以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の粘着剤組成物は、単量体単位として炭化水素基を含有する側鎖を有し、数平均分子量が5000以上であるポリエステル、ならびにイオン性液体を含有してなることを特徴とする。
なお、本発明におけるイオン性液体とは、室温(25℃)で液状を呈する溶融塩(イオン性化合物)をいう。
イオン性液体としては、含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、または含リンオニウム塩が好ましく用いられ、特に優れた帯電防止能が得られる理由から下記一般式(A)〜(D)で表される有機カチオン成分と、アニオン成分からなるものが好ましく用いられる。
[式(A)中のR
aは、炭素数4から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよく、R
bおよびR
cは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。ただし、窒素原子が2重結合を含む場合、R
cはない。]
[式(B)中のR
dは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよく、R
e、R
f、およびR
gは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。]
[式(C)中のR
hは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよく、R
i、R
j、およびR
kは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。]
[式(D)中のZは、窒素、硫黄、またはリン原子を表し、R
l、R
m、R
n、およびR
oは、同一または異なって、炭素数1から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。ただし、Zが硫黄原子の場合、R
oはない。]
式(A)で表されるカチオンとしては、たとえば、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオンなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−へキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−へキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピロリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピロリジニウムカチオン、1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘプチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ヘプチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピペリジニウムカチオン、1−ブチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−ブチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−ブチル−1−ヘプチルピペリジニウムカチオン、2−メチル−1−ピロリンカチオン、1−エチル−2−フェニルインドールカチオン、1,2−ジメチルインドールカチオン、1−エチルカルバゾールカチオンなどがあげられる。
式(B)で表されるカチオンとしては、たとえば、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオンなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオンなどがあげられる。
式(C)で表されるカチオンとしては、たとえば、ピラゾリウムカチオン、ビラゾリニウムカチオンなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、1−メチルピラゾリウムカチオン、3−メチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2−メチルピラゾリニウムカチオンなどがあげられる。
式(D)で表されるカチオンとしては、たとえば、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンや、上記アルキル基の一部がアルケニル基やアルコキシル基、さらにはエポキシ基に置換されたものなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラへプチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、トリペンチルブチルアンモニウムカチオン、トリヘキシルメチルアンモニウムカチオン、トリヘキシルペンチルアンモニウムカチオン、トリヘプチルメチルアンモニウムカチオン、トリペンチルブチルアンモニウムカチオン、トリヘプチルヘキシルアンモニウムカチオン、ジメチルジヘキシルアンモニウムカチオン、ジプロピルジヘキシルアンモニウムカチオン、ヘプチルジメチルヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラペンチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラヘプチルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオンなどがあげられる。
なかでも、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラへプチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、トリペンチルブチルアンモニウムカチオン、トリヘキシルメチルアンモニウムカチオン、トリヘキシルペンチルアンモニウムカチオン、トリヘプチルメチルアンモニウムカチオン、トリペンチルブチルアンモニウムカチオン、トリヘプチルヘキシルアンモニウムカチオン、ジメチルジヘキシルアンモニウムカチオン、ジプロピルジヘキシルアンモニウムカチオン、ヘプチルジメチルヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオンなどのテトラアルキルアンモニウムカチオン、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオンなどのトリアルキルスルホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラペンチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラヘプチルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオンなどのテトラアルキルホスホニウムカチオンなどが好ましく用いられる。
一方、アニオン成分としては、イオン性液体になることを満足するものであれば特に限定されない。具体的には、たとえば、Cl−、Br−、I−、AlCl4 −、Al2Cl7 −、BF4 −、PF6 −、ClO4 −、NO3 −、CH3COO−、CF3COO−、CH3SO3 −、CF3SO3 −、(CF3SO2)2N−、(CF3SO2)3C−、AsF6 −、SbF6 −、NbF6 −、TaF6 −、F(HF)n −、(CN)2N−、C4F9SO3 −、(C2F5SO2)2N−、C3F7COO−、(CF3SO2)(CF3CO)N−などが用いられる。なかでも特に、フッ素原子を含むアニオン成分は、低融点のイオン性化合物が得られることから好ましく用いられる。
本発明に用いられるイオン性液体の具体例としては、上記カチオン成分とアニオン成分の組み合わせから適宜選択して用いられる。
たとえば、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−へキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジエチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジエチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ヘプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジエチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジエチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ヘプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメダンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N―ジエチル―N―メチル―N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N―ジエチル―N―メチル―N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、グリシジルトリメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−テトラドデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキサドデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヘキシルピリジニウムブロミド、1−ヘキシルピリジニウムクロライドなどがあげられる。
上記のようなイオン性液体は、市販のものを使用してもよいが、下記のようにして合成することも可能である。
イオン性液体の合成方法としては、目的とするイオン性液体が得られれば特に限定されないが、一般的には、文献“イオン性液体 −開発の最前線と未来−”(シーエムシー出版発行)に記載されているような、ハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、および中和法などが用いられる。
下記にハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、および中和法について含窒素オニウム塩を例にその合成方法について示すが、その他の含硫黄オニウム塩、含リンオニウム塩などその他のイオン性液体についても同様の手法により得ることができる。
ハロゲン化物法は、下記式(1)〜(3)に示すような反応によって行われる方法である。まず3級アミンとハロゲン化アルキルと反応させてハロゲン化物を得る(反応式(1)、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が用いられる)。
得られたハロゲン化物を目的とするイオン性液体のアニオン構造(A−)を有す酸(HA)あるいは塩(MA、Mはアンモニウム、リチウム、ナトリウム、カリウムなど目的とするアニオンと塩を形成するカチオン)と反応させて目的とするイオン性液体(R4NA)が得られる。
水酸化物法は、(4)〜(8)に示すような反応によって行われる方法である。まずハロゲン化物(R4NX)をイオン交換膜法電解(反応式(4))、OH型イオン交換樹脂法(反応式(5))または酸化銀(Ag2O)との反応(反応式(6))で水酸化物(R4NOH)を得る(ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が用いられる)。
得られた水酸化物を上記ハロゲン化法と同様に反応式(7)〜(8)の反応を用いて目的とするイオン性液体(R4NA)が得られる。
酸エステル法は、(9)〜(11)に示すような反応によって行われる方法である。まず3級アミン(R3N)を酸エステルと反応させて酸エステル物を得る(反応式(9)、酸エステルとしては、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、炭酸などの無機酸のエステルやメタンスルホン酸、メチルホスホン酸、蟻酸などの有機酸のエステルなどが用いられる)。
得られた酸エステル物を上記ハロゲン化法と同様に反応式(10)〜(11)の反応を用いて目的とするイオン性液体(R4NA)が得られる。また、酸エステルとしてメチルトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリフルオロアセテートなどを用いることにより、直接イオン性液体を得ることもできる。
錯形成法は、(12)〜(15)に示すような反応によって行われる方法である。まず4級アンモニウムのハロゲン化物(R4NX)、4級アンモニウムの水酸化物(R4NOH)、4級アンモニウムの炭酸エステル化物(R4NOCO2CH3)などをフッ化水素(HF)やフッ化アンモニウム(NH4F)と反応させてフッ化4級アンモニウム塩を得る(反応式(12)〜(14))。
得られたフッ化4級アンモニウム塩をBF
3、AlF
3、PF
5、ASF
5、SbF
5、NbF
5、TaF
5などのフッ化物と錯形成反応により、イオン性液体を得ることができる。(反応式(15))
中和法は、(16)に示すような反応によって行われる方法である。3級アミンとHBF4、HPF6、CH3COOH、CF3COOH、CF3SO3H、(CF3SO2)2NH、(CF3SO2)3CH、(C2F5SO2)2NHなどの有機酸とを反応させることにより得ることができる。
上記(1)〜(16)に記載のRは、水素または炭素数1から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。
イオン性液体の配合量としては、使用するポリマーとイオン性液体の相溶性により変わるため一概に定義することができないが、一般的にはベースポリマー100重量部に対して、0.01〜40重量部が好ましく、0.03〜20重量部がより好ましく、0.05〜10重量%が最も好ましい。0.01重量部未満であると十分な帯電防止特性が得られず、40重量部を超えると被着体への汚染が増加する傾向がある。
本発明においては、単量体単位として炭化水素基を含有する側鎖を有し、数平均分子量が5000以上であるポリエステル(以下「ポリエステル(A)」と称する場合がある)をベースポリマーとして用いる。
本発明に用いられるポリエステル(A)としては、側鎖として炭化水素基を含有する基を有し、かつ数平均分子量が5000以上であるポリエステル系樹脂であれば特に制限されず、粘着性、柔軟性、耐熱性や機械的特性などの各種特性に応じて適宜選択することができる。ポリエステル(A)は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
本発明に用いられるポリエステル(A)において、側鎖としての炭化水素基を含有する基(「炭化水素含有基」と称する場合がある)としては、炭化水素基を有している基であれば特に制限されない。したがって、炭化水素含有基としては、炭化水素基のみから構成される基であってもよく、2価の有機基を介して炭化水素基が結合している形態の炭化水素含有基(たとえば、炭化水素基−オキシ基、炭化水素基−オキシカルボニル基など)であってもよい。炭化水素含有基としては、炭化水素基のみから構成されている基(すなわち、炭化水素基)を好適に用いることができる。ポリエステル(A)は、通常、炭化水素含有基を分子中に複数有している。これらの炭化水素含有基は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記炭化水素基としては、たとえば、アルキル基などの脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基(たとえば、シクロヘキシル基等)などの脂環式炭化水素基、アリール基(たとえば、フェニル基やナフチル基等)などの芳香族炭化水素基のいずれであってもよいが、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、たとえば、アルキル基を好適に用いることができる。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などの炭素数1〜20のアルキル基があげられる。
なお、炭化水素含有基の含有割合としては、ポリエステル(A)またはその架橋構造体の粘着剤層のガラス転移温度(Tg)が−10℃以下、好ましくは−20℃以下(通常−100℃まで)になるように適宜選択することが好ましい。また、23℃において透明かつ液状のポリエステル(A)が得られるように炭化水素含有基の含有割合を適宜選択することができる。
ポリエステル(A)の数平均分子量は、5000以上であれば特に制限されないが、その上限は、通常80000程度である。したがって、ポリエステル(A)の数平均分子量としては、たとえば、5000〜80000程度の範囲から選択することができ、好ましくは10000〜70000、さらに好ましくは12000〜60000である。ポリエステル(A)の数平均分子量が5000未満であると、粘着剤としての機械的強度が低下し、また、リワーク性や耐熱性が低下してしまう。一方、ポリエステル(A)の数平均分子量が高すぎる(80000を超える)と、ポリエステルの粘度が高くなり、粘着シートの形成が困難となる。なお、数平均分子量はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
ポリエステル(A)は、少なくとも片方の成分に炭化水素側鎖基を有すポリオール成分とポリカルボン酸成分とのエステル化反応により得られる。
これらのポリオール成分やポリカルボン酸成分は、それぞれ単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
炭化水素含有基を有するポリオール成分としては、たとえば、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール,2−メチル−2,4−ペンタジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール,1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−へキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、ダイマージオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等の炭化水素含有基を有するジオール成分などがあげられる。
炭化水素基含有基を有するポリカルボン酸成分として、たとえば、メチルコハク酸、エチルコハク酸、2,2−ジメチルアジピン酸、2,3−ジメチルアジピン酸、2,4−ジメチルアジピン酸、3,3−ジメチルアジピン酸、ダイマー酸、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の炭化水素含有基を有するジカルボン酸成分などがあげられる。また、炭化水素含有基を有するポリカルボン酸成分としては、これらのポリカルボン酸による酸無水物や低級アルキルエステルなどのポリカルボン酸の誘導体を用いることもできる。
なお、この際、ポリエステル(A)の耐熱特性、粘着性等を保持可能な範囲で(たとえば、ポリエステル(A)またはその架橋構造体(粘着剤層)のガラス転移温度を−10℃以下に調整できる範囲で)、他のポリオール成分や他のポリカルボン酸成分を用いることが重要である。
他のポリオール成分としては、たとえば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール等の直鎖状の脂肪族ジオール成分や、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロへキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール成分などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
他のポリカルボン酸成分としては、たとえば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸成分や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸成分や、ブタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分などがあげられる。また、他のポリカルボン酸成分としては、これらのポリカルボン酸による酸無水物や低級アルキルエステルなどのポリカルボン酸誘導体を用いることもできる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
他のポリオール成分および他のポリカルボン酸成分の使用量は、たとえば、ポリオール成分およびポリカルボン酸成分全量に対して0〜80重量%の範囲から選択することができ、10〜70重量%含まれることがより好ましく、20〜60重量%含まれることがさらに好ましい。
なお、ポリオール成分としては、容易に目的とする分子量のポリマーを得るために市販のポリエステルジオール成分、ポリエーテルジオール成分、ポリカプロラクトンジオール成分などを用いることも可能である。
具体的には、ポリエステルジオール成分としては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,8−デカンジオール、オクタデカンジオール等のジオール成分と、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸やこれらの酸無水物または低級アルキルエステルなどジカルボン酸成分または低級アルキルエステルなどのジカルボン酸成分とその誘導体とを、単独もしくは混合物状態で脱水反応して得られるポリエステルジオールなどがあげられる。また、市販品としては、たとえば、3−メチル1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とのポリエステルジオールである商品名「クラレポリオールP−510」、「クラレポリオールP−1010」、「クラレポリオールP−2010」、「クラレポリオールP−3010」、「クラレポリオールP−5010」(以上、クラレ社製)などがあげられる。
ポリエーテルジオール成分としては、たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらを共重合させたコポリエーテル等があげられる。また、市販品としては、たとえば、ブロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルジオールである商品名「アデカポリエーテルP−400」、「アデカポリエーテルP−1000」、「アデカポリエーテルP−2000」、「アデカポリエーテルP−3000」(以上、旭電化工業社製)などがあげられる。
ポリカプロラクトンジオール成分としては、たとえばε−カプロラクトン、σ−バレーロラクトンなど環状エステルモノマ−開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオール等があげられる。また、市販品としては、たとえば、商品名「プラクセルL205AL」、「プラクセルL212AL」、「プラクセルL220PL」、「プラクセルL230AL」 (以上、ダイセル化学工業社製)などがあげられる。
本発明の粘着剤組成物においては、下記式(I)で表される構造単位を持つ脂肪族カーボネートジオール成分を好ましく用いることができる。下記ジオール成分を用いることにより、さらに耐熱性に優れた粘着剤組成物を得ることができる。
[式(I)中のRは、炭素数2から20の直鎖状または分岐状の炭化水素基を表す。]
上記式(I)で表されるジオール成分の具体例としては、たとえば、以下のものをあげることができ、好適に用いられる。これらのジオール成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
プロピレンカーボネートジオール、ヘキサメチレンカーボネートジオール、3−メチルペンテンカーボネートジオール等のカーボネートジオール成分。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、α−メチルブタンジオール、α−ジメチルブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、シクロブタン−1,3−ジ(2−エタノール)、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロへキサン−1,4−ジメタノール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、炭素数が2〜9個(好ましくは2〜4個)のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ジオール並びにその誘導体等のようなジオール類とホスゲンとを重縮合反応させて得られるポリカーボネートジオール成分。
上記ジオール類と炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル、エチルブチル炭酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジフェニル、炭酸ジベンジル等のような炭酸ジエステル類とをエステル交換縮合させて得られるポリカーボネートジオール成分。
上記ジオール類を2種以上併用して得られる共重合ポリカーボネートジオール成分。
上記各種ポリカーボネートジオール成分とカルボキシル基含有化合物とをエステル化反応させて得られるポリカーボネートジオール成分。
上記各種ポリカーボネートジオール成分とヒドロキシル基含有化合物とをエーテル化反応させて得られるポリカーボネートジオール成分。
上記各種ポリカーボネートジオール成分とエステル化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートジオール成分。
上記各種ポリカーポネートジオール成分とヒドロキシル基含有化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートジオール成分。
上記各種ポリカーボネートジオール成分とジカルボン酸化合物とを重縮合反応させて得られる変形ポリエステル系ポリカーボネートジオール成分。
上記各種ポリカーボネートジオール成分とアルキレンオキサイドとを共重合させて得られる共重合ポリエーテル系ポリカーボネートジオール成分。
また、カーボネートジオール成分の市販品としては、たとえば、商品名「PLACCEL CD205」、「PLACCEL CD210」、「PLACCEL CD220」、「PLACCEL CD205PL」、「PLACCEL CD210PL」、「PLACCEL CD220PL」(以上、ダイセル化学工業(株)製)や「PMHC−2050」「PMHC−2070」「PNOC−1000」「PNOC−2000」(以上、クラレ社製)などがあげられる。
さらに、本発明の粘着剤においては、接着性と耐熱性のバランスが容易に取れる理由から、3官能以上のポリオール成分や多価カルボン酸成分を少量添加することもできる。
3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−へキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの脂肪族多価アルコールやこれらの誘導体があげられる。
3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−へキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族多価カルボン酸などや、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなどがあげられる。
3価以上の多価アルコールおよび/または3価以上の多価カルボン酸の使用量は、ポリエステルの分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が2.2以上になるように、その分子量や価数により最適の使用量が選択される。通常は、脂肪族ジオールとジカルボン酸との合計量に対して、2〜30重量%、好ましくは4〜15重量%となる割合とするのがよい。上記3価以上の多価アルコールおよび/または3価以上の多価カルボン酸の使用量が2重量%未満となると、ポリエステルの分散度が2.2より小さくなりやすく、20重量%を超えると、ポリエステルの分散度が大きくなりすぎ、これらの場合は、後述するような支障をきたしやすい。
3価以上の多価アルコールおよび/または3価以上の多価カルボン酸を用いた場合のポリエステルは、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が2.2以上(通常、25以下)、好ましくは2.5〜20、さらに好ましくは2.7〜15であるのがよい。ポリエステルの分散度は、既述のとおり、3価以上の多価アルコールおよび/または3価以上の多価カルボン酸の使用量や数平均分子量により調整可能であり、上記範囲内で、用途目的に応じた適亘の分散度に調整すればよい。分散度が2.2未満では、機械的強度と柔軟性のバランスをとりにくく、耐熱性と粗面への接着性の両立がはかれない。また、分散度が大きすぎると、ポリエステルが高粘度となり、ゲル化が起こりやすく、粘着シートの形成が難しくなるため、上記範囲内とするのがよい。
なお、上述の重量平均分子量および数平均分子量はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
ポリエステル(A)は、このようなポリオール成分やポリカルボン酸成分を用い、常法にしたがい適宜の触媒などを用いてエステル化反応させることにより得ることができる。この反応に際し、ポリオール成分とポリカルボン酸成分とは、等モル反応とするのが好ましいが、エステル反応を促進させるために、どちらかを過剰に用いて反応させてもよい。
本発明の粘着剤組成物では、ポリエステル(A)を架橋することにより、粘着剤(粘着剤層)としての機能を効果的に発現させることができる。ポリエステル(A)を架橋する架橋処理の方法としては特に限定されないが、たとえば、ポリエステル(A)中に水酸基および/またはカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物(たとえば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物の架橋剤など)を添加して架橋させる方法、いわゆる架橋剤を用いる方法を好適に採用することができる。
架橋剤としては、前述のように、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などをあげることができるが、なかでも、ポリイソシアネート化合物を特に好ましく用いることができる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどがあげられる。
より具体的には、イソシアネート化合物としては、たとえば、ブチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物などがあげられる。これらのポリイソシアネート化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱瓦斯化学社製、商品名TETRAD−X)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学社製、商品名TETRAD−C)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
メラミン系樹脂としては、たとえば、ヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。
アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、商品名TAZM、商品名TAZO(以上、相互薬工社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
これらの架橋剤の使用量は、架橋すべきポリエステル(A)の分子量とのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜選択される。架橋剤の使用用途としては、一般的に、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶分が10重量%以上(より好ましくは20重量%以上)となるような使用量で用いることが好ましい。このように、本発明においては、粘着剤層の機械的強度と柔軟性とをバランスよく両立するために(または、耐熱性と粘着性とをバランスよく両立するために)、架橋剤の使用量を厳密に調整する必要がなく、容易にポリエステル(A)の架橋処理をおこなうことができる。
また、実質的な架橋剤として放射線反応性不飽和結合を2個以上有す多官能モノマー(電子線硬化性化合物)として添加し、放射線などで架橋させることもできる。
放射線反応性不飽和結合を2個以上有す多官能モノマーとしてはビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルベンジル基の如き放射線の照射で架橋処理(硬化)しうる1種または2種以上の放射線反応性基を2個以上有す多官能モノマー成分が用いられる。なお一般的には放射線反応性不飽和結合が10個以下のものが好適に用いられる。多官能モノマーは2種以上を併用することも可能である。
多官能モノマーの具体例としては、たとえば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどあげられる。
多官能モノマーの使用量は、架橋すべきポリエステル(A)とのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜選択される。多官能モノマーの使用量は、一般的には、ポリエステル(A)100重量部に対して1重量部以上で配合され、この割合で用いて電子線にて架橋させることにより、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶分が10重量%以上(より好ましくは20重量%以上)とすることができる。
放射線としては、たとえば、紫外線、レーザー線、α線、β線、γ線、X線、電子線などをあげることができるが、制御性および取り扱い性の良さ、コストの点から紫外線が好適に用いられる。より好ましくは、波長200〜400nmの紫外線が用いられる。紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプなどの適宜光源を用いて照射することができる。なお、放射線として紫外線を用いる場合には粘着剤層に光重合開始剤を添加する。
光重合開始剤としては、放射線反応性成分の種類に応じ、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよい。
光ラジカル重合開始剤として、たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、o−ベンゾイル安息香酸メチル−p−ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾインなどのベンゾイン類、ベンジルジメチルケタール、トリクロルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノンなどのプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフニノンなどのベンゾフェノン類、2−クロルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(エトキシ)−フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステルなどがあげられる。
光カチオン重合開始剤としては、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどがあげられる。上記光重合開始剤については、2種以上併用することも可能である。
光重合開始剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部の範囲で配合するのが好ましい。
さらにアミン類などの光開始重合助剤を併用することも可能である。上記光開始助剤としては、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルなどがあげられる。上記光重合開始助剤については、2種以上併用することも可能である。重合開始助剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.05〜10重量部、さらには0.1〜7重量部の範囲で配合するのが好ましい。
このように、ポリエステル(A)の架橋により粘着剤としての機能を良好とするためには、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶分としては、10重量%以上(好ましくは20重量%以上)であることが望ましい。ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶分が10重量%未満であると、粘着剤の凝集力が不足して機械的強度が低下し、十分な耐熱性が得られない場合がある。なお、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶分が70重量%を超えると、ポリエステル(A)の架橋体の柔軟が損なわれ、粘着性が低下しやすくなるため、ポリエステル(A)の架橋処理後の溶剤不溶分の上限としては70重量%(より好ましくは60重量%)が好ましい。
なお、ポリエステル(A)架橋処理後の溶剤不溶分の測定における溶剤としては、使用目的などに応じて適宜選択することができる。具体的には、たとえば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、へキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコールなどのグリコール類、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類など用いることができる。
なお、上述の溶剤不溶分(重量%)の測定は、粘着剤層(y1)(g)、溶剤浸漬後の乾燥した粘着剤層(y2)(g)とするとき、下記式により粘着剤層の溶剤不溶分(x)(重量%)を算出することにより行う。
x(重量%)=〔y2(g)/y1(g)〕×100
より具体的には、粘着剤層を約0.1gサンプリングして秤量する(y1(g))。次に、このサンプルを約50mlのトルエン中に室温で5日間浸漬後、溶剤不溶成分を取り出し、130℃中で約2時間乾燥した後、秤量する(y2(g))。このように測定した溶剤浸漬前後のサンプルの重量から、上記式により粘着剤層の溶剤不溶分(x)(重量%)を算出した。
また、本発明におけるポリエステル(A)およびポリエステル(A)の架橋処理後の粘着剤層のガラス転移温度(Tg)は、−10℃以下(たとえば−100℃〜−10℃、より好ましくは−20℃以下)であることが好ましい。ポリエステル(A)またはポリエステル(A)の架橋処理後の粘着剤層のガラス転移温度が−10℃を超えると、ポリエステルおよびその架橋構造体が硬くなって柔軟性が低下し、粘着性が低下する。なお、該ガラス転移温度としては、通常、ポリエステル(A)の架橋処理後の架橋構造体におけるガラス転移温度を採用する場合が多い。
さらに、本発明におけるポリエステル(A)の架橋処理後の粘着剤層の貯蔵弾性率(23℃)は5×106Pa以下(より好ましくは1×106Pa以下)であることが好ましい。上記粘着剤層の貯蔵弾性率(23℃)が1×104Paより低いと、粘着剤の凝集力が不足し、十分な耐熱性が得られ難くなるため、ポリエステルの架橋処理後の貯蔵弾性率(23℃)の下限としては、1×104Pa(より好ましくは5×104Pa)が好ましい。
本発明の粘着剤組成物は上記のようなポリエステル(A)を樹脂成分の主成分(ベースポリマー)として含有するものである。
より具体的には、粘着剤組成物中におけるポリエステル(A)の割合は、たとえば、粘着剤組成物の樹脂成分全量に対して50重量%以上(好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは、90〜100重量%)である。なお、樹脂成分としては、本発明の作用・効果の損なわない範囲で、ポリエステル(A)以外の樹脂成分(たとえば、ポリエステル(A)以外のポリエステルや、他の熱可塑性樹脂など)を含有していてもよい。また、アクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤などの粘着剤の慣用的に用いられている樹脂を上記樹脂成分として用いることもできる。これらの樹脂成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明の粘着剤組成物には、上記樹脂成分(ポリエステル(A)など)に加え、従来公知の各種粘着付与剤や、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体粒子状物、箔状物、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、導電剤などの従来公知の各種添加剤を任意に配合できる。なお、粘着剤付与剤の併用により、粘着性と耐熱性とのバランス(または、機械的強度と柔軟性とのバランス)を良好にすることができる場合もある。
一方、本発明の粘着剤層は、以上のような粘着剤組成物を架橋してなるものである。また、本発明の粘着シート類は、かかる粘着剤層を支持フィルム上に形成してなるものである。その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持フィルムなどに転写することも可能である。
上述のように任意成分とする光重合開始剤を添加した場合において、上記粘着剤組成物を、被保護体上に直接塗工するか、または支持基材の片面または両面に塗工した後、光照射することにより粘着剤層を得ることができる。通常は、波長300〜400nmにおける照度が1〜200mW/cm2である紫外線を、光量200〜4000mJ/cm2程度照射して光重合させることにより粘着剤層が得られる。
フィルム上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、上記粘着剤組成物を支持フィルムに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を支持フィルム上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物を支持フィルム上に塗布して粘着シート類を作製する際には、支持フィルム上に均一に塗布できるよう、該組成物中に重合溶剤以外の1種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
また、本発明の粘着剤層の形成方法としては、粘着シート類の製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、含浸およびカーテンコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法があげられる。
本発明の粘着シート類は、上記粘着剤層を通常厚み3〜100μm、好ましくは5〜50μm程度となるようにポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムや、紙、不織布などの多孔質材料などからなる各種の支持体の片面または両面に塗布形成し、シート状やテープ状などの形態としたものである。
プラスチック基材としては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどがあげられる。
上記フィルムの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。
プラスチック基材には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの静電防止処理をすることもできる。
プラスチックフィルムには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理をすることもできる。
本発明の粘着シート類は必要に応じて粘着面を保護する目的で粘着剤表面にセパレーター(または、剥離ライナー、剥離シートなど)を貼り合わせることが可能である。セパレーターを構成する基材としては紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
そのフィルムとしては、上記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどがあげられる。
上記フィルムの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。上記フィルムの粘着剤層貼合面には、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などにより適宜離型剤処理が施されている。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
<分子量の測定>
分子量は、GPC装置(東ソー社製、HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
・サンプル濃度:0.2wt%(THF溶液)
・サンプル注入量:10μl
・溶離液:THF
・流速:0.6ml/min
・測定温度:40℃
・カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
・検出器:示差屈折計(RI)
なお分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
得られた粘着剤層のガラス転移温度(Tg)(℃)については、下記の手順で動的粘弾性測定により決定した。
厚さ20μmの粘着剤層を積層して約2mmの厚さとし、これをφ7.9mmに打ち抜き、円柱状のペレットを作製してガラス転移温度(Tg)測定用サンプルとした。
上記測定用サンプルを用い、φ7.9mmパラレルプレートの治具に上記測定サンプルを固定し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、ARES)により、損失弾性率G’’の温度依存性を測定し、得られたG’’カーブが極大となる温度をガラス転移温度(Tg)(℃)とした。測定条件は下記の通りである。
・測定:せん断モード
・温度範囲:−70℃〜150℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
<貯蔵弾性率の測定>
得られた粘着剤層の貯蔵弾性率については、下記の手順で動的粘弾性測定により決定した。
上記ガラス転移温度(Tg)測定用サンプルを用い、φ7.9mmパラレルプレートの治具に上記測定サンプルを固定し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、ARES)により、貯蔵弾性率G’の温度依存性を測定し、23℃におけるG’を求めた。測定条件は上記ガラス転移温度(Tg)測定の場合と同様である。
<イオン性液体構造解析>
イオン性液体の構造解析は、NMR測定、XRF測定、FT−IR測定によって行った。
〔NMR測定〕
NMR測定は、核磁気共鳴装置(日本電子社製、EX−400)を用いて、下記の測定条件にて行った。
・観測周波数:400MHz(1H)、100MHz(13C)
・測定溶媒:acetone−d6
・測定温度:23℃
〔XRF測定〕
XRF測定は、走査型蛍光X線分析装置(理学電機社製、ZSX−100e)を用いて、下記の測定条件にて行った。
・測定方法:ろ紙法
・X線源:Rh
〔FT−IR測定〕
FT−IR測定は、赤外分光光度計(Nicolet社製、Magna−560)を用いて、下記の測定条件にて行った。
・測定方法:ATR法
・検出器:DTGS
・分解能:4.0cm−1
・積算回数:64回
<ポリエステルの調製>
(ポリエステル(a))
攪拌羽根、温度計、および反応副生成物分離管を備えた四つ口セパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業社製、PLACCEL CD220PL、水酸基価:55.1KOH mg/g)200.0重量部、セバシン酸19.8重量部、触媒としてのテトラn−ブチルチタネート0.1重量部を仕込み、反応副生成物である水の排出溶剤として少量のキシレンの存在下、緩やかに攪拌を開始しながらフラスコ内の液温を180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めたことが認められた。その後、約16時間重合反応を行い、ポリエステル(a)を得た。このポリエステル(a)は、数平均分子量27000、分散度1.9であった。
(ポリエステル(b))
攪拌羽根、温度計、および反応副生成物分離管を備えた四つ口セパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール(クラレ社製、PNOC−2000、水酸基価:53.7KOH mg/g)140.0重量部、ダイマージオール(ユニケマ社製、PRIPOL−2033)60重量部、トリメチロールプロパン9.8重量部、セバシン酸55.4重量部、触媒としてのテトラn−ブチルチタネート0.1重量部を仕込み、反応副生成物である水の排出溶剤として少量のキシレンの存在下、緩やかに攪拌を開始しながらフラスコ内の液温を180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めたことが認められた。その後、約19時間重合反応を行い、ポリエステル(b)を得た。このポリエステル(b)は、数平均分子量19000、分散度3.9であった。
<イオン性液体の調整>
(イオン性液体(a))
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに、1−ブチル−3−メチルピリジニウムクラロイド(和光純薬工業社製)10重量部を蒸留水で20重量%に希釈した溶液を添加した後、撹拌羽根を回しながらリチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(キシダ化学社製)19重量部を蒸留水で20重量%に希釈した溶液を徐々に添加した。添加後、25℃で2時間撹拌を続けた後、12時間静置した。次いで上澄み液を除去し、液状の生成物を得た。
得られた液状の生成物を200重量部の蒸留水にて3回洗浄し、続いて110℃の環境下で2時間乾燥させて25℃で液状のイオン性液体(a)を20重量部得た。
得られたイオン性液体(a)のNMR(1H、13C)測定、FT−IR測定、XRF測定をおこない、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドであることを同定、確認した。
(イオン性液体(b))
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに、ジアリルジメチルアンモニウムクラロイド(60重量%水溶液、東京化成社製)10重量部を添加した後、撹拌羽根を回しながらリチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(キシダ化学社製)13重量部を蒸留水で50重量%に希釈した溶液を徐々に添加した。添加後、25℃で2時間撹拌を続けた後、12時間静置した。次いで上澄み液を除去し、液状の生成物を得た。
得られた液状の生成物を200重量部の蒸留水にて3回洗浄し、続いて110℃の環境下で2時間乾燥させて25℃で液状のイオン性液体(b)を20重量部得た。
得られたイオン性液体(b)のNMR(1H、13C)測定、FT−IR測定、XRF測定をおこない、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドであることを同定、確認した。
<帯電防止剤溶液の調製>
(帯電防止剤溶液(a))
カチオン系界面活性剤であるラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業社製、25℃下で固形)10重量部を、酢酸エチル20重量部とイソプロピルアルコール20重量部で希釈し、帯電防止剤溶液(a)(20重量%)を調製した。
<帯電防止処理フィルムの作製>
帯電防止剤(ソルベックス社製、マイクロソルバーRMd−142、酸化スズとポリエステル樹脂を主成分とする)10重量部を、水30重量部とメタノール70重量部からなる混合溶媒で希釈することにより帯電防止剤溶液を調製した。
得られた帯電防止剤溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ38μm)上にマイヤーバーを用いて塗布し、130℃で1分間乾燥することにより溶剤を除去して帯電防止層(厚さ0.2μm)を形成し、帯電防止処理フィルムを作製した。
〔実施例1〕
(粘着剤組成物の調製)
上記ポリエステル(a)を混合溶液(酢酸エチル/トルエン=1/1:重量比)で30重量%に希釈し、この溶液100重量部に、イオン性液体(a)0.3重量部、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量付加体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHL)1.2重量部を加えて、25℃下で約1分間混合攪拌を行って粘着剤溶液(1)を調製した。
(粘着シートの作製)
上記粘着剤溶液(1)を、上記の帯電防止処理フィルムの帯電防止処理面とは反対の面に塗布し、110℃で3分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのシリコーン処理面を貼合せて粘着シートを作製した。
〔実施例2〕
(粘着剤組成物の調製)
上記イオン性液体(a)0.3重量部に代えて、上記イオン性液体(b)0.15重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤溶液(2)を調製した。
粘着剤溶液(2)を調製した。
(粘着シートの作製)
上記粘着剤溶液(1)に代えて、上記粘着剤溶液(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔実施例3〕
(粘着剤組成物の調製)
上記イオン性液体(a)0.3重量部に代えて、脂肪族アミン系イオン性液体(広栄化学工業社製、IL−A2、25℃下で液状)0.3重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤溶液(3)を調製した。
(粘着シートの作製)
上記粘着剤溶液(1)に代えて、上記粘着剤溶液(3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔実施例4〕
(粘着剤組成物の調製)
上記ポリエステル(b)を混合溶液(酢酸エチル/トルエン=1/1:重量比)で30重量%に希釈し、この溶液100重量部に、イオン性液体(b)0.15重量部、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量付加体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHL)0.48重量部を加えて、25℃下で約1分間混合攪拌を行って粘着剤溶液(4)を調製した。
(粘着シートの作製)
上記粘着剤溶液(1)に代えて、上記粘着剤溶液(4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔比較例1〕
(粘着剤組成物の調製)
上記イオン性液体(a)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤溶液(5)を調製した。
(粘着シートの作製)
上記粘着剤溶液(1)に代えて、上記粘着剤溶液(5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔比較例2〕
(粘着剤組成物の調製)
上記イオン性液体(b)を用いなかったこと以外は、実施例4と同様にして粘着剤溶液(6)を調製した。
(粘着シートの作製)
上記粘着剤溶液(1)に代えて、上記粘着剤溶液(6)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔比較例3〕
(粘着剤組成物の調製)
上記イオン性液体(a)0.3重量部に代えて、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.75重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤溶液(7)を調製した。
(粘着シートの作製)
上記粘着剤溶液(1)に代えて、上記粘着剤溶液(7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
上記の実施例、比較例で得られた粘着シートについて、下記の要領で、剥離帯電圧、汚染性、および粘着力を評価した。
<剥離帯電圧の測定>
粘着シートを幅70mm、長さ130mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、あらかじめ除電しておいたアクリル板(三菱レイヨン社製、アクリライト、厚み:1mm、幅:70mm、長さ:100mm)に片方の端部が30mmはみ出すようにハンドローラーにて圧着した。
23℃×50%RHの環境下に一日放置した後、図1に示すように所定の位置にサンプルをセットする。30mmはみ出した片方の端部を自動巻取り機に固定し、剥離角度150°、剥離速度10m/minとなるように剥離する。このときに発生するアクリル板表面の電位を所定の位置に固定してある電位測定機(春日電機社製、KSD−0103)にて測定し、剥離帯電圧の値とした。測定は、23℃×50%RHの環境下で行った。
<汚染性の評価>
粘着シートを幅30mm、長さ80mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、アクリル板(三菱レイヨン社製、アクリライト、厚み:1mm、幅:70mm、長さ:100mm)にハンドローラーにて圧着し、評価サンプルを作製した。
この評価サンプルを23℃×50%RHの環境下に7日間放置した後、粘着シートを被着体であるアクリル板から手で剥離し、その際のアクリル板表面の汚染状態を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
・汚染が認められなかった場合:○
・汚染が認められた場合:×
<粘着力の測定>
粘着シートを幅25mm、長さ80mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、#280サンドペーパーにて研磨してトルエンで洗浄したSUS304板に2Kgローラー(一往復)にて圧着し、評価サンプルを作製した。
この評価サンプルを23℃×50%RHの環境下に30分間放置した後、万能引張試験機にて剥離速度300mm/分、剥離角度180°で剥離したときの粘着力を測定した。測定は23℃×50%RHの環境下でおこなった。
以上の結果を表1に示す。
上記表1の結果により、本発明にしたがって作製された粘着剤組成物を用いた場合(実施例1〜4)、全実施例においてアクリル板への剥離帯電圧が抑制され、かつ、アクリル板への汚染の発生もないことが明らかとなった。
これに対して、帯電防止剤を含有しなかった場合(比較例1〜2)では、いずれにおいても汚染の発生は認められないが、アクリル板への剥離帯電圧が高い結果となった。また、帯電防止剤として界面活性剤を場合(比較例3)では、アクリル板への剥離帯電圧が抑制されているものの、汚染の発生が認められる結果となった。したがって、比較例ではいずれも、被着体であるアクリル板への剥離帯電圧の抑制と汚染の発生の抑制とを両立させることができないことが明らかとなった。