JP4945789B2 - アルミ切粉洗浄方法およびその洗浄装置 - Google Patents

アルミ切粉洗浄方法およびその洗浄装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶剤等を用いたアルミ切粉洗浄方法、特に樹脂切粉を含むアルミ切粉をアルミ切粉と樹脂切粉とを密度差を利用して分離できる洗浄液で洗浄するアルミ切粉洗浄方法およびその洗浄装置に関する。
アルミと樹脂とが複合されたサッシ(以下、複合アルミサッシという)を切断もしくは切削するとアルミ切粉と一緒に樹脂切粉が発生し、さらにその際に切削油を使用するために、これらの切粉には切削油が含まれている。以下、このように樹脂切粉と切削油とが含まれているアルミ切粉を原料アルミ切粉とする。
原料アルミ切粉は収集され、収集された原料アルミ切粉からアルミを溶融回収し、資源の有効再利用と同時に環境の改善をも図っている。この後工程でのアルミ溶融回収における回収率を高めるには、原料アルミ切粉に含まれている樹脂切粉および切削油を除去することが必要である。アルミ切粉に樹脂切粉や切削油が含まれていると、溶融時にこれらに由来する成分がアルミ中に混入し、回収アルミの品質および回収効率を低下させるため、樹脂切粉や切削油の含有量が多い原料アルミ切粉は、アルミの溶融回収に適合しないものとなる。
従来、原料アルミ切粉に含まれている樹脂切粉を分離する方法として、樹脂切粉とアルミ切粉の大きさや密度差からくる空気流れに対する抵抗差を利用して行う方法が知られている。例えば、特許文献1にはア原料アルミ切粉をドラム型回転メッシュ篩内に供給し、篩上産物として長繊維状の樹脂切粉を分別し、次いで篩下産物となったアルミ切粉と細かい樹脂切粉を送風ブロワーから送られてくる空気に方向性をもたせた指向性メッシュ篩で重力式風力選別法によって分離する方法が記載されている。
しかしながら、この方法では、樹脂切粉とアルミ切粉の空気流れに対する抵抗差が生じない場合あるいは抵抗差が十分でない場合に充分な分離効果が得られないばかりでなく、切削油の除去がまったく考慮されないという問題があった。
また、樹脂切粉および切削油を気化あるいは燃焼によって除去する方法が知られているが、燃焼排ガスに含まれるNOxなどの処理が大きな課題となっている。
特開平11−99364号公報
従来の方法では、上記したように原料アルミ切粉に含まれている樹脂切粉と切削油の除去が充分でなく、また樹脂切粉および切削油を燃焼によって除去する方法にあっては処理時に発生する環境への悪影響のため、実用上で大きな支障になっている。
さらに、分離回収されたアルミ切粉の溶融時において、樹脂切粉の除去処理の不十分さからアルミ切粉の回収効率の低下を招きアルミの回収コストが高騰するという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、原料アルミ切粉に含まれている樹脂切粉の除去を充分に実行することにより、アルミの回収コストの軽減を図るものである。
すなわち、本発明は、原料アルミ切粉の洗浄液として、密度がアルミよりも低く樹脂よりも高い洗浄液を用いることにより、密度の小さい樹脂切粉が洗浄液に浮遊し、密度の大きいアルミ切粉が沈降して分離されること、およびこの樹脂切粉が浮遊している洗浄液を洗浄槽の上層部から取り出して処理することにより樹脂切粉をアルミ切粉から分離し除去できること、に基づき得られたものである。
本発明は、次のアルミ切粉洗浄方法およびアルミ切粉洗浄装置を提供する。
(1)洗浄槽および樹脂処理槽を備えるアルミ切粉洗浄装置によって、樹脂切粉を含む原料アルミ切粉を洗浄液で洗浄し、原料アルミ切粉に含まれている樹脂切粉、または樹脂切粉と切削油を除去するアルミ切粉洗浄方法であって、
原料アルミ切粉をそのまま、または予め脱脂洗浄した後、洗浄槽に投入し
密度がアルミよりも低く、樹脂よりも高い洗浄液を、原料アルミ切粉が投入された洗浄槽に導入した後、洗浄槽循環ポンプにより洗浄液を洗浄槽の上下部間で循環させてアルミ切粉および樹脂切粉をレパルプしてスラリー状態にし、かつ循環量を調節してアルミ切粉が流動する下層部と、樹脂切粉が浮遊する上層部を形成させ、
次いで、上記洗浄槽循環ポンプを停止してアルミ切粉を沈降させてアルミ切粉層を形成させ、洗浄槽上層部の樹脂切粉が浮遊する洗浄液を洗浄槽のアルミ切粉層より上部に設けられた抜出しノズルから樹脂処理槽に取り出して樹脂切粉をろ過分離し、
洗浄槽内の上記アルミ切粉層から洗浄液を分離してアルミ切粉を取り出すことを特徴とするアルミ切粉洗浄方法。
)洗浄液が、アルミ切粉や樹脂切粉と反応する性質がなく、かつアルミよりも低く、樹脂よりも高い密度を有している上記(1)に記載のアルミ切粉洗浄方法。
)洗浄液が、アルミ切粉や樹脂切粉と反応する性質がなく、密度がアルミよりも低く、樹脂よりも高く、かつ揮発性の有機溶剤である上記(1)に記載のアルミ切粉洗浄方法。
)上記洗浄槽内の上記アルミ切粉層から洗浄液を分離する場合、洗浄槽内の洗浄液を洗浄液槽の下部から排出し、次いで洗浄槽内のアルミ切粉にガスを送り込んでアルミ切粉層内の洗浄液を通気排出する方法によりアルミ切粉に付着している洗浄液を脱液する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアルミ切粉洗浄方法。
)樹脂切粉のろ過が終了した樹脂処理槽を遮断して、樹脂処理槽内のガスを真空ポンプによりガスホルダーへ排出することによって、樹脂処理槽を減圧し、樹脂切粉を蒸発乾燥した後、槽内を大気圧にして樹脂切粉を取り出し、樹脂切粉を取り出した樹脂処理槽は遮断して内部の空気を吸引排気した後、ガスホルダー内のガスを導入して次の樹脂処理に備える上記()〜()のいずれかに記載のアルミ切粉洗浄方法。
)樹脂処理槽が二槽構造を有し、片方で樹脂切粉のろ過を行っている間に、他方で樹脂切粉の乾燥と取り出し処理を交互に行う上記(1)〜()のいずれかに記載のアルミ切粉洗浄方法。
)洗浄液槽が精製器を備えており、該精製器によって蒸発された洗浄液を洗浄液槽で液化し、精製器内に蓄積された廃油は油分離器によって取り出す上記(1)〜()のいずれかに記載のアルミ切粉洗浄方法。
(8)原料アルミ切粉に含まれている樹脂切粉または樹脂切粉と切削油を除去するアルミ切粉洗浄装置であって、
密度がアルミよりも低く、樹脂よりも高い洗浄液を用いて原料アルミ切粉を洗浄する洗浄槽と、該洗浄槽に供給される洗浄液を収容するための洗浄液槽と、原料アルミ切粉の洗浄時に浮上分離された樹脂切粉が浮遊している洗浄液を洗浄槽の上層部から取り出し樹脂切粉をろ過により分別する樹脂処理槽とを備え、
上記洗浄槽が、洗浄槽内の洗浄液を液循環させてアルミ切粉と樹脂切粉をレパルプしてスラリー状態にするための洗浄槽循環ポンプを備えており、かつ上記の洗浄槽、洗浄液槽および樹脂処理槽は密閉系をなしており、かつ該密閉系は真空ポンプと、真空ポンプにより系内のガスが吸排出されるガスホルダーを備えており、原料アルミ切粉の洗浄と樹脂切粉の除去が終了した後、洗浄槽内の洗浄液を洗浄液槽に取り出し、さらに洗浄槽を遮断して槽内のガスを真空ポンプによりガスホルダーへ排出した後、洗浄されたアルミ切粉を洗浄槽から取り出すことを特徴とするアルミ切粉洗浄装置。
)樹脂処理槽が二槽構造になっており、樹脂切粉のろ過と、ろ過された樹脂切粉の乾燥および取り出しとを交互に行う上記(8)に記載のアルミ切粉洗浄装置。
(10)洗浄液槽が洗浄液に含まれている切削油を分離して除去するための精製器を備えている上記(8)または(9)に記載のアルミ切粉洗浄装置。

本発明は、上記したように原料アルミ切粉を密度がアルミよりも低く樹脂よりも高い洗浄液で洗浄することにより、原料アルミ切粉の洗浄工程において密度が洗浄液より低い樹脂切粉を洗浄液に浮遊させて、密度が洗浄液より高いために洗浄槽の底部に沈降するアルミ切粉と分離し、この樹脂切粉が浮遊している洗浄液を洗浄槽の上層部から取り出しろ過することにより樹脂切粉を十分に除去できる。
さらに、本発明のアルミ切粉洗浄装置を完全密閉系にすると、揮発性洗浄液の使用が可能となり、洗浄装置からの洗浄液の漏れ、およびアルミ切粉や樹脂切粉に同伴する洗浄液の損失を防止できるので、洗浄液によるオゾン層の破壊、地球の温暖化および環境汚染等を防止できると共に、労働条件の改善にも貢献できる。
さらに、本発明のアルミ切粉洗浄装置では、汎用の密閉系洗浄装置の洗浄槽に樹脂切粉を除去するための樹脂処理槽を付設するだけで、原料アルミ切粉の切削油の洗浄と樹脂切粉の除去とが同時に実施できるので、設備装置のコスト削減および処理操作負担の軽減が可能となり、アルミ切粉を効率的に低コストで回収できる。
本発明において処理する原料アルミ切粉としては、例えば複合アルミサッシを切断もしくは切削することにより発生するアルミ切粉が例示される。この原料アルミ切粉には切削油が付着し樹脂切粉が含まれている。もちろん、樹脂切粉を含んでいるアルミ切粉であれば、複合アルミサッシ以外から発生するものであっても原料アルミ切粉の対象となる。本発明において原料アルミ切粉は、アルミ切粉と樹脂切粉とが絡まって一体になっていると、両者を分離することができない。そこで、アルミ切粉と樹脂切粉とが完全に分離されて絡まりがないように細かく切断されていることが好ましい。処理に適する原料アルミ切粉の寸法は限定されないが、最大寸法が約5mm以下、好ましくは約4mm以下に微細化されていることが好ましい。このような微細化によりアルミ切粉と樹脂切粉とを確実に分離させることができる。したがって、原料アルミ切粉が例えば5mm超の切断片を含んでいる場合、またはアルミ切粉と樹脂切粉が一体になって絡まっている場合には、事前にシュレッダで裁断してから洗浄処理することが好ましい。
さらに、本発明の好ましい実施の形態では原料アルミ切粉の洗浄処理においてアルミ切粉と樹脂切粉との分離と切削油の除去を同時に行うことができる。したがって、通常は原料アルミ切粉をそのまままたは必要に応じ微細に切断して洗浄槽に投入するが、洗浄液の種類や作業工程などによっては予め脱脂洗浄をしておいてもよい。もちろん、微細化切断と脱脂洗浄の両方を行うこともできる。
本発明における洗浄液は密度がアルミよりも低く樹脂よりも高い洗浄液を使用する。このような密度を有する洗浄液に原料アルミ切粉を浸漬させると、それぞれの寸法に関係なく密度が洗浄液の密度より低い樹脂切粉は洗浄液に浮遊し、一方洗浄液の密度より高い密度のアルミ切粉は洗浄液中に沈降するため、両者を分離させることができる。この洗浄液としては、原料アルミ切粉に付着している切削油を洗浄できる溶剤であることが望ましく、アルミと樹脂の中間の密度を有するものであれば限定されないが、アルミと反応したり、樹脂を溶解することが少ないことが必要である。また、安全性の点で不燃性の洗浄液が好ましい。
上記洗浄液としては、例えばトリクレン、パークレン、ヂクロロメチレン、1−ブロモプロパン、HCFC−225、ヘクタフルオロシクロペンタンー、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は密度が大凡1.3〜1.7g/cmであり、揮発性の洗浄液として優れている。
また、硝酸ナトリウム、硝酸カリ、塩化カルシューム、炭酸カリと重炭酸カリの混合溶剤、などの水溶液が挙げられる。これらの溶剤の密度は種類によって異なるが、大凡1.2〜1.7g/cmの範囲に調節することができる。
本発明において、洗浄液の密度は1.3〜1.6g/cmであるとより好ましい。上記溶剤はいずれも洗浄処理時間のような短時間ではアルミ切粉や樹脂と反応したり、これらを溶解する性質が少なく安定して使用できる。なお、PHが大凡5〜9であることが望ましい。
なかでも、塩素、臭素系炭化水素や、フッ素系炭化水素化合物であるヘクタフルオロシクロペンタンー主剤の溶剤(商品名:日本ゼオン社製:ゼオローラHTA)は、適した密度を持ち、更に油の溶解性能を持つことから本発明の洗浄液として優れている。
一方、アルミの密度は約2.7g/cmであり、またサッシ等に用いられる例えば発泡ウレタンの密度は1.0〜1.5g/cm、塩化ビニールの密度は1.3〜1.5、オレフィンの密度は0.6〜1.1g/cmであるので、上記密度の溶剤で原料アルミ切粉を洗浄すると、洗浄槽中において樹脂切粉とアルミ切粉とを浮力差を利用して分離できる。
次に、本発明を図面に基づいて具体的に説明する。以下に示す図面は本発明の好ましい実施の態様であるアルミ切粉処理装置を例示したものであり、本発明はこれに限定されない。
図1は本発明に係るアルミ切粉洗浄処理装置のフローシートである。図1に示すように、本例のアルミ切粉処理装置は、洗浄槽1、洗浄液槽2、樹脂処理槽3およびガスホルダー4を主要な構成要素として備えている。これら各要素は実質的に完全な密封状態に連結されて密閉系を形成しており、さらに系内ガスの圧力変化はガスホルダー4の容量変化で対応し、系内ガスが外部に漏洩されないことは勿論、系内に空気が入り込まないようになっている。これにより、洗浄液の損失を防止もしくは抑制できる。ガスホルダー4としては伸縮によって系内ガスの容量変化に対応でき、これにより系内圧を一定に保持できる蛇腹式のものが好ましく使用できる。また、逐一説明はしないが、洗浄液の系外への漏洩を防止するために、アルミ切粉洗浄処理装置には多数の開閉弁が設けられており、各開閉弁は密閉系が保持されるように自動制御される。
図2は洗浄槽1の拡大図である。図2に示すように洗浄槽1は円筒状の密閉容器で、円筒部の下部は円錐底になっており、該円錐底の下端に洗浄液の給排出口19が設けられている。また、円筒部の底部にはフィルター7が設けられている。このフィルター7は原料アルミ切粉より小さい目のフィルター構造になっており、洗浄槽1に投入された原料アルミ切粉を該フィルター7上に積載し、さらに洗浄後のアルミ切粉をその上に沈降させることができる。一方、洗浄液の流通は自由であるので、給排出口19から供給された洗浄液を洗浄槽内に導入したり、洗浄槽内の洗浄液を給排出口19から排出させることができる。本例の洗浄液としてはヘクタフルオロシクロペンタンー主剤の溶剤を用い、洗浄槽内の洗浄液は70〜80℃に保持される。
図2の洗浄槽1において、aはアルミ切粉沈降部、bはアルミ切粉と樹脂切粉のスラリー流動部、cは樹脂切粉が浮遊している樹脂切粉分離部である。洗浄槽1の底部の側壁には洗浄液の内部循環入口9がアルミ切粉沈降部aのフィルター7に近接して、また樹脂切粉分離部cの上端近傍の側壁には内部循環出口11がそれぞれ設けられており、該内部循環入口9と内部循環出口11との間に設置された循環ポンプ14(図1参照)で洗浄槽1内の洗浄液を循環させ、洗浄槽内のアルミ切粉と樹脂切粉をレパルプしてスラリー状にするようになっている。洗浄液を循環させる方法は、洗浄槽内に内筒を設けて内筒内にポンプを設けた液循環方式でもよい。
また、上記洗浄槽1には樹脂切粉分離部cの上端部に対応してオーバーフローノズル12が設けられると共に、洗浄槽1の中段、更に正確にはスラリー流動部bのアルミ切粉沈降部aから所定の高さdの位置に、浮遊樹脂抜出しノズル10が設けられている。この浮遊樹脂抜出しノズル10は樹脂切粉分離部cより下方に位置しているので、該ノズルを開口するだけで樹脂切粉が浮遊している洗浄液を樹脂処理槽に取り出すことができる。dの大きさは限定されないが、浮遊樹脂抜出しノズル10から樹脂切粉が浮遊している洗浄液を樹脂処理槽に取り出す際に、アルミ切粉沈降部aのアルミ切粉が一緒に流出しないようにできる距離だけ、アルミ切粉沈降部aの上端から離れた位置に選定されることが好ましい。dをこのように選定すれば、内部循環液量を調節するか流量をゼロとしてアルミ層部と樹脂切粉層部が分離形成された状態としたときに、洗浄槽1の上層に浮遊している樹脂切粉を洗浄液と一緒に洗浄槽1から容易に抜出すことが可能となる。図2において、8は洗浄済みのアルミ切粉をフィルター7上から取り出すための取出口である。
原料アルミ切粉は、適当に裁断された状態で処理バッチ毎に投入シュート17から供給弁18を開けて洗浄槽1に投入される。投入量は測定によりあらかじめ設定した量に調整される。1バッチ分の原料アルミ切粉が洗浄槽1に投入されると、供給弁18を閉めて洗浄槽1を密封し、洗浄槽内の空気を真空ポンプ15にて系外に排出した後、ガスホルダー4内に収容されている系内ガスを洗浄槽1に導入し、洗浄槽1を系内圧にする。
次いで、洗浄液ポンプ13を作動して洗浄液槽2の洗浄液を洗浄槽1の底部(給排出口19)から槽内に送入する。洗浄液の供給量は流量計によって計測し、洗浄槽1に洗浄液が所定量導入されると、すなわち洗浄槽1の樹脂切粉分離部cの上端にほぼ達するまで導入されると循環ポンプ14を起動し、洗浄槽1の上段部(内部循環出口11)から取り出した洗浄液を洗浄槽1の下部(内部循環入口9)から導入して液循環させ、アルミ切粉および樹脂切粉をレパルプしてスラリー状にする。
この液循環を一定時間行った後、循環ポンプ送液量を徐々に減少させて実質的に循環を停止し、密度の高いアルミ切粉はフィルター上に沈降させ、密度の低い樹脂切粉は洗浄槽1の上層部(樹脂切粉分別部c)に浮遊させる。次にこの樹脂切粉が浮遊した洗浄液を洗浄槽中段の浮遊樹脂液抜出しノズル10から樹脂処理槽3に流し出し、樹脂処理槽3に装備されているろ過器20でろ過し、ろ過された樹脂切粉はろ過器内に収集し、ろ過された洗浄液は洗浄液槽2に戻す。以上までが1回目の洗浄操作である。
1回目の洗浄操作が終了した時点で、洗浄槽内にはアルミ切粉がアルミ切粉沈降部aに沈降し、浮遊樹脂液抜出しノズル10より下層に洗浄液が滞留した状態となる。1回目の洗浄操作だけでも原料アルミ切粉に含まれていたほとんどのアルミ切粉が除去されるが、一部の樹脂切粉が洗浄液中に残存していることがある。そこで、再び洗浄液ポンプ13により洗浄液を洗浄槽1に供給して2回目の洗浄操作を行い、さらに必要に応じて同様に洗浄操作を行って樹脂切粉の完全除去を図ることが好ましい。この間に原料アルミ切粉に付着している切削油も除去できる。
上記の洗浄操作を所定回数(例えば3回程度)繰り返した後、循環ポンプ14を停止し、一定時間静置後、樹脂切粉が浮遊している上層部洗浄液を洗浄槽中段(浮遊樹脂液抜出しノズル10)から樹脂処理槽3に流し出し、次いで、洗浄槽内の洗浄液を下部の給排出口19(図2参照)から洗浄液槽2に排出する。そして、アルミ切粉に付着している洗浄液量が、後の真空(減圧)による乾燥工程で乾燥できないほどに多い場合には、付着している洗浄液の脱液を行う。この脱液方法としては、洗浄槽内のアルミ切粉層の上部から真空ポンプ15を用いて系内ガスを送り込み循環させてアルミ切粉層内の洗浄液を排出する通気排出方式が好ましい。しかし、脱液方法は遠心脱液方式であってもよい。
次いで、真空ポンプ15を切り替えて洗浄槽1を真空(減圧)にし、洗浄液を蒸発乾燥するとともに蒸発ガスをガスホルダー4に回収する。この工程の後に、洗浄槽内のガス濃度を下げるためにコンデンサー16の低濃度ガスを循環させることが好ましい。洗浄槽内のガス回収後、洗浄槽1を密閉系に遮断し、例えば洗浄槽1の上部27から空気または窒素ガス(本例では空気)を導入して大気圧にした後、フィルター7上の乾燥されたアルミ切粉を取出口8(図2参照)から容器21に取り出す。アルミ切粉の取り出しは、洗浄槽1のフィルター7の下方から空気または窒素ガスを導入し、アルミ切粉を流動化させることにより容易に得られる。
上記したアルミ切粉洗浄において、洗浄槽1における洗浄液量はその液面高さ(b+c)が原料アルミ切粉の投入高さの1.5〜3倍であることが好ましい。この場合、原料アルミ切粉の投入高さは、洗浄槽1のフィルター上に投入された1バッチ分の原料アルミの高さであり、概略的にはアルミ切粉沈降部aがこれに相当する。洗浄液の液面高さが原料アルミ切粉の投入高さに対し1.5倍より小さいと、洗浄液循環によるアルミ切粉と樹脂切粉のスラリー化が充分に得られなくなり、樹脂切粉の浮遊分別が満足に得られなくなるおそれが生じる。また、原料アルミ切粉の投入高さに対する洗浄液の液面高さが大き過ぎても装置の無駄な大型化と処理負担の増大を招くだけであるため、3倍以下であることが好ましい。
本例の洗浄槽1における、アルミ切粉の洗浄、洗浄されたアルミ切粉の蒸発乾燥は、すべて密閉系にて行われるため、洗浄槽1からの洗浄液の漏れやアルミ切粉に同伴する洗浄液の損失をほぼ完全に防止できる。
次に、樹脂処理槽3でろ過捕集した樹脂切粉の処理例について説明する。本例において樹脂処理槽3は図1に示すようにA、B二槽から構成されており、A、Bの片方は洗浄槽1から取り出された洗浄液の樹脂切粉のろ過処理を行い、他方では前回にろ過された樹脂切粉の乾燥・取出し処理(乾燥処理)を行い、これらのろ過処理側と乾燥処理側とを交互に切り替えるようになっている。樹脂処理槽3は1槽のみでも可能であるが、このように二槽構造にして切り替え使用すると、洗浄槽1の洗浄処理を継続して効率的に実施できるので好ましい。例えば、樹脂処理槽Aについてろ過後の樹脂処理について説明すると、バルブ操作で樹脂処理槽Aを遮断して真空ポンプ15にて通気脱液した後に真空(減圧)にし、ろ過された樹脂切粉等に付着している洗浄液を蒸発乾燥する。この処理は前記した洗浄槽1におけるアルミ切粉の蒸発乾燥処理と実質的に同様である。
次いで、槽内のガス濃度を下げるために真空ポンプ15を用いてコンデンサー16の低濃度ガスを循環し、さらに槽内のガスを真空ポンプ15でガスホルダー4に回収した後、槽内に例えば空気を導入し大気圧にする。この状態で、樹脂処理槽Aの蓋を開けて内部の樹脂切粉が入っているバスケット(ろ過器20)を取り出し、新しいバスケットを入れる。その後、樹脂処理槽Aの蓋を閉め、内部の空気を真空ポンプにて吸引排気した後、ガスホルダーガスを導入し、樹脂処理槽Aの各バルブを所定の開閉にして洗浄槽1からの次のスラリー受け入れに備える。このように樹脂処理槽Aで樹脂切粉の乾燥処理が行われている間、樹脂処理槽Bでは洗浄槽1から取り出された洗浄液が導入され、樹脂切粉のろ過処理が行われる。
上記したように樹脂処理槽3における樹脂切粉のろ過処理および樹脂切粉の乾燥処理は密閉系で行われ、洗浄液(洗浄液ガスを含む)がほぼ完全に回収されるため、樹脂処理槽3からの洗浄液の漏れや樹脂切粉に同伴する洗浄液の損失を防止できる。
本例の洗浄液槽2には精製器5が付設されている。この精製器5は内部にヒーター26を備えており、洗浄液槽2の一定量の洗浄液を精製器5に供給してこのヒーター26で蒸留し、蒸留された洗浄液ガスは洗浄液槽2に設けた冷却器22にて液化され、油分はこの蒸留によって濃縮され分離される。この精製器5の働きより、洗浄槽1と樹脂処理槽3から洗浄液槽2に戻された洗浄液中の洗浄液に可溶な、例えば油分を取り除くことができるので、洗浄液の清浄度は一定に維持される。これにより精製された清浄な洗浄液を洗浄液槽2から洗浄槽1に供給することが可能となる。
一方、精製器5に蓄積された廃油は油分離器6に取り込み、自然放熱で更に油を浮上分離させてタンク27に取り出す。精製器5から油分離器6への廃油の取り込みは、精製器5の液面調節による液面変動によって行うことができる。なお、洗浄液中に含まれている微細なアルミ粉は油分離器6に沈降させ、蓄積されたアルミ粉等は油分離器6の底部から蒸留滓として外部に取り出し回収する。
図1において、23はヒーター、24はクーラーで、洗浄槽1に供給する洗浄液を一定の温度(例えば70〜80℃)に保持する働きをする。なお、図示はしないが、樹脂処理槽3および洗浄液層2には加熱装置が付設されており、温度を例えば約70℃に保持できるようになっている。
本例の洗浄装置では洗浄液に揮発性のヘクタフルオロシクロペンタンー主剤の溶剤を使用しているので、系内ガスが漏洩しないようにガスホルダーを付設し洗浄装置を密閉系にしているが、洗浄液が揮発性でないときはガスホルダーを備えた密閉系にしなくてもよい。
本発明は、アルミと、樹脂とが混在する切粉を、アルミ切粉と樹脂切粉に分けるアルミ切粉洗浄処理に有効に利用できる。
本発明の好ましい実施形態であるアルミ切粉洗浄装置のフローシートである。 図1の洗浄槽の断面説明図である。
符号の説明
1:洗浄槽、 2:洗浄液槽、
3:樹脂処理槽、 4:ガスホルダー、
5:精製器、 6:油分離器、
7:フィルター、 8:取出口、
9:内部循環入口、 10:浮遊樹脂抜出しノズル、
11:内部循環出口、 12:オーバーフローノズル、
13:洗浄液ポンプ、 14:液循環ポンプ、
15:真空ポンプ、 16:コンデンサー、
17:投入シュート、 18:供給弁、
19:給排出口、 20:ろ過器、
21:容器、 22:冷却器、
23:ヒーター、 24:クーラー、
26:ヒーター、 27:上部

Claims (10)

  1. 洗浄槽および樹脂処理槽を備えるアルミ切粉洗浄装置によって、樹脂切粉を含む原料アルミ切粉を洗浄液で洗浄し、原料アルミ切粉に含まれている樹脂切粉、または樹脂切粉と切削油を除去するアルミ切粉洗浄方法であって、
    原料アルミ切粉をそのまま、または予め脱脂洗浄した後、洗浄槽に投入し
    密度がアルミよりも低く、樹脂よりも高い洗浄液を、原料アルミ切粉が投入された洗浄槽に導入した後、洗浄槽循環ポンプにより洗浄液を洗浄槽の上下部間で循環させてアルミ切粉および樹脂切粉をレパルプしてスラリー状態にし、かつ循環量を調節してアルミ切粉が流動する下層部と、樹脂切粉が浮遊する上層部を形成させ、
    次いで、上記洗浄槽循環ポンプを停止してアルミ切粉を沈降させてアルミ切粉層を形成させ、洗浄槽上層部の樹脂切粉が浮遊する洗浄液を洗浄槽のアルミ切粉層より上部に設けられた抜出しノズルから樹脂処理槽に取り出して樹脂切粉をろ過分離し、
    洗浄槽内の上記アルミ切粉層から洗浄液を分離してアルミ切粉を取り出すことを特徴とするアルミ切粉洗浄方法。
  2. 洗浄液が、アルミ切粉や樹脂切粉と反応する性質がなく、かつアルミよりも低く、樹脂よりも高い密度を有している請求項1に記載のアルミ切粉洗浄方法。
  3. 洗浄液が、アルミ切粉や樹脂切粉と反応する性質がなく、密度がアルミよりも低く、樹脂よりも高く、かつ揮発性の有機溶剤である請求項1に記載のアルミ切粉洗浄方法。
  4. 上記洗浄槽内の上記アルミ切粉層から洗浄液を分離する場合、洗浄槽内の洗浄液を洗浄液槽の下部から排出し、次いで洗浄槽内のアルミ切粉層にガスを送り込んでアルミ切粉層内の洗浄液を通気排出する方法によりアルミ切粉に付着している洗浄液を脱液する請求項1〜3のいずれかに記載のアルミ切粉洗浄方法。
  5. 樹脂切粉のろ過が終了した樹脂処理槽を遮断して、樹脂処理槽内のガスを真空ポンプによりガスホルダーへ排出することによって、樹脂処理槽を減圧し、樹脂切粉を蒸発乾燥した後、槽内を大気圧にして樹脂切粉を取り出し、樹脂切粉を取り出した樹脂処理槽は遮断して内部の空気を吸引排気した後、ガスホルダー内のガスを導入して次の樹脂処理に備える請求項のいずれかに記載のアルミ切粉洗浄方法。
  6. 樹脂処理槽が二槽構造を有し、片方で樹脂切粉のろ過を行っている間に、他方で樹脂切粉の乾燥と取り出し処理を交互に行う請求項1〜のいずれかに記載のアルミ切粉洗浄方法。
  7. 洗浄液槽が精製器を備えており、該精製器によって蒸発された洗浄液を洗浄液槽で液化し、精製器内に蓄積された廃油は油分離器によって取り出す請求項1〜のいずれかに記載のアルミ切粉洗浄方法。
  8. 原料アルミ切粉に含まれている樹脂切粉または樹脂切粉と切削油を除去するアルミ切粉洗浄装置であって、
    密度がアルミよりも低く、樹脂よりも高い洗浄液を用いて原料アルミ切粉を洗浄する洗浄槽と、該洗浄槽に供給される洗浄液を収容するための洗浄液槽と、原料アルミ切粉の洗浄時に浮上分離された樹脂切粉が浮遊している洗浄液を洗浄槽の上層部から取り出し樹脂切粉をろ過により分別する樹脂処理槽とを備え、
    上記洗浄槽が、洗浄槽内の洗浄液を液循環させてアルミ切粉と樹脂切粉をレパルプしてスラリー状態にするための洗浄槽循環ポンプを備えており、かつ上記の洗浄槽、洗浄液槽および樹脂処理槽は密閉系をなしており、かつ該密閉系は真空ポンプと、真空ポンプにより系内のガスが吸排出されるガスホルダーとを備えており、原料アルミ切粉の洗浄と樹脂切粉の除去が終了した後、洗浄槽内の洗浄液を洗浄液槽に取り出し、さらに洗浄槽を遮断して槽内のガスを真空ポンプによりガスホルダーへ排出した後、洗浄されたアルミ切粉を洗浄槽から取り出すことを特徴とするアルミ切粉洗浄装置。
  9. 樹脂処理槽が二槽構造になっており、樹脂切粉のろ過と、ろ過された樹脂切粉の乾燥および取り出しとを交互に行う請求項に記載のアルミ切粉洗浄装置。
  10. 洗浄液槽が洗浄液に含まれている切削油を分離して除去するための精製器を備えている請求項8または9に記載のアルミ切粉洗浄装置。
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