JP4943631B2 - Ct画像における線量制御 - Google Patents

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Description

本発明は、コンピュータ断層撮影(CT)X線撮像に係り、特に人の体の領域のCT撮像中のX線への患者の放射線被曝の制御に関する。
患者のCT X線撮像において、人の体の領域の内部構造及び特徴を撮像するためにX線が用いられる。撮像は、X線を用いて体の領域の複数の連続的な比較的薄い平面状のスライスの内部構造及び特徴を画像化するCT撮像システムによって行われる。
CT撮像システムは、一般的には、平面状の扇(ファン)形のX線ビームを与えるX線源と、ファンビームと同一平面上にありX線源に対向する、近接して間隔をおいたX線検出器アレイとを有する。検出器のX線源及びアレイは、一般的には適当な支持寝台上に横たわっている、システムで撮像されている患者が、X線源と検出器の配列との間に位置決めされうるようガントリに取り付けられる。ガントリと寝台は、X線源及び検出器アレイが患者の体に沿った所望の位置で軸方向上に位置決めされうるよう互いに対して可動である。更に、ガントリ、又はガントリ内に支持されるX線源は、X線源が患者の体の回りで「ビュー角度」と称される所望の角度で位置決めされうるよう、軸方向の回りに回転可能である。
患者の体の領域中のスライスを画像化するには、X線源はスライスの軸方向の位置に位置決めされ、X線源は複数の異なるビュー角度からスライスをX線で照射するようスライスの回りで回転される。各ビュー角度で、検出器アレイ中の検出器は、源からのX線のうちスライスを通過するX線の強度を測定する。検出器アレイ中の特定の検出器によって測定されるX線の強度は、X線源から特定のスライスを通って検出器までの経路に沿ったスライス中の物質によりX線が減衰される量の関数である。測定値は、経路長に沿ったスライス内の組織の組成及び密度に関する情報を与える。
例えば、X線源がビュー角度θに配置されるときの検出器アレイ中の「n番目」の検出器によって感知される強度がI(n,θ)で表わされるとき、
I(n,θ)=I0exp(−∫μ(l)dl)
である。I(n,θ)を表わす式中、I0はX線源がスライスを照射するX線の強度であり、lについての積分はX線源からn番目の検出器への方向上のスライス中の物質を通る経路に亘る積分を表わし、μ(l)は経路上の位置lにおける物質中の単位経路長当たりのX線についての吸収係数である。(n及びθに対する積分の依存性については、明示的には示されておらず、n及びθに対する経路長lの長さ及び方向の依存性を通じて決定される)。
0と感知されたI(n,θ)から、経路長lに沿ってX線が減衰される量及び∫μ(l)dlに対する値が決定されうる。従って、ビュー角度θでn番目の検出器によって与えられる減衰測定値は、θとX線源に対するn番目の検出器の既知の位置とによって決定されるスライスを通る特定の経路長に沿った吸収係数の線積分の値を与える。
スライスを通る経路に沿った吸収係数の「吸収積分」と称される線積分を記号A(n,θ,z)で表わすことが都合がよく、従って、
A(n,θ,z)=∫μ(l)dl
となる。A(n,θ,z)に対する表現では、zは、X線源の回転軸である軸方向に一致するz軸を有する座標系のz軸に沿って測定されるスライスの軸方向座標を表わす。便宜上、座標系のx軸は水平軸、y軸は垂直軸であると想定し、ビュー角度θは、y軸に対して測定されるz軸回りのアジマス角であるとする。0°のビュー角度では、X線源は患者の真上にあり、X線源からのX線は前方から後方へ、即ち前−後(anterior−posterior)方向で患者の体を通過する。90°のビュー角度では、X線源は患者の側方にあり、X線源からのX線は患者の体の一方の側から他方の側へ、即ち横(lateral)方向で患者の体を通過する。
特定のビュー角度θで検出器アレイ中の全ての検出器によって与えられるスライスに対する一組の減衰測定を、ビューと称する。スライスの全てのビューからの一組の減衰測定を、スライスの「投影」と称する。スライスの投影からのデータによって与えられる吸収積分A(n,θ,z)に対する値は、吸収係数μの写像(map)をスライス中の位置の関数として与えるよう、従来技術で知られているアルゴリズムを用いて処理される。患者の体の領域中の複数の連続的なスライスに対する吸収係数の写像は、領域に対する吸収係数の3次元写像を与えるために使用されうる。写像は、領域の内部の器官及び特徴を表示及び識別するために用いられる。
いくつかのCTシステムでは、患者の領域を撮像するために、患者は、X線源及び検出器アレイを収容するガントリを通じて領域を「進む(step)」ようz方向上にステップ毎に移動される。各ステップに続き、X線源は、領域のスライスの投影を取得するために、360度又は(180+Δ)度に亘って回転され、但し、ΔはX線源によって与えられるファンビームの角度的な幅である。いくつかのCTシステムでは、X線源が患者の周りを同時に回転している間に患者の領域がガントリを通して安定して前進され、領域中のスライスの投影が「進行中(on the fly)」に取得される、患者の「スパイラルスキャン」が行われる。
安全性及び健康上の理由により、CTシステムを用いて患者が撮像されている間に患者が受けるX線放射線の線量を最小限とすることが望ましい。しかしながら、CTシステム中の検出器によって与えられるX線強度測定の信号対雑音比(SNR)は、検出器に到達するX線光子の数が減少するにつれて低下する。従って、CT画像を取得するために用いられるX線の強度I0が低すぎるか、患者を通過した後のX線の減衰が高すぎる場合、吸収測定の精度は低下し、CTシステムによって与えられるCT画像の質は低下する。
患者の体の領域のCT画像の取得中に、CT画像の質を不当に低下させることなく、患者へのX線の放射線被曝を減少させる様々な方法が従来技術で知られている。方法は、一般的には、X線を与えるX線源のI0を、I0が、X線の減衰が比較的高いビューに対しては高く、X線減衰が比較的低いビューに対しては低くなるよう、適切な関数に従って変調することを含む。I0をX線源の位置の関数として定義するのに用いられる関数を、以下、「X線変調関数」と称するものとする。
従来技術のCTシステムでは、患者の体の領域を撮像するための適切なX線変調関数は、領域を撮像する前に行われる領域の2つの「予備(reconnaissance)」スキャン(以下「プレーナスキャン」と称する)からしばしば取得される。プレーナスキャンは、撮像されるべき領域の各スライスに対する2つの略直交するビューの夫々の中のX線についての最大減衰(以下「ピーク減衰」と称する)を決定するために使用される。(ビューに対する最大減衰は、ビューに対する表現1/exp(−∫μ(l)dl)に対する最大、又は同様に、exp(∫μ(l)dl)に対する最大として定義される)。2つのビュー内の減衰最大は、所望のSNRで減衰データを取得するためにビューを照射するときの最小強度を決定するのに用いられる。
通常は、第1のプレーナスキャンにおいて、各スライスの第1のビューが0°で得られ(即ち、前−後方向ビュー)、第2のプレーナスキャンにおいて各スライスのビューが90°で得られる(即ち横方向ビュー)これらのビューのうちの一つに対して、ビュー中の最長の経路長は、一般的にはスライスの他のどのビュー中の最長の経路長よりも長い。これらの他のビューについて、ビュー中の最長の経路長は、一般的にはスライスの他のいずれのビュー中の最長の経路長よりも短い。(例えば、胸部の領域中のスライスでは、経路長は、横方向のビュー角度に対して最長であり、前−後方向ビューに対して最短である。頭部の領域中のスライスでは、経路長は前−後方向ビューに対して最長であり、横方向ビューに対して最短である)。
従って、2つの「平面(planar)」ビューから決定されるピーク減衰のうちの大きい方が、一般的には他のいずれのビュー角度におけるスライスのビューに対するピーク減衰よりも大きい。同様に、平面ビューから決定されるピーク減衰のうちの小さい方が、スライスの他のいずれのビュー角度に対するピーク減衰よりも小さい。平面ビューからのピーク減衰は、スライスのビューに対するピーク減衰の「範囲を確定する(bracket)」。ビュー角度θにおけるスライスのビュー中のピーク減衰が、座標zのスライスに対してPA(θ,z)によって表わされる場合、PA(00,z)≦PA(θ,z)≦PA(90°,z)又はPA(900,z)≦PA(θ,z)≦PA(0°,z)のいずれかである。
結果として、所望のSNRに対して2つのビューでデータを取得するのに必要とされる最小X線強度は、所望のSNRで他のビューを取得するのに必要とされるスライスの他のビューのいずれかで必要とされる最小X線強度の範囲を確定する。更に、ビュー角度の関数としての減衰データは、180°の周期で周期的であり、一般的には、ピーク減衰値はビュー角度の平滑な関数である。従って、しばしば、平面ビューからのピーク減衰は、ビュー角度の関数として調和的に変化し、平面ビューの最大及び最小のピーク減衰に対して夫々比例する最大値及び最小値を有するX線変調関数を決定するのに用いられる。
尚、プレーナスキャンからのデータがX線に対する患者の全体被曝を減少させるための変調関数を決定するのに用いられる一方で、プレーナスキャン自体が患者をX線に被曝させる。また、変調関数を発生するのに使用される2つのプレーナスキャンを行うこととは無関係に、一般的には、CT撮像されるべき患者の領域の位置を決定するデータを取得するために患者がCT撮像される前に、患者の少なくとも1回のプレーナスキャンが行われる。
ここに参照として組み入れられる特許文献1及び特許文献2は、0°及び90°でのスライスの撮像によりスライスに対する「プレーナ」データを取得することについて記載する。プレーナデータは、スライスに対するI0の最大値と、ビュー角度の関数として調和的に変化するX線変調関数を決定するために用いられる。
特許文献3は、スライスの投影中のX線の減衰に対する予測最大値を用いてスライスに対するI0に対する値を調整する方法を記載する。予想最大減衰は、少なくとも1つの先行するスライスに対する投影から測定される最大減衰を用いて決定される。予測減衰は、I0が予測最大減衰によって減衰された後、X線検出器に到達するX線光子の数が検出器の量子雑音よりも大きいI0に対する値を決定するのに用いられる。
米国特許第5,379,333号明細書 米国特許第5,400,378号明細書 米国特許第5,822,393号明細書
本発明の幾つかの実施例の1つの面は、患者の体の領域をCT撮像するためのX線変調関数を決定する改善された方法を提供することに関する。
本発明の幾つかの実施例の1つの面は、X線変調関数に対するデータを与えるために人体の異なる領域に対する吸収係数の既知の平均値を用いることに関する。
本発明の幾つかの実施例の1つの面は、患者の単一のプレーナスキャンから、X線変調関数を決定するデータを取得することに関する。
本発明の幾つかの実施例の1つの面は、患者の体の領域のプレーナスキャン中に患者が被曝されるX線放射線の量を減少させる方法に関する。
発明者は、人体の異なる領域は、吸収係数の値についての異なる領域によって特徴付けられ得ること、また、これらの範囲は全ての人に対して略同じであることに気づいた。従って、人体の各領域は、全ての人に対して略同じである吸収係数に対する平均値によって特徴付けられ得る。例えば、全ての人の頭部(head)領域は、一般的には吸収係数μ(head)=(1.10±0.08)μ(HO)によって特徴付けられ、但しμ(HO)は水についての吸収係数である。他方で、肺の存在により、殆どの人の胸甲(thorax)は、比較的低い吸収係数によって特徴付けられ、μ(thorax)=(0.79±0.07)μ(HO)である。
発明者はまた、一般的に人に対して適用可能な吸収係数に対する範囲内では、体型、性別、及び年齢といった因子によって決定される吸収係数に対する副範囲が存在することに気づいた。例えば、ある体の領域に対しては、中胚葉型体格(mesomorph)は、一般的には同じ体の領域に対して内胚葉型体格(endomorph)が示すものよりも大きい平均吸収係数を体の領域に対して示す。従って、人の特定の体の領域に対する平均吸収係数は、人の個人的な特徴を考慮することにより、一般的な個体に対する平均から決定されるものよりも高い精度で決定されうる。
体の特定の領域に対する平均吸収係数を、以下、「特徴吸収係数」と称するものとする。
本発明のいくつかの実施例によれば、患者の体の領域をCT撮像するためのX線変調関数を決定するデータは、人体に対する吸収係数及び領域中のスライスの寸法に対する既知の特徴値を用いて与えられる。
本発明の幾つかの実施例によれば、患者の体の領域をCT撮像する前に、領域中の各スライスの単一のビューを取得するために領域の一回のプレーナスキャンが行われる。望ましくは、プレーナスキャンは、前−後方向又は横方向のビュー角度のいずれかで、即ち略0°又は90°(又は同様に、180°又は270°)で行われる。説明を容易とするため、ビュー角度は0°であると想定する。
各スライスの平面ビューからのデータは、平面ビューに対するピーク減衰「PA(0°,z)」、及び、平面ビューの方向に対して垂直な軸に沿ったスライスについての幅を決定するよう処理される。例えば、ここで用いられる座標についての約束事のため、及び0°の平面ビューのため、平面ビューの方向は、y軸(0°ではX線源はy軸に沿って配置される)に沿うものであり、スライスの幅はx軸に沿って決定される。本発明の1つの実施例によれば、幅は、平面ビューのビュー角度においてX線減衰に対する略非ゼロの値を合わせる検出器の配列中の検出器の位置から決定される。
本発明の1つの実施例によれば、90°のビュー角度におけるスライスに対する吸収積分A(n,θ,z)に対する最大値は、x軸に沿ったスライスの決定された幅を、スライスが配置される患者の体の領域の特徴吸収係数で乗算することによって決定される。吸収積分は、スライスについてのピーク減衰PA(90°,z)を決定するために用いられる。ピーク減衰PA(0°,z)(測定されたもの)及びPA(90°,z)(計算されたもの)は、スライスについてのX線変調関数を決定するのに用いられる。
本発明の幾つかの実施例では患者のプレーナスキャンを行うのに用いられるX線の強度は、スキャン中の患者のX線への被曝を最小限とするためにプレーナスキャン中に取得される減衰データに応じてリアルタイムで調整される。プレーナスキャンが実行されるにつれて、スライスの平面ビューからのデータは、所望のSNRで平面ビューに対する減衰測定を取得するのに十分な最小X線強度I0を決定するべく処理される。決定された最小強度は、プレーナスキャン中に撮像される次の続くスライスに対する平面ビューを取得するために用いられる。プレーナスキャンを実行するのに用いられるX線の強度は、このように、患者が曝されるX線の強度を最小化すべく、リアルタイムで常に更新される。尚、従来技術では、患者のプレーナスキャンは、一般的には、プレーナスキャン中に患者のX線被曝を最小限とするべく調整されない一定のX線強度で取得される。
従って、本発明の1つの実施例によれば、人の体の領域のスライスをCT撮像するCTシステムのX線源によって与えられるX線の強度を変調する変調関数を決定する方法は、スライスの第1の実質的に前−後又は横のビューに対するX線減衰データを取得する段階と、減衰データから第1の最大X線減衰を決定する段階と、減衰データを用いてビュー角度に対して略直交するスライス平面上の軸に沿ったスライスの投影の長さを決定する段階と、決定された長さに基づき第1のビューに直交する第2のビューに対する第2の最大X線減衰を決定する段階と、変調関数を決定するために第1及び第2の減衰最大を用いる段階とを含む。
任意に、第2の最大X線減衰を決定する段階は、投影の長さスライスの平均X線吸収係数とを乗算した積に等しくなるよう第2の最大X線減衰を決定する段階を含む。
任意に、平均X線吸収係数は、スライスがその中に配置されている人間の体の領域に特有の所定の平均的な特徴吸収係数に等しい。
任意に、特徴吸収係数は、患者の少なくとも1つの個人的特徴の関数である。任意に、少なくとも1つの個人的特徴は、人の体型を含む。任意に、少なくとも1つの個人的特徴は、人の性別を含む。任意に、少なくとも1つの個人的特徴は、人の年齢を含む。
本発明の幾つかの実施例では、投影の長さを決定する段階は、X線源に対向し、体のX線源が配置されている側とは反対の側に配置されるX線検出器アレイにより第1のビューを取得する段階と、スライス中の物質によって減衰されたX線を受信する検出器アレイ中の検出器とスライス中の物質によって減衰されないX線を受信するアレイ中の検出器の間の第1及び第2の境界を決定する段階と、X線源の位置が第1のビュー角度にあり検出器の位置が第1及び第2の境界にあるときの垂直軸上の前記スライスの縁の投影の位置を決定する段階と投影の長さを縁の間の投影の距離に等しくなるよう決定する段階とを有する。
また、本発明の実施例によれば、人の体の領域のプレーナスキャンを、領域の複数の各スライスの平面ビューを取得するようCTイメージャを用いて行う方法は、領域内の各スライスを、各スライスの平面ビューに対する減衰データを取得するために体に沿った各スライスの軸方向上の位置の順に順次に照射する段階と、スライスを照射するために用いられるX線の強度を、X線放射線に対する患者の被曝を減少させるよう軸方向上の位置の関数として変調する段階とを含む。
任意に、方法は、複数のスライスの少なくとも1つの第1のスライスを照射するX線強度を、以前に照射された少なくとも1つの第2のスライスの平面ビューからのデータに応じて決定する段階を含む。
任意に、少なくとも1つの第1のスライスに対するX線強度を決定する段階は、所望の信号対雑音比で少なくとも1つの第2のスライスの平面ビューに対する減衰データを取得するために、少なくとも1つの第2のスライスの平面ビューから、少なくとも1つの第2のスライスが照射されるべき最小X線強度を決定する段階と、少なくとも1つの第2のスライスに対する決定された最小強度に応じて、少なくとも1つの第1のスライスが照射されるX線強度を決定する段階とを含む。
任意に、少なくとも1つの第1のスライスに対するX線強度は、少なくとも1つの第1のスライスに隣接する単一の第2のスライスに対して決定された最小強度に等しい。
本発明の実施例の制限的でない例について、添付の図面を参照して以下説明する。図中、2以上の図面に示される同一の構造、要素、又は部分には、一般的に、それらが示される全ての図において同じ参照番号を付す。図示する構成要素及び特徴の寸法は、説明の便宜上及び明瞭性のために選ばれたものであって、かならずしも正しい縮尺で示されるものではない。
図1A及び図1Bは、CTシステムで患者の体の領域のCT撮像中にX線に対する患者22の被曝を制御するために使用されるべきX線変調関数を発生するためのプレーナデータを取得するよう動作される第3世代のCTシステム20を概略的に示す図である。CTシステム20は、プレーナデータを取得するために典型的な従来技術に従って動作される。例えば、CTシステム20によって撮像されるべき領域は、患者22の胸部の領域である。
CTシステム20は、破線27及び28によって図式的に示されるファンビーム26を与えるよう制御可能なX線源24と、ファンビーム中のX線を感知するようX線源の反対側に取り付けられるX線検出器32とを有する。X線源24及び検出器アレイ30は、ガントリを回旋させること、或いは、ガントリ内でX線源及び検出器アレイを回転させることによって、X線源及び検出器アレイが軸36回りに回転しうるようガントリ34内に取り付けられる。患者22は、CTシステム20を用いた患者の撮像中、寝台38上に支持される。寝台38は、軸36に沿って並進するよう制御可能であるよう、適切な台座(図示せず)上に取り付けられる。通常は図1A及び図1Bの斜視図では見えない検出器アレイ30中の検出器32は、表現を明瞭とするため破線で示されている。
便宜上、CTシステム20及び患者22の構成要素及び特徴の位置を示すため、水平なx軸、垂直なy軸、及び軸36に一致するz軸を有する座標系が使用される。座標系は、ガントリ34に対して固定であると想定する。X線源24のビュー角度は、座標系のy軸に対して測定される。患者22の体のスライスは、z軸に沿ったスライスの位置によって位置が示される。スライスのz座標は、スライスのビューが取得されるようガントリ中でスライスを位置決めするために寝台38が並進されねばならない量に等しい。CTシステム20の構成要素及び特徴のうち本願発明の説明に密接な関係のあるもののみが示されている。
患者22の領域についてのプレーナデータを取得するために、0°のビュー角度で領域内に配置される患者のスライスの平面ビューを取得するために、患者の第1のプレーナスキャンが行われる。従来技術によれば、次に、90°のビュー角度で関心領域中のスライスの平面ビューを取得するために第2のプレーナスキャンが行われる。
第1のスキャンを行うため、寝台28は、X線源24が0°に位置決めされている間に、患者22の領域がガントリ34を通ってz軸に沿って移動するよう制御される。領域がX線源と検出器アレイ30の間を通るにつれて、X線源は、スライスのビューを取得するよう一定の強度I0を有するX線で領域中のスライスを照射するよう制御される。図1A中、X線源24は、0°のビュー角度でスライスの平面ビューを取得するよう領域中の患者のスライス40を照射するところが示されている。第2のプレーナスキャンは、第1のプレーナスキャンが行われるのと同様に行われるが、X線源24は90°のビュー角度に位置決めされて行われる。図1Bは、図1Aに示されるスライス40が、スライスの90°平面ビューを取得するためにX線に曝されているところを示す。
スライス40の0°平面ビューから取得される減衰データは、0°平面ビューについて検出器32によって感知された適切に平均化された最小X線強度IM(0°,z)を決定するよう処理される。最小値は、一般的には、従来技術で知られている方法を用いてデータを適切に平滑化した後に、検出器識別指数の関数としてX線強度測定値を分析することによって決定される。比率I0/IM(0°,z)は、スライスに対する平均ピーク減衰PA(0°,z)を決定する。I0は、X線がスライス40を通過しないとして検出器32によって登録されたX線の強度から決定される。
平均ピーク減衰は、次に、スライス40が望ましくは0°でスライスを正しく撮像するために曝される最小の所望のX線強度「I0(0°)」を決定するのに用いられる。例えば、0°でスライス40をCT撮像するために所望のSNRを与えるために、検出器32によって検出される最小X線強度は、ID(0°,z)であると想定する。最小の検出された強度を与えるために、スライス40は、望ましくは強度I0(0°,z)=ID(0°,z)PA(0°,z)のX線でX線源24によって照射される。
90°でスライス40の平面ビューによって与えられる減衰データから最小の所望の強度「I0(90°,z)」を決定するために、同様の手順が用いられる。
次に、I0(0°,z)とI0(90°,z)は、従来技術で知られている方法により、スライス40のビューをビュー角度の関数として取得するようX線源24によって与えられるべきX線強度I0(θ,z)を決定するための適切な変調関数を発生するために用いられる。例えば、I0(θ,z)は、
Figure 0004943631
又は
Figure 0004943631
であるよう定義されうる。
上述の、患者22の体の領域に対するプレーナデータが領域の2回のプレーナスキャンから取得される従来技術の方法とは異なり、本発明の実施例によれば、患者22の領域に対するプレーナデータは領域の1回のプレーナスキャンからのみ取得される。
1回のプレーナスキャンは、望ましくは、0°又は90°のビュー角度に対して、或いは、同様に、180°又は270°のビュー角度に対して取得される。便宜上、1回のプレーナスキャンに対するビュー角度を0°であると想定する。関心領域中のスライスに対する平面ビューの取得は、任意に、図1Aに示すような従来技術で平面ビューが取得される方法と同様に行われる。そして、本発明の実施例によれば、軸方向上の位置zにおけるスライスの各0°平面ビューからの減衰データは、上述のように、I0(0°,z)に対する値を与えるよう処理される。
しかしながら、従来技術とは異なり、本発明の実施例によれば、ビュー角度0°におけるスライス40の平面ビューに対して取得される減衰データもまた、I0(90°,z)を決定する情報を与えるのに用いられる。
図2は、図1Aに示すスライス40の0°プレーナスキャンについての検出器32により検出されるX線の強度I(n,0°,z)が、検出器30中の異なる検出器32を識別する指数nの関数としての曲線51によって図式的に示されるグラフ50を示す。スライス40を通過することによっては減衰されないX線源24からのX線を受信する検出器32は、X線源によって与えられるX線の強度である強度Iを記録する。本発明の1つの実施例によれば、データは、適切な平滑化フィルタでフィルタリングされていると想定される。
最小の検出された強度IM(0°,z)は、曲線51から識別され、グラフの縦座標上に示される。上述のように、IM(0°,z)は、平均ピーク減衰と、患者22の領域がCTシステム20によって撮像されているときにスライスの0°のビューを与えるようスライス40が照射されるべき所望の最小X線強度を決定するのに用いられる。
0(90°,z)を決定するために、本発明の実施例によれば、グラフ50に示されるデータは、x軸に沿ったスライス40についての幅「Wx」を決定するために分析される。Wxは、感知されるX線強度が検出器に到達するX線がスライス40中の物質によって略減衰されないことを示す検出器32と、感知される強度が検出器に到達するX線がスライス中の物質によって減衰されることを示す検出器32との間の境界を決定するようデータを分析することによって決定される。
グラフ50に示されるデータについては、境界は破線52及び54によって示される。境界52及び54の領域にある検出器は、スライスの縁の近傍中のスライス40の領域を通過するX線を検出する。本発明の実施例によれば、減衰を示す境界52及び54の領域にある検出器の位置、並びに、X線源24に対するこれらの検出器の既知の位置は、スライス40の縁のx座標を決定するのに用いられる。縁のx座標から、幅Wxが決定される。グラフ50において、Wxは、境界52と54の間に広がることが示されている。
スライスの90°ビューについての吸収積分AI(n,90°,z)の最大値を推定するよう、決定されたWxは、スライス40が位置する患者22の体の領域に特有の既知の平均的な特徴吸収係数で乗算される。
尚、AI(n,90°,z)の最大値を与えるために用いられる特徴吸収係数は、全体的な集団に対して決定される特徴吸収係数であってもよく、又は、患者22が属する全体的な集団の特定の部分集合に関連のある特徴吸収係数であってもよい。例えば、特徴吸収係数は、患者22の性別、年齢、又は体型によって決定されてもよい。
ここで、AIM(90°,z)は、90°についての吸収積分に対する最大値を表わすとする。すると、本発明の実施例によれば、AIM(90°,z)=μ(z)Wxであり、但し、μ(z)はスライス40のz座標における体の領域に対する特徴吸収係数である。AIM(90°,z)は、平均ピーク減衰PA(90°,z)=exp(−AIM(90°,z)=exp(−Wxμ(z))を決定するために用いられる。上述のように、PA(90°,z)と、ビュー角度90°に対する検出器アレイ30における所望の最小の検出された強度ID(90°,z)は、所望の最小の強度I0(90°,z)を決定するのに用いられ、従ってI0(90°,z)=ID(90°,z)PA(90°,z)=ID(90°,z)exp(Wxμ(z))である。図1A中、スライス40は、患者22の胸部領域に位置する。胸部領域については、特徴吸収係数は、(0.79±0.07)μ(HO)の値を有し、従ってスライス40については、I0(90°,z)はID(90°,z)exp[Wx(0.79)μ(HO)]であると推定される。
本発明の幾つかの実施例では、0°プレーナスキャン中にX線への患者22の被曝を減少させるために、プレーナを行うために用いられるX線の強度はプレーナスキャン中に取得される減衰データに応じてリアルタイムで調整される。1つのスライスのプレーナスキャン中に得られる0°平面ビューから取得されるデータは、次のスライスの0°平面ビューを取得するために次のスライスを照射するのに必要な最小X線強度を決定するのに用いられる。従って、プレーナスキャン中のX線強度は、患者の放射線被曝を減少させるようリアルタイムで更新される。
例えば、0°平面ビューは座標z1におけるスライスに対してX線強度Io1で取得され、平面ビューからのデータを処理した後、これは例えばPA(0°,z1)から決定されると想定すると、平面ビューに対するそのデータは、最小のX線強度I* o1<Io1において所望のSNRで取得されたかもしれない。すると、本発明の実施例によれば、座標z2における次の隣接するスライスは、スライスに対する0°平面ビューを取得するためにX線強度I* o1に曝される。尚、従来技術では、患者の体の領域のプレーナスキャンは、一般的には、プレーナスキャン中の患者のX線への被曝を最小限とするよう調整されない一定のX線強度で取得される。
本発明の幾つかの実施例では、「次の隣接するスライス」のプレーナスキャンが取得される最小の強度は、複数の以前に照射されたスライスに対して決定される最小X線用度から決定される。例えば、本発明の幾つかの実施例では、「次の隣接するスライス」に対するX線照射強度は、複数の以前に照射されたスライスに対して決定される最小X線強度又は平均に当てはまる曲線から予測される最小強度に等しいよう決定される。
本願の詳細な説明及び特許請求の範囲では、動詞「からなる」、「含む」、及び「有する」と夫々の活用形は、動詞の目的語が必ずしも動詞の主語の構成要素、成分、要素、又は部部の完全な列挙ではないことを示すために用いられる。
本発明は、例として与えられ、本発明の範囲を制限することが意図されるものではない実施例の詳細な説明を用いて説明された。説明された実施例は、異なる特徴を含み、これらの全てが本発明の全ての実施例に必要なわけではない。本発明のいくつかの実施例は、いくつかの特徴のみ、又は特徴の可能な組合せのみを用いる。当業者によれば、説明された本発明の実施例、並びに、説明された実施例において述べられた異なる特徴の組合せを含む本発明の実施例の変形が得られるであろう。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ制限される。
従来技術による、CTシステムによる患者のCT撮像中のX線に対する患者の被曝を制御するX線変調関数を発生するためにデータを取得するよう作動される第3世代のCTシステムを示す図である。 従来技術による、CTシステムによる患者のCT撮像中のX線に対する患者の被曝を制御するX線変調関数を発生するためにデータを取得するよう作動される第3世代のCTシステムを示す図である。 本発明の1つの実施例による、変調関数のための情報を決定するために単一の平面ビューからの減衰データがどのように用いられるかを概略的に示す、図1Aに示す患者のスライスの前−後(0°)ビューで得られる概略的な減衰データのグラフである。

Claims (8)

  1. 人の体の領域のスライスをCT撮像するCTシステムのX線源によって与えられるX線の強度を変調する変調関数を決定する方法であって、
    前記スライスの第1の前−後又は横のビューに対するX線減衰データを取得する段階と、
    前記減衰データから第1の最大X線減衰を決定する段階と、
    前記減衰データを用いてビュー角度に対して直交する前記スライスの平面上の軸に沿った前記スライスの投影の長さを決定する段階と、
    前記決定された長さに基づき前記第1のビューに直交する第2のビューに対する第2の最大X線減衰を決定する段階と、
    前記変調関数を決定するために前記第1及び第2の減衰最大を用いる段階とを含む方法。
  2. 前記第2の最大X線減衰を決定する段階は、前記投影の長さと前記スライスの平均X線吸収係数とを乗算した積に等しくなるよう前記第2の最大X線減衰を決定する段階を含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記平均X線吸収係数は、前記スライスがその中に配置されている前記人の体の領域に特有の所定の平均的な特徴吸収係数に等しい、請求項2記載の方法。
  4. 前記特徴吸収係数は、前記人の少なくとも1つの個人的特徴の関数である、請求項3記載の方法。
  5. 前記少なくとも1つの個人的特徴は、人の体型を含む、請求項4記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つの個人的特徴は、人の性別を含む、請求項4又は5記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの個人的特徴は、人の年齢を含む、請求項4乃至6のうちいずれか一項記載の方法。
  8. 前記投影の長さを決定する段階は、
    前記X線源に対向し、前記体の前記X線源が配置されている側とは反対の側に配置されるX線検出器アレイにより前記第1のビューを取得する段階と、
    前記スライス中の物質によって減衰されたX線を受信する検出器アレイ中の検出器と前記スライス中の物質によって減衰されないX線を受信する前記アレイ中の検出器との間の第1及び第2の境界を決定する段階と、
    前記X線源の位置が前記第1のビュー角度にあり検出器の位置が前記第1及び第2の境界付近にあるときの前記軸上の前記スライスの縁の投影の位置を決定する段階と、
    前記投影の長さを前記縁の間の投影の距離に等しくなるよう決定する段階とを有する、請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の方法。
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