JP4958935B2 - 除湿空調装置 - Google Patents

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本発明は、液体デシカントを用いる除湿空調装置に関し、特に吸収器及び再生器に係るものである。
従来、液体デシカント除湿空調装置として例えば「濃縮器によって適切な濃度に管理された除湿剤溶液を、液冷却器で適切な温度に冷却した後、空気冷却器に供給し、空気冷却器において充填材や板を収容した容器や壁等に除湿剤溶液を散布して被冷却空気と熱交換し、これにより室温と湿度とを同時に制御・・・」する液体デシカント除湿空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−45803号公報(請求項2、図2)
上記の特許文献1の液体デシカント除湿空調装置では、デシカント溶液が吸収器及び再生器の伝熱管の構成材料である金属に対し強い腐食性を有する。そのため、デシカント溶液による腐食を回避する目的で、耐食性を有する高価な合金を吸収器及び再生器の材料に用いる必要があった。しかしその場合、液体デシカント除湿空調装置の製造及び維持コストが増大するという問題点があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、デシカント溶液に対する耐食性を維持しつつも、高価な耐食性の合金の使用量を低減して製造及び維持コストを抑えた、液体デシカント除湿空調装置用の吸収器及び再生器を提供することを目的とする。
本発明に係る除湿空調装置は、デシカント濃溶液が空気中の熱及び水蒸気を吸収してデシカント希溶液に変化することで、前記空気を冷却乾燥させて処理空気を生成する吸収器と、前記デシカント希溶液から熱及び水蒸気を放出させて、前記デシカント希溶液を前記デシカント濃溶液に再生させる再生器とを備えた除湿空調装置であって、前記吸収器及び再生器の少なくとも一方は、前記デシカント濃溶液に対する耐食性を有した合金から形成され、内部に前記デシカント濃溶液又は希溶液(以下、デシカント溶液と示す。)とは異なる伝熱流体が流動する複数の流路が形成されている熱交換プレートと非腐食性基板から形成され、かつ対向する前記熱交換プレートの表面を流下する前記デシカント溶液が供給されて前記デシカント溶液の液膜流を表面に形成し、空気と前記液膜流とが接触することで前記空気と前記デシカント溶液との間で熱交換及び水分の脱吸着が行われる前記表面を提供するデシカント捕集フィンとを有することを特徴とする。
本発明においては、吸収器及び再生器の熱交換手段として熱交換プレートを用いることにより伝熱性能を向上させ、かつ装置自体をコンパクト化することにより、高価な耐食性の合金の使用を低減し製造及び維持コストを削減することができる。
液体デシカント除湿空調装置の基本構成図である。 (a) 熱交換プレートと波形フィンとを有する吸収器又は再生器の構成図である。(b) 一対の熱交換プレートに挟まれた波状フィンの部分拡大図である。 ウェブにより分離された複数の内部チャンネルを有する熱交換プレートの断面図である。 熱交換プレート及び熱交換プレートと嵌合可能な三角形差込み部の斜視図である。 複数の内部チャンネルで構成された多重流動パスを有し、伝熱流体の流動方向を180°転換させる円形の切抜き部を備えた熱交換プレートの正面図である。 三角形の切抜き部と三角形差込機構とを有する熱交換プレートの斜視図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る、液体デシカント除湿空調装置の基本構成図である。ただし、吸収器及び再生器の詳細は図示していない。吸収器及び再生器の詳細については後述する。
液体デシカント除湿空調装置は、除湿部1と再生部7とを有している。除湿部1では、デシカント溶液をクーラ3により冷却した後、吸収器6の伝熱管群にスプレーして処理空気2と気液接触させることによって、処理空気2中の水分をデシカント溶液に吸湿させる。
連続的に除湿を行うには、デシカント溶液に吸湿された水分を除去する再生過程が必要となる。吸湿して除湿能力が低下したデシカント希溶液5は、ポンプ14により再生部7に送られる。再生部7ではデシカント希溶液5を、ポンプ13を介してヒータ9により加熱した後、再生器12の伝熱管群にスプレーし、フラッシングにより発生した蒸気を再生空気8と接触させて排気する。するとデシカント希溶液5は加熱濃縮されてデシカント濃溶液11となり、吸湿能力を回復する。このように従来の液体デシカント除湿空調装置では、デシカント濃溶液11が吸収器6の伝熱管群に直接噴霧されることにより、空気を冷却し空気中の水蒸気を吸収していた。またデシカント希溶液5を再生器12の伝熱管群に直接噴霧することにより、空気を加熱し空気中に水蒸気を放出する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る吸収器又は再生器の構成図である。以下、吸収器として説明するが、再生器の場合も同様の構成である。
吸収器20は、熱交換プレート21と、デシカント捕集波形フィン22(以下、波形フィンと呼ぶ)と、分配多枝管23と、分配管24と、分配パッド25とを有する。
熱交換プレート21は、プレート面と垂直な方向に一定間隔で複数枚配置されている。波形フィン22は隣接する熱交換プレート21同士の間に設けられ、波形フィン22と熱交換プレート21との間には、デシカント溶液が通過できる程度の間隙を有している。分配パッド25は、熱交換プレート21の面上部に配置され、分配パッド25の上面には分配管24が設けられている。分配管24は、分配多枝管23に接続されている。
波形フィン22は非金属材料で形成されているが、その表面はデシカント溶液が一様に流れるように処理されている。また分配パッド25は、開放型セル泡又は不織布織物等の多孔性物質で構成されている。
波形フィン22の適切な形態として、プラスチック、メタル、カーボン、グラス、セラミック又はセルロース等の非腐食性の繊維で作られる不織布織物シート又はメッシュが挙げられる。また、波形フィン22の表面に適する物質として、プラスチック、メタル、カーボン、グラス、セラミック、ミネラル又はセルロース等の非腐食性物質で構成される砂塵又は繊維を有する薄膜が挙げられる。
分配多枝管23は、デシカント溶液が供給源から搬送される際の通り道となる。デシカント溶液は、分配多枝管23から分配管24を介して分配パッド25へと流入する。分配パッド25は、デシカント溶液を熱交換プレート21及び波形フィン22の表面上に広く拡散させる働きをする。以下、分配多枝管23、分配管24及び分配パッド25の総称を、デシカント溶液供給アセンブリと示す。
分配管24から放出されたデシカント溶液は、分配パッド25を介して拡散し、熱交換プレート21及び波形フィン22の表面上を一様に流下する。一方、吸収器20を通過する空気は、隣接する熱交換プレート21同士の間隙や波状フィン22と熱交換プレート21とで形成される間隙を通過する。波形フィン22及び熱交換プレート21の表面上を流下するデシカント溶液と空気が接触することにより、前記空気は冷却かつ乾燥される。
図2(b)を用いて、分配パッド25から流下したデシカント溶液が、熱交換プレート21と波形フィン22の境界部分26に流入する際の流路について説明する。図2(b)に示す境界部分26で、デシカント溶液の流路は2通りに分かれる。すなわち、熱交換プレートの前面27上を流下する場合(流路A)と、波形フィン22の内表面に沿って流下する場合(流路B)である。
図2(b)に示す流路Aの場合、熱交換プレートの前面27は、熱交換プレート21内部を流れる伝熱流体により冷却されるため、流路Aをたどるデシカント溶液は熱交換が行われて冷却される。さらに前記デシカント溶液は、熱交換プレートの前面27を流下しながら空気中の水蒸気を吸収する。
一方、流路Bの場合、デシカント溶液は波形フィン22の内表面に沿って流下しながら空気中の水蒸気を吸収する。また、熱交換プレートの背面28と波形フィン22との間に形成される流路Cの場合、流路Cをたどるデシカント溶液は熱交換プレートの背面28で冷却されながら空気中の水蒸気を吸収する。
以上のように、各流路をたどるデシカント溶液は流下しながら空気を冷却し、かつ前記空気が有する水蒸気を吸収する。この冷却及び水蒸気の吸収は繰り返し行われる。前記水蒸気の吸収の一部が非金属の波形フィン22上で行われることにより、空気とデシカント溶液との接触表面積の一部を波形フィン22が担うことができる。そこで、従来の吸収器の伝熱管に必要な耐食性合金の使用量を低減することができる。
波形フィン22は、熱交換プレート21と複数の箇所で、熱交換プレート21の表面と最も近くなるように配置される。熱交換プレート21の表面と波形フィン22が最も近くなる箇所では、デシカント溶液にとって最も狭い流路となる。したがってデシカント溶液の流れを整えてから、再び薄膜流を形成することができ、熱交換プレート21の表面の濡れ性が回復する。このような、デシカント溶液の流れを整えて薄膜を形成する機構がないと、熱交換プレート21の表面上には不連続的な小川の模様をなしたデシカント液筋ができやすくなる。小川の模様のデシカント液筋の存在は、熱交換プレート21の表面の一部でしかデシカント溶液との熱交換が行われていないことを意味する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る、熱交換プレート21の断面図である。
熱交換プレート21は伝熱性能を向上させるために、熱交換プレート21内を流れる伝熱流体に対し、複数の流路が形成されることが望ましい。熱交換プレート21はその厚み以上の長さと幅を有するとともに、伝熱流体の流動に必要な複数の内部チャンネル32を有する。熱交換プレート21の内部は、一定間隔で配置された複数のウェブ33により分割され、熱交換プレート21の外面は、一様な形に維持された一組のプレート壁34から形成される。ウェブ33は、伝熱流体の搬送のための複数の流体搬送チャンネルを提供する。
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係る熱交換プレート41の斜視図である。
熱交換プレート41は、複数の差込機構チャンネル43を有した三角形差込機構44と結合することができる。三角形差込機構44が熱交換プレート41と結合した時に、熱交換プレート41の内部チャンネル42が差込機構チャンネル43と接続され、プレート内で上下2方向の流路を形成することができる。例えば、伝熱流体は熱交換プレート41の一方の内部チャンネル42に流入してから差込機構チャンネル43に流入する。その後、熱交換プレート41の他方の内部チャンネル42に流入する際は、伝熱流体の流入方向が180°転換される。このように伝熱流体の方向転換を、外部のマニホルダやフィティングを追加することなく、熱交換プレート41内部で行うことができる。
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る、多重流動パスを備えた熱交換プレート57である。
熱交換プレート57に多重流動パスを設けることで、伝熱性能を向上させるために、伝熱流体を上下交互に流すことが可能になる。伝熱流体は入口51から熱交換プレート57に流入し、A方向にチャンネル内を流れる。図5に示すように、伝熱流体はまず三つのチャンネルからなる1番目のチャンネルセット52A内を流れる。伝熱流体がチャンネルセット52A内を流れ、入口51からエンド部54に到達した後、流れ方向が180°転換し、2番目のチャンネルセット53B内をB方向に流れ始める。流動方向の逆転は、熱伝導プレート57のエンド部54にある切抜き部55により行われる。
切抜き部55の形状は充分長く、伝熱流体の流れ方向が180°転換する際に生じる、伝熱流体の圧力損失を回避できる程度の転換領域を有する。図5で、切抜き部55には複数のチャンネルから伝熱流体が流入する。切抜き部55は、伝熱流体が矢印Bで示された方向に向かうために充分な径を有する円形のものである。熱交換プレート57には、伝熱流体が入口51から出口56に向かってプレート内部を上下に流れるように、充分な数の切抜き部55が備えられている。
図6に示す熱交換プレートは、伝熱流体の流れ方向を切り換える手段として、三角形切り抜き部61を有する。三角形切抜き部61に三角形差込機構62を挿入することで、伝熱流体の流れ方向を180°転換させて逆方向に流すことができる。なお、切り抜き部の形状は三角形に限らず、円形、半円形又は長方形としてもよい。
1 除湿部、2 処理空気、3 クーラ、4 デミスター、5 デシカント希溶液、6 吸収器、7 再生部、8 再生空気、9 ヒータ、10 デミスター、11 デシカント濃溶液、12 再生器、13 ポンプ、14 ポンプ、21 熱交換プレート、22 デシカント捕集波形フィン、23 分配多枝管、24 分配管、25 分配パッド、26 境界部分、27 熱交換プレートの前面、28 熱交換プレートの背面、32 内部チャンネル、33 ウェブ、34 プレート壁、41 熱交換プレート、42 内部チャンネル、43 差込機構チャンネル、51 入口、52A A方向のチャンネルセット、53B B方向のチャンネルセット、54 エンド部、55 切り抜き部、56 出口、57 熱交換プレート、61 三角形切り抜き部、62 三角形差込機構、63 入口、64 出口、65 熱交換プレート。

Claims (7)

  1. デシカント濃溶液が空気中の熱及び水蒸気を吸収してデシカント希溶液に変化することで、前記空気を冷却乾燥させて処理空気を生成する吸収器と、
    前記デシカント希溶液から熱及び水蒸気を放出させて、前記デシカント希溶液を前記デシカント濃溶液に再生させる再生器と
    を備えた除湿空調装置であって、
    前記吸収器及び再生器の少なくとも一方は、
    前記デシカント濃溶液に対する耐食性を有した合金から形成され、内部に前記デシカント濃溶液又は希溶液(以下、デシカント溶液と示す。)とは異なる伝熱流体が流動する複数の流路が形成されている熱交換プレートと、
    非腐食性基板から形成され、かつ対向する前記熱交換プレートの間に配置され前記熱交換プレートの表面を流下する前記デシカント溶液が供給されて前記デシカント溶液の液膜流を表面に形成し、空気と前記液膜流とが接触することで前記空気と前記デシカント溶液との間で熱交換及び水分の脱吸着を行うデシカント捕集フィンと
    を有すること
    を特徴とする除湿空調装置。
  2. 前記デシカント捕集フィンは前記熱交換プレートと複数の箇所で最も近くなるように配置され、空気が前記熱交換プレートと前記デシカント捕集フィンとの間を通過できること
    を特徴とする請求項1に記載の除湿空調装置。
  3. 前記デシカント捕集フィンが波形であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の除湿空調装置。
  4. 前記熱交換プレートの上部には、デシカント溶液を搬送するためのデシカント溶液供給アセンブリが設けられ、
    前記デシカント溶液供給アセンブリは、
    前記デシカント溶液の供給源から前記デシカント溶液が搬送される分配多枝管と、
    前記分配多枝管から前記デシカント溶液が流入する分配管と、
    前記分配管から供給された前記デシカント溶液を前記熱交換プレートの上部に搬送するための分配パッドと
    を有すること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の除湿空調装置。
  5. 前記熱交換プレートは、複数の前記流路から形成されるチャンネルセットを有すること
    を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の除湿空調装置。
  6. 前記チャンネルセットは、隣接する前記チャンネルセットの末端部分同士を接続させる連結手段を有し、前記連結手段は前記熱交換プレート内に切り抜き部と前記切り抜き部に嵌合可能な差込機構とを備えられ、前記差込機構を前記切り抜き部に嵌合させることにより、前記チャンネルセット内を導通する前記伝熱流体の流動方向を180°転換させること
    を特徴とする請求項に記載の除湿空調装置。
  7. 前記切り抜き部の形状が、円形、半円形、三角形又は長方形の何れかであること
    を特徴とする請求項に記載の除湿空調装置。
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