JP4946255B2 - ガス吸着剤 - Google Patents
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一方、タバコは燃焼させるとその煙中で、粒体相と蒸気相を発生するが、蒸気相中では、例えば、一酸化炭素や窒素酸化物(NOx)、アンモニア等の他に、カルボニル化合物や有機酸、フェノール、クレゾール、カテコール等のフェノール誘導体、シアン化水素、硫化水素に代表される硫化物等の有害物質を含有している。この中でも、カルボニル化合物は、最近、化学物質過敏症の主原因物質としても注目されているなど、人体に有害な化学物質として知られている。
このような有害なガス成分を除去して快適な生活環境を維持するためには、有害ガス成分に対して吸着性の高いガス吸着剤が要求されており、家庭生活にも様々なガス吸着剤が使用されている。
特許文献1は、前記反応体の最も好ましい形態としては、シリカゲルに結合された3−アミノプロピルシリル基を含有するタバコフィルターであり、3−アミノプロピルシリル基の一級アミノ基が、シアン化水素やアルデヒド類等の有害物質と化学的に反応して共有結合するので、選択的に除去できることを提案している。しかしながら、このシリカゲルに結合された3−アミノプロピルシリル基を含有するタバコフィルターは、アミノ基の含有量が少ないため、シアン化水素等の有害物質の吸着量が充分とは言えず、アルデヒド類も除去されにくい。また、3−アミノプロピルトリエトキシシランとシリカゲルからガス吸着剤であるプロピルシリル基が結合したシリカゲルを調製する際、未反応の3−アミノプロピルトリエトキシシランが残存する。得られたガス吸着剤はオーブンで乾燥するが、ガス吸着剤中に未反応の3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が大量に残存すると、乾燥後もアミン臭を放出し、臭気や風味に影響するおそれがある。
デュオライトA7は、フェノールホルムアルデヒド樹脂母材に第1級アミン及び第2級アミン基を有するアニオン交換樹脂であり、アルデヒド類の吸着に対する特異性を高めることを意図している。しかし、デュオライトA7は、樹脂骨格を形成するためにフェノール誘導体が使用されているため、これに由来した芳香族化合物等の遊離性有害成分が放出する。また、この特許文献2に記載された実験結果を見るとアセトアルデヒドの吸着量が良好とは言えない。
さらに、特許文献4では、窒素原子がアルキル化されていてもよいビニルアミンとポリビニル化合物とから主として成る構造の架橋重合体であるガス吸着剤を開示している。特許文献4は、芳香族ジビニル化合物を架橋性成分としたビニルアミン系イオン交換樹脂であり、ガス吸着能に直接関与するビニルアミン成分を多く含んだガス吸着剤である。
しかしながら、これらの方法では、上記遊離性有害成分やアミン系不純物の放出を充分に抑制することができず、また、塩基性水溶液で洗浄を行うと、ガス吸着剤中のアミノ基までもが除去されるため、ガス吸着剤の効果が低下してしまう。さらに、酸やアルカリで洗浄を行うとビニルホルムアミドの加水分解物であるホルマリンが発生し、最終的に得られたビニルアミン系イオン交換樹脂中に残留するという問題もある。特許文献4に記載された方法で、これらの問題を解決して工業的量産を実現させることは非常に難しい。
すなわち、本発明により提供されるガス吸着剤は、下記の(I)及び(II)の条件、又は下記の(I)及び(III)の条件を満たすタバコフィルター用のガス吸着剤であって、該ガス吸着剤が、スチレン−ジビニルベンゼン架橋構造骨格を有し、アミノ基を含有する弱塩基性アニオン交換樹脂より成り、該弱塩基性アニオン交換樹脂が、温度40〜100℃、濃度0.1〜5Nの強酸により洗浄して得られたもの、又は、重合反応の少なくとも一部を110℃以上160℃以下で行い、110℃以上である時間を1時間以上とすることにより得られた重合体にアミノ基を導入したものであることを特徴とする。
(I)水銀ポロシメーター測定における該ガス吸着剤の平均細孔半径が330Å以上である。
(II)単位質量当たりの該ガス吸着剤からのアミン溶出量が10μ当量/g以下である。
(III)単位質量当たりの該ガス吸着剤中の下記式1で表される単環芳香族化合物の含有量が4mg/g以下である。
また本発明のガス吸着剤において、弱塩基性アニオン交換樹脂はOH形であることが好ましい。
従って本発明のガス吸着剤は、タバコの煙中の有害ガスを除去することができ、タバコのフィルターとして好適に用いられる。
本発明により提供されるガス吸着剤は、下記の(I)及び(II)の条件、又は下記の(I)及び(III)の条件を満たすことを特徴とする。
(I)水銀ポロシメーター測定における該ガス吸着剤の平均細孔半径が330Å以上である。
(II)単位質量当たりの該ガス吸着剤からのアミン溶出量が10μ当量/g以下である。
(III)単位質量当たりの該ガス吸着剤中の下記式1で表される単環芳香族化合物の含有量が4mg/g以下である。
以下において、本発明のガス吸着剤について詳しく説明する。
一般に、ガス吸着剤が細孔を多数有する多孔質であると、ガス吸着剤と被処理ガスとの接触面積が大きいので、ガスの吸着量や吸着効率等のガス吸着性に優れている。しかしながら、ガスの吸着効率は、ガス吸着剤の細孔半径によっても変動する。
従来のガス吸着剤のなかで、例えば、活性炭の多孔性材料は10〜30Å程度、シリカゲル、アルミナ等の多孔性材料は20〜100Å程度、また、イオン交換樹脂であるデュオライトA7は150〜200Å程度の平均細孔半径を有している。しかしながら、上記平均細孔半径では、ガス成分がその細孔内に充分に拡散するためには小さいため、ガス吸着の効率が悪く、特に喫煙(吸引)中のタバコフィルターを通過する際に見られるような10〜30m/秒程度の速いガス流条件下となると、ガス吸着性が低かった。
そこで本発明では、喫煙中のタバコフィルターを通過する際に見られるような比較的速い流速をもつガス流から、標的物質を効率よく取り込み、吸着させるために、ガス吸着性の指標としてガス吸着剤の平均細孔半径を規定する。
すなわち本発明のガス吸着剤は、上記条件(I)に規定されたように、ガス吸着剤の平均細孔半径が330Å以上、好ましくは350Å以上であり、通常10000Å以下、好ましくは5000Å以下、更に好ましくは3000Å以下、特に好ましくは2500Å以下である。ガス吸着剤の平均細孔半径を上記範囲内とすることで、単純に表面積を増加させるだけでなく、10〜30m/秒程度の速いガス流速条件下でも、ガス吸着剤の細孔内への取り込み性及び、当該細孔内でガス拡散性に優れ、ガス吸着剤としての高い性能を発揮することができる。
通常、ガス吸着には捕捉したい分子の数倍の大きさを有する細孔構造が最適であるという分子ふるい的な拡散や表面拡散が考えられていたが、本発明者が検討した結果、ガス吸着剤の細孔半径はさらに大きな構造(Knudsen拡散領域)が必要条件であることが分かった。この理由は明らかではないが、以下のメカニズムが推定される。
一般に、ガス中の有害成分の分子は、平均自由行程の範囲内を移動する。この平均自由行程は、例えば25℃、大気圧の条件で、カルボニル化合物の一種であるアセトアルデヒドでは約300Å、アセトンでは約200Å、シアン化水素では約500Åであることが知られている。従って、この平均自由行程以上の細孔径を有するガス吸着剤であれば、有害成分の分子をガス吸着剤の細孔に誘導することができる(図1参照)。
尚、細孔半径が大きすぎると、樹脂(ガス吸着剤)の重量当たりの表面積が小さくなるため有害成分の吸着量が十分でなくなるおそれがある。
一般に圧力を加えてガス吸着剤の細孔に侵入させた時の圧力と、その圧力において水銀が侵入可能な細孔径との関係は、下記計算式1のようなWashburnの式で示される。
計算式1:
Pr=−2σcosθ
上記計算式1においてPは圧力、rは細孔半径、σは水銀の表面張力で通常は480dyne/cm程度、θは水銀と細孔壁面との接触角で通常は140°程度。
圧力と試料細孔内に侵入した水銀の侵入量から、細孔を円筒形と仮定して上記計算式1を基に平均細孔半径を計算することができる。
以下に測定法の具体例を示す。
<細孔物性の測定法>
真空乾燥した樹脂(ガス吸着剤)をガラスセルに入れ、水銀ポロシメーターで樹脂の細孔半径、細孔容積を測定する。細孔容積、細孔半径をそれぞれ縦軸、横軸とした細孔の分布を示すヒストグラムにより、細孔容積の合計が最も多い部分の細孔半径を平均細孔半径とする。
ここで、芳香族系高分子樹脂とは、高分子の主鎖又は側鎖の連鎖中に芳香環を含む高分子樹脂であり、例えば、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル系高分子樹脂とは、高分子の主鎖又は側鎖の連鎖中に(メタ)アクリル系モノマー由来の繰り返し単位を含む高分子樹脂であり、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル系モノマーの重合体、或いは、1種又は2種以上の(メタ)アクリル系モノマーと(メタ)アクリル系モノマー以外の1種又は2種以上のビニル系モノマーの共重合体が挙げられる
フェノール系高分子樹脂とは、1種又は2種以上のフェノール系化合物の重縮合体である。
一般に、シリカは、テトラエトキシシラン等のシリコンアルコキサイド、溶媒及び水を添加しゲル化させ、熟成乾燥させて製造するが、ゲル化させるときの沈澱条件、熱分解条件等を変えることにより、細孔構造を制御することができる。また、シリカは、テトラエトキシシラン等のシリコンアルコキサイド、溶媒及び水に、界面活性剤(長鎖アルキル鎖アミン、及び/又は長鎖アルキル鎖アンモニウム塩)を添加し、ゲル化させることによっても、細孔構造を制御することができる。この界面活性剤のアルキル鎖、水、溶媒、ゲル化点を制御し、目的とする細孔を得ることができる。
従来のガス吸着剤のなかで、カルボニル化合物等の有害成分に対する吸着性が比較的良好なものとしては、特許文献3や特許文献4に記載されているようなアミノ基を有する合成吸着剤、特許文献1に記載されているようなシリカゲルに3−アミノプロピルシリル基を結合させた反応体など、マトリクス構造のベースにアミノ基を固定させたものが知られている。
しかしながら、その合成段階で用いたアミノ化合物の一部が、マトリクス構造のベースに固定されずに未反応のまま残存し、ガス吸着剤中に不純物として含有される。この未反応のアミノ化合物は、アミン臭やアミン化合物漏洩の原因となる。
一般に、ガス吸着剤中に固定されるアミノ基の量が多いほどカルボニル化合物に対する吸着性は向上するが、未反応のアミノ化合物の残存量も多くなる。そのため、カルボニル化合物吸着性の良好な従来のガス吸着剤は、ガス吸着剤そのものに由来するアミン臭成分を含有し、これは悪臭であるためにガス吸着剤としての使用を妨げていた。
すなわち本発明のガス吸着剤は、条件(I)の平均細孔半径の規定だけでなく、上記条件(II)に規定されたように、単位質量当たりのガス吸着剤からのアミン溶出量が、10μ当量/g以下、好ましくは5μ当量/g以下、さらに好ましくは1μ当量/g以下、特に好ましくは0.1μ当量以下であり、ガス吸着剤そのものに由来する悪臭、特にアミン臭が非常に少ない。
<アミン溶出試験法>
被検体であるガス吸着剤をカラムに充填し、溶離剤として、例えば0.5〜5Nの塩酸水溶液を通液し、アミンを溶離させる。得られた溶離液を、例えばガスクロマトグラフ法や液体クロマトグラフ法、イオンクロマトグラフ法、質量分析法、核磁気共鳴スペクトル法等のアミンを定量することができる分析法により測定する。
従来のガス吸着剤のなかでタバコ中の主要な有害ガス成分であるカルボニル化合物に対する吸着性が比較的良好なものとしては、特許文献3や特許文献4に記載されているようなアミノ基を有するイオン交換樹脂が知られている。アミノ基を有するイオン交換樹脂は、重合性単量体を重合させ、さらに必要に応じて架橋させて形成したマトリクス構造のベースにアミノ基を固定したものである。その合成段階では、重合性の単環芳香族化合物が重合性単量体及び/又は架橋剤として用いられる。
しかしながら、合成段階で用いた重合性の単環芳香族化合物の一部は、未反応のままか、又は、マトリクス構造にまで成長できなかったオリゴマーとなって残存し、イオン交換樹脂に不純物となって残留する。そのため、カルボニル化合物吸着性の良好な従来のガス吸着剤は、トルエン、スチレン、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、ジエチルベンゼン、フェノール等のベンゼン環を有する単環芳香族化合物を放出するが、これらの単環芳香族化合物は、ガス吸着剤そのものに由来する遊離性有害ガス成分であり、例えば、健康上への影響のほか、ガス吸着量並びにガス吸着速度の低下や臭気等の原因となることが知られている。
すなわち本発明のガス吸着剤は、単位質量当たりのガス吸着剤中の下記式1で表される単環芳香族化合物の含有量が4mg/g以下、さらに好ましくは1mg/g以下であり、とりわけ好ましくは0.1mg/g以下、更に好ましくは0.01mg/g以下、更に好ましくは0.001mg/g以下であり、ガス吸着剤そのものに由来する有害な芳香族化合物、特に、ベンゼン環を有する単環芳香族化合物の放出量が非常に少ない。
<芳香族化合物溶出試験法>
被検体であるガス吸着剤をカラムに充填し、溶離剤として、例えばイソプロパノールやアセトン、THF(テトラヒドロフラン)等の極性有機溶媒を通液し、芳香族化合物を溶離させる。得られた溶離液を、例えばガスクロマトグラフ法や、液体クロマトグラフ法、質量分析法、核磁気共鳴スペクトル法等の芳香族化合物を定量することができる分析法により測定する。
あるいは、アニオン交換樹脂やカチオン交換樹脂からなる既存のイオン交換樹脂(合成吸着剤)や、シリカ、アルミナ又は活性炭等の無機材料をベースとする既存の吸着剤が有する特性を洗浄処理等により調整することによって、本発明のガス吸着剤とすることができる。なお、ベース材料は、洗浄、後処理の条件下で、収縮、膨潤により、最終製品と物性が異なる場合がある。従って、有機又は無機のベース材料を合成する際、または既存の吸着剤をベース材料とする場合は、「最終製品」が、本発明で特定された条件(I)の平均細孔半径を有するように、ベース材料を設計する必要がある。具体的には、例えば以下のような調整が必要となる。
(i)ベースポリマーの平均細孔半径が条件(I)より大きめになるように設計する。
具体的には、例えばスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤等を挙げることができる。
多価アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。このうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。また、重合性の不飽和基と官能基を有するエステル及び/又はエーテルとしては、重合性のビニル基又はイソプロペニル基を1個有するカルボン酸(好ましくは炭素数3〜12)のグリシジルエステル、前記カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、重合性のビニル基又はイソプロペニル基を1個有するアルケニル(好ましくは炭素数3〜12)グリシジルエーテル等が挙げられる。このうち、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
具体的には、例えばエチレングリコールジメタクリレートとグリシジルメタクリレート、ジビニルベンゼンを重合させて得られるメタクリル系架橋重合体を樹脂骨格とするマトリクスを挙げることができる。
具体的には、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。フェノール系合成吸着剤は、例えばカテコール、フェノール、パラホルムアルデヒド及び希釈溶媒を塩酸水溶液中に混合し、逆相での懸濁重合で重縮合を行うこと等により製造することができる。
ここで、「弱塩基性アニオン交換樹脂」とは、1級乃至3級アミノ基等の弱塩基性アニオン交換基を有する樹脂である。弱塩基性アニオン交換樹脂は、一般に、酸性乃至中性溶液中でのみアニオン交換を行うことができ、HClやH2SO4等の強酸やNH4Cl等の弱塩基の塩は容易にアニオン交換できるが、弱酸はアニオン交換しづらい。
一方、「強塩基性アニオン交換樹脂」とは、第4級アンモニウム基等の強塩基性アニオン交換基を有する樹脂である。強塩基性アニオン交換樹脂は、一般に、酸性乃至アルカリ性まで全pH域の溶液中でアニオン交換を行うことができ、強酸や中性塩だけでなく、弱酸もアニオン交換できる。
好ましい弱塩基性アニオン交換樹脂としては、公知の弱塩基性アニオン交換樹脂を酸により洗浄したもの、高温重合反応により得られた架橋ポリスチレンにイオン交換基を導入したものが挙げられる。
洗浄を行う公知の弱塩基性アニオン交換樹脂としては、例えば、ダイヤイオンCR20(商品名、三菱化学社製)、WA21(商品名、三菱化学社製)、WA30(商品名、三菱化学社製)、HPA25(商品名、三菱化学社製)、Duolite A361(商品名、ロームアンドハース社製)、Pulorite A103(商品名、ピュロライト社製)、Amberlite IRA93(商品名、ロームアンドハース社製)、Duolite A378(商品名、ロームアンドハース社製)、Lewatit MP64(商品名、ランクセス社製)、Dowex MWA1(商品名、ダウケミカル社製)、Amberlite IRA904(商品名、ロームアンドハース社製)等が挙げられる。
洗浄は上記イオン交換樹脂を強酸中に攪拌することにより行う。酸の液温は高温である方が、洗浄効果が高く、室温〜120℃、好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは40〜80℃である。洗浄方法は、バッチ式の洗浄であっても、カラム洗浄でも良い。
即ち、公知の弱塩基性アニオン交換樹脂を温度40〜80℃、濃度0.1〜5Nの塩酸、硫酸などの強酸を用い、十分に攪拌して洗浄する。洗浄後、カラムに上記樹脂を充填し、温度40〜80℃、濃度0.1〜5Nの上記強酸をカラム内へ通液し、次に脱塩水を通液して過剰の強酸を除去する。
次にカラム内の樹脂に、メタノールを2BV〜4BV(「BV」とは、樹脂(ガス吸着剤)1Lに対する体積量(L)を表す。)通液し、さらに室温〜50℃、濃度0.1〜3Nの水酸化ナトリウム水溶液を通液して、カラム内の樹脂のイオン交換基をOH形に変換する。最後に脱塩水を通液することにより、本発明に必要な条件を満たす弱塩基性アニオン交換樹脂が得られる。
高温重合反応により得られた架橋ポリスチレンにイオン交換基を導入して得られる弱塩基性アニオン交換樹脂としては、架橋ポリスチレンの重合において、通常の反応温度より高温にて重合させて得られる架橋ポリスチレンをベースに用いた弱塩基アニオン交換樹脂が挙げられる。通常より高温の重合反応を行うことにより、ベース樹脂由来の低重合体成分や遊離重合体成分等の不純物の残存や分解物の発生を抑制することが出来るため、本発明に必要な条件を満たす弱塩基性アニオン交換樹脂が得られる。
高温重合としては、例えば重合反応の少なくとも一部を、通常100℃以上の高温で行なう重合反応が挙げられる。以下に好ましい高温重合の条件について説明する。
高温重合反応は、以下の技術的意義がある。即ち、高温条件により、上記低重合体成分や遊離重合体成分等の不純物がガラス転移状態又はこれに近い状態となって重合反応に組み込まれ易くなり、残存する低重合体成分や遊離重合体成分の量が減少するものと考えられる。また、重合によって生じるポリマー鎖の構造がより堅牢で緻密なものになるため、残存した低重合体成分や遊離重合体成分がこのポリマー鎖の構造内に閉じ込められて、その後に溶出してくる可能性が減るものと考えられる。従って、かかる観点から、重合温度は通常100℃以上、中でも110℃以上、の温度で行なうことが好ましい。具体例を挙げると、架橋ポリスチレンのガラス転移点は、通常架橋度5%では105℃程度、通常架橋度10%では108℃程度であり、この温度付近で架橋ポリスチレンの重合反応を行うことにより、ベース樹脂由来の低重合体成分や遊離重合体成分等の不純物の残存や分解物の発生を抑制することができる。
但し、あまりに温度が高過ぎると、重合溶液の温度を上昇させるのに時間を要したり、重合開始剤の選択の幅が小さくなったり、製造設備が高価になったり、重合温度を上昇させても溶出を軽減させる効果がそれ以上改善されなかったり、生成した重合体が変性し、又は分解されるおそれがあるので、温度の上限は通常160℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である
重合反応の方法は特に限定されるものではなく、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等、公知の種々の方法を何れか単独で、或いは二種以上を組み合わせて採用することができる。これらは目的とする重合体の種類や用途に応じて、適宜選択すればよい。
特に、得られる重合体を後述のようにイオン交換樹脂又は合成吸着剤として使用する場合には、重合体の形状を粒状、中でも球状又は略球状とすることが好ましいが、この様な粒状(球状又は略球状)の重合体を製造するためには、油中水型又は水中油型の懸濁重合を行なうのが有効である。
本発明では、重合反応系内の酸素量を、全原料モノマーに対する比率として、通常5ppm以下、中でも3ppm以下、更には1ppm以下と、できるだけ少なくすることが好ましい。なお、米国特許第4192921号公報、特開昭53−124184号公報等において、酸素ガスを含む窒素を流通させながら重合する方法も提案されている。しかしながら、重合反応(特にラジカル重合反応)において、反応系内に酸素が存在すると、末端ラジカルは酸素と共重合しやすいため、原料モノマーの重合反応に酸素が取り込まれ、過酸化物結合を含むポリマーが生成する。この結果、樹脂の製造工程や洗浄工程の際、あるいは樹脂の使用中に、この過酸化物結合が化学的及び熱的に開裂して、オリゴマーの発生及び溶出を引き起こしたり、この過酸化物結合が分解されてホルムアルデヒドやベンズアルデヒド等の分解物を生じ、その溶出を引き起こしたりする原因ともなる。従って、こうしたオリゴマーや分解物の溶出を抑制するためにも、重合反応系内の酸素量を極めて低く抑え、その状態を維持することは重要である。
上述の様に、重合反応の少なくとも一部は100℃以上の高温で行なう必要があるが、この高温重合反応をより低い温度での重合反応と組み合わせ、複数段に分けて実施しても良い。
例えば、上述したように、反応系中に有機溶媒が存在しない場合(例えば、ゲル型の重合体を製造する場合等)には、原料モノマーの転換率(conversion rate)がまだ低い段階で100℃以上の高温にすると、原料モノマーが水とともに蒸気となって反応器中に充満し、その一部が反応器の蓋部で重合してしまい、これが凝集体となって付着するという問題が生じる。よって、まず100℃未満の比較的低温で重合反応を行ない(これを適宜「前段重合」という。)、モノマーの転換率をある程度高めた状態にした上で、100℃以上の高温重合反応を行なう(これを適宜「後段重合」という。)ことが好ましい。
この場合、前段重合の温度は、通常50℃以上、好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下の範囲が好ましい。前段重合の温度が低すぎると、重合性単量体の転換率が低く、後段重合の際の付着物量が増加するという理由から好ましくない。また、前段重合の温度が高すぎると、付着物量が増加する、スチレン特有の熱重合による二量体構造物、三量体構造物が副生する等の理由から好ましくない。
前記弱塩基性アニオン交換樹脂は上述の重合によって得られる重合体(架橋ポリスチレン)にイオン交換基を導入することにより得られる。
そのイオン交換基(アニオン交換基)としては、4級アンモニウム基、1乃至3級アミノ基(−N+HnR3−n)等が挙げられる(Rは任意の置換基を表わし、nは1以上3以下の整数を表わす。)。4級アンモニウム基、1乃至3級アンモニウム基の具体例としては、アンモニア基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチレンジアミノ基、ジエチレントリアミノ基、トリエチレンテトラミノ基、ポリエチレンイミン基、ブチレンジアミノ基、ヘキサンジアミノ基、エタノールアミノ基等が挙げられる。
なお、以上のイオン交換基は何れか一種を単独で導入しても良く、二種以上を任意の組み合わせで同一の重合体に導入してもよい。
例えば、弱塩基性アニオン交換基として1乃至3級アミノ基を導入する場合、特開2001−106725号公報等に記載の手法が用いられる。
当初、カルボニル化合物の除去機構は、1級アミノ基とカルボニル化合物のシッフ塩基の形成による捕捉のみであると推測されていた。ところが、反応機構を検討した結果、カルボニル化合物の捕捉は1級アミンのみならず、2級アミンや3級アミンを有する弱塩基性アニオン交換樹脂や、トリメチルアンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換樹脂であってもカルボニル化合物を高効率で捕捉できることを見出した。この理由としては、アニオン交換樹脂の樹脂表面でシッフ塩基の生成反応以外に、アルドール縮合や、アルデヒドの重合反応が行われているためと推測される。換言すると、いわゆる塩基性触媒によるカルボニル化合物のオリゴマー化が進行していると推測される。
本発明においては、ガス吸着剤の水分含有率が3〜20%、5〜20%が好ましく、5〜15%であることが特に好ましい。水分含有率が上記範囲内であることで、ミクロポアー内でガス拡散性が適切に保たれ、ガス吸着剤としての性能を維持することができる。
本発明においては、ガス吸着剤の水分含有率が3〜20%、5〜20%が好ましく、5〜15%であることが特に好ましい。水分含有率が上記範囲内であることで、ミクロポアー内でガス拡散性が適切に保たれ、ガス吸着剤としての性能を維持することができる。
<水分含有率の測定>
被検体であるガス吸着剤にNaOH水溶液を接触させて、そのアニオン交換基を再生した後、遠心分離機等の適切な機器によって脱水し、脱水したガス吸着剤の適切量を秤量する。秤量したガス吸着剤を更に真空乾燥し、真空乾燥させたガス吸着剤の質量を測定する。そして脱水後の質量と、真空乾燥後の質量から、ガス吸着剤の水分含有量を算出することができる。また、カールフィッシャー水分計で、樹脂中の水分を直接測定することもできる。
シリカをベースとして1級乃至3級アミノ基または4級アンモニウム基を固定したものとしては、例えば、シリカゲル粒子に3−アミノプロピルシリル基を導入した反応体を例示できる。
また、環状飽和第二アミンと、不揮発性酸、尿素及びチオ尿素から選ばれた少なくとも1種とを活性炭に担持させてなる吸着剤を例示できる。
また、前記シリカ、アルミナ担体におけると同様、重合性単量体を含む溶液を含浸させ、重合した後、必要に応じ、イオン交換基を導入した担体が挙げられる。必要に応じ、イオン交換基を有する重合性単量体を用いても良い。例えば、アミノメチルスチレンあるいは、アミノエチル(メタ)アクリレート単量体等が挙げられる。また、溶出をできるだけ小さくするため、重合性単量体に多官能性重合性単量体を添加しても良い。
また、活性炭にリン酸とエチレンジアミン及び/又はトリエタノールアミンを添着せしめてなるか、或いは、活性炭にエチレンジアミンリン酸塩及び/又はトリエタノールアミンリン酸塩を添着せしめてなるか、或いは、活性炭にリン酸を添着した後、エチレンジアミン及び/又はトリエタノールアミンを加えてアミンリン酸塩として添着せしめた吸着剤を例示できる。
従って、本発明のガス吸着剤は、有害ガス除去のためのガスフィルターまたは装置類全般に用いられ、特に、タバコのフィルターや空気清浄機、カーエアコンのようなタバコの煙中の有害ガスを除去することが求められる機器のガスフィルターに好適に用いられる。
また、本発明のガス吸着剤を空気清浄機、カーエアコンのようなタバコの煙中の有害ガスを除去することが求められる機器のガスフィルターに用いた場合には、高速で吸引した空気から有害物質が効率よく除去されるだけでなく、機器から排出される空気は、ガス吸着剤自体に由来する悪臭成分や有害成分を含んでいないため、ガス吸着剤自体のせいで機器使用者に不快感を与えたり、或いは機器使用者の健康を害するおそれが少なくなる。
また、本発明のガス吸着剤と非処理ガスとの接触面積を大きくとれるように、ガス吸着剤それ自体を非常に粒径の小さい粒子または多孔質粒子の形態に加工して用いることが好ましい。
なお、本発明の吸着剤は、単独で使用することも可能であるが、他のガス吸着剤と併用することも可能である。
真空乾燥した樹脂(ガス吸着剤)をガラスセルに入れ、水銀ポロシメーター(オートポア9220型、島津製作所製)で樹脂の細孔半径、細孔容積を測定した。測定した細孔容積、細孔半径をそれぞれ縦軸、横軸とした細孔の分布を示すヒストグラムにより、細孔容積の合計が最も多い部分の細孔半径を平均細孔半径として求めた。
また、樹脂(ガス吸着剤)の表面積は窒素吸着法(フローソーブ2300型、マイクロメトリクス社製)で測定した。
なお、表中で表面積0は、細孔が認められないか、ほとんど認められない場合を示す。
内径15mmφのカラムに、遠心分離器で水切りした樹脂(ガス吸着剤)50gを、脱塩水を用いて充填し、溶離液として2Nの塩酸水溶液をSV1(「SV1」とは、樹脂(ガス吸着剤)1Lに対する1時間当りの体積流量(L/h)を表す。)で5BV(「5BV」とは、樹脂(ガス吸着剤)1Lに対し1時間で5L通液したことを表す。)通液し、溶離液を回収した。回収した溶離液の吸光度(波長254nm)を測定し、イオンクロマトグラフィーや更に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で以下の条件により分析した。
なお、「BV」とは、樹脂(ガス吸着剤)1Lに対し1時間で1L通液したことを表す。
内径15mmφのカラムに、遠心分離器で水切りした樹脂(ガス吸着剤)50gを、脱塩水を用いて充填し、溶離液としてイソプロピルアルコールを室温でSV1で5BV通液し、溶離液を回収した。回収した溶離液をガスクロマトグラフィー(GC)、及びHPLCで分析し、トルエン、スチレン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジエチルベンゼン、フェノールの含有量を測定した。GC分析条件並びにHPLC分析条件は以下の通り。
HPLC分析:カラム ODSカラム 50%アセトニトリル水溶液から100%アセトニトリル溶液まで5%/分のグラジエントで溶離、10分到達後、5分間100%アセトニトリル溶液で5分間保持。 UV検出器、測定波長254nm。
ダイヤイオン(登録商標)CR20(商品名、三菱化学社製のアミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)をセントルで水切りした後、100ml取り、冷却管、攪拌羽根を取り付けた1Lの4つ口フラスコに入れた。この中へ2N−HClを400ml加え、80℃で5時間攪拌した。溶液を抜き出し、更に新しい2N−HCl溶液を400ml加え、更に5時間攪拌し、洗浄した。
フラスコを室温まで冷却した後、上記樹脂をガラスカラムに充填し、1N−HCl水溶液を室温で、SV1で5BV通液した。更に1N−HCl水溶液で洗浄した後、脱塩水で10BV通液して洗浄し、過剰の塩酸溶液を除いた。
次に、洗浄後のカラム内の樹脂のイオン交換基がCl形のまま、メタノールを室温で、SV1で5BV通液した。更に脱塩水で5BV通液してメタノールを除去した。
この樹脂を、1N−NaOH水溶液で5BV通液し、カラム内の樹脂のイオン交換基をOH形(フリー形)にイオン交換し、最後に、脱塩水5BVを通液したものを実施例1のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
ダイヤイオン(登録商標)CR20(商品名、三菱化学社製のアミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)の前駆体である下記式2に示す構造を主骨格とするクロロメチル化ポリマーを、実施例1と同様の方法で洗浄(1N−HCl水溶液で洗浄した後、脱塩水で10BV通液して洗浄し、過剰の塩酸溶液を除く段階まで)したもの(以下、「洗浄前駆体」と称する。)を、下記の様にアミノ化した。
冷却管、攪拌羽根を取り付けた500mlの4つ口フラスコに上記洗浄前駆体を50g取り、脱塩水を250ml加え、室温で1時間攪拌した。この中に45%水酸化ナトリウム水溶液30gと50%ジメチルアミン水溶液70gを加え、50℃で5時間攪拌した。
反応後、樹脂を取り出し、ガラスカラムに充填し、脱塩水で20BV水洗して、反応で使用したアミンを除去したものを実施例2のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
実施例2で用いた同様の洗浄前駆体を、下記の様にアミノ化した。
冷却管、攪拌羽根を取り付けた500mlの4つ口フラスコに上記洗浄前駆体を50g取り、脱塩水150ml、45%水酸化ナトリウム水溶液30g、ジエチレントリアミン(DETA、東京化成品)200gを加え、120℃で5時間攪拌した。
反応後、樹脂を取り出し、ガラスカラムに充填し、脱塩水で20BV水洗して、反応で使用したアミンを除去したものを実施例3のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
攪拌羽根、窒素導入管、圧力ゲージ、圧力センサー、温度計用保護管を取り付けた3LのSUS製加圧反応器に、下記の有機相と水相を加えた。
有機相:63%ジビニルベンゼン179.3g、スチレン272.5g、n−ヘプタン495ml、PBZ(t−ブチルパーベンゾエート、日本油脂製)1.13gの溶液を調製した。
水相:脱塩水1677ml、3%ポリビニルアルコール溶液75.3ml、0.1%NaNO2水溶液10mlを調製した。
次に、反応羽根を攪拌しながら、反応缶を5kPaまで減圧状態にした後、0.3MPaの窒素ガスを圧入した。この操作を5回繰り返し、更に200ml/分で15分間攪拌しながら、窒素ガスをバブリングし、反応器の中の溶存酸素を0.2ppm以下まで除去した。
反応器を25℃に温度調整し、100rpmで1時間攪拌した。その後、120℃に昇温し、8時間攪拌した。反応器を冷却後、樹脂を取り出し、脱塩水で洗浄した後、わずかにn−ヘプタン臭がする白色の樹脂を得た。
この樹脂200gを、攪拌羽根、冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに入れ、水蒸気蒸留で、樹脂中に残留するn−ヘプタンを除去した。
この段階で、水分50.5%、比表面積99m2/g、平均細孔半径340Å、細孔容積0.945ml/g(細孔半径600Å以上の細孔容積が0.19ml/g)の樹脂を得た。重合収率は99.5%以上であった。また、樹脂中に残留するスチレンは10ppm、エチルビニルベンゼン(EVB)は3.7ppm、ジビニルベンゼン(DVB)は6.3ppbであった。
上記手順によって、得られたものを実施例4のガス吸着剤(弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
攪拌羽根、窒素導入管、圧力ゲージ、圧力センサー、温度計用保護管を取り付けた3LのSUS製加圧反応器に、下記の有機相と水相を加えた。
有機相:63%ジビニルベンゼン83.9g、スチレン129.5g、イソオクタン245.3g、純度75%過酸化ベンゾイル1.28g、PBZ(t−ブチルパーベンゾエート、日本油脂製)1.185gの溶液を調製した。
水相:脱塩水985ml、3%ポリビニルアルコール溶液53.3ml、0.1%NaNO2水溶液21mlを調製した。
次に、反応羽根を攪拌しながら、反応缶を5kPaまで減圧状態にした後、0.3MPaの窒素ガスを圧入した。この操作を5回繰り返し、更に200ml/分で15分間攪拌しながら、窒素ガスをバブリングし、反応器の中の溶存酸素を0.1ppm以下まで除去した。
反応器を25℃に温度調整し、120rpmで1時間攪拌した。その後、80℃で4時間攪拌した後、更に115℃に昇温し、4時間攪拌した。反応器を冷却後、樹脂を取り出し、脱塩水で洗浄した後、わずかにイソオクタン臭がする白色の樹脂を得た。
この樹脂200gを、攪拌羽根、冷却管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに入れ、水蒸気蒸留で、樹脂中に残留するイソオクタンを除去した。
この段階で、水分56.21%、比表面積53m2/g、平均細孔半径472Å、細孔容積0.82ml/g(細孔半径600Å以上の細孔容積が0.54ml/g)の樹脂を得た。重合収率は99.6%以上であった。また、樹脂中に残留するスチレンは2ppm、エチルビニルベンゼン(EVB)は0.8ppm、ジビニルベンゼン(DVB)0.3ppmであった。
上記手順によって得られた樹脂50gにクロロメチルメチルエーテル300gを加え、温度50℃、塩化鉄(III)10gを加えることによりクロロメチル化し、次に実施例2と同様の方法によりアミノ化を行ったものを実施例5のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
ダイヤイオン(登録商標)CR20(商品名、三菱化学社製のアミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例1のガス吸着剤(アミノ基含有弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
デュオライトA7(商品名、ロームアンドハース社製のフェノール系弱塩基性アニオン交換樹脂)そのものを比較例2のガス吸着剤(フェノール系弱塩基性アニオン樹脂)として試験に供した。
1Lの4つ口フラスコに、シクロヘキサン400mlとエチルセルロース800mgを入れ重合浴溶液を調製した。一方、これとは別にビニルホルムアミド(CH2=CH−NHCHO)(純度94%、主な不純物は蟻酸)180g、ジビニルベンゼン(純度80%)20.0g、脱塩水4.5g、V−50(アゾ系重合開始剤、商品名、和光純薬(株)製)400mgのモノマー溶液を調製した。両溶液とも予め窒素でバブリングをした。
窒素雰囲気下でシクロヘキサン溶液を100rpmで攪拌しながら、上記調製したモノマー溶液を徐々に滴下した。30分攪拌し分配平衡にした後、昇温し、65℃で8時間重合した。昇温終了後、モノマー相は約15分でゲル化した。重合終了後、反応溶液をブフナー漏斗上にあけ、得られた架橋共重合体をメタノールで洗浄し、残存するジビニルベンゼン、シクロヘキサン等を除去した後、引き続き水洗した。重合収率は81%であった。得られた架橋共重合体は、外見上は白色であるが、顕微鏡観察では、僅かに不透明状であった。得られた重合体は、膨潤度4.63ml/g、水分含有量68.9%のゲル型の架橋共重合体であり、比表面積は0m2/gであった。
上記の水切りした架橋共重合体100ml、脱塩水100mlを500mlのフラスコ内に入れ、この中へ水酸化ナトリウム25gを加えた。90℃で4時間加水分解した。反応終了後、架橋共重合体を水洗したものを比較例3のガス吸着剤(アミノ基を有するゲル型弱塩基性アニオン交換樹脂)として試験に供した。
なお、得られた架橋共重合体は平均粒形が約330μmで膨潤度は7.33ml/g、水分含有量は78.9%であった。
粒状活性炭(キシダ化学製)を100倍量の体積の脱塩水(100BV)で洗浄後、比較例4のガス吸着剤(活性炭)として試験に供した。
以下の方法によりアミノ化されたシリカゲルを作成した。
1.5Lの加圧反応缶に「ワコーゲル C−200」(商品名、和光純薬社製のシリカゲル)20.0g、トルエン100g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン20.0gを加え、130℃で10時間攪拌し反応させた。次に前記反応により生成したシリカ担体をメタノールで3回洗浄し、最後に水洗し、真空乾燥した。得られたアミノ化されたシリカゲルを比較例5のガス吸着剤(アミノ基含有シリカゲル)として試験に供した。
また、デュオライトA7をガス吸着剤とした比較例2や、比較例4の活性炭ベースのガス吸着剤、アミノ化されたシリカゲルをガス吸着剤として用いた比較例5では、単環芳香族化合物の含有量やアミン溶出量は少ないが、平均細孔半径は、所望の数値よりも大幅に小さかった。比較例3は、平均細孔半径及び表面積が0であり、アミン溶出量も大きかった。
2 有害成分分子の平均自由行程
3 ガス吸着剤
4 細孔径
5 イオン交換基
Claims (3)
- 下記の(I)及び(II)の条件、又は下記の(I)及び(III)の条件を満たすタバコフィルター用のガス吸着剤であって、該ガス吸着剤が、スチレン−ジビニルベンゼン架橋構造骨格を有し、アミノ基を含有する弱塩基性アニオン交換樹脂より成り、該弱塩基性アニオン交換樹脂が、温度40〜100℃、濃度0.1〜5Nの強酸により洗浄して得られたもの、又は、重合反応の少なくとも一部を110℃以上160℃以下で行い、110℃以上である時間を1時間以上とすることにより得られた重合体にアミノ基を導入したものであることを特徴とするガス吸着剤。
(I)水銀ポロシメーター測定における該ガス吸着剤の平均細孔半径が330Å以上である。
(II)単位質量当たりの該ガス吸着剤からのアミン溶出量が10μ当量/g以下である。
(III)単位質量当たりの該ガス吸着剤中の下記式1で表される単環芳香族化合物の含有量が4mg/g以下である。
- 弱塩基性アニオン交換樹脂が、強酸による洗浄後に、さらにメタノールにより洗浄されたものである請求項1に記載のガス吸着剤。
- 弱塩基性アニオン交換樹脂がOH形である請求項1又は2に記載のガス吸着剤。
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