JP4961253B2 - 包装容器用蓋 - Google Patents

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Description

本発明は、包装容器(缶容器)の蓋として用いられる包装容器用蓋に係り、特に、缶内圧が高い正内圧缶(陽圧缶)に使用される包装容器用蓋に関するものである。
従来から、炭酸飲料やビール等の発泡性飲料を内容物とする飲料缶、あるいは、内容物の充填時に液体窒素を滴下した飲料缶のような缶内圧の高い正内圧缶(陽圧缶)においては、製缶の際の経済性や省資源の観点から、強度を維持して、缶容器の板厚をできるだけ薄くして使用材料を減らすような努力が図られている。また、缶容器の端板部となる蓋(以下、適宜、缶蓋という)の部分についても同様な使用材料の削減が図られている。
しかし、このように蓋の使用材料を削減する場合、金属板の板厚を薄くすればその分だけ蓋の耐圧強度が低下する。ここで、ビールや炭酸飲料等を内容物とする内圧の高い飲料缶では、高い缶内圧により蓋の周辺部分が反転してパネル部が缶外方に膨出する、所謂バックリングという現象が起きることがある(詳細は後述する)。そして、蓋の耐圧強度が低下すると、このようなバックリングが起きやすくなり、バックリングが発生すると、缶胴と缶蓋の巻締部が破壊されて、缶蓋が缶胴から外れることで内容物が周囲に飛び散る、所謂ブローオフと呼ばれる現象が起きることがあるという問題があった。
このような背景の中、耐圧強度の低下を補うために、蓋の形状について、耐圧性能を高くするための様々な工夫が行われている。
例えば、カウンタシンクの形状において、カウンタシンクを構成する第2の湾曲部分の第2半径および中央板の高さ(パネルハイト)を所定に規定することで、強度を高めた薄板金製蓋や、座屈を生じることなしに、所定形状の強化環状溝(カウンタシンク)を有することで耐バックリング性の向上を図った耐圧容器用の端壁の製造方法について開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、中央パネルの周縁部に、内側垂直壁、低壁部、強化環状溝、チャックウォールを備えることで、耐バックリング性を改善した耐圧容器用端壁や、強化用の環状溝の底壁部の曲率半径を小さくすることで、耐バックリング性を向上させた耐圧缶用蓋や、周辺シーミングパネルと、円錐台形状の壁と、アンティービーキングビート(カウンタシンク)と、環状壁(パネル壁)と、センタパネルとを備え、アンティービーキングビートを所定の形状とすることで、耐久性を向上させた缶端等が開示されている(例えば、特許文献3〜5参照)。
ところで、蓋の主材料として使用する金属板については、従来、強度、耐食性、成形性の観点から、Al−Mg系のJIS−5052、5082、5182等のアルミニウム合金板が一般的に用いられており、特にビールや炭酸飲料等を内容物とする内圧の高い飲料缶の缶蓋では、耐圧強度の観点から高強度のJIS−5182材が多く用いられている。しかし、そのような缶蓋用のアルミニウム合金板は、圧延されていることで強度の異方性が大きくなっており、金属板の圧延方向(圧延方向に対して0°方向)やそれと直交する方向(圧延方向に対して90°方向)の強度に比べて、45°方向(圧延方向に対して45°方向)の強度が小さくなっている。そこで、このような缶蓋用のアルミニウム合金板を製造する段階で、強度の異方性をできるだけ少なくするような工夫が従来から行われている。
このように、使用する金属板の強度の異方性を少なくすることで、耐圧強度を向上させる技術として、例えば、圧延方向に対し直角な方向の平均結晶粒径や板表面における金属間化合物の数を規定することで、強度異方性を少なくしたアルミニウム合金硬質板や、焼付塗装板の機械的性質の異方性を、圧延方向に対し、0°と45°方向での耐力の差で所定以下とし、また、0°方向の耐力を所定に規定することで、内圧による亀裂を発生しにくくしたキャンエンド用Al合金焼付塗装板について開示されている(例えば、特許文献6、7参照)。
特開昭60−183353号公報(第1頁左下欄5行目〜14行目、図1) 特開平2−192837号公報(第2頁右上欄1行目〜左下欄8行目) 実開平2−131931号公報(第4頁12行目〜17行目、第1図) 特開平3−275443号公報(第2頁右下欄8行目〜第3頁左上欄19行目、第4図) 特表平3−503140号公報(第5頁左下欄17行目〜右下欄16行目、図18) 特開平5−5149号公報(段落0014〜0017) 特開平9−256097号公報(段落0007、0008)
しかしながら、従来の包装容器用蓋においては、以下に示す問題があった。
前記したように、耐圧性を高くするために耐圧性能の高い形状に蓋を成形したり、耐圧強度の高いアルミニウム合金板を使用して蓋を製造したりしても、何らかの原因(例えば、夏場の自動車内のダッシュボードで飲料缶が異常な高温に曝される等)によって缶内圧が異常に高くなると、前記したバックリングが起きることがあり、このバックリングにより、ブローオフが起きる場合があった。そして、このようなバックリングが起きる際には、金属板の強度異方性を少なくしている場合であっても、金属板の圧延方向に対して45°方向からバックリングが発生しやすい傾向にあることには変わりはない。
すなわち、前記したバックリングは、異常に高くなった缶内圧が、蓋に内側から作用することで、カウンタシンク(環状溝)の溝底を突き上げるようにチャックウォール部(後述する図1参照)が上方に反転し、パネル部が缶外方に膨出するようにして起こるが、このようなバックリングの発生時には、蓋の周辺部分(チャックウォール部や環状溝やパネル部の外周部分)に起きる変形(角だし変形)が、強度が小さく変形しやすいライン、すなわち、金属板の圧延方向と45°の角度で蓋の中心を通る仮想線上(後述する図1参照)(以下、適宜、圧延方向に対して45°方向という)の部分に集中して起きる。そして、図3(a)、(b)に示すように、強度が小さく変形しやすいラインを山折りの屈曲線として、缶外方に突出した角出し部10が蓋1の周辺部分で形成される(ここでは、図3(a)、(b)では、圧延方向に対して45°方向に角出し部10が形成されたものとして示す)。
このように、蓋1の中心を通って圧延方向と45°の方向に延びる仮想線上の部分に変形が集中して、該仮想線に沿って蓋1の周辺部分に角出し部10が形成され、この角出し部10によって引っ張られる状態で、チャックウォール部に続く巻締部の缶蓋側(カバーフック)と缶胴側(ボディフック)の係合状態が引き延ばされる。そして、図4に示すように、缶胴と缶蓋(蓋1)の巻締部が破壊されて蓋1が缶胴から外れ、ブローオフの発生に至ることがある。
具体的には、最初に角出し変形が生じた後に、さらに圧力を加え続けると、最初に生じた角出し部10はさらに高く突き出すように変形するが、その角出し部10の周辺部分は元の形状にとどまるため角出し部10の成長を拘束することになり、角出し部10とその周囲に引張り応力が作用し、場合によっては素材(金属板)の破断あるいはブローオフを生じさせる。ここで、圧延方向と90°あるいは圧延方向と平行な、素材強度が高い方向の蓋1の周辺部分から最初の角出し変形が生じた場合、引き続き圧力が増加した場合にも、最初の角出し部10は、隣接する圧延方向と45°方向の部分より素材強度が高いため、前記の破断あるいはブローオフが生じにくい。これに対して、圧延方向と45°の素材強度が低い方向の蓋1の周辺部分から最初の角出し部10が生じた場合、引き続き圧力が作用すると、角出し変形部は以降の変形に対して、隣接する強度がより高い部分からの変形の拘束を受けることになり、角出し部10やチャックウォール部の引張り応力が増大して、巻き締め部の破断あるいはブローオフが生じやすくなる。特に、材料合理化のために金属板を薄肉化した上に、巻締部の幅(高さ)を通常よりも小さくした、所謂ミディシームやミニシームと呼ばれる巻締部の場合には、ブローオフ現象が起こりやすいという問題がある。
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、耐圧性を向上させると共に、缶内圧が異常に上昇してバックリングが発生しても、ブローオフが起きるのを防止することができる包装容器用蓋を提供することにある。
本願発明者等が鋭意研究した結果、これらの問題を解決させるため、アルミニウム合金板の圧延方向に対して45°方向のパネルハイトと、圧延方向に対して90°方向および圧延方向に対して平行方向のパネルハイトとを所定の関係に規定することで、圧延方向に対して45°方向の強度が小さく変形しやすい蓋の周辺部分に角出し部が形成されないように、角出し部の方向(角出し方向)を制御できることを見出した。なお、パネルハイトとは、カウンタシンクの底部分と、パネル中央部の間の高さの差を意味する(後述する図1(c)参照)。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明に係る包装容器用蓋は、アルミニウム合金板より製造された略円板状のパネル部の外周端部に、カウンタシンクが形成された包装容器用蓋において、前記アルミニウム合金板の圧延方向と45°の角度で蓋の中心を通る仮想線に対し、この仮想線上での前記外周端部のパネルハイトをH45とし、圧延方向と90°の角度および圧延方向と平行な角度で蓋の中心を通る仮想線に対し、この仮想線上での前記外周端部のパネルハイトをH90としたときに、H45>H90を満足し、かつ、前記圧延方向と45°の角度における仮想線上での外周端部から、前記圧延方向と90°の角度および圧延方向と平行な角度における仮想線上での外周端部へ向かい、パネルハイトが連続的に低くなるように形成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、耐圧性が向上し、また、バックリングの発生時に、アルミニウム合金板の圧延方向に対して45°方向の強度が小さく変形しやすい部分に、蓋の周辺部分に起きる角出し変形が集中することがなく、代わって圧延方向と90°の角度および圧延方向と平行な角度において角出し変形が生じる。そのため、圧延方向に対して45°方向の蓋の周辺部分で角だし部が形成されにくくなる。
本発明に係る包装容器用蓋は、前記カウンタシンクにおけるパネルハイトが、1.85〜3.0mmであることを特徴とする。
このような構成によれば、成形性を低下させることなく、蓋の耐圧強度を確保することができる。
本発明に係る包装容器用蓋は、前記パネルハイトH45および前記パネルハイトH90の比率(H45/H90)が、1.05〜1.33であることを特徴とする。
このような構成によれば、成形性を低下させることなく、耐圧性がより向上し、また、アルミニウム合金板の圧延方向に対して45°方向の蓋の周辺部分で角だし部がより形成されにくくなる。
本発明に係る包装容器用蓋は、前記アルミニウム合金板が、Mg:2〜6質量%を含むことを特徴とする。
このような構成によれば、蓋の耐力が向上するため、耐圧性がさらに向上する。また、アルミニウム合金板の加工硬化性能も向上する。
本発明に係る包装容器用蓋によれば、圧延方向に対して45°方向の素材強度が弱く、角出し変形しやすい部分のパネルハイトを、他の方向に比べて大きくすることで、この部分でのカウンタシンクの補強効果をより強めることができる。この補強効果により強度的に弱い圧延方向に対して45°の方向では、角出し変形が生じにくくなり、耐圧強度を高めることができる。
また、パネルハイトの関係を「H45>H90」としたことにより、圧延方向に対して90°および平行な方向では、カウンタシンクの補強効果が相対的に弱められるため、結果的にこれらの方向においての角出し変形が、圧延方向に対して45°の方向よりも生じやすくなり、これら素材強度の高い方向から角出し変形を生じさせることができ、角出し変形の方向の制御が可能となる。
そして、本発明による角出し方向の制御、すなわち、角出し方向を圧延方向と90°あるいは圧延方向と平行な方向に発生させることにより、巻締部の破壊により内容物を周囲に飛散させるようなブローオフ現象が起きるのを防止することができる。
まず、本発明に係る包装容器用蓋(以下、適宜、蓋という)について、適宜、図面を参照して説明する。
図1は、包装容器用蓋の構造を示す模式図であり、(a)は、蓋の上面形状を示す模式図、(b)は、カウンタシンク近傍の拡大断面図、(c)は、パネルハイトを示す模式図、図2は、包装容器用蓋のカウンタシンクの構造を示す模式図であり、圧延方向から見た蓋の断面模式図、図3は、蓋のバックリング状態を示す模式図であり、(a)は、1箇所の角出し部を形成したバックリング状態を示す模式図、(b)は、蓋の全周で角だし部を形成したバックリング状態を示す模式図、図4は、包装容器がブローオフした状態を示す模式図、図5は、カウンタシンクを有する蓋の成形工程を示す模式図であり、(a)は、その周囲にチャックウォール部およびフランジカール部があらかじめ成形された金属板材(蓋)を金型にセットした状態を示す模式図、(b)、(c)は、カウンタシンクが成形される様子を示す模式図である。
<蓋の形状>
図1(a)、(b)に示すように、蓋1は、中央部分である略円板状のパネル部2の外周端部に、下方(缶内側)に窪むように補強用のカウンタシンク(環状溝)3が形成されている。そして、カウンタシンク3の外縁に続いてチャックウォール部4が外方に傾斜して立ち上がり、このチャックウォール部4の上端はフランジカール部5の内縁曲壁部分5aに連なっている。そして、外縁部が曲壁部分(外縁曲壁部分5b)として下方内側にカールされたフランジカール部5は、図示しないが、その裏面側に有機高分子製のシール剤が塗布されてから、缶本体(缶胴)のフランジ部の上に載置されて、缶本体のフランジ部と二重巻締めされることとなる。
蓋1は、アルミニウム合金板より製造されるものであり、図1(a)、(c)、図2に示すように、アルミニウム合金板の圧延方向(圧延方向に対して0°方向)と45°の角度で蓋1の中心Oを通る仮想線L1、L2に対し、この仮想線L1、L2上での外周端部のパネルハイトHをH45とし、アルミニウム合金板の圧延方向と90°の角度および圧延方向と平行な角度(圧延方向と0°の角度)で蓋1の中心Oを通る仮想線X、Yに対し、この仮想線X、Y上での外周端部のパネルハイトHをH90としたときに、「H45>H90」の関係を満足するものである。
ここで、パネルハイトHとは、図1(c)に示すように、蓋1のパネル部2の水平な箇所から、カウンタシンク3の溝の底部までの長さ、すなわち、カウンタシンク(環状溝)3の深さのことである。
パネルハイトHの関係が「H45≦H90」であると、耐圧性の向上を図ることができない。また、バックリングの発生時に、アルミニウム合金板の圧延方向に対して45°方向の強度が小さく変形しやすい蓋1の周辺部分に応力が集中して角だし部10が形成され(図3(a)、(b)参照)、ブローオフが起きやすくなる。
さらに、図2に示すように、圧延方向と45°の角度における仮想線L1、L2上での外周端部から、圧延方向と90°の角度および圧延方向と平行な角度における仮想線X、Y上での外周端部へ向かい、パネルハイトHが連続的に低くなるように形成する。
すなわち、図2に示すように、仮想線L1、L2上での外周端部のパネルハイトH45から、仮想線X、Y上での外周端部のパネルハイトH90へ向かうにつれて、カウンタシンク3の高さ(深さ)が、連続的に低くなるものである。
なお、パネルハイトHが「圧延方向と45°の角度における仮想線L1、L2上での外周端部から、圧延方向と90°の角度および圧延方向と平行な角度における仮想線X、Y上での外周端部へ向かい」連続的に低くなるというのは、圧延方向と45°の角度における仮想線L1、L2上での外周端部から、この外周端部に近接する(隣り合う)、圧延方向と90°の角度および圧延方向と平行な角度における仮想線X、Y上での外周端部へ向けて、パネルハイトHが連続的に低くなるということである。
また、「連続的に低くなる」とは、パネルハイトHが、徐々に低くなり、仮想線L1、L2上での外周端部から、仮想線X、Y上での外周端部へ向かう途中で、パネルハイトHが同じか、あるいは、パネルハイトHが高くなる部分がないことをいう。なお、徐々に低くなりさえすれば、パネルハイトHが低くなる割合は、途中で変化してもよい。
このように、連続的に低くなるように形成することにより、耐圧性が向上する。また、バックリングの発生時に、アルミニウム合金板の圧延方向に対して45°方向の強度が小さく変形しやすい蓋1の周辺部分を避けて角だし部10(図3(a)、(b)参照)が形成されるため、ブローオフが起きにくくなる。さらに、カウンタシンク3の成形性が容易となる。パネルハイトHの変化が不連続的に設けられた場合には、その不連続部分が、内圧作用時にバックリングの起点となり、低い圧力でバックリングが生じて、耐圧強度の低下を招く。また、パネルハイトHの不連続は成形性にも悪影響を及ぼす。
ここで、カウンタシンク3におけるパネルハイトHは、1.85〜3.0mmであることが好ましい。
すなわち、パネルハイトH45が3.0mm以下、パネルハイトH90が1.85mm以上であることが好ましい。
パネルハイトHが、1.85mm未満では、カウンタシンク3が十分な深さ(高さ)とならず、蓋1の耐圧強度を確保することが困難となりやすい。一方、3.0mmを超えると、成形性が困難となりやく、その結果、成形時の形状不良から耐圧強度の低下を招く恐れがある。
また、パネルハイトH45およびパネルハイトH90の比率(H45/H90)は、1.05〜1.33であることが好ましい。
この比率が1.05未満では、角だし部10の角出し方向を制御しにくく、バックリングの発生時に、アルミニウム合金板の圧延方向に対して45°方向の強度が小さく変形しやすい蓋1の周辺部分で角だし部10が形成されやすくなる。また、蓋1の耐圧強度を確保することが困難となりやすい。一方、1.33を超えると、成形性が困難となりやすく、その結果、成形時の形状不良から耐圧強度の低下を招く恐れがある。
<蓋の材質>
蓋1は、従来から知られた成形金型によるプレス成形によって缶蓋用の金属板材(アルミニウム合金板)から一体成形されるものである。そして、蓋1の素材として使用されるアルミニウム合金板は、例えば、Al−Mg系のJIS−5052材や5182材のようなアルミニウム合金の圧延金属板を主材として、その少なくとも一方の面(缶内面側)に、樹脂塗料の塗装や熱可塑性樹脂フィルムのラミネートによる保護被膜を施したような、製缶分野で従来から一般的に使用されている缶蓋用のアルミニウム系金属板材である。
ここで、アルミニウム合金板は、Mgを2〜6質量%含むことが好ましい。
Mgは固溶硬化によって耐力の向上に寄与する元素である。また、アルミニウム合金板の加工硬化性能を向上させる効果もある。Mgの含有量が2質量%未満では、缶内圧が高い正内圧缶用蓋の特性に必要となる耐力を得ることが困難となりやすく、また、加工硬化性能も不十分となりやすい。そのため、蓋1のリベット成形加工を行うにあたり、均一変形性能を確保しにくい。一方、Mgの含有量が6質量%を超えると、耐力が過剰となり、割れやすくなるため不適である。したがって、Mgを2〜6質量%含むことが好ましい。
<その他>
アルミニウム合金板の板厚は、0.2〜0.4mmであることが好ましい。
板厚が0.2mm未満では、蓋1の強度を確保しにくい。一方、0.4mmを超えると、包装容器用の蓋の素材としては厚くなり過ぎ、必要以上の量の素材を用いることになり、不経済である。
本発明に係る包装容器用蓋1は、前記したように、パネルハイトHを所定に規定するように成形する以外は、従来公知の形状をとることができる。また、蓋の種類としては、プルオープン方式やステイオンタブ方式のイージーオープン蓋として用いることができるが、これらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、包装容器に用いられる蓋であれば、どのような種類のものであってもよい。
また、本発明に係る包装容器用蓋1は、リシール機能を有するボトルタイプの缶の底蓋や、DI缶等の蓋として好適に用いることができるが、これらの缶に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、どのような缶に用いてもよい。
<蓋の製造方法>
本発明に係る包装容器用蓋1の製造方法は、従来の包装容器用蓋の製造に用いられていた成形金型に対し、カウンタシンク3が前記した構造となるように修正を加えて、従来から知られるプレス成形により行うことができる。
製造方法の一例として、まず、図5(a)に示すように、その周囲にチャックウォール部4およびフランジカール部5があらかじめ成形されたアルミニウム合金板(蓋)11を成形金型にセットする。なお、平板素材(アルミニウム合金板)から、この状態までの打ち抜きおよびプレス加工は、従来から用いられている方法に従う。次に、図5(b)、(c)に示すように、上金型12および下金型13の下降によりカウンタシンク3を形成する。このような工程を用いて本発明のカウンタシンク形状を得る方法として、パネル部2の外周部の半径(パネル外周半径)であるパネルRを、素材の方向ごとに変化させる方法が実行可能である。すなわち、圧延方向と45°の角度における仮想線L1、L2上では、パネルRを大きくし(図5(c)参照)、圧延方向と90°および平行な角度における仮想線X、Y上ではパネルRを小さくし(図5(b)参照)、L1、L2上のパネルR(R45)から、隣接するX、Y上のパネルR(R90)に向かって連続的にパネルRを小さく変化させる。
こうすることにより、圧延方向と45°の角度における仮想線L1、L2上ではパネルRが大きくなるため、この部分での素材(アルミニウム合金板11)に余りが生じ、余った素材はカウンタシンク形状の形成に使われるため、深いカウンタシンク形状が得られ、パネルハイトHが高くなる。また、圧延方向と90°方向および平行方向の角度における仮想線X、Y上では、パネルRが小さくなるため、この部分での素材の長さが不足がちになり、この位置ではカウンタシンク3が低くなり、パネルハイトHも小さくなる。このような金型形状および成形工程を用いることで、本発明の蓋形状を得ることが出来る。また、成形加工する際、必要に応じて、アルミニウム合金板11における成形金型が接触する部位に、潤滑剤を塗布してもよい。潤滑剤を塗布した場合、成形後に当該潤滑剤を揮発、洗浄等により除去させる必要がある。
以上説明したように、本発明に係る包装容器用蓋1は、カウンタシンク(環状溝)3を前記のような構造とすることにより、耐圧性を向上させることができる。また、アルミニウム合金板の圧延方向に対して45°方向の強度が小さく変形しやすい部分に、図3(a)、(b)に示すような、角だし部10による角出し変形を起こさせず、代わりに圧延方向と90°または平行な方向の素材強度が高い部分に角出し変形を生じさせることで、さらに内圧が作用し、角出し変形が成長する際にも、角出し部10やチャックウォール部4の引張り応力が高くならず、素材(アルミニウム合金板)の破断が防止される。その結果、図4に示すような、缶胴と蓋1の巻締部が破壊されて、蓋1が缶胴から外れることで内容物が周囲に飛び散るブローオフの発生を防止することができる。
次に、本発明に係る包装容器用蓋について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
まず、5182−H39材のアルミニウム合金板を用い、表1に示す形状の蓋を作製した。この蓋を使用して、以下に示す耐圧試験を行った。
<耐圧試験>
空缶に蓋を巻締めた後、その口部側を切り落とし、圧力テスターにテスト缶をクランプセットし、バックリングするまでエアーで加圧して、バックリング(角出し)が発生するときの耐圧強度を測定した。なお、耐圧強度が710kPa(0.71MPa)以上のものを耐圧性に優れると評価した。また、耐圧強度の判明後も引き続き加圧を継続し、図3(b)に示す複数の角出し変形が生じるまで、あるいは巻き締め部の破断、ブローオフの発生等により試験続行不能になるまで試験した。この時の判定基準として、角出し部が4箇所以上(全周)発生し、巻き締め部の外れあるいは巻き締め部の破断が無かったものを(◎)、角出し部が2〜3箇所に発生し、巻き締め部の外れあるいは破断が生じたものを(○)、角出し部が1箇所に発生し、巻き締め部の外れあるいは巻き締め部の破断が生じたものを(△)、試験途中のいずれかの段階でブローオフを生じたものを×とした。
この耐圧試験の結果について、表1に示す。なお、表1において、本発明の構成を満たさないもの等については、数値に下線を引いて示す。
Figure 0004961253
表1に示すように、実施例1、2は、いずれも、本発明の構成を満足しているため、角だし方向が圧延45°方向を避け、0°方向に制御されていた。これにより、ブローオフや巻き締め部の破断等が起こらなかった。また、耐圧性に優れていた。
実施例3は、請求項1、3を満足するものの、パネルハイトが請求項2の下限値未満のため、角出し方向の制御と、ブローオフや巻き締め部の破断等の防止は出来たものの、耐圧強度は、実施例1、2よりも低い値となった。
実施例4は、請求項1、3を満足するものの、パネルハイトが請求項2の上限値を超えるため、成形時の形状不良から耐圧強度が実施例1、2よりも低い値になった。また角出し方向の制御は可能であったが、角出しが2個の状態で巻き締め部の外れが生じた。
実施例5は、請求項1、2を満足するものの、パネルハイトの比率が請求項3の下限値未満のため、耐圧強度が実施例1、2よりも低い値となった。また角出し方向の制御は可能であったが、角出しが2個の状態で巻き締め部に割れが生じた。
実施例6は、請求項1、2を満足するものの、パネルハイトの比率が請求項3の上限値を超えるため、成形時の形状不良から耐圧強度が実施例1、2よりも低い値となった。また角出し方向の制御は可能であったが、角出しが2個の状態で巻き締め部の外れが生じた。
一方、比較例1〜4は、パネルハイトが各方向において、すべて同一であるため、角だし方向が圧延45°方向となっていた。また、このため、角出しが1個の状態で巻き締め部に割れ、あるいはブローオフが発生した。また、耐圧性が不良であった。
以上、本発明に係る包装容器用蓋について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されるものではない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。
本発明に係る包装容器用蓋の構造を示す模式図であり、(a)は、蓋の上面形状を示す模式図、(b)は、カウンタシンク近傍の拡大断面図、(c)は、パネルハイトを示す模式図である。 本発明に係る包装容器用蓋のカウンタシンクの構造を示す模式図であり、圧延方向から見た蓋の断面模式図である。 蓋のバックリング状態を示す模式図であり、(a)は、1箇所の角出し部を形成したバックリング状態を示す模式図、(b)は、蓋の全周で角だし部を形成したバックリング状態を示す模式図である。 包装容器がブローオフした状態を示す模式図である。 カウンタシンクを有する蓋の成形工程を示す模式図であり、(a)は、その周囲にチャックウォール部およびフランジカール部があらかじめ成形された金属板材(蓋)を金型にセットした状態を示す模式図、(b)、(c)は、カウンタシンクが成形される様子を示す模式図である。
符号の説明
1 包装容器用蓋(蓋)
2 パネル部
3 カウンタシンク(環状溝)
4 チャックウォール部
5 フランジカール部
5a フランジカール部の内縁曲壁部分
5b フランジカール部の外縁曲壁部分
10 角だし部
11 アルミニウム合金板(蓋)
12 カウンタシンク成形時の上金型
13 カウンタシンク成形時の下金型
H パネルハイト
L1、L2 アルミニウム合金板の圧延方向と45°の角度で蓋の中心を通る仮想線
O 蓋の中心
X アルミニウム合金板の圧延方向と90°の角度で蓋の中心を通る仮想線
Y アルミニウム合金板の圧延方向と平行な角度で蓋の中心を通る仮想線

Claims (4)

  1. アルミニウム合金板より製造された略円板状のパネル部の外周端部に、カウンタシンクが形成された包装容器用蓋において、
    前記アルミニウム合金板の圧延方向と45°の角度で蓋の中心を通る仮想線に対し、この仮想線上での前記外周端部のパネルハイトをH45とし、圧延方向と90°の角度および圧延方向と平行な角度で蓋の中心を通る仮想線に対し、この仮想線上での前記外周端部のパネルハイトをH90としたときに、
    H45>H90を満足し、かつ、
    前記圧延方向と45°の角度における仮想線上での外周端部から、前記圧延方向と90°の角度および圧延方向と平行な角度における仮想線上での外周端部へ向かい、パネルハイトが連続的に低くなるように形成されていることを特徴とする包装容器用蓋。
  2. 前記カウンタシンクにおけるパネルハイトが、1.85〜3.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の包装容器用蓋。
  3. 前記パネルハイトH45および前記パネルハイトH90の比率(H45/H90)が、1.05〜1.33であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装容器用蓋。
  4. 前記アルミニウム合金板は、Mg:2〜6質量%を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の包装容器用蓋。
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