JP4951663B2 - 水質の簡易分析器及びそれを用いた水質の分析方法 - Google Patents

水質の簡易分析器及びそれを用いた水質の分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、水質の簡易分析器とそれを用いた水質の分析方法に関する。
水質の分析は、例えば検査対象となる試料液を研究所や実験室などに持ち帰れば、備え付けの様々な装置を用いて高精度に分析することが可能である。しかし、下水処理場等の水処理施設や産業排水処理施設においては、適切な水処理設備の運転管理を行うために、その時点での水質状態の把握が求められる。そのため、試料液を採水後、現場で直ちに水質の分析結果を得る必要がある。また、試料液を持ち帰り分析するまでに時間を要するため、その間に試料液が腐敗したり、目的物質が分解する等、水質の変化が懸念される。このような要望に対応して、例えば特許文献1に記載の簡易分析具(パックテスト:登録商標)が広く用いられている。
このパックテスト(登録商標)とは、ポリエチレンチューブ内に特定の物質(目的物質)に反応して発色するように調合された発色試薬が密封された分析具である。使用時には、ポリエチレンチューブ端の溶着部に挟み込まれたライン(栓部材)を引き抜くことで内部との貫通穴を形成し、指でポリエチレンチューブを押しつぶして中の空気を押し出し、検査対象となる溶液をスポイトのように吸い込む。吸い込んだ検査対象の液体は試薬と化学反応し発色する。所定時間経過後に濃度毎に色分けされた色見本と目視で比較して、最も近い色に対応する数値を読み取り、検査対象の液体に含まれている目的物質の濃度を得ることができる。勿論、場合により、発色した検査対象の液体を取り出して、光度計などで読み取ることによって濃度を得ることもできる。
一方、疎水化処理を施した目的物質(ホルムアルデヒド)をメンブレンフィルターで濾過し、濾過後のメンブレンフィルター上の色彩を比色して、試料液中の目的物質の濃度を測定するための方法が提案されている(特許文献2)。
特許第4125603号公報 特開2007−218866号公報
しかしながら、パックテスト(登録商標)などの、チューブ内に封入されている試薬の発色は、モル吸光係数で決まっており、自在に発色感度を変化させることは不可能である。即ち、自ずと測定できる濃度範囲に限界があり、例えば一定以下の濃度では発色しない、あるいは発色しても極めてわずかであり、目視では勿論のこと光度計を用いても正確な測定は困難である。
また、特許文献2に記載された濃度測定方法においては、専用の器具や装置が存在しないことから、「液体中の異物を取り除く」という目的に従来から使用されてきたフィルターホルダー密閉型の濾過装置が用いられている。これは例えば、ネジ構造で2つに分離するフィルターホルダーによりメンブレンフィルターを挟持する構成となっている。そのため、現場での使用に際しては測定の都度、薄く破れやすいメンブレンフィルターをフィルターホルダーにセットしなくてはならない。そして、試料液を通液させた後、メンブレンフィルターの色を確認するにはフィルターホルダーを開けてメンブレンフィルターを取り出す必要がある。
また、シリンジ等で圧力をかけて通液する際に試料液がメンブレンフィルターから漏れてメンブレンフィルターとフィルターホルダーのわずかな隙間に通液する現象が生じ、濃度測定に誤差が生じるという問題があった。
さらに、目的物質が低濃度含まれている試料液の分析にあたっては、大量の試料液をメンブレンフィルターに通液する必要があり、試料液が大量に必要になると共に濾過に時間がかかり、効率のよい分析方法が要望されていた。
そこで本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、上記のような煩雑な前処理、後処理を不要とし、現場で簡単・迅速に試料液中に含まれる目的物質の濃度測定を可能とする簡易分析器およびこれを用いた分析方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の目的物質の濃度測定用の簡易分析器は、上流側の開口部を広口にするとともに上流側の開口部から下流側の開口部へと通過させる貫通孔と、前記貫通孔の途中に設けられる目的物質を吸着または捕集する濾過膜を有し、前記濾過膜は前記貫通孔の上流側の開口部から直視できるように表出され、前記貫通孔の上流側の開口部に嵌着して前記濾過膜の一部を閉塞して試料液を濾過膜の表出残部に供給する筒状の誘導部材を備えていることを特徴とする。
上記構成によれば、上流側の開口部に嵌着する誘導部材を通じて試料液が濾過膜の表出残部に単位面積あたり濃縮された状態で供給される。供給された試料液中の目的物質は濾過膜の表出残部上に吸着または捕集される。吸着または捕集された目的物質の発色は上流側の開口部から確認でき、目的物質の濃度が測定される。
また、本発明の簡易分析器は、誘導部材の前記濾過膜に接する内周側端面は突出したリング状に形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば誘導部材の突出した先端面が濾過膜の内径側をリング状に押圧することにより、試料液が誘導部材の内周側のみに供給され、試料液中の目的物質が当該部分のみで濃縮される。
さらに、本発明の簡易分析器は、前記濾過膜はメンブレンフィルターを有することを特徴とする。
上記構成によれば、メンブレンフィルターに目的物質が吸着または捕集される。
さらに、本発明の簡易分析器は、前記メンブレンフィルターの材質がセルロース混合エステル、酢酸セルロース、ポリウレタンフォーム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ろ紙である。
上記構成によれば、メンブレンフィルターとして最適なものが選択される。
さらに、本発明の簡易分析器は、前記試料液は、目的物質の疎水化処理、沈殿化処理又は発色処理のうち、少なくとも1つ以上の処理が施されていることを特徴とする。
上記構成によれば、目的物質又は目的物質由来の生成物が、濾過膜上に吸着又は捕集されて、試料液が供給された部分の濾過膜が着色するように、試料液に処理が施される。
さらに、本発明の簡易分析器は、前記目的物質は、りん酸、けい酸、ホルムアルデヒド、ニッケル、クロロフィルa、鉄、マンガン、銅、クロム、アルミニウム、鉛、アンモニウム、亜硝酸、硝酸、残留塩素、ふっ素、遊離シアン、硫化物、ヒドラジン、フェノールである。
上記構成によれば、濃度測定対象物質として最適なものが選択される。
また、本発明の目的物質の分析方法は、上記簡易分析器を使用して、前記濾過膜の色の変化および濃淡により試料液中の目的物質の濃度を測定する方法である。
上記構成によれば、複雑な工程からなる測定方法や定量分析装置を必要とせず、容易に目的物質濃度が測定される。
また、本発明の目的物質の分析方法は、上記簡易分析器を使用して、前記濾過膜の色の変化および濃淡は比色部材と比較することで目視で確認され、前記比色部材が目的物質の測定濃度に応じて配列される複数の色表示部と、各色表示部のほぼ中央に設けられた前記簡易分析器本体の外形を受容する嵌着孔とを備え、該嵌着孔に受容された前記簡易分析器本体の広口の開口部から直視される濾過膜と周囲の色表示部とが隣接して直接比色されることを特徴とする。
上記構成によれば、濾過膜と濃度比色部材の色表示部とを最大限に接近させ、ほぼ同一面上から比色する。色表示部の中央に設けられている嵌着孔に簡易分析器本体を受容させることができるため、簡易分析器の貫通孔の途中の濾過膜を色表示部の中央に位置決めして比色することが可能となる。また、濃度比色部材の色表示部の奥行き方向と濾過膜の奥行き方向とを合わせることができるため、略同一平面上での焦点距離を一致させた比色が可能となり、より正確で迅速な直接対比判断が可能となる。
なお、「上流」、「下流」という表現を用いているが、これは簡易分析器使用時における試料液の流れに基づいた表現である。即ち、試料液が供給される側が「上流」側となり、試料液が回収される側が「下流」側となる。
本発明の簡易分析器によれば、簡易迅速に目的物質の濃度測定が可能な現場携帯用分析器を提供することができる。予め、試料中の目的物質を吸着または捕集する濾過膜が簡易分析器内に備えられているので、測定にあたってメンブレンフィルターをピンセットで摘んでフィルターホルダーに挟み込んでセッティングする等の手間は不要であり、現場でこの簡易分析器を用いて直ちに試料液を通液して迅速に濃度測定をすることができる。その際に、上流側の広口の開口部を通して表出する濾過膜を直視できるため、メンブレンフィルターを取り出すことなく直ちに色見本と比色したり、反射計で計測して目的物質の濃度を決定できるようになっている。
さらに、上流側の開口部に誘導部材を嵌着させて試料液を供給することにより、効率よく試料液中の目的物質を濾過膜上に濃縮して吸着または捕集することができる。誘導部材の試料液供給部の内径を変更することにより、濾過膜の単位面積あたりの試料液の供給量を調整でき、目的物質の測定濃度範囲が広くなる。
また、誘導部材を濾過膜上に嵌着すると、濾過膜の浮きやシワを防止すると共に、濾過膜の周縁部からの試料液の漏れを防ぐことができる。誘導部材により濾過膜上の試料液が供給された表出残部と試料液が供給されなかった閉塞部分の色を比較することにより、目的物質の存在の有無を容易に判断できると共に、濾過膜の色の変化を確認しながら試料液の供給量を調整することができる。
また、濾過膜は目的物質の存在による色の変化を目視で確認できるだけの面積があればよいため、濾過膜の大きさを小さくすることができる。その結果、簡易分析器も小さく成形できるため、現場への持ち運びが容易であり、現場での作業も容易となる。
また、本発明の分析方法により、装置や測定機器なしに迅速に現場で試料液中の目的物質濃度を測定することができる。貫通孔の途中に濾過膜を備え、広口の開口部から直視可能な、すなわち、立体的な簡易分析器を用いた場合でも、簡易分析器を濃度比色部材の嵌着孔に受容させて濾過膜と色表示部との直接対比を同一焦点距離から迅速かつ正確に実施することができる。
本発明の実施形態の一例である簡易分析器を示す斜視図。 同簡易分析器の要部拡大断面図。 誘導部材を外した簡易分析器の斜視図。 誘導部材を外した簡易分析器の一部切欠分解斜視図。 簡易分析器の第2実施例を示した斜視図。 簡易分析器を用いて構成した簡易測定システムの概略斜視図。 本発明の簡易測定システムを使用して目的物質の濃度を測定する比色工程を示す斜視図。 比色工程の要部拡大断面図。 実施例3のニッケルの濃度測定結果及び比色を示す写真 実施例5のりん酸の濃度測定結果を示す写真 実施例7のクロロフィルaの濃度測定結果及び比色を示す写真
以下、本発明の実施形態の目的物質の簡易分析器及びそれを用いた目的物質の分析方法について図面を参照しつつ説明する。
<簡易分析器の構成>
図1、図2に示すように、簡易分析器1は、貫通孔12を有するフィルターユニット10にこの貫通孔12の途中に設けられた目的物質を吸着または捕集する濾過膜20と、フィルターユニット10に嵌着して試料液を供給する筒状の誘導部材100を備えている。本実施形態では、濾過膜20は基礎濾過材20aとメンブレンフィルター20bから構成されている。なお図1、図2では、上方が上流側、下方が下流側である。
図1〜図4に示すように本実施形態におけるフィルターユニット10は、上下に伸びる貫通孔12を有した筒状体であり、合成樹脂材などで一体成形される。このフィルターユニット10は、上下方向のほぼ1/3程度の上位の外周面には全周に渡って鍔部16が張り出されている。フィルターユニット10の外周面は、鍔部16を境に大径部11と円錐部13に区分でき、鍔部16より上流側が鍔部16から略垂直に立ち上がる大径な円筒形状の大径部11が設けられ、大径部11の上流側端部には広口の開口部17が開口されている。一方、下流側(図1及び図4において下側)は、下方向に向かって外径が徐々に減縮する円錐部13が設けられ、円錐部13の下流側端部には開口部18が開口されている。下流側の開口部18は狭口に開口されている。また、鍔部16よりも僅かに上流側の外周面には、全周に渡って突起部14が形成されている。フィルターユニット10は現場に簡易に携帯できる大きさに成形され、広口の開口部幅W2は目視で濾過膜20の色の変化等を確認できる程度の大きさであればよい。濾過膜20の色の変化等を確認するには、試料液が供給されて色が変化する部分αの直径は2.5mm以上必要である。視認性を高めつつ、簡易分析器1を現場に携帯できる大きさとするために、広口の開口部幅W2は2.5mm〜10mmが望ましい。特に限定されないが、本実施形態ではこのフィルターユニット10の全長L1は約16mm、全幅W1は約11mm、広口の開口部幅W2は約7mmとなっている。なお、フィルターユニット10は樹脂材料以外で構成されていてもよく、例えば、金属や陶器などでも構成することができる。
前記貫通孔12は、上流側の開口部17から下流側の開口部18に向かう途中には段部12cがリング状に張り出しされている。上記段部12cの上流側では、ほぼ垂直状の大径孔部12bが外方から直視可能な程度の広口に開口され、大径孔部12bの上端ではテーパ状に拡開する第1テーパ孔部12aが設けられている。また、前記段部12cから下流側の内周面は、テーパ状に貫通孔12の径が絞られて第2テーパ孔部12dが形成され、この第2テーパ孔部12dより下流側は貫通孔12の内径が細くなる小径孔部12eが設けられている。上述の通り、第1テーパ孔部12a、大径孔部12b、段部12c、第2テーパ孔部12d、小径孔部12eが連通して全体として貫通孔12を構成している。
前記貫通孔12の段部12cには、円盤形状の連続多孔質膜からなる基礎濾過材20aが配置され、この上に円盤形状のメンブレンフィルター20bが配置されている。従って、貫通孔12を上流側から見ると、濾過膜20の表面全体を広口の開口部17を介して直接視認することができる構成となっている。
前記基礎濾過材20aの下面外縁は段部12cに密着され、かつ、外周面が大径孔部12bの内周面に全周に渡って密着している。基礎濾過材20aは、本実施形態においては例えばポリエチレンなどの合成樹脂材やガラス繊維材料が焼結されて構成されている。特に限定されないが、基礎濾過材20aの厚さは2〜5mm程度が望ましい。
また、本実施形態のように濾過膜20を2層構造とした場合、基礎濾過材20aは濾過膜であると同時にメンブレンフィルター20bを適切に保持する役割を担っている。しかし、メンブレンフィルター20bを適切に保持できれば、必ずしも基礎濾過材20aは焼結フィルターである必要はなく、例えば微細なメッシュを利用することも可能である。
メンブレンフィルター20bは前記基礎濾過材20aの上に配置され、基礎濾過材20aを全面に渡って覆っている。メンブレンフィルター20bは、目的物質または目的物質由来の生成物を前記フィルター20b上に吸着または捕集できればよく、その材質は、セルロース混合エステル、酢酸セルロース、ポリウレタンフォーム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ろ紙などが挙げられ、測定対象となる目的物質の特性又は試料液に施された疎水化処理若しくは沈澱化処理方法によって適宜選択される。特に限定されないが、メンブレンフィルターの材質の選択の一例を挙げると、モリブデンブルー法(分析化学,33,453,1984年)により発色後、疎水化処理されたリン酸又はケイ酸についてはセルロース混合エステル製が望ましく、MBTH法(特開2007−218866号公報)により発色後、疎水化処理されたホルムアルデヒドについては、セルロース混合エステル製が望ましく、α−フリルジオキシム法(Chem.Lett.,37,7,2008年)により沈澱化処理されたニッケルについては、酢酸セルロース製が望ましく、ナフチルエチレンジアミン法(工業用水,433,2,1994年)により発色後、疎水化処理された亜硝酸イオンについてはセルロース混合エステル製が望ましい。
なお、上記では濾過膜20は、基礎濾過材20aとメンブレンフィルター20bの2層構造となっているが、必ずしもこの構成が必須のものではない。例えば基礎濾過材20a単独で目的物質又は疎水化処理若しくは沈殿化処理された目的物質等を基礎濾過材20aの上に吸着または捕集することができるのであれば、濾過膜20は基礎濾過材20a単層の構成であってもよい。
誘導部材100は、試料液を濾過膜20の表出残部に供給し、濾過膜20への単位面積あたりの試料液の供給量を変化させることのできる部材である。図1、図2に示すように、本実施形態においては試料液が通過する中空部100aが形成された筒状(パイプ状)の部材として構成され、一端に簡易分析器1の大径孔部12bに強制嵌合し得る小径部100bが縮径され、縮径部位に段差面100cが位置している。筒状には、円筒状、角筒状及び拡開した筒状、すなわちラッパ状が含まれる。また、小径部100bの先端には、先端面100dと内周側を突出した凸部100eの端面がリング状に形成されている。誘導部材100の小径部100bを簡易分析器1の大径孔部12bに嵌め込んでいくと、段差面100cにフィルターユニット10の上流側端面10aが当接して位置決めされる構成となっている。このとき、誘導部材100の先端面100dは濾過膜20の表面の周縁部を押圧するように密着できる構成とされている。その際に、前記先端面100dの内周側では凸部100eがリング状に濾過膜20をさらに押圧している。リング状には、円形状(環状)、楕円状、角型状が含まれる。先端面100dからの凸部100eの高さは、濾過膜の厚みによるが、たとえば0.2mm〜2mm程度が望ましい。
誘導部材100の中空部100aの開口面積は濾過膜20の表面積よりも小さくなっているので、この誘導部材100を簡易分析器1の大径孔部12bに接続することで、試料液の通過を濾過膜20の表面の一部に絞り込み、単位面積当たりの濃縮度合いを変化させることが可能となる。例えば、中空部100aの内径d1がそれぞれ異なる複数の誘導部材100をシリーズとして揃えておくことで、濃縮レベルを適宜調整することができる。換言すれば、試料液が貴重で大量に確保できない場合でも濃縮レベルを確保できるので、濃度測定が可能となることを意味している。
中空部100aの内径d1は試料液の供給量と濾過にかかる時間の関係から5mm以下が望ましく、濾過膜20の着色を目視で容易に確認するために2.5mm以上が望ましい。具体的には、内径d1が3mmであった場合、単位面積あたりの濾過量を500ml/cmとするには、試料液は35mlと少量で足りる。
また、誘導部材100は、中空部100aに試料液が通液されるため、濾過膜20の周縁部と大径孔部12bの間の僅かな隙間(必ず隙間が生じているということを意味しない)γから試料液が通過することを阻止することができる。本実施形態の誘導部材100は凸部100eが隙間γより内周側で濾過膜20をさらに押圧しており、外周側への浸透拡散をさらに阻止できる構造となっている。
さらに、誘導部材100を用いると、濾過膜20の表面に試料液が通過する中心部αと試料液が通過しない円環部βが形成される(図3参照)。そのため、濾過膜20の地色がそのまま残る部分(円環部β)ができ、簡易分析器単体でも発色の有無を容易に確認することが可能となる。即ち、試料液中の目的物質の有無の判断に限れば、色見本などを用いずとも簡易分析器1単独で行うことができる。
さらに、誘導部材100を装着するということは、単に試料液の濃縮レベルを調整するのみならず、濾過膜20の脱落防止の機能も発揮する。また、濾過膜20が基礎濾過材20aの上にメンブレンフィルターを積層して構成されている際には、誘導部材100で押圧することにより、試料液の供給による膜のめくれを防止し、膜の浮きやヨレなどの型崩れを防止するという機能も発揮する。
なお、誘導部材100は、簡易分析器1について脱着できる構造としても、脱着できない構造(嵌め殺し構造、一体成形構造)としてもよい。誘導部材100が脱着できない構造とした場合にはもちろん、脱着できる構造とした場合においても、誘導部材100部分を無色透明の樹脂等とすることで、簡易分析器1から誘導部材100を外さずに迅速に比色分析を行うことができる。
また、誘導部材100は上記のようにパイプ状のものに限られず、例えば図5に示しているようにいわゆるドーナツ形の誘導部材110として構成してもよい。このような構成とすれば、誘導部材110全体を簡易分析器1の大径孔部12bの中に納めておくことができ、コンパクトに構成できる。
試料液に含まれる目的物質は濾過膜20上に吸着又は捕集されて、その目的物質の有する色により濾過膜20が着色する。特に限定されるものではないが、一例として、クロロフィルa濃度測定について説明すると、試料液である湖沼等の環境水を濾過膜20上に供給すると植物プランクトン類が濾過膜20上に捕集され、植物プランクトンが有するクロロフィルaの色により濾過膜が着色する。
一方、目的物質が無色である場合、又は有色の目的物質であっても着色の視認性を高めるために、試料液中の目的物質に発色処理を施すことができる。また、濾過膜20に吸着等され難い目的物質を含む試料液については、試料液に疎水化処理又は沈澱化処理を施すことができる。このとき、濾過膜20上に吸着又は捕集される物質は目的物質そのものだけではなく、目的物質を含む錯体や、イオン会合体、目的物質の二次産物など目的物質由来の生成物も含まれる。
目的物質の発色処理とは、特に限定されるものではないが、試薬の添加等により有色化合物を生成させるような処理をいい、一例として、ニッケル濃度測定のためのα−フリルジオキシム法においては、ニッケルイオンを含む試料液にα−フリルジオキシムを添加すると、オレンジ色のニッケルイオンとの錯体が形成する(Chem.Lett.,37,792,2008年)。
目的物質の疎水化処理とは、特に限定されるものではないが、界面活性剤やオクタデシルシリル化シリカゲル、イオン交換樹脂などを添加する例などが挙げられる。一例として、疎水化処理と発色処理を含む処理であるが、ホルムアルデヒド濃度測定のためのMBTH法について説明すると、試料液に一定量の3−メチル−2−ベンゾチアゾロンヒドラゾン(MBTH)を添加して試料液中に含まれるホルムアルデヒドをアジンに変化させる。その後塩化鉄(III)溶液を加え、ホルムアルデヒド由来のアジンを青色陽イオン色素にし、未反応のMBTHを酸化型MBTHとする。これらにテトラフェニルほう酸ナトリウムを加えると、青色陽イオン色素とテトラフェニルほう酸ナトリウムとのイオン会合体(青色)と酸化型MBTHとテトラフェニルほう酸ナトリウムとのイオン会合体(黄色)が生じる。これらのイオン会合体は疎水性であり、試料液中に浮遊し、濾過膜20上に通液すると濾過膜20上に捕集される(特開2007−218866号公報)。
また、目的物質の沈澱化処理とは、特に限定されるものではないが、共沈剤の添加やpHの変化による沈澱生成、塩析などが挙げられる。一例として、沈澱化処理と発色処理を含む処理であるが、ニッケル濃度測定のためのα−フリルジオキシム法について説明すると、試料液に一定の、α−フリルジオキシムを添加して試料液中に含まれるニッケルイオンとの錯体を形成させる。このオレンジ色の錯体は沈澱を形成し、濾過膜20上に通液すると濾過膜20上に効果的に吸着する(Chem.Lett.,37,792,2008年)。
なお、目的物質の疎水化処理、沈澱化処理、発色処理はいずれか1つでも、2つ以上組み合わせてもよく、目的物質と濾過膜の特性により処理を選択することができる。
目的物質は特に限定されないが、環境水や上水、下水、排水等中の水質分析や水検査の対象、水管理の指標として用いられる物質が挙げられ、例えば、りん酸、けい酸、ホルムアルデヒド、ニッケル、クロロフィルa、鉄、マンガン、銅、クロム、アルミニウム、鉛、アンモニウム、亜硝酸、硝酸、残留塩素、ふっ素、遊離シアン、硫酸、硫化物、ヒドラジン、フェノール、銀、金、ほう素、カルシウム、塩化物、二酸化塩素、過酸化水素、マグネシウム、オゾン、パラジウム、亜硫酸、亜鉛、バリウム、カリウムなどが挙げられる。
<簡易分析器を利用した目的物質の簡易測定システム>
次に、上記説明した簡易分析器1を用いて、目的物質の濃度を簡易に測定するシステムについて説明する。
簡易分析は、図6に示している簡易測定システムによって実現される。簡易測定システムは、試料液に含まれる目的物質又は目的物質由来の生成物を濾過膜20に吸着又は捕集して濾過膜20上で目的物質の存在を可視化する可視化手段と、この可視化手段により可視化された目的物質又は目的物質由来の生成物の色を識別する識別手段を備えて構成されている。
可視化手段は、たとえば、目的物質の疎水化処理、沈澱化処理又は発色処理のうち、選択されたものが施された試料液を入れるビーカー(容器)50と、濾過膜20を通過した試料液が回収されるシリンジ30と、これらビーカー50とシリンジ30とを繋ぐ接続チューブ40と、これら接続チューブ40の端部に連通接続される簡易分析器1を有してなる。具体的には、シリンジ30のノズル部32に接続チューブ40の一端が被嵌接続され、他端が簡易分析器1の円錐部13に接続される。接続チューブ40としては柔軟性を有する熱可塑性樹脂製の筒状体が望ましく、ノズル部32や円錐部13のテーパ部分への押し込みによって密着する。また、簡易分析器1の大径孔部12bには、図示するように誘導部材100を嵌合し、誘導部材100の先端部分を試料液に開放する。
シリンジ30は、一般に市販されている様々なシリンジを利用することができる。特に限定されないが、具体的には試料液の吸引速度をほぼ一定にでき、吸引に手間がかからない観点から、シリンジ内部のシリンダー位置を固定できるストッパー付きシリンジ(藤原製作所製など)が望ましい。
また、可視化手段においては、試料液をシリンジに一定容量入れ、シリンジ30のノズル部32と簡易分析器1の大径孔部12bを誘導部材100を用いて接続する構成としてもよい。シリンジ30により、試料液は押し込まれて簡易分析器1に供給され、濾過膜20に供給される。
一方、識別手段は、可視化手段により可視化された目的物質又は目的物質由来の生成物の色を比べるための濃度比色部材90を用いてなる。濃度比色部材90は、目的物質又は目的物質由来の生成物の濃度に応じて段階的に並べて配列された複数の色表示部92と、この色表示部92に対応する濃度表示94とを備えている。濃度比色部材90は、図示するシート状を呈し、それぞれの色表示部92の中央には、簡易分析器1の大径部11を嵌着させるための嵌着孔96が形成されている。そのため色表示部92は、嵌着孔96を取り囲むような環状の態様が基本となる。色表示部92の色は、予め濃度が既知の試料液を利用して発色を確認して作成されている。
前記色表示部92は離間して配列され、例えば、目的物質の濃度に応じて配列される。より具体的には、左右方向(X方向)、つまり左側から右側に向かうに従って目的物質の濃度が高くなるように濃度表示94が配列され、これに応じて色表示部92の色も低濃度を示す淡色から高濃度を示す濃色へと順に濃くなっている。
なお、識別手段としては、濃度比色部材90を用いるほかに、反射計等を用いて濾過膜20の着色又は発色の濃淡(強度)を確認し、目的物質の濃度を測定することもできる。
<簡易測定システムを用いた測定方法>
続いて、上記簡易測定システムを用いた具体的な測定方法について手順に沿って説明する。
目的物質の濃度の測定方法の概要は、簡易分析器1の濾過膜20上に目的物質の疎水化処理、沈澱化処理又は発色処理のうち、選択されたものが施された試料液を供給し、目的物質又は目的物質由来の生成物を濾過膜20上に吸着又は捕集する。濾過膜20の着色又は発色の濃淡(強度)を確認し、目的物質の濃度を測定する。目的物質の濃度と、色の濃淡には相関関係が成り立つので、目的物質の濃度は、予め濃度が既知の試料を用いて作成した濃度比色部材90の色表示部92の色と目視により比較することで判定することができる。
最初に、試料液について、適宜目的物質の疎水化処理、沈澱化処理又は発色処理を行う。ビーカーなどの容器50に上記処理を行った試料液を入れ、誘導部材100の下端を浸した状態でシリンジ30のピストンを引き、試料液を吸い上げる(図6参照)。これにより、試料液は、簡易分析器1の貫通孔12を通ってシリンジ30側へと移動する。シリンジ30はピストンを定速で所望距離だけ操作して一定容量を供給し、一定容量の試料液中に含まれる目的物質又は目的物質由来の生成物は濾過膜20に吸着又は捕集される。
その後、接続チューブ40からシリンジ30を取り外し、シリンジ30内に回収された濾過液を廃棄する。
次に、図7に示すように、簡易分析器1を誘導部材100と接続チューブ40から取り外し、濾過膜20の表面上にできたスポット(吸着又は捕集された目的物質又は目的物質由来の生成物による着色部分)を濃度比色部材90の色表示部92と比較する。比較した結果、最も近いものに対応している濃度表示94が試料液に含まれている目的物質の濃度となる。
なお、ブランク試料が無着色である場合には、上記スポットと誘導部材100により閉塞されて試料液が供給されなかった部分との発色を比較することにより、試料液中の目的物質の存在の有無は直ちに確認される。
濃度比色部材90の色表示部92にはそれぞれ嵌着孔96が設けられているため、この嵌着孔96に簡易分析器1の大径部11を嵌め込んで嵌着させる。このとき、フィルターユニット10の外周には鍔部16が形成されていることから、この鍔部16が濃度比色部材90の下面に当接した状態で上面が突起部14で挟み込みされるので、嵌着孔96に嵌着した簡易分析器1が位置決めされる(図8参照)。またこの鍔部16は、濾過膜20の位置とほぼ揃った位置に形成されていることから、鍔部16にて位置決めされると、濃度比色部材90上の色表示部92と濾過膜20の表面との高さ方向がある程度揃い、より正確な比色が可能となっている。特に、濾過膜20の表面と色表示部92とが接近しているので、比色が迅速かつ正確に実施される。また、簡易分析器1を濃度比色部材90の下側から嵌着するのではなく、上側から嵌めてもよい。即ち、フィルターユニット10の円錐部13を嵌着孔96へ落とし込み挿入して比色することも可能であり、この場合には開口部17の濾過膜20の発色と鍔部周囲の色表示部92とを対比して比色する。
濾過膜20の単位面積あたりに吸着又は捕集される目的物質の総量は、試料液の供給量に比例するため、試料液の供給量が大きいほど吸着又は捕集される目的物質量が増大し、より低濃度が測定できる。
試料液の量は、濾過処理にかかる時間の観点から、0.5ml〜200mlが望ましい。
また、簡易測定システムを用いて、目的物質の測定を行う際に、試料液に共存する他の金属イオンにより妨害を受けることがある。そのようなことが懸念される場合には、これを防ぐため、試料液の中に、共存金属と錯体を形成するマスキング試薬を加えておくことによって妨害を排除することができる。例えば共存し得る金属イオンとして、Na+、K+、Ca(II)、 Mg(II)、Fe(II)、Fe(III)、Cu(II)、Zn(II)などがある。これらの金属イオンのマスク剤として、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン、アセチルヒドロキサム酸、アミノ酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられ、これらを単独ないし、必要により二種類以上を組み合わせて用いるとよい。
なお、試料液70中に浮遊物や懸濁物質がある場合には、濾過膜20に付着して詰まりや着色ムラの原因となりやすいため、あらかじめ、メッシュやフィルターで上記浮遊物等を取り除いておくことが望ましい。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態が技術的範囲に含まれるものである。
本発明の実施にあたり、フィルターユニットは、図1〜図4に示す全長約16mm、全幅約11mm、広口の開口部幅約7mmであり、ポリプロピレン樹脂製のものを用いた。基礎濾過材はフィルターユニット内でポリエチレン粉末を焼結させて得た。メンブレンフィルターは直径7mm、孔径8μm、厚さ110μmのセルロース混合エステル製の円盤状メンブレンフィルターを用い、基礎濾過材の上に載せた。また、誘導部材は図3に示す全長30mm、外形幅8mm、内径3mm、ポリプロピレン樹脂製のものを用いた。
1.ニッケルの簡易分析
<ニッケルの発色処理および沈殿化処理>
ニッケルイオンが30ppb及び100ppb含まれる各々の試料液1.5mlに、クエン酸アンモニウム3mgを添加し、さらにアンモニア水でpH4〜6に調整した。そこに、アラビアゴム1.5mg、1,2−シクロヘキサンジオンジオキシムを0.12mg添加して、1,2−シクロヘキサンジオンジオキシム−ニッケルの桃色の沈澱錯体を形成させた。
<ニッケルの簡易分析および比色>
ビーカーに実施例2で得た試料液を準備し、試料液をシリンジ内に吸い上げた。実施例1で得た簡易分析器の大径孔部に誘導部材を嵌めこみ、誘導部材と上記のシリンジを接続した。シリンジのピストンを一定速度で押し試料液を簡易分析器に1.5ml導入した。濾過膜の濾過面積は0.07cm(直径3mm)であり、単位面積あたりの濾過量は21ml/cmであった。また、この1.5mlの吸引濾過にかかった時間は1分ほどであった。
誘導部材を大径孔部から取り外し、広口の開口部より濾過膜を見ると、誘導部材により試料液が供給された部分が丸く桃色に着色していた。(この着色を図9に示す。)簡易分析器の大径部をあらかじめ作成した濃度比色部材の嵌着孔に嵌めこみ、色表示部と濾過膜上の着色を比色したところ(比色の状況を図9に示す。黒い円部分は簡易分析器を嵌めこんでいない嵌着孔を示す)、試料液各々中のニッケルイオン濃度は約30ppb及び約50ppbと判定できた。
2.りん酸の簡易分析
<りん酸の発色処理および疎水化処理>
りん酸イオンが5ppb、10ppb、20ppb、50ppb含まれる各々の試料液25mlに、JIS K 0102 46.1.1、46.1.2(1998)の記載に従い、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物、硫酸、L(+)−アスコルビン酸を添加し、青色のモリブデン青を形成させた。
<りん酸の簡易分析>
ビーカーに実施例2で得た試料液のうち5mlを移し、0.25mgのベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライド・2水和物を添加した。実施例1で得た簡易分析器の大径孔部に誘導部材を嵌めこみ、誘導部材とシリンジを接続した。誘導部材先端をビーカーの試料液に入れ、シリンジのピストンを一定速度で引き上げ、試料液を簡易分析器に5ml導入した。濾過膜の濾過面積は0.07cm(直径3mm)であり、単位面積あたりの濾過量は71ml/cmであった。
誘導部材を大径孔部から取り外し、広口の開口部より濾過膜を見ると、誘導部材により試料液が供給された部分が丸く青色に着色し、5ppbの試料液から明確な青い着色が認められた(この着色を図10に示す。)青色の着色はりん酸イオン濃度が高くなるにつれて一定の割合で濃くなった。
3.クロロフィルaの簡易分析
本発明の実施にあたり、フィルターユニットと誘導部材は、実施例1と同じものを用いた。基礎濾過材はフィルターユニット内でポリエチレン粉末を焼結させて得た。メンブランフィルターは直径7mm、孔径0.65μm、厚さ110μmのセルロース混合エステル製の円盤状メンブランフィルターを用い、基礎濾過材の上に載せた後、蒸留水を通液させて密着させた。
<クロロフィルaの簡易分析および比色>
クロロフィルa濃度にして約2ppb及び約5ppbの植物プランクトンが含まれる各々の試料液を約20ml用意した。
実施例6で得た簡易分析器の大径孔部に誘導部材を嵌めこみ、円錐部とシリンジを接続チューブを用いて接続した。ビーカーに試料液を入れ、誘導部材の下端を各種試料液に入れてシリンジのピストンを一定速度で引き上げ、10ml吸引した。濾過膜の濾過面積は0.07cm(直径3mm)であり、単位面積あたりの濾過量は142ml/cmであった。また、この10mlの吸引濾過にかかった時間は2〜3分であった。
誘導部材を大径孔部から取り外し、広口の開口部より濾過膜を見ると、誘導部材により試料液が供給された部分が丸く緑色に着色していた。(この着色を図11に示す。)簡易分析器の大径部を濃度比色部材の嵌着孔に嵌めこみ、色表示部と濾過膜上の着色を比色したところ(比色の状況を図11に示す。黒い円部分は簡易分析器を嵌めこんでいない嵌着孔を示す)、約2ppb及び約5ppbと判定できた。
1…簡易分析器
2…簡易測定システム
10…フィルターユニット
10a…フィルターユニット10の上流側端面
11…大径部
12…貫通孔
12a…第1テーパ孔部
12b…大径孔部
12c…段部
12d…第2テーパ孔部
12e…小径孔部
13…円錐部
14…突起部
16…鍔部
17…広口の開口部
18…下流側の開口部
20…濾過膜
20a…基礎濾過材
20b…メンブレンフィルター
30…シリンジ
32…ノズル
40…接続チューブ
50…容器
90…濃度比色部材
92…色表示部
94…濃度表示
96…嵌着孔
100,110…誘導部材
100a…中空部
100b…小径部
100c…段差面
100e…凸部
100d…先端面
L1…フィルターユニット10の全長
W1…フィルターユニット1の全幅
W2…広口の開口部17の幅
d1…誘導部材の中空部100aの内径
α…試料液が通過する中心部
β…試料液が通過しない円環部
γ…濾過膜20の周縁部と大径孔部12bの間の僅かな隙間

Claims (9)

  1. 上流側の開口部を広口にするとともに上流側の開口部から下流側の開口部へと試料液を通過させる貫通孔と、前記貫通孔の途中に設けられ、前記試料液中の目的物質を吸着または捕集する濾過膜を有し、前記濾過膜は前記貫通孔の上流側の開口部から直視できるように表出され、前記貫通孔の上流側の開口部に脱着可能に嵌着して前記濾過膜が表出する一部を閉塞して前記試料液を濾過膜の表出残部に供給する筒状の誘導部材を備えており、前記誘導部材には前記試料液が通過する中空部が形成され、該中空部の開口面積は前記濾過膜の表出する面積よりも小さくなっており、前記試料液通過後、前記濾過膜の地色が円環状に残るように構成されていることを特徴とする目的物質の濃度測定用の簡易分析器。
  2. 前記誘導部材の前記濾過膜に接する内周側端面は突出したリング状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の簡易分析器。
  3. 前記濾過膜は、メンブレンフィルターを有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の簡易分析器。
  4. 前記メンブレンフィルターの材質がセルロース混合エステル、酢酸セルロース、ポリウレタンフォーム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート又はろ紙である請求項3記載の簡易分析器。
  5. 前記試料液は、目的物質の疎水化処理、沈殿化処理又は発色処理のうち、少なくとも1つ以上の処理が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の簡易分析器。
  6. 前記目的物質は、りん酸、けい酸、ホルムアルデヒド、ニッケル、クロロフィルa、鉄、マンガン、銅、クロム、アルミニウム、鉛、アンモニウム、亜硝酸、硝酸、残留塩素、ふっ素、遊離シアン、硫化物、ヒドラジン又はフェノールである請求項1〜5のいずれか一項に記載の簡易分析器。
  7. 前記濾過膜の色の変化および濃淡により試料液中の目的物質の濃度を測定する方法であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の簡易分析器を使用する目的物質の分析方法。
  8. 前記濾過膜の色の変化および濃淡は比色部材と比較することで目視で確認され、前記比色部材が目的物質の測定濃度に応じて配列される複数の色表示部と、各色表示部のほぼ中央に設けられた前記簡易分析器本体の外形を受容する嵌着孔とを備え、該嵌着孔に受容された前記簡易分析器本体の広口の開口部から直視される濾過膜と周囲の色表示部とが隣接して直接比色されることを特徴とする請求項7記載の目的物質の分析方法。
  9. 前記色表示部が前記目的物質の濃度に応じて配列されていることを特徴とする請求項8記載の目的物質の分析方法。
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