JP4948414B2 - 造血刺激剤としての中間鎖長脂肪アルコール - Google Patents

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Description

本発明は、骨髄抑制の治療に関する。特に、化学療法及び/又は放射線治療の使用に伴う貧血及び/又は好中球減少症の治療を含む。本発明はまた、慢性腎不全より生じる貧血の治療、若しくはHIV感染患者へのAZT(ジドブジン)を用いた治療のため生じる貧血の治療、及び/又は、感染、血液病若しくは栄養失調により生じる好中球減少症の治療にも使用できる。本発明はまた、薬物毒性を減らし、薬物の効率を高めることに関する。特に本発明は、造血、造血幹細胞の増殖、及び/又は赤血球若しくは白血球前駆体の一つ以上(例えば赤血球、白血球、好中球、顆粒球、巨核球、又はこれらの任意の組み合わせ)の増殖の刺激剤としての、オクタノール、デカノール、ドデカノール又はこれらの類似物といった中間鎖長脂肪アルコールの使用に関する。
化学療法とは、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、エトポシド、トポテカン、イリノテカン、タキソテール、タキソール、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、ジェムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、及びクロラムブシルといった、しかしこれらに限定されない、癌細胞及び腫瘍を根絶させるための細胞毒性薬の使用のことである。しかしながら、これらの薬剤は非特異性であり、特に高用量の際には、急速に分裂する正常な細胞に対して有毒である。電離放射線もまた、急速に分裂する正常な細胞に対して有毒である。このため多くの場合、化学療法又は放射線治療を受けている患者に様々な副作用を引き起こす。骨髄抑制、すなわち骨髄内で生成される血液細胞の深刻な減少は、そのような副作用の一つである。これは、貧血、白血球減少、好中球減少、顆粒球減少、及び血小板減少を特徴とする。深刻な慢性好中球減少症はまた、循環好中球数の選択的減少、及び細菌感染に対する感受性の増大を特徴とする。
化学療法薬による癌治療の本質は、細胞毒性のメカニズムを、高増殖性腫瘍細胞と宿主細胞に対する選択性のメカニズムと組み合わせることにある。しかしながら、化学療法薬がそのような選択性を有することは稀である。化学療法薬の細胞毒性は、投与可能用量を制限し、治療サイクルに影響を及ぼし、そして癌患者の生活の質(QOL)を深刻に脅かしてしまう。これと同様な難点が、癌の放射線治療にも影響している。
他の正常組織も悪影響を受けることがあるが、骨髄は化学療法や放射線治療といった増殖に特異的な治療に対して特に敏感である。癌治療に共通する副作用である急性及び慢性の骨髄毒性は、血球数減少及び貧血、白血球減少、好中球減少、顆粒球減少、並びに/又は血小板減少を引き起こす。そのような作用の原因の一つは、複製する造血細胞(例えば、多能性幹細胞その他の前駆細胞)の数の減少であり、これは、これらの細胞に対する細胞毒性薬又は放射線の破壊的な影響、及び、より成熟した骨髄コンパートメントの枯渇により誘発されるフィードバックメカニズムが引き起こす幹細胞の分化の両方に起因する。第二の原因は、幹細胞の自己再生能の低下であり、これも直接的(突然変異)及び間接的(幹細胞集団の老化)な影響の両方に関係する(Tubiana, M., et al., Radiotherapy and Oncology 29:1-17, 1993)。そのため、癌治療は大抵、全身循環における赤血球細胞すなわち赤血球、及び白血球細胞すなわち白血球(主として好中球より成る)の減少という結果をもたらす。
赤血球は、ヘモグロビンを含有する無核で両凹の円盤状細胞であり、酸素輸送には不可欠なものである。ヘモグロビンは四つの酸素結合部位を有するテトラペプチドである。貧血とは、血液中の赤血球数、ヘモグロビン量、又はヘマトクリットの測定により特徴付けられる充填赤血球細胞容積が正常以下に減少している時に存在する状態のことである。ヘマトクリットすなわち「赤血球細胞容積」は、特に信頼できる貧血の指標と考えられる。Harrison's Principles of Internal Medicine, 8th Edition, Appendix-Table A-5, McGraw Hill (1977)の記載によれば、典型的には、正常な成人における赤血球細胞数(106/mm3)、ヘモグロビン(g/100 mL)、並びにヘマトクリット(充填赤血球細胞容積 mL/100 mL)の(海面における)平均値は、女性及び男性でそれぞれ4.8 ± 0.6及び5.4 ± 0.9、14.0 ± 2.0及び16.0 ± 2.0、並びに42.0 ± 5.0及び47.0 ± 5.0である。正常な人間においては、赤血球は骨髄で生成されてから血液循環中に放出され、およそ120日間生存する。それらは後に、単球-食細胞システムによって除去される。
貧血は様々な疾病及び障害の一症状である。そのため、貧血はその病因により分類することができる。例えば再生不良性貧血は、赤血球の再生が行われないことを特徴とし、治療抵抗性を示す。そのような患者においては、脊髄、赤血球及び血小板幹細胞の数が目立って減少し、その結果汎血球減少症になる。溶血性貧血は、赤血球の生存期間が短くなり、しかも骨髄がその寿命の短縮を補うことができないことにより発症する。これは、遺伝によるものであったり、又は化学療法、感染症、若しくは自己免疫過程の結果であったりする。鉄欠乏性貧血とは、低鉄貯蔵若しくは鉄貯蔵欠如、低血清鉄濃度、低ヘモグロビン濃度、又は低ヘマトクリット値等を特徴とする貧血の一形態のことである。鉄欠乏は、貧血の最も一般的な原因である。最も一般的に成人が罹患する悪性貧血は、胃粘膜が十分な内因子分泌をできず、結果としてビタミンB12の吸収不良につながることにより発症する。鎌状赤血球貧血は、ヘモグロビン合成における遺伝的欠陥により発症する。これは、血液中に鎌状の赤血球が存在することを特徴とする。上述のものは、医学上知られている多くの様々な貧血の単なる典型例に過ぎない。しかしながら、本発明においては、癌治療における化学療法又は放射線治療の使用に伴う貧血に対処することが特に重要である。BioWorld Todayに掲載されている記述(4ページ、2002年7月23日)によると、今年米国では、およそ120万人の癌患者が細胞毒性薬剤による化学療法を受けることになり、その内の約80万人すなわち67%が貧血になる見込みである。また貧血は、生存のために定期的な透析若しくは腎臓移植を必要とする患者の場合のような、末期の腎臓病にも伴う。これは、慢性腎不全、又は進行性で通常は腎臓機能の不可逆な低下が見られる臨床症状の部類に含まれる。
エリスロポエチン(EPO)は、腎臓で産生される分子量34,000の糖タンパクである。EPOは、骨髄における赤芽球前駆細胞(BFU-E細胞)の分裂及び分化を刺激し、細胞の生存能力を維持する(BFU-E及びCFU-E細胞のアポトーシスの阻害)。EPOの生物学的作用は受容体により媒介される。異なる動物間のアミノ酸同一性は、ヒトEPOとサルEPO間で92%であり、ヒトEPOとマウスEPO間で80%である。EPO生合成の最初の刺激は、組織低酸素である。しかしながら、上述のことからもわかるように、EPOは特定の貧血の治療に対し顕著な治療可能性を有している。例えば、EPOは腎臓が損傷を受けたか又は機能しなくなったこと (例えば上述のような慢性腎不全)に起因するEPOの体内産生の低下から生じる貧血の治療に用いることができる。その他にも、EPOは細胞毒性を有する化学療法又は放射線治療(これも上述のようなもの)による癌患者の治療の結果生じる骨髄損傷、及びそれに続く赤血球前駆細胞(例えばBFU-E細胞)の増殖減少に起因する貧血の治療に用いることができる。様々な形態の組み換えEPOが市場で入手可能である。それらは、その製造のために用いられる発現系、ならびにタンパクの糖鎖付加の部位及び程度により異なる。エポエチンアルファはCHO細胞で発現し、PROCRIT(登録商標)、EPOGEN(登録商標)又はEPREX(登録商標)の商標名で入手することができる。EPOと同様に、エポエチンアルファは三つのN結合型糖鎖付加部位をアスパラギン(Asn)残基のAsn19、Asn33、及びAsn78に有する。エポエチンベータもまた、三つの部位においてN糖鎖化されている。エポエチンオメガは、Asn24、Asn28及びAsn83でN糖鎖化されており、またセリン(Ser126)において部分的にO糖鎖化されている。近年、五つのN結合型糖鎖部位を有する、高度に糖鎖化された種のEPOが認可された。それは、ARANESP(登録商標)の商標名で入手できる、エポエチンアルファの遅延又は長期放出型である。このタンパクは、そのおよそ三倍長い血清半減期により、天然型と比較して高い生物学的活性を示す。しかしながら、これらの糖付加タンパクの使用は、高価であり、さらに組み換え技術により生産しなくてはならないが故に制限されてしまう。
正常な血液細胞数を有する個人においては、全白血球の内およそ60%が好中球から構成されている(SI Units Conversion Guide, 66-67, 1992, N. Engl. J. Med. Books)。しかし、癌治療のため化学療法を受けている患者の三人に一人は、好中球減少症を患う恐れがある。健康なヒトの成人における平均正常好中球数はおよそ4400 cells/μLであり、1800-7700 cells/μLの範囲内である。1,000 cells/μLから500 cells/μLの値は中程度の好中球減少症であり、500 cells/μL以下の場合は重度の好中球減少症である。骨髄抑制状態の患者は感染症にかかりやすく、また入院を必要とする血液凝固障害を患うことが多い。好中球及び血小板の欠乏は、癌治療後の不健全な状態若しくは死亡の主な原因であり、癌治療の高額な費用の一因である。上述のような状態において、好中球のアポトーシスを阻害するか、好中球の活性化と動員(mobilization)を刺激することができる薬剤を使用することは、治療上価値がある可能性がある。化学療法の後に患者の免疫システムを回復させる取り組みとしては、残った幹細胞を刺激して増殖させ、成熟した感染抵抗細胞へと分化させるように造血成長因子を使用することが挙げられる。
骨髄移植において、「動員」として知られている現象もまた、より多くの幹細胞/前駆細胞を末梢血から採取するために活用されてきた。この手法は現在、自家骨髄移植又は同種骨髄移植に用いられている。増殖因子を用いて、骨髄機能を廃絶する療法の前、及び前駆幹細胞の注入の前に採取される末梢前駆幹細胞の数を増加させる。
治療後の骨髄移植もまた、好中球減少症に対応することができる。しかしこれらの治療は、10〜15日間患者を感染に罹り易くする処置を必要とする。骨髄幹細胞を刺激することができる薬剤は、幹細胞移植(stem cells engraftment)を容易にし、促進することができ、従って骨髄移植後の好中球減少状態の時間を短縮することができる。
顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)及び顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)といった造血成長因子はそのような作用を発揮することができるが、これらは組み換え技術によって製造しなければならないため、使用には費用がかかる。もし患者が免疫抑制から「化学的に保護されている(chemoprotected)」ならば、そのような治療後の改善処置は不要である。
Tubiana, M., et al., Radiotherapy and Oncology 29:1-17, 1993 Harrison's Principles of Internal Medicine, 8th Edition, Appendix-Table A-5, McGraw Hill (1977) BioWorld Today (4ページ、2002年7月23日) SI Units Conversion Guide, 66-67, 1992, N. Engl. J. Med. Books
それゆえ、化学療法及び/又は放射線治療に起因する骨髄抑制状態の望ましくない副作用を減らす新規組成物及び方法が必要とされている。
本発明は、患者の造血系を刺激する新規な方法を提供することにより、化学的に保護する薬剤の必要を満たす。本発明はまた、化学療法、放射線治療、又は貧血、白血球減少、好中球減少、顆粒球減少、血小板減少、及び/若しくは骨髄移植といった、しかしこれらに限定されない、造血系の刺激が治療的に価値があり得るその他全ての状態における骨髄抑制効果を処置する新規な方法を提供する。
この方法よると、薬剤として許容される担体中に一つ以上の中鎖脂肪アルコール(例えばオクタノール、デカノール、ドデカノール)又はそれらのアルキルエステルを含む組成物の造血の刺激に有効な量が患者に投与される。この方法は、化学療法及び放射線治療の副作用(例えば骨髄抑制)を著しく減少させることができる。
本発明の目的は、中鎖脂肪アルコール(例えばオクタノール、デカノール、ドデカノール)又はこれらのアルキルエステルを造血刺激因子若しくは化学的保護剤(chemoprotective agent)として使用することに関する。
本発明の他の目的は、中鎖脂肪アルコール(例えばオクタノール、デカノール、ドデカノール)若しくはそのアルキルエステルを、化学療法及び/又は放射線治療から生じる骨髄抑制の治療に使用することに関する。
本発明の目的は、患者に化学的な保護を与えるために有効な方法を提供することである。
本発明の他の目的は、患者における化学療法及び放射線治療の有効性を高めるために有効な方法を提供することである。
さらに本発明の他の目的は、患者における化学療法誘導性若しくは放射線治療誘導性の貧血又は好中球減少症を減らすか無くすために有効な方法を提供することである。
本発明の他の目的は、血液病、若しくは感染症、若しくは栄養失調から生じる好中球減少症、又は薬剤性好中球減少症の治療方法を提供することである。
さらなる本発明の他の目的は、慢性腎不全、若しくは末期の腎臓病から生じる貧血、又は内科的若しくは外科的処置により生じる貧血、もしくは薬剤性貧血の治療方法を提供することである。
最後に本発明の他の目的は、患者に対して副作用を最小限にしたか又は全く副作用を生じない方法を提供することである。
これら及びその他の本発明の目的、特徴並びに利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を見ることにより明らかとなるであろう。
化学療法及び放射線治療は、骨髄中の造血細胞を破壊してしまう。これに続き、患者は赤血球、血小板、及び好中球が大幅に減少してしまう可能性がある。貧血は、結果として倦怠感、活力不足、及び息切れを招く。血小板減少症は、凝固時間の延長及び出血性疾患を招く。好中球減少は、患者の感染リスクを高める。骨髄抑制は、癌治療における用量制限要因である。
本発明は、患者の造血系を回復させる方法に関する。同じ目的で採用されている現行の手法は、サイトカイン又は糖タンパク増殖因子を利用している。例えば、エリスロポエチンは応答骨髄赤血球系細胞の増殖及び成熟を刺激するために用いることができる。エリスロポエチンは適切な場合貧血、例えば十分な数の赤血球を産生できないことから生じる貧血の治療のため、人間に用いることが認可されている。しかし、エリスロポエチンの使用を禁止する制限も存在する。実際、これらの制限の多くは組み換え型糖タンパクサイトカインの医学的使用において、入手容易性、毒性及び有効性の点で、特に連用する際に共通する。例えば、組み換え型ヒトエリスロポエチンによる治療を受けた患者の何人かは、赤芽球癆に繋がる糖タンパクに対する免疫反応を発現する。赤芽球癆が起きた際には、組み換え型タンパクを標的として発現した抗体はまた、患者の同等又は内生タンパクも攻撃する。その後、患者は薬物療法以前と比較して最も悪化した貧血を発現してしまう。
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、幹細胞因子(SCF)、及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含む他の造血成長因子も、患者の造血系を回復させるのに用いることができる。G-CSFとGM-CSFは、好中球減少及び血小板減少状態のトータル期間を短縮することができるが、患者が感染の影響を受けやすく血液凝固能が不足している状態にいる時間がかなりの程度残ってしまう。
中鎖脂肪アルコールとは、炭素鎖長が8(C8、オクタノール又はオクタデシルアルコール)、10(C10、デカノール又はデシルアルコール)、12(C12、ドデカノール又はドデシルアルコール)の脂肪族アルキルアルコールのことである。短鎖アルコールとは異なり、これらのアルコールは水にあまり溶けない。それにもかかわらず、中鎖脂肪アルコールは工業上幅広く使用され、また可塑剤、溶媒、除草剤、香料及び界面活性剤を含む各種製品に見受けられる。さらに重要なことには、中鎖脂肪アルコールは無毒物質である。例えば、連邦規則集第172部によれば、連邦食品医薬品局はオクタノール、デカノール及びドデカノールを食品に使用しても安全な添加物として承認している。化学物質毒性レジストリ(The Registry of Toxic Effects of Chemical Substances, 国立労働安全衛生研究所編)は、LD50 (oral, rats)はオクタノールで3.2 g/kg body weight、またデカノールで4.7 g/kg body weightであるとレポートしており、基本的に無毒である。
本明細書に記載した予測されなかった発見がされるまでは、造血及びそれに続く赤血球前駆細胞並びに骨髄前駆細胞からの赤血球並びに好中球の産生の刺激に対する、オクタノール、デカノール、ドデカノールといった中鎖脂肪アルコール又はこれらのアルキルエステルの有効性は知られていなかった。同様な活性は、中鎖脂肪酸及びトリグリセリドが造血及びそれに続く赤血球並びに好中球の産生を刺激することができることが開示されている本明細者の国際出願PCT/CA02/00535及びPCT/GB04/00457に記載されている。先行技術では8及び10の炭素長カルボン酸が一貫して顕著な生物活性を有していたのに対し、本発見は先行技術とは異なり、10及び12の炭素長アルコールが一貫して顕著な生物活性を有するという点で、予想外のものである。それ故、顕著な生物活性は、炭化水素鎖の末端にある極性頭部基(例えばヒドロキシル、カルボキシレート)に対する耐性だけではない事項によって決定される。事実、他の極性頭部基であるアルデヒド部分からは、造血を刺激することができない化合物が得られた。
本発明は、式H3C(CH2)nOH (nは7から11の整数)で表される中鎖脂肪アルコール及びそのアルキルエステルを1つ以上用いることで、人間を含む哺乳類における造血を刺激することができる。これは、化学療法、放射線治療の骨髄抑制効果、又は貧血、白血球減少症、好中球減少症、顆粒球減少症、血小板減少症、及び/又は骨髄移植といったような、しかしこれらに限定されない、造血系の刺激が治療的価値と成り得る他の全ての状態を治療するために用いることができる。
薬理学的に有効量の中鎖脂肪アルコール及びそのアルキルエステルが用いられる。そのような有効量は、例えば化学療法及び/又は放射線治療の副作用を減らすといった、望ましい治療作用を得るために投与量を変えることにより決定することができる。活性薬剤成分としての中鎖脂肪アルコールおよびそのアルキルエステルは、薬剤として許容される担体と共に、医薬品組成物に調剤することができる。
治療可能な病態の例としては、化学療法及び/又は放射線治療により生じる骨髄抑制、およびそれに続く貧血並びに免疫抑制; 慢性特発性好中球減少症といった血液病から生じる、又は細菌やウイルス感染、若しくは栄養失調から生じる慢性もしくは一過性の好中球減少症、又は薬剤性好中球減少症; 特に末期の腎臓病患者における慢性腎不全、又は整形外科手術若しくは抗レトロウイルス薬の使用といった医療処置により生じる貧血が挙げられるが、これらに限定されるものではない。化学療法及び/又は放射線治療に起因する貧血又は好中球減少症は、減らすか無くすことができる。
また、人間を含む哺乳類の化学的保護も提供することができる。このことにより、人間を含む哺乳類における化学療法及び放射線治療の有効性を増すことができ、また副作用を回避することができる。化学的保護と組み合わせた化学療法及び/又は放射線治療は、そのレシピエントに対してより優れた治療効果をあげることができる。
治療は、そのレシピエントに対し最小限の副作用しかおこさないか、全く副作用を起こさないことが望ましい。
本発明の好ましい実施態様において、活性薬剤成分若しくは薬剤として採用されたのは、デカノール(炭素鎖長が10のアルコール)、及び/又はドデカノール(炭素鎖長が12のアルコール)である。さらに、望ましい物理化学的性質を持つ薬の調製、又はプロドラッグ形態(例えば、非特異的エステラーゼに感受性を有するもの) に適切な場合には、短鎖アルキルエステル(1から4つの炭素原子を有する)も薬剤としての使用のために調製されても良い。しかしながら、これはオクタノール、又は酸成分が酢酸、プロピオン酸、若しくは酪酸である短鎖アルキルエステルのような、生物活性がより低い炭素長が8のアルコールの使用を除外するものではない。その他にも、中鎖脂肪アルコールと中鎖脂肪酸の縮合に由来するアルキルエステルを作製することも可能である。同様に、当業者にとって自明な他の化学構造も、本発明の範囲に属する。そのような自明な構造としては、アルコールの水溶性を向上させることにも役立つ、糖、アミノ酸及びペプチドへの結合によるアルコールの誘導体化を含む他のプロドラッグ形態が挙げられる。反対に、水溶性が低下した、より活性のある薬剤は、カプリル酸又はカプリン酸と本発明の中鎖脂肪アルコールとのエステル化により得られるであろう。
本発明は中鎖脂肪アルコール又はそのアルキルエステルの、造血活性化剤若しくは成長因子としての、より具体的には赤血球及び好中球前駆細胞の産生刺激剤としての使用に関する。化学療法及び放射線治療で用いる際、中鎖脂肪アルコールは、貧血及び/又は好中球減少状態の期間を短縮するため、そして造血細胞系の補充を促進するために、その治療前、治療中、及び/又は治療後に投与される。さらに、化学療法及び/又は放射線治療による処置に関連した多数のポイントで、中鎖脂肪アルコールをそのアルキルエステル又は他の類似物質と共に組み合わせて使用することもできる。また、化学療法及び/又は放射線治療による治療の治療前、治療中、及び/又は治療後に、その組み合わせを同時に投与することもできる。重度の貧血又は好中球減少症において、この中鎖脂肪アルコールは治療薬として用いられる。中鎖脂肪アルコールはまた、骨髄移植後に骨髄幹細胞を刺激して貧血及び好中球減少症からの回復期間を短縮させるためにも用いることができる。
ここでは、オクタノール、デカノール又はドデカノールといった中鎖脂肪アルコールとは、前記活性成分と一つ以上の薬剤として許容される担体を含む組成物に言及しているものとする。
ここで「薬剤として許容される担体」という語は、オクタノール、デカノール、又はドデカノールといった中鎖脂肪アルコールの生理学的効果に干渉せず、また人間を含む哺乳類に対して有害ではない物質に言及しているものとする。
本発明のオクタノール、デカノール、又はドデカノールは、オクタノール、デカノール、又はドデカノールと薬剤として許容できる担体とを用いて、当業者に公知の方法を用いて調剤することができる(Merck Index, Merck & Co., Rahway, NJ)。これらの組成物は、固体、液体、オイル、エマルジョン、ゲル、エアロゾル、吸入剤、スプレー、カプセル、錠剤・丸薬、貼付剤、及び坐剤を含むが、しかしこれらに限定されるものではない。
全ての方法は、活性成分が一つ以上の補助的成分を構成する担体と共に混合するステップを含んでいても良い。
ここで「化学療法」という語は、細胞毒性薬を用いて増殖性細胞を殺すプロセスに言及しているものとする。「化学療法後」という語句は、その以前に投与が行われているか否かにかかわらず、また投与された細胞毒性薬の効果の持続にも関係なく、細胞毒性薬の投与後に組成物が投与される全ての状況を含めて意味する。
本発明の方法が化学療法に適用される際は、オクタノール、デカノール、又はドデカノールは、化学療法の前、化学療法の間、又は化学療法の後(すなわち、細胞毒性薬の投与前、投与中、又は投与後)に投与することができる。
「細胞毒性薬」に関しては、高増殖性細胞、例えば腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、又は造血細胞を死滅させる薬剤を意味する。本発明の実施に用いることができる細胞毒性薬の例としては、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、エトポシド、トポテカン、イリノテカン、タキソテール、タキソール、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、ジェムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、及び上述の任意の化合物のアゴニストが挙げられるが、これらに限定されるものではない。細胞毒性薬はまた、例えばAZT/ジドブジン(すなわち3'-アジド-3'-デオキシチミジン)又は3TC/ラミブジン(すなわち3-チアシチジン)のような抗ウイルス薬であっても良い。
ここで「化学的保護(chemoprotection)」の語は、人間を含む哺乳類に対して与えられる、化学療法薬を用いた哺乳類の治療により生じる毒性効果からの保護に言及しているものとする。ほとんどの場合、化学療法薬とはその治療効果がDNA複製、RNA転写、若しくはそれに続くタンパク質の翻訳に干渉するか阻害する能力から生じる細胞毒性薬である。よって、化学的保護剤は、哺乳類に投与される化合物であって、化学療法薬を用いた哺乳類の治療の結果生じる毒性効果から哺乳類を保護する、又は哺乳類の回復を促進するものに言及しているものとする。
貧血は、当業者が診断することができ、またその重症度も当業者が決定することができる。「貧血」という語は、赤血球数、ヘモグロビン量、又は充填赤血球容量が正常以下に減少している際に存在する状態のことをいうことができる。そのような臨床的基準は変動することもあり得る。限定されることはないが、貧血は循環赤血球の質量の減少の結果であっても良い。治療の有効性もまた、当業者が決定することができる。緩和効果が提供されても良い。
好中球減少症は当業者が診断することができ、またその重症度も当業者が決定することができる。「好中球減少症」という語は、好中球数が正常以下に減少している際に存在する状態のことをいうことができる。そのような臨床的基準は変動することもあり得る。治療効果もまた、当業者が決定することができる。緩和効果が提供されても良い。
好ましい実施形態の一つにおいて、医薬品組成物は経口投与、舌下投与、直腸投与、局所吸入(鼻腔用スプレー)投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与、又は静脈投与に適した形態をとる。
当然のことながら、本発明の組成物の治療で用いるのに必要な量は、投与経路、治療される状態の性質、患者の年齢や状態によって異なり、そして結局のところは主治医の判断による。望ましい投与量は、単回投与、又は、作用のため若しくは治療をもたらすための必要に応じた適切な間隔をとった、例えば一日あたり二回、三回若しくはそれ以上の回数といった分割投与に都合良いようになっていても良い。「治療」又は「治療すること」の語には、人間を含む哺乳類における、現存する疾病若しくは状態の全ての治療、及び、疾病若しくは状態(例えば、貧血、好中球減少症)の予防が含まれるものとする。このことは、(a)疾病にかかりやすいかもしれないが、まだ疾病にかかっていると診断されていない患者に、疾病もしくは状態が発生するのを防ぐこと、(b)疾病又は状態の進行を阻害又は抑止すること、及び(c)疾病又は状態を退行させるか、若しくは一つ以上の症状を改善することにより、疾病又は状態を緩和することを含む。
オクタノール、デカノール又はドデカノールといった中鎖脂肪アルコールは薬物療法で使用するために純粋化学物質として投与することが可能であるが、活性薬剤成分を医薬製剤若しくは医薬組成物として提供するのが好ましい。非毒性組成物は、例えばマンニトール、乳糖、トレハロース、でん粉、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ブドウ糖、ゼラチン、ショ糖、グリセロール、炭酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びグリシンといった、しかしこれらに限定されない、通常用いられる全ての賦形剤と配合することによって形成される。
本発明の好ましい実施態様においては、投与される活性成分量は、血中濃度(遊離及び/又は血清アルブミンに結合したもの)が1μMを超えるような量である。他の実施態様においては、血中濃度は1mMを超えても良い。本発明のもう一つの好ましい実施態様においては、標的組織(例えば骨髄)で生物学的又は医学的に有意な効果を得るために、活性薬剤成分の局所濃度が十分である必要があると思われる。本発明のオクタノール、デカノール、又はドデカノールにとって、生物学的応答を引き出すためにミセル若しくは凝集構造を形成することが必要とされ得るときには、少なくとも標的組織において、そのような比較的高い濃度の活性薬剤成分が必要とされ得る。単回用量は、全体量が約1gから約10g(及びその中間の任意の量)の活性成分からなり得る。
もう一つの実施態様において、医薬組成物は、腸内投与、粘膜投与(舌下投与、肺投与及び直腸投与を含む)、非経口投与(筋内投与、皮内投与、皮下投与、及び静脈内投与を含む)、又は局所投与に適した形態をとる。剤形は、適切であるならば、個々の単位投与形態ごとに都合よくなっていても良く、また調剤技術分野で良く知られているどのような方法で調製されても良い。全ての方法は、活性薬剤成分を液体担体、若しくは微粉化した固体担体、又はその両方と組み合わせるステップ、そして必要ならば、製品を所望の形状に成形するステップを含む。望ましい場合は、活性薬剤成分を徐放させるのに適した上述の剤形を採用しても良い。この技術分野で広く知られた徐放製剤としては、リポソーム、生体適合性ポリマー、静脈内ボーラス、又は持続注入剤の使用が挙げられる。
中鎖脂肪アルコールはまた、細胞傷害性抗癌剤、又は他の抗癌剤(免疫調節薬若しくは免疫調整薬、又は治療用ワクチン、又は抗血管新生薬、中鎖脂肪酸若しくはそのトリグリセリドなど)、又は免疫抑制薬(抗炎症薬を含む)といった、他の治療効果を有する薬剤と組み合わせて用いることができる。そのような組み合わせの個々の成分は、別々の又は組み合わせた医薬製剤として、連続的又は同時に投与しても良い。上述した組み合わせは、医薬製剤の形で用いるのに都合良くなっていてもよく、従って、上記に定義した組み合わせを含む医薬製剤は、その薬剤として許容される担体と一緒となって、本発明の更なる態様を構成する。
一方、少なくとも薬理学的有効量のヒトコロニー刺激因子(例えば、G-CSF若しくはGM-CSF)、又はヒトエリスロポエチンは、中鎖脂肪アルコール若しくはそのアルキルエステルと同時に、若しくは別々に投与しても良い。同時に投与すると、造血刺激に必要なコロニー刺激因子若しくはエリスロポエチンの量、又はコロニー刺激因子若しくはエリスロポエチンが有する他の影響を減らすことができる。コロニー刺激因子若しくはエリスロポエチンの別途投与は、中鎖脂肪アルコール若しくはそのアルキルエステルの投与の前および/又は後であってもよい。
以下は、本発明の実施形態をさらに説明したものであるが、これに限定するよう意図されたものではない。
化学的保護についての調査: 中鎖脂肪アルコールによる免疫細胞増殖の生体内誘導、又は保護
6〜8週齢のメスのC57BL/6マウスを、200mg/kgのシクロホスファミド(CY)をday 0に静脈内投与することにより免疫抑制した。中鎖脂肪アルコールの免疫保護効果を調べるため、3日前、2日前及び1日前にマウスに化合物を経口投与することによって予め処置しておいた。マウスをday+5に心臓穿刺及び頚椎脱臼によってサクリファイスした。サクリファイス後、組織をPBSバッファー中で砕き、血球計で数を数えた。
デカノールを予め経口で処置していたものには、骨髄白血球数の顕著な増加がみられた(図1)。さらに、処置動物のうちいくつかは、免疫抑制していない動物(対照群)と比較した際の骨髄白血球数から見た「ベースライン値」に戻っていた。
また、末梢白血球数のわずかな増加が、オクタノール、デカノール、又はドデカノールにみられた(図2)。
さらに、オクタノール、デカノール、又はドデカノールを経口で予め処置していたものに、脾臓赤血球数の顕著な増加がみられた(図3)。
本明細書で引用された特許、特許出願、及び他の刊行物は、その全体を参照により組み込むものとする。
特許請求の範囲及びその法律上均等の範囲内の変更及び置換は全て、本発明の範囲内に包含される。「〜を含む」の用語を用いた請求項は、他の要素がその請求項の範囲内に含まれることを許容するものである。また本発明は、「〜を含む」の語の代わりに、「実質的に〜から成る」の句(すなわち、もし発明の作用効果に重大な影響を与えない要素であれば、そのような他の要素も特許請求の範囲内に含まれることを許容する)、及び「〜のみから成る」の句(すなわち、通常発明に伴う不純物又は重要ではないものを除き、クレームに挙げられた要素のみを許容すること)を用いて記載されてもいる。これら三つの慣用句はいずれも、本発明を特許請求の範囲に記載するために用いることができる。
本明細書に記載されている要素は、特許請求の範囲内ではっきりと述べられているものを除き、特許請求の範囲に記載の本発明の限定として解釈されるべきではないと理解されるべきである。よって、特許請求の範囲は、本明細書に由来し特許請求の範囲中に読み込める限定事項の代わりに、許諾された法的保護の範囲を決定するための基礎となる。対照的に、特許請求の範囲に記載の発明を予期させるか新規性を喪失させる特定の実施形態の範囲内で、先行技術は明確に本発明から除外される。
さらに、特許請求の範囲内で明確に述べられていない限り、請求項の限定事項間の関係は特に意図されていない(例えば、ものの請求項における構成要素の並び方、又は方法の請求項におけるステップの順番は、明確に述べられている場合を除き特許請求の範囲の限定事項ではない)。本明細書に開示されている個々の要素の全ての可能な組み合わせ及び順序は、本発明の態様として考慮される。同様に、発明の記載の一般化は、本発明の一部分であると考慮される。
上記より、本発明を、その精神もしくは不可欠な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態に具体化することができることは、当業者には明らかである。記載された実施形態は、限定的なものではなく、単なる例示としてのみ考慮されるべきである。なぜなら、発明に与えられる法的保護の範囲は、本明細書ではなく特許請求の範囲により示されるものだからである。
図1は、骨髄白血球数に対するオクタノール又はデカノールの作用を示している。 図2は、末梢白血球数に対するオクタノール、デカノール又はドデカノールの作用を示している。 図3は、脾臓赤血球数に対するオクタノール、デカノール又はドデカノールの作用を示している。図3Aはオクタノールとドデカノールの影響を示しており、図3Bはオクタノールとデカノールの作用を示している。

Claims (23)

  1. 治療を必要とする患者における造血を刺激する医薬の製造のための、式1:
    H3C(CH2)nOH (1)
    [式中、nは7〜11である]
    で表される一つ以上の化合物を含む組成物の使用。
  2. 前記組成物が少なくともデカノールを含む、請求項1に記載の使用。
  3. 前記組成物が少なくともドデカノールを含む、請求項1に記載の使用。
  4. 前記組成物の少なくとも一つの化合物が1μMより高い血中濃度となるように投与される、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
  5. 前記組成物が、化学療法によって生じた骨髄抑制を有する患者において造血を刺激する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  6. 前記組成物が、放射線治療によって生じた骨髄抑制を有する患者において造血を刺激する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  7. 前記組成物が、化学療法によって生じた好中球減少症を有する患者において造血を刺激する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  8. 前記組成物が、放射線治療によって生じた好中球減少症を有する患者において造血を刺激する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  9. 前記組成物が、化学療法によって生じた貧血を有する患者において造血を刺激する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  10. 前記組成物が、放射線治療によって生じた貧血を有する患者において造血を刺激する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  11. 前記組成物が、血液病、若しくは感染症、若しくは栄養失調によって生じた好中球減少症、又は薬剤性好中球減少症を有する患者において造血を刺激する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  12. 前記組成物が、慢性腎不全、若しくは末期の腎臓病により、又は内科的若しくは外科的処置によって生じた貧血、又は薬剤性貧血を有する患者において造血を刺激する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  13. 前記組成物が薬理学的有効量のヒトコロニー刺激因子と同時に投与され、該ヒトコロニー刺激因子の薬理学的有効量は前記組成物の存在下において減らされる、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
  14. 前記組成物が薬理学的有効量のヒトコロニー刺激因子と別途に投与され、投与は前記組成物の投与の前、及び/又は後であって、しかし同時投与ではない、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
  15. 前記組成物が薬理学的有効量のヒトエリスロポエチンと同時に投与され、該エリスロポエチンの薬理学的有効量は前記組成物の存在下において減らされる、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
  16. 前記組成物が薬理学的有効量のヒトエリスロポエチンと別途に投与され、投与は前記組成物の投与の前、及び/又は後であって、しかし同時投与ではない、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
  17. 治療を必要とする患者において造血を刺激するのに使用するための組成物であって、薬理学的有効量の式1:
    H3C(CH2)nOH (1)
    [式中、nは7〜11である]
    で表される一つ以上の化合物を含む組成物。
  18. 前記組成物が少なくともデカノールを含む、請求項17に記載の組成物。
  19. 前記組成物が少なくともドデカノールを含む、請求項17に記載の組成物。
  20. 前記組成物がさらに薬理学的有効量のヒトコロニー刺激因子を含む、請求項17〜19のいずれかに記載の組成物。
  21. 前記組成物がさらに薬理学的有効量のヒトエリスロポエチンを含む、請求項17〜19のいずれかに記載の組成物。
  22. 治療を必要とする患者において赤血球および/または白血球の数を増大するのに使用するための組成物であって、式1:
    H3C(CH2)nOH (1)
    [式中、nは7〜11である]
    で表される化合物から成る群から選択される一つ以上の化合物を含む組成物。
  23. 前記化合物がデカノールからなる、請求項22に記載の組成物。
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