JP4963340B2 - 遠心ファン - Google Patents

Description

本発明は、遠心ファンの寿命に関わる軸受の温度上昇抑制手段に関する。

特開平０７−０４６８１１号公報

本願発明に係る遠心ファン等では、小型化が進む中でも、性能向上・長寿命化のニーズが緩和されることは無く、これらの動力源として多用されているブラシレスＤＣモータでは、駆動回路をも内装する構成を採ることから、上述先願公報に見るように、駆動回路を構成する電子部品の放熱への配慮も欠くことの出来ないものである他、寿命に直接的に関係する軸受の温度上昇抑制も重要な課題となっていることは周知の通りである。

図３は、上述従来構成の一例で、回転子ハブ２−１は、通常、インペラと一体的に樹脂成型で形成される。また、ケーシング１の中心部に保持され、その外周面に固定子や駆動回路を形成する回路基板を嵌着している軸受箱は、通常、金属部材で形成されるている。

また、図４は周知の別の例を示し、金属部材で形成される回転子ヨークと一体の回転子ハブを示し、金属で形成される回転子ハブが通気に曝されることから、内部の熱の放散を助長してはいるが、回転子ハブの頭部形状が災いして、円滑な通気が行われず、冷却効果としては充分とは言えないのが実態であった。

上述の如き従来の構成は、性能と動作に直接関わる電子部品の放熱面での高温回避策としては効果を見せているが、外周面に保持する固定子の駆動のための巻線への通電による発熱が、直接的に内周面に固定された軸受箱を介して伝播し、寿命に関わる軸受の温度上昇に繋がり、寿命への影響面での改善が課題として残されていた。

本発明に成る遠心ファンは、軸方向に開口する吸込口と、円周方向に開口する吐出口を有し、環状内周面が、上流側から下流側に向かって順次拡大する形状を備える蝸牛状ケーシングと、該蝸牛状ケーシングに内装される回転機と、該回転機の回転軸に固定保持され、前記回転機の回転子と多翼羽根車を回転自在に保持する回転子ハブとを備え、前記回転子ハブが、断面円弧状頭部を有し、金属等の良熱伝導体で形成され、回転軸を軸支する軸受部材が嵌着される軸受箱が、蝸牛状ケーシングと樹脂等の難熱伝導体で一体成型され、かつ、該軸受箱の外周面に前記回転機の固定子が他の構造部材を介せずに直接固定されている。

本発明に成る遠心ファンは、ファンとしての動作に伴う通気で回転子ハブからの熱放散を増大させ、回転子ハブの内部に発生する熱及び固定子から発生する熱を吸収することで、固定子の内面から軸受箱を介して伝播する熱を軽減することができ、蝸牛状ケーシングと一体成型された軸受箱が樹脂等の難熱伝導体で形成してあるので、固定子側からの熱伝播を抑制することで、軸受の温度上昇をより軽減でき、長寿命化が実現できる。

以下図面によって本発明の実施例を説明する。

図１は、本発明の実施例を示す半断面図で、回転子ハブ２−１の先頭部が大きな円弧状を成し、熱伝導性に優れた金属部材等で形成されて、円弧状の表面を流れる通気により回転子ハブ２−１の内部に発生する熱及び軸受５の熱の放散を高める。

樹脂成型で形成されるケーシング１と一体的に、軸受箱（１−１）も難熱伝導部材としての樹脂で構成することで、外周面に固定される回転機の固定子３や駆動回路による発熱が、内周面に嵌着されている軸受５に伝播し難いようにしている。
（参考例）

図２は、参考例を説明する半断面図で、軸受箱１−１は金属性の良熱伝導体で形成されている。上述の実施例と同じく回転子ハブ２−１の先頭部が大きな円弧状を成し、熱伝導性に優れた金属部材等で形成されて、円弧状の表面を流れる通気により回転子ハブ２−１の内部に発生する熱及び固定子３から発生する熱を、軸受箱１−１と軸受５を経由して、熱の放散を高める構成である。しかしながら、軸受箱だけが金属製の良熱伝導体で形成されているために、軸受箱からの熱の放散が十分に行なわれず、固定子の温度が容易に軸受に伝播するため、上記「発明の効果」や「実施例」で説明したような軸受の温度上昇抑制効果の程度は限定的である。

本発明に成る遠心ファンは、数多のニーズの中でも重要なものとされる長寿命化を実現するものとして広く利用できる。

本発明の実施例を説明する半断面図である。 参考例を説明する半断面図である。 従来技術の例を説明する半断面図である。 従来技術の別の例を説明する半断面図である。

１ ケーシング
１−１ 軸受箱
（１−１） ケーシングと一体の軸受箱
２ 多翼羽根車
２−１ 回転子ハブ
２−１’ 従来技術での金属性回転子ハブ
３ 固定子
３−１ 巻線
４ 回転子軸
５ 軸受
６ 流入通気

Claims (1)

1. 軸方向に開口する吸込口と、円周方向に開口する吐出口を有し、環状内周面が、上流側から下流側に向かって順次拡大する形状を備える蝸牛状ケーシングと、該蝸牛状ケーシングに内装される回転機と、該回転機の回転軸に固定保持され、前記回転機の回転子と多翼羽根車を保持する回転子ハブとを備える遠心ファンにおいて、前記回転子ハブが、断面円弧状頭部を有し、金属等の良熱伝導体で形成され、前記回転軸が軸支される軸受部材を嵌着する軸受箱が、蝸牛状ケーシングと樹脂等の難熱伝導体で一体成型され、かつ、該軸受箱の外周面に前記回転機の固定子が他の構造部材を介せずに直接固定されていること、を特徴とする遠心ファン。