-09-13 液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルムの製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルム、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4963344B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5211613B2 (ja) * 2007-09-28 2013-06-12 東洋インキScホールディングス株式会社 カラーフィルタ用着色組成物の製造方法、該方法により製造されたカラーフィルタ用着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタ
PL219567B1 (pl) * 2010-01-29 2015-05-29 Braster Spółka Z Ograniczoną Odpowiedzialnością Ciekłokrystaliczna emulsja typu olej w wodzie i sposób wytwarzania ciekłokrystalicznej emulsji

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5518420A (en) * 1978-07-25 1980-02-08 Toray Ind Inc Preparation of conductive polyether polymer composition having improved moldability
JP3243340B2 (ja) * 1992-07-21 2002-01-07 大日本印刷株式会社 光変調素子及びその製造方法
JP2000119913A (ja) * 1998-10-14 2000-04-25 Toho Rayon Co Ltd アクリル系原液着色繊維の製造用紡糸原液の製造方法
JP4614407B2 (ja) * 2001-01-05 2011-01-19 日東電工株式会社 偏光フィルム及び液晶表示装置
JP2003139951A (ja) * 2001-10-31 2003-05-14 Fuji Photo Film Co Ltd 光学異方性薄膜およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006077196A (ja) 2006-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4583982B2 (ja) 偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
KR20050034719A (ko) 편광자, 광학 필름 및 화상 표시 장치
KR101767854B1 (ko) 위상차판, 타원 편광판 및 그것을 이용한 표시장치
JP3724801B2 (ja) 偏光子、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2006099076A (ja) 偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2002214440A (ja) 液晶配向フィルムの製造方法、液晶配向フィルム、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2005266696A (ja) 円偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
KR20070003816A (ko) 편광자의 제조 방법, 편광판의 제조 방법, 적층 광학필름의 제조 방법, 편광자, 편광판, 적층 광학 필름 및화상 표시 장치
JP2006267131A (ja) 偏光子の製造方法、偏光板の製造方法、積層光学フィルムの製造方法、偏光子、偏光板、積層光学フィルムおよび画像表示装置
JP2005283800A (ja) 楕円偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
WO2006025282A1 (ja) 偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2005037890A (ja) 偏光子の製造方法、偏光子、光学フィルムおよび画像表示装置
JP4907134B2 (ja) 偏光子の製造方法および偏光板の製造方法
JP2005292225A (ja) 光学フィルムおよび画像表示装置
JP3779723B2 (ja) 偏光子、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2009116197A (ja) 異方性光散乱フィルム、その製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2005292719A (ja) 偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2005283839A (ja) 光学フィルムおよび画像表示装置
JP4059683B2 (ja) 複屈折性フィルム、その製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2007025089A (ja) 透光性フィルム、その製造方法、偏光子、その製造方法、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2004198478A (ja) 位相差フィルム、輝度向上フィルム、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2006225496A (ja) 水溶性樹脂フィルム、その製造方法、偏光子、その製造方法、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2006224430A (ja) 微小領域分散型ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、微小領域分散型ポリビニルアルコール系フィルム、偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
WO2004038463A1 (ja) 偏光子、その製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
JP4963344B2 (ja) 液晶分散型水溶性高分子溶液の製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルムの製造方法、液晶分散型水溶性高分子複合フィルム、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061106

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090528

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090716

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20090716

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100817

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110802

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110922

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120322

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120323

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150406

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250