JP4949903B2 - 航空機用スリップマーク印設作業用具 - Google Patents

航空機用スリップマーク印設作業用具 Download PDF

Info

Publication number
JP4949903B2
JP4949903B2 JP2007071364A JP2007071364A JP4949903B2 JP 4949903 B2 JP4949903 B2 JP 4949903B2 JP 2007071364 A JP2007071364 A JP 2007071364A JP 2007071364 A JP2007071364 A JP 2007071364A JP 4949903 B2 JP4949903 B2 JP 4949903B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paint
aircraft
cap
slip mark
nib
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007071364A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008230369A (ja
Inventor
剛之 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2007071364A priority Critical patent/JP4949903B2/ja
Publication of JP2008230369A publication Critical patent/JP2008230369A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4949903B2 publication Critical patent/JP4949903B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pens And Brushes (AREA)
  • Coating Apparatus (AREA)

Description

本発明は、航空機における艤装作業において、例えば、スクリュー、ボルト、配管等の規定トルクをもって取り付けられる連結箇所に義務づけられているスリップマーク印設作業を効率化するための、航空機用スリップマーク印設作業用具に関するものである。
航空機の艤装作業、すなわち、航空機の主機関や補機の据え付け、航空機の運航に必要な機内の諸設備の工事は、航空機の安全な航行にとって非常に重要である。かかる航空機の艤装作業においては、スクリュー、ボルト、配管連結部などの各種螺合連結固定部位は適正なトルクをもって締め付けなければならない。前記各種螺合連結固定部位での螺合締め付けが不十分であれば、螺合が緩み、各種部材の脱落や配管系の漏れなどが生じるおそれがある。一方、前記螺合締め付けが強すぎると、螺合部分を構成している部品に過剰な応力歪みが生じて、部材の疲労を早めることになり、好ましくない。そのため、各種螺合連結固定部位毎に適正な締め付けトルクが標準化されている。かかる艤装作業においては、個々の螺合連結固定部位を規定のトルクにて締め付けた後、個々の螺合連結固定部位を構成している部材、例えば、ボルト部材とナット部材に対してそれらの螺合回転方向に垂直な(配管類では長手方向に一致する)方向に沿って一直線に連続したスリップマークを印設することが仕様として義務づけられている。
前記各種螺合連結固定部位の代表例の模式図を図4、図5に示す。図4に示した例は、機器本体100の所要箇所に皿ねじ101を螺着した部位であり、図5に示した例は、配管103の継ぎ手部位である。図4の場合では、機器本体100の表面と皿ねじ101にかけて連続した一直線にスリップマークSMが印設される。また、図5の場合では、ナット部材104,105とボルト状部材106とに連続した一直線のスリップマークSMが印設される。
前記スリップマークSMの印設は、規定のトルクによって締め付け固定した個々の螺合連結固定部位に経時的に緩みが生じた場合に容易に確認できるようにするためのものであり、そのための塗料およびスリップマークの形状、寸法への要求仕様が厳格である。
スリップマークの印設には、通常、航空機用塗料の使用が要求される。日本の航空機業界においても、前記艤装作業のスリップマークの印設には、赤色と白色の航空機用塗料が用いられており、主に赤色が多用されている。この様な航空機用塗料の好適なものとして、航空機用塗料に関する米国連邦規格で規定される塗料が一般に利用されている。この様な航空機用塗料に関する米国連邦規格としては、従前は米国連邦規格TT−L−32Aが、現在では米国連邦規格A-A-3165が挙げられる。これらの米国連邦規格は航空機機体外装に用いられる塗料を主な対象としたものであり、前記航空機用塗料はこの用途に適した性状のものである。日本では、例えば、日本特殊塗料株式会社製の航空機用塗料(商品名「アミロン#1000」)が用いられている。この赤色塗料は、所定の赤色顔料をトルエン、キシレン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトンからなる揮発性混合溶媒により均一に溶解してなる塗料であり、所定の粘度を有している。
前述のように、スリップマークは、連続した一直線のライン形状であり、その長さは、印設箇所の構造に応じて異なってもよいが、その幅寸法(太さ寸法)は、1〜6mmとすることが要求されることが多い。
前記航空機用塗料を用いた前記規定の形状、寸法のスリップマークの印設は、従来、次のように行っている。
前記航空機用塗料を蓋付きの広口小容器に詰め替え、この小容器を片手に持ち、筆先の細い毛筆を他方の手に持って、筆先を前記小容器内の塗料に漬けて、筆先に塗料を含ませ、所定のトルクにて締め付けが完了した螺合連結固定部位に、幅が1〜6mmの範囲に収まるように、一直線に線を引く。柔らかい筆先を用いて所定幅の真っ直ぐな線を引くことは、かなり難しく、熟練を必要とする塗布作業である。このため作業員がスリップマークの印設作業を行うに当たって技量の習熟期間を必要とした。
塗料の溶媒は揮発性が高いので、小容器の蓋は、筆先を浸す毎に嵌め戻す必要があり、塗料を線状に塗布した筆先は、すぐに溶媒が揮発し、筆先にラッカーと顔料が固化付着するので、スリップマークの印設の都度、溶媒と布を用いて洗浄する必要がある。これら一連の作業は、片方の手に小容器を持ち、他方の手に筆を持っての作業であり、その都度、小容器および筆も持ち直さなければならないため、大変煩雑である。
前記スリップマークの印設作業は、個々の螺合連結固定部位の締め付け作業を終了する毎に個々に行う。この様な螺合締め付け作業を必要とされる箇所は、1回の艤装作業ごとにおおよそ1000箇所以上にも及んでいる。しかしながら、これら多数箇所の螺合連結固定部位の締め付け作業を完了した後に、これら多数箇所の螺合連結固定部位に対して連続してスリップマークの印設作業を行うことは、締め付け作業が終了していない箇所に誤ってスリップマークを印設してしまう手違いが生じるおそれがあり容認できない。このためスリップマークの印設は煩雑で時間を要する作業となっていた。
また、前述の小容器に塗料を詰め替えて行う作業には次のような問題がある。
(1)広口であるため作業中に塗料が乾燥・固化しやすく、艤装作業を通じて塗料の均一性を維持できない。
(2)広口の小容器から塗料に含まれる有機溶剤が蒸発しやすく、作業環境が劣悪化する。
(3)小容器の落下・転倒等により塗料がこぼれて作業環境や艤装すべき航空機を汚染するおそれがある。
(4)作業中に外される蓋が落下し、艤装すべき航空機の内部に入り込み、整備不良あるいは故障の原因となるおそれがある。
殊に高い安全性と作業の精密さを要求される航空機における艤装作業においては、この様な問題発生を回避するために前述の煩雑な作業を慎重に進めることが不可欠であり、これが作業者に多大な負担をかけていた。
上述のように、スリップマークの印設作業は煩雑で時間のかかる作業となっており、作業員に多大の負担をかけるものであった。これは、工場内での作業性に配慮したスリップマーク印設作業用具がこれまでになかったためである。
そこで発明者は液体収納室を有するペン型のスリップマーク印設作業用具を着想するに至り、いわゆる「ふでぺん」を含め様々な液体収納室を有するペン型筐体を検討してみたが、工場の現場作業に適したペンは存在しなかった。しかしながら、検討した中では、特許文献1に開示されているぺんてる株式会社が開発したペンが最も有望であることがわかり、このペンを利用しつつさらに改良を加えることで工場の現場作業に適したスリップマーク印設作業用具の創出をこころみた。
実公平2−2630号公報
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、その課題は、工場内での作業性に配慮したスリップマーク印設作業用具を提供することにある。
上述した課題を解決するために、鋭意、実験、検討した結果、本発明においては前述の航空機用塗料を小容量のペン型容器に収納し、種々の改良を加えることでスリップマークの印設に適用可能とした航空機用スリップマーク印設作業用具を提供する。
即ち、本発明の航空機用スリップマーク印設作業用具は、所定形状を保持し、一方端から他方端へ液体を通過させ得る多孔質材料もしくは繊維集束体からなるペン先と、塗料収納室と、前記ペン先と前記塗料収納室を断続的に連通させ得る弁機構と、前記塗料室と前記弁機構と前記ペン先の一部とを内部に収める軸状筐体と、前記ペン先を気密に着脱自在に覆うキャップと、を有する航空機用スリップマーク印設作業用具であって、前記筐体に形成され、前記キャップを着脱自在に保持するキャップ保持手段と、前記筐体または前記キャップ保持手段に前記キャップを繋留するキャップ繋留手段とを備え、前記塗料収納室に、有機溶媒で希釈された、航空機用塗料が収納されたことを特徴とする。
ここに言う「所定形状を保持し」とは、作業者が使用する際の筆圧程度では形状が変わらない程度に形状を保つことを意味する。
また、筐体は塗料収納室を形成する部材や弁機構を形成する部材と一体でも別体でもよい。
また、キャップ保持手段は筐体端部に形成されていても、筐体の側面に形成されていてもよい。
前記のような航空機用スリップマーク印設作業用具により、特別な技量の習熟期間を要することなく作業性を格段に向上したスリップマーク印設作業が可能となる。即ち、
(1)ペン先が所定形状を保持するようにすることで、ペン先を通じて塗料を印設面に供給する際のペン先と印設面の接触面積を一定に保持でき、印設面に所定の幅のスリップマークを容易に印設可能である。
(2)ペン先と塗料収納室を断続的に連通させ得る弁機構を設けることで、弁機構を介して断続的に塗料収納室に収納されている有機溶媒で希釈された塗料が供給される。ペン先まで塗料が安定して供給されるとともに、有機溶媒が揮発しやすいペン先に有機溶媒を供給することで塗料の固化による閉塞を抑制できる。例えば、作業者が必要に応じて、ペン先を印設面に押圧する等の操作をすることで弁機構を開き、これを介して塗料収納室に収納されている有機溶媒で希釈された塗料をペン先に適宜供給することが可能である。
(3)キャップ保持手段とキャップ繋留手段により、スリップマーク印設作業中にキャップを遺失することなく作業でき、作業終了後直ちにペン先を密閉できるため、従来方法においてラッカーと顔料の固化付着を防ぐためスリップマーク印設作業ごとに行っていた洗浄が不要となり、さらに塗料の落下による汚染やキャップの遺失による機体の整備不良・故障を発生させるおそれもなくなる。また作業中に蒸発する有機溶媒量も少なく抑えられるため作業環境を劣悪化しない。
さらに、本発明の航空機用スリップマーク印設作業用具は、前記有機溶媒が酢酸ブチルであり、重量比(前記航空機用塗料:酢酸ブチル)を45:55〜56:44に希釈されて収納されることが好ましい。
この様な塗料とすることで、塗料収納室内の塗料の特性を視認性に優れかつペン先に安定して供給される状態に所定の使用期間を通じて保つことができる。
前記航空機用塗料としては、航空機用塗料に関する米国連邦規格で規定される航空機用塗料であることが好ましい。この様な航空機用塗料に関する米国連邦規格としては、米国連邦規格A-A-3165が挙げられる。
さらに、本発明の航空機用スリップマーク印設作業用具は、前記ペン先が直径1〜6mmの略円柱状で、一方の先端が先細形状に形成されることが好ましい。
ペン先をこの様な形状とすることで、その作業に最も適した線幅のスリップマークを安定して印設することが可能となる。
さらに、本発明の航空機用スリップマーク印設作業用具は、前記キャップ繋留手段が前記ペン先に前記キャップを装着した状態の方が外した状態よりも伸張する弾性体で形成されていることが好ましい。
さらに、前記キャップ繋留手段はコイル状に形成された弾性体であることが好ましい。
キャップ繋留手段をこのような形状とすることで、ペン先にキャップが装着される際はキャップ繋留手段が伸張した状態でキャップと前記キャップ保持手段とに接続され、キャップ繋留手段がペン本体に接した状態で維持される。これにより、キャップ繋留手段が弛んだ状態の場合に作業場で生じ得る不測の事態、例えば艤装用部品や周辺部材等に引っかかる等の発生を抑制できる。
本発明にかかる航空機用スリップマーク印設作業用具は、航空機艤装作業におけるスリップマーク印設作業を特別な技量の習熟期間を要することなく実施可能とし、その作業性を大幅に向上することができる。
さらに本発明にかかる航空機用スリップマーク印設作業用具は、塗料収納室内の塗料の特性を所定の使用期間を通じて保ち、スリップマークを高い信頼性を持って印設することができる。
さらに本発明にかかる航空機用スリップマーク印設作業用具は、塗料の落下による汚染やキャップの遺失による機体の整備不良・故障の発生を抑制し、作業中に蒸発する有機溶媒量を少なく押さえて作業環境の劣悪化を抑制することができる。
原塗料を前記希釈割合に希釈した塗料を用い、前記ペン先の諸条件を整えることによって、予期せぬ重要な幾つもの効果が得られることが判明した。それらを以下に列挙する。
スリップマークを印設すべき箇所には、雄ねじが露出していることが多々あるが、本発明の航空機用スリップマーク印設作業用具は、ねじの谷部分まで塗料を付着させることができ、スリップマーク全体に途切れが生じることがない。これは、ペン先が一方端から他方端へ液体を通過させ得る性質を有していること、ペン先を通過する塗料が原塗料を有機溶媒によって希釈したものであることによって、ペン先から滲み出る塗料がねじの谷部分にまで達するためであることが、確認された。
また本発明にかかる航空機用スリップマーク印設作業用具を用いれば前述の通りスリップマーク印設作業ごとの洗浄が不要であるため、塗料ならびに有機溶剤の使用量の適切な削減を実現できるという効果を奏する。
また、本発明の航空機用スリップマーク印設作業用具は、工場において保管・使用が容易になるという効果を奏する。即ち、本発明の航空機用スリップマーク印設作業用具はその密閉された塗料収納室に所定量の塗料を収納し、塗料がなくなった場合に、使用済みとなる小容量使い切りの使用形態であり、大量の有機溶剤が一箇所に集積される形を取らない。従って工場において保管する際に特別な管理区域を必要とせず、各作業場に必要量を分散して保管することが可能である。従来の小容器に詰め替えて使用する場合に、塗料および有機溶剤を貯蔵するための特別な管理区域を要し、各作業場からこの管理区域に移動して詰め替え作業を行っていたのと比べると、作業性にもたらす効果は明らかである。
また、塗料は前述のように小容量使い切りの使用形態であり、従来のように追加補充や再調整をされることがない。また、塗料収納室は直接外気に触れることがないので、従来の小容器による場合に避けがたく生じた揮発による塗料濃度の自然増加を防ぐことができる。そのため、作業途中で塗料濃度の再調整作業を行う必要がなく、使用期間を通じて塗料が均質を保つことができる。
以下に、本発明にかかるスリップマーク印設作業用具の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明にかかるスリップマーク印設作業用具の一実施例の要部の断面を示す図である。
図1中、100は後軸1と前軸5とからなる軸状筐体である。この軸状筐体100の後軸1は一方に開口部を有し、内部にスリップマーク印設用の塗料2aを収納した塗料収納室2を有する。この後軸1の開口部外面には、前方にペン先摺動孔3を有する細径部5aと、内部にウレタン等よりなる筒状の多孔質弾性体4を配置した中径部5bとからなる前記軸状筐体100の前軸5が止着固定されている。
軸状筐体100は、例えば外径11mm,長さ120mmに形成される。このような形状とすることで、スリップマークを印設しやすく、携行性にも優れるスリップマーク印設作業用具とすることができる。なお軸状筐体100の形状は上記に限定されるものではなく、印設するスリップマークの推奨幅寸法(1〜6mm)や使用する作業環境に応じて適宜選択すればよい。例えば筐体の外径を5〜30mmの範囲で選択すればよく、筐体の長さを70〜200mmの範囲で選択すればよく、また筐体の断面形状を多角形状としてもよい。
前記前軸5の中径部5b内壁面には、その長手方向に同じ高さを有するリブ(図示せず)が複数本設けられており、該複数本のリブは、多孔性弾性体4の外周面に幾分くい込んでいる。かかる構造によって、これらリブは多孔質弾性体4の固定部7を構成している。すなわち、多孔性弾性体4は、固定部7によって確実に中径部5b内に位置決めされており、固定部7を構成している複数のリブ間に形成された溝は、空気の流通をより確実とするための役目を果たしている。
弁機構6は、円錐状の弁体6aをその先端より中央に有する弁桿6bと、前記弁体6aの先端部分(弁桿)が挿通する弁座6cと、該弁座6c後部に前記弁桿6bを囲むように配置された支持枠体6dと、該支持枠体6dと弁体6aとの間に介装されたバネ6eとから構成されている。前記支持枠体6dの中央には、前記弁桿6bの後端部分が挿通する貫通孔が形成されている。バネは圧縮状態で介装されているので、通常は、前記弁体6aが前記弁座6cに密着している。
前記弁桿6bの先端には、繊維集束体などの一方端から他方端へ液体を通過させ得る材質からなるペン先8が設置されている。このペン先8は、前記ペン先摺動孔3を挿通し、その先端を前記細径部5aの先端開口部から外部に露出させている。この様なペン先8としては、筆圧に抗して所定形状を保持し、かつ収納する塗料に含まれる有機溶剤への耐性のあるものであればよく、例えば合成樹脂繊維を接着剤で固めたペン先を適用可能である。また、筆圧に抗して所定形状を保持し一方端から他方端へ液体を通過させ得る、連続した孔が多数形成されている多孔質材料からなるペン先を適用してもよい。
スリップマーク印設に際しては、ペン先8の先端部をバネ6eの弾発力に抗してペンの内方に押圧し、弁体6aを後方に移動して弁座6cとの間に間隙を生じさせ、この間隙を通して塗料収納室2の塗料を多孔質弾性体4に導出し、この多孔質弾性体4を通すことができる。この様な機構を有することで、作業者の操作に基づき、ペン先8と塗料収納室2を断続的に連通させることができる。これにより、好適量の塗料をペン先8に供給することができる。
なお、前記弁機構6はこれに限定されるものではなく、前記ペン先8と前記塗料収納室2とを、作業者の操作に基づき、連通した状態と遮断した状態とを適宜切り替え可能に接続するものであればよい。
前記塗料収納室2には、前記塗料2aとして、日本特殊塗料株式会社製の航空機用塗料(商品名「アミロン#1000」)を酢酸ブチルにて重量比(前記航空機用塗料:酢酸ブチル)を50:50に希釈した組成の塗料を収納する。
なお、前記塗料2aは重量比50:50に希釈した組成の塗料に限定するものではなく、重量比45:55〜56:44の範囲で希釈した組成の塗料はペン先8への安定供給性とスリップマークの視認性の双方に好適な結果を得ることができる。
塗料の希釈にはペン先8への塗料の安定供給性と印設したスリップマークの視認性から好適な範囲が存在する。即ち、有機溶媒を少なくし原塗料に富む組成の塗料とした場合、弁機構6やペン先8を介してペン先8の先端までの塗料の安定供給性が損なわれる。一方、有機溶媒を増やして希釈すると、ペン先8への安定供給性は維持されるが乾燥塗膜の色濃度が低下し始め、本来のスリップマークに要求される視認性が不十分となる。発明者は試験の結果から、重量比57:43以上に原塗料に富む組成の塗料ではペン先8へ塗料が均一に供給されず安定供給が損なわれ始めること、重量比45:55〜56:44の範囲で希釈した組成の塗料はペン先8への安定供給性とスリップマークの視認性の双方に好適な結果を得られること、重量比45:55に原塗料に乏しい組成の塗料では視認性が劣り、スリップマークとしての機能が低下することを見出した。
前記ペン先8は直径3mmの略円柱状とし、先端2mmを先細形状となるよう加工した。なお、ペン先8の形状は印設するスリップマークの推奨幅寸法(1〜6mm)に応じて適宜設定すればよい。例えばペン先8を直径1〜6mmの範囲で選択すればよく、先端形状も例えば平面に囲まれた線状の接触面を形成してもよい。
前記塗料は成分に顔料を含んでいるので、長期間静止状態に置くと、分散に偏りが生じる可能性があるので、前記塗料供給室2内に撹拌用球体9を収納しておくことが望ましい。
本発明にかかるスリップマーク印設作業用具は、多数の螺合連結箇所の螺合を指定のトルクにより調整した直後、その都度、スリップマークを印設するために使用される。そのため、図2に示すように、ペン先8の露出した先端の乾燥を好適に防ぐことのできる着脱自在なキャップ10は、必須である。このキャップ10は、図に示すように、前記前軸5の中径部5bに密に嵌着する開口端部10aを有している。一方、このキャップ10の閉塞先端部の外周には環状のフランジ部10bが形成されている。このフランジ部10bの一部には後述するキャップ繋留手段11の接続部として貫通小孔が形成され、そこに接続リング11aが固定されている。この接続リング11aには、後述するキャップ繋留手段11の繋留体部としてコイル状に成形されて長さが可変となっている連結コード11bが固定されている。
キャップ10は、前記前軸5の細径部5aに密に嵌着するように形成されていてもよい。また前記前軸5の細径部5aに密に嵌着すると同時に前記前軸5の中径部5bに嵌着するように形成されてもよい。
一方、前記後軸1の基端には、図3に示すように、キャップ保持体(キャップ保持手段)12が外嵌状態で固定されている。このキャップ保持体12は、前記後軸1の基端外周に沿って環状に立設したフランジ部12aと、前記後軸1の基端面から軸線方向に突出した被嵌突起部12bとを有している。
前記フランジ部12aには、前記キャップ10のフランジ部10bと同様に、後述するキャップ繋留手段11の接続部として貫通小孔が形成され、そこに前記接続リング11aと同形同寸法の接続リング11cが固定されている。そして、この接続リング11cには、前記連結コード11bの他端が接続されている。ここで、接続リング11a、連結コード11b、接続リング11cは、キャップ繋留手段11を構成している。
前記連結コード11bは、前記ペン先8に前記キャップ10が装着される際に伸張した状態で前記キャップ10と前記キャップ保持手段12とに接続されればよく、例えばゴムや合成樹脂など自身に伸張性を有する材料や、ばねのように弾性変形して伸張する部材を用いて形成することができる。
前記被嵌突起部12bの外径および長さ寸法は、前記前軸5の中径部5bと同一寸法に設定されている。この被嵌突起部12bに、図に示すように、ペン先端から外したキャップ10を嵌合させ、保持することによって、スリップマーク印設作業中におけるキャップ紛失を防止することができる。
前記キャップ繋留手段11と、前記キャップ保持体(キャップ保持手段)12とによって、スリップマーク印設作業中におけるキャップ10の紛失が、二重に防止されることになる。これらのキャップ紛失を防止する手段は、航空機の艤装作業に用いる器具には、大変重要な構成要素である。というのは、艤装作業によって確立した各種システムにキャップなどの非構成部材が紛れ込んでしまうと、複雑なシステムの動作に予期せぬ不具合を来すおそれがあるからである。このように、航空機艤装作業における異物の混入は厳重に防止されなければならず、艤装作業に使用する器具およびその付属品の紛失防止は厳重に履行されなければならない。そのために、本発明のスリップマーク印設作業用具には、キャップ紛失を防止する手段が必須要素として設けられている。
本発明にかかる航空機用スリップマーク印設作業用具による作業効率の改善度合いを確認するために、同一艤装作業におけるスリップマーク印設処理に対して、細筆を用いた現行の印設方法(従来方法)と、本発明のスリップマーク印設作業用具を用いた印設方法とを実行し、螺合連結固定部位の1箇所当たりの平均作業時間を求めた。その結果、従来方法では、1箇所当たりの平均作業時間は1分であったが、本発明のスリップマーク印設作業用具を用いた印設方法では、1箇所当たりの平均作業時間は0.2分となった。前述のように艤装作業を通じてのスリップマーク印設箇所は1000箇所以上に及ぶため、例えばのべ約17時間を要する作業がのべ約3時間強で行えることとなり、艤装作業を通じての作業時間が飛躍的に短縮され、作業性が大幅に向上できることが確認された。
以上のように、本発明にかかる航空機用スリップマーク印設作業用具は、航空機の艤装作業におけるスリップマーク印設処理を高効率、高信頼性、かつ高い経済性を持って実行することができる。
本発明にかかる航空機用スリップマーク印設作業用具の要部断面図である。 本発明にかかる航空機用スリップマーク印設作業用具のキャップを被着した状態の要部断面図である。 本発明にかかる航空機用スリップマーク印設作業用具の使用中の全体断面図である。 実際のスリップマークの一例を示す模式図である。 実際のスリップマークの他の例を示す模式図である。
符号の説明
1 後軸
2 塗料収納室
2a スリップマーク印設用塗料
3 ペン先摺動孔
4 多孔質弾性体
5 前軸
5a 前軸の細径部
5b 前軸の中径部
6 弁機構
6a 弁体
6b 弁桿
6c 弁座
6d 支持枠体
6e バネ
7 固定部(リブ)
8 ペン先
9 撹拌用球体
10 キャップ
10a キャップの開口端部
10b キャップのフランジ部
11 キャップ繋留手段
11a,11c 接続リング
11b 連結コード
12 キャップ保持体(キャップ保持手段)
12a キャップ保持体のフランジ部
12b キャップ保持体の被嵌突起部
100 軸状筐体
SM スリップマーク

Claims (7)

  1. 所定形状を保持し、一方端から他方端へ液体を通過させ得る多孔質材料もしくは繊維集束体からなるペン先と、
    塗料収納室と、
    前記ペン先と前記塗料収納室を断続的に連通させ得る弁機構と、
    前記塗料室と前記弁機構と前記ペン先の一部とを内部に収める軸状筐体と、
    前記ペン先を気密に着脱自在に覆うキャップと、
    前記筐体に形成され、前記キャップを着脱自在に保持するキャップ保持手段と、
    前記筐体または前記キャップ保持手段に前記キャップを繋留するキャップ繋留手段とを備え、
    前記塗料収納室に、顔料を含む航空機用塗料を酢酸ブチルにより前記航空機用塗料:酢酸ブチルの重量比45:55〜56:44に希釈した塗料が収納されていることを特徴とする航空機用スリップマーク印設作業用具。
  2. 前記ペン先が使用時の筆圧によって形状が変わらず、前記塗料収納室の内部に撹拌用球体が収納されていることを特徴とする請求項1に記載の航空機用スリップマーク印設作業用具。
  3. 前記航空機用塗料が、航空機用塗料に関する米国連邦規格で規定される航空機用塗料であることを特徴とする請求項1または2に記載の航空機用スリップマーク印設作業用具。
  4. 前記ペン先は直径1〜6mmの略円柱状で、一方の先端が先細形状に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の航空機用スリップマーク印設作業用具。
  5. 前記キャップ繋留手段は前記ペン先に前記キャップを装着した状態の方が外した状態よりも伸張する弾性体で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の航空機用スリップマーク印設作業用具。
  6. 前記キャップ繋留手段はコイル状に形成された弾性体であることを特徴とする請求項5に記載の航空機用スリップマーク印設作業用具。
  7. 前記軸状筐体は外径5〜30mm、長さ70〜200mmに形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の航空機用スリップマーク印設作業用具。
JP2007071364A 2007-03-19 2007-03-19 航空機用スリップマーク印設作業用具 Active JP4949903B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007071364A JP4949903B2 (ja) 2007-03-19 2007-03-19 航空機用スリップマーク印設作業用具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007071364A JP4949903B2 (ja) 2007-03-19 2007-03-19 航空機用スリップマーク印設作業用具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008230369A JP2008230369A (ja) 2008-10-02
JP4949903B2 true JP4949903B2 (ja) 2012-06-13

Family

ID=39903683

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007071364A Active JP4949903B2 (ja) 2007-03-19 2007-03-19 航空機用スリップマーク印設作業用具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4949903B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57162881A (en) * 1981-03-31 1982-10-06 Fujitsu Ltd Picture signal converter
JPS6058383U (ja) * 1983-09-28 1985-04-23 ぺんてる株式会社 液式筆記具
US5702759A (en) * 1994-12-23 1997-12-30 Henkel Corporation Applicator for flowable materials
JPH10120962A (ja) * 1996-10-17 1998-05-12 Mitsubishi Pencil Co Ltd 油性インキ組成物
JP2001353457A (ja) * 2000-06-12 2001-12-25 Yamazaki Haguruma Seisakusho:Kk ボルト頭またはナットのマーキング作業具
JP2003080879A (ja) * 2001-09-14 2003-03-19 Sailor Pen Co Ltd:The 筆記具
WO2003085055A1 (en) * 2002-04-01 2003-10-16 Sanford, L.P. Solvent system and ink made therefrom
JP4585932B2 (ja) * 2005-07-07 2010-11-24 株式会社東日製作所 マーカ付締付工具

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008230369A (ja) 2008-10-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6374475B2 (ja) 重力補給式スプレー装置用の通気システム
US7328853B2 (en) Reversible spray tip unit
DK2525919T3 (en) A forced ventilation system for a color in a container by means of gravity-working syringe device
EP0567325A2 (en) Pressure test gauge
EP2822700A1 (de) Spritzpistole und zubehör
US20190193454A1 (en) Writing instrument
KR102252655B1 (ko) 액체 코팅 제품을 구비한 분부기를 공급하기 위한 장치
DE102005028257A1 (de) Einrichtung zum Zuführen von Dichtungsflüssigkeit in einen Luftreifen
JP4949903B2 (ja) 航空機用スリップマーク印設作業用具
US20080145136A1 (en) Reversible nib
US20040061086A1 (en) Pneumatically-controlled needle valve
US10035161B2 (en) Device for supplying a sprayer with a liquid coating product
JP3159541U (ja) ボルトマーキング装置
EP0287588B1 (de) Verfahren und vorrichtung zum freihalten von fluidführenden leitungen zahnärtzlicher handstücke
US1348681A (en) Fountain-brush
JP5519418B2 (ja) マーカおよびこれを備えた締結工具
DE10255747A1 (de) Laseranordnung zur Bearbeitung, insbesondere Beschriftung von Werkstückoberflächen
CN107107089A (zh) 喷射涂覆器工具
JP5637515B2 (ja) 筆記具用キャップ
US1393960A (en) Combination pen and brush
CN218050352U (zh) 拉刀结构
US20220348035A1 (en) A refillable free ink writing instrument provided with a removable tip
US10562057B2 (en) Illumination for grease gun nozzles
US882179A (en) Fountain-pen.
WO2021099613A1 (de) Wechselwerkzeug, bearbeitungszentrum und verfahren zum aufbringen von farbe

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110714

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110726

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110926

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120214

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120308

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150316

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4949903

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150316

Year of fee payment: 3