JP4959510B2 - 殺藻剤 - Google Patents
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従来は、漁網に付着した海藻類を腐敗させた後、漁網を洗浄することにより海藻類の除去を行っていた。これは、海水中に長期間浸漬されていた漁網には、海藻類の根が網繊維に深く入り込むため、海藻類を腐敗させずに除去することが困難なためである。
(1)海藻類を腐敗させるため悪臭が発生する、
(2)海藻類の腐敗によって発生するアンモニアが漁網の構成材料である樹脂を傷め、破網の原因となる、
(3)海藻類の腐敗には長い時間が必要なため、作業効率が悪い、
といった問題点があった。
すなわち、本発明に係る請求項1に記載の殺藻剤は、
漁網に付着した海藻類を除去するために使用する殺藻剤であって、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を水に添加して成り、水に対する上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率が、3000〜10000mg/Lであることを特徴とする。
漁網に付着した海藻類を除去するために使用する殺藻剤であって、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート又はL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩とを、水に添加して成り、水に対するテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率が1000〜3000mg/Lであり、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート又はL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率が2000mg/Lであることを特徴とする。
従って、本発明の請求項2に記載の殺藻剤にあっては、海藻類が特異的に持っているアミノ酸代謝系を、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩及びアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート、或いは、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩及びL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩が阻害し、海藻類の細胞組織の崩壊を促進して死滅させる。このため、漁網に付着した海藻類を腐敗させることなく除去することができる。
テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩は、海藻類が特異的に持っているアミノ酸代謝系を阻害して、海藻類の細胞組織の崩壊を促進するため、海藻類を腐敗させることなく死滅させることができる。海藻類が死滅することにより、漁網表面からの剥離が容易となり、漁網を洗浄するだけで海藻類を簡単に除去することができる。
また、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩は、人間、魚類、動植物に対する安全性が高く、且つ、分解性に優れているため、環境毒性も低いものである。
すなわち、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートや、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩も、上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と同様に、海藻類が特異的に持っているアミノ酸代謝系を阻害して、海藻類の細胞組織の崩壊を促進するため、海藻類を腐敗させることなく死滅させることができる効果を奏するものである(後述の実施例2及び表2、実施例3及び表3参照)。また、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と同様に、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートや、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩も、人間、魚類、動植物に対する安全性が高く、且つ、分解性に優れているため、環境毒性が低い。
定法によって育成し、収穫した後の海苔養殖網を50cm×50cmに切り取り、切り取った養殖網に付着した海苔の除去効果についての試験を行った。
試験方法:脱イオン水1Lに、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を10000mg/L、5000mg/L、3000mg/L、1000mg/L、800mg/L、500mg/Lの割合で添加して成る殺藻剤を、それぞれ2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の殺藻剤中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬した試験区を設け、各試験区の海苔養殖網を24時間20℃で静置した。静置後、流水にて海苔養殖網を洗浄した後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。
尚、試験区には、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を添加しない脱イオン水1Lを2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の脱イオン水中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬したコントロール区を設けた。コントロール区の海苔養殖網についても24時間20℃で静置した後、流水にて洗浄後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。コントロール区の海苔残渣の乾物重量に対する各試験区の海苔残渣の乾物重量の比率を除去率とした。
試験結果を表1に示す。
従って、高い殺藻効果を得るため、水に対するテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率を3000〜10000mg/Lとするのが適当である。
試験方法:脱イオン水1Lに、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートを10000mg/L、5000mg/L、3000mg/L、1000mg/Lの割合で添加して成る殺藻剤を、それぞれ2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の殺藻剤中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬した試験区を設け、各試験区の海苔養殖網を24時間20℃で静置した。静置後、流水にて海苔養殖網を洗浄した後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。
試験結果を表2に示す。
従って、水にアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートを添加して殺藻剤と成す場合には、水に対するアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートの添加率を5000〜10000mg/Lとするのが適当である。
もっとも、表1及び表2の比較から明らかな通り、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートよりテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の方が殺藻効果は高いので、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート単独で殺藻剤を構成するのではなく、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と併用するのが好ましい(後述の実施例4、表4参照)。
試験方法:脱イオン水1Lに、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を10000mg/L、5000mg/L、3000mg/Lの割合で添加して成る殺藻剤を、それぞれ2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の殺藻剤中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬した試験区を設け、各試験区の海苔養殖網を24時間20℃で静置した。静置後、流水にて海苔養殖網を洗浄した後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。
試験結果を表3に示す。
従って、水にL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を添加して殺藻剤と成す場合には、水に対するL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率を10000mg/Lとするのが適当である。
もっとも、表1及び表3の比較から明らかな通り、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩よりテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の方が殺藻効果が非常に高いので、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩単独で殺藻剤を構成するのではなく、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と併用するのが好ましい(後述の実施例5、表5参照)。
試験方法:第1の薬剤としてテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩、第2の薬剤としてアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートを用い、脱イオン水1Lに、第1の薬剤を3000mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を1000mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を800mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を500mg/L及び第2の薬剤を2000mg/Lの割合で添加して成る殺藻剤を、それぞれ2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の殺藻剤中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬した試験区を設け、各試験区の海苔養殖網を24時間20℃で静置した。静置後、流水にて海苔養殖網を洗浄した後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。
試験結果を表4に示す。
従って、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩とアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートとを併用した殺藻剤の場合には、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を1000〜3000mg/L、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートの添加率を2000mg/Lとするのが適当である。
試験方法:第1の薬剤としてテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩、第2の薬剤としてL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を用い、脱イオン水1Lに、第1の薬剤を3000mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を1000mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を800mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を500mg/L及び第2の薬剤を2000mg/Lの割合で添加して成る殺藻剤を、それぞれ2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の殺藻剤中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬した試験区を設け、各試験区の海苔養殖網を24時間20℃で静置した。静置後、流水にて海苔養殖網を洗浄した後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。
試験結果を表5に示す。
従って、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩とL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩とを併用した殺藻剤の場合には、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を1000〜3000mg/L、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率を2000mg/Lとするのが適当である。
Claims (2)
- 漁網に付着した海藻類を除去するために使用する殺藻剤であって、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を水に添加して成り、水に対する上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率が、3000〜10000mg/Lであることを特徴とする殺藻剤。
- 漁網に付着した海藻類を除去するために使用する殺藻剤であって、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート又はL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩とを、水に添加して成り、水に対するテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率が1000〜3000mg/Lであり、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート又はL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率が2000mg/Lであることを特徴とする殺藻剤。
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