JP4961566B2 - 磁気共鳴画像処理方法および磁気共鳴画像処理装置 - Google Patents

磁気共鳴画像処理方法および磁気共鳴画像処理装置 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、脳梗塞などの画像診断に応用され、特にペナンブラ領域に相当する画像成分の抽出に好適な磁気共鳴画像処理方法および磁気共鳴画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳梗塞の画像診断法において、血流が低下して一時的に機能停止に陥っているものの、血流増加により可逆的に機能回復を起こすことが期待される神経細胞の存在する領域、いわゆるペナンブラ(penumbra)を明瞭に描出することは、急性期血栓溶解療法の方針決定に重要な貢献をもたらす。従来、脳循環の測定にはSPECT(single photon emission computed tomography)やPET(positron emission tomography)が用いられているが、近年では核磁気共鳴画像装置(magnetic resonance imaging:MRI)を用いた灌流強調画像(perfusion weighted imaging:PWI)が選択されることもある。
【0003】
灌流とは臨床医学において経験的に構築された概念であり、上記PWIは特に毛細管レベルの微小循環を捉えるものと考えられている。これらの方法によって検出される虚血領域と、拡散強調磁気共鳴画像法(diffusion weighted magnetic resonance imaging:以下、単にDWIという)による(みかけの)拡散値の低下に伴って高輝度に描出される領域との間、すなわち脳組織障害と灌流障害の解離(diffusion-perfusion mismatch)が認められる領域が、上述のペナンブラに相当する。上記PWIでは、非拡散性トレーサー(Gd(ガドリニウム)造影剤)を急速投与した後、対象部位を局所的磁場不均一に敏感なT2*(tee two star)強調型高速撮像法を用いて時系列的に撮像する。こうして得られた時系列的な各画像に対して、ピクセル毎に信号モデルの当てはめを行なうことで、局所血流量の画像を得ることができる。
【0004】
ところが、こうしたペナンブラ領域の特定に際しては、脳内の微小な血流低下(循環)を見分けるための灌流成分と、脳細胞の生死を見分けるための拡散成分の評価を別々な撮影方法で行なう必要がある。とりわけ、上記SPECTやPETを用いて灌流成分を測定しようとすると、拡散成分の測定には別なMRIを利用するので、二種類の装置と二種類の撮影方法が必要になる。また、灌流成分をPWIにより評価する場合には、装置(MRI)を一種類とすることができるが、トレーサーを生体に投与しなければならず、被験者の負担が増大する。
【0005】
一方、拡散強調磁気共鳴画像法すなわちDWIを用いて、脳内灌流を画像化しようとする試みが、フランスのディー. ル ビーアン(D. Le Bihan)氏らの非特許文献1によって既に提案されている。ここでは、拡散の感度(拡散強調係数)であるb値として、b,b,b(b<b<b)の3つを用いて得られたDWI画像S1,S2,S3から、次の数3〜数5の式で与えられるfを画像化するというものである。
【0006】
【数3】
【0007】
【数4】
【0008】
【数5】
ここで、fはボクセル内の灌流成分の体積比(perfusion fraction)、1−fは拡散成分の割合と解釈できる。また、Dは拡散の大きさを表わす拡散係数,ADCはみかけの拡散係数(apparent diffusion coefficient)である。この方法によれば、同じMRIの装置によって、生体にトレーサーを投与することなく、脳内灌流を画像化することが可能になる。
【非特許文献1】
ディー. ル ビーアン(D. Le Bihan)氏など,「MR画像のランダムな方向への動きにおける拡散および灌流の分離(Separation of diffusion and perfusion in intravoxelincoherentmotion MR imaging)」,ラジオロジー(Radiology),北米放射線学会(Radiological Society of North America),第168巻(Vol.168),1988年,pp.497-505
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記非特許文献1による手法では、ペナンブラの描出という目的にとっては、その精度が問題となる。すなわち、定性的には血流量の低下が体積比fの減少をもたらすものの、灌流成分の変化に対する感度は、拡散の感度であるb値の設定の仕方に大きく依存する。また、単純な拡散と灌流による2成分の指数関数モデルを仮定しているため、他の成分の混入が、誤差要因となってあらわれてしまう。
【0010】
本発明は上記の諸問題点に鑑みなされたもので、その目的は、灌流の評価に際して別な撮影装置や撮影方法を必要とすることなく、ペナンブラなどの関心のある領域を精密に描出することが可能な磁気共鳴画像処理方法および処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明における磁気共鳴画像処理方法は、少なくとも0〜1000[s/mm2]の範囲を含む拡散の感度をあらわすb値を複数個設定し、個々の前記b値に基づき、核スピンの運動を検出する運動検出傾斜磁場(MPG)の強度を変化させて、前記各b値に対応した拡散強調画像系列を収集し、前記収集した拡散強調画像系列を信号処理することにより、関心のある領域の成分画像を抽出する磁気共鳴画像処理方法であって、前記b値は5個以上設定され、前記収集した拡散強調画像系列を、列数を拡散強調画像のピクセル数Mとし、行数を収集した拡散強調画像の数Nとする単一のデータ行列Xに変換し、この変換したデータ行列Xに対して独立成分分析(ICA)を適用することで、統計的に独立した灌流および拡散成分の画像に対応した行列Sと、混合行列Aとの積に分解し、前記混合行列Aに含まれる独立画像成分の振幅S(b)の系列に、上記数1の式に示す解析モデルを当てはめ、前記4つのパラメータS o ,α,D ,D をそれぞれ推定することで、前記関心のある領域の成分画像を抽出するものである。
【0012】
上記磁気共鳴画像処理方法において、前記MPGの印加方向を固定するのが好ましい。
【0013】
また、上記磁気共鳴画像処理方法において、前記b値が大きくなるに従って、その間隔が次第に広がるように、各々の前記b値を設定するのが好ましい。
【0014】
本発明における磁気共鳴画像処理装置は、磁気共鳴画像を出力する磁気共鳴装置に接続され、少なくとも0〜1000[s/mm2]の範囲を含む拡散の感度をあらわすb値を複数個設定するb値設定手段と、個々の前記b値に基づき、前記磁気共鳴装置において核スピンの運動を検出する運動検出傾斜磁場(MPG)の強度を変化させて、前記各b値に対応した拡散強調画像系列を前記磁気共鳴装置から収集する拡散強調画像収集手段と、前記収集した拡散強調画像系列を信号処理することにより、関心のある領域の成分画像を抽出する画像抽出手段と、を備えた磁気共鳴画像処理装置であって、前記b値設定手段は、前記b値を5個以上設定するものであり、前記画像抽出手段は、前記収集した拡散強調画像系列を、列数を拡散強調画像のピクセル数Mとし、行数を収集した拡散強調画像の数Nとする単一のデータ行列Xに変換し、この変換したデータ行列Xに対して独立成分分析(ICA)を適用することで、統計的に独立した灌流および拡散成分の画像に対応した行列Sと混合行列Aとの積に分解するICA適用手段と、前記混合行列Aに含まれる独立画像成分の振幅S(b)の系列に、上記数2の式に示す解析モデルを当てはめ、前記4つのパラメータS o ,α,D ,D をそれぞれ推定することで、前記関心のある領域の成分画像を抽出する解析モデル適用手段と、により構成される。
【0015】
上記磁気共鳴画像処理装置において、前記拡散強調画像収集手段は、前記磁気共鳴装置による前記MPGの印加方向を固定させる構成であることが好ましい。
【0016】
また、上記磁気共鳴画像処理装置において、前記b値設定手段は、前記b値が大きくなるに従って、その間隔が次第に広がるように、各々の前記b値を設定する構成であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の方法および請求項の装置では、予め少なくとも0〜1000[s/mm2]の範囲を含む複数のb値を設定し、この設定したb値に基づいて、被験者に印加するMPGの方向ではなく、MPGの強度を変化させた拡散強調画像系列を収集することで、灌流と拡散のそれぞれについて、ほぼ等しいサンプル数を有する拡散強調画像系列を高い精度で得ることができる。そのため、この拡散強調画像系列を適宜信号処理すれば、灌流の評価に際して別な撮影装置や撮影方法を必要とすることなく、ペナンブラなどの関心のある領域を精密に描出することが可能になる。
【0018】
また、拡散強調画像系列を独立成分分析の対象とすることにより、特定のモデルに依存せずに灌流および拡散の画像データを得ることができ、そこから例えばペナンブラなどの関心のある領域の成分画像を精密に抽出することが可能になる。
【0019】
さらに、ペナンブラ領域を抽出するための解析モデルが、灌流および拡散成分の画像に対応した行列Sと混合行列Aとの成分分離後に行われるので、解析モデルのパラメータSo,α,D,Dを推定する際の誤差が小さく、ペナンブラ領域などのより精密な描出が可能となる。また、少なくとも5つ以上のb値を予め設定することで、解析モデルの4つのパラメータSo,α,D,Dを確実に推定することができる。
【0020】
請求項の方法および請求項の装置では、MPGをある特定の方向に固定して、b値により強度を変化させているので、複数の拡散強調画像を独立成分分析の対象にする際に、灌流成分と拡散成分を同時に解析の対象とすることができる。
【0021】
請求項の方法および請求項の装置では、灌流成分と拡散成分のそれぞれについて、ほぼ同数のサンプル数を有する拡散強調画像系列を採取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に基づき、本発明における好適な実施例を詳細に説明する。図1は、磁気共鳴装置10の一例を示す全体構成図である。同図において、1は核磁気共鳴を起こすための静磁場発生手段としての静磁場コイルで、これは例えば超伝導磁石や永久磁石などで構成してもよい。2は傾斜磁場発生手段としての傾斜磁場コイルで、静磁場コイル1と傾斜磁場コイル2からなる例えば円筒状のマグネットアセンブリ11内に、検査対象である被験者Aを載置するベッド3が設けられる。4は傾斜磁場駆動回路であり、これはシーケンサ5からの命令を受けて、傾斜磁場コイル2に高電流の駆動信号を供給するためのものである。
【0023】
被験者Aにはその他に、高周波磁場発生手段(RFコイル)として構成される高周波送信器6と、被験者からの磁気共鳴信号を取得する信号検出手段としての受信器7がそれぞれ配置される。シーケンサ5と高周波送信器6との間には、発信器12,変調器13,増幅器14が順に接続され、シーケンサ5からの命令を受けて、被験者A内の原子核スピンを励起させる高周波パルスが、高周波送信器6から被験者Aに印加される。一方、受信器7とシーケンサ5との間には、増幅器17,位相検波器18,A/D変換器19が順に接続され、被験者Aから発生したMR信号を受信器7で検知すると、このMR信号が増幅器17,位相検波器18およびA/D変換器19を通って制御部20に送られる。制御部20は、シーケンサ5からの各制御信号やA/D変換器19からのMR信号を入力として、画像再構成などの信号処理を行なうもので、必要に応じて記憶媒体21に信号や演算結果,測定条件などを記憶させることもできるし、信号処理の結果を表示装置22に表示させることもできる。
【0024】
図2は、本実施例が行なうDWI画像を得るための一般的なパルスシーケンスを示したもので、横軸は時間を表している。そして、最上段のRFは核スピン励起用電磁波としての高周波パルスを示し、以下、Signalは核磁気共鳴信号(MR信号)の波形、Gsはスライス選択励起用傾斜磁場の波形、Grは周波数エンコード用傾斜磁場の波形、Gpは位相エンコード用傾斜磁場の波形、MPGは運動検出傾斜磁場(motion probing gradient)の波形をそれぞれ示している。ここでの高周波パルスは高周波送信器6から被験者に印加されると共に、Gs,Gr,Gpの各傾斜磁場に対応して、傾斜磁場コイル2は3つのコイル部(図示せず)から構成される。
【0025】
本実施例では、前記制御部20がDWI画像を生成できるようにするために、図2に示す分子拡散(ブラウン運動)を強調するような二つの運動検出傾斜磁場MPGを、傾斜磁場コイル2から印加している。すなわちDWI画像は、通常、水分子の拡散の度合いを画像化したものを指すが、その画像化には、図2に示すようなスピンエコー採取型のパルスシーケンスに、拡散のプローブとなる傾斜磁場(MPG)をある時間間隔(t1,t2)を持つペアとして組み込んだものが用いられる。最初の時間t1のMPG印加により、各スピンはそれぞれの存在する場所に応じた強度の傾斜磁場を感受するため、歳差運動の周波数が場所毎に変化し、位相変化が生じる。この位相変化は傾斜磁場の印加量(強度と時間の積)に従う。その後、時間1と同じ形状のMPG印加が時間t2に行われると、静止した部位では時間t1と時間t2のMPG印加時点におけるスピンの場所が同じであるため、時間t2のMPG印加によって上記位相変化が相殺され、MPG印加に起因するMR信号量の減少は起こらない。
【0026】
一方、動きのある部位では、時間t1と時間t2のMPG印加時点におけるスピンの場所が異なるため、時間t2のMPG印加によって上記位相変化が相殺されず、MR信号量が減少する。特に、運動が一定の速度である場合には位相変化は一定量となるが、ランダムな動きの場合には位相の分散と共に信号量の減少が大きくなる。以上のメカニズムにより、計測部位の動きやすさ(拡散係数)を、MRI画像のコントラストとして反映したDWI画像を得ることができる。
【0027】
このように、付加的な傾斜磁場MPGを用いて拡散を重みとする核磁気共鳴信号を得る方法は、ステジェスカル(Stejskal)氏とタナー(Tanner)氏によって「ジャーナル オヴ ケミカル フィジックス(Journal of Chemical Physics),第42巻(Vol.42),1965年,pp.288〜292)」のなかで提案されたものであり、1965年にまで遡る。拡散に対する感度はMPGの振幅(磁場勾配の大きさ),勾配の印加時間および二つのMPGの間隔で決まり、b値と呼ばれるパラメータによって表わされる。つまり、本発明の提案するb値系列は、実際にはMPGの大きさによって制御される。拡散の大きさは拡散係数Dで表わされるが、この場合の信号減衰はexp(−bD)で与えられる。しかしながら、DWIが捉えるのは純粋な物理量としての拡散ではなく、生体組織の構造による種々の拘束を受けた状態での制限拡散や(微視的な)流れの成分を含むみかけの拡散であるため、信号減衰が単一の指数関数で表現できるという仮定が厳密には成り立たない。また、拡散は方向依存性を有するため、みかけの拡散係数(apparent diffusion coefficient:ADC)は本質的にはテンソル量として取り扱う必要があるが、本発明の範疇においては、MPGをある特定の方向に固定して印加した場合のADCをスカラー的(方向性は考慮しない)に取り扱い、これをDで表すこととする。
【0028】
本実施例における磁気共鳴画像処理方法は、少なくとも5つ以上の異なるb値を使うことで灌流と拡散の両方に同程度の感度を持つようなDWIデータを採取し、そこからペナンブラ領域に相当する画像成分を抽出することを特徴としている。その際、サンプル数の増加に見合うだけの精度の向上を見込めるような解析モデルを設定するのは困難であるため、近年盛んに研究が進められている独立成分分析(independent component analysis:ICA)と呼ばれる統計処理を用いる。独立成分分析はデータ駆動型の成分分離を可能とするものであり、何らの仮定無しに灌流と拡散の特徴的な空間分布を有する画像を得ることが期待されるためである。
【0029】
因みに、拡散強調画像に独立成分分析を適用する概念は、米国のアーファナキス(Arfanakis)氏らによって2002年に提案されている(磁気共鳴医学会誌(Magnetic Resonance in Medicine),第47巻(vol.47),2002年,pp.354-363)。しかし、当該方法は拡散のプロ−ブとなる傾斜磁場(MPG)の方向をいく通りかに変化させた複数の拡散強調画像を用いるというものであり、拡散感度(プロ−ブの強度)は固定している。すなわち、この方法で得られるのはいわゆる等方拡散成分に相当する画像であり、体動の影響が軽減される点がその主たる効果として挙げられている。複数の拡散強調画像を独立成分分析の対象とする点では本発明と共通しているが、本発明においては脳内微小循環成分と拡散成分を同時に解析の対象とするべく、拡散プローブの方向ではなくその強度を変化させており、目的および方法論の本質的な部分が根本的に相違する。
【0030】
次に、上述した本発明独自の方法を装置として実現するべく、制御部20の特に磁気共鳴画像処理装置30としての機能的な構成を図3に示す。制御部20の一部を成す磁気共鳴画像処理装置30は、拡散と灌流の両方に同程度の感度を持つDWIデータ(拡散強調画像系列)を採取できるような、少なくとも5つ以上の異なる前記b値を設定するb値設定手段31と、この設定された各b値に基づき、多数の独立したピクセル(画素)で構成される拡散強調画像系列を収集する拡散強調画像収集手段32と、拡散強調画像収集手段32で得た拡散強調画像系列の行列に独立成分分析を適用することで、互いに統計的に独立した灌流および拡散の画像成分からなる行列と当該画像成分の振幅系列を含む混合行列との積に分解するICA適用手段33と、前記各画像成分の振幅系列を、4つのパラメータを有するペナンブラ描出のための解析モデルに当てはめて、前記各パラメータ値を推定し、この推定した各パラメータ値に基づき、前記画像成分の中から例えばペナンブラ領域に相当すると考えられる特定の画像成分を抽出する解析モデル適用手段34と、を備えている。また特に、ICA適用手段33と解析モデル適用手段34は、拡散強調画像収集手段32で収集した拡散強調画像系列を信号処理することにより、関心のある領域の成分画像を抽出する画像抽出手段35に相当する。
【0031】
なお、記憶媒体21や表示装置22を含む磁気共鳴画像処理装置30の各構成は、例えば計算処理機能を有するパーソナルコンピュータなどにより、図1に示す磁気共鳴装置10から独立させてもよい。こうすれば、既存の種々なタイプの磁気共鳴装置10に対して、オプションとして共通の磁気共鳴画像処理装置30を用いることができる。勿論、磁気共鳴装置10の一部に、最初から磁気共鳴画像処理装置30が組み込まれていても構わない。
【0032】
次に、図4に基づいて、上記磁気共鳴画像処理装置30における作用を説明する。この図4は、拡散と灌流を同時に解析するための方法、すなわち、b値設定手段31で設定したN個のb値(=b…b)に基づき、拡散強調画像収集手段32が最適な拡散強調画像系列を収集し、この拡散強調画像系列の行列に対して、ICA適用手段33が独立成分分析を適用するまでの手順を、模式的に示したものである。
【0033】
先ず、前述の数3〜数5において、制限拡散成分のみかけの拡散係数は、高々10-3[mm2/s]のオーダーであるが、微小循環成分を拡散係数に換算すると10-2[mm2/s]のオーダー以上の値になる。ここで、拡散の感度であるb値を小さく設定すれば、DWIの信号強度は拡散と微小循環(灌流)成分の両方の影響を受けるが、ある程度大きなb値では、灌流成分の信号は完全に消失してしまうため、拡散成分に相当する信号のみが残る。これが、前記非特許文献1において、ル ビーアン氏らが数3〜数5の各式を提案した根拠である。
【0034】
本発明ではこの考えを拡張し、前記b値を、好ましくは0から1000[s/mm2]程度までの範囲内で灌流と拡散の2つの成分について同等量の情報を含むようにし、かつ、後に述べるフィッティングの自由度の要請から、5つ以上設定する(b,b,…,b,N>4)(図4の(a)を参照)。b値系列の具体的な設定方法については、後ほど説明するが、いずれにせよ最適なb値の設定は、b値設定手段31により行われ、このb値に基づく拡散強調画像系列が、拡散強調画像収集手段32によって収集される。拡散強調画像は、拡散強調画像収集手段32自体が再構成してもよいし、拡散強調画像収集手段32以外の制御部20が再構成してもよい。
【0035】
次いで解析の第一段階として、独立成分分析(ICA)による成分分離を行なう。磁気共鳴画像の解析に独立成分分析を用いる考えは、1998年に米国のマッケオン(McKeown)氏らによって最初に提案された(米国科学アカデミー紀要(Proc Natl Acad Sci USA),第95巻(vol.95),1998年,pp.803〜810;ヒューマン ブレイン マッピング(Hum Brain Mapp),第6巻(vol.6),1998年,pp.160〜188)。解析の対象は機能的磁気共鳴画像(functional MRI;fMRI)の時系列データであったが、個々の画像を構成するピクセルの集合をそれぞれ単一の行ベクトルに置き換えることで画像時系列全体を一つの入力行列として表現し、これを独立成分分析の対象とした点に方法論としての汎用性が認められる。これにより互いに空間的に独立な成分を抽出し得ることが示され、fMRI解析の場合の具体的効果として、脳賦活に関連した画像成分といわゆるアーチファクト成分を分離できることが挙げられた。本発明においても、詳細な脳機能解析を実現する方法論として独自の実験デザインの手法と独立成分分析との融合を行ない、その過程で磁気共鳴画像に適合性の高い独立成分分析のアルゴリズムの検討等、関連技術の習熟やノウハウの蓄積を行なっている。
【0036】
本発明では、先ず拡散強調画像収集手段32で取得した拡散強調画像系列を、上述したマッケオン氏らにより提案された方法に基づき、列数を拡散強調画像のピクセル数Mとし(列数=ピクセル数M)、行数を収集した拡散強調画像の数N(行数=系列数N)とする単一のデータ行列Xに変換する(図4の(b)を参照)。ここでの各行列要素は、該当するピクセルの強度(輝度)を値として持つ。次に、データ行列Xに独立成分分析(ICA)を適用し、このデータ行列Xを、互いに統計的に独立な画像成分からなる灌流および拡散成分の画像に対応した行列Sと、混合行列Aとの積に分解する(図4の(c)を参照)。これらの一連の手順は、全てICA適用手段33によって行なわれる。データ行列Xの分解は、次の数6および数7のように示される。
【0037】
【数6】
【0038】
【数7】
上記各数式で、記号の上に記されている波は推定量を表す。ICA適用手段33は、実際には数7に示すように、行列Aの逆行列Wを推定する。多くの場合、行列Wは白色化行列Qと回転行列Uの積で与えられるが、白色化の手続は特異値分解のような標準的手法を用いて行なうことができるので、独立成分分析のアルゴリズムを見出すことはいかにして最適な行列Uを推定するかということと等価になる。行列Uを推定するためには、統計的独立性の何らかの近似的評価量を設定し、それを最大化(あるいは最小化)する方法を見出す必要がある。ICAの実践的アルゴリズムは種々提案されているが、本発明では経験的な判断から、フランスのカルドソ(Cardoso)氏らによって開発されたJADE(米国電気電子学会会報(IEEE Proceedings-F),第140巻(vol.140),1993年,pp.362-370)を採用する。
【0039】
こうして、ICA適用手段33により得られる独立成分の数N’は、前述の系列数Nに等しいか、それよりも小さい(N’≦N)。真の成分数を事前に知ることはできないため、いくつかのN’についての結果を比較する必要がある。比較のための解析モデルに関しては、後ほど説明する。
【0040】
なお、独立成分分析として採用するアルゴリズムは、上述したものに限定されない。但し、本実施例では灌流と拡散の各成分を正しく分離できるような、ある程度の精度を要求される。また、アルゴリズムによっては処理速度に違いがるので、拡散強調画像収集手段32が取得する拡散強調画像系列の数(=N)を考慮して、処理時間が極端に長くならず、かつある程度の精度を有するアルゴリズムを、ICA適用手段33に組み込めばよい。
【0041】
次に、前述したb値設定手段31に関し、有効なb値系列の設定方法を詳述する。
【0042】
ICAで分離される成分の中にペナンブラ領域に相当するものが含まれることを保証するには、灌流成分について十分なサンプル数を持つような拡散強調画像系列のデータを得る必要がある。そこで、b値の小さいところでは増分を小さくすることにより、系列全体のサンプル数Nを灌流成分と拡散成分とに効果的に配分する意図のもと、例えば次の数8や数9で与えられるような等比数列的なb値系列の算出手段を、b値設定手段31に組み込むのが好ましい。
【0043】
【数8】
【0044】
【数9】
上記各式において、aとrは初期の刻み幅と増加率にそれぞれ対応した任意の増分パラメータであり、これはbの最大値の条件を満たすように適切な値を設定する。このような算出手段を組み込んだb値設定手段31があれば、パラメータa,rと、最小b値であるbminと、サンプル数Nをキーボードなどの入力手段から入力するだけで、灌流成分について十分なサンプル数を持つような複数のb値が設定され、このb値に対応するMPGを印加して得た拡散強調画像を、拡散強調画像収集手段32によって自動的に収集することが可能になる。
【0045】
また、別なb値設定手段31として、予め上記数式に基づく算出手段によって算出された一乃至複数のb値系列を記憶媒体21に記憶させておき、必要に応じてそこから最適なb値系列を読み出し、設定してもよい。いずれにせよ、上記数式8や数式9のような等比数列を導出する算出手段を利用すれば、b値が大きくなるに従って、その間隔が次第に広がるようなb値系列を設定でき、灌流(脳内微小循環)成分と拡散成分のそれぞれについて、ほぼ同様のサンプル数を有する拡散強調画像系列を採取することが可能になる。
【0046】
続いて、前記ICA適用手段33で分離した独立成分画像の振幅系列に対して、信号モデルの当てはめを行ない、ぺナンブラ領域に相当する成分画像を自動的に選び出す手順について説明する。
【0047】
前記ICA適用手段33で得た混合行列Aの列ベクトル要素は、それぞれ対応する成分画像の振幅系列として解釈できる。そのため、この混合行列Aの列ベクトル要素に対して、解析モデル適用手段34が適切な解析モデルへの当てはめを行うことにより、成分画像の各々に意味付けを行うことができる。ここでは、ペナンブラ描出のための解析モデルとして、以下に示すような2成分モデルを提案する。
【0048】
【数10】
ICA適用手段33による独立成分分析によって、予め成分分離がなされていることが、このような単純な解析モデルの利用を可能とする。実際には、観測データである成分画像の振幅S(b)が、上記2成分モデルの特性線に完全に一致する訳ではないので、解析モデル適用手段34は、非線形最小二乗法等により上記数10への観測データの当てはめを行なうことによって、4つのパラメータSo,α,D,Dをそれぞれ推定する。b値設定手段31がb値系列に5個以上のサンプルを設定しているのは、このためである。なお、数10のパラメータSoはMPGを印加していない状態での振幅、パラメータαは灌流成分の占める割合(体積比)、パラメータD,Dは、各信号減衰の項に対応した減衰係数である。
【0049】
上記数10の式では、二つの減衰成分に特定の意味付けがなされているわけではなく、単に2種類の信号減衰が、α:1−αの比率で含まれることが仮定されているに過ぎない。灌流と拡散の成分が両方とも含まれる場合には、各々の成分に特徴的な値が減衰係数D,Dに割り当てられることが期待される。もし灌流成分が含まれないような画像が分離された場合にはα=0となり、Dは拡散成分の減衰係数を与えるはずである。また、脳脊髄液(cerebral blood flow;CSF)のように水分子の自由拡散の拡散係数、あるいはそれよりも若干大きなみかけの拡散係数を示すような成分も、数10の式で検出可能である。ペナンブラ領域は、灌流成分の比率αが小さく、拡散成分の減衰係数Dが正常組織のそれに近い画像成分として抽出することができる。
【0050】
前記解析モデルの当てはめによる観測データとの残差は、その観測データと解析モデルとの適合度合いを表す。従って、異なる成分数N’で独立成分分析を行ったセットに対して、ペナンブラ領域に相当すると考えられるパラメータを有する画像成分について、その残差が最小になるものを選び出せば良いことになる。
【0051】
こうして前記解析モデル適用手段34は、ICA適用手段33で得た混合行列Aに含まれる観測データを上記解析モデルに当てはめることで、予め設定したb値に基づく拡散強調画像系列から、ペナンブラ領域のみならず、他の特徴となる領域の画像をも抽出することができる。そのため、特に灌流成分の評価に際して、従来のSPECTやPETのような他の撮像モダリティを必要としない。また、従来の方法では不可能な高い精度での灌流および拡散成分の画像化によって、ペナンブラ領域の精密な描出が可能となる。さらに、上記解析モデル適用手段34において、ペナンブラ領域を抽出するための解析モデルが、上述した行列Sと混合行列Aの成分分離後に行われるので、解析モデルのパラメータを推定する際の誤差が小さく、この点でもペナンブラ領域の精密な描出が可能となる。
【実施例】
【0052】
本発明の作用は、計算機シミュレーションによって示すことができる。図5および図6は、本発明の有効性を実験的に示すためのシミュレーションモデルの一例をあらわしており、図5では、A〜Dに示すような4つの特徴的空間分布の組み合わせにより、正常組織の拡散に相当する部分と、正常な灌流を表わす部分と、虚血により障害を受けた結果、みかけの拡散係数(ADC)が著名に低下した領域と、脳脊髄液に相当する部分と、からなる4つの成分を混合した拡散強調信号モデルを作成している。また、図5の右枠には、0〜1800[s/mm2]の範囲で、前述のように灌流と拡散の2つの成分について同等量の情報を含むような、21個のb値系列に対応する拡散強調画像系列が示されている。
【0053】
図6は、前記図5に示す21個の拡散強調画像系列に独立成分分析を適用して得られた画像成分(IC1〜IC4)と、それらに対応する振幅系列のプロット(横軸はb値,縦軸は振幅S(b))とを示している。また、右側にある数字は、数10にある解析モデルの式の当てはめによって推定された各パラメータ値である。このシミュレーション結果から判るように、解析モデル適用手段34で抽出された4つの画像成分のうち、灌流成分の比率αが極端に小さく、かつ、拡散成分の減衰係数D2が正常組織のそれに近いものとして、ペナンブラ領域を表すIC2の画像成分が単独で分離され得る。
【0054】
以上のように本実施例では、少なくとも0〜1000[s/mm2]の範囲を含み、好ましくは等比数列的に抽出された拡散の感度をあらわすb値を複数個設定し、この設定した個々のb値に基づき、核スピンの運動を検出する運動検出傾斜磁場(MPG)の強度を変化させて、各b値に対応した拡散強調画像系列を収集し、この拡散強調画像系列を信号処理することにより、関心のある例えばペナンブラ領域の成分画像を抽出する磁気共鳴画像処理方法を採用している。
【0055】
この場合、予め少なくとも0〜1000[s/mm2]の範囲を含む複数のb値を設定し、この設定したb値に基づいて、被験者に印加するMPGの方向ではなく、MPGの強度を変化させた拡散強調画像系列を収集することで、灌流と拡散のそれぞれについて、ほぼ等しいサンプル数を有する拡散強調画像系列を高い精度で得ることができる。そのため、この拡散強調画像系列を適宜信号処理すれば、灌流の評価に際して別な撮影装置や撮影方法を必要とすることなく、ペナンブラなどの関心のある領域を精密に描出することが可能になる。
【0056】
そして、このような作用効果は、磁気共鳴画像を出力する磁気共鳴装置10に接続され、少なくとも0〜1000[s/mm2]の範囲を含む拡散の感度をあらわすb値を複数個設定するb値設定手段31と、個々のb値に基づき、磁気共鳴装置10において核スピンの運動を検出するMPGの強度を変化させて、各b値に対応した拡散強調画像系列を磁気共鳴装置10から収集する拡散強調画像収集手段32と、収集した拡散強調画像系列を信号処理することにより、関心のある例えばペナンブラ領域の成分画像を抽出する画像抽出手段35と、を備えた磁気共鳴画像処理装置30によっても実現できる。
【0057】
また本実施例では、収集した拡散強調画像系列に独立成分分析(ICA)を適用して、統計的に独立した画像成分に分解し、この独立画像成分の振幅系列に解析モデルを当てはめることで、関心のある例えばペナンブラ領域の成分画像を抽出する方法を採用している。
【0058】
この場合、拡散強調画像系列を独立成分分析の対象とすることにより、特定のモデルに依存せずに灌流および拡散の画像データを得ることができ、そこから例えばペナンブラなどの関心のある領域の成分画像を精密に抽出することが可能になる。
【0059】
そして、このような作用効果は、収集した拡散強調画像系列に独立成分分析を適用して、統計的に独立した画像成分に分解するICA適用手段33と、このICA適用手段で得た独立画像成分の振幅系列に解析モデルを当てはめることで、前記関心のある領域の成分画像を抽出する解析モデル適用手段34と、を画像抽出手段35に備えた磁気共鳴画像処理装置30によっても実現できる。
【0060】
さらに本実施例では、前記b値が5個以上設定され、収集した拡散強調画像系列を、列数を拡散強調画像のピクセル数Mとし、行数を収集した拡散強調画像の数Nとする単一のデータ行列Xに変換し、この変換したデータ行列Xに対して独立成分分析(ICA)を適用することで、統計的に独立した灌流および拡散成分の画像に対応した行列Sと、混合行列Aとの積に分解し、混合行列Aに含まれる独立画像成分の振幅S(b)の系列に、数10の式に示す解析モデルを当てはめ、ここにある4つのパラメータSo,α,D,Dをそれぞれ推定することで、関心のある例えばペナンブラ領域の成分画像を抽出する方法を採用している。
【0061】
この場合、ペナンブラ領域を抽出するための解析モデルが、灌流および拡散成分の画像に対応した行列Sと混合行列Aとの成分分離後に行われるので、解析モデルのパラメータSo,α,D,Dを推定する際の誤差が小さく、ペナンブラ領域などのより精密な描出が可能となる。また、少なくとも5つ以上のb値を予め設定することで、解析モデルの4つのパラメータSo,α,D,Dを確実に推定することができる。
【0062】
そして、このような作用効果は、b値設定手段31が前記b値を5個以上設定するように構成し、かつ画像抽出手段35が、収集した拡散強調画像系列を、列数を拡散強調画像のピクセル数Mとし、行数を収集した拡散強調画像の数Nとする単一のデータ行列Xに変換し、この変換したデータ行列Xに対して独立成分分析(ICA)を適用することで、統計的に独立した灌流および拡散成分の画像に対応した行列Sと混合行列Aとの積に分解するICA適用手段33と、混合行列Aに含まれる独立画像成分の振幅S(b)の系列に、数10の式に示す解析モデルを当てはめ、ここにある4つのパラメータSo,α,D,Dをそれぞれ推定することで、関心のある例えばペナンブラ領域の成分画像を抽出する解析モデル適用手段34と、を備えた磁気共鳴画像処理装置30によっても実現できる。
【0063】
さらに本実施例では、前記被験者へのMPGの印加方向を固定している。この場合、MPGをある特定の方向に固定して、b値により強度を変化させているので、複数の拡散強調画像を独立成分分析の対象にする際に、灌流成分と拡散成分を同時に解析の対象とすることができる。
【0064】
そしてこれは、前記磁気共鳴装置10によるMPGの印加方向を固定させるような拡散強調画像収集手段32を備えることでも実現できる。
【0065】
さらに本実施例では、b値が大きくなるに従って、その間隔が次第に広がるように、例えば数式8や数式9に当てはめて各々のb値を設定しているので、灌流成分と拡散成分のそれぞれについて、ほぼ同数のサンプル数を有する拡散強調画像系列を採取することができる。
【0066】
そしてこれは、前記b値が大きくなるに従って、その間隔が次第に広がるように、各々の前記b値を設定するb値設定手段31を備えていても実現できる。
【0067】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施例を示す磁気共鳴装置の構成をあらわしたブロック図である。
【図2】同上、拡散強調画像を得るための一般的なパルスシーケンスを示す波形図である。
【図3】同上、磁気共鳴画像処理装置の機能的な構成をあらわしたブロック図である。
【図4】同上、拡散と灌流を同時に解析するための方法を模式的にあらわした概略図である。
【図5】同上、本発明の有効性を示すシミュレーションモデルの一例をあらわした概略図である。
【図6】同上、本発明の有効性を示すシミュレーションモデルの一例をあらわした概略図である。
【符号の説明】
【0069】
10 磁気共鳴装置
30 磁気共鳴画像処理装置
31 b値設定手段
32 拡散強調画像収集手段
33 ICA適用手段
34 解析モデル適用手段
35 画像抽出手段

Claims (6)

  1. 少なくとも0〜1000[s/mm2]の範囲を含む拡散の感度をあらわすb値を複数個設定し、
    個々の前記b値に基づき、核スピンの運動を検出する運動検出傾斜磁場(MPG)の強度を変化させて、前記各b値に対応した拡散強調画像系列を収集し、
    前記収集した拡散強調画像系列を信号処理することにより、関心のある領域の成分画像を抽出する磁気共鳴画像処理方法であって、
    前記b値は5個以上設定され、
    前記収集した拡散強調画像系列を、列数を拡散強調画像のピクセル数Mとし、行数を収集した拡散強調画像の数Nとする単一のデータ行列Xに変換し、
    この変換したデータ行列Xに対して独立成分分析(ICA)を適用することで、統計的に独立した灌流および拡散成分の画像に対応した行列Sと、混合行列Aとの積に分解し、
    前記混合行列Aに含まれる独立画像成分の振幅S(b)の系列に、次の式に示す解析モデルを当てはめ、
    (但し、パラメータS o はMPGを印加していない状態での振幅、パラメータαは灌流成分の占める割合、パラメータD ,D は各信号減衰の項に対応した減衰係数である。)
    前記4つのパラメータS o ,α,D ,D をそれぞれ推定することで、前記関心のある領域の成分画像を抽出することを特徴とする磁気共鳴画像処理方法。
  2. 前記MPGの印加方向を固定したことを特徴とする請求項記載の磁気共鳴画像処理方法。
  3. 前記b値が大きくなるに従って、その間隔が次第に広がるように、各々の前記b値を設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気共鳴画像処理方法。
  4. 磁気共鳴画像を出力する磁気共鳴装置に接続され、
    少なくとも0〜1000[s/mm2]の範囲を含む拡散の感度をあらわすb値を複数個設定するb値設定手段と、
    個々の前記b値に基づき、前記磁気共鳴装置において核スピンの運動を検出する運動検出傾斜磁場(MPG)の強度を変化させて、前記各b値に対応した拡散強調画像系列を前記磁気共鳴装置から収集する拡散強調画像収集手段と、
    前記収集した拡散強調画像系列を信号処理することにより、関心のある領域の成分画像を抽出する画像抽出手段と、を備えた磁気共鳴画像処理装置であって、
    前記b値設定手段は、前記b値を5個以上設定するものであり、
    前記画像抽出手段は、
    前記収集した拡散強調画像系列を、列数を拡散強調画像のピクセル数Mとし、行数を収集した拡散強調画像の数Nとする単一のデータ行列Xに変換し、この変換したデータ行列Xに対して独立成分分析(ICA)を適用することで、統計的に独立した灌流および拡散成分の画像に対応した行列Sと混合行列Aとの積に分解するICA適用手段と、
    前記混合行列Aに含まれる独立画像成分の振幅S(b)の系列に、次の式に示す解析モデルを当てはめ、
    (但し、パラメータS o はMPGを印加していない状態での振幅、パラメータαは灌流成分の占める割合、パラメータD1,D2は各信号減衰の項に対応した減衰係数である。)
    前記4つのパラメータS o ,α,D ,D をそれぞれ推定することで、前記関心のある領域の成分画像を抽出する解析モデル適用手段と、からなることを特徴とする磁気共鳴画像処理装置。
  5. 前記拡散強調画像収集手段は、前記磁気共鳴装置による前記MPGの印加方向を固定させるものであることを特徴とする請求項記載の磁気共鳴画像処理装置。
  6. 前記b値設定手段は、前記b値が大きくなるに従って、その間隔が次第に広がるように、各々の前記b値を設定するものであることを特徴とする請求項4または5に記載の磁気共鳴画像処理装置。
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