JP4960972B2 - 子宮頸部異形成および子宮頸癌におけるNa+、K+−ATPアーゼの発現 - Google Patents

子宮頸部異形成および子宮頸癌におけるNa+、K+−ATPアーゼの発現 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2006年2月1日に出願された米国仮特許出願第60/764,447号、および2005年12月30日に出願された米国仮特許出願第60/755,223号の優先権を主張するものであり、両出願は参照により本明細書に組み入れられる。
分野
本出願は、Na、K−ATPアーゼの発現を検出することにより、子宮頸部異形成および子宮頸癌を診断する方法、およびNa、K−ATPアーゼの生物学的活性を低下させることにより子宮頸部異形成および子宮頸癌を治療する方法に関する。
背景
子宮頸癌予防の目標は、癌細胞の浸潤が起こる前に、すべての「関係する」前癌細胞を検出しかつ治療することである。ヒトパピローマウイルス(HPV)は、子宮頸癌の発症に関する因子の1つであり、そして子宮頸部組織中でのHPVの検出は、子宮頸部異形成および子宮頸癌を診断するために現在用いられている。しかし、大部分のHPVに誘発される病変は、患者の自然免疫系によって取り除かれ、HPV感染した子宮頸部を有する女性のごく一部が、実際に子宮頸癌を発症する。従って、低悪性および高悪性の臨床症例およびすべての癌症例において、前癌細胞群の検出を容易にするバイオマーカーが必要とされている。一旦子宮頸癌の早期検出のためのバイオマーカーが同定されると、それらのバイオマーカーは子宮頸部異形成の治療の候補となる。
概要
本発明者らは、子宮頸部組織中のNa、K−ATPアーゼの発現、例えば、β1−サブユニットの発現レベルや、α−サブユニットおよびβ1−サブユニットの相対的な発現が、子宮頸部異形成組織および子宮頸癌組織と比較して正常な子宮頸部組織で異なることを明らかにした。例えば、子宮頸部組織中のNa、K−ATPアーゼβ−サブユニットの発現の増加は、低悪性度の異形成から、高悪性度の異形成、さらに子宮頸癌への進行と相関する。さらに、子宮頸部組織中のNa、K−ATPアーゼのβ−サブユニットに対するα−サブユニットの発現の比率は、低悪性度の異形成から高悪性度の異形成、さらに子宮頸癌への進行とともに低下した。Na、K−ATPアーゼの局在パターンは、正常な子宮頸部組織と病的な子宮頸部組織において異なった。一部の例では、正常なNa、K−ATPアーゼの発現は基底部に見られたが、子宮頸部異形成または子宮頸癌組織では、Na、K−ATPアーゼの発現は細胞膜へ、より局在していた。これらの観察に基づいて、Na、K−ATPアーゼを子宮頸部異形成および子宮頸癌のバイオマーカーとして、ならびに子宮頸部異形成および子宮頸癌の治療のための治療標的として使用するための方法を提供する。
対象における、子宮頸部異形成または子宮頸癌を検出する方法を提供する。特定の例では、方法は、対象から得られた子宮頸部試料における、Na、K−ATPアーゼの発現(例えば、タンパク質または核酸分子の発現)を検出する段階を含む。例えば、β−サブユニット(例えば、β1−サブユニット)、α−サブユニット、または両方の発現を検出することができる。特定の例では、発現レベルを定量化する。例えば、検出されたNa、K−ATPアーゼの発現を、特定の疾病の状態(例えば子宮頸部異形成または子宮頸癌、またはそれらの特定のステージ)を表す基準値または基準試料と、比較することができる。例えば、試料において検出されたNa、K−ATPアーゼの発現レベルを、1つまたは複数の基準子宮頸部組織試料におけるNa、K−ATPアーゼの発現のレベル、または対照組織試料において予想されるNa、K−ATPアーゼの発現のレベルを表す基準値と比較することができる。例示的な基準試料と基準値は、子宮頸部異形成または子宮頸癌の公知の存在、不在、または悪性度を表すものを含む。例えば、Na、K−ATPアーゼの発現(βサブユニットの発現など)の検出されたレベルが、特定の基準試料または基準値におけるNa、K−ATPアーゼの発現(βサブユニットの発現など)のレベルと実質的に同等の場合、このことは、対象が、基準試料または基準値によって表される子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度を有することを示す。具体的な例では、基準値または基準試料が正常な(非異形成性、非癌性)子宮頸部細胞の場合、そのような基準値と比較して少なくとも2倍(例えば、少なくとも3倍)のNa、K−ATPアーゼの発現増加の検出は、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。
開示される方法は、子宮頸部組織試料におけるNa、K−ATPアーゼの発現のα−サブユニットを検出することと、α−サブユニットおよびβ−サブユニットの発現の比率を決定することとをさらに含むことができる。一部の例では、決定された比率は、子宮頸部異形成または子宮頸癌の公知の存在、不在、または悪性度を有する1つまたは複数の基準値または基準試料において認められるα−サブユニットおよびβ−サブユニットの発現の比率と比較される。例えば、α−サブユニットおよびβ−サブユニットの発現の検出された比率が、特定の基準試料または基準値におけるα−サブユニットおよびβ−サブユニットの発現の比率と実質的に同等である場合、このことは、対象が、基準試料または基準値によって表される子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度を有することを示す。具体的な例では、基準値または基準試料が正常な(非異形成性、非癌性)子宮頸部細胞の場合、そのような基準値と比較して、α−サブユニットおよびβ−サブユニットの発現の比率における低下の検出(少なくとも20%または少なくとも50%の低下など)は、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。
一部の例では、開示される方法は、細胞周期マーカー、例えば核酸マーカーのような別のマーカーを検出する段階をさらに含むことができる。例えば、該方法は、ヒストンH3を検出する段階を含むことができる(例えばヒストンH3に特異的な抗体を用いて)。そのような追加のマーカーを、子宮頸部異形成または子宮頸癌から正常な子宮頸部組織をさらに区別するために使用することができる。例えば、正常な子宮頸部組織と比較して、分裂細胞の検出における増加(少なくとも2倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍など、例えば、2〜3倍、2〜10倍、2〜20倍の増加)は、子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示すものである。
子宮頸部異形成または子宮頸癌を検出し、かつそれらの悪性度を決定する方法は、子宮頸部試料中のNa、K−ATPアーゼ(α−サブユニットまたはβ−サブユニットなど)の局在パターンを決定する段階も含むことができる。子宮頸部組織試料中のα−サブユニットまたはβ−サブユニットの、どちらかまたは両方の部位を、子宮頸部異形成または子宮頸癌の公知の存在、不在、または悪性度を有する1つもしくは複数の基準値または基準試料と比較することができる。例えば、検出されたNa、K−ATPアーゼの局在が、特定の基準試料または基準値におけるNa、K−ATPアーゼの局在と実質的に同等の場合、このことは、対象が、基準試料または基準値によって表される子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度を有することを示す。具体的な例では、基準値または基準試料が正常な(非異形成性、非癌性)子宮頸部細胞の場合、そのような基準値と比較した、検出されたNa、K−ATPアーゼの局在(細胞膜における局在の増加など)は、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。
また本発明の開示は、治療用組成物を提供する。一つの例では、そのような組成物は、1つまたは複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤(β−サブユニットの阻害剤など)および薬学的に許容される担体を含む。一つの例では、薬学的に許容されるものとは、Na、K−ATPアーゼ阻害剤の局所適用、例えば子宮頸部への局所適用を許容する担体である。Na、K−ATPアーゼ阻害剤は、タンパク質の酵素活性を著しく低下させることができるか(強心配糖体など)、またはNa、K−ATPアーゼの発現を低下させることができる(阻害性RNA分子など)。
子宮頸部異形成および子宮頸癌を治療するための方法もまた提供する。一つの例では、該方法は、子宮頸部異形成または子宮頸癌を有する対象に、本明細書で提供される組成物などの、治療的有効量のNa、K−ATPアーゼ阻害剤を含む組成物を投与する段階を含む。例えば、本明細書で説明する方法を用いて子宮頸部異形成または子宮頸癌を有すると決定された対象を、子宮頸部異形成のための治療を受けるように選択することができる。一部の例では、子宮頸部における(例えば子宮頸部異形成細胞または子宮頸癌細胞において)Na、K−ATPアーゼの活性を低下させるのに十分な量と期間で、病変のある子宮頸部にNa、K−ATPアーゼ阻害剤を接触させることができる。
上述の、そしてその他の本発明の開示の目的や特徴は、添付の図を参照しながら進められる以下の詳細な説明からより明らかになると考えられる。
詳細な説明
略語および用語
用語と方法に関する以下の説明は、本発明の開示をより詳しく説明し、かつ本発明の開示の実施に際して当業者に指針を与えるために提供される。文脈にて別途明示しない限りは、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、1つまたは複数を指す。例えば、用語「1つのNa、K−ATPアーゼ阻害剤を含む」は、単一または複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤を含み、かつ「少なくとも1つのNa、K−ATPアーゼ阻害剤を含む」という句と同等であると考えられる。用語「または」とは、文脈にて別途明示しない限りは、記載された代替の要素のうちの単一の要素または2つもしくはそれ以上の要素の組合せを指す。本明細書で使用される「含む」とは「包含する(including)」を意味する。従って、「AまたはBを含む」とは、追加の要素を除外しない、「A、B、またはAおよびBを包含する」を意味する。
別途説明がない限りは、本明細書で用いられるすべての技術的用語および科学的用語は、本開示が属する当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。
HPV:
ヒトパピローマウイルス
Na、K−ATPアーゼ:
ナトリウム‐カリウムATPアーゼ(ナトリウムポンプとも呼ばれる)
投与:
対象に、ある物質、例えばNa、K−ATPアーゼ阻害剤を包含するある組成物を、任意の効果的な経路によって提供する、または与えること。例示的な投与経路には、経口、注射(皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、および静脈内など)、舌下、直腸、経皮、鼻腔内、膣内、子宮頸部内、吸入経路が含まれるがこれに限定されない。具体的な例では、物質の投与は、膣内投与または子宮頸部投与を介して行われる。
抗体:
ある抗原と特異的に結合する(免疫反応を伴う)抗原結合部位を含む分子。免疫グロブリン分子、およびそれらの免疫学的活性部分、ならびに免疫グロブリン様分子を含む。免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε、μの定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κまたはλのどちらかに分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεに分類され、これらは順に免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEをそれぞれ規定する。特定の例では、細胞内でのNa、K−ATPアーゼの発現または局在を検出するために、Na、K−ATPアーゼ特異的抗体が用いられる。抗体は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の調製物の両方を含む。
一部の例では、抗体は、試料中の他の分子の結合定数よりも、少なくとも10−1、10−1、または10−1大きい結合定数で、標的(Na、K−ATPアーゼなど)と特異的に結合する。別の例では、抗体は、例えば10−9Mもしくはそれより低いか、またはさらに10−12Mもしくはそれより低い、抗原決定基(ハプテンまたはエピトープなど)への結合に関する約10−6Mまたはそれより低いKd値を有する。Kd値は、例えば、競合ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)によって、または、Biacore,Inc.,(Piscataway、NJ)から入手可能なBiacore T100などの表面プラズモン共鳴装置を用いて決定できる。
抗体フラグメントは、タンパク質分解性の抗体フラグメント[F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fab’−SHフラグメント、およびFabフラグメントなど]、組換え抗体フラグメント(sFvフラグメント、dsFvフラグメント、二重特異性sFvフラグメント、二重特異性dsFvフラグメント、二重特異性抗体(diabody)、および三重特異性抗体(triabody)など)、ラクダ科動物抗体(例えば、米国特許第6,015,695号、同第6,005,079号、同第5,874,541号、同第5,840,526号、同第5,800,988号、および同第5,759,808を参照)、ならびに軟骨魚および硬骨魚により作成される抗体およびそれらの単離された結合ドメイン(例えば、国際特許出願番号WO03014161を参照)を含む。
強心配糖体:
Na、K−ATPアーゼの阻害剤であり、従来よりうっ血性心不全および心不整脈を治療するために用いられている。そのような配糖体は、いくつかの植物、および一部の動物において二次代謝産物として見出されている。例えば、強心配糖体は、ストロファンツス属(ウアバインg/k/e−ストロファンチンなど)、ジギタリス・ラナータ(Digitalis lanata)およびジギタリス・パープレア(Digitalis purpurea)(ジゴキシン、ジギトキシン)、スキラ・マリティマ(Scilla maritima)(プロスキラリジンA(proscillaridine A))、アドニス・ヴェルナリス(Adonis vernalis)、アドニス・エスティヴァリス(Adonis aestivalis)、アコカンテラ・オブロンギフォリア(Acokanthera oblongifolia)、スズラン(Convallaria)、カエル(ブファリン、マリノブファゲニン、およびブファジェノリドなど)から得られる。さらなる限定されない例は、米国特許出願公開第20060205679号に提供されている。
子宮頸癌:
分化の喪失、増殖率の増加、周辺組織への浸潤を伴う特徴的な退形成を経て、転移能を有する子宮頸部の悪性新生物。子宮頸癌には、子宮頸部扁平上皮癌(類上皮癌)と子宮頸部腺癌の、2つの主要な型が存在する。特定の例では、子宮頸癌はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発生する。子宮頸癌は、癌細胞の広がりの程度によって分類することができ、最も軽いものがステージIであり、そして最も重いものがステージIV(例えば転移したもの)である。
子宮頸部異形成(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)):
子宮頸部上の異常細胞(未分化の細胞)の存在。異形成は前癌状態と考えられている。表面に見出される異常細胞が多いほど、より重篤な異形成である。子宮頸部異形成は、組織内層(lining)(上皮)への異常細胞の浸透の程度によって多くの場合分類される。例えば、CIN Iは、上皮の基底側の3分の1に及ぶことを述べており、CIN IIでは、上皮の基底側3分の2に及び、CIN IIIでは、上皮の3分の2以上に及ぶ。子宮頸部上皮(頸部の内側を被覆する組織)全体が未分化細胞で覆われた場合、子宮頸部上皮内癌と呼ばれる。
子宮頸部試料:
子宮頸部より得られた生体標本であり、子宮頸部の外側(子宮頸膣部(exocervix)、または子宮膣部(portio))と子宮頸部の内側(子宮頸内膜)の両方からの細胞を含みうる。子宮頸部試料を得るために用いられうる例示的な方法には、PAPスメア、コルポスコピー、および円錐切除診が含まれる。
子宮頸部:
膣部に開口する、子宮の下側の部分。
化学療法:
子宮頸癌の治療などの癌治療においては、化学療法は、腫瘍細胞または癌細胞などの急速に増殖する細胞を殺すか、またはそれらの再生を遅らせるための、1つまたは複数の薬剤の投与を指す。特定の例では、化学療法は、対象の体内の腫瘍細胞数を著しく減少させるため、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、または少なくとも50%減少させるための、1つまたは複数の抗新生物剤の投与を意味する。細胞傷害性の抗新生物性化学療法剤には、5−フルオロウラシル(5−FU)、アザチオプリン、シクロホスファミド、代謝拮抗物質(フルダラビンなど)、ならびにエトポシド、ドキソルビシン、メトトレキサート、ビンクリスチン、カルボプラチン、シスプラチン、およびタキサン(例えばタキソール)などのその他の抗新生物薬が含まれるがこれに限定されない。具体的な例では、浸潤性子宮頸癌の治療に、シスプラチン(例えば、Platinol(登録商標))やフルオロウラシル(例えば、Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))を組み合わせて、また放射線治療に加えて用いる。
低下する:
あるものの質、量、または強度が減少すること。
一つの例では、ある療法(Na、K−ATPアーゼ阻害剤を用いる治療など)は、子宮頸部異形成または子宮頸癌(子宮頸部異形成もしくは子宮頸癌のサイズ、異形成もしくは腫瘍の数、腫瘍の転移、またはそれらの組合せなど)を減少させるか、または子宮頸部異形成または子宮頸癌に関連する1つまたは複数の症状を、例えば治療を行わない状態での反応と比較して減少させる。特定の例では、治療によって、子宮頸部異形成もしくは子宮頸癌のサイズ、子宮頸部異形成もしくは子宮頸癌の数、子宮頸癌の転移、またはそれらの組合せが治療後に低下し、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、またはさらには少なくとも90%低下する。そのような低下は、本明細書で開示される方法を用いて測定できる。
検出する:
ある物質が存在するか、または存在しないかを決定すること。一部の例では、これは定量化をさらに含む場合もありうる。例えば、子宮頸部試料中のNa、K−ATPアーゼ(例えば、α−サブユニットまたはβ−サブユニット)が存在するか否かを検出するために、Na、K−ATPアーゼに特異的な抗体を、例えばその抗体に結合させた標識を検出することによって、用いることができる。
診断する:
病状または疾病を、例えば1つまたは複数の診断的手順の結果から特定するプロセス。特定の例では、ある対象の予後を決定する段階を含む。具体的な例では、子宮頸癌または子宮頸部異形成は子宮頸部試料中のNa、K−ATPアーゼの発現を検出することによって診断され、ここでは、Na、K−ATPアーゼのβ−サブユニットの発現の増加、β−サブユニットの発現に対するα−サブユニットの発現の比率の低下、またはそれらの組合せは、子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。例えば、存在する子宮頸部異形成または子宮頸癌の特定のステージを決定する段階を含みうる。
ジギタリス:
キツネノテブクロと呼ばれる植物に存在する強心配糖体であり、Na、K−ATPアーゼの生物学的活性を著しく低下させるため、Na、K−ATPアーゼ阻害剤である。ジギタリス化合物の例には、ジゴキシン、ジギトキシン、ストロファンチン、およびウアバインが挙げられる。
発現:
遺伝子にコードされた情報が、細胞の機能的な部分、細胞の非機能的な部分、またはタンパク質の合成などの細胞の構造的な部分へと変換されるプロセスである。
ある核酸分子の発現を、正常(野生型)の核酸分子に比較して変化させることができる。遺伝子発現における変化、例えば、差次的発現には、(1)過剰発現、(2)低発現、または(3)発現の抑制が含まれるが、これに限定されない。核酸分子の発現における変化は、対応するタンパク質の発現の変化に関連する可能性があり、そして実際にその原因となる。
タンパク質発現を、さらに、正常な(野生型)状態にあるタンパク質の発現と異なるように、いくつかの様式で変化させることができる。これには、(1)アミノ酸残基の1個または複数個が異なるようなタンパク質内の変異、(2)タンパク質配列への、1個または数個(例えば、10〜20を超えない)のアミノ酸残基の短い欠失または付加、(3)タンパク質ドメインまたはサブドメイン全体が除去されるかまたは付加されるような、アミノ酸残基(例えば、少なくとも20残基)の長い欠失または付加、(4)対照量または標準量と比較して、増加した量のタンパク質発現、(5)対照量または標準量と比較して、減少した量のタンパク質発現、(6)タンパク質の細胞内局在の変化または標的化、(7)タンパク質の時間的に調節された発現の変化(通常発現しない場合に、タンパク質が発現するように、または代替的には、通常発現する場合に発現しないように)、(8)細胞中でタンパク質が局在したままでいる時間が延長されることによる、タンパク質の安定性の変化、および(9)対照または正常と比較した、タンパク質の発現の局在(例えば、臓器もしくは組織特異的、または細胞内局在)の変化(タンパク質が、通常発現する場所では発現しないように、または通常発現しない場所では発現するように)、が含まれるが必ずしもこれに限定されない。
差次的発現の決定のための、試料との比較のための対照または標準には、正常と考えられる試料(所望の特徴に関して変化がない、例えば、子宮頸部異形成または子宮頸癌が存在しない対象からの試料という点で)、ならびに検査値が含まれ、これは任意の組合せでありうるが、そのような値は各検査室間で変化することに留意されたい。
検査室標準および検査値は、公知のまたは決定された集団値に基づいて設定されてもよく、そして測定された、実験的に決定された値と比較できるようなグラフまたは表のフォーマットで提供されうる。
増加する:
あるものの質、量、または強度を増加させる、または増加すること。例えば、β−サブユニットの検出レベルが、子宮頸部試験試料において、正常試料と比較して、少なくとも2倍、例えば、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも10倍大きい場合、子宮頸部異形成および子宮頸癌細胞におけるNa、K−ATPアーゼのβ−サブユニットタンパクまたは核酸分子の発現は、正常なもの(非異形成性、または非癌性の子宮頸部細胞)と比較して「増加している」と言われる。
標識:
例えばELISA、分光光度法、フローサイトメトリー、または顕微鏡検査によって検出可能な物質。例えば、タンパク質または核酸分子、例えば、Na、K−ATPアーゼのサブユニットに標識を結合させることができ、これによりタンパク質または核酸分子が検出可能となる。標識の例には、放射性同位元素、酵素基質、補助因子、リガンド、化学発光物質、フルオロフォア、ハプテン、酵素、およびこれらの組合せが含まれるが、これに限定されない。標識方法、および様々な目的に適した標識の選択の手引きは、例えば、Sambrook et al.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York,1989)やAusubel et al.(In Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,1998)で考察されている。
Na、K−ATPアーゼ(ナトリウム‐カリウムアデノシントリホスファターゼ):
当技術分野では、ナトリウムポンプとも呼ばれる。Na、K−ATPアーゼは、正常な静止膜電位および様々な細胞活動に必要とされる、細胞質での高Kかつ低Na状態の確立と維持に関与する、哺乳類細胞における遍在性の膜輸送酵素(EC3.6.3.9)である。膜内では、Na、K−ATPアーゼは2つのα−サブユニットと2つのβ−サブユニットを含む。α−(α1、α2、α3、α4)サブユニットおよびβ−(β1、β2、β3、β4)サブユニットという、少なくとも四つの異なるアイソフォームが存在する。
Na、K−ATPアーゼ阻害剤:
Na、K−ATPアーゼの生物学的活性を著しく低下させる能力を有する物質。そのような物質は、核酸レベルで(例えば、Na、K−ATPアーゼの発現を低下させることにより、例えばsiRNA分子)、またはタンパク質レベルで(例えば、タンパクの活性を低下させることにより)機能しうる。阻害剤は、Na、K−ATPアーゼの生物学的活性または発現を100%低下させる場合もあるが、その必要性はない。例えば、阻害剤がNa、K−ATPアーゼの生物学的活性または発現を少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%低下させる場合、治療効果が認められる可能性がある。タンパク質レベルで働く例示的なNa、K−ATPアーゼ阻害剤は当技術分野で公知であり、そして強心配糖体を含みうる。
新生物:
異常な細胞増殖であり、良性および悪性の腫瘍、ならびにその他の増殖性疾患を含む。特定の例では、子宮頸部新生物は、子宮頸部異形成および子宮頸癌を含む。
薬剤または薬物:
単独で、または別の治療薬、もしくは薬学的に許容される担体との併用で対象に投与された場合に、所望の治療上の効果を誘発する能力を有する化合物または化学的組成物。特定の例では、ある薬剤(例えば、Na、K−ATPアーゼ阻害剤を含むもの)は、子宮頸部異形成または子宮頸癌を、例えば異形成または癌のサイズを縮小することによって(例えば、容積または異形成または癌細胞の数を減少させる)、癌の転移を減少させることによって、またはそれらの組合せによって治療する。
薬学的に許容される担体:
本発明の開示において有用な薬学的に許容される担体(賦形剤)は標準的なものである。E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,PA,15th Edition(1975))による、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに、1つまたは複数の治療薬、例えば、Na、K−ATPアーゼ阻害剤の薬学的送達に適した組成物および製剤が記載されている。
一般に、担体の性質は用いられる投与の特定の様式に依存する。例えば、非経口製剤は、薬学的かつ生理学的に許容される流体、例えば水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなどを賦形剤として含む注射可能な流体を含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与される薬学的組成物は少量の非毒性の補助物質、ならびに酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタン、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、およびオレイン酸トリエタノールアミンなどの、例えば湿潤剤または乳化剤、保存料、およびpH緩衝剤などを含むことができる。例示的な局所用担体には、子宮頸部投与および膣内投与に適するものが含まれるが、これに限定されない。
基準値:
特定の状態を表す数または数の範囲。例えば、診断するかまたは予後を診断するために実験値を基準値と比較することができる。例えば、ある基準値は、特定の子宮頸部の状態、例えば、正常な子宮頸部細胞、子宮頸部異形成(例えば異形成の特定のステージ)、または子宮頸癌(例えば癌の特定のステージ)について予想されるNa、K−ATPアーゼの発現(例えば、α−サブユニットまたはβ−サブユニット)の相対量または絶対量(または範囲)でありうる。
試料:
生体標本、例えば、核酸分子、タンパク、または両方などの生体分子を含む試料。例示的な試料は、対象からの細胞または細胞溶解物、例えば、末梢血(または血清などのそれらの画分)、尿、唾液、組織生検、頬スワブ(cheek swab)、外科標本、穿刺吸引物(fine needle aspirates)、子宮頸部試料、および剖検材料に存在するものを含むものである。具体的な例では、試料は子宮頸部から得られ(例えばPAPスメア)、これは子宮頸部の外側(子宮頸膣部または子宮膣部)と子宮頸部の内側(子宮頸内膜)との両方からの細胞を含みうる。
対象:
生きている多細胞性脊椎生物であり、ヒトおよびヒト以外の哺乳動物(例えば、実験用対象または獣医学的対象)を含むカテゴリーである。
治療的有効量:
単独で、または薬学的に許容される担体、または1つもしくは複数の追加の治療薬とともに、所望の反応を誘発する物質の量。ある治療薬、例えば、Na、K−ATPアーゼ阻害剤が、所望の反応、例えば子宮頸部異形成または子宮頸癌の治療を刺激する、治療的有効量で投与される。
治療薬の有効量は、例えば、子宮頸部異形成または子宮頸癌を有する対象の生理学的状態の改善をアッセイするといった、数多くの様々な方法で決定できる。有効量は、様々なインビトロ、インビボ、またはインサイチューアッセイによって決定することもできる。
治療薬は、単回投与、または複数回投与で、例えば、治療期間中に毎週、毎月、または2ヶ月ごとで投与できる。しかし、有効量は、適用される供給源、治療を受ける対象、治療されている症状の重篤度および種類、ならびに投与様式に依存しうる。
一つの例では、対象における子宮頸部異形成または子宮頸癌の症状を部分的にまたは完全に緩和するのに十分な量である。治療は、子宮頸部異形成または子宮頸癌の進行の一時的な遅延を含みうるだけでなく、子宮頸部異形成または子宮頸癌の進行の恒久的な停止または後退も含みうる。例えば、薬学的調製物は、子宮頸部異形成または子宮頸癌の1つまたは複数の症状(例えば、異形成または癌のサイズまたは腫瘍の数)を軽減することができる、例えば、薬学的調製物を使用しない場合の量と比較して、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも90%、少なくとも98%、あるいはさらに少なくとも100%、症状を軽減する。
疾病を治療する:
「治療」とは、子宮頸部異形成または子宮頸癌の徴候または症状などの、疾病または病態の徴候または症状を改善する治療的介入を指す。また治療によって、子宮頸部異形成または子宮頸癌などの、状態の寛解または治癒ももたらしうる。特定の例では、治療は、例えば疾病の完全な発症を妨げること、例えば、子宮頸部異形成から子宮頸癌への進行を防ぐか、または子宮頸癌の転移を防ぐことによる、疾病の予防を含む。疾病の予防は、異形成または癌の完全な消失を必要としない。例えば、少なくとも50%の減少は十分でありうる。
〜に十分な条件下で:
所望の活性を許容する任意の環境を説明するために用いられる表現。
一つの例では、抗体と試料中のNa、K−ATPアーゼタンパク質との特異的な結合を可能とする条件下で、Na、K−ATPアーゼ抗体と子宮頸部試料をインキュベートする段階を含む。別の例では、1つまたは複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤と、対象における子宮頸部異形成または子宮頸癌細胞を、所望の活性を与えるのに十分に接触させる段階を含む。特定の例では、所望の活性とは、そのような細胞の成長もしくは増殖、またはそのような細胞の子宮頸部への浸潤、またはそのような細胞の他の臓器への転移を減少させることである。
単位用量:
個々で、または共同で、治療効果などの所望の効果を生むように計算された、既定の量の活性物質(例えば、Na、K−ATPアーゼ)を含む、物理的に非連続性の単位。単位用量を単回、または単位用量を複数回、治療効果などの所望の効果を提供するために使用することができる。
概略
Na、K−ATPアーゼは、Na/Kポンプおよびシグナル伝達という、細胞機能を維持するための2つの主要な機能を有する。Na、K−ATPアーゼα−サブユニットおよびβ1−サブユニットの発現パターンは、正常な子宮頸部組織、異形成を起こした子宮頸部組織、および癌の子宮頸部組織の間で異なることが本明細書で示される。例えば、Na、K−ATPアーゼβ1−サブユニットの発現の増加は、子宮頸部異形成および子宮頸癌組織で認められた。さらに、Na、K−ATPアーゼのα−サブユニットおよびβ1−サブユニットの比率は、正常である場合とNa、K−ATPアーゼα−サブユニットおよびβ1−サブユニット間で変化した。Na、K−ATPアーゼβ1−サブユニットに対するα−サブユニットの相対比率は、正常な子宮頸部試料と比較して、子宮頸部異形成および子宮頸癌組織で低下した。
Na、K−ATPアーゼαサブユニットおよびβ1サブユニットが陽性の、間質組織内の子宮頸管内の粘液腺は、主にHPVに誘発された病変下に局在していた。子宮内膜上皮細胞では、インスリン様成長因子I(IGF−I)が、子宮内膜上皮細胞中のNa、K−ATPアーゼの活性を刺激する(Deachapunya et al.,JGen.Physiol.114:561−72,1999)。本発明者らは、間質の子宮頸管内の粘液腺におけるIGF−Iの免疫活性、および上皮細胞層におけるIGF−Iレセプターの免疫活性を観察した。また本発明者らは、子宮頸部上皮細胞および癌細胞内の、インスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP−3)のタンパク質蓄積部位、およびNa/K−ATPアーゼ β1発現部位を認めた。これは、子宮頸部組織内の、上皮細胞層と間質との間のパラクリン調節機構を示す。
特定の理論に束縛されるものではないが、HPV感染によって子宮頸部の上皮層内で過剰発現したIGFBP−3はIGF−Iレセプターの感受性を増強することを提唱する。粘液腺から分泌されたIGF−Iは上皮層内のIGF−Iレセプターと結合し、そしてレセプターと結合したIGF−Iは、Na、K−ATPアーゼ発現およびKCC発現の増加を含むシグナル伝達、ならびにHPV感染細胞の表現型の変化(癌の発症と進行)を引き起こす。
これらの観察に基づいて、臨床組織切片中の子宮頸部異形成または子宮頸癌を検出する方法が提供される。さらに、子宮頸部異形成および子宮頸癌を治療する方法が提供される。例えば、子宮頸部異形成および子宮頸癌を治療するために、Na、K−ATPアーゼの阻害剤(ジギタリス化合物など、例えばウアバインまたはジギトキシン)を子宮頸部に適用することができる(例えば局所軟膏の形態で)。そのような阻害剤は、Na、K−ATPアーゼの発現または生物学的活性を著しく低下させる。一部の例では、Na、K−ATPアーゼβ1サブユニットが標的になる。
子宮頸部異形成および子宮頸癌を検出する方法
本発明の開示は、子宮頸部の新生物、例えば子宮頸部異形成または子宮頸癌を検出するために使用できる方法を提供する。検出は、子宮頸部異形成または子宮頸癌が存在するかどうかを決定する段階、子宮頸部異形成または子宮頸癌の悪性度を決定する段階(例えば、CIN I、CIN II、またはCIN III子宮頸部異形成、またはステージ0、ステージI(ステージIA、IA1、IA2、IB1、IB2など)、ステージII(IIAまたはIIBなど)、ステージIII(IIIAまたはIIIBなど)、またはステージIV(IVAまたはIVBなど)、または子宮頸癌かどうかを決定する段階)、子宮頸部異形成もしくは子宮頸癌、またはそれらの組合せを有すると分かっている対象の予後を決定する段階を含むことができる。
特定の例では、該方法は、対象から得られた子宮頸部試料中のNa、K−ATPアーゼまたはそのサブユニット(例えば、α−サブユニット、β−サブユニット、または両方)を検出する段階、例えば、Na、K−ATPアーゼタンパク質の発現または核酸分子の発現を検出する段階を含む。例えば、β−サブユニット(β1−サブユニットなど)、α−サブユニット、または両方の発現を検出できる。特定の例では、発現レベルは定量化される。タンパク質または核酸分子の発現を検出する方法は周知である。
特定の例では、正常な子宮頸部組織(非癌性および非異形成性)におけるNa、K−ATPアーゼの発現のレベルと比較して、Na、K−ATPアーゼ(β−サブユニットなど、例えばβ1−サブユニット)の発現における著しい増加の存在(例えば、少なくとも2倍の増加)は、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。具体的な例では、正常な子宮頸部組織におけるそのような発現を比べた、Na、K−ATPアーゼβ1−サブユニットの発現における少なくとも2倍の増加(例えば、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または2〜10倍)の検出は、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。例示的な変化を表1に提供する。
(表1)例示的なNa、K−ATPアーゼの発現の相対値
Figure 0004960972
検出されたNa、K−ATPアーゼの発現を、特定の疾病または疾病が存在しない状態(正常な子宮頸部組織、子宮頸部異形成、または子宮頸癌、または特定のステージの異形成もしくは癌など)を表す基準値または基準試料と比較することができる。例えば、試料中で検出されたNa、K−ATPアーゼの発現レベルを、1つもしくは複数の基準子宮頸部組織試料におけるNa、K−ATPアーゼの発現レベルか、または対照組織試料において予想されるNa、K−ATPアーゼ発現を表す基準値と比較することができる。例示的な基準試料および基準値は、子宮頸部異形成または子宮頸癌の公知の存在、不在、または悪性度を表すものを含む。例えば、検出されたNa、K−ATPアーゼの発現レベル(β−サブユニットの発現など、例えばβ1−サブユニット)が、特定の基準試料または基準値におけるNa、K−ATPアーゼの発現(β−サブユニットの発現など、例えばβ1−サブユニット)の発現レベルと実質的に同等の場合、このことは、その対象が、基準試料または基準値によって表される、子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度を有することを示す。具体的な例では、基準値または基準試料が正常な(非異形成性、非癌性の)子宮頸部細胞の場合、そのような基準値と比較して、少なくとも2倍(少なくとも3倍など)に増加したNa、K−ATPアーゼの発現が検出されるということは、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。
具体的な例では、β−サブユニット(例えばβ1−サブユニット)の検出が行われる。子宮頸部の試験試料において検出されたβ−サブユニットのレベルが、特定の基準試料または基準値におけるβ−サブユニットの発現レベルと実質的に同等の場合、このことは、対象が、基準試料または基準値によって表される子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度を有することを示す。例えば、検出されたβサブユニットの発現の相対値が50であり、かつ正常な子宮頸部組織のβ−サブユニットの発現の基準値が10であり、子宮頸部異形成ではβ−サブユニットの発現の基準値が40であり、かつ子宮頸癌ではβ−サブユニットの発現の基準値が100である場合、そのことから対象は子宮頸部異形成を有すると結論付けられる。対象が、正常な、異形成性の、または癌性の子宮頸部細胞を有するかどうかを決定するために、任意のNa、K−ATPアーゼサブユニットおよび適切な基準値または基準試料を使用する同様の方法を用いることができる。
具体的な例では、基準値または基準試料は正常な子宮頸部細胞(非異形成性、非癌性)であり、かつNa、K−ATPアーゼβ1−サブユニットの発現が検出され、基準値と比較して、β1−サブユニットの発現が少なくとも2倍(少なくとも3倍など)増加した場合、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。
開示される方法は、子宮頸部組織試料中のα−サブユニットおよびβ−サブユニットの両方のNa、K−ATPアーゼの発現を検出する段階を含みうる。例えば、該方法は、β−サブユニット発現に対するα−サブユニットの発現の比率を決定する段階を含むことができ、正常な子宮頸部組織(非癌性および非異形成性)におけるβ−サブユニットの発現に対するα−サブユニットの発現レベルと比較して、少なくとも20%低下する場合、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。具体的な例では、β1−サブユニット発現に対するα1−サブユニットの発現の比率において、正常な子宮頸部組織におけるそのような発現と比較して、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも75%の低下が検出されることは、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。
一部の例では、β−サブユニットの発現に対するα−サブユニットの発現の決定された比率は、子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度が公知の1つまたは複数の基準値または基準試料において認められたα−サブユニットおよびβ−サブユニットの発現の比率と比較される。例えば、α−サブユニットおよびβ−サブユニットの発現の検出された比率が、特定の基準試料または基準値におけるα−サブユニットおよびβ−サブユニットの発現の比率と実質的に同等の場合、このことは、対象が、基準試料または基準値によって表される子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度を有することを示す。具体的な例では、基準値または基準試料が正常な(非異形成性、非癌性)子宮頸部細胞の場合、α−サブユニットおよびβ−サブユニット発現の比率において、そのような基準値と比較して低下が検出されることは(少なくとも20%または少なくとも50%の低下など)、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。
子宮頸部異形成または子宮頸癌を検出する方法は、子宮頸部試料におけるNa、K−ATPアーゼ(α−サブユニットまたはβ−サブユニットなど)の局在パターンを決定する段階も含みうる。ある子宮頸部組織試料におけるα−サブユニットまたはβ−サブユニットのいずれかまたは両方の局在を、子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度が公知の1つまたは複数の基準値または基準試料と比較することができる。例えば、検出されたNa、K−ATPアーゼの局在が特定の基準試料または基準値におけるNa、K−ATPアーゼの局在と実質的に同等の場合、このことは、対象が、基準試料または基準値によって表される子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度を有することを示す。具体的な例では、基準値または基準試料が正常な(非異形成性、非癌性)子宮頸部細胞の場合、そのような基準値と比較して、検出されたNa、K−ATPアーゼの局在(例えば基底部の局在と比較した、細胞膜における局在の増加など)は、対象から得られた子宮頸部試料中の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在を示す。
DNA複製状態は、特に発癌状態においては、細胞の増殖率の指標である。子宮頸部組織におけるNa、K−ATPアーゼの発現は、細胞の生理学的状態を示しうるが、細胞周期の状態を示してはいない。従って、一部の例では、該方法は、ヒストンH3などの細胞周期マーカーを検出する段階(例えばヒストンH3に特異的な抗体を用いて)をさらに含む。対象が子宮頸部異形成または子宮頸癌を有すると診断する能力に関して追加の情報を提供するために、そのような検出を使用することができる。例えば、正常な子宮頸部細胞と比較した、細胞周期マーカーの検出の増加は、例えば子宮頸部異形成または子宮頸癌で発生する、細胞分裂の増加が存在することを示しうる。一部の例では、正常な子宮頸部組織と比較した、ヒストンH3または他の細胞周期マーカーの、少なくとも2倍多い検出可能な増加(例えば、少なくとも5倍、または少なくとも20倍)は、1つもしくは複数のβ−サブユニット(例えば、β1)の発現の増加、β−サブユニット発現に対するα−サブユニットの発現の比率の低下、細胞膜染色の増加、またはそれらの組合せと共に、対象が子宮頸部異形成または子宮頸癌を有することを示す。
Na、K−ATPアーゼタンパク質発現の検出
試料中のタンパク質を検出する方法は当技術分野で周知である。例えば、免疫学的測定や免疫細胞学的方法を用いることができる。しかし、本発明の開示は特定の検出方法に限定されない。Na、K−ATPアーゼに特異的な抗体が利用できることにより(α−サブユニットまたはβ−サブユニットに特異的な抗体、例えばそれらの特定のアイソフォームなど)、Na、K−ATPアーゼタンパク質の検出および定量化が容易になる。例示的な市販抗体を表2に示す。例示的な免疫学的測定法は、Harlow and Lane(Antibodies,A Laboratory Manual,CSHL,New York,1988)、Bancroft and Stevens(Theory and Practice of Histological Techniques,Churchill Livingstone,1982)、Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York,1998)に記載されている。
(表2)例示的なNa、K−ATPアーゼ特異的抗体
Figure 0004960972
一般的には、該方法は、対象から得られた生体試料(例えば、子宮頸部細胞を含む試料またはそのような試料から単離されたタンパク質)と、Na、K−ATPアーゼ特異的抗体を、抗体が試料中のNa、K−ATPアーゼタンパク質と特異的に結合するのに十分な条件下で接触させ、これによりNa、K−ATPアーゼ−抗体複合体を形成する段階を含む。結果として得られるNa、K−ATPアーゼ−抗体複合体は、次に任意の標準的な検出系を用いて検出される。例えば、Na、K−ATPアーゼ−抗体は標識を含むことができ、これにより複合体の検出が可能になる。一部の例では、適切な標識化二次抗体とNa、K−ATPアーゼ−抗体複合体を、二次抗体がNa、K−ATPアーゼ−抗体複合体と特異的に結合することを可能にするために十分な条件下で接触させ、これにより標識化Na、K−ATPアーゼ−抗体複合体を形成させる。その後、二次標識と結合した標識を検出できる。同様の方法を、対象から得られた子宮頸部細胞内でのNa、K−ATPアーゼの局在パターンを検出するために使用することができる。
抗体を検出可能にするために、それらを標識する方法は周知である。例示的な標識にはCy3、FITC、BODIPY、およびCy5などのフルオロフォアが含まれる。標識を検出する方法は公知であり、これには顕微鏡検査やフローサイトメトリーを用いる検出が含まれる。
一部の例では、生体試料は、子宮頸部試料から単離された子宮頸部タンパク質を含む。そのような例では、任意の標準的な免疫学的測定フォーマット(例えば、ELISA、ウエスタンブロット、またはRIAアッセイ)を、Na、K−ATPアーゼタンパク質レベルを測定するために使用できる。
さらに、Na、K−ATPアーゼタンパク質を、抗体プローブアレイ、定量的分光法(例えば質量分析法、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)に基づく質量分析法など)、またはそれらの組合せを用いて、検出しかつ定量できる。
Na、K−ATPアーゼ核酸分子発現の検出
試料中の標的核酸分子(RNAまたはDNAなど、例えばmRNAまたはcDNA)を検出する方法は当技術分野で周知である。例えば、核酸増幅法(適切なプローブとプライマーを使用して)、ならびに核酸アレイ(適切なプローブを含む)を用いることができる。例えば、ノーザンブロット法、RNアーゼ保護アッセイ、核酸アレイ、定量的PCR(例えば、TaqManアッセイ)、ドットブロットアッセイ、インサイチューハイブリダイゼーション、またはそれらの組合せなどの当技術分野で周知の方法を利用して、Na、K−ATPアーゼ遺伝子発現のレベルを測定し、さらには定量することもできる。
一つの例では、該方法は、対象から得られた生体試料からの(単離可能な)核酸分子(子宮頸部細胞を含む試料、またはそのような試料から得られた核酸分子など)と、Na、K−ATPアーゼに特異的な核酸プローブ(α−サブユニットまたはβ−サブユニットに特異的なプローブなど)を、プローブが試料中のNa、K−ATPアーゼ核酸分子(mRNA分子など)と特異的に結合するのに十分な条件下で接触させ、これによりNa、K−ATPアーゼ−核酸分子複合体を形成させる段階を含む。次に、結果として得られた複合体は、任意の標準的な検出系を用いて、例えばプローブ上の標識を検出することによって検出される。
別の例では、該方法は、対象から得られた生体試料からの(単離可能な)核酸分子(子宮頸部細胞を含む試料、またはそのような試料から得られた核酸分子など)と、Na、K−ATPアーゼ(α−サブユニットまたはβ−サブユニットなど)の増幅を可能にするプライマーを接触させる段階を含む。結果として得られる単位複製配列を、例えば単位複製配列上の標識を検出することで検出することができる。具体的な例では、単位複製配列を、その単位複製配列と特異的にハイブリダイズできる、Na、K−ATPアーゼ特異的核酸プローブを含む核酸分子検出アレイに、ハイブリダイゼーション複合体を形成するのに適したハイブリダイゼーション条件下でアプライする。ハイブリダイゼーション条件は、一致したオリゴヌクレオチドと不一致のオリゴヌクレオチドを区別できるように選択される。ハイブリダイゼーション条件を、ハイブリダイゼーション用の標準的な手順において、フィルタに適することが知られているものに対応するように選択した後、アレイでの使用に最適化することができる。例えば、一種類の標的(例えば、Na、K−ATPアーゼのあるサブユニット)のハイブリダイゼーションに適した条件は、アレイ用の他の標的(例えば対照配列)の使用のために調整される。特に、正確に相補的なNa、K−ATPアーゼ配列以外の配列間の二本鎖の形成を実質的に除去するために、温度を制御する。様々な、公知のハイブリダイゼーション溶媒を使用でき、その選択は当業者に公知の考慮すべき事項に依存する(米国特許第5,981,185号を参照)。オリゴヌクレオチドプローブのアレイにおいてハイブリダイズした複合体の検出は、これまでに解説されている(米国特許第5,985,567号を参照)。一つの例では、検出とは、オリゴヌクレオチド、対象から得られた配列、または両方に存在する1つまたは複数の標識を検出する段階を含む。検出は、ハイブリダイズした複合体と検出標識の結合または連結を生じさせるために、ハイブリダイズした複合体を結合溶液(conjugating solution)で処理する段階と、結合した、ハイブリダイズした複合体を検出試薬で処理する段階をさらに含むことができる。特定の例では、該方法は、例えばハイブリダイゼーションの量を決定することによる定量化をさらに含む。
核酸分子を検出可能にするためにそれらを標識する方法は周知である。そのような標識の例には、非放射性標識と放射性標識が含まれる。非放射性標識には、酵素、化学発光化合物、フルオロフォア、金属錯体、ハプテン、比色物質、色素、またはそれらの組合せが含まれるがこれに限定されない。放射性標識には、125Iや35Sが含まれるがこれに限定されない。放射性標識法および蛍光標識法、ならびに当技術分野で公知のその他の方法が、本発明の開示と共に使用するのに適している。一つの例では、対象の核酸を増幅するのに使用されるプライマーが標識される(例えば、ビオチン、放射性標識、またはフルオロフォアを用いて)。別の例では、増幅させた核酸試料を、標識化増幅材料を作製するために末端標識する。例えば、増幅反応に標識化ヌクレオチドを含めることで、増幅させる核酸分子を標識することができる。別の例では、対象から得られた核酸分子を標識し、そしてオリゴヌクレオチドを含むアレイにアプライする。
基準値および基準試料
一部の例では、検出されたNa、K−ATPアーゼ(例えば、α−サブユニットまたはβ−サブユニットタンパク質または核酸)を、基準値(例えば、数または数の範囲)または基準試料(例えば、実際の生体試料)と比較することができる。正常な子宮頸部組織または特定の疾病の状態、例えば子宮頸部異形成または子宮頸癌(またはそれらの特定のステージ)に予想されるNa、K−ATPアーゼの発現を表す基準試料または基準値との比較を、その試料を採取した対象が、子宮頸部異形成または子宮頸癌を有するかどうかを決定するために使用できる。
一つの例では、基準値または基準試料は、正常な(非異形成性、非癌性)子宮頸部組織に予想されるかまたは日常的に認められる、Na、K−ATPアーゼα−サブユニットまたはβ−サブユニット(または両方)の発現の相対量または絶対量を表す。別の例では、基準値または基準試料は、子宮頸部異形成またはそれらの特定の悪性度(CIN I、CIN II、またはCIN IIIなど)に予想されるかまたは日常的に認められる、Na、K−ATPアーゼ α−サブユニットまたはβ−サブユニット(または両方)の発現の相対量または絶対量を表す。別の例では、基準値または基準試料は、子宮頸癌またはそれらの特定の悪性度(例えば、ステージ0、ステージI、ステージII、ステージIII、もしくはステージIV、またはステージIIAなどのそれらのサブステージ)に予想されるかまたは日常的に認められる、Na、K−ATPアーゼ α−サブユニットまたはβ−サブユニット(または両方)の発現の相対量または絶対量を表す。一部の例では、少なくとも2個、少なくとも5個、少なくとも10個のそのような基準値または基準試料などの、1つまたは複数のそのような基準値または基準試料、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16個のそのような基準値または基準試料が使用される。
一部の例では、基準試料または基準値は、正常な子宮頸部組織または特定の疾病の状態、例えば子宮頸部異形成または子宮頸癌(またはそれらの特定のステージ)に予想されるNa、K−ATPアーゼの局在パターンを表す。一つの例では、基準値または基準試料は、正常な(非異形成性、非癌性)子宮頸部組織に予想されるかまたは日常的に認められる、Na、K−ATPアーゼα−サブユニットまたはβ−サブユニット(または両方)の相対的または実際の局在を表す。別の例では、基準値または基準試料は、子宮頸部異形成またはそれらの特定の悪性度(CIN I、CIN II、またはCIN IIIなど)に予想されるかまたは日常的に認められる、Na、K−ATPアーゼα−サブユニットまたはβ−サブユニット(または両方)の相対的または実際の局在を表す。別の例では、基準値または基準試料は、子宮頸癌またはそれらの特定の悪性度(例えば、ステージ0、ステージI、ステージII、ステージIII、もしくはステージIV、またはステージIIAなどのそれらのサブステージ)に予想されるかまたは日常的に認められる、Na、K−ATPアーゼα−サブユニットまたはβ−サブユニット(または両方)の相対的または実際の局在を表す。一部の例では、少なくとも2個、少なくとも5個、少なくとも10個のそのような基準値または基準試料などの、1つまたは複数のそのような基準値または基準試料、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16個のそのような基準値または基準試料が使用される。
一部の例では、Na、K−ATPアーゼの発現を表す基準値または基準試料と、Na、K−ATPアーゼの局在パターンを表す基準値または基準試料とが使用される。
子宮頸部異形成と子宮頸癌の治療
異形成性の子宮頸部組織、および子宮頸癌において認められる、Na、K−ATPアーゼβ−サブユニットレベルの増加の認識において、子宮頸部異形成および子宮頸癌の治療のための薬剤と方法が提供される。一部の例では、対象は、子宮頸部異形成または子宮頸癌を有するかどうかを決定するために、例えば本明細書で提供される方法を用いてまずスクリーニングされる。子宮頸部異形成または子宮頸癌を有する対象を、例えば本明細書で提供される治療方法を用いる治療のために選択できる。
例えば、彼らの子宮頸部試料における、Na、K−ATPアーゼの発現の増加が、子宮頸部異形成または子宮頸癌が陰性の子宮頸部試料でのNa、K−ATPアーゼの発現の基準値と比較して少なくとも2倍であると特定された対象を、治療のために選択できる。例示的な治療には、1つまたは複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤の、例えば病的な子宮頸部細胞への投与が含まれる。一部の例では、そのような対象は、子宮頸部異形成または子宮頸癌細胞を少なくとも部分的に切除するための手術(例えば、電気外科的ループ切除法(LEEP)、円錐切除診、または子宮摘出)、放射線療法、化学療法、1つもしくは複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤を用いる治療、またはそれらの組合せを受ける。
組成物
治療用組成物が提供される。特定の例では、治療用組成物は、1つまたは複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤(例えば、Na、K−ATPアーゼβ−サブユニットを阻害する物質)、および薬学的に許容される担体を含む。一部の例では、そのような組成物を、子宮頸部異形成または子宮頸癌を治療するために使用できる。
Na、K−ATPアーゼ阻害剤は、Na、K−ATPアーゼの生物学的活性を著しく低下させる物質である。そのような低下は、生物学的活性を100%の低下させることでありうるが、組成物が有効であるために100%低下させる必要はない。例えば、Na、K−ATPアーゼ阻害剤は、Na、K−ATPアーゼの生物学的活性を、少なくとも20%、少なくとも50%、または少なくとも90%低下させる物質でありうる。Na、K−ATPアーゼ生物学的活性を測定する方法は当技術分野で公知であり、かつ本発明の開示は特定の方法に限定されるものではない。一つの例では、該方法は、Na、K−ATPアーゼイオン輸送活性の指標として、86Rbの取り込みを測定する段階を含む。例えば、細胞を、10の細胞につき、塩化物の塩として1μCiの86Rb(Amersham Biosciences)と共にインキュベートし、そして30分後に、細胞を氷上に置き、氷冷リン酸緩衝生理食塩水を加えて反応を停止させた後、細胞をペレットにした。細胞のペレットを計測器(Cobra Quantium, Packard)で計測し、検出された86Rbの量は、Na、K−ATPアーゼ活性を反映するものである(例えば、86Rbの量がより多く検出されると、より大きいNa、K−ATPアーゼ活性を示す)。Na、K−ATPアーゼ活性を決定するために使用可能な別の方法は、共役酵素(coupled−enzyme)アッセイを用いて(例えばNorby、Methods Enzymol.156:1169,1988を参照)ミクロソーム中のATPアーゼ活性を測定することであり、Na、K−ATPアーゼ特異的阻害剤、例えばウアバインまたはオリゴマイシンに対する試料の感受性を試験すること、およびKを含まない培地中のATPアーゼ活性を測定することの両方によって、ATPアーゼの総活性に対するNa、K−ATPアーゼ活性の寄与を決定できる。
一つの例では、Na、K−ATPアーゼ阻害剤は、Na、K−ATPアーゼタンパク質の生物学的活性を著しく低下させる物質である。例えば、Na、K−ATPアーゼ阻害剤は、強心配糖体、例えば、植物または動物から単離された強心配糖体でありうる。強心配糖体の例には、ウアバイン、およびg/k/e−ストロファンチン(ストロファンツスから)、ジギタリス、ジゴキシン、およびジギトキシン(ジギタリス・ラナータおよびジギタリス・パープレアから)、プロスキラリジンA(スキラ・マリティマから)、ビテキシンおよびルチン(サンザシ(Crataegus)から)、さらにアドニス・ヴェルナリス、アドニス・エスティヴァリス、アンミ(Ammi visnaga)、アコカンテラ・オブロンギフォリア、ならびにスズランからの強心配糖体、加えてカエル(ブファリン、マリノブファゲニン、およびブファジェノリドなど)が含まれる。レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)から調製される糖リポタンパク質画分もまた、Na、K−ATPアーゼ阻害活性を有することが示されている。具体的な例では、Na、K−ATPアーゼ阻害剤はジギタリス化合物である。
一つの例では、強心配糖体は、治療的有効量、例えば子宮頸部異形成または子宮頸癌細胞中のNa、K−ATPアーゼ生物学的活性を低下させる量で組成物中に存在する。例えば、強心配糖体を、子宮頸部異形成または子宮頸癌細胞の増殖を低下させるか、またはそれらの細胞を殺す量で組成物中に存在させることができる。具体的な例では、強心配糖体は、組成物の重量1g当りで少なくとも0.01mg、例えば、組成物の重量1g当りで少なくとも0.1mg、少なくとも0.25mg、少なくとも0.5mg、または少なくとも5mg、例えば、組成物の重量1g当り0.01mg〜0.5mgまたは0.01mg〜10mgの濃度で、組成物中に存在する。
一つの例では、Na、K−ATPアーゼ阻害剤は、Na、K−ATPアーゼの発現を著しく低下させる物質である。インビボでの発現を阻害する方法は当技術分野で公知であり、かつ抑制性RNA(RNAi)分子、例えば、siRNA、mRNA、ショートヘアピン(sh)RNA分子を含むことができる。具体的な例では、阻害剤はNa、K−ATPアーゼ β−サブユニットの発現を著しく低下させる。公的に利用できる数多くの種由来のNa、K−ATPアーゼ核酸分子に基づいて(例えば、GenBankアクセッション番号AH002617、M30309、U16799、X03747、およびNM_001677を参照)、RNAi分子、例えば、長さが20〜30ヌクレオチド、例えば約27ヌクレオチドのRNAi分子を、当技術分野で日常的に用いられる方法で作製できる。例示的なNa、K−ATPアーゼRNAi分子は、米国特許出願公開第20060172965号および同第20060234970号で提供されている。Na、K−ATPアーゼのRNAi分子は、例えば膣内または子宮頸部に治療的有効量で投与される。特定の例では、治療用組成物は、0.1重量%〜99重量%のRNAiを含む。一般的には、治療的有効量のRNAiは、標的の子宮頸部細胞の表面(新生物細胞など、例えば異形成または癌細胞)で、少なくとも100pM、少なくとも1nM、または少なくとも100nm、例えば100pM〜100nM、1nM〜50nM、5nM〜10nM、または100pM〜25nMの細胞外濃度になる。
本明細書で提供される組成物は、軟膏、クリーム、乳液、ローション、ゲル、固体、溶液、懸濁液、泡状、またはリポソーム組成物の形態、例えば膣内または子宮頸部送達に適した製剤でありうる。Na、K−ATPアーゼを含む組成物のpHは、約pH4〜9、例えば、pH4.5〜pH7.4でありうる。一つの例では、治療用組成物は、膣内リング、タンポン、坐薬、スポンジ、ピロー、パフ、または浸透圧ポンプ系に含まれる。
薬学的に許容される担体には、1つまたは複数の治療薬、例えば、Na、K−ATPアーゼ阻害剤の送達を許容する物質が含まれる。使用可能な薬学的に許容される担体は当業者に公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(Easton,Pa.:Mack Publishing Company、1990)を参照されたい。具体的な例では、薬学的に許容される担体は局所用担体、例えば、インビボの子宮頸部組織への組成物の投与に適した担体である。局所用担体は当技術分野で公知であり、かつ軟膏、ローション、クリーム、膏薬、エアロゾール、坐薬、ゲルなどの基剤として使用される任意のもの、例えば、膣内の、または子宮頸部への投与に適したものをすべて含む。
本明細書で使用するために適した担体には、水、シリコーン、ワックス、ワセリン、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール−1000(PEG−1000))、プロピレングリコール、リポソーム、糖(例えば、マンニトール、およびラクトース)、軟膏基剤;従来の眼科用賦形剤;クリーム;およびゲルが含まれる。使用可能な、さらなる薬学的に許容される担体は、米国特許第6,699,494号、同第6,306,841号、同第5,814,338号、および米国特許出願公開第2005/0129736号および同第2006/0205679号で提供されている。
所望であれば、開示される組成物またはそれらの一部分(例えば担体)を、滅菌するか、または例えば揺変剤(thixotropes)、安定剤、湿潤剤などの補助物質と混合することができる。
従来の技術を用いて、例えば薬剤を少量の基剤とすりつぶして濃縮物を形成し、その後それを等比級数的にさらに基剤で希釈することで、微粉化するかまたは溶解させたNa、K−ATPアーゼ阻害剤を賦形剤または基剤全体に均一に分散させることにより、開示される薬学的組成物を作製できる。あるいは、混合機を用いることができる。加熱しながら油相成分を混合し、液化した均一な系を提供する2相熱系の方法で、クリーム、ローション、および乳液を形成することができる。例えば、熱を用いて水相の成分を別に混合する。次に常に攪拌しながら油相および水相を一緒に加え、冷却する。この時点で、濃縮物質をスラリーとして加えることができる。揮発性原料または芳香性原料を、エマルジョンが十分に冷えた後に加えることができる。このような薬学的組成物の調製は、当技術分野の一般技術の範囲内である。
Na、K−ATPアーゼ阻害剤を、当技術分野で公知の方法を用いてゲル製剤に組み込むこともできる。2相ゲル系は、懸濁液、または分散相と液相を提供するために、液体が間に入った、小さな、非連続性の粒子の網目構造を一般的に含む。単一相ゲル系は、分散相と液相の間にはっきりとした境界が存在しないように、液体全体に均一に有機高分子を分配させることによって形成される。適切なゲル化剤には、合成高分子(例えば、カルボマー、ポリビニルアルコール、およびポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレン共重合体)、トラガカントなどのゴム、ならびにアルギン酸ナトリウム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースが含まれる。均一なゲルを調製するため、分散剤、例えばアルコールもしくはグリセリンを加えることができ、またはゲル化剤を粉砕、機械混合、もしくは攪拌、もしくはそれらの組合せによって分散させることができる。
Na、K−ATPアーゼ阻害剤を含む組成物を調製するためにリポソームを使用できる。一般的には、リポソーム製剤は難溶性または不溶性の薬剤に用いられる。使用可能なリポソーム製剤は、陽イオン性(正に帯電した)、陰イオン性(負に帯電した)、ならびに中性の調整物を含むことができる。陽イオン性リポソーム(例えば、商標名Lipofectinとして入手可能な(GIBCO BRL,Grand Island、N.Y.)、N[1−2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(「DOTMA」))、および陰イオン性および中性リポソームは、容易に入手できるか、または容易に入手可能な材料(例えば、ホスファチジルコリン、コレステロールホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(「DOPC」)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(「DOPG」)、およびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(「DOPE」))を用いて容易に調製できる。これらの材料を、適切な比率でDOTMAと混合することもできる。これらの材料を用いたリポソームの作製方法は当技術分野で周知である。
方法
本発明の開示は、対象、例えば、ヒト女性対象における子宮頸部異形成または子宮頸癌を治療するための方法も提供する。特定の例では、該方法は、治療的有効量の1つまたは複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤を、子宮頸部異形成または子宮頸癌を有する対象に、子宮頸部異形成または子宮頸癌の治療が許容される条件下で投与する段階を含む。例示的な治療用組成物は、上述の通り提供される。
例えば、Na、K−ATPアーゼ阻害剤を、子宮頸部の細胞、例えば異形成細胞または癌細胞内のNa、K−ATPアーゼ生物学的活性を著しく低下させるのに十分な量で投与することができる。一部の例では、子宮頸部の細胞(例えば、病的な異形成細胞または癌細胞)内のNa、K−ATPアーゼ生物学的活性は、少なくとも50%、例えば、少なくとも95%低下する。一部の例では、治療的有効量のNa、K−ATPアーゼ阻害剤の子宮頸部への投与によって、病的な子宮頸部細胞の数またはサイズが、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、例えば、少なくとも95%減少する。
一部の例では、子宮頸部異形成の治療が、子宮頸癌の発生を予防するか、または遅らせたり、異形成または癌のステージまたは悪性度を低下させるか(例えばCINIIIからCINIIもしくはI、またはステージIIIAからステージIIAもしくはステージIもしくはステージ0)、またはそれらの組合せをもたらす。例えば、癌に進行する前に子宮頸部異形成を治療するために方法を使用できる。
投与方法は当技術分野で公知である。一つの例では、1つまたは複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤を含む治療用組成物を、子宮頸部に直接投与する。例えば、子宮頸部の上皮層に、治療的有効量のNa、K−ATPアーゼ阻害剤(例えば、ジギタリス化合物)を接触させ、これにより異形成から癌への進行、または異形成または癌の悪性度の上昇に伴う分子の変化を減少させるか、または後退させる。上皮層下の浸潤癌細胞に到達しかつこれを治療するため、または子宮頸部の異形成組織の上皮層下に位置する子宮頸管内の腺に到達しこれを治療するために、接触させる濃度を高く、期間を長くすることができる。別の例では、1つまたは複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤を含む治療用組成物を膣内に投与し、これにより病的な子宮頸部細胞に組成物を到達させる。
具体的な例では、1つまたは複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤を含む治療用組成物を、少なくとも対象1kg当り0.001μg、例えば少なくとも0.01μg/kg、少なくとも0.1μg/kg、例えば、0.001μg/kg〜1μg/kgの用量で対象に投与する。治療用組成物を単位用量を単回または単位用量を複数回、長期にわたって、例えば、毎日、毎週、毎月、ある期間、例えば、少なくとも1ヶ月、少なくとも6ヶ月、または少なくとも12ヶ月にわたって適用することができる。
実施例1
子宮頸部異形成および子宮頸癌におけるNa、K−ATPアーゼの発現
本実施例では、正常試料、子宮頸部異形成試料、および子宮頸癌試料におけるNa、K−ATPアーゼの発現を比較するために使用される方法を説明する。特定の検出方法が提供されるが、他の抗体および他の免疫組織化学的方法が使用可能であることを当業者は理解すると考えられる。
BenchMark XT自動スライドガラス染色装置(Ventana Medical Systems、Inc.,Tucson、AZ)を用いて、子宮頸部組織試料(すなわち正常、低悪性度、高悪性度、および癌症例)におけるNa、K−ATPアーゼのαサブユニットおよびβ1サブユニットをそれぞれ検出するために、抗Na、K−ATPアーゼ αサブユニット(クローンM7−PB−E9)およびβ1サブユニット(クローンM17−P5−F11)モノクローナル抗体(Sigma−Aldrich,Inc.,St.Louis,MO)を使用した。Na、K−ATPアーゼ αおよびβ1のシグナルをiVIEW DAB(Ventana Medical Systems,Inc.)を用いて可視化し、そして組織切片をヘマトキシリンIIとブルーイング試薬(Bluing Reagent)とを用いて対比染色した。Na、K−ATPアーゼ αおよびβ1免疫染色の特異性を、正常組織および癌組織が含まれる組織マイクロアレイスライドガラスを用いて確認した(Super Bio Chips,Korea)。
概して、組織マイクロアレイスライド上の組織切片は、同一の細胞集団内の細胞Na、K−ATPアーゼ αサブユニットおよびβ1サブユニット両方を示した。しかし、異なる組織型の間でNa、K−ATPアーゼ αサブユニットおよびβ1サブユニットの細胞膜の染色パターンは異なっていた。例えば、腎臓の切片は、基底側および外側の細胞表面が染色されたことを示したが、小腸では主に外側の細胞表面の染色を示した。
Na、K−ATPアーゼ αサブユニットおよびβ1サブユニットを子宮頸部組織切片内で可視化した。Na、K−ATPアーゼ αサブユニットは、正常な子宮頸部組織の子宮頸部上皮層の基底層に局在していた(図1A)。間質組織に隣接する第1の細胞層では、Na、K−ATPアーゼ αサブユニットの細胞質への強い染色が見られたが、上皮表面に向かう細胞層の数層の付近では、細胞膜の染色が見られた。しかし、免疫組織化学的検出を行うにはNa、K−ATPアーゼ β1サブユニットレベルが低すぎた可能性があるものの、正常な子宮頸部組織では、Na、K−ATPアーゼのβ1サブユニット(図1B)の染色はなかったか、または異なるβ−サブユニット(β2および/もしくはβ3など)が発現している可能性もある。
すべての低悪性度(図1C)および高悪性度(図1E)の異形成の臨床症例の病変では、Na、K−ATPアーゼ αサブユニットの膜の染色が認められた。しかし、低悪性度(図1D)および高悪性度(図1F)の異形成の臨床試料においても、膜においてNa、K−ATPアーゼ β1サブユニットの発現が認められた。
8例の癌症例中8例が、Na、K−ATPアーゼαサブユニット(図1G)およびβ1サブユニット(図1H)について陽性であった。しかし、Na、K−ATPアーゼα−サブユニットおよびβ1−サブユニットの発現レベルの比率は、癌細胞集団で(異形成および正常組織と比較して)異なっていた。故に、Na、K−ATPアーゼα−サブユニットおよびβ1−サブユニットの発現は、子宮頸部の上皮層と癌において異なる機構によって調節されている可能性がある。また、異形成組織試料の間質組織中の病変の下方に子宮頸管内の粘液腺が認められた(図2Cおよび2D)が、正常組織ではほとんど認められず(図2Aおよび2B)、そして腺は、特に腺の周辺においてNa、K−ATPアーゼのαサブユニットおよびβ1サブユニットレベルの増加も示した(図2Cおよび2D)。
実施例2
子宮頸部異形成におけるテロメアおよびセントロメアのパターン
本実施例では、染色体DNAを可視化し、かつ子宮頸部異形成試料中のNa、K−ATPアーゼの発現を比較するために用いられる方法を説明する。特定の検出方法が提供されるが、他の染色法や検出方法が使用可能であることを当業者は理解すると考えられる。
子宮頸部組織試料中の染色体DNA配列を可視化するために、テロメアおよびセントロメア(DNA陽性対照として用いられる)特異的オリゴプローブを、インサイチューハイブリダイゼーションに使用した。テロメアおよびセントロメアインサイチューハイブリダイゼーションの適用を、構築されたHPVインサイチューハイブリダイゼーションのプロトコールを改変することで、BenchMark XT装置上で最適化した。iVIEW Blue Plusを用いてテロメアおよびセントロメアの染色体DNAのシグナルを検出し、そしてRed Counterstain IIを用いて対比染色した。Na、K−ATPアーゼ β−サブユニットの発現を、実施例1に記載したように検出した。
図3A〜Fに示すように、子宮頸部異形成組織試料は、異なるレベルのテロメア長の短小化を有し、そしてテロメア長の短小化が起こると、試料中で発現したNa、K−ATPアーゼ β−サブユニットのレベルに対応する増加が存在する。図3Aおよび3Dは、試料中の染色体DNAの存在を示す陽性対照であり、図3Bおよび3Eは、異形成の2つの症例におけるテロメアDNAの異なるレベルを示し(シグナルが減少するほど、テロメア領域が短くなったことを示す)、そして図3Cおよび3FはNa、K−ATPアーゼβ−サブユニット発現の対応するレベルを示す。
実施例3
子宮頸部異形成または子宮頸癌を治療するための局所用薬剤および方法
本実施例では、Na、K−ATPアーゼ阻害剤を含む組成物、ならびにそのような組成物を子宮頸部異形成または子宮頸癌を治療するために用いる方法を説明する。特定の例示的なNa、K−ATPアーゼ阻害剤、および投与方法が提供されるが、本発明の開示はそのような物質や方法に限定されるものではない。
上記の実施例で述べたように、子宮頸部異形成組織および子宮頸癌において観察されるNa、K−ATPアーゼ β−サブユニットの発現は増加している。これらの観察に基づいて、子宮頸部異形成および子宮頸癌の治療のための治療用組成物と方法が提供される。
治療用組成物は、1つまたは複数のNa、K−ATPアーゼ阻害剤、例えば、Na、K−ATPアーゼ β−サブユニット(例えば、β1−サブユニット)の活性または発現を阻害する物質を含む。具体的な例では、Na、K−ATPアーゼ阻害剤は、ジギタリス化合物および薬学的に許容される局所用担体を含む。具体的な例では、ジギタリス化合物は、ジゴキシン、ジギトキシン、またはそれらの組合せ、例えば、組成物の重量1g当り0.01mgのジギタリス、例えば、組成物の重量1g当りで少なくとも0.1mg、少なくとも0.25mg、少なくとも0.5mg、または組成物の重量1g当りで少なくとも5mg、例えば、組成物の重量1g当りで0.01mg〜0.5mgまたは0.01mg〜10mgである。
特定の態様では、薬剤と方法を、特に癌に進行する前に子宮頸部異形成を治療するために使用することができる。上皮層(β−サブユニットの発現レベルが最初に増加する場所)にジギタリス化合物を接触させることで、異形成から癌への進行に伴う分子の変化が停止するかまたは後退する可能性がある。上皮層の下に存在する浸潤癌細胞に到達させかつ治療するために、または子宮頸部異形成組織中の上皮層の下に位置する子宮頸管内の腺に到達させかつ治療するためには、高い濃度と、長い接触期間が有用である可能性がある。
薬剤を調製するために、ジギタリス化合物を、任意の薬学的に許容される局所用担体に加えることができる。局所用担体は、軟膏、ローション、クリーム、膏薬、エアロゾール、坐薬、ゲルなどの基剤として、薬学、化粧品、医学分野での使用が周知の任意のものでありうる。所望であれば、これらを滅菌してもよいし、または、例えば揺変剤、安定剤、湿潤剤などの補助剤と混合してもよい。非噴霧性の局所性製剤用の賦形剤の例には、軟膏基剤、例えばポリエチレングリコール−1000(PEG−1000);伝統的な眼科用賦形剤;クリーム;およびゲル;ならびにワセリンなどが含まれる。
本発明の開示の原則を適用しうる、多くの可能な態様に照らして、例示した実施例は本発明の開示の例にすぎず、かつ本発明の範囲を限定するものと考えるべきでないことを理解されたい。むしろ、本発明の範囲は特許請求の範囲によって定められる。従って本発明者らは、これらの特許請求の範囲の精神と範囲に含まれる発明のすべてを請求する。
図1A〜Hは、正常な子宮頸部組織(A、B)、低悪性度の子宮頸部異形成(C、D)、高悪性度の子宮頸部異形成(E、F)、および子宮頸癌組織試料(G、H)における、Na、K−ATPアーゼαサブユニット(A、C、E、G)およびβサブユニット(B、D、F、H)の免疫学的局在決定のデジタル画像を示す。正常な子宮頸部組織はNa、K−ATPアーゼαサブユニットを発現していたが、β1サブユニットは発現しなかった。子宮頸部異形成および子宮頸癌試料は、Na、K−ATPアーゼαサブユニットおよびβ1サブユニットの両方に対して陽性であった。 図2A〜Dは、子宮頸管内の粘液腺中のNa、K−ATPアーゼの発現を明らかにするために染色した子宮頸部組織のデジタル画像を示す。子宮頸管内の粘液腺は正常な試料(AとB)ではまれにしか見られず、子宮頸部異形成試料(CとD)の間質に主に認められる。 図3A〜Fは、子宮頸部異形成組織試料における、セントロメア(AとD)およびテロメア(BとE)インサイチューハイブリダイゼーションと、Na、K−ATPアーゼβ−サブユニット(CとF)レベルとを比較するデジタル画像を示す。これらの図は、子宮頸部異形成の症例において、Na、K−ATPアーゼβ−サブユニットのレベルの増加とテロメアの短小化が正に相関することを示す(Eにおける低い染色レベルによって示される)。

Claims (21)

  1. 対象から得られた子宮頸部試料中のNa、K−ATPアーゼの発現を検出する段階を含む、対象における子宮頸部異形成または子宮頸癌を検出するための方法であって、
    子宮頸部異形成または子宮頸癌が陰性の子宮頸部試料でのNa、K−ATPアーゼの発現の基準値と比較して、少なくとも2倍の発現の増加が、前記対象から得られた前記子宮頸部試料中に子宮頸部異形成または子宮頸癌が存在することを示す、方法。
  2. Na、K−ATPアーゼの発現を検出する段階が、Na、K−ATPアーゼタンパク質の発現を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. Na、K−ATPアーゼタンパク質の発現を検出する段階が、
    前記子宮頸部試料を、Na、K−ATPアーゼに特異的な抗体と、前記抗体が前記試料中のNa、K−ATPアーゼタンパクと結合するのに十分な条件下で接触させ、それによりNa、K−ATPアーゼ‐抗体複合体を形成させること、および
    Na、K−ATPアーゼ‐抗体複合体を検出すること、
    を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記Na、K−ATPアーゼ‐抗体複合体を検出する段階が、
    前記Na、K−ATPアーゼ‐抗体複合体を、標識を含む二次抗体と、前記二次抗体がNa、K−ATPアーゼ‐抗体複合体と結合するのに十分な条件下で接触させ、それにより標識化Na、K−ATPアーゼ‐抗体複合体を形成させること、および
    前記標識を検出すること、
    を含む、請求項3に記載の方法。
  5. Na、K−ATPアーゼタンパク質の発現を検出する段階が、顕微鏡検査またはフローサイトメトリーを用いて前記Na、K−ATPアーゼタンパク質を検出することを含む、請求項2に記載の方法。
  6. Na、K−ATPアーゼの発現を検出する段階が、Na、K−ATPアーゼ核酸分子の発現を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
  7. Na、K−ATPアーゼ核酸分子の発現を検出する段階が、Na、K−ATPアーゼmRNAの発現を検出することを含む、請求項6に記載の方法。
  8. PCRを用いて、Na、K−ATPアーゼmRNA発現を検出する、請求項7に記載の方法。
  9. Na、K−ATPアーゼの発現を検出する段階が、Na、K−ATPアーゼの発現を定量することを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記基準値が、子宮頸部異形成または子宮頸癌が陽性の子宮頸部試料のNa、K−ATPアーゼの発現の第二の基準値をさらに含み、前記第二の基準値におけるNa、K−ATPアーゼの発現量と同等のNa、K−ATPアーゼの発現量が、前記対象から得られた前記子宮頸部試料中に子宮頸部異形成または子宮頸癌が存在することを示す、請求項1に記載の方法。
  11. Na、K−ATPアーゼの発現を検出する段階が、Na、K−ATPアーゼβサブユニットの発現を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
  12. Na、K−ATPアーゼの発現を検出する段階が、Na、K−ATPアーゼα−サブユニットの発現を検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  13. β−サブユニットの発現に対するα−サブユニットの発現の比率を決定する段階をさらに含む方法であって、
    子宮頸部異形成または子宮頸癌が陰性の子宮頸部試料のβ−サブユニットの発現に対するα−サブユニットの発現の基準値と比較して、前記β−サブユニットの発現に対するα−サブユニットの発現の比率における少なくとも20%の低下が、前記対象から得られた前記子宮頸部試料中に、子宮頸部異形成または子宮頸癌が存在することを示す、請求項11に記載の方法。
  14. 前記β−サブユニットの発現に対するα−サブユニットの発現の比率を、基準値または基準試料と比較する段階をさらに含む方法であって、
    特定の基準値または基準試料において認められるβ−サブユニットの発現に対するα−サブユニットの発現の比率と同等である、前記子宮頸部組織試料において認められる、β−サブユニットの発現に対するα−サブユニットの発現の比率が、前記対象が、前記基準値または基準試料の子宮頸部異形成または子宮頸癌の特定の存在、不在、または悪性度を有することを示す、請求項11に記載の方法。
  15. 前記子宮頸部試料中に存在する子宮頸部細胞内のNa、K−ATPアーゼの局在を決定する段階、および
    前記Na、K−ATPアーゼの局在を基準Na、K−ATPアーゼの局在と比較する段階
    をさらに含む方法であって、前記基準におけるNa、K−ATPアーゼの局在と同等のNa、K−ATPアーゼの局在が、前記対象が、前記基準の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度を有することを示す、請求項1に記載の方法。
  16. 前記子宮頸部試料中に存在する子宮頸部細胞内のヒストンH3を検出する段階、および
    ヒストンH3の発現を基準ヒストンH3の発現と比較する段階
    をさらに含む方法であって、基準のヒストンH3の発現と比較して同等のヒストンH3の発現が、前記対象が、前記基準の子宮頸部異形成または子宮頸癌の存在、不在、または悪性度を有することを示す、請求項1に記載の方法。
  17. 前記子宮頸部異形成または子宮頸癌の治療のために、子宮頸部異形成または子宮頸癌が陰性の子宮頸部試料のNa、K−ATPアーゼの発現の基準値と比較して、少なくとも2倍のNa、K−ATPアーゼの発現の増加を有する対象を選択する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記基準値と比較して、前記発現の増加が少なくとも3倍である、請求項1に記載の方法。
  19. 前記基準値と比較して、前記発現の増加が2倍から10倍である、請求項1に記載の方法。
  20. 前記基準値と比較して、前記発現の増加が2倍である、請求項1に記載の方法。
  21. 前記対象が、ヒト女性対象である、請求項1に記載の方法。
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