(実施の形態1)
本発明に係る実施の形態1について、図2から図8(a)〜(e)を参照しながら説明する。
実施の形態1においては、本発明による位置ずれ量測定方法と、位置ずれ量測定方法を実施するピックアップ調整装置とに関する具体例を示す。
図2にピックアップ調整装置のブロック図を示す。同図に示すように、ピックアップ調整装置は、後述する記録回路3、再生回路4、テストパターン生成回路5、マーク検出回路6(特許請求の範囲に記載の位置検出部に相当)、コントローラ7(特許請求の範囲に記載の位置ずれ量算出部に相当)、調製機構8、およびメモリ9を備えている。
なお、上記マーク検出回路6、コントローラ7およびメモリ9は、位置ずれ検出部10(特許請求の範囲に記載の位置ずれ量測定装置に相当)を構成している。
ピックアップ2は、媒体1に対して2次元情報を歪みの無い状態で読み書きするために、上記ピックアップ調整装置による調整対象となる。より具体的な調整対象は、ピックアップ2が内蔵する再生光学系装置および/または記録光学系装置である。なお、本実施の形態における媒体1は、調整に使用するテスト用の情報記憶媒体である。
媒体1は、記録情報を記録再生する担体であり、本実施の形態では、ホログラム記録媒体を用いる。
ホログラム記録媒体とは、記録情報を2次元情報であるページデータとして、記録保存する情報記憶媒体である。
記録情報の記録時では、媒体1の記録層に参照光と情報光と呼ばれるレーザビームを当て、記録層の材料(体積記録素材)を変化させて干渉縞を作り出し、記録情報の記録を行う。
詳細には、ピックアップ2に含まれる2次元変調素子により、参照光と情報光とであるレーザビームによって、2次元の2値画像である2次元像が形成され、それが、記録光学系装置により干渉縞に変換された後、媒体1の記録層に記録される。
媒体1への記録情報の記録は、ピックアップ2に含まれるレーザをパルス発光させることにより行われる。2次元変調素子としては、液晶素子やミラーアレイ素子などのSLM(Spatial Light Modulator:空間光変調器)が用いられる。
また、再生時には、ピックアップ2の再生光学系装置により上記参照光のみを、媒体1に照射することで、媒体1に記録した画像に対応した2次元像が発生する。
次に、ピックアップ2に含まれる撮像素子上に、上記発生した2次元像は照射され、撮像素子は2次元像を構成する2次元パターンを検出し、再生信号が得られる。
再生も記録と同様にピックアップ2に含まれるレーザをパルス発光させることにより行われる。ただし、媒体1が再記録されないように、再生時に媒体1に照射されるレーザビームは、記録時よりエネルギーが低くなる参照光のみとなる。
また、上記撮像素子としては、CCD素子やCMOS素子が用いられる。発生した2次元パターンを撮像素子で検出することで、記録情報の再生を行う。
本実施の形態では、ピックアップ2は、再生光学系装置および/または記録光学系装置の位置、角度等が未調整であるため、撮像素子上に照射される2次元像の歪みに起因する位置ずれが生じているものとする。
なお、位置ずれとは、撮像素子上に照射された2次元像と、本来歪みのない2次元像とを比較したときの、像のずれのことである。
媒体1に記録されるページデータは、記録回路3からピックアップ2に送られる。
上記ページデータは、テストパターン生成回路5で生成された、位置ずれ量測定に適したテストパターンであり、通常のユーザが記録再生する通常のページデータとは異なる、特別なページデータである。
上記のユーザが記録再生する通常のページデータ及び、本実施の形態に用いる特別なページデータの詳細については、後述する。
記録回路3は、テストパターン生成回路5で生成された上記ページデータを、ピックアップ2に送るとともに、情報光と参照光であるレーザのパルス発光のタイミング信号もピックアップ2に送る。
次に、再生回路4では、ピックアップ2から出力されるページデータのゲイン調整等の処理を行い、処理後の再生データをマーク検出回路6へ送る。
また、再生回路4は、参照光であるレーザのパルス発光のタイミング信号をピックアップ2に送出する役割も担う。
マーク検出回路6では、ピックアップ2から再生回路4を介して再生されたページデータに含まれる、ユーザが記録再生するデータ(以下、ユーザデータとする)とは異なる2次元パターンで構成される、SYNCマーク等の各マークの位置を検出する。
マーク検出回路6より得られた、各マークの位置の検出結果は、コントローラ7に送られる。
また、コントローラ7は、メモリ9に格納されている検出すべきマークの2次元パターンを読み出し、検出すべきマークの2次元パターン、および検出すべき位置範囲をマーク検出回路6に与える。一般的に、検出する上記各マークは、撮像素子上に照射されるページデータには、複数個含まれているため、特定位置のマークのみを検出するよう、検出位置範囲の指示をマーク検出回路6に与える必要がある。
コントローラ7では、各マークの位置検出結果を元に位置ずれ量を求め、調整が必要な光学系の箇所と、必要な調整量を算出し、調整機構8に指示を与える。
調整機構8は、コントローラ7の指示に従って、ピックアップ2に含まれる光学系装置の位置および角度を調整する。
メモリ9は、検出すべきマークとなる、SYNCマーク32および位置ずれ検出用マーク39の2次元パターンを、予め格納している。また、本来の歪みのない2次元像における、隣り合うSYNCマーク32間の距離および、SYNCマーク32と位置ずれ検出用マーク39との距離についても、予め格納している。
上記のメモリ9に予め格納されている情報は、コントローラ7が必要とするときに、随時読み出される。
また、コントローラ7で算出された位置ずれ量については、メモリ9に格納される。メモリ9に格納された位置ずれ量は、コントローラ7が行う位置ずれ量を用いた統計演算等で、コントローラ7の指示により、読み出される。
マーク検出回路6での、上記各マークの位置の検出方法、および位置ずれ量測定方法についての詳細は、後述する。
以上が、ピックアップ調整装置を構成する、各ブロックの動作及び役割である。
ここからは、図3(a)(b)から図8(a)〜(e)を参照して、各マークの位置の検出方法、および位置ずれ量測定方法の詳細について、説明を行う。
まず、通常のユーザが記録再生するページデータ(以下、通常ページデータ41とする)の構成について説明する。
図3(a)は、通常ページデータ41を模式的に示している。
同図に示すように、1つの通常ページデータ41は、8×8の格子状に64個のサブページ31を配置することによって構成されている。
ここでは、同図に示すX方向とY方向で等しい数のサブページ31を配置した例を示したが、X方向とY方向でサブページ31の数が異なる場合や、サブページ31を格子の全ての箇所に配置しないなどの、種々の変形したサブページ31の配置が可能である。
通常ページデータ41の構成については、情報記憶媒体間で互換性を持たせるため、規格等で規定される。
図3(b)にサブページ31の拡大図を示す。サブページ31の中央には、サブページ31中のユーザデータを担う2次元パターンとは異なる、特殊な2次元パターンで構成されるSYNCマーク32が記録されている。
同図では、ユーザデータを担う2次元パターンとは異なる、大きな正方形として、SYNCマーク32(特許請求の範囲に記載の特定パターンに相当)を示している。
SYNCマーク32の2次元パターンは、マークの検出方法により最適な2次元パターンが存在するので、同図のように正方形に限定されるものではなく、採用する検出方法に適した2次元パターンを、規格等で定義しておけば良い。
通常ページデータ41の再生時では、まず、SYNCマーク32を検出し、SYNCマーク32の位置を元に、対応するサブページ31の位置を特定する。
SYNCマーク32の検出位置を基準として、サブページ31と撮像素子との位置合わせを行い、サブページ31に配置されている記録情報の再生を行う。
よって、SYNCマーク32の近傍では、常に正確に、撮像素子上の2次元像である通常ページデータ41と撮像素子との位置合わせがなされている。また、SYNCマーク32以外の領域には、ユーザデータを担う2次元パターンが配置される。同図では、小さな四角形が、撮像素子の1画素に対応している。
ユーザデータの1ビットを1画素に割り当てることもできるが、一般には、1ビットを複数の画素に割り当てる、変調処理が取り入れられており、例えば、1ビットは2画素で構成されてもよい。
次に、本実施の形態における、位置ずれ量測定のためのページデータ(以下、テストページデータ37とする)を図4(a)に示す。
上記テストページデータ37では、1ページは、17×17の格子状にサブページ38を配置することにより構成されている。各サブページ38は、通常ページデータ41に用いられるサブページ31(図3(a)参照)の4分の1の画素数で構成されている。
これにより、テストページデータ37は、通常ページデータ41と同程度の画素数となる。
また、テストページデータ37を構成するサブページ38は、3種類のサブページ38に分類される。
上記の3種類のサブページ38を図4(b)〜(d)に示す。
図4(b)に示すサブページ38(以下、サブページAとする)は、通常ページデータ41のSYNCマーク32と同一の2次元パターンを中央に有しており、SYNCマーク32の周囲の領域には、ユーザデータが記録してある。
すなわち、サブページAの2次元パターンは、通常ページデータ41のサブページ31の中央付近のみを抽出したものと等しい2次元パターンとなる。
次に、図4(c)に示すサブページ38(以下、サブページBとする)は、通常ページデータ41のSYNCマーク32とは異なる、特殊な2次元パターン(以下、位置ずれ検出用マーク39とする)がサブページ38の中央に記録される。位置ずれ検出用マーク39以外の領域は、サブページAと同様に、ユーザデータが記録してある。
次に、図4(d)に示すサブページ38(以下、サブページCと記載する)は、特殊な2次元パターンは含んでおらず、全領域にユーザデータが記録されている。
次に、テストページデータ37における、上記3種類の各サブページ38の配置を図5に示す。
同図中に、実線で示す四角形がテストページデータ37におけるサブページ38を示しており、点線は、通常ページデータ41におけるサブページ31(図3(a)参照)を示している。
また、3種類のサブページ38を識別するため、サブページAには、中央に白丸印で示すSYNCマーク32を記し、サブページBには、中央に黒丸印で示す位置ずれ検出用マーク39を記した。白丸印も黒丸印も記されていないサブページ38は、サブページCを表している。
これらの白丸印や黒丸印は、説明の都合上、用いているものであり、実際に配置される2次元パターンは、図4(b)〜(d)に示した2次元パターンである。
3種類のサブページ38は、図5に示すように配置される。
すなわち、サブページAは、その中心が、通常ページデータ41のサブページ31の中心と一致するように配置される。また、サブページBは、その中心が、通常ページデータ41のサブページ31における、4つの角と一致するように配置される。上記サブページAおよびサブページBが配置された領域以外には、サブページCが配置される。
上記のように、各サブページ38を配置し、テストページデータ37(図4(a)参照)を構成する。
次に、本実施の形態による、上記に規定したテストページデータ37を用いた、位置ずれ量測定方法について説明する。
ここで、図5に示すように、サブページ38の対角方向に沿って座標軸Pおよび座標軸Qを取る。
この時の、P軸に沿った位置と位置ずれ量との関係を図6に示す。ただし、図6は、図16(b)に示すように、2次元像の中央部が膨らんだ樽状の歪みが発生した状態に対応している。
同図中では、サブページAのSYNCマーク32の位置を白丸で示し、サブページBの位置ずれ検出用マーク39の位置を黒丸で示している。
ここで、上記の位置とは、撮像素子上の位置を意味している。
また、上記位置ずれ量とは、SYNCマーク32の位置と位置ずれ検出用マーク39との距離について、撮像素子上に入射した2次元像と、本来の歪みのない2次元像とを比較した際の、前記距離の差を意味する。
本実施の形態による位置ずれ量測定方法では、前記距離の差である位置ずれ量は、サブページAに含まれるSYNCマーク32を位置基準として、位置ずれ量は測定される。
そのため、前記距離の差を求める際、SYNCマーク32の位置を基準として、位置ずれ量を測定しているために、SYNCマーク32の位置では、位置ずれは発生しない。すなわち、図6に示すように、SYNCマーク32の位置(P1またはP3)では、位置ずれ量はほぼ0となる。
一方、SYNCマーク32から離れるに従い、位置ずれ量は大きくなり、SYNCマーク32から最も離れる位置となる、サブページBの位置ずれ検出用マーク39の位置(P2)で位置ずれ量は最大となる。
同図では、SYNCマーク32の位置であるP1においては、位置ずれ量はほぼ0であるが、隣り合う位置ずれ検出用マーク39の位置であるP2へ近づくにつれて、位置ずれ量は大きくなり、P2の位置で、位置ずれ量は最大となる。同図中では、最大の位置ずれ量をΔとして示している。
ここで、P2の位置における位置ずれ量は、2つの値を持つ。
これは、基準位置として、P1のSYNCマーク32を基準位置とするか、P3のSYNCマーク32を基準位置とするかによる。
P1を基準位置と考えると、樽状の歪みが発生した状態では、P2はP1からP軸の正方向に遠ざかるため、位置ずれ量はΔという正の値を持ち、一方P3を基準位置と考えると、P2はP3からP軸の負方向に遠ざかるため、位置ずれ量は負の値を持ち、その大きさは、ほぼΔに等しい値となる。
次に位置ずれ量の算出方法について、以下で詳細に説明する。
本実施の形態では、SYNCマーク32を位置基準として用いるが、撮像素子上のSYNCマーク32の2次元パターンが、撮像素子の画素に正確に一致して入射することはなく、必ず、画素単位以下でのずれを生じる。
画素単位以下での2次元パターンのずれを検出する方法としては、非特許文献2に記載されている、2次元パターンの相関度を求め、重心計算を用いる方法がある。
以下の本実施の形態における、位置ずれ量測定方法では、位置基準となるSYNCマーク32、および位置ずれ検出用マーク39の画素単位以下でのずれを、非特許文献2記載の重心計算を用いて求めている。
ただし、画素単位以下での2次元パターンのずれを検出できる方法であれば、これに限定されるものではない。
図7(a)(b)にP軸方向の位置と相関度との関係を示す。
ここで、同図に示すP軸上での距離の単位は、P軸方向で隣り合うSYNCマーク32間のずれの無い正規の距離を、1SPと規定する。
同図での相関度は、撮像素子上の画素の配列パターンと、検出するマークの2次元パターン像とが、どの程度一致しているかを表す指標であり、相関度が最も高くなる画素位置に、検出するマークが位置していることになる。
また、上記相関度は、撮像素子の画素単位で値を測定している。
図7(a)(b)では、白丸印および白三角形は、SYNCマーク32の2次元パターンと、撮像素子上の2次元パターンとの、測定された相関度を示す。
さらに白丸印は、SYNCマーク32の2次元パターンと、撮像素子の2次元パターンとの相関度が最も高くなる画素位置を示している。
つまり、白丸印は、撮像素子の画素単位での、SYNCマーク32に最も近い画素位置を示している。
次に、黒丸印および黒三角形は、位置ずれ検出用マーク39の2次元パターンと、撮像素子上の2次元パターンとの、測定された相関度を示す。
さらに黒丸印は、本来の歪みのない2次元像を対象にした際の、SYNCマーク32の位置を基準とした、位置ずれ検出用マーク39の検出を期待される位置を示す。
同図(a)(b)に示す点線で表した曲線は、仮想的な相関度曲線であり、前述のとおり、実際に得られる値は、この相関度曲線上の各画素位置での相関度の値のみである。
同図(a)(b)で示す、白三角形および白丸印の相関度の測定について、図8(a)〜(e)を用いて述べる。
図8(a)〜(e)は、サブページAのSYNCマーク32の近傍を拡大した図であり、点線は、撮像素子の画素34を示し、黒四角形は撮像素子上に照射されたSYNCマーク32の2次元像を示し、実線で囲まれた範囲は相関度測定範囲43を示す。
また、同図に示すように、撮像素子上に照射されたSYNCマーク32の2次元像と、撮像素子の画素34とは、画素単位以下のずれが生じている。
図8(a)に示すように、SYNCマーク32の2次元像と同じ大きさに、相関度測定範囲43を設定し、或る位置での、撮像素子上のSYNCマーク32の2次元像との相関度を測定する。
次に、図8(b)に示すように、サブページの対角方向であるP軸方向に、相関度測定範囲43を、撮像素子上の1画素移動させ、SYNCマーク32の2次元像の相関度を測定する。
上記手順を、図8(c)から図8(e)に示すように、P軸方向に相関度測定範囲43を1画素ずつ移動し、それぞれの画素位置で相関度を求める。
ここで、図8(c)で示す相関度測定範囲43の位置が、最も相関度が高い画素単位での位置となり、図7(a)(b)に示す白丸印の相関度に対応している。
SYNCマーク32の2次元像と、撮像素子の画素34とは、画素単位以下のずれがあるため、P軸方向で最も相関度が高くなる位置と、図8(c)の相関度測定範囲の位置とは画素単位以下のずれがある。このずれは、図7(a)(b)でのΔWに相当することになる。
また、図8(a)(b)(d)での相関度は、図7(a)(b)での白三角形の相関度に対応することになる。
上記相関度を求める対象となるSYNCマーク32を、位置ずれ検出用マーク39に置き換えることにより、図7(a)(b)に示す黒三角形および黒丸印の相関度を測定することが可能となる。
以上のように、相関度測定範囲は、撮像素子の画素単位で測定されるため、図7(a)(b)に示す三角形および丸印も、画素単位での相関度となる。
次に、上記で撮像素子の画素単位のSYNCマーク32、および位置ずれ検出用マーク39の相関度を求めた後の、位置ずれ量算出方法について、以下に説明する。
まず、撮像素子上の2次元像における、SYNCマーク32の位置を探索する。これは、SYNCマーク32の画素の配列パターンとの相関度が最も高い画素位置を探索することにより実現できる。
SYNCマーク32の位置検出は、マーク位置検出回路6(図2参照)において実行される。そのため、コントローラ7(図2参照)は、撮像素子上の探索すべき位置範囲の情報と、メモリ9に格納されている探索すべきSYNCマーク32のパターン情報をマーク検出回路6に与える。
その結果、図7(a)(b)の白丸印で示す位置が特定される。
しかし、実際のSYNCマーク32の位置、すなわち、相関度のピーク位置は、そこからΔWだけ離れた位置にある。なぜなら、SYNCマーク32の中心と、SYNCマーク32を撮像した画素の中心との間に、ページデータの2次元像の歪みに起因した、画素単位以下の微小な画素ずれが発生しているからである。
ここで、画素単位以下での画素ずれΔWを求める方法としては、非特許文献2に記載されているように、補間や重心計算等の演算を行う方法が既知であり、本実施の形態でも、同様の方法でΔWを求める。
マーク位置検出回路6では、上記の補間および重心計算等の方法を用いてΔWを計算し、SYNCマーク32の位置の情報と共にコントローラ7に出力する。(特許請求の範囲に記載のステップA1に相当)
次に、SYNCマーク32の位置が特定されたので、検出したSYNCマーク32の位置を位置基準として、位置ずれ検出用マーク39が検出されるべき位置を求める。この計算はコントローラ7において以下のように行われる。
P軸方向において、SYNCマーク32の出現する正規の間隔を1SPとすると、SYNCマーク32に隣り合う位置ずれ検出用マーク39までの正規の間隔は0.5SPである。上記正規の間隔は、メモリ9に予め記録されている。
よって、SYNCマーク32から0.5SP離れた位置が、位置ずれ検出用マーク39の検出を期待される位置である。位置ずれ検出用マーク39の位置検出も、マーク検出回路6において実行される。
コントローラ7は、メモリ9に記載されている上記正規の間隔を読み出し、SYNCマーク32から0.5SP離れた位置を探索すべき位置範囲の情報としてマーク検出回路6に与える。また、位置ずれ検出用マーク39のパターン情報もマーク検出回路6に与える。
図7(a)では、位置ずれ検出用マーク39の検出を期待される位置と、実際に位置ずれ検出用マーク39の相関度が最も高い画素位置とが一致している。
しかしながら、撮像素子上の位置ずれ検出用マーク39の実際の位置である、相関度のピーク位置は、そこからΔBだけ離れている。
よって、マーク検出回路6では、位置ずれ検出用マークとの相関度が最も高い位置と、ΔBをコントローラ7に出力する。ΔBは、ΔWを求めた方法と同様に、補間および重心計算等の方法を用いて求める。(特許請求の範囲に記載のステップA2に相当)
ここで、実際に求めるべき位置ずれ量は、撮像素子上における実際のSYNCマーク32と位置ずれ検出用マーク39との距離と、その正規の間隔である0.5SPとの差である。
撮像素子上の実際のSYNCマーク32と位置ずれ検出用マーク39との距離は、各マークの相関度曲線における、ピーク位置の距離であることを考慮すると、その位置ずれ量Δは、次のように計算できる。
Δ={(0.5SP−ΔB)+ΔW}−0.5SP=ΔW−ΔB
図7(a)の場合、ΔW<ΔBなので、Δは負となり、正規の間隔より間隔が狭まる方向に、2次元像は歪みが生じていることがわかる。つまり、撮像されたSYNCマーク32と位置ずれ検出用マーク39との実際の距離は、図7(a)の場合、たまたま正規の間隔0.5SPに一致していて、あたかも、2次元像に歪みが発生していないかのようであった。ところが、本発明の位置ずれ検出方法によって、SYNCマーク32の相関度のピーク位置と位置ずれ検出用マーク39の相関度のピーク位置との間隔が、0.5SPより小さいことが求まった。この結果、実際には、正規の間隔より間隔が狭まる方向に、2次元像は歪んでいることを検出することができる。これらの位置ずれ量演算は、コントローラ7で実行される。(特許請求の範囲に記載のステップA3に相当)
図7(a)では、ΔBが撮像素子の1画素より小さい場合、つまり撮像素子上での2次元像の歪みが小さい場合であった。
しかしながら、2次元像の歪みによる位置ずれ量は、必ずしも撮像素子の1画素より小さいとは限らない。
よって、ΔBが撮像素子の1画素より大きい場合、つまり2次元像の歪みが大きい場合を、図7(b)に示す。
図7(b)に示すように、撮像素子上の2次元像の歪みが大きい場合は、位置ずれ検出用マーク39の検出を期待される位置(同図中では黒丸印)と、実際の位置ずれ検出用マーク39の相関度が最も高い画素位置とは一致しない。
ここで、同図中のΔBはΔW´とΔPを加算した値となる。
同図に示すΔW´は、位置ずれ検出用マークとの相関度が最も高い画素位置と、位置ずれ検出用マークの実際の位置である、相関度のピーク位置との差である。
上記ΔW´は、図7(a)のΔBを求める際に述べたように、補間および重心計算等で求めることができる。
また、上記ΔPは、相関度が最も高い画素位置と、位置ずれ検出用マーク39が検出を期待される画素位置との距離である。
相関度を求める際は、図8(a)〜(e)に示したように、相関度測定範囲43の位置を1画素ずつ移動し、各位置での相関度を求めている。したがって、上記の図7(b)では、相関度が最も高い画素位置の右隣に、位置ずれ検出用マーク39が検出を期待される画素位置は位置しているため、同図中のΔPは、撮像素子の1画素の幅と同様の距離として求められる。
したがって、図7(b)における、位置ずれ量の計算式は、下記のとおりとなる。
Δ={(0.5SP−ΔB)+ΔW}−0.5SP
=ΔW−ΔB
=ΔW−(ΔW´+ΔP)
上記も、図7(a)と同様に、ΔW<ΔBなので、Δは負となり、正規の間隔より間隔が狭まる方向に、2次元像は歪みが生じていることがわかる。
また、これらの位置ずれ量演算は、コントローラ7で実行される。
以上に述べた、テストページデータ37(図4(a)参照)を用いた位置ずれ量測定方法により、以下の様な効果が得られる。
位置の基準として用いるSYNCマーク32を、通常ページデータ41と同一の箇所に、かつ、同一の2次元パターンを用いて記録するので、テストページデータ37によるSYNCマーク32位置検出の精度は、通常ページデータ41での位置検出の精度と等しくなる。
よって、テストページデータ37での検出結果は、通常ページデータ41を用いた場合の検出結果と同一の精度を有していることが保証できる。
また、サブページBに配置した位置ずれ検出用マーク39を、SYNCマーク32から最も距離が離れた、通常ページデータ41の4角に配置したことにより、最も位置ずれが大きい箇所での、位置ずれ量を正確に測定することになる。
隣り合うSYNCマーク32の中間点である、最も位置ずれが大きい箇所での、位置ずれ量の測定方法には、位置ずれ検出用マーク39を用いず、SYNCマーク32のみを用いて、位置ずれ量を求めることは可能である。
しかし、SYNCマーク32のみを用いて、上記中間点での位置ずれ量を求める際は、推定値を用いることになり、位置ずれ検出用マーク39を用いた場合の方が、より正確な位置ずれ量の測定結果が得られる。
上記、SYNCマーク32のみを用いて、上記中間点の位置ずれ量を測定する方法については、参考の形態で述べる。
更に、サブページAおよびサブページB以外の領域には、ユーザデータのみを記録するサブページCを配置するので、通常ページデータ41において記録されるデータと同様のデータが記録されることになる。
よって、サブページAに記録されるSYNCマーク32、およびサブページBに記録される位置ずれ検出用マーク39とも、ユーザデータの2次元パターンには現れない特殊な2次元パターンで構成されるため、SYNCマーク32と、位置ずれ検出用マーク39との検出に対して、サブページCの影響を最小限に抑えることができる。
言い換えると、仮に、サブページCを配置した領域に、ユーザデータに現れないような特殊なパターンを記録したとすると、ユーザデータの特殊なパターンの影響が、SYNCマーク32、および位置ずれ検出用マーク39の検出結果に現れる可能性があるが、サブページCはユーザデータのみを記録した2次元パターンであるため、上記検出結果への影響を防ぐことができる。
更に、撮像素子の画素単位で得られる測定量を基に、画素単位以下での位置ずれ量を、補間および重心計算等を用いて位置ずれ量を推定しているため、統計演算等を行うことなく各位置ずれ検出用マーク39の位置で、正確な測定結果が得られる。
このことは、撮像素子上の2次元像の歪みを表す、位置ずれ量を得ることを意味しており、光学系装置の調整を行う際の判定値として用いることができ、光学系装置の調整には、大変有用である。
更に、サブページAに記録するSYNCマーク32と、サブページBに記録する位置ずれ検出用マーク39との、2次元パターンを異なる2次元パターンとしたことにより、SYNCマーク32と位置ずれ検出用マーク39を明確に判別することが可能となり、上記2つのマークを誤って検出する可能性を低減する効果を奏する。
(実施の形態2)
次に、本発明における位置ずれ量測定方法の、第2の実施の形態について説明する。
ピックアップ2に用いられる撮像素子として、SLMよりも画素数が多い撮像素子が選択される場合がある。
すなわち、上記の撮像素子の画素数が多い場合、SLMにより情報記憶媒体に記録された2次元情報の1ビットは、記録情報の再生時に、撮像素子上の複数の画素上に入射する。
例えば、記録された2次元情報の1ビットが、撮像素子の2行2列の4画素や3行3列の9画素上に入射する。このような方法をオーバーサンプリングと呼ぶ。
ここで、一例として、1ビットが9画素に対応する場合を考えると、SLMと撮像素子の画素数が同一の場合と比べ、撮像素子の画素は、P軸方向に3倍の数の画素が存在することになる。
実施の形態1で述べたように、SYNCマーク32(図5を参照)および位置ずれ検出用マーク39(図5を参照)の相関度は画素単位で結果が測定されるので、オーバーサンプリングしない場合に比べて、3倍の分解能で相関度を得られることになる。
このように、分解能が比較的高い場合、図7(a)に示したΔWおよび図7(b)で示したΔWおよびΔW´である、画素単位以下での位置ずれを算出しなくても、正確な位置ずれ量を測定することが可能となる。
図9(a)にオーバーサンプリングによる相関度の分解能が高い場合の、画素位置と相関度との関係を示す。
オーバーサンプリングによる撮像素子の画素数が多いため、同図中の丸印および三角形で示す測定点も、図7(a)(b)に比べて多くなる。
本実施の形態でも、サブページAに記録されているSYNCマーク32の位置を検出する。ここで、SYNCマーク32検出は、マーク検出回路6(図2を参照)で実行される。マーク検出回路6では、得られたSYNCマーク32の検出位置情報をコントローラ7(図2を参照)に出力する。(特許請求の範囲に記載のステップA1に相当)
図9(a)中の白丸印で示す、SYNCマーク32の位置が特定できたので、位置ずれ検出用マーク39の検出を期待される位置を求める。上記SYNCマーク32と位置ずれ検出用マーク39の検出を期待される位置との正規の間隔は、メモリ9に記録されており、コントローラ7は、メモリ9より上記正規の距離を読み出し、位置ずれ検出用マーク39の位置を求める演算を実行する。
位置ずれ検出用マーク39の検出を期待される位置は、図9(a)中の黒丸印で示す、SYNCマーク32の位置から、0.5SP離れた位置として得られる。
ここで、コントローラ7は、SYNCマーク32から0.5SP離れた位置を探索すべき位置の検出範囲の情報としてマーク位置検出回路6に与える。また、位置ずれ検出用マーク39の2次元パターン情報もマーク位置検出回路6に与える。
ここで、撮像素子上の画素の配列パターンと、位置ずれ検出用マーク39の2次元パターンとの相関度が、最も高い位置は、黒丸印の画素位置でなく、SYNCマーク32の方向に1画素ずれた黒三角形の位置である。
よって、マーク位置検出回路6では、相関度が最も高い画素位置となる黒三角形の位置を、位置ずれ検出用マーク39が実際に検出された位置として、コントローラ7に検出結果を出力する。(特許請求の範囲に記載のステップA2に相当)
コントローラ7は、位置ずれ検出用マーク39の位置の検出結果を基に、位置ずれ量Δを求める。
同図の場合、位置ずれ量Δは、検出されるべき位置よりも1画素SYNCマーク32の位置に近い位置となるので、−1画素となる。
このように、本実施の形態では、位置ずれ量は、位置ずれ検出用マーク39の検出を期待される位置と、撮像素子上に照射された実際の位置ずれ検出用マーク39の位置との差として、画素単位で測定される。(特許請求の範囲に記載のステップA3に相当)
ただし、上記の画素単位での測定結果では、画素単位以下の位置ずれ量は得られないので、統計処理を行う。
図9(b)は、2次元像における複数箇所での位置ずれ量の測定結果を、ヒストグラムとして表したグラフである。
測定結果を基にした予想される位置ずれ量分布は、点線で示した曲線となる。この曲線で示すように、最も発生頻度が高い位置ずれ量は、0ではなく0と1との間に存在するが、これは、各測定結果の平均値mとして求められる。また、発生しうる最大の位置ずれ量は、測定結果の標準偏差σを計算し、3σ、6σなどの範囲を仮定すれば求められる。
上述のように、撮像素子の画素数が比較的多く、相関度の分解能が高い場合は、上記統計処理を行うことにより、画素単位以下の位置ずれの推定なしに、画素単位以下の位置ずれを算出することができる。
この場合、実施の形態1のように、補間や重心計算等の演算を行うことによって画素単位以下の位置ずれを各マークで推定する必要がなく、よって、マーク検出回路6の構成を簡素化できる。
また、統計処理により、比較的容易な演算で、画素単位以下の高精度な位置ずれの測定結果が得られる。
一方、分解能が低い場合、全ての検出結果が0となってしまい、その平均値をとっても意味はない。よって、第1の構成例のように、画素単位以下の位置ずれ量を推定する方法を採用するか、あるいは、第2の構成例のように、統計量により画素単位以下の位置ずれ量を求める方法を採用するかについては、画素数、分解能と位置ずれ量のばらつきの程度を考慮し、適宜決定すればよい。
次に、本実施の形態における、位置ずれ量測定方法について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、サブページ数カウンタIに初期値として0を格納する(ステップT1)。カウンタIは、コントローラ7内のレジスタに設けられる。
次に、コントローラ7内に格納される上記カウンタを参照し、I番目のサブページAである、サブページIに配置されているSYNCマーク32(図5参照)の位置を検出する(ステップT2;特許請求の範囲に記載のステップA1に相当)。
ここで、コントローラ7は、サブページI中のSYNCマーク32の検出位置範囲と、SYNCマーク32の2次元パターンをマーク検出回路6に与え、マーク検出回路6は、コントローラ7の指示に従って、サブページI中のSYNCマーク32の位置を、検出する。
SYNCマーク32の位置検出には、前述のように相関度を用いた検出方法で行えば良い。
すなわち、SYNCマーク32の2次元パターンと、撮像素子上の画素の配列パターンとの相関度が一番高い画素位置を、SYNCマーク32の位置として検出できる。
ここで、本実施の形態で用いるテストページデータ37(図4(a)を参照)に配置される、各サブページA(図4(b)参照)においては、全て同一のSYNCマーク32が記録されている。
よって、サブページI中のSYNCマーク32の検出時には、サブページIのSYNCマーク32が存在すると推定される範囲のみが、検出範囲として選択される。
本実施の形態では、SYNCマーク32と位置ずれ検出用マーク39(図5参照)との2次元パターンは異なるため、1つのサブページAのSYNCマーク32と、隣接するもう一方のサブページAのSYNCマーク32との最小間隔は、サブページ38の2つ分相当の距離となっている。
よって、サブページI中のSYNCマーク32の検出範囲としては、検出を期待される位置を中心として、±1サブページ以内の範囲を探索すればよい。
本実施の形態では、上記ように、±1サブページ以内であれば、2次元像の歪みによって、サブページIの位置がずれても、対象とするサブページI中のSYNCマーク32を、誤りなく特定し検出できる。
なお、検出したSYNCマーク32に隣り合う位置ずれ検出用マーク39の位置についても、ステップT2にて、同様に求める(特許請求の範囲に記載のステップA2に相当)。
次に、求める位置ずれ量を、サブページI中のSYNCマーク32から、実際の位置ずれ検出用マーク39までの距離と、2次元像に歪みのない場合の距離(0.5SP)との差として検出する(ステップT3)。(特許請求の範囲に記載のステップA3に相当)
ここで、上記の位置ずれ量は、前述のように、マーク検出回路6から出力されるSYNCマーク32の位置と、位置ずれ検出用マーク39の位置と、メモリ9に記録されている2次元像に歪みのない場合の距離(0.5SP)との情報を基に、コントローラ7により画素単位の値として算出される。
また、図5に示すように、検出対象となるSYNCマーク32を含むサブページIの周囲には、P軸方向だけでなく、P軸とは直角に交差するQ軸方向にも、サブページBが配置している。
上記のQ軸方向についても、同様に位置ずれ量を測定することにより、サブページIについて、合計4個の位置ずれ量が得られる(特許請求の範囲に記載のステップC1に相当)。
次に、得られた4個の位置ずれ量を、位置ずれ検出部10内のメモリ9に記憶する(ステップT4)。
前述のようにサブページIについて、4個の位置ずれ量が得られるが、これらを別々のグループに分けてメモリ9に記憶する。
一例として、上記の4個の位置ずれ量を、P軸プラス方向、P軸マイナス方向、Q軸プラス方向、およびQ軸マイナス方向の4つのグループに分けてメモリ9に記憶する。
上記のように、グループ分けを行って、各位置ずれ量を記憶することにより、グループ毎の位置ずれ量に限定した統計値を得ることができ、4個の位置ずれ量に対して、より詳細な分析が可能となる。
次に、サブページ数カウンタIに1を加算する(ステップT5)。
次に、サブページ数カウンタIの値をNと比較する(ステップT6)。ここで、Nは測定対象とするサブページAの数を合計した値である。Nは、1つのテストページデータ37(図3(a)を参照)に含まれる全サブページAの数としておけば良いが、1ページ中のサブページAの一部のみを測定対象としても良い。
例えば、光学系装置の調整不良により発生する、2次元像の歪みは対象性を持つ。このことから、位置ずれ量を測定する領域について、1つのテストページデータ37を上下、左右に4等分し、得られる1/4の領域のみを、位置ずれ量の測定対象とすることができる。
上記のように、測定対象領域を絞り込むことにより、迅速な位置ずれ量の測定が可能となる。
このステップT6で、サブページ数カウンタIの判別を行う。Iの値がNの場合、ステップT7に進み、Iの値がNに満たない場合、ステップT2へ戻る。
ステップT7では、メモリ9に記録された複数の位置ずれ量に対して、コントローラ7で、統計演算を行う(特許請求の範囲に記載のステップC2に相当)。
統計値としては、前述のように平均値m、標準偏差σを求める。また、これらの値をP軸、Q軸方向で別々に計算しても良い。
ここで、どのような統計演算を行うかは、目的によって選択すれば良い。例えば、位置ずれ量の最大値が規定値以下であるか否かを調べることが目的の場合、P軸、Q軸方向それぞれの個別の値でなく、全方向を対象として、平均値mと標準偏差σを求め、m+nσという演算を行えば良い。ここで、nは標準偏差σの何倍の広がりを想定するかを示す係数である。
また、統計値から推測される最大値でなく、実際に測定結果として得られた最大値をそのまま使っても良い。
他の例として、P軸およびQ軸での、各方向個別の位置ずれ量を基に、光学系を調整することが目的の場合、P軸方向での位置ずれ量の平均値mと、Q軸方向の位置ずれ量の平均値mとを、個別に計算し、個別で算出された位置ずれ量の平均値を調整機構8(図2を参照)にフィードバックすれば良い。
以上の説明においては、図5に示すテストページデータ37を用いたが、テストページデータ37として用いる2次元パターンとしては、種々の変形が可能である。
1例として、位置ずれ量測定に用いる、テストページデータ37の変形となる、テストページデータ40を図11に示す。
図11に示すテストページデータ40では、図5で示したテストページデータ37における、サブページCを配置していた位置にも、サブページBを配置している。
このようにサブページAを囲む全サブページにサブページBを配置することにより、サブページ38の対角方向であるP軸およびQ軸方向だけでなく、サブページ38の水平方向であるX軸、Y軸方向への位置ずれ量も検出できる。
任意のSYNCマーク32からの位置ずれが最も大きくなる位置は、サブページ38の対角方向である、SYNCマーク32からP軸、Q軸方向に位置するので、最大の位置ずれを測定することが目的であれば、図5のテストページデータが適している。
しかし、光学系装置の調整を目的とする場合、P軸、Q軸方向よりも、X軸、Y軸方向への位置ずれ量を測定できた方が、調整が容易になる場合がある。
このような場合は、図11のテストページデータ40が適している。
また、他のテストページデータの例として、位置ずれ検出用マーク39の代わりに、SYNCマーク32を用いても良い。
この場合、図5のテストページデータ37、および図11のテストページデータ40で、サブページBを配置したサブページ位置に、サブページAを記録することになる。
上記のように、位置ずれ検出用マーク39をSYNCマーク32に置き換えることにより、位置ずれ検出用マーク39の生成、および検出が不要となる。
したがって、位置ずれ検出用マーク39を生成および検出する回路の簡素化が可能となり、位置ずれ量測定方法についても、簡略することができる。
ただし、位置ずれ検出用マーク39をSYNCマーク32に置き換え、位置ずれ量を測定するには、下記の条件を満たす必要がある。
位置ずれ検出の基準とするサブページ38と、位置ずれ検出の対象となるサブページ38とで、同一のSYNCマーク32をサブページ中央に配置することになり、サブページ内のSYNCマーク32の誤検出が発生する可能性が高くなる。
そのため、図5および図11のテストページデータであれば、前述のように、サブページA中のSYNCマーク32の位置は、検出を期待される位置を中心として、±1サブページ以内であれば、位置がずれても問題ないが、サブページBの代わりにサブページAを使う場合、±0.5サブページ以内にサブページA中のSYNCマーク32の位置ずれを抑える必要がある。
上記条件を満たす2次元像であることが、予め判明しているならば、位置ずれ検出用マーク39をSYNCマーク32に置き換えて、位置ずれ量を測定することが可能である。
(参考の形態)
次に、本発明の参考の形態について説明する。
参考の形態については、位置ずれ量の測定方法のみが、実施の形態1および実施の形態2と異なっており、他の部分は、前述の実施の形態1および実施の形態2と同一となるため、以下、位置ずれ量測定方法についてのみ説明する。
本参考の形態では、実施の形態1および実施の形態2で説明をした、位置ずれ量測定のための、特別な2次元パターンで構成されたページデータを使用しない。
すなわち、通常ページデータ41(図3(a)を参照)を用いて、位置ずれ量を測定する。
図13に通常ページデータ41の一部を示す。
本参考の形態では、図13に示すように3行3列の格子状に配置された9個のサブページ31を、1つの単位として位置ずれ量測定を行う。
各サブページ31の中央には、同図に示すように、SYNCマーク32が記録されている。
通常の記録情報の再生では、サブページ31毎にSYNCマーク32の位置を探索し、SYNCマーク32の2次元パターンと、最も相関度が高い位置が、撮像素子上の2次元像でのSYNCマーク位置として検出される。
この後、検出されたSYNCマーク32の位置を基準として、SYNCマーク32の周囲に配置されている、ユーザデータを再生する。
よって、通常の再生動作においては、SYNCマーク32の位置では、常に位置ずれ量が最小である。
本参考の形態では、まず、3行3列の格子状に配置されたサブページ31の、中央に配置されたサブページ31のSYNCマーク32(以下、中央SYNCマーク42とする)の位置が探索される。
検出方法としては、実施の形態1と同様に、相関度を用いて補間および重心計算による方法となる。
上記の中央SYNCマーク42の位置の検出方法は、マーク検出回路6において実行される。(特許請求の範囲に記載のステップB1に相当)
ここで、検出された中央SYNCマーク42の位置は、これ以降の基準位置として用いる。
次に、中央SYNCマーク42に隣り合う、SYNCマーク32の撮像素子上における実際の位置を検出する。上記SYNCマーク32の撮像素子上における、実際の位置の検出方法は、中央SYNCマーク42の位置を検出した方法と同じ、相関度を用いて補間および重心計算を用いた方法となる。(特許請求の範囲に記載のステップB2に相当)
ここで、中央SYNCマーク42を位置基準として、隣り合うSYNCマーク32における、位置ずれ量を測定する。
ここでは、第1の実施形態と同様に、サブページ31の対角方向にP軸、Q軸を取る。
P軸方向の位置と位置ずれ量との関係を図14に示す。
同図中にP1として示した白丸印が、図13に示す中央SYNCマーク42の位置である。P3は、中央SYNCマーク42から、P軸の正の方向に隣り合う、SYNCマーク32の検出を期待される位置を示し、P4は、P軸の負の報告に隣り合う、SYNCマーク32の検出を期待される位置を示している。
また、ΔNは、中央SYNCマーク42の位置を基準としたときの、P3における位置ずれ量である。
まず、この中央SYNCマーク42の位置を基準として、P軸の正負の方向に隣り合うSYNCマーク32の、検出を期待される位置を求める。
P軸正方向の場合、P1からサブページ31の1つ分の距離である、1SPだけ離れた位置P3が、SYNCマーク32の検出を期待される位置である。
中央SYNCマーク42に隣り合うSYNCマーク32での位置ずれ量は、1サブページ分の距離である1SPと、実際の2次元像における前記2つのSYNCマーク位置間の距離との差である。
上記の位置ずれ量を求める方法としては、実施の形態1および実施の形態2において、図7(a)、図7(b)、および図9(a)を用いて説明した方法を適用すれば良い。
すなわち、一方の測定方法は、P1における中央SYNCマーク42の相関度のピーク位置と、P3におけるSYNCマーク32の相関度のピーク位置を求め、各ピーク位置間の距離から、サブページ1つ分の距離である1SPを差分して、位置ずれ量を求める方法である。
上記の位置ずれ量を測定する方法で、相関度のピーク位置と、最も相関度が高くなる画素位置との、画素単位以下の位置ずれに関しては、実施の形態1で用いた、補間および重心計算を用いて算出することができる。
また、もう一方の測定方法は、補間および重心計算を用いず、P1とP3とにおける相関度が最も高くなる画素位置間の距離を算出し、算出された前記距離から1SPを差分して位置ずれを算出する。
上記の補間および重心計算を用いない測定方法では、画素単位以下のずれを考慮していないため、実施の形態2で示した、統計演算により画素単位以下のずれを推定し、位置ずれ量を求める方法がある。
前述した位置ずれ量を求める2つの方法は、本実施の形態においても適用可能である。
中央SYNCマーク42に隣り合うSYNCマーク32の位置は、マーク検出回路6で検出され、その検出結果を基に、上記の位置ずれ量測定方法を用いて、コントローラ7で位置ずれ量が計算される。(特許請求の範囲に記載のステップB3に相当)
コントローラ7の計算において用いる、サブページ1つ分の距離である1SPは、予めメモリ9に記録されている。
ここで、中央SYNCマーク42に隣り合うSYNCマーク32における、位置ずれ量を、図14にΔNとして示す。
ここで、実際に求めたい位置ずれ量は、隣り合う2つのSYNCマークの中間点であるP2での位置ずれ量Δである。
したがって、P軸上の位置と、位置ずれ量との関係が直線であると仮定すれば、求めたい位置ずれ量ΔはΔN/2として計算できる。
もしくは、P1、P3、P4の3点での値から近似曲線を求め、近似曲線よりP2での補間値を求め、位置ずれ量としても良い。
これらの演算は、コントローラ7で実行される。(特許請求の範囲に記載のステップB4に相当)
以上説明したように、本参考の形態では、位置ずれ量測定のための、特別なページデータを必要とせず、通常ページデータ41を用いて、位置ずれ量が得られるという利点がある。
よって、図2のピックアップ調整装置を構成する、テストパターン生成回路5に関して、位置ずれ量測定のためのテストページデータを生成する必要がないため、回路構成を簡素化できる。
また、同図に示すマーク検出回路6に関しても、位置ずれ検出用マーク39の検出処理が必要ないため、回路構成を簡素化できる。
しかし、一方で、隣り合うSYNCマーク32の中間点の位置に、位置ずれ検出のためのマーク39を配置せずに、補間により簡易的に位置ずれ量を計算しているため、得られる位置ずれ量は、誤差を含むことになる。
従って、測定される位置ずれ量の用途によって、位置ずれ量測定方法を選択する必要がある。
例として、高精度の位置ずれ量の測定が必要な場合は、実施の形態1および実施の形態2に示す位置ずれ量測定方法を採用し、位置ずれ量の測定精度よりも、回路構成の簡略化、およびその結果として得られる低コスト化が重要な場合は、参考の形態を採用すれば良い。
(実施の形態3)
次に、本実施の形態による、位置ずれ量測定方法を、ピックアップ2(図2を参照)の光学系調整に応用した場合のフローチャート図を図12に示す。
撮像素子上に照射される2次元像の歪みの原因となる、ピックアップ2内の光学系装置の調整は、概して2つの段階に分ける。
まず、1つ目の段階は、情報記憶媒体からの記録情報の再生において、再生光学系装置の調整不良による2次元像の歪みを低減するための、再生光学系装置の調整である。
2つ目の段階は、情報記録媒体に記録情報を記録する際の、記録光学系装置の調整不良による2次元像の歪みを低減するための、記録光学系装置の調整である。
図12のフローチャートは、ステップE1〜ステップE4までは、上記の再生光学系装置の調整方法を示し、ステップE5〜ステップE9までは、記録光学系装置の調整方法を示す。
まず、再生テスト媒体を、ピックアップ調整装置にセットする(ステップE1)。
再生テスト媒体とは、規格等の基準を満たすことを検証するための、光学系装置が調整済みである標準評価機を用いて、2次元情報が記録された情報記憶媒体である。
つまり標準評価機を用いて、2次元情報が情報記憶媒体に記録されているため、記録情報の記録段階で発生する、2次元像の歪みを含まない2次元情報が記録されている。
続いて、上記再生テスト媒体に記録されているテストページデータ37を再生し、再生された信号から、位置ずれ量を測定する(ステップE2)(特許請求の範囲に記載のステップD1に相当)。
上記位置ずれ量の測定は、マーク検出回路6(図2を参照)の出力情報を基にコントローラ7(図2を参照)で計算される。
本実施の形態では、実施の形態1で述べた位置ずれ量測定方法を用いて、複数の箇所での位置ずれ量を測定する。
ただし、この位置ずれ量の測定方法については、実施の形態1に示す測定方法に限るものではなく、実施の形態2および参考の形態に示す、位置ずれ量測定方法を用いてもよい。
ここで、上記いずれの位置ずれ量測定方法を選択するかについては、測定結果である位置ずれ量の精度、および位置ずれ量測定の迅速性等を考慮し、位置ずれ量を用いる目的に応じた測定方法を、適宜選択することが好ましい。
次に、ステップE2で得られた複数個位置ずれ量の最大値が、許容値以下か否かを判定する(ステップE3)。ここで、前記許容値は、予めメモリ9に記録しており、この判定は、コントローラ7で実行される。
位置ずれ量の最大値が、許容値を超える場合、再生光学系装置を調整する(ステップE4)(特許請求の範囲に記載のステップD2に相当)。
上記の再生光学系装置の調整には、ステップE2で得られた位置ずれ量を用いる。
コントローラ7は、再生光学系装置に含まれるレンズ等の光学要素の中から、位置ずれ量を基に、調整すべき光学要素を決定し、その位置を移動及び角度調整をするよう調整機構8に指示を与える。調整機構8は、コントローラ7からの指示に応じて光学要素の調整を実行する。
再生光学系装置の調整が終了したら、ステップE2に戻り、再度、位置ずれ量の測定が行われる。
ステップE3で位置ずれ量が許容値以下と判定された場合、再生光学系装置の調整は終了する。
次に、記録光学系装置の調整に移る。
まず、再生テスト媒体を取り出し、記録テスト媒体をセットする(ステップE5)。
記録テスト媒体とは、記録光学系装置の調整に用いるための情報記憶媒体であり、2次元情報が記録されていない、記録情報が空の情報記憶媒体である。
次に、記録テスト媒体にテストページデータ37を記録する。
上記のテストページデータ37は、テストパターン生成回路5(図2を参照)で生成され、記録回路3に送られる。
記録回路3では、生成されたテストページデータ37とレーザ制御信号をピックアップ2に与え、テストページデータ37の記録を行う(ステップE6)(特許請求の範囲に記載のステップD3に相当)。
次に、テストページデータ37を記録した情報記憶媒体に対して、記録情報の再生を行い、位置ずれ量を測定する(ステップE7)(特許請求の範囲に記載のステップD4に相当)。
上記の位置ずれ量の測定では、実施の形態1で述べた位置ずれ量測定方法を用いて、複数の箇所での位置ずれ量を測定する。
ただし、再生光学系装置の調整の際と同様に、位置ずれ量測定方法は、実施の形態1に示す方法に限るものではなく、位置ずれ量の用途に応じ適宜選択されることが好ましい。
次に、ステップE7で得られた複数個の位置ずれ量の最大値が、許容値以下か否かを判定する(ステップE8)。ここで、前記許容値は、予めメモリ9に記録しており、この判定は、コントローラ7で実行される。
位置ずれ量の最大値が、許容値以下の場合、光学系装置の調整を終了し、許容値を超える場合、記録光学系装置の調整を行う(ステップE9)(特許請求の範囲に記載のステップD5に相当)。
記録光学系装置の調整は、ステップE4の再生光学系装置の調整と同様に、位置ずれ量を基に、調整すべき光学要素をコントローラ7で決定し、コントローラ7からの指示により、調整機構8が、適切な光学要素を移動させることにより実行される。
以上に述べた、光学系装置の調整方法により、ピックアップ2に含まれる光学系装置は、2次元像の歪みを低減するよう調整される。
図12に示す一連のステップを行った後、ピックアップ2で記録されたテストページデータ37が、規格等で規定される位置ずれ量の基準を満たしているか否かについては、ピックアップ2で記録されたテストページデータ37を、記録情報の再生時に2次元像の歪みを生じない規格検証用の標準評価機を用いて最終検証する必要がある。
しかしながら、本実施の形態による光学系調整方法によれば、ステップE2からE4において、標準評価機により記録されたテストページデータ37を用いて、再生光学系装置を調整している。
つまり、ステップE2で測定される位置ずれ量は、再生光学系装置の調整不良に起因して発生することが明確となり、前記ステップE2での位置ずれ量を基に、再生光学系装置を調整していることで、調整後の再生光学系装置は、標準評価機と同等の基準に調整がなされていることになる。
更に、再生光学系装置を、標準評価機と同等の基準に調整した後、ステップE6からE9により記録光学系を調整する。
この時点では、前述のように、再生光学系は標準評価機と同等の精度で調整されているため、それを用いて測定されるステップE7での位置ずれ量も、標準評価機並みの高い精度を有する測定結果となる。
よって、記録光学系装置の調整は、標準評価機による位置ずれ量測定結果を用いて調整しているのと同様に、高精度の調整が可能となる。
このため、前述の評価標準機を用いた最終検証の時点で、規格外の位置ずれ量が検出される可能性は低くなるため、最終検証にて、許容値を超える位置ずれ量が測定されることはなく、再度、光学系装置の調整を行わずに済む。
すなわち、本実施形態による光学系装置調整方法では、まず、再生光学系装置を高精度に調整し、その後、調整済みの再生光学系装置を用いて、記録光学系装置の調整を行っているため、一連の再生光学系装置の調整、および記録光学系装置の調整により、各々の光学系装置に起因する位置ずれ量を規格値以内に収めることができ、光学系装置の調整を繰り返すことなく、迅速且つ高精度に光学系装置の調整を完了できる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、本発明の情報記憶媒体を以下のように構成してもよい。
・記録再生を行う位置基準となるSYNCマークが記録された2次元情報記憶媒体であって、前記SYNCマークの記録間隔の略2分の1の位置に、位置ずれ検出マークが記録されていることを特徴とする情報記憶媒体。
また、本発明の位置ずれ量測定方法を以下のように構成してもよい。
・2次元情報が記録された情報記憶媒体の記録情報の位置ずれ量を測定する測定方法であって、位置基準となるSYNCマークの位置を検出する第1のステップと、SYNCマーク間隔の略2分の1の位置に記録された位置ずれ検出マークの位置を検出する第2のステップと、第2のステップにおいて位置ずれ検出マークが検出された位置と位置ずれ検出マークの正規の位置との差として位置ずれ量を求める第3のステップを有することを特徴とする位置ずれ量測定方法。
・2次元情報が記録された情報記憶媒体の記録情報の位置ずれ量を測定する測定方法であって、位置基準となる第1のSYNCマークの位置を検出する第1のステップと、第1のSYNCマークに隣接する第2のSYNCマークの位置を検出する第2のステップと、第2のステップにおいて第2のSYNCマークが検出された位置と第2のSYNCマークの正規の位置との差を求める第3のステップと、第3のステップの結果から第1のSYNCマークと第2のSYNCマークとの間の略中間点における位置ずれ量を求める第4のステップを有することを特徴とする位置ずれ量測定方法。
さらに、本発明の光学装置の調整方法を以下のように構成してもよい。
・2次元情報を記録再生する光学装置の調整方法であって、再生テスト媒体により記録情報の位置ずれ量を測定する第1のステップと、得られた位置ずれ量に応じて再生光学系を調整する第2のステップと、記録テスト媒体により記録情報の位置ずれ量を測定する第3のステップと、得られた位置ずれ量に応じて記録光学系を調整する第4のステップとを有することを特徴とする光学装置の調整方法。