JP4955417B2 - 電子制御ユニットのメモリチェックシステム - Google Patents
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Description
ECUがリセット処理を行った場合、演算処理部等の初期設定、記憶されているROMやRAMのメモリチェック、初期化等処理および各電装品制御用のアプリケーションの起動を含む周期処理を行い、再起動を行っている。
一方、車両や電装品の高性能化に伴い、ECUも高機能化、高性能化が進んでおり、ROMやRAMの容量が増加していると共にECUが処理すべきアプリケーションの数も増大している。
特に、ECUがヘッドライトやテールライトなど安全系の電装品を制御している場合、該ECUがリセット処理を行い、ヘッドライト等の制御用アプリケーションが起動するまでの時間が所定時間を越えて長くなると、点灯していたヘッドライト等が一時的に消灯してしまうなどの問題がある。
そこで、例えば、特開平10−83355号公報(特許文献1)においては、各電装品制御用のアプリケーションの起動を含む周期処理を優先的に行い、時間の要するROMチェックをメイン周期の余り時間に行う方法が提案されている。
ECUのリセット処理後の再起動の際に特許文献1の方法を用いると、ROMのチェックを行なう前に各電装品制御用のアプリケーションが起動するので、ECUのリセット処理後再起動に要する時間を短縮でき、早期に電装品への制御を開始することができる。
特許文献2においても、時間を要するメモリチェックは優先度の高いアプリケーションに関するものだけを先に行っているので、ECUのリセット処理後重要な電装品への制御開始までの時間を短縮することができる。
また、ROMやRAMのメモリチェックにおいてメモリ異常が検知されたときにはECUが自発的にリセット処理を行う設定とする場合が多い。特許文献2において該設定とした場合、メモリ異常を検知して自発的にリセット処理を行った後もメモリ異常が回復していなければ、電装品の誤動作を引き起こす問題がある。
起動時に第1のリセット処理を開始して初期設定を行い、前記演算処理部は前記周期処理を行うと共に、前記周期処理が開始してから前記所定周期が終了するまでの空き時間に前記記憶部のメモリチェックを行い、
前記メモリチェックでメモリ異常が検知された場合には、前記演算処理部が自動的に第2のリセット処理を行い、
前記第2のリセット処理後に、前記演算処理部の周期処理の開始前に前記メモリのチェックを行ってメモリ異常の検知時にメモリチェックを繰り返し、前記演算処理部による周期処理を行わないことを特徴とする電子制御ユニットのメモリチェックシステムを提供している。
また、第2のリセット処理とは、マイコンの動作中に自発的にあるいは外部からの指令に応じて割り込み的に行われる演算処理部のリセット処理を指す。
メモリチェックよりも周期処理を先に行うことで、第1のリセット処理後、電装品制御用のアプリケーションを早期に起動することができ、電装品への制御開始までの時間を短縮することができる。
既に一度メモリ異常を検知しているため、第2のリセット処理後にはアプリケーションの起動を含む周期処理よりも記憶部のメモリチェックを優先する。該メモリチェックにより再びメモリ異常が検知された場合にはメモリチェックを繰り返し行う構成とすることで、メモリ異常が解消するまでは周期処理を実行しないため、アプリケーションが起動せず電装品の誤動作を防ぐことができる。
第2のリセット処理後のメモリチェックにおいて所定回数以上メモリ異常が繰り返して検知された場合には、演算処理部は電子制御ユニットが正常に動作することができないと判断し自らを省電力モードへ移行する。省電力モードとすることで、電子制御ユニットを起動させるためのバッテリの消費を抑えることができる。
メモリ異常が解消した場合にのみ再び第2のリセット処理を行うことで、メモリ異常を検知する度に電子制御ユニットのリセット処理が繰り返し行われることを防ぐことができる。
また、電子制御ユニットはリセット処理の度に起動信号を同じ通信バスに接続された他の電子制御ユニットに向けて送信するため、電子制御ユニットのリセット処理が繰り返されると不要な信号が通信バスに流れて通信負荷率が上昇するが、電子制御ユニットのリセット処理の繰り返しを防ぐことで、通信バスの通信負荷率の上昇を防ぐことができる。
さらに、同じ通信バスに接続された他の電子制御ユニットは、自身が省電力モードに移行可能な状態であっても起動信号を受信していると省電力モードに移行できないが、電子制御ユニットは繰り返し起動信号を送信することがないので、他の電子制御ユニットは省電力モードへの移行が可能となる。
さらにまた、前記第2のリセット処理後にはメモリチェックよりも前記周期処理を優先して実行するため、前記第2のリセット処理後ECUを早期に起動することができる。
安全や走行に関わる電装品は、メモリチェックでメモリ異常が検知されてもメモリチェックを繰り返したり省電力モードとならず、動作を継続することが好ましいからである。
ボディ系の電装品を制御する電子制御ユニットに搭載されることで、電子制御ユニットのリセット処理後、電装品の制御開始までに時間を要さず、さらに、メモリ異常が解消するまではアプリケーションが起動せず、電装品の誤動作を防ぐことができる。
図1乃至図4は本発明の第1実施形態を示す。
図1は本発明のメモリチェックシステムが搭載された電子制御ユニット10(ECU)のハードウェア構成図を示し、マイコン11、入出力インターフェース12を備えている。
マイコン11は入出力インターフェース12を介して車載LANの通信線20と接続しており、通信線20に接続された他の電子制御ユニット10と情報信号を送受信している。また、イグニッションスイッチ21等を介して電源22を接続しており、電源22が入力されることで第1のリセット処理である電子制御ユニット10の起動を行っている。
ROM15はCPU13の動作のためのアプリケーションプログラム及び動作データを記憶している。
CPU13は演算処理、メモリチェック、自己リセット処理等の動作を行うものであり、各動作はアプリケーションプログラムとしてROM15に記憶され、該アプリケーションプログラムをROM15から読み出し、各動作を行っている。
メモリチェックはチェックサム演算によりROM15のメモリチェックを行うものである。
自己リセット処理は第2のリセット処理であり、マイコン11の動作中に、自発的にあるいは外部からの指令に応じて割り込み的にマイコン11のリセット処理を行うものである。
演算処理は、電子制御ユニットに接続された電装品を制御するためのアプリケーションの起動を含むメイン周期処理を行っているものであり、その処理結果を入出力ポート16、通信線20を介して外部に出力することで、電装品(図示せず)の制御を行っている。
なお、メモリ異常フラグFをRAM14に設けず、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリに記憶してもよい。
まず、電源22の投入時のマイコン11の処理動作について図2および図3を参照して説明する。
ステップS10は起動時の第1のリセット処理であり、バッテリ電源の接続により電子制御ユニット10に電源22が投入された場合に、マイコン11の起動処理を行っている。
ステップS11は起動による初期設定を行っている。CPU13周辺レジスタの内容設定、ROM15からのプログラムの読み込み等を含む一般的な初期設定である。
ステップS12はRAM14の全アプリケーションの割当領域のチェック処理を行っている。
ステップS13はRAM14の初期化を行っている。
ステップS15はメイン周期時間のうち、メイン周期処理を行っていない余り時間にROMチェックを行っている。ROMチェックは、ROM15の先頭アドレスから最終アドレスまでメモリ内容を加算し、加算結果であるサム値が所定値と一致すればROM15は正常であると判定し、サム値が所定値と一致しなければROM15に異常があると判定するものである。
ROMチェックは1回のメイン周期時間内では終了せず、ステップS14からS16までの処理を複数回繰り返すことで最終アドレスまでチェックを行っている。ROMチェックの詳細については図3に後述する。
ステップS20ではROM15の先頭アドレスからメモリ内容を順次加算していくROMチェックサム演算を所定時間行っている。
ステップS21では、加算が最終アドレスまで終了しているか否かを判断している。最終アドレスまで終了していない場合、加算を一時中断し、加算が終了したアドレスを記憶した後にフローチャートを終了して図2のステップS16にリターンする。
このように、ステップS14からS16を繰り返してROMチェックを行い、最終アドレスまでROMチェックサム演算が終了した場合にはステップS22に進む。
ステップS23ではROMチェックの終了処理を行っている。
ステップS30で、RAM14に備えたメモリ異常フラグFをオンにし、メモリ異常が発生していることを記憶する。
ステップS31ではリセット処理前のフェールセーフ処理を行っている。
ステップS32では第2のリセット処理を行っている。第2のリセット処理は、CPU13が割り込み的に自らマイコン11の再起動を行うものである。なお、第2のリセット処理ではCPU13がリセット処理されるだけであり、RAM14にはリセット処理中も常に電源22が供給されているため、RAM14に記憶されたメモリ異常フラグF等の内容はリセット処理後も保存されている。
ステップS34では、メモリ異常フラグFがオンか否かを判定している。ステップS30でメモリ異常フラグFをオンしているので、ステップS34ではメモリ異常フラグFはオンのままであり、ステップS35に進む。
ステップS36で最終アドレスまでRAM14の内容の加算が終了したかを判定し、終了していない場合はステップS35に戻って最終アドレスまで加算を繰り返す。最終アドレスまで加算が終了した場合はステップS37に進む。
ROMチェックを繰り返して、ステップS37でサム値と所定値が一致した場合、即ちサム値が正常になり、ROM15の異常が解消した場合、ステップS38に進む。
ステップS38では、メモリ異常フラグFをオフにする。
図2のステップ12のRAM14チェック、ステップS13のRAM14初期化を行い、ステップS14からS16をメイン周期時間ごとに1回ずつ処理する。
また、電源22の投入時のマイコン11の処理動作において、図2のステップS11と図4からの割り込みのステップとの間に、メモリ異常フラグがオンか否かを判断するステップがあってもよい。電源投入などの起動時の第1のリセット処理後においては、メモリ異常フラグにはCPUは書き込みを行っていない状態なので、メモリ異常フラグはオンにはならず、ステップS12に進むことになる。
また、メモリ異常を検知した場合には、第2のリセット処理を行っており、第2のリセット処理後の起動はメイン周期処理よりもメモリチェックを優先するため、メモリ異常が解消するまではアプリケーションが起動せず、電装品の誤動作を防ぐことができる。
なお、本実施形態ではRAMチェックは常に初期設定の後に行っているが、ROMチェックを常に初期設定の後に行い、第1のリセット処理後メイン周期処理の後にRAMチェックを行うと共に第2リセット処理の後にRAMチェックを行ってもよい。
RAM14にメモリ異常カウンタCの領域を設けており、CPU13は第2のリセット処理後のROMチェックで所定の回数以上メモリ異常を判定した場合には、ECUを省電力モードに移行している。
電源22の投入時のマイコン11の起動の処理動作については図2および図3に示す第1実施形態と同様である。図3のステップS22でROM15に異常があると判定した場合、図6のフローチャートの動作を行う。
ステップS40ではメモリ異常カウンタCをクリアしてゼロにする。
ステップS35でROMチェックサム演算を最終アドレスまで行い、サム値が所定値と一致しておらず、ROM15が異常の場合には、ステップS41に進む。
ステップS41ではメモリ異常カウンタCをインクリメント(+1)する。
ステップS43では、CPU13はフェールセーフ処理を行っている。
ステップS44ではCPU13は自らを省電力モードに移行している。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
11 マイコン
13 CPU
14 RAM
15 ROM
20 通信線
22 電源
C メモリ異常カウンタ
F メモリ異常フラグ
Claims (4)
- 車両に搭載された電装品を動作させるアプリケーションおよびデータがメモリされた記憶部と、所定周期で前記アプリケーションの起動を含む周期処理を行う演算処理部を有する電子制御ユニットを備え、
起動時に第1のリセット処理を開始して初期設定を行い、前記演算処理部は前記周期処理を行うと共に、前記周期処理が開始してから前記所定周期が終了するまでの空き時間に前記記憶部のメモリチェックを行い、
前記メモリチェックでメモリ異常が検知された場合には、前記演算処理部が自動的に第2のリセット処理を行い、
前記第2のリセット処理後に、前記演算処理部の周期処理の開始前に前記メモリのチェックを行ってメモリ異常の検知時にメモリチェックを繰り返し、前記演算処理部による周期処理を行わないことを特徴とする電子制御ユニットのメモリチェックシステム。 - 前記記憶部にはメモリ異常回数カウンタを備え、メモリ異常が所定回数以上検知された場合、省電力モードへ移行する請求項1に記載の電子制御ユニットのメモリチェックシステム。
- 前記第2のリセット処理後のメモリチェックでメモリ異常が検知されない場合、再び前記第2のリセット処理を行った後、前記演算処理部が前記周期処理を実行する請求項1または請求項2に記載の電子制御ユニットのメモリチェックシステム。
- 前記記憶部はROMおよびRAMを備え、前記第1のリセット処理後にRAMチェックおよびRAMの初期化して、前記演算処理部による周期処理を行い、前記空き時間に前記ROMのチェックを実施する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子制御ユニットのメモリチェックシステム。
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