JP4949797B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、スクロール圧縮機に関するものである。特に、この発明は、作動時に容量制御を行なうスクロール圧縮機に関するものである。
一般に、スクロール圧縮機は、端板の一側面に渦巻き状の壁体を立設した固定スクロールと、端板の一側面に固定スクロールの壁体と実質的に同一形状の渦巻き状の壁体を立設した旋回スクロールとを有している。そして、固定スクロールと旋回スクロールとの各端板の一側面を向き合わせ互いの壁体を組み合わせて配置する。この状態で固定スクロールに対して旋回スクロールを公転旋回運動させることで各壁体間に形成した圧縮室の容積を漸次減少させて当該圧縮室内の流体を圧縮する。
さらに、このようなスクロール圧縮機では、圧縮性能の向上を図るため、固定スクロールと旋回スクロールとを組み合わせる方向における圧縮室の高さを、渦巻きの外側端部側よりも渦巻きの中心部側を低くしているものがある。具体的には、スクロールの渦巻きのピッチ間に位置する端板が、渦巻きの外終端側(流体取込口側)で渦巻きの高さ方向において低く、内終端側(中心側)で高くなる態様で段差部を設けてある。さらに、対向するスクロールが有する壁体の端縁形状が、対応する段差部に係合する態様で形成してある。このような構成により、渦巻きの外終端側ではスクロール同士の端板間が離れるので、流体の取り込み容積を大きくすることができ、内終端側では端板間が近くなるので容積が小さくなり、流体の圧力を高くすることができる。これにより、スクロールの外径を大きくせずに圧縮比を高めることができる。
また、従来のスクロール圧縮機では、固定スクロールの渦巻きのピッチ間にかかる端板に対して流体通孔を設け、当該流体通孔を開閉可能に形成しているものがある。これにより、このようなスクロール圧縮機では、必要に応じて流体通孔を開けることで、圧縮室の圧縮容積を小さくして駆動源の負担を軽減することができる。
さらに、従来のスクロール圧縮機では、これらを組み合わせたものがある。例えば、特許文献1に記載のスクロール圧縮機では、段差部とバイパス孔を備えており、さらに、バイパス孔は段差部の位置よりも渦巻きの中心部側に設けている。これにより、圧縮比を高めつつ容量制御を行なうことができ、さらに、段差部からの流体の漏れを抑制でき、圧力損失を抑制することができる。
特開2005−61295号公報
しかしながら、端板が渦巻きの外終端側で低く、内終端側で高くなる場合、この端板に設けられる壁体は、渦巻きの外終端側で高く、内終端側で低くなる。このため、流体の圧縮時には、渦巻きの形成方向において外終端側に位置する壁体には大きな圧力が作用し、この壁体と端板との接続部分には、大きな応力が発生する。この場合、この部分に流体通孔、即ちポートが開口している場合、壁体と端板との接続部分におけるポートの開口部付近に応力が集中し、強度が低下する虞があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、壁体の高さを変化させて圧縮比を高めると共にポートを設けて容量制御を行なう場合の、壁体と端板との接続部分の強度の低下を抑制できるスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
発明者らの研究によれば、発明者らは課題を解決するにあたり、圧縮室の高さを変化させるスクロール圧縮機を作動させた際における圧縮室の状態を解析した。この解析によれば、スクロール圧縮機には壁体と端板とにより区画される圧縮室は複数形成されており、スクロール圧縮機の作動時には、各圧縮室内の圧力は逐次変化している。このため、壁体を介して隣り合う圧縮室同士の圧力は、異なっている。また、圧縮室の高さを変化させるスクロール圧縮機の場合は、固定スクロールと旋回スクロールの壁体及び端板が、それぞれ段差部を有して高さが変化しており、スクロール圧縮機の作動時には、壁体と端板との段差部は係合したり離間したりする。このため、圧縮室の高さを変化させるスクロール圧縮機の場合には、壁体と端板との段差部が離間した際に、隣合う圧縮室同士が連通するが、連通する期間は、連通する圧縮室同士の圧力はほぼ同じ圧力になっている。
壁体及び端板の高さが一定のスクロール圧縮機の場合は、このような圧縮室同士が連通する期間は無いが、圧縮室の高さを変化させるスクロール圧縮機の場合には、圧縮室同士が連通する期間があり、連通する圧縮室同士の圧力はほぼ同じ圧力になっているため、容量制御をする際には、この期間を利用できることを本発明者らは見出した。このように、本発明者らは、鋭意研究の結果、新たな着目点を見出し、本発明を完成するに至った。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係るスクロール圧縮機は、渦巻き状に形成され、且つ、渦巻きの高さ方向の段差である壁体段差部を有して渦巻きの高さが変化していると共に前記壁体段差部から渦巻きの外側端部側よりも、前記壁体段差部から渦巻きの中心部側の方が渦巻きの高さが低く形成された壁体と、前記壁体が、一側面である圧縮室側面に設けられ、且つ、前記壁体の高さ方向の段差である端板段差部を有して前記壁体の高さ方向における前記圧縮室側面の高さが変化していると共に、前記壁体に沿う渦の方向で前記端板段差部から前記壁体における外側端部側よりも前記端板段差部から前記壁体における中心部側の方が前記圧縮室側面の高さが高く形成された端板と、前記壁体が用いられる第1壁体と前記端板が用いられる第1端板とを備える第1スクロールと、前記壁体が用いられる第2壁体と前記端板が用いられる第2端板とを備え、且つ、前記第2壁体と前記第1壁体とがかみ合わされると共に前記第1壁体と前記第1端板と前記第2壁体と前記第2端板とにより複数の圧縮室が画成された状態で自転を阻止されつつ公転旋回可能に支持され、さらに、公転旋回時に前記第1壁体の前記壁体段差部と前記第2端板の前記端板段差部が係合と離間とを繰り返すと共に前記第2壁体の前記壁体段差部と前記第1端板の前記端板段差部とが係合と離間とを繰り返し、それぞれの前記壁体段差部と前記端板段差部との離間時には隣り合う前記圧縮室同士が連通する第2スクロールと、前記第1スクロールの前記第1端板に形成されると共に前記端板段差部より前記壁体に沿う渦の方向で前記壁体における中心部側に開口することにより前記複数の圧縮室のうちの1つの前記圧縮室と前記圧縮室の外部とを連通可能に形成され、且つ、第2スクロールの公転旋回時に前記第2壁体により前記圧縮室に対する開口と遮断とが繰り返される第1ポートと、前記第1スクロールの前記第1端板に形成されると共に前記端板段差部より前記壁体に沿う渦の方向で前記壁体における外側端部側に開口することにより前記複数の圧縮室のうちの1つの前記圧縮室と前記圧縮室の外部とを連通可能に形成され、且つ、第2スクロールの公転旋回時に前記第2壁体により前記圧縮室に対する開口と遮断とが繰り返され、さらに、前記第1ポートの開口よりも早い時期に開口されると共に前記第1ポートの遮断よりも早い時期に遮断される第2ポートと、を備え、前記第1ポートの開口面積は、前記第2ポートの開口面積よりも大きくなっていることを特徴とする。
この発明では、それぞれ高さが変化している壁体と端板とを備える第1スクロールと第2スクロールとにより圧縮室を形成しているので、壁体の高さ方向における圧縮室の高さを、壁体の形状である渦巻きの外側端部側から中央部側に向かうに従って低くするこができる。これにより、圧縮比を高くすることができる。また、第1スクロールの第1端板に、複数の圧縮室のうちの1つの圧縮室と、当該圧縮室の外部とを連通可能に形成される第1ポートを形成している。この第1ポートは、端板段差部より壁体に沿う渦の方向で壁体における中心部側に開口しているので、第1ポートが開口している部分の圧縮室側面は高さが高くなっている。このため、壁体は、渦巻きの方向において第1ポートが開口している位置では、高さが低くなっているので、この付近に第1ポートを形成することにより、ポートを設けた場合における強度の低下を抑制できる。また、第2スクロールの公転旋回時には、第1壁体の壁体段差部と第2端板の端板段差部、及び第2壁体の壁体段差部と第1端板の端板段差部がそれぞれ係合と離間とを繰り返すことより、隣り合う圧縮室同士が連通する。このため、第1ポートを、各段差部の離間時に連通する2つの圧縮室のうち、一方の圧縮室に開口させることにより、圧縮室同士の連通時には、第1ポートが開口された圧縮室を介して、他方の圧縮室と第1ポートとを連通させることができる。
ここで、従来のスクロール圧縮機では、圧縮する流体をポートから圧縮室の外部に流出させることにより容量制御を行なう場合、容量制御時のアンバランスを低減するため、壁体の渦巻きの方向において180°対称となる位置に位置する2つの圧縮室に、それぞれポートを開口させる。このため、上記のように1つのポートを、圧縮室側面の高さが高くなっている部分に開口させた場合、もう一方のポートは、ほぼ180°の位置に開口させるため、圧縮室側面は高さが低くなっている部分に開口させることになる。この場合、渦巻きの方向において、このポートが開口している位置では、壁体の高さは高くなるので、壁板の強度が低下する虞がある。これに対し、本発明に係るスクロール圧縮機では、壁体の高さが低くなっている部分にのみ第1ポートを開口させ、連通と遮断とが繰り返される2つの圧縮室の連通時に、2つの圧縮室内の流体を第1ポートから圧縮室の外部に流出させることができる。これにより、壁体の高さが高く、強度が低い部分にポートを開口させる必要が無くなる。この結果、壁体の高さを変化させて圧縮比を高めると共にポートを設けて容量制御を行なう場合の、壁体と端板との接続部分の強度の低下を抑制することができる。
また、この発明に係るスクロール圧縮機は、さらに、前記第1スクロールの前記第1端板に形成されると共に前記端板段差部より前記壁体に沿う渦の方向で前記壁体における外側端部側に開口することにより前記複数の圧縮室のうちの1つの前記圧縮室と前記圧縮室の外部とを連通可能に形成され、且つ、第2スクロールの公転旋回時に前記第2壁体により前記圧縮室に対する開口と遮断とが繰り返され、さらに、前記第1ポートの開口よりも早い時期に開口されると共に前記第1ポートの遮断よりも早い時期に遮断される第2ポートを備えることを特徴とする。
この発明では、第1ポートの開口や遮断の時期よりも早い時期に、圧縮室と、圧縮室の外部との開口や遮断が可能な第2ポートを形成している。つまり、第2ポートは、壁体の形状である渦巻きの流れ方向において、第1ポートが形成されている位置よりも、流体の圧縮時に圧力が上昇しない位置に形成されている。これにより、第2ポートが形成される位置では、壁体に対する圧力が小さいので、第2ポートを設けた場合に壁体と端板との接続部分に生じる応力も小さくなる。また、第2ポートを設けることにより、圧縮室内の流体を、より確実に圧縮室の外部に流出することができる。この結果、壁体の高さを変化させて圧縮比を高めると共にポートを設けて容量制御を行なう場合に、より確実に容量制御の性能を確保しつつ、壁体と端板との接続部分の強度の低下を抑制することができる。
また、この発明に係るスクロール圧縮機は、前記第1ポートの開口面積は、前記第2ポートの開口面積よりも大きくなっていることを特徴とする。
この発明では、第1ポートの開口面積は、第2ポートの開口面積よりも大きくなっているので、より多くの流体を圧縮室内から圧縮室の外部に流出させることができる。つまり、上記の発明に係るスクロール圧縮機のように第2ポートを設けた場合、第1ポートよりも早い時期に第2ポートは遮断するので、それ以降は、第2ポートが開口している圧縮室内の流体は、離間した上記各段差部の部分から第1ポートが開口している圧縮室内に流れ、第1ポートから流出する。このため、第2ポートには、第2ポートが開口している圧縮室内の流体のみが流れるが、第1ポートには、第1ポートが開口している圧縮室内の流体と、第2ポートが開口している圧縮室内の流体が流れるので、第1ポートの方が、流体が流れる量が多くなっている。従って、第1ポートの開口面積を、第2ポートの開口面積よりも大きくすることにより、容易に2つの圧縮室内の流体を第1ポートから圧縮室の外部に流出させることができる。この結果、壁体の高さを変化させて圧縮比を高めると共にポートを設けて容量制御を行なう場合に、より確実に容量制御の性能を確保しつつ、壁体と端板との接続部分の強度の低下を抑制することができる。
また、この発明に係るスクロール圧縮機は、前記第2スクロールの公転旋回時における前記圧縮室に対する前記第1ポートの開口が前記第2壁体により遮断される時期と、前記第1壁体の前記壁体段差部と前記第2端板の前記端板段差部の離間、及び前記第2壁体の前記壁体段差部と前記第1端板の前記端板段差部の離間が終了する時期とは同一の時期になっていることを特徴とする。
この発明では、第1ポートの開口が遮断される時期と、各段差部の離間が終了する時期とが同一の時期になっているので、より確実にアンバランスを低減させることができる。つまり、第1ポートの開口が遮断される時期が、各段差部の離間が終了する時期よりも遅い場合、第1ポートが開口している圧縮室のみから流体は流出し、段差部によって第1ポートが開口している圧縮室と連通及び遮断可能に形成されている圧縮室からは流体が流出しないため、第1ポートが開口している圧縮室よりも圧力が高くなる。このため、この期間はアンバランスが発生する虞があるが、第1ポートの開口が遮断される時期と、各段差部の離間が終了する時期とを同一の時期にすることにより、このようなアンバランスを抑制することができる。この結果、壁体の高さを変化させて圧縮比を高めると共にポートを設けて容量制御を行なう場合に、壁体と端板との接続部分の強度の低下を抑制すると共に、より確実に容量制御の性能を確保することができる。
また、この発明に係るスクロール圧縮機は、少なくとも前記第2壁体には、渦巻きの高さ方向における端部に前記第1端板に対して摺動可能なシール部材が設けられており、
前記第1ポートの前記圧縮室側の開口部分である第1ポート開口部は、前記第1端板の前記圧縮室側面における、前記第2スクロールの公転旋回時に前記シール部材が摺動する領域である摺動領域以外の部分に形成されていることを特徴とする。
この発明では、第1ポート開口部は、第2壁体に設けられたシール部材の摺動領域以外の部分に形成されているので、第2スクロールの公転旋回時にシール部材が第1ポート開口部を摺動する際におけるシール部材の摩耗を抑制することができる。この結果、シール部材による密閉性能を長時間維持することができ、スクロール圧縮機の圧縮性能を長時間維持することができる。
本発明に係るスクロール圧縮機は、壁体の高さを変化させて圧縮比を高めると共にポートを設けて容量制御を行なう場合の、壁体と端板との接続部分の強度の低下を抑制することができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係るスクロール圧縮機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機の断面図である。同図に示すスクロール圧縮機1は、スクロール側ハウジング6とシャフト側ハウジング7とからなるハウジング5内に、スクロール30やシャフト87などが配設されている。詳しくは、スクロール側ハウジング6は、カップ状に形成されており、シャフト側ハウジング7は、一端に隔壁部8が設けられることにより、一端が概ね閉止された略円筒形の形状で形成されている。これらのスクロール側ハウジング6とシャフト側ハウジング7とは、スクロール側ハウジング6において開口されている側の端部と、シャフト側ハウジング7において開口されている側の端部とが、スクリュー15によって接続されている。ハウジング5は、このようにスクロール側ハウジング6とシャフト側ハウジング7とが連結されることにより、両端が概ね閉止された略円筒形の形状となって形成されている。また、このスクロール側ハウジング6には、吸入口11と吐出口12とが形成されている。これらの吸入口11と吐出口12とは、当該スクロール圧縮機1の外部に設けられ、スクロール圧縮機1によって圧縮される流体である冷媒ガスが流れる経路である冷媒ガス経路(図示省略)に接続されている。
このように形成されるハウジング5のうち、シャフト側ハウジング7内には、前記シャフト87が設けられている。このシャフト87は、当該シャフト87の回転軸(図示省略)がシャフト側ハウジング7の形状である略円筒形の中心軸(図示省略)とほぼ一致する向きで配設されている。また、シャフト側ハウジング7内には、軸受18が配設されており、シャフト87は、この軸受18によって回転可能に支持されている。また、シャフト側ハウジング7が有する隔壁部8は、隔壁部8の部分に位置するシャフト87の径よりも若干大きな径で開口しており、シャフト87は、この開口している部分からシャフト側ハウジング7の外部に突出している。
また、シャフト側ハウジング7におけるスクロール側ハウジング6に接続されている側の反対側の端部、即ち、隔壁部8には、シールハウジング20が接続されている。このシールハウジング20内には、シール部21が設けられており、シャフト87においてシャフト側ハウジング7から突出している部分は、シールハウジング20内に位置し、シール部21によってシャフト側ハウジング7の内側と外側とが密閉されている。また、シャフト87においてシールハウジング20側に位置する端部は、シャフト87を回転させる駆動手段(図示省略)が接続されている。
また、シャフト87において駆動手段が接続される側の端部の反対側に位置する端部、つまり、スクロール側ハウジング6側の端部には、前記スクロール30が位置しており、このスクロール30は、スクロール側ハウジング6に内設されている。このスクロール30は、第1スクロールである固定スクロール31と、第2スクロールである旋回スクロール51とから形成されており、旋回スクロール51はシャフト87側に位置し、固定スクロール31は、スクロール側ハウジング6の閉止されている側に位置している。
シャフト87の旋回スクロール51側の端部には、シャフト87と平行で、且つ、シャフト87の回転軸から偏った位置に中心軸が位置している、即ち、シャフト87に対して偏心している円筒形の形状で形成された偏心部88が設けられている。この偏心部88は、ドライブッシュ90に回転可能に接続されている。また、旋回スクロール51は、シャフト87側に突出すると共に内側が空洞となって円筒形の形状で形成されたボス85を有しており、ドライブッシュ90は、ボス85の内側に回転自在に嵌装されている。これにより、ボス85は、中心軸が偏心部88の中心軸とほぼ一致した状態でドライブッシュ90により支持されており、ボス85の中心軸は、シャフト87の回転軸から偏心した状態となる。また、ドライブッシュ90には、シャフト87に対して偏心部88が偏心している方向の反対方向、つまり、ボス85がシャフト87の回転軸から偏心している方向と反対方向に重量部分を有するバランスウェイト91が取り付けられている。
また、旋回スクロール51には、シャフト87側の面で、且つ、ボス85の径方向においてボス85よりも外側、つまり、スクロール側ハウジング6寄りの部分に切欠部86が形成されている。この切欠部86には、旋回スクロール51をスラスト方向に支持するスラスト方向支持部材95に設けられた自転阻止機構96が入り込んでいる。このため、これらの構造により、旋回スクロール51は自転が阻止され、シャフト87の回転軸を公転軸として公転旋回可能に設けられている。
このように設けられる旋回スクロール51は、スクロール側ハウジング6内に配設されており、スクロール側ハウジング6内には、さらに固定スクロール31が配設されている。この固定スクロール31は、スクリューによりスラスト方向支持部材95に固定されている。また、スラスト方向支持部材95はスクリューによりシャフト側ハウジング7に固定されている。
また、固定スクロール31は略円板状に形成された端板からなる第1端板である固定スクロール側端板32を有しており、この固定スクロール側端板32の一側面である圧縮室側面37には、渦巻き状に形成された壁体からなる第1壁体である固定スクロール側ラップ41が設けられている。さらに、固定スクロール側ラップ41は、当該固定スクロール側ラップ41の形状である渦巻きの中心付近が、固定スクロール側端板32の形状である略円板状の、円形の中心付近に位置し、渦巻きの外側に向かうに従って、固定スクロール側端板32の円形の径方向における外方に向かう向きで設けられている。
また、旋回スクロール51も固定スクロール31と同様に、略円板状に形成された端板からなる第2端板である旋回スクロール側端板52を有しており、旋回スクロール側端板52の一側面である圧縮室側面57には、渦巻き状に形成された壁体からなる第2壁体である旋回スクロール側ラップ61が設けられている。この旋回スクロール側ラップ61は、実質的に固定スクロール側ラップ41と同一形状で形成されており、固定スクロール側端板32対して固定スクロール側ラップ41が設けられる向きと同様の向きで旋回スクロール側端板52に設けられている。旋回スクロール51に形成されるボス85と切欠部86は、圧縮室側面57の反対側の側面、つまり、旋回スクロール側端板52における旋回スクロール側ラップ61が設けられている側の反対側の側面に形成されている。
これらの固定スクロール31と旋回スクロール51とは、旋回スクロール51のボス85がシャフト87の回転軸に対して偏心していることにより、旋回スクロール51は固定スクロール31に対して偏心している。即ち、固定スクロール31と旋回スクロール51とは、旋回スクロール51の公転旋回半径だけ互いに偏心している。さらに、固定スクロール31と旋回スクロール51とは、固定スクロール側ラップ41と旋回スクロール側ラップ61との位相を180°ずらし、且つ、固定スクロール側ラップ41と旋回スクロール側ラップ61とをかみ合わせた状態で設けられている。
また、固定スクロール31には、固定スクロール31における旋回スクロール51側の空間と固定スクロール支持部材97側の空間とを連通する孔である吐出ポート36が形成されている。また、固定スクロール31には、吐出ポート36において固定スクロール側ラップ41が設けられている側の反対側に開口している部分に、吐出ポート36を開閉する吐出弁75が設けられている。この吐出弁75は、吐出ポート36内が所定以上の圧力になった際に吐出ポート36を開くように形成されている。
また、固定スクロール支持部材97には、固定スクロール31の吐出ポート36における固定スクロール支持部材97側に開口している部分から、スクロール側ハウジング6の吐出口12方向にかけて形成された吐出通路98が形成されている。これにより、固定スクロール31の吐出ポート36とスクロール側ハウジング6の吐出口12とは、固定スクロール支持部材97の吐出通路98を介して連通している。
図2は、図1のA−A断面図である。図3は、図2のC−C断面図である。固定スクロール31が有する固定スクロール側ラップ41は、渦巻き状に形成されると共に渦巻きの高さが変化しており、渦巻きの高さが、渦巻きの外側端部47側よりも中心部側の方が低く形成されている。また、固定スクロール側端板32は、厚さが、固定スクロール側ラップ41における外側端部47側よりも固定スクロール側ラップ41における中心部側の方が厚く形成されている。詳しくは、固定スクロール側ラップ41は、圧縮室側面37の反対側の面である外側面38から固定スクロール側ラップ41の先端であるラップ先端42までの高さが2種類の高さにより形成されている。このため、固定スクロール側ラップ41は、ラップ先端42が段差となって渦巻きの高さ方向における外側面38からの高さが変化する壁体段差部であるラップ段差部43を有している。
つまり、固定スクロール側ラップ41は、ラップ段差部43から渦巻きの外側端部47側の部分よりも、ラップ段差部43から、渦巻きの中心部側に位置する端部である内側端部46側の部分の方が、渦巻きの高さ方向における外側面38からの高さが低く形成されている。このように、固定スクロール側ラップ41において渦巻きの外側端部47側に位置し、外側面38からの高さが高くなっている部分は高ラップ部44となっており、渦巻きの内側端部46側に位置し、外側面38からの高さが低くなっている部分は低ラップ部45となっている。
また、固定スクロール側端板32は、外側面38はほぼ平面となっており、固定スクロール側ラップ41の高さ方向における圧縮室側面37の位置が変化することにより、厚さが変化している。具体的には、圧縮室側面37は、固定スクロール側ラップ41の高さ方向における圧縮室側面37の高さが2種類の高さで形成されており、これにより固定スクロール側端板32は、外側面38からの厚さが2種類の厚さによって形成されている。このため、固定スクロール側端板32は、圧縮室側面37が段差となって固定スクロール側ラップ41の高さ方向における圧縮室側面37の高さが変化する部分である端板段差部33を有している。また、圧縮室側面37は、渦巻きの略径方向で隣合う固定スクロール側ラップ41間に位置しているため、端板段差部33は、固定スクロール側ラップ41間の渦巻きの方向における所定の位置に形成されている。
また、この圧縮室側面37の外側面38からの高さは、固定スクロール側ラップ41に沿う渦の方向で端板段差部33から固定スクロール側ラップ41における外側端部47側よりも、端板段差部33から固定スクロール側ラップ41における中心部側、即ち内側端部46側の方が高く形成されている。即ち、固定スクロール側端板32の厚さは、固定スクロール側ラップ41に沿う渦の方向における固定スクロール側ラップ41の内側端部46付近から端板段差部33までの部分の厚さよりも、端板段差部33から固定スクロール側ラップ41に沿う渦の方向における外側方向に位置する部分の厚さの方が薄くなっている。このように、固定スクロール側端板32において固定スクロール側ラップ41の渦巻きの内側端部46側に位置し、厚さが厚くなっている部分は端板厚部34となっており、渦巻きの外側端部47側に位置し、厚さが薄くなっている部分は端板薄部35となっている。
また、固定スクロール側ラップ41には、渦巻きの高さ方向における端部であるラップ先端42に、シール部材であるチップシール48が設けられている。このチップシール48は、ラップ先端42に形成された、チップシール48の嵌合用の溝(図示省略)に嵌合されている。また、このチップシール48は、高ラップ部44のラップ先端42、及び低ラップ部45のラップ先端42に設けられている。
また、固定スクロール31には、圧縮室側面37から外側面38にかけて貫通し、圧縮室側面37と外側面38とに開口した孔の形状で形成された第1ポートである内側ポート71が形成されており、圧縮室側面37への開口部分は、内側ポート開口部72となっている。この内側ポート71は、固定スクロール31の固定スクロール側端板32に形成されており、内側ポート開口部72は、端板段差部33より、固定スクロール側ラップ41に沿う渦の方向で固定スクロール側ラップ41における中心部側、或いは内側端部46側に開口されている。即ち、内側ポート開口部72は、端板厚部34の圧縮室側面37に開口されている。
また、圧縮室側面37において内側ポート開口部72が開口している部分は、固定スクロール側ラップ41の渦巻きの略径方向における内側に低ラップ部45が位置し、外側に高ラップ部44が位置し、この低ラップ部45と高ラップ部44との間に位置する圧縮室側面37に開口している。内側ポート開口部72は、この圧縮室側面37のうちの、高ラップ部44との接続部分付近に形成されている。このため、内側ポート開口部72は、高ラップ部44における湾曲形状の内側に位置しており、固定スクロール側ラップ41のいわゆる腹側に位置している。
また、内側ポート71は、断面形状が略円形の形状で形成されている。さらに、内側ポート開口部72は、圧縮室側面37と高ラップ部44との接続部分付近に形成されており、内側ポート71のうちの一部は固定スクロール側ラップ41に遮断されているため、圧縮室側面37に開口している内側ポート開口部72は、略半円形の形状で形成されている。
また、この内側ポート71の外側面38側の開口部には、当該内側ポート71の開閉を行なう容量制御弁76が設けられている(図1参照)。この容量制御弁76は、電磁駆動等の駆動手段(図示省略)により、任意のタイミングで開閉することができる。
図4は、図1のB−B断面図である。図4において、旋回スクロール51は、旋回スクロール側ラップ61が固定スクロール31の固定スクロール側ラップ41と同等の形状で形成されており、旋回スクロール側端板52が固定スクロール31の固定スクロール側端板32と同等の形状で形成されている。具体的には、旋回スクロール51が有する、旋回スクロール側ラップ61は、固定スクロール側ラップ41と同様に(図2、図3参照)、渦巻きの高さ方向の段差を有しており、つまり、ラップ先端62が段差となって渦巻きの高さ方向における高さが変化する壁体段差部であるラップ段差部63を有している。また、旋回スクロール側ラップ61は、ラップ段差部63から渦巻きの外側端部67側の部分よりも、ラップ段差部63から、渦巻きの中心部側に位置する端部である内側端部66側の部分の方が、渦巻きの高さ方向における高さが低く形成されている。
このように、旋回スクロール側ラップ61において渦巻きの外側端部67側に位置している部分は高ラップ部64となっており、渦巻きの内側端部66側に位置している部分は低ラップ部65となっている。また、旋回スクロール側ラップ61には、固定スクロール側ラップ41と同様に、渦巻きの高さ方向における端部であるラップ先端62に、シール部材であるチップシール68が設けられている。
旋回スクロール51が有する、旋回スクロール側端板52は、固定スクロール側端板32と同様に(図2、図3参照)、旋回スクロール側ラップ61が形成されている側の面である圧縮室側面57に端板段差部53が形成されている。つまり、圧縮室側面57は、旋回スクロール側ラップ61に沿う渦の方向で端板段差部53から旋回スクロール側ラップ61における外側端部67側よりも、端板段差部53から旋回スクロール側ラップ61における中心部側、即ち内側端部66側の方が、旋回スクロール側ラップ61の高さ方向における高さが高くなっている。このため、旋回スクロール側端板52は、固定スクロール側端板32と同様に厚さが変化しており、旋回スクロール側端板52において圧縮室側面57の高さが高い部分は端板厚部54となっており、圧縮室側面57の高さが低い部分は端板薄部55となっている。
このように形成される固定スクロール31と旋回スクロール51とは、固定スクロール側ラップ41と旋回スクロール側ラップ61とをかみ合わせた状態では、固定スクロール31の高ラップ部44のラップ先端42は、旋回スクロール51の端板薄部55の圧縮室側面57に接触し、固定スクロール31の低ラップ部45のラップ先端42は、旋回スクロール51の端板厚部54の圧縮室側面57に接触する。同様に、旋回スクロール51の高ラップ部64のラップ先端62は、固定スクロール31の端板薄部35の圧縮室側面37に接触し、旋回スクロール51の低ラップ部65のラップ先端62は、固定スクロール31の端板厚部34の圧縮室側面37に接触する(図1参照)。
さらに、固定スクロール31の固定スクロール側ラップ41と固定スクロール側端板32、及び旋回スクロール51の旋回スクロール側ラップ61と旋回スクロール側端板52とにより画成される空間は、圧縮室80となっている。この圧縮室80は、固定スクロール31と旋回スクロール51とを組み合わせた状態で複数形成されている。
この実施例1に係るスクロール圧縮機1は以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。スクロール圧縮機1を運転すると、駆動手段によってシャフト87が回転する。シャフト87が回転すると、シャフト87に対して偏心した偏心部88がシャフト87の回転軸を中心として公転運動をする。これにより、この偏心部88にドライブッシュ90を介して接続されている旋回スクロール51は、公転旋回運動をする。その際に、旋回スクロール51の切欠部86には、スラスト方向支持部材95に設けられた自転阻止機構96が挿入されているので、旋回スクロール51は自転することなく、シャフト87の回転軸を中心として公転旋回運動をする。また、シャフト87が回転をした場合、ドライブッシュ90にはバランスウェイト91が取り付けられているので、シャフト87の回転時に旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより発生するアンバランスは、バランスウェイト91の作用により低減される。
旋回スクロール51が、このように公転旋回運動をすると、旋回スクロール51に形成されている旋回スクロール側ラップ61と、固定スクロール31に形成されている固定スクロール側ラップ41との相対的な位置が変化する。この変化により、旋回スクロール51と固定スクロール31とによって区画されている圧縮室80の形状が変化する。この変化により、冷媒ガスは吸入口11から圧縮室80に流入する。
圧縮室80に流入した冷媒ガスは、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、圧縮されながら、固定スクロール側ラップ41の外側端部47方向から内側端部46方向、即ち、渦巻きの外側方向から中心部の方向に向かう。その際に、固定スクロール側ラップ41及び旋回スクロール側ラップ61は、高ラップ部44、64と低ラップ部45、65とを有しており、ラップの高さが外側端部47、67よりも内側端部46、66の方が低くなっているため、冷媒ガスは、ラップの高さ方向にも圧縮される。
このように、圧縮されながら内側端部46、66の方向に向かう冷媒ガスは、内側端部46、66に近付いた際に、固定スクロール31の内側端部46付近に位置する吐出ポート36に流れる。即ち、冷媒ガスは、圧縮された状態で吐出ポート36から圧縮室80の外側に吐出される。さらに、この冷媒ガスは、固定スクロール支持部材97に形成された吐出通路98を通り、スクロール側ハウジング6の吐出口12から圧力が高くなった状態で吐出される。
また、スクロール圧縮機1の通常運転時は、容量制御弁76は閉じられている。これにより、内側ポート71は、閉じられている。このため、圧縮室80内の冷媒ガスは、内側ポート71からは、固定スクロール31の外側面38側には流出せず、旋回スクロール51の公転旋回運動により旋回スクロール51と固定スクロール31とによって圧縮され、吐出ポート36から吐出口12に向けて吐出される。
これに対し、スクロール圧縮機1の能力があまり必要ではない場合、換言すると、スクロール圧縮機1による吸い込み冷媒ガス量を低減させてもよい場合には、容量制御弁76を開く。これにより、圧縮室80内の冷媒ガスは、内側ポート71を通って、固定スクロール31の外側面38側に流出する。圧縮室80から流出した冷媒ガスは、吐出口12から吐出される。これにより、圧縮する冷媒ガスの量が低減し、冷媒ガスを圧縮する際における仕事量が低減するので、旋回スクロール51を公転旋回運動させる場合における抵抗が小さくなる。また、このように、容量制御弁76を開閉することにより、圧縮する冷媒ガスの量を低減することができるので、圧縮する冷媒の実質的な容量を制御することができる。
また、旋回スクロール51を公転旋回運動させて旋回スクロール51と固定スクロール31とにより冷媒ガスを圧縮すると、冷媒ガスの圧力は高くなる。このため、冷媒ガスから圧縮室80を形成する各部に作用する圧力も高くなり、固定スクロール側ラップ41に作用する圧力も高くなる。
この固定スクロール側ラップ41は、高ラップ部44と低ラップ部45とを有しており、また、固定スクロール側ラップ41が設けられる固定スクロール31が有する固定スクロール側端板32は、端板厚部34と端板薄部35とを有している。このうち、端板薄部35に設けられる固定スクロール側ラップ41の、当該端板薄部35の圧縮室側面37からラップ先端42までの高さは、端板厚部34に設けられる固定スクロール側ラップ41の、当該端板厚部34の圧縮室側面37からラップ先端42までの高さよりも高くなっている。
このため、冷媒ガスから圧力が固定スクロール側ラップ41に作用した場合に、端板厚部34に設けられる固定スクロール側ラップ41と圧縮室側面37との接続部分に作用するモーメントよりも、端板薄部35に設けられる固定スクロール側ラップ41と圧縮室側面37との接続部分に作用するモーメントの方が大きくなる。
これにより、端板薄部35に設けられる固定スクロール側ラップ41と圧縮室側面37との接続部分には、端板厚部34に設けられる固定スクロール側ラップ41と圧縮室側面37との接続部分よりも、大きな応力が作用する。これに対し、内側ポート開口部72は、端板薄部35に設けられる固定スクロール側ラップ41と圧縮室側面37との接続部分には形成されておらず、端板厚部34に設けられる固定スクロール側ラップ41と圧縮室側面37との接続部分にのみ形成されている。このため、端板薄部35に設けられる固定スクロール側ラップ41と圧縮室側面37との接続部分の強度を確保することができる。
図5−1〜図5−5は、固定スクロールと旋回スクロールとを組み合わせた状態での動作を示す説明図である。固定スクロール31と旋回スクロール51とを組み合わせると、互いの高ラップ部44、64のラップ先端42、62は、他方の端板薄部35、55の圧縮室側面37、57に接触し、互いの低ラップ部45、65のラップ先端42、62は、他方の端板厚部34、54の圧縮室側面37、57に接触する。このため、旋回スクロール51の公転旋回運動時は、互いのラップ先端42、62の設けられたチップシール48、68が、他方の圧縮室側面37、57に接触して摺動しながら、旋回スクロール51は公転旋回運動をする。
このように、固定スクロール31と旋回スクロール51とを組み合わせ、固定スクロール側ラップ41と旋回スクロール側ラップ61とがかみ合った状態では、圧縮室80は、対向する固定スクロール側ラップ41と旋回スクロール側ラップ61、及び対向する固定スクロール側端板32の圧縮室側面37と旋回スクロール側端板52の圧縮室側面57とによって、複数形成される。
具体的には、固定スクロール側ラップ41と旋回スクロール側ラップ61とは同等の形状で形成されており、固定スクロール31と旋回スクロールと51は、固定スクロール側ラップ41と旋回スクロール側ラップ61との位相を180°ずらした状態で組み合わされているため、複数の圧縮室は、180°対称の位置に、ほぼ同等な形状で形成される。また、このように形成される複数の圧縮室80のうち、内側ポート開口部72が開口している部分の圧縮室側面37を含んで区画される圧縮室80は、圧縮室80内の冷媒ガスが内側ポート71から圧縮室80の外部に流出することにより、容量制御が可能になっている。
また、この内側ポート開口部72は、固定スクロール側端板32の圧縮室側面37に形成されているため、旋回スクロール51の公転旋回時には、ラップ先端62が固定スクロール側端板32の圧縮室側面37に接触し、摺動している旋回スクロール側ラップ61により、内側ポート開口部72は開閉される。これにより、内側ポート開口部72は、旋回スクロール51の公転旋回時には、旋回スクロール側ラップ61により圧縮室80に対する開口と遮断とが繰り返される。
また、固定スクロール31と旋回スクロール51とを組み合わせた状態では、固定スクロール側ラップ41のラップ段差部43と、旋回スクロール側端板52の端板段差部53、及び旋回スクロール側ラップ61のラップ段差部63と、固定スクロール側端板32の端板段差部33は、近接した位置に位置する。このため、旋回スクロール51の公転旋回時には、固定スクロール側ラップ41のラップ段差部43と旋回スクロール側端板52の端板段差部53は、係合と離間とを繰り返し、旋回スクロール側ラップ61のラップ段差部63と固定スクロール側端板32の端板段差部33とは、係合と離間とを繰り返す。また、これらの固定スクロール側ラップ41や旋回スクロール側ラップ61は、圧縮室80を画成しており、複数の圧縮室80は、固定スクロール側ラップ41や旋回スクロール側ラップ61を介して隣り合っている。従って、旋回スクロール51の公転旋回時における、それぞれのラップ段差部43、63と端板段差部33、53との離間時には、隣り合う圧縮室80同士が連通する。
このように、旋回スクロール51の公転旋回時における内側ポート開口部72の開閉と、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53との係合、及び離間に伴う圧縮室80同士の連通とを説明すると、内側ポート開口部72上に旋回スクロール側ラップ61が位置している場合、内側ポート開口部72は圧縮室80に対して遮断される(図5−1参照)。
また、複数の圧縮室80のうち、内側ポート開口部72の近傍に位置すると共に固定スクロール31と旋回スクロール51のラップ段差部43、63と端板段差部33、53の近傍に位置し、さらに、ほぼ180°対称の位置にほぼ対称の形で設けられる2つの圧縮室80について説明すると、内側ポート開口部72が遮断された状態では、圧縮室80と、当該圧縮室80の外部とは遮断されている。さらに、この場合、それぞれのラップ段差部43、63と端板段差部33、53とは、係合している。このため、2つの圧縮室80は連通していない。
図5−2は、図5−1の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。旋回スクロール51の公転旋回運動が進むと、圧縮室80は容積が小さくなりながら、渦巻きの中心方向に移動をする。また、旋回スクロール51の公転旋回運動が進み、旋回スクロール側ラップ61が内側ポート開口部72上から離れると、内側ポート開口部72は2つの圧縮室80のうち、1つの圧縮室80であるポート側圧縮室81に対して開口する。これにより、内側ポート開口部72は、容量制御弁76が開いている状態の場合には、ポート側圧縮室81と、当該ポート側圧縮室81の外部とを連通させることができ、ポート側圧縮室81内の冷媒ガスは、内側ポート71からポート側圧縮室81の外部に流出する。
また、内側ポート開口部72が開口しても、固定スクロール31と旋回スクロール51とのそれぞれのラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが係合している場合には、2つの圧縮室80は連通しない。このため、2つの圧縮室80のうち、他方の圧縮室80である隔離側圧縮室82は、隔離側圧縮室82以外の部分と隔離された状態で容積が小さくなりながら移動をする。
図5−3は、図5−2の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。さらに、旋回スクロール51の公転旋回運動が進んだ場合でも、内側ポート開口部72がポート側圧縮室81に開口している場合には、ポート側圧縮室81内の冷媒ガスは内側ポート71から流出する。また、旋回スクロール51の公転旋回運動が進むことにより、固定スクロール31と旋回スクロール51とのそれぞれのラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが離間した場合には、この部分でポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とは連通する。ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが離間し、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とが連通した場合には、隔離側圧縮室82内の冷媒ガスは、この部分を通ってポート側圧縮室81内に流れる。
例えば、固定スクロール31のラップ段差部43と、旋回スクロール51の端板段差部53とが離間した場合には、隔離側圧縮室82内の冷媒ガスは、ラップ段差部43と端板段差部53との間を通って、ポート側圧縮室81内に流れる。即ち、ポート側圧縮室81は、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とが連通するよりも先に内側ポート71に連通し、ポート側圧縮室81内の冷媒ガスは内側ポート71から流出しているのに対し、隔離側圧縮室82は、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とが連通する前は、隔離側圧縮室82内の冷媒ガスが流出することなく、当該冷媒ガスは圧縮が進行している。このため、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とが連通した際には、ポート側圧縮室81内よりも隔離側圧縮室82内の方が圧力が高くなっているため、隔離側圧縮室82内の冷媒ガスは、ラップ段差部43と端板段差部53との間を通って、ポート側圧縮室81内に流れる。このように、ポート側圧縮室81内に流れた冷媒ガスは、ポート側圧縮室81に開口した内側ポート71より、外部に流出する。
図5−4は、図5−3の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。旋回スクロール51が、さらに公転旋回運動をすると、固定スクロール31と旋回スクロール51とのそれぞれのラップ段差部43、63と端板段差部33、53とは再び係合する。これにより、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とは遮断され、隔離側圧縮室82は、再び隔離側圧縮室82以外の部分と隔離された状態になる。このため、隔離側圧縮室82内の冷媒ガスは、ポート側圧縮室81内には流れなくなる。一方、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とが遮断された後でも、内側ポート71は、しばらくの間はポート側圧縮室81に開口している。このため、ポート側圧縮室81内の冷媒ガスは、内側ポート71を通ってポート側圧縮室81の外部に流出する。
図5−5は、図5−4の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。旋回スクロール51が、さらに公転旋回運動をすると、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とは遮断された状態のまま、内側ポート71が閉じられる。つまり、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、旋回スクロール51の旋回スクロール側ラップ61が内側ポート開口部72上に位置し、内側ポート71は閉じられる。これにより、内側ポート開口部72は、ポート側圧縮室81に対して遮断される。このように、内側ポート開口部72がポート側圧縮室81に対して遮断されることにより、ポート側圧縮室81は、隔離側圧縮室82と同様に外部と遮断される。従って、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とは、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、外部と遮断された状態で内部の冷媒ガスが圧縮される。
図6は、内側ポートの開閉と、ラップ段差部及び端板段差部の係合との関係を示す説明図である。旋回スクロール51の公転旋回時における作用をまとめると、旋回スクロール51が公転旋回運動をすると、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが係合した後(a)、内側ポート71がポート側圧縮室81に対して開口する(b)。これにより、ポート側圧縮室81は、内側ポート71に連通し(c)、ポート側圧縮室81内の冷媒ガスは、内側ポート71から外部に流出する。また、この状態では、隔離側圧縮室82は内側ポート71に連通しないため、隔離側圧縮室82内の冷媒ガスは圧縮される(d)。その後、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とは離間する(e)。これにより、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とは連通するため、隔離側圧縮室82は、ポート側圧縮室81を介して内側ポート71に連通し(f)、隔離側圧縮室82内の冷媒ガスは、ポート側圧縮室81を介して内側ポート71から外部に流出する。
さらに、その後、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、内側ポート71が開口した状態で、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが再び係合すると(g)、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とは遮断される。このため、隔離側圧縮室82は、再び内側ポート71に連通しなくなり、隔離側圧縮室82内の冷媒ガスは圧縮される(h)。内側ポート71やラップ段差部43、63、及び端板段差部33、53の近傍に位置するポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とは、旋回スクロール51の公転旋回運動時には、これらが繰り返される。
以上のスクロール圧縮機1は、高さが変化している固定スクロール側ラップ41と固定スクロール側端板32とを備える固定スクロール31と、高さが変化している旋回スクロール側ラップ61と旋回スクロール側端板52とを備える旋回スクロール51とにより圧縮室80を形成しているので、固定スクロール側ラップ41や旋回スクロール側ラップ61の高さ方向における圧縮室80の高さを、これらのラップの形状である渦巻きの外側端部47、67側から、中央部側、即ち内側端部46、66側に向かうに従って低くするこができる。これにより、圧縮比を高くすることができる。また、固定スクロール31の固定スクロール側端板32に、複数の圧縮室80のうちの1つの圧縮室80であるポート側圧縮室81と、当該ポート側圧縮室81の外部とを連通可能に形成される内側ポート71を形成している。この内側ポート71は、固定スクロール側端板32の端板段差部33より、固定スクロール側ラップ41に沿う渦の方向における固定スクロール側ラップ41の内側端部46側に開口しているので、内側ポート71が開口している部分の圧縮室側面37は、高さが高くなっている。このため、固定スクロール側ラップ41は、渦巻きの方向において内側ポート71が開口している位置では、高さが低くなっているので、この付近に内側ポート71を形成することにより、容量制御用のポートを設けた場合における強度の低下を抑制できる。
また、旋回スクロール51の公転旋回時には、固定スクロール側ラップ41のラップ段差部43と旋回スクロール側端板52の端板段差部53、及び旋回スクロール側ラップ61のラップ段差部63と固定スクロール側端板32の端板段差部33がそれぞれ係合と離間とを繰り返すことより、隣り合う圧縮室80同士、即ち、ポート側圧縮室81と隔離側圧縮室82とが連通する。このため、内側ポート71を、各段差部の離間時に連通する2つの圧縮室80のうち、一方の圧縮室80であるポート側圧縮室81に開口させることにより、2つの圧縮室80の連通時には、このポート側圧縮室81を介して、他方の圧縮室80である隔離側圧縮室82と内側ポート71とを連通させることができる。
ここで、従来のスクロール圧縮機では、圧縮する冷媒ガスをポートから圧縮室の外部に流出させることにより容量制御を行なう場合、容量制御時のアンバランスを低減するため、ラップの渦巻きの方向において180°対称となる位置に位置する2つの圧縮室に、それぞれポートを開口させる。このため、上記のように1つのポートを、圧縮室側面の高さが高くなっている部分に開口させた場合、もう一方のポートは、ほぼ180°の位置に開口させるため、圧縮室側面は高さが低くなっている部分に開口させることになる。この場合、渦巻きの方向において、このポートが開口している位置では、ラップの高さは高くなるので、ラップの強度が低下する虞がある。
これに対し、本発明に係るスクロール圧縮機1では、固定スクロール側ラップ41の高さが低くなっている部分にのみ内側ポート71を開口させ、連通と遮断とが繰り返される2つの圧縮室80の連通時に、2つの圧縮室80内の冷媒ガスを内側ポート71から圧縮室80の外部に流出させることができる。これにより、固定スクロール側ラップ41の高さが高く、強度が低い部分にポートを開口させる必要がなくなる。この結果、ラップの高さを変化させて圧縮比を高めると共にポートを設けて容量制御を行なう場合の、固定スクロール側ラップ41と固定スクロール側端板32との接続部分の強度の低下を抑制することができる。
実施例2に係るスクロール圧縮機は、実施例1に係るスクロール圧縮機と略同様の構成であるが、内側ポートよりも早い時期で圧縮室に対して開口する外側ポートを設けている点に特徴がある。他の構成は実施例1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。図7は、本発明の実施例2に係るスクロール圧縮機が有する固定スクロールの平面図である。同図に示す固定する固定スクロール111には、圧縮室側面37から外側面38(図3参照)にかけて貫通し、圧縮室側面37と外側面38とに開口した孔の形状で形成された第2ポートである外側ポート112が形成されており、圧縮室側面37への開口部分は、外側ポート開口部113となっている。この外側ポート112は、固定スクロール111の固定スクロール側端板32に形成されると共に、外側ポート開口部113は、固定スクロール側端板32の端板段差部33より、固定スクロール側ラップ41に沿う渦の方向で固定スクロール側ラップ41における外側端部47側に開口している。
この外側ポート112は、固定スクロール111と旋回スクロール51とを組み合わせた場合に形成される複数の圧縮室80のうち、1つの圧縮室80と、当該圧縮室80の外部とを連通可能に形成されている。また、この外側ポート112は、旋回スクロール51の公転旋回時に、旋回スクロール側ラップ61により圧縮室80に対する開口と遮断とが繰り返され、さらに、内側ポート71の開口よりも早い時期に開口されると共に、内側ポート71の遮断よりも早い時期に遮断される。
また、圧縮室側面37において外側ポート開口部113が開口している部分は、固定スクロール側ラップ41の渦巻きの略径方向における内側と外側との双方に高ラップ部44が位置し、略径方向において隣り合う高ラップ部44間に位置する圧縮室側面37となっている。外側ポート開口部113は、この圧縮室側面37のうちの、略径方向における内側に位置する高ラップ部44との接続部分付近に形成されている。このため、外側ポート開口部113は、高ラップ部44における湾曲形状の外側に位置しており、固定スクロール側ラップ41のいわゆる背側に位置している。
また、外側ポート112は、内側ポート71と同様に断面形状が略円形の形状で形成されている。さらに、外側ポート開口部113は、圧縮室側面37と、渦巻きの略径方向において当該圧縮室側面37の内側方向に位置する高ラップ部44との接続部分付近に形成されており、外側ポート112のうちの一部は固定スクロール側ラップ41に遮断されているため、圧縮室側面37に開口している外側ポート開口部113は、略半円形の形状で形成されている。また、内側ポート開口部72の開口面積は、外側ポート開口部113の開口面積よりも大きくなっている。
図8−1〜図8−5は、固定スクロールと旋回スクロールとを組み合わせた状態での動作を示す説明図である。この実施例2に係るスクロール圧縮機1は以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。旋回スクロール51が公転旋回運動をすると、複数の圧縮室80のうち、ほぼ180°対称の位置にほぼ対称の形で設けられる2つの圧縮室80を見た場合、内側ポート71側に位置する圧縮室80である内側ポート側圧縮室115に内側ポート71が開口するよりも、外側ポート112側に位置する圧縮室80である外側ポート側圧縮室116に開口可能に形成された外側ポート112の方が、早く開口する。つまり、公転旋回運動時に旋回スクロール51が有する旋回スクロール側ラップ61は、内側ポート開口部72上に旋回スクロール側ラップ61が位置している状態において、外側ポート開口部113上に位置している旋回スクロール側ラップ61が、外側ポート開口部113上から離れる。これにより、外側ポート開口部113は、容量制御弁76が開いている状態の場合には、外側ポート側圧縮室116と、当該外側ポート側圧縮室116の外部とを連通させることができ、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは、外側ポート112を通って外側ポート側圧縮室116の外部に流出する。
また、この状態では、固定スクロール側ラップ41のラップ段差部43と旋回スクロール側端板52の端板段差部53、及び旋回スクロール側ラップ61のラップ段差部63と固定スクロール側端板32の端板段差部33は係合しているため、外側ポート側圧縮室116と内側ポート側圧縮室115とは、遮断されている(図8−1)。このため、内側ポート側圧縮室115は、密閉されて外部と遮断されており、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、内側ポート側圧縮室115は容積が小さくなる。
図8−2は、図8−1の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。旋回スクロール51の公転旋回運動が進むと、圧縮室80は容積が小さくなりながら、渦巻きの中心方向に移動をする。また、旋回スクロール51の公転旋回運動が進み、旋回スクロール側ラップ61が内側ポート開口部72上から離れると、内側ポート開口部72は内側ポート側圧縮室115に対して開口する。これにより、内側ポート開口部72は、容量制御弁76が開いている状態の場合には、内側ポート側圧縮室115と、当該内側ポート側圧縮室115の外部とを連通させることができ、内側ポート側圧縮室115内の冷媒ガスは、内側ポート71から内側ポート側圧縮室115の外部に流出する。
図8−3は、図8−2の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。さらに、旋回スクロール51の公転旋回運動が進んだ場合でも、内側ポート開口部72が内側ポート側圧縮室115に開口している場合には、内側ポート側圧縮室115内の冷媒ガスは内側ポート71から流出する。同様に、外側ポート開口部113が外側ポート側圧縮室116に開口している場合には、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは外側ポート112から流出する。また、旋回スクロール51の公転旋回運動が進むことにより、固定スクロール111と旋回スクロール51とのそれぞれのラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが離間した場合には、この部分で内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは連通する。このように、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが離間した場合でも、内側ポート開口部72が内側ポート側圧縮室115に開口し、外側ポート開口部113が外側ポート側圧縮室116に開口している場合には、大部分の冷媒ガスは、内側ポート71や外側ポート112から外部に流出する。
旋回スクロール51の公転旋回運動がさらに進むと、外側ポート側圧縮室116は、固定スクロール111の渦の方向に沿って内側端部46の方向に向かう。これにより、外側ポート側圧縮室116は外側ポートか112ら離れる。即ち、外側ポート112と外側ポート側圧縮室116とは遮断される。また、この状態で、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが離間し、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とが連通している場合には、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは、この部分を通って内側ポート側圧縮室115内に流れる。
例えば、固定スクロール31のラップ段差部43と、旋回スクロール51の端板段差部53とが離間している場合には、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは、ラップ段差部43と端板段差部53との間を通って、内側ポート側圧縮室115内に流れる。即ち、ラップ段差部43と端板段差部53とが離間している場合において、外側ポート側圧縮室116と外側ポート112とが遮断されている場合には、外側ポート側圧縮室116は内側ポート側圧縮室115にのみ連通している。このため、旋回スクロール51の公転旋回運動が進み、外側ポート側圧縮室116の容積が小さくなった場合には外側ポート側圧縮室116内の圧力は高くなるため、この外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスはラップ段差部43と端板段差部53との間を通って、内側ポート側圧縮室115内に流れる。このように、内側ポート側圧縮室115内に流れた冷媒ガスは、内側ポート側圧縮室115に開口した内側ポート71より、外部に流出する。
図8−4は、図8−3の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。旋回スクロール51が、さらに公転旋回運動をすると、固定スクロール31と旋回スクロール51とのそれぞれのラップ段差部43、63と端板段差部33、53とは再び係合する。これにより、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは遮断され、外側ポート側圧縮室116は、外側ポート側圧縮室116以外の部分と隔離された状態になる。このため、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは、内側ポート側圧縮室115内には流れなくなる。一方、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とが遮断された後でも、内側ポート71は、しばらくの間は内側ポート側圧縮室115に開口している。このため、内側ポート側圧縮室115内の冷媒ガスは、内側ポート71を通って内側ポート側圧縮室115の外部に流出する。
図8−5は、図8−4の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。旋回スクロール51が、さらに公転旋回運動をすると、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは遮断された状態のまま、内側ポート71が閉じられる。つまり、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、旋回スクロール51の旋回スクロール側ラップ61が内側ポート開口部72上に位置し、内側ポート71は閉じられる。これにより、内側ポート開口部72は、内側ポート側圧縮室115に対して遮断される。このように、内側ポート開口部72が内側ポート側圧縮室115に対して遮断されることにより、内側ポート側圧縮室115は、外側ポート側圧縮室116と同様に外部と遮断される。従って、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、外部と遮断された状態で内部の冷媒ガスが圧縮される。
図9は、内側ポート及び外側ポートの開閉と、ラップ段差部及び端板段差部の係合との関係を示す説明図である。旋回スクロール51の公転旋回時における作用をまとめると、旋回スクロール51が公転旋回運動をすると、外側ポート112が開口し(i)、外側ポート側圧縮室116は外側ポート112に連通する(j)。これにより、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは、外側ポート112から外部に流出する。その後、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが係合した後(k)、内側ポート71が開口し(l)、内側ポート側圧縮室115は、内側ポート71に連通する(m)。これにより、内側ポート側圧縮室115内の冷媒ガスは、内側ポート71から外部に流出する。その後、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とは離間し(n)、外側ポート112を閉じる(o)。この状態では、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが離間しているため、外側ポート側圧縮室116の冷媒ガスは、この部分を通って内側ポート側圧縮室115内に流れて、内側ポート71から外部に流出する。即ち、外側ポート側圧縮室116の冷媒ガスは、内側ポート側圧縮室115を介して内側ポート71から外部に流出する。
さらに、その後、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、内側ポート71が開口した状態で、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが再び係合すると(p)、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは遮断される。このため、外側ポート側圧縮室116は、内側ポート71に連通しなくなり、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは圧縮される(q)。内側ポート71や外側ポート112、ラップ段差部43、63、及び端板段差部33、53の近傍に位置する内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは、旋回スクロール51の公転旋回運動時には、これらが繰り返される。
以上のスクロール圧縮機1は、内側ポート71の開口や遮断の時期よりも早い時期に、外側ポート側圧縮室116と、外側ポート側圧縮室116の外部との開口や遮断が可能な外側ポート112を形成している。つまり、外側ポート112は、固定スクロール側ラップ41の形状である渦巻きの流れ方向において、内側ポート71が形成されている位置よりも、冷媒ガスの圧縮時に圧力が上昇しない位置に形成されている。これにより、外側ポート112が形成される位置では、固定スクロール側ラップ41に対する圧力が小さいので、外側ポート112を設けた場合に固定スクロール側ラップ41と固定スクロール側端板32との接続部分に生じる応力も小さくなる。また、外側ポート112を設けることにより、圧縮室80内の冷媒ガスを、より確実に圧縮室80の外部に流出させることができる。この結果、固定スクロール側ラップ41の高さを変化させて圧縮比を高めると共にポートを設けて容量制御を行なう場合に、より確実に容量制御の性能を確保しつつ、固定スクロール側ラップ41と固定スクロール側端板32との接続部分の強度の低下を抑制することができる。
また、内側ポート71の開口面積は、外側ポート112の開口面積よりも大きくなっているので、より多くの冷媒ガスを圧縮室80内から圧縮室80の外部に流出させることができる。つまり、固定スクロール111に上述した外側ポート112を設けた場合、内側ポート71よりも早い時期に外側ポート112は遮断するので、それ以降は、外側ポート112が開口している外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは、離間した上記各段差部の部分から内側ポート71が開口している内側ポート側圧縮室115内に流れ、内側ポート71から流出する。このため、外側ポート112には、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスのみが流れるが、内側ポート71には、内側ポート側圧縮室115内の冷媒ガスと、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスが流れるので、内側ポート71の方が、冷媒ガスが流れる量が多くなっている。従って、内側ポート71の開口面積を、外側ポート112の開口面積よりも大きくすることにより、容易に2つの圧縮室80内の冷媒ガスを内側ポート71から圧縮室80の外部に流出させることができる。この結果、固定スクロール側ラップ41の高さを変化させて圧縮比を高めると共にポートを設けて容量制御を行なう場合に、より確実に容量制御の性能を確保しつつ、固定スクロール側ラップ41と固定スクロール側端板32との接続部分の強度の低下を抑制することができる。
実施例3に係るスクロール圧縮機は、実施例2に係るスクロール圧縮機と略同様の構成であるが、内側ポートを固定スクロール側端板の端板段差部付近に開口させている点に特徴がある。他の構成は実施例2と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。図10は、本発明の実施例3に係るスクロール圧縮機が有する固定スクロールの平面図である。同図に示す固定スクロール121には、実施例2に係るスクロール圧縮機1が有する固定スクロール111と同様に、内側ポート122と外側ポート112とが形成されている。このうち、内側ポート122は、固定スクロール側端板32の端板段差部33の近傍における端板厚部34の圧縮室側面37で、且つ、当該圧縮室側面37に接続される高ラップ部44と圧縮室側面37との接続部分に、内側ポート開口部123が形成されて設けられている。内側ポート開口部123は、このように高ラップ部44と圧縮室側面37との接続部分付近に形成されているため、内側ポート開口部123は、高ラップ部44における湾曲形状の内側に位置しており、固定スクロール側ラップ41の腹側に位置している。
図11は、図10のD部詳細図である。この内側ポート開口部123は、詳しくは上記の位置において、さらに、固定スクロール側端板32の圧縮室側面37における、旋回スクロール51の公転旋回時にチップシール68が摺動する領域である摺動領域以外の部分に形成されている。つまり、内側ポート開口部123は、固定スクロール側端板32の圧縮室側面37において、固定スクロール121と旋回スクロール51とを組み合わせて旋回スクロール51を公転旋回運動をさせた際に、旋回スクロール側ラップ61の低ラップ部65に設けられるチップシール68が摺動する領域である摺動領域以外の部分、即ち、チップシール68が摺動をしない領域である非摺動領域125に形成されている。
内側ポート開口部123がこの位置に形成されることにより、旋回スクロール51の公転旋回時における圧縮室80に対する内側ポート122の開口が旋回スクロール側ラップ61により遮断される時期と、固定スクロール側ラップ41のラップ段差部43と旋回スクロール側端板52の端板段差部53との離間、及び旋回スクロール側ラップ61のラップ段差部63と固定スクロール側端板32の端板段差部33との離間が終了する時期とは、ほぼ同一の時期になっている。
図12−1〜図12−5は、固定スクロールと旋回スクロールとを組み合わせた状態での動作を示す説明図である。この実施例3に係るスクロール圧縮機1は以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。旋回スクロール51が公転旋回運動をすると、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とを見た場合、内側ポート側圧縮室115に内側ポート122が開口するよりも、外側ポート側圧縮室116に開口可能に形成された外側ポート112の方が、早く開口する。これにより、外側ポート開口部113は、容量制御弁76が開いている状態の場合には、外側ポート側圧縮室116と、当該外側ポート側圧縮室116の外部とを連通させることができ、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは、外側ポート112を通って外側ポート側圧縮室116の外部に流出する。
また、この状態では、外側ポート側圧縮室116と内側ポート側圧縮室115とは、遮断されているため、内側ポート側圧縮室115は、密閉されて外部と遮断されており、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、内側ポート側圧縮室115は容積が小さくなる(図12−1)。
図12−2は、図12−1の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。旋回スクロール51の公転旋回運動が進むと、圧縮室80は容積が小さくなりながら、渦巻きの中心方向に移動をする。また、旋回スクロール51の公転旋回運動が進み、旋回スクロール側ラップ61が内側ポート開口部123上から離れると、内側ポート開口部123は内側ポート側圧縮室115に対して開口する。これにより、内側ポート開口部123は、容量制御弁76が開いている状態の場合には、内側ポート側圧縮室115と、当該内側ポート側圧縮室115の外部とを連通させることができ、内側ポート側圧縮室115内の冷媒ガスは、内側ポート122から内側ポート側圧縮室115の外部に流出する。
また、このように外側ポート112と内側ポート122の双方が開口し始めた段階では、固定スクロール側ラップ41のラップ段差部43と旋回スクロール側端板52の端板段差部53、及び旋回スクロール側ラップ61のラップ段差部63と固定スクロール側端板32の端板段差部33は係合しているため、外側ポート側圧縮室116と内側ポート側圧縮室115とは、遮断されている。
図12−3は、図12−2の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。さらに、旋回スクロール51の公転旋回運動が進んだ場合でも、内側ポート開口部123が内側ポート側圧縮室115に開口している場合には、内側ポート側圧縮室115内の冷媒ガスは内側ポート122から流出する。同様に、外側ポート開口部113が外側ポート側圧縮室116に開口している場合には、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは外側ポート112から流出する。また、旋回スクロール51の公転旋回運動が進むことにより、固定スクロール121と旋回スクロール51とのそれぞれのラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが離間した場合には、この部分で内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは連通する。このように、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが離間した場合でも、内側ポート開口部123が内側ポート側圧縮室115に開口し、外側ポート開口部113が外側ポート側圧縮室116に開口している場合には、大部分の冷媒ガスは、内側ポート122や外側ポート112から外部に流出する。
図12−4は、図12−3の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。旋回スクロール51の公転旋回運動がさらに進むと、外側ポート側圧縮室116は、固定スクロール121の渦の方向に沿って内側端部46の方向に向かう。これにより、外側ポート側圧縮室116は外側ポート112から離れる。即ち、外側ポート112と外側ポート側圧縮室116とは遮断される。また、この状態で、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが離間し、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とが連通している場合には、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは、この部分を通って内側ポート側圧縮室115内に流れる。
例えば、固定スクロール121のラップ段差部43と、旋回スクロール51の端板段差部53とが離間している場合には、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは、ラップ段差部43と端板段差部53との間を通って、内側ポート側圧縮室115内に流れる。即ち、ラップ段差部43と端板段差部53とが離間している場合において、外側ポート側圧縮室116と外側ポート112とが遮断されている場合には、外側ポート側圧縮室116は内側ポート側圧縮室115にのみ連通している。このため、旋回スクロール51の公転旋回運動が進み、外側ポート側圧縮室116の容積が小さくなった場合には外側ポート側圧縮室116内の圧力は高くなるため、この外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスはラップ段差部43と端板段差部53との間を通って、内側ポート側圧縮室115内に流れる。このように、内側ポート側圧縮室115内に流れた冷媒ガスは、内側ポート側圧縮室115に開口した内側ポート122より、外部に流出する。
図12−5は、図12−4の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。旋回スクロール51が、さらに公転旋回運動をすると、内側ポート側圧縮室115は内側ポート122から離れ、内側ポート122が閉じられると同時に、固定スクロール121と旋回スクロール51とのそれぞれのラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが再び係合する。これにより、内側ポート開口部123が内側ポート側圧縮室115に対して遮断されると同時に、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは遮断される。このため、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは、同時に外部と遮断される。従って、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、外部と遮断された状態で内部の冷媒ガスが圧縮される。
図13は、内側ポート及び外側ポートの開閉と、ラップ段差部及び端板段差部の係合との関係を示す説明図である。旋回スクロール51の公転旋回時における作用をまとめると、旋回スクロール51が公転旋回運動をすると、外側ポート112が開口し(r)、外側ポート側圧縮室116は外側ポート112に連通する(s)。これにより、外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスは、外側ポート112から外部に流出する。その後、内側ポート122が開口すると同時に(t)、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが係合する(u)。これにより、内側ポート側圧縮室115は、内側ポート122に連通し(v)、内側ポート側圧縮室115内の冷媒ガスは、内側ポート122から外部に流出する。その後、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とは離間し(w)、外側ポート112を閉じる(x)。この状態では、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが離間しているため、外側ポート側圧縮室116の冷媒ガスは、この部分を通って内側ポート側圧縮室115内に流れて、内側ポート122から外部に流出する。即ち、外側ポート側圧縮室116の冷媒ガスは、内側ポート側圧縮室115を介して内側ポート122から外部に流出する。
さらに、その後、旋回スクロール51が公転旋回運動をすることにより、内側ポート122を閉じると同時に(y)、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53とが再び係合する(z)。これにより、内側ポート開口部123が内側ポート側圧縮室115に対して遮断されると同時に、内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは遮断される。このため、内側ポート側圧縮室115内の冷媒ガスと外側ポート側圧縮室116内の冷媒ガスとは、同時に圧縮される。内側ポート122や外側ポート112、ラップ段差部43、63、及び端板段差部33、53の近傍に位置する内側ポート側圧縮室115と外側ポート側圧縮室116とは、旋回スクロール51の公転旋回運動時には、これらが繰り返される。
以上のスクロール圧縮機1は、内側ポート122の開口が遮断される時期と、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53との離間が終了する時期とが同一の時期になっているので、より確実にアンバランスを低減させることができる。つまり、内側ポート122の開口が遮断される時期が、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53との離間が終了する時期よりも遅い場合、内側ポート側圧縮室115のみから冷媒ガスが外部に流出し、外側ポート側圧縮室116からは冷媒ガスが流出しないため、外側ポート側圧縮室116内の圧力は内側ポート側圧縮室115内の圧力よりも高くなる。このため、この期間はアンバランスが発生する虞があるが、内側ポート122の開口が遮断される時期と、ラップ段差部43、63と端板段差部33、53との離間が終了する時期とを同一の時期にすることにより、このようなアンバランスを抑制することができる。この結果、固定スクロール側ラップ41の高さを変化させて圧縮比を高めると共にポートを設けて容量制御を行なう場合に、固定スクロール側ラップ41と固定スクロール側端板32との接続部分の強度の低下を抑制すると共に、より確実に容量制御の性能を確保することができる。
また、内側ポート開口部123は、固定スクロール側端板32の圧縮室側面37における、旋回スクロール側ラップ61に設けられたチップシール68の摺動領域以外の部分である非摺動領域125に形成されている。このため、旋回スクロール51の公転旋回時にチップシール68が内側ポート開口部123を摺動する際におけるチップシール68の摩耗を抑制することができる。この結果、チップシール68による密閉性能を長時間維持することができ、スクロール圧縮機1の圧縮性能を長時間維持することができる。
以上のように、本発明に係るスクロール圧縮機は、圧縮比を向上させたスクロール圧縮機に有用であり、特に、容量制御を行なう場合に適している。
本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機の断面図である。 図1のA−A断面図である。 図2のC−C断面図である。 図1のB−B断面図である。 固定スクロールと旋回スクロールとを組み合わせた状態での動作を示す説明図である。 図5−1の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 図5−2の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 図5−3の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 図5−4の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 内側ポートの開閉と、ラップ段差部及び端板段差部の係合との関係を示す説明図である。 本発明の実施例2に係るスクロール圧縮機が有する固定スクロールの平面図である。 固定スクロールと旋回スクロールとを組み合わせた状態での動作を示す説明図である。 図8−1の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 図8−2の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 図8−3の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 図8−4の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 内側ポート及び外側ポートの開閉と、ラップ段差部及び端板段差部の係合との関係を示す説明図である。 本発明の実施例3に係るスクロール圧縮機が有する固定スクロールの平面図である。 図10のD部詳細図である。 固定スクロールと旋回スクロールとを組み合わせた状態での動作を示す説明図である。 図12−1の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 図12−2の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 図12−3の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 図12−4の状態から旋回スクロールの公転旋回運動が進んだ状態を示す説明図である。 内側ポート及び外側ポートの開閉と、ラップ段差部及び端板段差部の係合との関係を示す説明図である。
符号の説明
1 スクロール圧縮機
5 ハウジング
6 スクロール側ハウジング
7 シャフト側ハウジング
8 隔壁部
11 吸入口
12 吐出口
15、99 スクリュー
18 軸受
20 シールハウジング
21 シール部
30 スクロール
31、111、121 固定スクロール
32 固定スクロール側端板
33、53 端板段差部
34、54 端板厚部
35、55 端板薄部
36 吐出ポート
37、57 圧縮室側面
38 外側面
41 固定スクロール側ラップ
42、62 ラップ先端
43、63 ラップ段差部
44、64 高ラップ部
45、65 低ラップ部
46、66 内側端部
47、67 外側端部
48、68 チップシール
51 旋回スクロール
52 旋回スクロール側端板
61 旋回スクロール側ラップ
71、122 内側ポート
72、123 内側ポート開口部
75 吐出弁
76 容量制御弁
80 圧縮室
81 ポート側圧縮室
82 隔離側圧縮室
85 ボス
86 切欠部
87 シャフト
88 偏心部
90 ドライブッシュ
91 バランスウェイト
95 スラスト方向支持部材
96 自転阻止機構
97 固定スクロール支持部材
98 吐出通路
112 外側ポート
113 外側ポート開口部
115 内側ポート側圧縮室
116 外側ポート側圧縮室
125 非摺動領域

Claims (3)

  1. 渦巻き状に形成され、且つ、渦巻きの高さ方向の段差である壁体段差部を有して渦巻きの高さが変化していると共に前記壁体段差部から渦巻きの外側端部側よりも、前記壁体段差部から渦巻きの中心部側の方が渦巻きの高さが低く形成された壁体と、
    前記壁体が、一側面である圧縮室側面に設けられ、且つ、前記壁体の高さ方向の段差である端板段差部を有して前記壁体の高さ方向における前記圧縮室側面の高さが変化していると共に、前記壁体に沿う渦の方向で前記端板段差部から前記壁体における外側端部側よりも前記端板段差部から前記壁体における中心部側の方が前記圧縮室側面の高さが高く形成された端板と、
    前記壁体が用いられる第1壁体と前記端板が用いられる第1端板とを備える第1スクロールと、
    前記壁体が用いられる第2壁体と前記端板が用いられる第2端板とを備え、且つ、前記第2壁体と前記第1壁体とがかみ合わされると共に前記第1壁体と前記第1端板と前記第2壁体と前記第2端板とにより複数の圧縮室が画成された状態で自転を阻止されつつ公転旋回可能に支持され、さらに、公転旋回時に前記第1壁体の前記壁体段差部と前記第2端板の前記端板段差部が係合と離間とを繰り返すと共に前記第2壁体の前記壁体段差部と前記第1端板の前記端板段差部とが係合と離間とを繰り返し、それぞれの前記壁体段差部と前記端板段差部との離間時には隣り合う前記圧縮室同士が連通する第2スクロールと、
    前記第1スクロールの前記第1端板に形成されると共に前記端板段差部より前記壁体に沿う渦の方向で前記壁体における中心部側に開口することにより前記複数の圧縮室のうちの1つの前記圧縮室と前記圧縮室の外部とを連通可能に形成され、且つ、第2スクロールの公転旋回時に前記第2壁体により前記圧縮室に対する開口と遮断とが繰り返される第1ポートと、
    前記第1スクロールの前記第1端板に形成されると共に前記端板段差部より前記壁体に沿う渦の方向で前記壁体における外側端部側に開口することにより前記複数の圧縮室のうちの1つの前記圧縮室と前記圧縮室の外部とを連通可能に形成され、且つ、第2スクロールの公転旋回時に前記第2壁体により前記圧縮室に対する開口と遮断とが繰り返され、さらに、前記第1ポートの開口よりも早い時期に開口されると共に前記第1ポートの遮断よりも早い時期に遮断される第2ポートと、
    を備え
    前記第1ポートの開口面積は、前記第2ポートの開口面積よりも大きくなっていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記第2スクロールの公転旋回時における前記圧縮室に対する前記第1ポートの開口が前記第2壁体により遮断される時期と、前記第1壁体の前記壁体段差部と前記第2端板の前記端板段差部の離間、及び前記第2壁体の前記壁体段差部と前記第1端板の前記端板段差部の離間が終了する時期とは同一の時期になっていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 少なくとも前記第2壁体には、渦巻きの高さ方向における端部に前記第1端板に対して摺動可能なシール部材が設けられており、
    前記第1ポートの前記圧縮室側の開口部分である第1ポート開口部は、前記第1端板の前記圧縮室側面における、前記第2スクロールの公転旋回時に前記シール部材が摺動する領域である摺動領域以外の部分に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
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