JP4947472B2 - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に使用されるスパークプラグの製造方法に関する。
スパークプラグは、内燃機関(エンジン)に取付けられ、燃焼室内の混合気への着火のために用いられるものである。一般的にスパークプラグは、軸孔を有するとともに、アルミナ等のセラミックスにより形成された絶縁体と、前記軸孔の先端側に挿通される中心電極と、前記軸孔の後端側に挿通される端子電極と、絶縁体の外周に設けられる主体金具とを備える。また、絶縁体は、径方向外向きに突出形成された大径部と、当該大径部よりも先端側で、これよりも細径に形成された中胴部とを有する。さらに、軸孔内であって、前記中心電極及び端子電極の間には、エンジンの動作に伴い発生する電波雑音を抑制するための抵抗体が設けられる。また、当該抵抗体の両端側に、中心電極や端子電極等を絶縁体に封着固定するためのガラスシール層が形成される。
ここで、前記抵抗体や前記ガラスシール層は、一般的に次の方法を用いて形成される。すなわち、図6に示すように、まず、絶縁碍子2の軸孔4の先端側に中心電極5を挿設した上で、前記ガラスシール層を形成するためのガラス粉末混合物52、前記抵抗体を形成するための粉末状の抵抗体組成物53、ガラス粉末混合物52の順で軸孔4内にこれらを予備圧縮しつつ充填する。次いで、前記軸孔4の端部から端子電極6を圧入しつつ、抵抗体組成物53やガラス粉末混合物52を圧縮加熱する。これにより、抵抗体組成物53やガラス粉末混合物52が焼結して、前記抵抗体やガラスシール層が形成される。
ここで、ガラス粉末混合物52及び抵抗体組成物53の予備圧縮や圧縮加熱を行う際に、大径部11と中胴部12との間に形成された段部71を金属製の支持筒51で支持することで、絶縁碍子2を支持する方法が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
特開2004−319335号公報
しかしながら、上記技術を採用した場合には、予備圧縮時や圧縮加熱時に、前記中胴部12に対して絶縁碍子2の先端側へと引っ張り力が加わることとなる。ここで、一般的にセラミックスは、圧縮力には比較的強いものの、引っ張り力に対しては比較的弱いものである。そのため、引っ張り力が加わることによって、中胴部の破断等、絶縁体が破損してしまうおそれがある。また、近年、スパークプラグの小型化(小径化)の要請があり、これを実現すべく、絶縁体を薄肉化する方法が採用され得るが、この場合、絶縁体の破損がより一層懸念される。
これに対して、予備圧縮時や圧縮加熱時における圧縮荷重を比較的小さくすることも考えられるが、抵抗体の充填密度が小さくなってしまう。ここで、抵抗体の充填密度が小さくなってしまうと、抵抗体の抵抗値が上昇してしまい、ひいては導通不良に至りやすくなってしまう(すなわち、耐久性が低下してしまう)おそれがある。
また、一般的に抵抗体組成物53は、前記大径部11及び中胴部12に対応する軸孔4内に充填されるが、上記技術を採用した場合には、抵抗体組成物53のうち、中心電極5側に位置する(図の下方に位置する)抵抗体組成物53が支持筒51内に入り込んだ状態となる一方で、端子電極6側に位置する(図の上方に位置する)抵抗体組成物53が、支持筒51の外に出た状態となる。そのため、圧縮加熱時において、抵抗体組成物53に対する熱履歴が一律なものとならず、結果として、焼結後の抵抗体の抵抗値にばらつきが生じ、生産品質の低下を招いてしまうおそれがある。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、圧縮加熱時等における、絶縁体の破損をより確実に防止できるとともに、十分な耐久性を有し、かつ、抵抗体の抵抗値のばらつきを比較的少なくすることができるスパークプラグの製造方法を提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成のスパークプラグの製造方法は、軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、
前記軸孔の後端側に設けられた端子電極と、
前記軸孔内の、前記中心電極及び前記端子電極間に設けられ、導電性材料を含んでなる抵抗体組成物によって形成される抵抗体と、
前記中心電極及び前記抵抗体間、並びに、前記端子電極及び前記抵抗体間に設けられ、ガラス粉末混合物によって形成されるシール層と、
を備えるとともに、
前記絶縁体は、
前記絶縁体の先端側に形成された脚長部と、
前記脚長部よりも後端側において、前記脚長部よりも大径に形成された中胴部と、
前記中胴部及び前記脚長部の間において、前記脚長部側に向けて先細り形状をなす段部とを有するスパークプラグの製造方法であって、
前記軸孔に前記中心電極を配置する工程と、
前記軸孔に前記抵抗体組成物及び前記ガラス粉末混合物を充填するとともに、圧縮する圧縮充填工程と、
前記軸孔に前記端子電極を圧入し、前記抵抗体組成物及び前記ガラス粉末混合物を圧縮しつつ、加熱する圧縮加熱工程とを含み、
少なくとも前記圧縮加熱工程において、前記絶縁体を前記段部で支持することを特徴とする。
上記構成1によれば、少なくとも抵抗体組成物及びガラス粉末混合物を圧縮・加熱する圧縮加熱工程において、前記絶縁体は中胴部と脚長部との間の段部において支持される。これにより、圧縮時に、中胴部に対して引っ張り力が発生しないようにすることができ、中胴部の破断等、絶縁体の破損を効果的に防止することができる。
また、中胴部に対する引っ張り力が発生しないこととなるため、圧縮時の圧縮荷重を多少増大させたとしても、中胴部の破断等、絶縁体の破損が起こらない。このため、許容された圧縮荷重の増大によって、抵抗体の充填密度を増大させることができ、抵抗体の耐久性を一層向上させることができる。
さらに、例えば、鉛直状態にある絶縁体を支持筒を用いて下方から支持することとした場合、抵抗体組成物全体を支持筒よりも上方に位置した状態とすることができる。つまり、加熱時における支持筒の有無による(位置の相違による)熱履歴の差異を抑制でき、抵抗体組成物に対する熱履歴を略一律とすることができる。ひいては、焼結後の抵抗体の抵抗値にばらつきが生じてしまうことを防止でき、生産品質の向上を図ることができる。
構成2.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1において、前記圧縮充填工程において、前記絶縁体を前記段部で支持することを特徴とする。
上記構成2によれば、圧縮加熱工程に加え、抵抗体組成物及びガラス粉末混合物を圧縮・充填する圧縮充填工程においても、絶縁体が段部において支持される。これにより、圧縮充填時において、中胴部に対して引っ張り力が生じてしまうことを防止でき、絶縁体の破損をより一層確実に防止することができる。
また、圧縮充填時における圧縮荷重を増大させることができるため、抵抗体の充填密度をより一層大きくすることができる。これにより、抵抗体の耐久性をより一層向上させることができる。
構成3.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成2において、前記圧縮充填工程における、前記抵抗体組成物及び前記ガラス粉末混合物の圧縮荷重を100MPa以上としたことを特徴とする。
上記構成3によれば、圧縮充填時における圧縮荷重が100MPa以上とされている。これにより、抵抗体の充填密度を一層大きくすることができ、一層優れた耐久性を実現することができる。
尚、絶縁体の破損をより確実に防止するという観点からは、圧縮充填工程における圧縮荷重を350MPa以下とすることが好ましい。また、抵抗体の充填密度の増大、及び、絶縁体の破損の防止の双方をバランスよく実現すべく、圧縮充填時における圧縮荷重を120MPa以上330MPa以下とすることが好ましく、140MPa以上320MPa以下とすることがより好ましい。
構成4.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記圧縮加熱工程における、前記端子電極の圧入荷重を50MPa以上としたことを特徴とする。
上記構成4によれば、圧縮加熱工程における端子電極の圧入荷重が50MPa以上とされている。これにより、抵抗体の充填密度の更なる増大を図ることができ、ひいては耐久性のより一層の向上を図ることができる。
尚、絶縁体の破損をより確実に防止するという観点からは、圧縮加熱工程における端子電極の圧入荷重は250MPa以下とすることが好ましい。また、抵抗体の充填密度の増大、及び、絶縁体の破損等の防止の双方をバランスよく実現すべく、圧縮加熱時における圧入荷重を70MPa以上230MPa以下とすることが好ましく、80MPa以上220MPa以下とすることがより好ましい。
構成5.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至4のいずれかにおいて、前記圧縮充填工程及び前記圧縮加熱工程のうち少なくとも一方の工程において、前記絶縁体の倒れを防止する倒れ防止手段を用いることを特徴とする。
上記構成5によれば、圧縮充填工程、及び/又は、圧縮加熱工程において、倒れ防止手段を用いることにより、絶縁体をより一層安定した状態で支持することができる。その結果、抵抗体組成物やガラス粉末混合物の圧縮をより一層確実に行うことができる。
尚、上記構成1等のスパークプラグの製造方法は、絶縁体が後述する各構成である場合において特に有意である。
構成6.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至5のいずれかにおいて、前記絶縁体の前記中胴部の外径と、前記脚長部の最後端部の外径との径差の半分である半径差が0.5mm以上であることを特徴とする。
上記構成6によれば、前記中胴部の外径と前記脚長部の外径との径差の半分である半径差が0.5mm以上とされている。すなわち、軸線と直交する方向に沿った段部の長さが0.5mm以上とされている。これにより、段部において絶縁体をより確実に支持することができるため、圧縮充填時や圧縮加熱時において、抵抗体組成物やガラス粉末混合物をより確実に圧縮することができる。
構成7.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至6のいずれかにおいて、前記絶縁体の前記中胴部の外径が、4mm以上12mm以下であることを特徴とする。
上記構成7によれば、絶縁体の中胴部の外径が4mm以上12mm以下と比較的小径化されている。このような比較的小径の絶縁体は、その肉厚が薄肉化されており、圧縮充填時や圧縮加熱時における絶縁体の破損が一層懸念されるものである。加えて、中胴部の外径が小径化されることに伴い、軸孔の内径も比較的小径とされ得る。そのため、軸孔内に配設される抵抗体が比較的小さなものとなり、抵抗体の耐久性が不十分となってしまうおそれがある。
この点、上記構成1等を用いることにより、絶縁体が比較的薄肉であっても、圧縮充填時や圧縮加熱時における絶縁体の破損を効果的に抑制することができる。また、中胴部の破損を抑制しつつ、圧縮荷重を増大させることができるため、抵抗体の充填密度を増大させることができる。その結果、小径化された軸孔内に配設される比較的小さな抵抗体であっても、十分な耐久性を有するものとすることができる。
構成8.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至7のいずれかにおいて、前記軸線を含む断面における、前記絶縁体の前記段部の外形線と前記軸線に直交する直交線とのなす角度が10°以上40°以下であることを特徴とする。
上記構成8によれば、軸線を含む断面における、段部の外形線と軸線に直交する直交線のなす角度(段部の角度)が10°以上40°以下とされている。これにより、絶縁体を段部において一層確実に支持することができ、抵抗体組成物やガラス粉末混合物をより一層確実に圧縮することができる。
尚、絶縁体のより一層確実な支持を実現するという観点からは、段部の角度を30°程度とすることが好ましい。従って、段部の角度を20°以上40°以下とすることが好ましく、25°以上35°以下とすることがより好ましい。
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、内燃機関用スパークプラグ(以下、「スパークプラグ」と称す)1を示す一部破断正面図である。なお、図1では、スパークプラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれより細径に形成された脚長部13とを備えている。絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、脚長部13の大部分は、主体金具3の内部に収容されている。そして、脚長部13と中胴部12との連接部には、先端側に向けて先細るテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って軸孔4が貫通形成されている。当該軸孔4には、その先端部において小径部15が形成されているとともに、当該小径部15の後端側において、小径部15より径の大きい大径部16が形成されている。また、前記小径部15及び大径部16の間には、テーパ状の軸孔段差部17が形成されている。
加えて、軸孔4の先端部側(小径部15)には中心電極5が挿入、固定されている。より詳しくは、中心電極5の後端部には、自身の外周方向に向けて膨出する膨出部18が形成されており、当該膨出部18が前記軸孔段差部17に対して係止された状態で、中心電極5が固定されている。中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5Aと、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金からなる外層5Bとにより構成されている。さらに、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端面が平坦に形成されるとともに、絶縁碍子2の先端から突出している。
また、軸孔4の後端部側(大径部16)には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
さらに、軸孔4(大径部16)の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されており、当該抵抗体7の両端部は、導電性のシール層としてのガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1をエンジンヘッドに取付けるためのねじ部(雄ねじ部)21が形成されている。また、ねじ部21の後端側の外周面には座部22が形成され、ねじ部21後端のねじ首23にはリング状のガスケット24が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3をエンジンヘッドに取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部25が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部26が設けられている。
また、主体金具3の内周面の先端側には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の金具段部27が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の金具段部27に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部26を形成することによって固定される。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,27間には、円環状の板パッキン28が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料空気が外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材31,32が介在され、リング部材31,32間にはタルク(滑石)33の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン28、リング部材31,32及びタルク33を介して絶縁碍子2を保持している。
また、主体金具3の先端部34には、ニッケル(Ni)系合金で構成された接地電極35が接合されている。すなわち、接地電極35は、前記主体金具3の先端部34に対しその後端部が溶接されるとともに、先端側が曲げ返されて、その側面が中心電極5の先端部と対向するように配置されている。加えて、接地電極35は、外層35A及び内層35Bからなる2層構造となっている。本実施形態において、前記外層35AはNi合金〔例えば、インコネル600やインコネル601(いずれも登録商標)〕によって構成されている。一方、前記内層35Bは、前記Ni合金よりも良熱導電性金属である銅合金又は純銅によって構成されている。
加えて、中止電極5の先端面には、貴金属合金(例えば、白金合金やイリジウム合金等)からなる円柱状の貴金属チップ41が接合されている。そして、当該貴金属チップ41の先端面と、前記接地電極35の貴金属チップ41と対向する面との間に、火花放電間隙42が形成されている。
本実施形態においては、図2に示すように、絶縁碍子2の中胴部12の外径M1が、軸線CL1方向に沿って略一定となるように形成されている。また、前記中胴部12(の最先端部)の外形M1と、脚長部11の最後端部の外径M2との径差の半分である半径差Dが、0.5mm以上(例えば、0.65mm)とされている。すなわち、軸線CL1と直交する方向に沿った前記段部14の長さが0.5mm以上とされている。
加えて、前記中胴部12の外径M1が、4mm以上12mm以下(例えば、6.25mm)とされている。すなわち、本実施形態における絶縁碍子2は比較的小径化されたものであり、ひいては絶縁碍子2の肉厚も比較的薄くされている。また、絶縁碍子2の小径化に伴って、前記軸孔4についても比較的小径化されており、ひいては前記抵抗体7の外径についても比較的小径化されている。
さらに、軸線CL1を含む断面における、前記段部14の外形線Gと、前記軸線CL1と直交する直交線OL1とのなす角度(段部14の角度)Aが、10°以上40°以下(例えば、30°)とされている。
次に、上記のように構成されてなるスパークプラグ1の製造方法について説明する。まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、円柱状の金属素材(例えばS17CやS25Cといった鉄系素材やステンレス素材)を冷間鍛造加工により貫通孔を形成し、概形を製造する。その後、切削加工を施すことで外形を整え、主体金具中間体を得る。
続いて、主体金具中間体の先端面に、Ni系合金等からなる接地電極35が抵抗溶接される。当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるので、その「ダレ」を除去した後、主体金具中間体の所定部位にねじ部21が転造によって形成される。これにより、接地電極35の溶接された主体金具3が得られる。接地電極35の溶接された主体金具3には、亜鉛メッキ或いはニッケルメッキが施される。尚、耐食性向上を図るべく、その表面に、さらにクロメート処理が施されることとしてもよい。
一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用い、成型用素地造粒物を調製し、これを用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。得られた成形体に対し、研削加工が施され整形される。そして、整形されたものが焼成炉へ投入され焼成されることで、絶縁碍子2が得られる。
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、Ni系合金が鍛造加工され、その中央部に放熱性向上を図るべく銅合金からなる内層5Aが設けられる。そして、その先端部には、上述した貴金属チップ41が抵抗溶接やレーザ溶接等により接合される。
さらに、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。
より詳しくは、まず、図3(a)に示すように、金属製で筒状をなす支持筒51の先端面で、前記段部14を支持することにより、前記絶縁碍子2を支持する。次いで、軸孔4の小径部15に対して、中心電極5が挿入・配置される。このとき、中心電極5の膨出部18が軸孔段差部17に対して係止される。
次に、図3(b)に示すように、段部14にて絶縁碍子2を支持した状態で、ホウ珪酸ガラス粉末や金属粉末等が混合されて調製された導電性のガラス粉末混合物52と、導電性材料(例えば、カーボンブラック)やセラミックス粒子(例えば、ガラス粒子)等からなる抵抗体組成物53とが軸孔4内に圧縮充填される。より詳しくは、軸孔4内に、ガラス粉末混合物52を充填し、充填したガラス粉末混合物52を図示しないプレスピンによって予備圧縮する。次に、抵抗体組成物53を軸孔4に充填して同様に予備圧縮をし、さらに、ガラス粉末混合物52を充填し、同じく予備圧縮を行う。ここで、ガラス粉末混合物52や抵抗体組成物53を予備圧縮する際の圧縮荷重は、100MPa以上(例えば、140MPa以上320MPa以下)とされている。
そして、端子電極6を軸孔4内へと中心電極5の反対側から圧入した状態で、焼成炉内においてガラス軟化点以上の所定温度(本実施形態では、800℃〜950℃)で、ガラス粉末混合物52や抵抗体組成物53等を加熱する。このとき、端子電極6の圧入荷重が、50MPa以上(例えば、80MPa以上220MPa以下)とされている。
上記圧縮・加熱工程を経ることによって、図3(c)に示すように、積層状態にあるガラス粉末混合物52及び抵抗体組成物53は、焼結されて、抵抗体7及びガラスシール層8,9となり、絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定されることとなる。尚、焼成炉内における加熱に際して、絶縁碍子2の後端側胴部10表面に釉薬層を同時に焼成することとしてもよいし、事前に釉薬層を形成することとしてもよい。
その後、上記のようにそれぞれ作成された中心電極5や抵抗体7等を備える絶縁碍子2と、接地電極35を備える主体金具3とが組付けられる。より詳しくは、比較的薄肉に形成された主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部26を形成することによって固定される。
そして、最後に、接地電極35を屈曲させることで、中心電極5の先端に設けられた貴金属チップ41及び接地電極間の前記火花放電間隙42を調整する加工が実施される。
このように一連の工程を経ることで、上述した構成を有するスパークプラグ1が製造される。
以上、本実施形態によれば、抵抗体組成物53及びガラス粉末混合物52を圧縮・加熱する圧縮加熱工程において、前記絶縁碍子2は中胴部12と脚長部13との間の段部14において支持される。これにより、圧縮時に、中胴部12に対して引っ張り力が発生しないようにすることができ、中胴部12の破断等、絶縁碍子2の破損を効果的に防止することができる。
また、中胴部12に対する引っ張り力が発生しないこととなるため、圧縮時の圧縮荷重を多少増大させたとしても、中胴部12の破断等、絶縁碍子2の破損が起こらない。このため、許容された圧縮荷重の増大によって、抵抗体7の充填密度を増大させることができ、抵抗体7の耐久性を一層向上させることができる。
さらに、抵抗体組成物53全体を支持筒51よりも上方に位置した状態とすることができる。つまり、加熱時における支持筒51の有無による(位置の相違による)熱履歴の差異を抑制でき、抵抗体組成物53に対する熱履歴を略一律とすることができる。ひいては、焼結後の抵抗体7の抵抗値にばらつきが生じてしまうことを防止でき、生産品質の向上を図ることができる。
加えて、本実施形態においては、圧縮加熱工程に加え、抵抗体組成物53及びガラス粉末混合物52を圧縮・充填する圧縮充填工程においても、絶縁碍子2が段部14において支持される。これにより、圧縮充填時において、中胴部12に対して引っ張り力が生じてしまうことを防止でき、絶縁碍子2の破損をより一層確実に防止することができる。
また、圧縮充填時における圧縮荷重を増大させることができるため、抵抗体7の充填密度をより一層大きくすることができる。これにより、抵抗体7の耐久性をより一層向上させることができる。
併せて、圧縮充填時における圧縮荷重が100MPa以上とされるとともに、圧縮加熱工程における端子電極による圧入荷重が50MPa以上とされている。これにより、抵抗体7の充填密度の更なる増大を図ることができ、ひいては耐久性のより一層の向上を図ることができる。
尚、本実施形態におけるスパークプラグの製造方法は、絶縁碍子2が上述のように構成されている場合に特に有意である。
すなわち、本実施形態において、軸線CL1と直交する方向に沿った段部14の長さが0.5mm以上とされている。このため、段部14において絶縁碍子2をより確実に支持することができ、圧縮充填時や圧縮加熱時において、抵抗体組成物53やガラス粉末混合物52をより確実に圧縮することができる。
加えて、絶縁碍子2が小径化され、ひいては絶縁碍子2が比較的薄肉化されているが、段部14において絶縁碍子2を支持することにより、圧縮充填時や圧縮加熱時における絶縁碍子2の破損を効果的に抑制することができる。また、絶縁碍子2の破損を抑制しつつ、圧縮荷重を増大させることができるため、抵抗体7の充填密度を増大させることができる。その結果、小径化された軸孔4内に配設される比較的小さな抵抗体7であっても、十分な耐久性を有するものとすることができる。
さらに、段部14の角度が10°以上40°以下とされているため、絶縁碍子2を段部14において一層確実に支持することができ、抵抗体組成物53やガラス粉末混合物52をより一層確実に圧縮することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態においては、抵抗体組成物53やガラス粉末混合物52の圧縮充填時、及び、抵抗体組成物53やガラス粉末混合物52の圧縮加熱時の双方において、絶縁碍子2を段部14で支持している。これに対して、抵抗体組成物53やガラス粉末混合物52の圧縮加熱時においてのみ、絶縁碍子2を段部14で支持することとしてもよい。
(b)上記実施形態では特に記載していないが、図4に示すように、抵抗体組成物53及びガラス粉末混合物52の圧縮充填時や圧縮加熱時において、絶縁碍子2の倒れを防止すべく、倒れ防止手段としての倒れ防止板61を用いることとしてもよい。この場合には、絶縁碍子2をより一層安定した状態で支持することができ、抵抗体組成物53やガラス粉末混合物52の圧縮をより一層確実に行うことができる。
尚、倒れ防止手段は、絶縁碍子2の倒れを防止可能な構成であればよく、前記倒れ防止板61に限定されるものではない。従って、倒れ防止手段としては、例えば、図5に示すように、支持筒51のうち、段部14と当接する部位から上方に向けて延びる倒れ防止筒62等を用いることとしてもよい。尚、当該倒れ防止筒62の先端部は、大径部11に対して当接しないものとなっている。
(d)上記実施形態では、主体金具3の先端面に、接地電極35が接合される場合について具体化しているが、主体金具の一部(又は、主体金具に予め溶接してある先端金具の一部)を削り出すようにして接地電極を形成する場合についても適用可能である(例えば、特開2006−236906号公報等)。また、主体金具3の先端部34の側面に接地電極35を接合することとしてもよい。
(e)上記実施形態では、工具係合部25は断面六角形状とされているが、工具係合部25の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
本実施形態のスパークプラグの構成を示す一部破断正面図である。 絶縁碍子の中胴部等を示す部分拡大断面図である。 (a)は、電極を配置する工程における絶縁碍子等を示す断面図であり、(b)は、圧縮充填工程等における絶縁碍子等を示す断面図であり、(c)は、圧縮加熱工程後における絶縁碍子等を示す断面図である。 他の実施形態における倒れ防止板等を示す断面図である。 他の実施形態における倒れ防止筒等を示す断面図である。 従来技術における圧縮充填工程時等の絶縁碍子等を示す断面図である。
符号の説明
1…スパークプラグ
2…絶縁体としての絶縁碍子
4…軸孔
5…中心電極
6…端子電極
7…抵抗体
8,9…シール層としてのガラスシール層
12…中胴部
13…脚長部
14…段部
52…ガラス粉末混合物
53…抵抗体組成物
61…倒れ防止手段としての倒れ防止板
62…倒れ防止手段としての倒れ防止筒
A…段部の角度
D…半径差
CL1…軸線
M1…中胴部の外径
M2…脚長部の最後端部の外径
OL1…直交線

Claims (8)

  1. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、
    前記軸孔の後端側に設けられた端子電極と、
    前記軸孔内の、前記中心電極及び前記端子電極間に設けられ、導電性材料を含んでなる抵抗体組成物によって形成される抵抗体と、
    前記中心電極及び前記抵抗体間、並びに、前記端子電極及び前記抵抗体間に設けられ、ガラス粉末混合物によって形成されるシール層と、
    を備えるとともに、
    前記絶縁体は、
    前記絶縁体の先端側に形成された脚長部と、
    前記脚長部よりも後端側において、前記脚長部よりも大径に形成された中胴部と、
    前記中胴部及び前記脚長部の間において、前記脚長部側に向けて先細り形状をなす段部とを有するスパークプラグの製造方法であって、
    前記軸孔に前記中心電極を配置する工程と、
    前記軸孔に前記抵抗体組成物及び前記ガラス粉末混合物を充填するとともに、圧縮する圧縮充填工程と、
    前記軸孔に前記端子電極を圧入し、前記抵抗体組成物及び前記ガラス粉末混合物を圧縮しつつ、加熱する圧縮加熱工程とを含み、
    少なくとも前記圧縮加熱工程において、前記絶縁体を前記段部で支持することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  2. 前記圧縮充填工程において、前記絶縁体を前記段部で支持することを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグの製造方法。
  3. 前記圧縮充填工程における、前記抵抗体組成物及び前記ガラス粉末混合物の圧縮荷重を100MPa以上としたことを特徴とする請求項2に記載のスパークプラグの製造方法。
  4. 前記圧縮加熱工程における、前記端子電極の圧入荷重を50MPa以上としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  5. 前記圧縮充填工程及び前記圧縮加熱工程のうち少なくとも一方の工程において、前記絶縁体の倒れを防止する倒れ防止手段を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  6. 前記絶縁体の前記中胴部の外径と、前記脚長部の最後端部の外径との径差の半分である半径差が0.5mm以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  7. 前記絶縁体の前記中胴部の外径が、4mm以上12mm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  8. 前記軸線を含む断面における、前記絶縁体の前記段部の外形線と前記軸線に直交する直交線とのなす角度が10°以上40°以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
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