以下、本発明について詳細に説明する。
〔アゾ色素〕
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年 L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明の一般式(I)及び(1)〜(6)で表される化合物はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
本発明におけるアゾ色素は前記一般式(I)及び(1)〜(6)で表されるアゾ色素である。
以下、一般式(I)について詳細に説明する。
式中、Gはヘテロ環基を表し、nは1〜3の整数を表す。
nが1の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは一価の基を表し、括弧内で示されるモノアゾ色素を表す。
nが2の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは一価または2価の置換基を表す。但し、少なくとも1つは2価の置換基を表し、括弧内で示される色素のビス型アゾ色素を表す。
nが3の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは一価、2価または3価の置換基を表す。但し、少なくとも二つが2価の置換基を表すか、または、少なくとも1つが3価の置換基を表し、括弧内で示される色素のトリス型アゾ色素を表す。
以下に、前記一般式(I)について更に詳しく説明する。
一般式(I)中、Gの好ましい置換基例は、5〜8員ヘテロ環基が好ましく、その中でも5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環基が好ましく、それらは更に縮環していてもよい。更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。
前記Gで表されるヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリン、スルホランなどが挙げられる
前記ヘテロ環基が、更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げたような置換基を更に有してもよい。
炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性及びインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
一般式(I)中、Q、R、X、Y及びZの好ましい置換基例を詳細に説明する。
Q、R、X、Y及びZが一価の基を示す場合、一価の基としては、水素原子、または一価の置換基を表す。一価の置換基を更に詳しく説明する。この一価の置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基)、アシルアミノ基(アミド基)、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、アゾ基、またはイミド基を挙げることができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
中でも特に好ましいものは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基であり、特に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはヘテロ環基が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、またはアルキルスルホニル基が最も好ましい。
以下に、前記Q、R、X、Y及びZを更に詳しく説明する。
Q、R、X、Y及びZで表されるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。中でも塩素原子、または臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル基は、置換もしくは無置換のアルキル基が含まれる。置換又は無置換のアルキル基は、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、およびハロゲン原子、スルホ基(塩の形でもよい) またはカルボキシル基(塩の形でもよい)が好ましい。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノエチルまたは4−スルホブチルを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるシクロアルキル基は、置換もしくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換基又は無置換のシクロアルキル基は、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記シクロアルキル基の例にはシクロヘキシル、シクロペンチル、または4−n−ドデシルシクロヘキシルを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアラルキル基は、置換もしくは無置換のアラルキル基が含まれる。置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アラルキルの例にはベンジルおよび2−フェネチルを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。好ましくは炭素数2−30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテンー1−イル、2−シクロヘキセンー1−イルなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキニル基は、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル、またはプロパルギルを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリール基は、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、またはo−ヘキサデカノイルアミノフェニルである。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。
Q、R、X、Y及びZで表されるヘテロ環基は、5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、それらは更に縮環していてもよい。更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシ基は、置換もしくは無置換のアルコキシ基が含まれる。置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、炭素原子数が1〜30のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシおよび3−カルボキシプロポキシなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシ基は、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるシリルオキシ基は、炭素数3から20のシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるで表されるヘテロ環オキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環オキシ基の例には、例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアシルオキシ基は、ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシルオキシ基の例には、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるカルバモイルオキシ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記カルバモイルオキシ基の例には、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシカルボニルオキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるで表されるアリールオキシカルボニルオキシ基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アミノ基の例には、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、スルフォエチルアミノ、3,5−ジカルボキシアニリノなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシルアミノ基の例には、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアミノカルボニルアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アミノカルボニルアミノ基の例には、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシカルボニルアミノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシカルボニルアミノ基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるスルファモイルアミノ基は、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記スルファモイルアミノ基の例には、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル及びアリールスルホニルアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基の例には、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキルチオ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキルチオ基の例には、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールチオ基は炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールチオ基の例には、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるヘテロ環チオ基は、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環チオ基の例には、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるスルファモイル基は、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記スルファモイル基の例には、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)などを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル及びアリールスルフィニル基は、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキル及びアリールスルフィニル基の例には、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル及びアリールスルホニル基は、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキル及びアリールスルホニル基の例には、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアシル基は、ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシル基の例には、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニルなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシカルボニル基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニルなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニル基の例には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるカルバモイル基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記カルバモイル基の例には、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィノ基の例には、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィニル基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニル基の例には、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニルなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィニルオキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニルオキシ基の例には、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィニルアミノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニルアミノ基の例には、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるシリル基は、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記シリル基の例には、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるアゾ基は、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZで表されるイミド基は、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミドなどを挙げることが出来る。
Q、R、X、Y及びZが二価の基を示す場合、二価の基としては、アルキレン基(例、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アルケニレン基(例、エテニレン、プロぺニレン)、アルキニレン基(例、エチニレン、プロピニレン)、アリーレン基(例、フェニレン、ナフチレン)、二価のヘテロ環基(例、6ークロロー1、3、5ートリアジンー2、4ージイル基、ピリミジンー2、4ージイル基、ピリミジンー4、6ージイル基、キノキサリンー2、3ージイル基、ピリダジンー3,6−ジイル)、−O−、−CO−、−NR’−(R’は水素原子、アルキル基又はアリール基)、−S−、−SO2−、−SO−又はこれらの組み合わせ(例えば−NHCH2CH2NH−、−NHCONH−等)であることが好ましい。
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、二価のヘテロ環基、R’のアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例としては、上記Gで説明したの置換基と同義である。
上記R’のアルキル基およびアリール基は、上記Gの置換基例と同義である。
さらに好ましくは、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、二価のヘテロ環基、−S−、−SO−、―SO2−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCH2CH2S−、−SCH2CH2CH2S−等)であることがさらに好ましい。
二価の連結基の総炭素数は0乃至50であることが好ましく、0乃至30であることがより好ましく、0乃至10であることが最も好ましい。
Q、R、X、Y及びZが三価の基を示す場合、三価の基としては、3価の炭化水素基、三価のヘテロ環基、>N−、又はこれと2価の基の組み合わせ(例えば>NCH2CH2NH−、>NCONH−等)であることが好ましい。
三価の連結基の総炭素数は0乃至50であることが好ましく、0乃至30であることがより好ましく、0乃至10であることが最も好ましい。
一般式(I)中、nの好ましい例は、1または2であり、特に2が好ましい。
一般式(I)中、Xの好ましい置換基例は電子吸引性基である。特に、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基であり、より好ましくは、σp値が0.30以上の電子吸引性基であることが好ましい。上限としては1.0以下の電子吸引性基である。
σp値が0.20以上の電子吸引性基であるXの具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
Xの好ましいものとしては、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフイニル基、炭素数6〜18のアリールスルフイニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσp0.20以上の他の電子吸引性基で置換された炭素数7〜18のアリール基、及び窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を有する5〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。
更に好ましくは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基である。
Xとして特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、最も好ましいものは、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である。
一般式(I)中、Zの好ましい置換基例は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を示す。
Zが表す詳細な置換基例は、前述のGで表されるヘテロ環基の例で説明した対応する置換基例と同義であり、好ましい例も同じである。
Zが表す特に好ましい置換基は置換アリール基、または置換基へテロ環基であり、その中でも特に置換基アリール基が好ましい。
一般式(I)中、Qの好ましい置換基例は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基が好ましく、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアシル基が好ましく、その中でも特に水素原子が好ましい。Qが水素原子を表す場合はこの水素原子はカチオンに置き換わってもよい。
一般式(I)中、Rは置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に2級または3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
一般式(I)中、Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基及びまたは分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
本発明の一般式(I)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(I)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ト)を含むものである。
(イ)Gは、5〜8員含窒素ヘテロ環が好ましく、特にS−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、またはピロール環が好ましく、その中でもS−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、またはピラジン環が好ましく、S−トリアジン環が最も好ましい。
(ロ)Rは置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に2級または3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
(ハ)Xとして特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(ニ)Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ホ)Zは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に好ましい置換基は置換アリール基、または置換基へテロ環基であり、その中でも特に置換基アリール基が好ましい。
(ヘ)Qは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基が好ましく、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアシル基が好ましく、その中でも特に水素原子が好ましい。
(ト)nは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に2が最も好ましい。
上記一般式(I)で表されるアゾ色素のうち、好ましくは下記一般式(1)〜(5)で表される色素である。
以下、一般式(1)について詳細に説明する。
一般式(1)
R1、R2、X1、X2、Y1、Y2、Z1、及びZ2は一価の基を示す。Q1、Q2はそれぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表す。
一価の基としては、水素原子、または一価の置換基を表す。一価の置換基の例としては、上記一般式(I)中、R、X、Y及びZの一価の置換基例と同義であり好ましい例も同じである。m1は0〜3の整数を表す。
以下に、前記R1、R2、X1、X2、Y1、Y2、Z1、及びZ2を更に詳しく説明する。
R1、R2の置換基例は、それぞれ独立に上記一般式(I)中のRの例と同義であり、好ましい例も同じである。
Y1、Y2の置換基例は、それぞれ独立に上記一般式(I)中のYの例と同義であり、好ましい例も同じである。
Z1、Z2の置換基例は、それぞれ独立に上記一般式(I)中のZの例と同義であり、好ましい例も同じである。
以下に、前記G及びm1を更に詳しく説明する。
Gは5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表す。
Gの表す5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例は、S−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、またはピロール環であり、その中でもS−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、またはピラジン環がより好ましく、S−トリアジン環が最も好ましい。
m1は、0〜3の整数を表し、Gの表す5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例の構造に、−OM基が置換可能な場合は、0〜2が好ましく、その中でも0または1が好ましく、特にm1=1が最も好ましい。
以下に、前記M、Q1及びQ2を更に詳しく説明する。
Mは水素原子またはカチオンを示す。
Q1及びQ2の置換基例は、それぞれ独立に上記一般式(I)中のQの例と同義であり、好ましい例も同じである。
MまたはQ1及びQ2で表されるカチオンとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、好ましくはLi、Na、K、NH4、またはNR4である。但し、Rはアルキル基およびアリール基であり上述したR、Yで表されるアルキル基およびアリール基の例と同じである。その中でも好ましいMのカチオン例はLi、Na、K、またはNH4であり、Li、Na、またはKが特に好ましい。
本発明の一般式(1)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(1)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(チ)を含むものである。
(イ)R1、R2は同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に2級または3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
(ロ)X1、X2は同一または異なっていてもよく、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基が好ましく、更に0.30以上の電子吸引性基が好ましく、上限としては1.0以下の電子吸引性基である。その中でも、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である。
(ハ)Y1、Y2は同一または異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、更に水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
(ニ)Z1、Z2は、同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、更に置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基が最も好ましい。
(ホ)Gは5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例は、S−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、またはピロール環であり、その中でもS−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、またはピラジン環がより好ましく、S−トリアジン環が最も好ましい。
(ヘ)m1は、0〜3の整数を表し、Gの表す5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例の構造に、−OM基が置換可能な場合は、0〜2が好ましく、その中でも0または1が好ましく、特にm1=1が最も好ましい。
(ト)Mは、水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくはLi、Na、K、またはNH4である。
(チ)Q1及びQ2は同一または異なっていてもよく、水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくは水素原子、Li、Na、K、またはNH4である。
以下、一般式(2)について詳細に説明する。
一般式(2)
R1、R2、R11、R12、X1、X2、Z1、及びZ2は一価の基を示す。
一価の基としては、水素原子、または一価の置換基を表す。
L1は、2価の連結基を表す。
G1、G2は、はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を示す。
m21、m22は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、G1、G2の表す5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例の構造に、−OM基が置換可能な場合は、0〜2が好ましく、その中でも0または1が好ましく、特にm21=1、m22=1が最も好ましい。
Mは水素原子またはカチオンを示す。
Q1、Q2はそれぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表す。
以下に、前記一般式(2)について更に詳しく説明する。
一般式(2)中、R1及びR2の好ましい置換基例は、上記一般式(1)で説明したR1、R2、Y1、及びY2の置換基例と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(2)中、X1及びX2の好ましい置換基例は、上記一般式(1)で説明したX1及びX2の置換基例と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(2)中、Z1及びZ2の好ましい置換基例は、上記一般式(1)で説明したZ
1及びZ2の置換基例と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(2)中、G1及びG2の好ましい例は、上記一般式(1)で説明したGの例と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(2)中、m21、m22は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、G1、G2の表す5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例の構造に、−OM基が置換可能な場合は、0〜2が好ましく、その中でも0または1が好ましく、特にm21=1、m22=1が最も好ましい。
一般式(2)中、Mの好ましい例は、上記一般式(1)で説明したMの例と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(2)中、Q1及びQ2の置換基例は、それぞれ独立に上記一般式(1)中のQ1及びQ2の例と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(2)中、R11及びR12の好ましい置換基例は、上記一般式(1)で説明したR1、R2、Y1、及びY2の置換基例と同義であり、好ましい例は、−OM基(Mは水素原子またはカチオン)、置換もしくは無置換のアミノ基;炭素数1から12のアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の炭素数6から18のアリールチオ基等が挙げられる。
一般式(2)中、L1で表される二価の連結基はアルキレン基(例、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アルケニレン基(例、エテニレン、プロぺニレン)、アルキニレン基(例、エチニレン、プロピニレン)、アリーレン基(例、フェニレン、ナフチレン)、二価のヘテロ環基(例、6ークロロー1、3、5ートリアジンー2、4ージイル基、ピリミジンー2、4ージイル基、ピリミジンー4、6ージイル基、キノキサリンー2、3ージイル基、ピリダジンー3,6−ジイル)、−O−、−CO−、−NR’−(Rは水素原子、アルキル基又はアリール基)、−S−、−SO2−、−SO−又はこれらの組み合わせ(例えば−NHCH2CH2NH−、−NHCONH−等)であることが好ましい。
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、二価のヘテロ環基、R’のアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例としては、上記一般式(1)中のR1、R2、Y1及びY2の置換基と同義である。
上記R’のアルキル基およびアリール基は、上記一般式(1)中のR1、R2、Y1及びY2の置換基例と同義である。
さらに好ましくは、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、−S−、−SO−、―SO2−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCH2CH2S−、−SCH2CH2CH2S−等)であることがさらに好ましい。
二価の連結基の総炭素数は0乃至50であることが好ましく、0乃至30であることがより好ましく、0乃至10であることが最も好ましい。
本発明の一般式(2)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(2)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(リ)を含むものである。
(イ)R1、R2は同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に2級または3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
(ロ)X1、X2は同一または異なっていてもよく、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基が好ましく、更に0.30以上の電子吸引性基が好ましく、上限としては1.0以下の電子吸引性基である。その中でも、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である。
(ハ)Z1、Z2は、同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、更に置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基が最も好ましい。
(ニ)G1、G2は同一または異なっていてもよく、5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例は、S−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、またはピロール環であり、その中でもS−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、またはピラジン環がより好ましく、S−トリアジン環が最も好ましい。
(ホ)m21、m22は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、G1、G2の表す5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例の構造に、−OM基が置換可能な場合は、0〜2が好ましく、その中でも0または1が好ましく、特にm21=1、m22=1が最も好ましい。
(ヘ)Mは水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくはLi、Na、K、又はNH4である。
(ト)Q1及びQ2は同一または異なっていてもよく、水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくは水素原子、Li、Na、K、またはNH4である。
(チ)R11、R12は同一または異なっていてもよく、−OM基(Mは水素原子またはカチオン)、置換もしくは無置換のアミノ基(炭素数1から12のアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基等)、置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基、または置換もしくは無置換の炭素数6から18のアリールチオ基が好ましく、その中でも無置換のアミノ基、炭素数1から12のアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基、または置換もしくは無置換の炭素数6から18のアリールチオ基が好ましく、特に無置換のアミノ基、炭素数1から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基、または置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基が好ましい。
(リ)L1は、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、−S−、−SO−、―SO2−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCH2CH2S−、−SCH2CH2CH2S−等)であることが好ましく、さらに炭素数10以下のアルキレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、−S−、−SO−、―SO2−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCH2CH2S−、−SCH2CH2CH2S−等)であることが好ましく、特に炭素数10以下のアルキレン基、−SCH2CH2S−、または−SCH2CH2CH2S−であることが好ましい。
以下、一般式(3)について詳細に説明する。
一般式(3)
R1、R2、R11、R12、X1、X2、Y1、及びY2は一価の基を示す。
一価の基としては、水素原子、または一価の置換基を表す。
L2は、2価の連結基を表す。
G1、G2は、はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を示す。
m31、m32は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
Mは水素原子またはカチオンを示す。
Q1、Q2はそれぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表す。
以下に、前記一般式(3)について更に詳しく説明する。
一般式(3)中、R1、R2、Y1、及びY2の好ましい置換基例は、上記一般式(1)で説明したR1、R2、Y1、及びY2の置換基例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(3)中、X1及びX2の好ましい置換基例は、上記一般式(1)で説明したX1及びX2の置換基例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(3)中、G1及びG2の好ましい例は、上記一般式(1)で説明したGの例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(3)中、m31及びm32の好ましい例はは、上記一般式(2)で説明したm21、m22の例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(3)中、Mの好ましい例は、上記一般式(1)で説明したMの例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(3)中、Q1及びQ2の置換基例は、それぞれ独立に上記一般式(1)中のQ1及びQ2の例と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(3)中、R11及びR12の好ましい置換基例は、上記一般式(2)で説明したR11、R12の置換基例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(3)中、L2で表される二価の連結基は、上記一般式(2)で説明したL1の例と同義であり、好ましい例も同じである。
本発明の一般式(3)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(3)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(リ)を含むものである。
(イ)R1、R2は同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に2級または3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
(ロ)X1、X2は同一または異なっていてもよく、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基が好ましく、更に0.30以上の電子吸引性基が好ましく、上限としては1.0以下の電子吸引性基である。その中でも、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である。
(ハ)Y1、Y2は同一または異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、更に水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
(ニ)G1、G2は同一または異なっていてもよく、5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例は、S−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、またはピロール環であり、その中でもS−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、またはピラジン環がより好ましく、S−トリアジン環が最も好ましい。
(ホ)m31、m32は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、G1、G2の表す5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例の構造に、−OM基が置換可能な場合は、0〜2が好ましく、その中でも0または1が好ましく、特にm31=1、m32=1が最も好ましい。
(ヘ)Mは水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくはLi、Na、K、又はNH4である。
(ト)Q1及びQ2は同一または異なっていてもよく、水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくは水素原子、Li、Na、K、またはNH4である。
(チ)R11、R12は同一または異なっていてもよく、−OM基(Mは水素原子またはカチオン)、置換もしくは無置換のアミノ基(炭素数1から12のアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基等)、置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基、または置換もしくは無置換の炭素数6から18のアリールチオ基が好ましく、その中でも無置換のアミノ基、炭素数1から12のアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基、または置換もしくは無置換の炭素数6から18のアリールチオ基が好ましく、特に無置換のアミノ基、炭素数1から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基、または置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基が好ましい。
(リ)L2は、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、−S−、−SO−、―SO2−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCH2CH2S−、−SCH2CH2CH2S−等)であることが好ましく、さらに炭素数10以下のアルキレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、−S−、−SO−、―SO2−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCH2CH2S−、−SCH2CH2CH2S−等)であることが好ましく、特に炭素数10以下のアルキレン基、−SCH2CH2S−、または−SCH2CH2CH2S−であることが好ましい。
以下、一般式(4)について詳細に説明する。
一般式(4)
R11、R12、X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2は一価の基を示す。
一価の基としては、水素原子、または一価の置換基を表す。
L3は、2価の連結基を表す。
G1、G2は、はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を示す。
m41、m42は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
Mは水素原子またはカチオンを示す。
Q1、Q2はそれぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表す。
以下に、前記一般式(4)について更に詳しく説明する。
一般式(4)中、Y1、及びY2の好ましい置換基例は、上記一般式(1)で説明したR1、R2、Y1、及びY2の置換基例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(4)中、X1及びX2の好ましい置換基例は、上記一般式(1)で説明したX1及びX2の置換基例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(4)中、G1及びG2の好ましい例は、上記一般式(1)で説明したGの例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(4)中、m41及びm42の好ましい例はは、上記一般式(2)で説明したm21、m22の例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(4)中、Mの好ましい例は、上記一般式(1)で説明したMの例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(4)中、Q1及びQ2の置換基例は、それぞれ独立に上記一般式(1)中のQ1及びQ2の例と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(4)中、R11及びR12の好ましい置換基例は、上記一般式(2)で説明したR11、R12の置換基例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(4)中、L3で表される二価の連結基の例は、上記一般式(2)で説明したL1の例と同じであり、好ましい例も同じである。
本発明の一般式(4)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(4)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(リ)を含むものである。
(イ)Y1、Y2は同一または異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、更に水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい
(ロ)X1、X2は同一または異なっていてもよく、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基が好ましく、更に0.30以上の電子吸引性基が好ましく、上限としては1.0以下の電子吸引性基である。その中でも、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である。
(ハ)Z1、Z2は、同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、更に置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基が最も好ましい。
(ニ)G1、G2は同一または異なっていてもよく、5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例は、S−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、またはピロール環であり、その中でもS−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、またはピラジン環がより好ましく、S−トリアジン環が最も好ましい。
(ホ)m41、m42は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、G1、G2の表す5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例の構造に、−OM基が置換可能な場合は、0〜2が好ましく、その中でも0または1が好ましく、特にm41=1、m42=1が最も好ましい。
(ヘ)Mは水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくはLi、Na、K、又はNH4である。
(ト)Q1及びQ2は同一または異なっていてもよく、水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくは水素原子、Li、Na、K、またはNH4である。
(チ)R11、R12は同一または異なっていてもよく、−OM基(Mは水素原子またはカチオン)、置換もしくは無置換のアミノ基(炭素数1から12のアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基等)、置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基、または置換もしくは無置換の炭素数6から18のアリールチオ基が好ましく、その中でも無置換のアミノ基、炭素数1から12のアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基、または置換もしくは無置換の炭素数6から18のアリールチオ基が好ましく、特に無置換のアミノ基、炭素数1から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基、または置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基が好ましい。
(リ)L3は、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、−S−、−SO−、―SO2−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCH2CH2S−、−SCH2CH2CH2S−等)であることが好ましく、さらに炭素数10以下のアルキレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、−S−、−SO−、―SO2−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCH2CH2S−、−SCH2CH2CH2S−等)であることが好ましく、特に炭素数10以下のアルキレン基、−SCH2CH2S−、または−SCH2CH2CH2S−であることが好ましい。
以下、一般式(5)について詳細に説明する。
一般式(5)
R1、R2、R11、R12、Y1、Y2、Z1、及びZ2は一価の基を示す。
一価の基としては、水素原子、または一価の置換基を表す。
L4は、2価の連結基を表す。
G1、G2は、はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を示す。
m51、m52は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
Mは水素原子またはカチオンを示す。
Q1、Q2はそれぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表す。
以下に、前記一般式(5)について更に詳しく説明する。
一般式(5)中、R1、R2、Y1及びY2の好ましい置換基例は、上記一般式(1)で説明したR1、R2、Y1、及びY2の置換基例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(5)中、Z1及びZ2の好ましい置換基例は、上記一般式(1)で説明したZ1及びZ2の置換基例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(5)中、G1及びG2の好ましい例は、上記一般式(1)で説明したGの例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(5)中、m51及びm52の好ましい例はは、上記一般式(2)で説明したm21、m22の例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(5)中、Mの好ましい例は、上記一般式(1)で説明したMの例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(5)中、Q1及びQ2の置換基例は、それぞれ独立に上記一般式(1)中のQ1及びQ2の例と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(5)中、R11及びR12の好ましい置換基例は、上記一般式(2)で説明したR11及びR12の置換基例と同じであり、好ましい例も同じである。
一般式(5)中、L4で表される二価の連結基の例は、上記一般式(2)で説明したL1の例と同じであり、好ましい例も同じである。
本発明の一般式(5)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(5)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(リ)を含むものである。
(イ)R1、R2は同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に2級または3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
(ロ)Y1、Y2は同一または異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、更に水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
(ハ)Z1、Z2は、同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、更に置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基が最も好ましい。
(ニ)G1、G2は同一または異なっていてもよく、5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例は、S−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、またはピロール環であり、その中でもS−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、またはピラジン環がより好ましく、S−トリアジン環が最も好ましい。
(ホ)m41、m42は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、G1、G2の表す5〜8員含窒素ヘテロ環の好ましい例の構造に、−OM基が置換可能な場合は、0〜2が好ましく、その中でも0または1が好ましく、特にm41=1、m42=1が最も好ましい。
(ヘ)Mは水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくはLi、Na、K、又はNH4である。
(ト)Q1及びQ2は同一または異なっていてもよく、水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくは水素原子、Li、Na、K、またはNH4である。
(チ)R11、R12は同一または異なっていてもよく、−OM基(Mは水素原子またはカチオン)、置換もしくは無置換のアミノ基;炭素数1から12のアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の炭素数6から18のアリールチオ基が好ましく、その中でも無置換のアミノ基、炭素数1から12のアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基、または置換もしくは無置換の炭素数6から18のアリールチオ基が好ましく、特に無置換のアミノ基、炭素数1から12のジアルキルアミノ基、炭素数6から18のアリールアミノ基、または置換もしくは無置換の炭素数1から12のアルキルチオ基が好ましい。
(リ)L4は、2価の連結基で且つハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基が好ましく、更に0.30以上の電子吸引性基が好ましく、上限としては1.0以下の電子吸引性基である。その中でも、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基:{−SO2−(CH2)n−O2S−;n=1〜10の整数}、炭素数6〜18のアリールスルホニル基:{−SO2−Ar−O2S−;Arは置換または無置換のアリール基が好ましく、最も好ましいものは、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基アルキルスルホニル基:{−SO2−(CH2)n−O2S−;n=1〜5の整数}である。
上記一般式(1)で表されるアゾ色素のうち、好ましくは一般式(6)で表される色素である。
一般式(6)
以下、一般式(6)について詳細に説明する。
R1、R2、Y1、およびY2は一価の基を示し、X1、X2はそれぞれ独立にハメットのσp値0.20以上の電子吸引性基を示す。Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を示す。Mは水素原子またはカチオンを示す。Q1、Q2はそれぞれ独立に水素原子または一価の置換基を表す。
以下に、R1、R2、X1、X2、Y1、Y2、Z1、Z2およびMについて詳細に説明する。
R1、R2、Y1、およびY2の置換基の例は、上記一般式(1)中で説明したR1、R2、Y1、およびY2の置換基例と同じであり好ましい例も同じである。
X1及びX2の置換基の例は、上記一般式(1)中で説明したX1及びX2の置換基例と同じであり好ましい例も同じである。
Z1及びZ2の置換基の例は、上記一般式(1)中で説明したZ1及びZ2の置換基例と同じであり好ましい例も同じである。
Mの例は、上記一般式(1)中で説明したMの例と同じであり好ましい例も同じである。
Q1及びQ2の置換基例は、それぞれ独立に上記一般式(1)中のQ1及びQ2の例と同義であり、好ましい例も同じである。
本発明の一般式(6)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(6)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ヘ)を含むものである。
(イ)R1、R2は同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に2級または3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
(ロ)X1、X2は同一または異なっていてもよく、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基が好ましく、更に0.30以上の電子吸引性基が好ましく、上限としては1.0以下の電子吸引性基である。その中でも、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である。
(ハ)Y1、Y2は同一または異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、更に水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
(ニ)Z1、Z2は、同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、更に置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基が最も好ましい。
(ホ)Mは水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくはLi、Na、K、またはNH4である。
(ヘ)Q1及びQ2は同一または異なっていてもよく、水素原子又はカチオンが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウム又は第4級アンモニウムカチオンであり、更に好ましくは水素原子、Li、Na、K、またはNH4である。
本発明において、一般式(I)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)で表される化合物が親水性を必要とする場合は、分子内に2個以上のイオン性親水性基を有することが好ましく、2〜10個のイオン性親水性基を有することがさらに好ましく、3〜6個のイオン性親水性基を有することが特に好ましい。
但し、媒体として水を使用しない場合はイオン性親水性基を有していなくてよい。
イオン性親水性基としては、イオン性解離基である限りいかなるものであってもよい。具体的にはスルホ基、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)、ホスホノ基(塩でもよい)又は4級アンモニウムを挙げることが出来る。
好ましくはスルホ基、カルボキシル基、または水酸基(それらの塩を含む)である。
イオン性親水性基が塩の場合、好ましいカウンターカチオンはアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、及び有機のカチオン(例えばピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム)を挙げることができ、その中でもアルカリ金属が好ましく、特にスルホ基の場合はリチウム塩、カルボキシ基の場合はナトリウム塩及びまたはカリウム塩が好ましい。
前記一般式(I)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)で表される水溶性色素の場合は、色再現性の観点から、H2O中で380〜490nmの最大吸収波長(λmax)を有することが好ましく、400〜480nmのλmaxを有することがさらに好ましく、420〜460nmにλmaxを有することが特に好ましい。
前記一般式(I)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)で表される色素の具体例(例示色素DYE−1〜26)を以下に示すが、本発明に用いられる色素は、下記の例に限定されるものではない。
また、以下の具体例の構造は遊離の酸の形で示されるが、任意の塩として用いても良いことは言うまでもない。
好ましいカウンターカチオンとしては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、または有機のカチオン(例えばピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム)を挙げることができる。
本発明の色素及び中間体の合成方法に関して、詳細に説明する。
<1>カップリング成分の合成:
本発明の色素を合成する際に用いるカップリング成分(ジアゾニウム塩と反応してアゾ染料を誘導する色素中間体)は以下の一般式(7)で表される化合物が好ましい。
一般式(7)
上記一般式(7)中の置換基R、G及びQは、それぞれ独立に、上記一般式(I)中のR、G及びQと同義であり、好ましい例も同じである。
上記一般式(7)中のnは1〜3の整数を表す。
Pは水素原子または離脱基を表す。離脱基とは化学反応で脱離する基を意味し、例えばジアゾニウム塩とカップリング反応で脱離する基、フェニレンジアミン誘導体の酸化体と付加脱離反応を容易に引き起こす基を表す。Pの好ましい例は、水素原子、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を挙げることができる。その中でも水素原子、またはハロゲン原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。
上記一般式(7)で表されるカップリング成分の更に好ましい例は、下記一般式(8)で表される化合物、その塩または水和物である。
一般式(8)
上記一般式(8)中の置換基R、G及びPは、それぞれ、上記一般式(7)中のR、G及びPと同義であり、好ましい例も同じである。
上記一般式(8)中のMは、水素原子またはカチオンを表す。
Mがカチオンを表す場合、一般式(1)中のMと同義であり好ましい例も同じである。
上記一般式(8)で表されるカップリング成分の特に好ましい例は、下記一般式(9)で表される化合物、その塩または水和物である。
一般式(9)
上記一般式(9)中の置換基Rは、それぞれ独立に、上記一般式(7)中のRと同義であり、好ましい例も同じである。
上記一般式(9)中のMは、上記一般式(8)中のMと同義であり、好ましい例も同じである。
以下に一般式(8)で表されるカップリング成分の合成法について説明する。
一般式(8)で表される化合物は、例えば以下の工程に従い得ることができる。
(a)ヒドラジンに対して脱離性のハロゲン原子を有する有機化合物(α)と水の混合物に、塩基を作用させる工程と、(b)前記(a)工程で得た反応液とヒドラジンとを混合する工程からヒドラジン誘導体を得た後、(c)酸および有機溶媒存在下、上記(b)で得たヒドラジン誘導体と、アシル酢酸エステル(β−ケトエステル)化合物とを反応させる工程から一般式(8)で表される化合物;(以下5−ピラゾロン化合物と称する)を合成する方法である。
有機化合物(α)の例として、塩化シアヌル、2−クロロピリミジン、2,4−クロロピリミジン、2,4,6−トリクロロピリミジン、3−クロロピリダジン、3,5−ジクロロピリダジン、5−クロロピラゾール、または2−クロロイミダゾールが挙げられる。好ましくは、塩化シアヌル、2,4,6−トリクロロピリミジン、3,5−ジクロロピリダジン、または2−クロロイミダゾールであり、その中でも塩化シアヌル、または2,4,6−トリクロロピリミジンが好ましく、特に、塩化シアヌルが最も好ましい。
まず、(a)工程として、有機化合物(α)と水の混合物に、塩基を作用させる。本発明では、ヒドラジン誘導体の製造のための好ましい反応溶媒として、このように水を使用することができる。有機化合物(α)に対する水の使用量は、0.5〜50質量倍が好ましく、より好ましくは1〜20質量倍である。
本発明において、有機化合物(α)は水に分散している状態が好ましいが、有機化合物(α)の種類によっては水溶液の状態になり得る。
また、有機化合物(α)と水の混合物の溶媒は上述のように水を主体(全溶媒の10〜100質量%、好ましくは50〜100質量%)とするものであるが、所望により水以外の溶媒を用いることができる。そのような溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
塩基としては、無機塩基と有機塩基が含まれる。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウムなどが挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、または炭酸カリウムであり、更に好ましくは炭酸水素ナトリウム、または水酸化ナトリウムである。有機塩基としては、アンモニア、ヒドラジン、トリエチルアミン、ジアゾビシクロウンデセン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、ジメチルアミノピリジンなどが挙げられ、好ましくはアンモニア、ヒドラジン、トリエチルアミン、またはピリジンであり、更に好ましくはアンモニア、またはヒドラジンである。塩基の使用量としては有機化合物(α)の使用量に対して0.05〜30.0当量が好ましく、より好ましくは0.5〜15.0当量である。
反応温度としては、5℃〜80℃が好ましく、10℃〜60℃がより好ましい。
反応時間としては、30分〜6時間が好ましく、1時間〜3時間がより好ましい。
続いて、(b)工程として、前記(a)工程で得た反応液とヒドラジンとを混合し、反応させ、ヒドラジン誘導体を製造する。有機化合物(α)とヒドラジンとの添加の割合は、例えば前者:後者(モル比)として、1:1〜1:20が好ましく、より好ましくは1:2〜1:10である。
(b)工程における反応温度は、0℃〜90℃が好ましく、より好ましくは0℃〜80℃であり、更に好ましくは0℃〜65℃である。0℃未満では反応速度が顕著に遅くなり合成に要する時間が著しく長くなるため経済的でなく、また90℃を超える高温で合成する場合には、副生成物の生成量が増加するため好ましくない。
(b)工程における反応時間は、30分から300分が好ましく、より好ましくは30分から200分であり、更に好ましくは30分から150分である。
有機化合物(α)として、塩化シアヌル、塩基として炭酸水素ナトリウムを使用した場合の反応スキームを以下に示す。
上記ヒドラジン誘導体は、酸および有機溶媒存在下、アシル酢酸エステル化合物とを反応させることにより5−ピラゾロン化合物を合成することができる。
このヒドラジン誘導体は、本願により製造されたものであっても、本願以外により製造されたものであってもよい。
有機溶媒としては、特に、ヒドラジン誘導体とアシル酢酸エステル化合物とが付加した中間体(以下、単に中間体という)が溶解し、かつ、5−ピラゾロン化合物が反応系から析出し、反応副成分の生成を抑制する溶媒が望まれる。
本発明において、有機溶媒とは、反応時に液体分離現象を起こさず、溶媒と均一な溶液を呈する溶媒である。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール、アミルアルコール等のアルコール性有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶媒、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等のジオール系有機溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系有機溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル等が挙げられる、これらの溶媒は2種類以上の混合液であってもよい。
好ましくは、極性パラメータ(ET)の値が40以上の有機溶媒である。なかでも溶媒分子中に水酸基を2個以上有するグリコール系の溶媒、あるいは炭素原子数が3個以下のアルコール系溶媒、好ましくは炭素原子数が2以下のアルコール溶媒が好ましい。またこれらの混合溶媒も含まれる。
有機溶媒としては、中でもヒドロキシル基を有する有機溶媒が好ましい。より好ましいアルコールの例としては、メタノール、エタノールが挙げられる。またオリゴ−(特にジ−及びトリ−)及びポリ−C2〜C4−アルキレングリコールなどのグリコール類も好適である。またエチレンを基礎とする化合物も有利である。例として、エチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ジ−、トリ−及びテトラエチレングリコール、ジ−、トリ−及びテトラプロピレングリコール、ポリエチレン−及びポリプロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
より好ましい例としてメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコールとジエチレングリコールの1:2(v/v)の混合溶媒、プロピレングリコールとトリエチレングリコールの3:1(v/v)、メタノールとエチレングリコールの1:2〜3(v/v)、メタノールとトリエチレングリコールの1:2〜5(v/v)の混合溶媒が挙げられる。溶媒の使用量はヒドラジン誘導体の1〜100質量倍、好ましくは1〜50質量倍であり、更に好ましくは1〜20質量倍である。
酸としては、特に限定されるものではないが、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、メタンスルホン酸などの有機酸も有効である。使用量は上記ヒドラジン誘導体の1〜100質量倍、好ましくは1〜20質量倍であり、更に好ましくは1〜10質量倍である。酸の量が少ないと、中間体の溶解性が悪く、反応時間が長くなり、酸の量が多すぎると副成分が多く生成し、収率悪化を招く場合がある。
アシル酢酸エステル化合物におけるアシル基としては、アセチル基、ピバロイル基、イソプロピルカルボニル基、フェネチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基などが挙げられる。とくに好ましくはアセチル基、ピバロイル基、イソプロピルカルボニル基、またはフェネチルカルボニル基であり、その中でもピバロイル基が最も好ましい。
アシル酢酸エステル化合物は、ヒドラジン誘導体のヒドラジンのモル数を1とした場合、1〜5が好ましく、より好ましくは1〜3の割合で添加するのがよい。
ヒドラジン誘導体と、アシル酢酸エステル化合物とを反応温度は、0℃〜120℃が好ましく、より好ましくは0℃〜100℃であり、更に好ましくは0℃〜75℃である。
反応時間は、1時間〜20時間が好ましく、より好ましくは1時間〜15時間であり、更に好ましくは1時間〜10時間である。
本発明のヒドラジン誘導体の製造方法、およびこれにより製造されたヒドラジン誘導体を用いて5−ピラゾロン化合物を製造する製造方法の一連の工程の反応スキームを下記に示す。なお、下記スキームでは、出発原料の有機化合物(α)として塩化シアヌル、塩基として炭酸水素ナトリウム、アシル酢酸エステル化合物としてピバロイル酢酸エチルエステル、酸として塩酸、有機溶媒としてメタノールとエチレングリコールの混合溶媒を使用した場合を示しているが、本発明はこれに制限されない。
<2>ジアゾ成分の合成:
本発明の色素を合成する際に用いるジアゾ成分(ジアゾニウム塩を誘導する色素中間体)は以下の一般式(10)で表される化合物が好ましい。
一般式(10)
上記一般式(10)中の置換基X、Y及びZは、それぞれ、前記記一般式(I)中のX、Y及びZと同義であり、好ましい例も同じである。
上記一般式(10)で表される化合物は、例えば以下の反応式に従い得ることができる。式中、Rは低級アルキル基、−OWは離脱基を表す。
<3>本発明のアゾ色素の合成:
本発明の色素は、例えば、一般式(10)のジアゾ成分を既知の方法により調製したジアゾニウム塩を一般式(7)、(8)のカップリング成分とアゾカップリング反応させることにより合成できる。
ジアゾニウム塩調製及びカップリング反応は、慣用法によって実施できる。
一般式(10)のジアゾニウム塩調製は、例えば酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等)含有反応媒質中で、ニトロソニウムイオン源、例えば亜硝酸、亜硝酸塩またはニトロシル硫酸を用いる慣用のジアゾニウム塩調整方法が適用できる。
より好ましい酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、リン酸、硫酸を単独または併用して用いる場合が挙げられ、その中でも酢酸及びまたはプロピオン酸と硫酸の併用系が特に好ましい。
反応媒質(溶媒)の好ましい例としては、有機酸、無機酸を用いることが好ましく、特にリン酸、硫酸、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸が好ましく、その中でも酢酸及びまたはプロピオン酸が好ましい。
好ましいニトロソニウムイオン源の例としては、上記の好ましい酸含有含有反応媒質中でニトロシル硫酸を用いることが安定に且つ効率的にジアゾニウム塩を調製できる。
一般式(10)のジアゾ成分に対する溶媒の使用量は、0.5〜50質量倍が好ましく、より好ましくは1〜20質量倍であり、特に3〜10質量倍が好ましい。
本発明において、一般式(10)のジアゾ成分は溶媒に分散している状態であっても、ジアゾ成分の種類によっては溶解液の状態になっていてもどちらでも良い。
ニトロソニウムイオン源の使用量はジアゾ成分に対して0.95〜5.0当量が好ましく、より好ましくは1.00〜3.00当量であり、特に1.00〜1.10当量であることが好ましい。
反応温度は、−15℃〜30℃が好ましく、より好ましくは−10℃〜10℃であり、更に好ましくは−5℃〜5℃である。−10℃未満では反応速度が顕著に遅くなり合成に要する時間が著しく長くなるため経済的でなく、また30℃を超える高温で合成する場合には、副生成物の生成量が増加するため好ましくない。
反応時間は、30分から300分が好ましく、より好ましくは30分から200分であり、更に好ましくは30分から150分である。
カップリング反応(アゾ色素化工程)は、酸性反応媒質中〜塩基性反応媒質中で実施することができるが、本発明のアゾ色素は酸性〜中性反応媒質中で実施することが好ましく、特に酸性反応媒質中で実施することがジアゾニウム塩の分解を抑制し効率良くアゾ色素に誘導することができる。
反応媒質(溶媒)の好ましい例としては、有機酸、無機酸、有機溶媒を用いることができるが、特に有機溶媒が好ましく、反応時に液体分離現象を起こさず、溶媒と均一な溶液を呈する溶媒が好ましい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール、アミルアルコール等のアルコール性有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶媒、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等のジオール系有機溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系有機溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル等が挙げられる、これらの溶媒は2種類以上の混合液であってもよい。
好ましくは、極性パラメータ(ET)の値が40以上の有機溶媒である。なかでも溶媒分子中に水酸基を2個以上有するグリコール系の溶媒、あるいは炭素原子数が3個以下のアルコール系溶媒、好ましくは炭素原子数が2以下のアルコール溶媒(例えば、メタノール、エチレングリコール)が好ましい。またこれらの混合溶媒も含まれる。
溶媒の使用量は上記一般式(7)、(8)で表されるカップリング成分の1〜100質量倍が好ましく、より好ましくは1〜50質量倍であり、更に好ましくは2〜10質量倍である。
本発明において、一般式(7)、(8)のカップリング成分は溶媒に分散している状態であっても、カップリング成分の種類によっては溶解液の状態になっていてもどちらでも良い。
カップリング成分の使用量は、アゾカップリング部位あたり、ジアゾ成分が0.95〜5.0当量が好ましく、より好ましくは1.00〜3.00当量であり、特に1.00〜1.50当量であることが好ましい。
反応温度は、−30℃〜30℃が好ましく、より好ましくは−15℃〜10℃であり、更に好ましくは−10℃〜5℃である。−30℃未満では反応速度が顕著に遅くなり合成に要する時間が著しく長くなるため経済的でなく、また30℃を超える高温で合成する場合には、副生成物の生成量が増加するため好ましくない。
反応時間は、30分から300分が好ましく、より好ましくは30分から200分であり、更に好ましくは30分から150分である。
本発明のアゾ色素の合成方法においては、これらの反応によって得られる生成物(アゾ色素)は通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、精製してあるいは精製せずに供することができる。
すなわち、例えば、反応系から遊離したものを精製せずに、あるいは再結晶、造塩、カラムクロマトグラフィー(例えば、ゲルパーメーションクロマトグラフィ(SEPHADEXTMLH−20:Pharmacia製)等にて精製する操作を単独、あるいは組み合わせて行ない、供することができる。
また、反応終了後、反応溶媒を留去して、あるいは留去せずに水、又は氷にあけ、中和してあるいは中和せずに遊離したものを精製せずに、あるいは再結晶、造塩、カラムクロマトグラフィー等にて精製する操作を単独に、あるいは組み合わせて行なった後、供することもできる。
また、反応終了後、反応溶媒を留去して、あるいは留去せずに水、又は氷にあけ中和して、あるいは中和せずに、有機溶媒/水溶液にて抽出したものを精製せずに、あるいは晶析、造塩、カラムクロマトグラフィーにて精製する操作を単独あるいは組み合わせて行なった後、供することもできる。
本発明の色素の用途としては、画像、特にカラー画像を形成するための画像記録材料が挙げられ、具体的には、以下に詳述するインクジェット方式記録材料を始めとして、感熱記録材料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等があり、好ましくはインクジェット方式記録材料、感熱記録材料、電子写真方式を用いる記録材料であり、更に好ましくはインクジェット方式記録材料である。
また、CCDなどの固体撮像素子やLCD、PDP等のディスプレーで用いられるカラー画像を記録・再現するためのカラーフィルター、各種繊維の染色の為の染色液にも適用できる。
本発明の色素は、その用途に適した溶解性、分散性、熱移動性などの物性を、置換基で調整して使用する。また、本発明の色素は、用いられる系に応じて溶解状態、乳化分散状態、さらには固体分散状態でも使用する事が出来る。
[インク]
本発明のインクは、少なくとも一種の本発明の色素を含有するインクを意味する。
本発明のインクは、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明のインクは、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、本発明の色素を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明のインクには、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。本発明のインクは、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
本発明の色素を水性媒体に分散させる場合は、特開平11−286637号、特開2001−240763(特願2000−78491)号、特開2001−262039(特願2000−80259)号、特開2001−247788(特願2000−62370)号のように色素と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散したり、特開2001−262018(特願2000−78454)号、特開2001−240763(特願2000−78491)号、特開2001−335734(特願2000−203856) 号のように高沸点有機溶媒に溶解した本発明の色素を水性媒体中に分散することが好ましい。本発明の色素を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法、使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、前記特許文献に記載されたものを好ましく使用することができる。あるいは、前記アゾ色素を固体のまま微粒子状態に分散してもよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。
分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。上記のインクジェット記録用インクの調製方法については、先述の特許文献以外にも特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、特開2001−271003(特願2000−87539)号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
前記水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例は特開2003−306623号公報に記載のものが使用できる。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
本発明のインクジェット記録用インク100質量部中に、本発明の色素を0.1質量部以上20質量部以下含有するのが好ましく、0.2質量部以上10質量部以下含有するのがより好ましく、0.5〜9質量部含有するのがさらに好ましい。また、本発明のインクジェット用インクには、本発明の色素とともに、他の色素を併用してもよい。2種類以上の色素を併用する場合は、色素の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。
本発明のインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
さらに、本発明におけるインクジェット記録用インクは、上記本発明における色素の他に別のイエロー染料を同時に用いることが出来る。適用できるイエロー染料、適用できるマゼンタ染料、適用できるシアン染料としては、各々任意のものを使用する事が出来るが、特開2003−306623号公報の段落番号0090〜0092に記載の各染料が利用できる。適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。なお、本発明のインクジェット記録方法として特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105の記載が適用できる。
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても、後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。具体的には、特開2002−166638(特願2000−363090)号、特開2002−121440(特願2000−315231)号、特開2002−154201(特願2000−354380)号、特開2002−144696(特願2000−343944)号、特開2002−080759(特願2000−268952)号、特開2002−187342(特願2000−299465)号、特開2002−172774(特願2000−297365)号に記載された方法を好ましく用いることができる。
[カラートナー]
本発明のカラートナー100質量部中の本発明の色素の含有量は特に制限がないが、0.1質量部以上含有するのが好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜10質量部含有するのが最も好ましい。
本発明の色素を導入するカラートナー用バインダー樹脂としては一般に使用される全てのバインダーが使用出来る。例えば、スチレン系樹脂・アクリル系樹脂・スチレン/アクリル系樹脂・ポリエステル樹脂等が挙げられる。
トナーに対して流動性向上、帯電制御等を目的として無機微粉末、有機微粒子を外部添加しても良い。表面をアルキル基含有のカップリング剤等で処理したシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましく用いられる。なお、これらは数平均一次粒子径が10〜500nmのものが好ましく、さらにはトナー中に0.1〜20質量%添加するのが好ましい。
離型剤としては、従来使用されている離型剤は全て使用することができる。具体的には、低分子量ポリプロピレン・低分子量ポリエチレン・エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン類、マイクロクリスタリンワックス・カルナウバワックス・サゾールワックス・パラフィンワックス等があげられる。これらの添加量はトナー中に1〜5質量%添加することが好ましい。
荷電制御剤としては、必要に応じて添加しても良いが、発色性の点から無色のものが好ましい。例えば4級アンモニウム塩構造のもの、カリックスアレン構造を有するものなどがあげられる。
キャリアとしては、鉄・フェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂等によって被覆した樹脂被覆キャリアのいずれを使用してもよい。このキャリアの平均粒径は体積平均粒径で30〜150μmが好ましい。
本発明のトナーが適用される画像形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば感光体上に繰り返しカラー画像を形成した後に転写を行い画像を形成する方法や、感光体に形成された画像を逐次中間転写体等へ転写し、カラー画像を中間転写体等に形成した後に紙等の画像形成部材へ転写しカラー画像を形成する方法等があげられる。
[感熱記録(転写)材料]
感熱記録材料は、支持体上に本発明の色素をバインダーとともに塗設したインクシート、及び画像記録信号に従ってサーマルヘッドから加えられた熱エネルギーに対応して移行してきた色素を固定する受像シートから構成される。インクシートは、本発明の化合物をバインダーと共に溶剤中に溶解することによって、或いは溶媒中に微粒子状に分散させることによってインク液を調製し、該インクを支持体上に塗布して適宜に乾燥することにより形成することができる。支持体上のインクの塗布量は特に制限するものではないが、好ましくは30〜1000mg/m2である。好ましいバインダー樹脂、インク溶媒、支持体、更には受像シートについては、特開平7−137466号に記載されたものを好ましく用いることができる。
該感熱記録材料をフルカラー画像記録が可能な感熱記録材料に適用するには、シアン画像を形成することができる熱拡散性シアン色素を含有するシアンインクシート、マゼンタ画像を形成することができる熱拡散性マゼンタ色素を含有するマゼンタインクシート、イエロー画像を形成することができる熱拡散性イエロー色素を含有するイエローインクシートを支持体上に順次塗設して形成する事が好ましい。また、必要に応じて他に黒色画像形成物質を含むインクシートがさらに形成されていても良い。
[カラーフィルター]
カラーフィルターの形成方法としては、初めにフォトレジストによりパターンを形成し、次いで染色する方法、或いは特開平4−163552号、特開平4−128703号、特開平4−175753号公報で開示されているように色素を添加したフォトレジストによりパターンを形成する方法がある。本発明の色素をカラーフィルターに導入する場合に用いられる方法としては、これらのいずれの方法を用いても良いが、好ましい方法としては、特開平4−175753号や特開平6−35182号に記載されたところの、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、色素及び溶剤を含有してなるポジ型レジスト組成物、並びに、それを基体上に塗布後、マスクを通して露光し、該露光部を現像してポジ型レジストパターンを形成させ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光し、次いで露光後のポジ型レジストパターンを硬化させることからなるカラーフィルターの形成方法を挙げる事ができる。又、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB原色系あるいはY、M、C補色系カラーフィルターを得ることができる。カラーフィルターの場合も色素の使用量の制限はないが0.1〜50質量%が好ましい。
この際使用する熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、及び溶剤とそれらの使用量については、前記特許文献に記載されているものを好ましく使用することができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、DYE−21を用いた実施例は、参考例と読み替えるものとする。