まず、本実施例に係る薬剤処方支援システムの概要について説明する。図1は、本実施例に係る薬剤処方支援システムの概要を説明するための説明図である。同図に示すように、この薬剤処方支援システム1は、患者に出される給食による摂取カロリーに加えて、薬剤自体が有するカロリーを含めて患者が摂取する総摂取カロリーを一括管理し、カロリー制限が必要な患者に対して薬剤自体が有するカロリーを考慮して患者に処方する薬剤を決定する。
この薬剤処方支援システム1において、患者に処方する処方箋のデータが入力されると(1)、まず対象となる患者の病名(糖尿病など)に対応する1日の制限カロリーCmaxが抽出され(2)、さらに、その患者に出される1日分の給食を患者が予定通り摂取した場合の給食摂取による予定摂取カロリーFおよび処方箋通りに1日分の薬剤が患者に投与された場合の薬剤投与による予定摂取カロリーMを合計した1日の予定総摂取カロリーF+Mが算出される(3)。
そして、この薬剤処方支援システム1は、この1日の制限カロリーCmaxと、1日の予定総摂取カロリーF+Mとを比較し、予定総摂取カロリーF+Mが制限カロリーCmaxより大きくカロリー超過となる場合、すなわちF+M>Cmaxとなる場合は、警告メッセージを出力する(4)。
このように、薬剤処方支援システム1が、薬剤自体が有するカロリーを考慮した患者の摂取カロリーを管理することとしたので、薬剤の過剰な投与による摂取カロリーの超過を抑止することができる。
次に、本実施例に係る薬剤処方支援システム1の構成について説明する。図2は、本実施例に係る薬剤処方支援システム1の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この薬剤処方支援システム1は、電子カルテクライアント100と、物流クライアント200と、物流サーバ250と、給食クライアント300と、給食サーバ350と、PDAクライアント400と、PDAサーバ450と、電子カルテサーバ500と、無線通信装置600とを有する。この薬剤処方支援システム1において、電子カルテクライアント100、物流サーバ250、給食サーバ350、PDAサーバ450、電子カルテサーバ500、および無線通信装置600は、ネットワーク50を介して接続されている。
電子カルテクライアント100は、医師が操作する端末装置であり、患者に処方する処方箋のデータを、患者の電子カルテを管理する電子カルテサーバ500に送信する。この電子カルテクライアント100により入力された処方箋のデータは、電子カルテサーバ500に登録され、その処方箋に従って薬剤師が薬剤を払い出し、その払い出された薬剤が看護師により患者へ投与される。
物流クライアント200は、薬剤師が操作する端末装置であり、電子カルテクライアント100によって電子カルテサーバ500に登録された処方箋を画面に表示して、その処方箋に従って薬剤師に薬剤を払い出させる。
物流サーバ250は、薬剤が有するカロリーや薬効などの薬剤に関する情報を管理し、物流クライアント200とのデータの入出力を制御するサーバ装置であり、薬品固有情報テーブル251を有する。薬品固有情報テーブル251は、薬剤が有するカロリーや薬効などの情報が記憶されたテーブルである。
図3は、薬品固有情報テーブル251の一例を示す図である。同図に示すように、この薬品固有情報テーブル251には、薬品番号と、品名と、点数と、単位量当たりのカロリーと、数量の単位と、同効品とが対応付けられて記憶されている。ここで、同効品とは、同様の薬効を持つ薬剤のグループのことであり、例えば同効品として同じ「1」の番号が割り振られているA薬、C薬およびD薬は、互いに同様の薬効を持つことを示している。
給食クライアント300は、栄養士が操作する端末装置であり、患者に出される給食内容を給食サーバ350に登録し、さらに登録した給食内容の実施状況を給食サーバ350に送信する。給食サーバ350は、給食内容やその実施状況などの給食に関する情報を管理し、給食クライアント300とのデータの入出力を制御するサーバ装置であり、食材固有情報テーブル351と、給食内容テーブル352とを有する。
食材固有情報テーブル351は、食材が有するカロリーについての情報が記憶されたテーブルである。図4−1は、食材固有情報テーブル351の一例を示す図である。同図に示すように、この食材固有情報テーブル351には、食材番号と、品名と、点数と、単位量当たりのカロリーと、単位とが対応付けられて記憶されている。また、この食材固有情報テーブル351には、お菓子などのように給食では用いられない食材に関してもそのカロリーなどのデータが記憶されている。
給食内容テーブル352は、患者に出される給食内容の予定や、その給食内容の実施状況が記憶されたテーブルである。図4−2は、給食内容テーブル352の一例を示す図である。同図に示すように、この給食内容テーブル352には、患者の患者IDと、配膳日と、食材固有情報テーブル351に対応する食材番号と、単位量当たりのカロリーと、数量と、単位と、状況とが対応付けられて記憶されている。ここで、状況とは、その食材を用いた給食内容が患者に出されたか否かを示す情報であり、既に出された給食内容に用いられた食材は「完」で表され、まだ出されていない給食内容に用いられる食材は「未」で表される。
PDAクライアント400は、看護師が操作する携帯情報端末装置である。このPDAクライアント400の画面には、PDAクライアント400とのデータの入出力を管理するPDAサーバ450を介して、電子カルテクライアント100によって電子カルテサーバ500に登録された処方箋が表示され、その処方箋に従って看護師は薬剤を投与する。
また、このPDAクライアント400は、PDA項目テーブル401を有する。このPDA項目テーブル401は、患者に出された給食以外の食事による摂取カロリーについての情報が記憶されたテーブルである。図5は、PDA項目テーブル401の一例を示す図である。同図に示すように、このPDA項目テーブル401には、患者が摂った間食や給食の食べ残しなど、給食内容テーブル352に対応していない食事状況による摂取カロリーの増減を示す内容と、その内容に該当する増減区分と、カロリー値とが対応付けられて記憶されている。このカロリー値を増減区分に基づいて合計した値が、食事による摂取カロリーの差分値ΔFとなる。
電子カルテサーバ500は、患者の電子カルテを管理するとともに、電子カルテクライアント100から入力された処方箋に従った薬剤の投与実施段階を監視して薬剤を含めた患者の摂取カロリーを管理するサーバ装置である。この電子カルテサーバ500は、入出力インタフェース510と、ネットワークインタフェース520と、一時記憶部530と、記憶部540と、制御部550とを有する。
入出力インタフェース510は、マウスやキーボードなどの入力装置および表示装置を接続するためのインタフェースである。ネットワークインタフェース520は、ネットワーク50を介して電子カルテサーバ500を他のサーバや端末装置に接続するためのインタフェースである。
一時記憶部530は、RAM(Random Access Memory)などのメモリであり、電子カルテサーバ500がネットワーク50を介して薬品固有情報テーブル251などの各テーブルから取得したデータや、電子カルテクライアント100などから受け付けた処方箋の変更内容などを一時的に記憶する。
記憶部540は、ハードディスク装置などの記憶装置であり、薬剤依頼テーブル541、病名マスタテーブル542、患者テーブル543、スタッフテーブル544、変更依頼メッセージリスト545を記憶する。
薬剤依頼テーブル541は、患者に投与する薬剤による摂取カロリーの情報が記憶されたテーブルである。図6−1は、薬剤依頼テーブル541の一例を示す図である。同図に示すように、この薬剤依頼テーブル541には、患者IDと、依頼日と、伝票種類と、薬品番号と、単位量当たりのカロリーと、投与する数量と、単位と、投与回数と、合計カロリーと、担当医IDと、投与済数量と、投与済カロリーと、状況とが対応付けられて記憶されている。
ここで、状況とは、その薬剤の投与実施段階を示す情報であり、医師により薬剤の払い出しが薬剤師に依頼された段階の薬剤は「依頼」で表され、薬剤師により払い出された段階の薬剤は「払出」で表され、看護師により患者への投与が一度でも実施された薬剤は「実施」で表される。
病名マスタテーブル542は、病名に対応する1日の摂取カロリーの制限値が記憶されたテーブルである。図6−2は、病名マスタテーブル542の一例を示す図である。同図に示すように、この病名マスタテーブル542には、病名コードと、病名と、制限カロリーとが対応付けられて記憶されている。例えば、同図においては、糖尿病の患者は1日の摂取カロリーが1000kcal以内に制限されていることを示している。
患者テーブル543は、患者に関する情報が記憶されたテーブルである。図6−3は、患者テーブル543の一例を示す図である。同図に示すように、この患者テーブル543には、患者IDと、患者氏名と、病名マスタテーブル542の病名コードに対応する病名コードとが対応付けられて記憶されている。
スタッフテーブル544は、病院に勤務するスタッフの職業や、スタッフが病院内で使用するPHSの電話番号が記憶されたテーブルである。図6−4は、スタッフテーブル544の一例を示す図である。同図に示すように、このスタッフテーブル544には、スタッフIDと、スタッフの氏名と、職業と、PHS電話番号とが対応付けられて記憶されている。
変更依頼メッセージリスト545は、物流クライアント200やPDAクライアント400などから電子カルテを作成した医師宛に送信された薬剤変更依頼などのメッセージが記憶されたリストである。
制御部550は、電子カルテサーバ500を全体制御する中央処理部であり、薬剤依頼管理部551と、カロリー超過判定部552と、カロリー変更処理部553と、変更依頼送信部554とを有する。
薬剤依頼管理部551は、薬剤依頼テーブル541を管理する処理部であり、薬剤依頼テーブル541に記憶されたデータへのアクセスを電子カルテクライアント100、物流クライアント200、およびPDAクライアント400から受け付けて、アクセスを受け付けた各クライアントにそのデータ内容を出力する。
具体的には、この薬剤依頼管理部551は、スタッフテーブル544を参照してこの電子カルテサーバ500にログインするスタッフのスタッフIDを識別し、そのスタッフの職業(医師、薬剤師、看護師)に応じて異なる処理を実行する。なお、栄養士が操作する給食クライアント300からはこの電子カルテサーバ500にログインすることはできない。
例えば、医師が操作する電子カルテクライアント100からのログインを受け付け、患者に処方する処方箋のデータが電子カルテサーバ500に入力されると、薬剤依頼管理部551は、その処方箋に登録された薬剤が有するカロリーについてのデータを物流サーバ250の薬品固有情報テーブル251から読み出し、その薬剤を投与することによる患者の摂取カロリーを算出する。そして、薬剤依頼管理部551は、その処方箋のデータに、算出した摂取カロリーのデータや、その医師のスタッフIDを示す担当医IDなどを対応付けて、薬剤依頼テーブル541に登録する。さらに、その登録内容が医師によって確定されると、薬剤依頼管理部551は、薬剤依頼テーブル541の状況欄を「依頼」に変更し、薬剤師によりその薬剤が払出可能な状態とする。
また、薬剤師が操作する物流クライアント200からのログインを受け付け、電子カルテサーバ500に登録された処方箋に従って薬剤が払い出されたことを示すデータが入力されると、薬剤依頼管理部551は、薬剤依頼テーブル541の状況欄を「払出」に変更して、看護師によりその薬剤が投与可能な状態とする。
さらに、看護師が操作するPDAクライアント400からのログインを受け付け、電子カルテサーバ500に登録された処方箋に従って看護師により患者に薬剤が投与され、その患者に投与された薬剤の投与量などのデータが入力されると、薬剤依頼管理部551は、薬剤依頼テーブル541の投与済数量欄をその入力された投与量に変更する。また、薬剤依頼管理部551は、薬剤依頼テーブル541のカロリー欄を参照して入力された薬剤の投与量に応じた投与済カロリーの値を算出し、その算出した値を投与済カロリー欄の値に変更し、さらに状況欄を「実施」に変更する。この投与済カロリー欄に示された値の総和を算出することで、薬剤投与により患者が摂取した摂取カロリーを算出することができる。
なお、この薬剤依頼管理部551は、医師以外のスタッフから、薬剤依頼テーブル541に記憶されたデータのうち薬品番号、数量、回数など処方箋の内容に関する変更を受け付けた場合は、その内容変更に対する担当医の承認が必要となるため、後述する変更依頼送信部554により担当医宛に処方箋の変更を依頼する変更依頼メッセージを送信する処理が実行される。
カロリー超過判定部552は、各クライアント100、200、400から薬剤依頼テーブル541へのアクセスを受け付けたときに、患者の1日の制限カロリーと、給食摂取による予定摂取カロリーおよび薬剤投与による予定摂取カロリーを合計した1日の予定総摂取カロリーとを比較し、カロリー超過となる場合にはアクセスを受け付けたクライアントに警告を出力する処理部である。
具体的には、カロリー超過判定部552は、電子カルテクライアント100または物流クライアント200から薬剤投与による予定摂取カロリーの計算を受け付けると、病名マスタテーブル542および患者テーブル543を参照して、対象となる患者の病名に対応する1日の制限カロリーCmaxを抽出する。
さらに、カロリー超過判定部552は、給食摂取による予定摂取カロリーFと、薬剤投与による予定摂取カロリーMとの和F+Mを算出する。ここで、カロリー超過判定部552が各値を算出する際には、給食摂取による予定摂取カロリーFについては給食サーバ350の給食内容テーブル352を参照し、また、薬剤投与による予定摂取カロリーMについては薬剤依頼テーブル541を参照する。このようにして算出された和F+Mが、その患者の1日の予定総摂取カロリーを表す。
その後、各クライアント100、200から薬剤依頼テーブル541へのアクセスを受け付けると、このカロリー超過判定部552は、患者の1日の制限カロリーCmaxと、1日の予定総摂取カロリーF+Mとの大小を比較し、F+M>Cmaxである場合にはアクセスを受け付けたクライアント100、200の画面に警告画面を表示させる。
このように、カロリー超過判定部552が、薬剤依頼テーブル541に登録された薬剤の種類および投与量に基づいて患者の薬剤投与による予定摂取カロリーMを算出し、この値Mと給食摂取による予定摂取カロリーFとを合計した予定総摂取カロリーF+Mが、病名マスタテーブル542および患者テーブル543を参照して抽出した患者の制限カロリーCmaxを超えた場合に警告メッセージを出力することとしたので、薬剤の過剰な投与による摂取カロリーの超過を抑止することができる。
なお、PDAクライアント400から予定摂取カロリーの計算を受け付けた場合は、カロリー超過判定部552は、上述した1日の予定総摂取カロリーF+Mの算出に加えて、PDA項目テーブル401に記憶されたデータを読み出して、対象となる患者の間食や食べ残しなどによる摂取カロリーの差分値ΔFを算出する。
そして、カロリー超過判定部552は、患者の1日の制限カロリーCmaxと、1日の予定総摂取カロリーF+Mに摂取カロリーの差分値ΔFを加算した値F+M+ΔFとの大小を比較し、F+M+ΔF>Cmaxである場合にはPDAクライアント400の画面に警告画面を出力する。
カロリー変更処理部553は、薬剤依頼テーブル541に登録された投与予定の薬剤の変更を電子カルテクライアント100などから受け付けるとともに、受け付けた変更内容に基づいた薬剤投与による予定摂取カロリー予測値M*を算出する処理部である。
このカロリー変更処理部553は、薬剤依頼テーブル541に登録された投与予定の薬剤に対して、他の代替薬剤への変更、数量の変更、投与回数の変更などの変更内容を受け付けると、薬品固有情報テーブル251を参照して、受け付けた変更内容に基づいた薬剤投与による予定摂取カロリー予測値M*を算出し、その値M*をカロリー超過判定部552に渡してカロリー超過について再び判定させる。
なお、カロリー変更処理部553がPDAクライアント400から処理を受け付けた場合は、薬剤依頼テーブル541に登録された投与予定の薬剤のうち、頓服指示が出された薬剤に対する投与回数の変更のみを受け付ける。
変更依頼送信部554は、薬剤依頼テーブル541に登録された処方箋の変更を、医師以外が操作する端末装置、すなわち物流クライアント200またはPDAクライアント400から受け付けた場合に、その処方箋を登録した担当医が操作する電子カルテクライアント100に対してその変更内容に基づいた処方箋の変更を依頼する変更依頼メッセージを送信する処理部である。
この変更依頼送信部554は、薬剤依頼テーブル541に登録された処方箋の変更を、物流クライアント200またはPDAクライアント400から受け付けると、薬剤依頼テーブル541の担当医欄(図6−1参照)に対応する担当医を宛先とした処方箋の変更を依頼する変更依頼メッセージと、その処方箋の変更内容とを対応付けて、変更依頼メッセージリスト545に格納する。さらに、変更依頼送信部554は、スタッフテーブル544のPHS電話番号欄(図6−4参照)から担当医のPHS電話番号を抽出し、無線通信装置600を介して担当医のPHSに変更を依頼するメールを送信する。
その後、担当医が操作する電子カルテクライアント100からのログインを電子カルテサーバ500が受け付けると、変更依頼送信部554は、変更依頼メッセージリスト545に格納された変更依頼メッセージを、担当医が操作する電子カルテクライアント100の画面に表示させる。そして、薬剤依頼管理部551は、電子カルテクライアント100から、この変更依頼メッセージに対応する処方箋の変更内容に基づく薬剤依頼テーブル541の変更を受け付ける。
無線通信装置600は、変更依頼送信部554からのメールの送信要求を受け付けて、無線通信によりPHS601,602,・・に対して処方箋の変更を依頼するメールを送信するための通信装置である。
なお、薬剤投与による予定摂取カロリーMを減少させもカロリー超過となるような場合は、さらに給食摂取による予定摂取カロリーFを減少させることで、患者が摂取する1日の予定総摂取カロリーF+Mを減少させることができる。
この場合、電子カルテサーバ500が各クライアントから給食内容の変更要求を受け付けると、変更依頼送信部554は、給食クライアント300に給食内容の変更依頼を送信する。そして、この給食内容の変更依頼を給食クライアント300が受信し、給食サーバ350に記憶された給食内容テーブル352の変更を栄養士が操作する給食クライアント300から受け付けると、カロリー超過判定部552は、その変更後の給食内容に基づいて患者の給食摂取による予定摂取カロリーFを再計算する。
このように、カロリー超過による警告メッセージが出力された場合に、変更依頼送信部554が、あらかじめ給食内容テーブル352に登録された患者の食事予定内容に対する変更依頼を給食クライアント300に送信することとしたので、食事内容を変更して食事により摂取するカロリー値を減少させることができる。
次に、電子カルテサーバ500が電子カルテクライアント100、物流クライアント200、およびPDAクライアント400に出力する画面例について説明する。図7は、薬品状況確認画面の一例を示す図である。同図に示す画面は、処方箋のデータを電子カルテサーバ500に登録するときに、医師が操作する電子カルテクライアント100の画面に表示される。また、医師が登録した処方箋に基づいて薬剤師が薬剤を払い出す際にも、薬剤師が操作する物流クライアント200の画面にはこの薬品状況確認画面が表示される。
電子カルテサーバ500は、医師が操作する電子カルテクライアント100からのログインを受け付けると、電子カルテクライアント100の画面にこの薬品状況確認画面を表示させて、患者に処方する処方箋のデータの入力を受け付ける。この画面で医師から入力されたデータは、電子カルテサーバ500の薬剤依頼テーブル541に登録される。
ここで、同図の左から3番目の列に位置する区分欄は、院内処方、頓用注射などの伝票種類の区分を示し、薬剤依頼テーブル541(図6−1参照)における伝票種類に対応する。また、右端の3つの列に位置する依頼、払出、実施の各欄は、薬剤依頼テーブル541における状況欄に対応し、各段階が進行するに従ってこれらの各欄には順次チェックが入る。
図7に示した薬品状況確認画面において、画面右下のカロリー計算ボタン701が押下されると、カロリー超過判定部552は、カロリー計算詳細確認画面を電子カルテクライアント100などの端末装置の画面に表示させる。
図8は、カロリー計算詳細確認画面の一例を示す図である。同図に示すように、このカロリー計算詳細確認画面では、現時点での摂取済みカロリーや残摂取可能量などの値が算出され、その算出結果が画面上部の各欄に表示される。このとき、カロリー超過判定部552は、対象となる患者の1日の予定総摂取カロリーを、薬剤投与によるものと給食摂取によるもの、および既に摂取済みのものと未摂取のものとで、4通りに分けて算出する。
ここで、カロリー超過判定部552は、薬剤投与による予定摂取カロリーMを算出する際に、投与済みの薬剤による摂取済みカロリーm1と、投与予定の薬剤が有する未摂取カロリーm0についても算出する。すなわち、カロリー超過判定部552は、薬剤依頼テーブル541に記憶されたデータから患者IDおよび配膳日が判定対象と一致するデータを抽出し、そのうち合計カロリー欄(図6−1参照)の値の合計値をM、投与済カロリー欄の値の合計値をm1として算出する。さらに、投与予定の薬剤が有する未摂取カロリーm0を、m0=M−m1、すなわち合計カロリー欄の値の合計値Mから投与済カロリー欄の値の合計値m1を減じることにより算出する。ここで、M=m1+m0である。
また、カロリー超過判定部552は、給食摂取による予定摂取カロリーFを算出する際に、摂取済みの給食による摂取済みカロリーf1と、患者にまだ出されていない給食による未摂取カロリーf0についても算出する。すなわち、カロリー超過判定部552は、給食内容テーブル352に記憶されたデータから患者IDおよび配膳日が判定対象と一致するデータを抽出し、さらに給食内容テーブル352の状況欄(図4−2参照)が「完」であるか否かでデータを振り分け、この状況欄が「完」の食材によるカロリーを合計した摂取済みカロリーf1と、状況欄が「未」の食材が有するカロリーを合計した未摂取カロリーf0とを算出する。このf1とf0との和が、給食摂取による1日の予定摂取カロリーF=f1+f0となる。
図8に示す画面上部の各欄には、この計算結果で得られた値を用いた値が表示される。例えば、画面左上の摂取済み欄802には、摂取済みの給食による摂取済みカロリーf1および投与済みの薬剤による摂取済みカロリーm1を合計した摂取済みカロリーの総和f1+m1が表示される。また、その下の食事予定欄803には、患者にまだ出されていない給食による未摂取カロリーf0の値が表示される。なお、最上段の上限値欄801には、対象となる患者の制限カロリーCmaxの値が表示される。
また、画面右上の残摂取可能量欄804には、上限値欄801に表示された値Cmaxから、摂取済み欄802に表示された摂取済みカロリーの総和f1+m1と食事予定欄803に表示された給食による未摂取カロリーf0とを減じた値Cmax−(f1+m1)−f0、すなわちCmax−F−m1の値が表示される。
ここで、この残摂取可能量欄804に表示される値Cmax−F−m1が、投与予定の薬剤が有する未摂取カロリーm0以上である場合、すなわち、
Cmax−F−m1≧m0
である場合は、F+M≦Cmaxが成立し、1日の予定総摂取カロリーF+Mは制限カロリーCmax以内に収まる。従って、このm0が残摂取可能量欄804に表示された値以下となるよう薬剤を決定することで、患者が摂取するカロリーの超過を抑止することができる。
また、これらの各欄801〜804に表示される値は、薬剤の投与状況および給食の摂取状況に応じて変化する。例えば、患者に新たに薬剤を投与すると、その薬剤による摂取カロリーの分だけ摂取済み欄802に表示される値が増加し、その薬剤による摂取カロリーの分だけ残摂取可能量欄804に表示される値が減少する。
なお、残摂取可能量欄804の右隣に位置する差異欄805は、カロリー変更処理部553による薬剤の変更、数量の変更、投与回数の変更が実施された場合の、変更後の薬剤が有する未摂取カロリーm0 *から、変更前の薬剤が有する未摂取カロリーm0を減じた値m0 *−m0が表示され、初期値は「0」である。
また、図8の画面中段における薬剤表示領域810には、図7に示した薬品状況確認画面と同様に、対象となる患者に投与される薬剤の一覧が表示される。この薬剤表示領域810において、薬品名欄811、数量欄812、または回数欄813が押下されると、画面下段の詳細表示領域820にはその押下された欄に対応する項目の内容を変更するための画面が表示される。
例えば、薬品名欄811が押下されると、この詳細表示領域820には図8の下段に示すような代替候補薬品の一覧が表示される。具体的には、薬品固有情報テーブル251の同効品欄(図3参照)に割り振られた番号が、薬品名欄811で選択された薬剤と一致する薬剤が、代替候補薬品の一覧としてこの詳細表示領域820に表示される。
また、この代替候補薬品の一覧において、薬剤が有するカロリーが薬品名欄811で選択された薬剤よりも低いもの、すなわち代替候補薬剤の選択後にカロリー計算詳細表示画面の右上に位置する差異欄805に表示される値m0 *−m0が負となるものについては、右側のカロリー欄に表示される値を強調表示する。
図9−1は、詳細表示領域820に表示される画面の他の例を示す図(1)である。図8において、数量欄812が押下されると、この詳細表示領域820には、図8に示すような代替候補薬品の一覧に代えて、図9−1に示すような投与する薬剤の数量を変更するための画面が表示される。
図9−2は、詳細表示領域820に表示される画面の他の例を示す図(2)である。図8において、回数欄813が押下されると、この詳細表示領域820には、図8に示すような代替候補薬品の一覧に代えて、図9−2に示すような投与する薬剤の投与回数を変更するための画面が表示される。ここで、「推奨される投与回数」の欄では、薬剤を投与する回数を整数値で選択するが、その回数としては、薬剤依頼テーブル541に登録されている投与回数以下の整数値のみが選択可能である。
また、図8において、詳細表示領域820の上端に付されたタブを押下することで、そのタブに記された文字内容に応じた各画面を呼び出すことができる。図9−3は、詳細表示領域820に表示される画面の他の例を示す図(3)である。例えば、図8において、詳細表示領域820の上端に付された推奨薬品タブ821が押下されると、この詳細表示領域820には、同図に示すような代替候補薬品の一覧に代えて、図9−3に示すような推奨薬品の一覧が表示され、薬剤表示領域810で選択された薬剤と同様の効果を有する代替候補薬品の一覧が、薬剤が有するカロリーの低いものから順に表示される。
そして、これらの詳細表示領域820により各項目が入力され、変更内容が決定されると、カロリー変更処理部553は、その変更後の処方箋に基づいた薬剤投与による予定摂取カロリー予測値M*=m1+m0 *を算出し、変更後の薬剤が有する未摂取カロリーm0 *から、変更前の薬剤が有する未摂取カロリーm0を減じた値m0 *−m0を、図8の画面右上に位置する差異欄805に表示させる。この差異欄805に表示される値m0 *−m0が負の値をとるように薬剤表示領域810の各項目を変更することで、薬剤投与による予定摂取カロリーを減少させることができる。
このように、カロリー超過による警告メッセージが出力された場合に、カロリー変更処理部553が、薬剤投与が実施されていない薬剤と同様の薬効を持つ他の薬剤を薬品固有情報テーブル251から検索し、検索した薬剤の中から代替薬剤の選択を受け付けることとしたので、同様の薬効を有する薬剤の中からより低カロリーの薬剤を選択させることができる。
そして、図8において、画面右下の決定ボタン840が押下されると、給食摂取による予定摂取カロリーFと、薬剤投与による予定摂取カロリーMまたはその予測値M*との和が算出され、その和が患者の制限カロリーCmaxを超過しカロリー超過となる場合には、警告画面が表示される。
図10は、警告画面の一例を示す図である。同図に示すように、この警告画面では、予定通りに薬剤の投与が実施されると、患者の予定総摂取カロリーが制限カロリーを超過することを警告する。ここで、連絡ボタン901が押下されると、電子カルテサーバ500の変更依頼送信部554は、担当医のPHS電話番号をスタッフテーブル544から検索し、その担当医が所持するPHSにメッセージを送信する。なお、医師が操作する電子カルテクライアント100からこの警告画面が呼び出された場合は、この連絡ボタン901は表示されない。
図11は、確認画面(薬剤変更依頼)の一例を示す図である。図10において、連絡ボタン901が押下されると、図11に示すような薬剤変更の依頼メッセージを担当医に送信するための確認画面が表示される。なお、図11に示す画面例では、看護師が操作するPDAクライアント400の画面に表示される画面の一例を示しており、ここでは頓服指示の薬剤に対する投与回数の変更依頼を担当医に送信する場合の画面例を示している。
また、図10に示す警告画面において、詳細確認ボタン902が押下された場合は、図8に示したカロリー計算詳細確認画面に切り替わる。また、強行ボタン903が押下された場合は、薬剤依頼管理部551はカロリー計算詳細確認画面で変更した各項目の変更内容を破棄し、さらにカロリー超過か否かに関係なく薬剤依頼テーブル541の状況欄を変更して、医師によって薬剤依頼テーブル541に登録された処方箋の通りの薬剤投与を強行させる。
また、図8において、画面右下の給食変更依頼ボタン830が押下された場合は、給食内容変更の依頼メッセージを送信する確認画面が表示される。図12は、確認画面(給食変更依頼)の一例を示す図である。同図に示す確認画面において、給食内容変更の依頼メッセージの送信が選択されると、電子カルテサーバ500の変更依頼送信部554は、栄養士が操作する給食クライアント300に給食内容変更の依頼メッセージを送信する。
その後、この給食内容変更の依頼メッセージを受信した栄養士により患者に出される予定の給食内容が変更され、その変更後の給食内容が給食内容テーブル352に登録されると、カロリー超過判定部552は、変更後の給食内容に基づいて給食摂取による予定摂取カロリーFを再計算するとともに、変更後の給食による未摂取カロリーf0の値をカロリー計算詳細確認画面の食事予定欄803(図8参照)に表示させる。
そして、図8に示すカロリー計算詳細確認画面において、変更後の薬剤を含めた患者の予定総摂取カロリーF+M*が制限カロリーCmax以下となるように薬剤表示領域810の各項目が変更され、決定ボタン840が押下されると、その変更内容に基づいた薬剤依頼テーブル541の変更が行われる。
ここで、医師によって薬剤表示領域810の各項目が変更された場合は、その変更後の内容が直ちに薬剤依頼テーブル541に反映される。一方、薬剤師または看護師によって薬剤表示領域810の各項目が変更された場合は、図11に示したような薬剤変更依頼の確認画面が表示され、その確認画面で担当医への薬剤変更の依頼メッセージ送信を選択することで、担当医による依頼内容に基づいた薬剤依頼テーブル541の変更を担当医に要求する。
なお、看護師が操作するPDAクライアント400には、間食などの食事による摂取カロリーの増減に結びつくデータが看護師によって入力され、そのデータが随時PDA項目テーブル401に記憶される。図13は、PDAクライアント400に表示されるカロリー追加入力画面の一例を示す図である。同図に示す画面において入力された内容が、PDA項目テーブル401に記憶される。
そして、電子カルテサーバ500がPDAクライアント400からのアクセスを受け付けた場合は、カロリー超過判定部552は、このPDA項目テーブル401に記憶されたデータを読み出して摂取カロリーの差分値ΔFを算出し、この差分値ΔFを加えた予定総摂取カロリーに基づいてカロリー超過か否かを判定する。
このように、カロリー超過判定部552が、患者の予定総摂取カロリーのうち食事摂取によるカロリーを、あらかじめ給食内容テーブル352に登録された患者の食事予定内容から算出された給食摂取による予定摂取カロリーFと、PDA項目テーブル401に登録され、給食内容テーブル352に登録されていない食事による摂取カロリーの差分値ΔFとに基づいて算出することとしたので、間食の摂取や給食の食べ残しなどのより細かな食事の摂取状況に基づいたカロリー値をカロリー超過判定時に反映させることができる。
次に、本実施例に係る電子カルテサーバ500が実行する摂取カロリー管理処理の処理手順について説明する。図14は、電子カルテサーバ500が実行する摂取カロリー管理処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、まず電子カルテサーバ500は、医師が操作する電子カルテクライアント100から入力された処方箋のデータを薬剤依頼テーブル541に登録し、薬剤師にその処方箋に従った薬剤の払い出しを依頼する薬剤依頼処理を実行する(ステップS101)。
そして、電子カルテサーバ500は、薬剤師が操作する物流クライアント200からのアクセスを受け付け、薬剤依頼テーブル541に登録された処方箋に従った薬剤を払い出してその薬剤の看護師による投与を待つ薬剤払出処理を実行する(ステップS102)。
その後、電子カルテサーバ500は、看護師が操作するPDAクライアント400からのアクセスを受け付け、看護師が患者に薬剤を投与することで患者が摂取するカロリー値を算出する薬剤投与処理を実行する(ステップS103)。
図15は、図14で示した薬剤依頼処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、電子カルテサーバ500の薬剤依頼管理部551は、医師が操作する電子カルテクライアント100の画面に、対象となる患者に対応する薬品状況確認画面(図7参照)を表示させる(ステップS201)。そして、薬剤依頼管理部551は、電子カルテクライアント100からその患者に処方する処方箋のデータの入力を受け付けて、入力された処方箋のデータを薬剤依頼テーブル541に登録する(ステップS202)。
そして、カロリー超過判定部552は、薬品状況確認画面においてカロリー計算ボタン701の押下を受け付ける(ステップS203)。そして、カロリー計算ボタン701が押下されると、制御部550は、登録された処方箋に従って患者に薬剤を投与した場合の1日の予定総摂取カロリーと、患者の制限カロリーとを比較し、カロリー超過となる場合は処方箋または給食内容を変更するカロリー超過判定処理を実行する(ステップS204)。
そして、カロリー計算に基づいて処方箋が決定され、薬品状況確認画面の決定ボタン702が押下されると、薬剤依頼管理部551は、薬剤依頼テーブル541の状況欄(図6−1参照)を「依頼」に変更して、薬剤師による薬剤が払出可能な状態とし(ステップS205)、この薬剤依頼処理を終了する。
次に、図15で示したカロリー超過判定処理の処理手順について説明する。図16は、カロリー超過判定処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、薬品状況確認画面(図7参照)において、カロリー計算ボタン701の押下を受け付けると、カロリー超過判定部552は、カロリー計算詳細確認画面(図8参照)を電子カルテクライアント100の画面に表示させる。また、カロリー超過判定部552は、薬剤依頼テーブル541、病名マスタテーブル542、患者テーブル543および給食内容テーブル352を参照し、カロリー計算詳細確認画面における画面上部の各欄801〜805に対応する値を算出してその値を表示させる(ステップS301)。
そして、カロリー超過判定部552は、画面右下にある決定ボタン840の押下を受け付けると(ステップS302)、その患者の1日の制限カロリーCmaxと、1日の予定総摂取カロリーF+Mとを比較し(ステップS303)、患者がカロリー超過となるか否かを判定する(ステップS304)。
その結果、カロリー超過とはならない場合、すなわち、F+M≦Cmaxとなる場合は、薬剤依頼テーブル541に登録された処方箋を変更することなくこのカロリー超過判定処理を終了する。
一方、カロリー超過となる場合、すなわち、F+M>Cmaxとなる場合は、カロリー超過判定部552は、電子カルテクライアント100の画面に警告画面(図10参照)を表示させる(ステップS305)。そして、制御部550は、処方箋の変更を実施する場合の予定総摂取カロリーの予測値を算出し、この予定総摂取カロリーの予測値を制限カロリー以内に収めるカロリー変更処理を実行する(ステップS306)。
その後、処方箋が変更され、その変更内容が一時記憶部530に格納されると、制御部550は、その変更内容に基づいて薬剤依頼テーブル541に登録された処方箋の内容を変更する薬剤変更処理を実行し(ステップS307)、このカロリー超過判定処理を終了する。
次に、図16で示したカロリー変更処理の処理手順について説明する。図17は、カロリー変更処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、カロリー変更処理部553は、カロリー計算詳細確認画面(図8参照)の中段に表示された薬剤表示領域810の薬品名欄811などの各項目の変更を受け付け、その詳細を画面下段の詳細表示領域820を用いて入力させる(ステップS401)。
そして、カロリー変更処理部553は、その入力された変更内容に基づいて薬剤投与による予定摂取カロリー予測値M*を算出する(ステップS402)。
その後、カロリー変更処理部553は、給食変更依頼ボタン830が押下されたか否かを判定し(ステップS403)、押下されなかった場合は、さらに決定ボタン840が押下されたか否かを判定する(ステップS404)。そして、決定ボタン840が押下されなかった場合は、ステップS403に戻り、給食変更依頼ボタン830または決定ボタン840が押下さるまで、ステップS403〜ステップS404の判定を繰り返す。
ここで、決定ボタン840が押下された場合は、カロリー超過判定部552は、薬剤投与による予定摂取カロリーMに代えて、カロリー変更処理部553が算出した変更内容に基づく薬剤投与による予定摂取カロリー予測値M*の値を用いて、患者の1日の制限カロリーCmaxと薬剤変更後の1日の予定総摂取カロリー予測値F+M*とを比較し(ステップS405)、患者がカロリー超過となるか否かを判定する(ステップS406)。
その結果、F+M*≦Cmaxとなりカロリー超過とはならない場合は、カロリー超過判定部552は、カロリー変更処理部553による薬剤変更内容を確定させて、後述する薬剤変更処理において医師によりその変更内容に基づく薬剤依頼テーブル541の更新が実行されるまでその変更内容を一時記憶部530に格納し(ステップS407)、このカロリー変更処理を終了する。
一方、カロリー超過となる場合、すなわち、F+M*>Cmaxとなる場合は、カロリー超過判定部552は、電子カルテクライアント100の画面に再び警告画面(図10参照)を表示させる(ステップS408)。
そして、カロリー超過判定部552は、この警告画面において強行ボタン903が押下されたか否かを判定する(ステップS409)。ここで、強行ボタン903が押下されなかった場合はステップS401に戻り、カロリー変更処理部553はカロリー計算詳細確認画面(図8参照)における各項目の変更を再び受け付ける。
一方、この警告画面において強行ボタン903が押下された場合は、カロリー超過判定部552は、カロリー変更処理部553が作成した薬剤変更内容を破棄し(ステップS410)、たとえカロリー超過であっても薬剤依頼テーブル541を変更せずに図16に示したカロリー超過判定処理を終了させる。
また、ステップS403において、給食変更依頼ボタン830が押下された場合は、ステップS411〜ステップS413において給食内容の変更する処理が行われる。すなわち、変更依頼送信部554は、給食内容の変更を依頼する確認画面(図12参照)を電子カルテクライアント100の画面に表示させ(ステップS411)、電子カルテクライアント100から給食内容変更を依頼するメッセージの送信指示の入力を受け付けると、その変更依頼メッセージを給食クライアント300に送信する(ステップS412)。
そして、この給食内容変更依頼を受信した栄養士によって給食内容が変更され、給食クライアント300からの操作によって給食サーバ350の給食内容テーブル352に記憶されたデータが変更されると、カロリー超過判定部552は、この給食内容テーブル352から変更後の給食内容を読み出して、給食摂取による予定摂取カロリーFを再計算する(ステップS413)。この処理の終了後、ステップS404に戻り、以降はこの給食内容変更後の予定摂取カロリーFを用いて1日の予定総摂取カロリーが算出される。
次に、図16に示した薬剤変更処理の処理手順について説明する。図18は、薬剤変更処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、この薬剤変更処理は、電子カルテサーバ500が、医師が操作する電子カルテクライアント100からのアクセスを受け付けた場合の他に、薬剤師が操作する物流クライアント200、および看護師が操作するPDAクライアント400からのアクセスを受け付けた場合にも実行される。
同図に示すように、変更依頼送信部554は、電子カルテサーバ500へのアクセスを医師から受け付けたか否かを判定する(ステップS501)。その結果、電子カルテサーバ500へのアクセスを医師以外から受け付けた場合は、変更依頼送信部554は、処方箋を登録した担当医に対して、図17に示したカロリー変更処理により確定した薬剤変更内容に基づく処方箋の変更を依頼する変更依頼メッセージと、その処方箋の変更内容とを対応付けて、変更依頼メッセージリスト545に格納する。また、確認画面(図11参照)において担当医のPHSへのメール転送が指定された場合は、変更依頼送信部554はさらにスタッフテーブル544から担当医のPHS電話番号を検索し、その担当医のPHSにメール転送を行う(ステップS502)。
そして、変更依頼送信部554は、担当医が電子カルテサーバ500にログインしたか否かを判定し(ステップS503)、担当医がログインするまでステップS503の判定を繰り返す。
そして、担当医が電子カルテサーバ500にログインすると、変更依頼送信部554は、変更依頼メッセージリスト545に格納された変更依頼メッセージを担当医が操作する電子カルテクライアント100に表示させ(ステップS504)、薬剤の変更依頼に対する承認を電子カルテクライアント100から受け付ける(ステップS505)。
その後、医師から薬剤の変更依頼が承認されると、変更依頼送信部554は、スタッフテーブル544を参照してその変更依頼が承認されたことを示すメッセージを変更依頼の送信元であるスタッフのPHSに転送する(ステップS506)。そして、薬剤依頼管理部551は、その承認結果に基づいて薬剤依頼テーブル541を更新し(ステップS507)、この薬剤変更処理を終了する。
一方、ステップS501において、電子カルテサーバ500へのアクセスを医師から受け付けた場合は、薬剤依頼管理部551は、図17に示したカロリー変更処理により確定した薬剤変更内容に基づいて直ちに薬剤依頼テーブル541を更新し(ステップS507)、この薬剤変更処理を終了する。
次に、図14に示した薬剤払出処理の処理手順について説明する。図19は、薬剤払出処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、電子カルテサーバ500の薬剤依頼管理部551は、薬剤依頼テーブル541を参照して、薬剤師が操作する物流クライアント200の画面に、対象となる患者に対応する薬品状況確認画面(図7参照)を表示させる(ステップS601)。
そして、カロリー超過判定部552は、この薬品状況確認画面においてカロリー計算ボタン701の押下を受け付ける(ステップS602)。そして、カロリー計算ボタン701が押下されると、制御部550は、図16に示したカロリー超過判定処理を実行する(ステップS603)。
そして、カロリー超過判定処理の実行結果に基づいて薬剤師によって薬剤が払い出され、薬品状況確認画面の決定ボタン702が押下されると、薬剤依頼管理部551は、薬剤依頼テーブル541の状況欄(図6−1参照)を「払出」に変更して、看護師による薬剤が投与可能な状態とし(ステップS604)、この薬剤払出処理を終了する。
次に、図14で示した薬剤投与処理の処理手順について説明する。図20は、薬剤投与処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、看護師が操作するPDAクライアント400からのアクセスを電子カルテサーバ500が受け付けると、カロリー超過判定部552は、PDA項目テーブル401に記憶されたデータを読み出して、間食などによる摂取カロリーの差分値ΔFを算出する(ステップS701)。
また、カロリー超過判定部552は、制限カロリーCmax、食事摂取による予定摂取カロリーF、薬剤投与による予定摂取カロリーMの各値を算出する。すなわち、カロリー超過判定部552は、病名マスタテーブル542および患者テーブル543を参照して対象となる患者の病名に対応する制限カロリーCmaxを抽出し、また給食内容テーブル352を参照して食事摂取による予定摂取カロリーFを算出し、さらに薬剤依頼テーブル541を参照して薬剤投与による予定摂取カロリーMを算出する(ステップS702)。
その後、カロリー超過判定部552は、間食などによる摂取カロリーの差分値ΔFを含めた患者の予定総摂取カロリーF+M+ΔFと、患者の制限カロリーCmaxとの大小を比較し(ステップS703)、患者がカロリー超過となるか否かを判定する(ステップS704)。
ここで、カロリー超過となる場合、すなわち、F+M+ΔF>Cmaxとなる場合は、カロリー超過判定部552は、PDAクライアント400の画面に警告画面(図10参照)を表示させる(ステップS705)。そして、カロリー変更処理部553は、今回投与する予定の薬剤は頓用指示によるものか否かを判定する(ステップS706)。
ここで、今回投与する予定の薬剤が頓用指示によるものである場合は、カロリー変更処理部553は、図9−2に示すように、その頓用指示が出された薬剤の投与回数を変更する画面をPDAクライアント400の画面に表示させる(ステップS707)。そして、制御部550は、図19に示した薬剤変更処理を実行して、その頓用指示が出された薬剤に対する投与回数の変更依頼を担当医に送信する処理を行う(ステップS708)。
その後、その頓用指示が出された薬剤の投与回数を変更する変更依頼が担当医により承認され、その変更依頼に基づいて変更された薬剤が投与された場合、あるいは、ステップS704においてカロリー超過とはならずにそのまま薬剤が投与された場合は、薬剤依頼管理部551は、投与された薬剤の投与量の入力をPDAクライアント400から受け付けて、入力された値に基づいて投与された薬剤に対応する薬剤依頼テーブル541の投与済数量欄および投与済カロリー欄(図6−1参照)の値を更新し(ステップS709)、さらに薬剤依頼テーブル541の状況欄を「実施」に変更して(ステップS710)、薬剤投与により患者の摂取済みカロリーが増加したことを薬剤依頼テーブル541に反映させてこの薬剤投与処理を終了する。
一方、ステップS706において、今回投与する予定の薬剤が頓用指示以外によるものである場合は、看護師は薬剤依頼テーブル541に登録された処方箋を直接変更することはできないので、変更依頼送信部554は、担当医に薬剤変更を依頼するメッセージを変更依頼メッセージリスト545に格納する(ステップS711)。
そして、変更依頼送信部554は、担当医が操作する電子カルテクライアント100からのログインを待ち、担当医がログインすると(ステップS712,Yes)、変更依頼送信部554が電子カルテクライアント100の画面に変更依頼メッセージリスト545に格納された変更依頼メッセージを表示させ(ステップS713)、図15のステップS204に示したカロリー超過判定処理に戻り、担当医により再び患者に処方する処方箋が作成される。
上述してきたように、本実施例では、カロリー超過判定部552が、患者に投与される薬剤の種類および投与量に基づいて患者が摂取する薬剤による予定摂取カロリーMを算出し、算出した薬剤による予定摂取カロリーMと患者が食事により摂取する予定摂取カロリーFカロリー値との総和F+Mが患者の制限カロリーCmaxを超えた場合に警告メッセージを出力することとしたので、薬剤の過剰な投与による摂取カロリーの超過を抑止することができ、薬剤自体が有するカロリーを含めた正確なカロリー管理を行うことができる。
また、本実施例では、カロリー超過判定部552により警告メッセージが出力された場合に、カロリー変更処理部553が、薬剤投与が実施されていない薬剤と同様の薬効を持つ他の薬剤を薬品固有情報テーブル251から検索し、検索した薬剤の中から代替薬剤の選択を受け付けることとしたので、同様の薬効を有する薬剤の中からより低カロリーの薬剤を選択させることができ、薬剤自体が有するカロリーを含めた正確なカロリー管理を行うことができる。
また、本実施例では、カロリー変更処理部553による代替薬剤の選択によっても患者が摂取する予定総摂取カロリーF+Mが制限カロリーCmaxを超える場合に、変更依頼送信部554が、あらかじめ登録された患者の食事予定内容に対する変更依頼を送信することとしたので、食事内容を変更して食事により摂取するカロリー値を減少させることができ、薬剤自体が有するカロリーを含めた正確なカロリー管理を行うことができる。
また、本実施例では、カロリー超過判定部552により警告メッセージが出力された場合に、カロリー変更処理部553が、薬剤投与が実施されていない薬剤の投与量の変更を受け付けることとしたので、投与される薬剤の投与量を減少させて薬剤投与による摂取カロリーを減少させることができ、薬剤自体が有するカロリーを含めた正確なカロリー管理を行うことができる。
また、本実施例では、カロリー超過判定部552により警告メッセージが出力された場合に、変更依頼送信部554が、患者に投与される薬剤の種類または投与量の変更依頼を受け付け、薬剤の種類または投与量の変更依頼を受け付けた場合に、患者に投与される薬剤の種類または投与量を判定した担当医の端末装置を検索し、検索した端末装置に対して薬剤の種類または投与量の変更を依頼する変更依頼メッセージを送信することとしたので、薬剤師または看護師から薬剤変更の要求があったときに、その変更要求を医師に伝えることができるとともに、医師以外のスタッフによる処方箋の改竄を抑止することができる。
また、本実施例では、カロリー超過判定部552が、患者の予定総摂取カロリーのうち食事摂取によるカロリーを、あらかじめ給食内容テーブル352に登録された患者の食事予定内容から算出したカロリー値Fと、PDA項目テーブル401に登録され、食事予定内容に含まれる食事以外に患者が摂取した食事のカロリー値ΔFとに基づいて算出することとしたので、間食の摂取や給食の食べ残しなどのより細かな食事の摂取状況に基づいたカロリー値をカロリー超過判定時に反映させることができ、より正確なカロリー管理を行うことができる。
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施されてもよいものである。
例えば、本実施例では、制限カロリーCmax、給食摂取による予定摂取カロリーF、および薬剤投与による予定摂取カロリーMを、1日の範囲で算出することとしたが、この算出する範囲は1日に限定されず、3日、1週間など、長期的なスパンに基づいて摂取カロリーの超過を判定する場合にも同様に適用することができる。
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
なお、本実施例で説明した薬剤処方支援方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
(付記1)患者に投与される薬剤の種類および投与量に基づいて患者が摂取する薬剤のカロリー値を算出するカロリー算出工程と、
前記カロリー算出工程により算出された薬剤のカロリー値と患者が食事により摂取するカロリー値との総和があらかじめ記憶部に記憶された患者の制限カロリーを超えた場合に警告メッセージを出力する警告工程と、
を含んだことを特徴とする薬剤処方支援方法。
(付記2)前記警告工程により警告メッセージが出力された場合に、薬剤投与が実施されていない薬剤と同様の薬効を持つ他の薬剤を検索する同効薬剤検索工程と、前記同効薬剤検索工程により検索された薬剤の中から代替薬剤の選択を受け付ける代替薬剤選択工程と、をさらに含んだことを特徴とする付記1に記載の薬剤処方支援方法。
(付記3)前記代替薬剤選択工程による代替薬剤の選択によっても患者が摂取する薬剤および食事のカロリー値が制限カロリーを超える場合に、あらかじめ登録された患者の食事予定内容に対する変更依頼を送信する変更依頼送信工程をさらに含んだことを特徴とする付記2に記載の薬剤処方支援方法。
(付記4)前記警告工程により警告メッセージが出力された場合に、薬剤投与が実施されていない薬剤の投与量の変更を受け付ける薬剤投与量変更工程をさらに含んだことを特徴とする付記1に記載の薬剤処方支援方法。
(付記5)前記警告工程により警告メッセージが出力された場合に、患者に投与される薬剤の種類または投与量の変更依頼を受け付ける変更受付工程と、前記変更受付工程により薬剤の種類または投与量の変更依頼を受け付けた場合に、前記患者に投与される薬剤の種類または投与量を判定した担当医の端末装置を検索し、検索した端末装置に対して薬剤の種類または投与量の変更依頼情報を送信する薬剤変更依頼送信工程と、をさらに含んだことを特徴とする付記1に記載の薬剤処方支援方法。
(付記6)前記患者が食事により摂取するカロリー値は、あらかじめ登録された患者の食事予定内容から算出されたカロリー値と、食事予定内容に含まれる食事以外に患者が摂取した食事のカロリー値とに基づいて算出されることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の薬剤処方支援方法。
(付記7)患者の制限カロリーを記憶する制限カロリー記憶手段と、
患者に投与される薬剤の種類および投与量に基づいて患者が摂取する薬剤のカロリー値を算出するカロリー算出手段と、
前記カロリー算出手段により算出された薬剤のカロリー値と患者が食事により摂取するカロリー値との総和が前記制限カロリー記憶手段により記憶された患者の制限カロリーを超えた場合に警告メッセージを出力する警告手段と、
を備えたことを特徴とする薬剤処方支援装置。