JP4943328B2 - 広帯域漏れ波アンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、広帯域漏れ波アンテナに関する。
IEEE Transactions on Antennas and Propagation Vol.51 No.7 2003年7月1572〜1581ページにおいて、「Green’s function for an Infinite Slot Printed Between Two Homogeneous Dielectrics,Part I:Magnetic Currents」というタイトルの記事が、Andrea Neto及びStefano Maciによって発行されている。この記事の第2部が、IEEE Transactions on Antennas and Propagation Vol.52 No.3 2004年3月、666〜676ページで発行されている。最初の記事は、誘電体レンズと統合され、無限スラブ上に刻まれるスロットを含むサブミリ波受信機の構築の可能性に言及している。
これらの記事は、異なる誘電率ε1、ε2を有する2つの誘電体媒質がグランド・プレーンの両側に存在するときに、細長い非導電性スロットを含む導電性グランド・プレーンを有する構造体に沿って移動する電磁波の特性について記載している。この構成において、波がスロットの長さに沿って移動すること、及び波エネルギーの一部が、グランド・プレーンに対して所定の角度で放射されることが示されている。
記事は、この現象を、漏れ波アンテナを実現するのに利用する可能性に言及しているが、かかるアンテナの構造体については詳しく説明していない。漏れ波伝送アンテナでは、電磁波が、導波構造体に沿って移動し、そうすることによって、構造体に沿った連続する点の所では、毎回波エネルギーのわずかの部分が遠隔電場に放射される。結果として、波エネルギーは、構造体に沿って漸減する。進行波は、構造体沿いの異なる点からの放射の間の所定の位相関係を画定し、そうすることによって、点からの放射が干渉性放射となる方向(ある場合)も画定し、それにより、構造体はアンテナとして作用する。通常、漏れ波アンテナは、制限された帯域幅を有し、この帯域幅は、導波構造体の特徴的な寸法によって画定される。
それ以外のものの中でも特に、本発明の目的は、広帯域アンテナを提供することである。
それ以外のものの中でも特に、本発明の別の目的は、広帯域アンテナ用の給電構造体を提供することである。
それ以外のものの中でも特に、本発明のさらに別の目的は、広帯域アンテナ用の多重周波数給電構造体を提供することである。
本発明によるアンテナは、請求項1に記載されている。本発明によると、少なくとも部分的に円錐形をした誘電体を有するアンテナが提供される。円錐形は、立体が、切頂された楕円のような形をした一連の断面を有するようなものである。各楕円の2つのフォーカスのうち第1のものが、切頂された楕円がそれに沿って終端する切頂線上に位置する。導電性グランド・プレーン中の線形の非導電性スロットや導電トラックなどの細長い波搬送構造体が、切頂された楕円形断面の第1のフォーカスを通る焦線に沿って伸びる。第2のフォーカスは、立体内部に位置する。切頂線は、フォーカスを通る楕円の軸に対して垂直に伸びる。導電性グランド・プレーンが使われる場合、グランド・プレーンは、連続する断面の切頂線によって形成される面に接する。
楕円形断面を有する誘電体は、無限半空間を占める誘電体が使われた場合に細長い波搬送構造体に沿った波伝播の特性が当てはまるはずの理論特性に酷似するという影響を有することが分かっている。つまり、伝播速度は、波長が波搬送構造体の幅よりかなり大きい限り、波長にほとんど依存しない。これは、焦線に対して一定の角度をなす方向に干渉性の漏れ波放射をを生じ、角度は、ほぼ波長非依存であり、その結果、広帯域なアンテナの挙動が実現される。好ましくは、細長い波搬送構造体は、線形の直線形状を有するが、楕円形断面の対応するサイズ変更及び相殺と組み合わされた非線形の形状も、特殊なアンテナ・パターンを実現するための代替手段として用いられてよい。
好ましくは、楕円形それぞれの主軸(2つのフォーカスを通る軸)は、漏れ波の干渉伝播の方向と一致する。このようにして、無限誘電半空間の影響の最良の近似が得られる。
好ましくは、断面のサイズは、錐体に沿って先細りするので、第1のフォーカスから最も遠い楕円形の周辺上の点を通って走る仮想線は、漏れ波の干渉伝播の方向に対して垂直になる。このようにして、誘電体から外部への漏れ波放射の最適結合が実現される。
好ましくは、楕円形の楕円率は、誘電材料の比誘電率の平方根にほぼ等しい。この楕円率は、切頂線が焦線に対して垂直になるように方向づけられた仮想平面中の断面に当てはまる。このことは、広帯域挙動をさらに最適化する。
一実施形態では、断面の楕円形の切頂線によって画定される立体の表面上で統合された給電構造体が提供される。このことは、費用効果が高い効率的な給電の実現を可能にする。本明細書で使用する「給電」という用語は、アンテナを用いた送信並びに受信、つまり、波搬送構造体への、且つそこからの電磁界エネルギーの転送両方に当てはまる。
それ以外の実施形態では、導電材料からなる舌片がその間にある、グランド・プレーン中の1対の並列非導電性給電スロットを有するコプレーナ導波路を備える給電構造体。コプレーナ導波路は、グランド・プレーン中のアンテナ・スロットを横切って伸び、且つそれと交差する、コプレーナ導波路がアンテナ・スロットと交差する位置にあるコプレーナ導波路で短絡インピーダンスが起こるように終端される。このようにして、給電構造体とアンテナ・スロットとの間で、最適の結合が実現される。好ましくは、アンテナ・スロットの一部は、コプレーナ導波路がアンテナ・スロットと交差する点を越えて伸びる。このアンテナ・スロットの一部は、ある動作周波数で、前記一部において励起される波が、コプレーナ導波路がアンテナ・スロットと交差する点まで同位相で反射される程、遠くまで伸びる。
別の実施形態では、複数のコプレーナ導波路が、各周波数の電磁界がコプレーナ導波路の1つを除くすべての交差点の所で開放インピーダンスを有して提示されるように構成された、異なる周波数用の給電構造体として用いられる。このようにして、給電構造体の間の最適の隔離が実現される。
導電トラックが波搬送ラインとして使われるとき、同様の給電構造体が実現されてよい。
アンテナは、周波数が遠く離れた、例えば少なくとも2倍又はそれよりも離れた相互に異なる周波数を有する信号を供給し、且つ/又は受信するように、連続して、且つ/又は一斉に構成された送信及び/又は受信機器と組み合わせて使われてもよい。こうしたすべての周波数に対する効率的なアンテナの挙動(すなわち、明確にされた主ローブを有する)が、錐体形をした単一のアンテナ構造体を用いて実現される。こうしたすべての周波数に対する有効なアンテナの挙動を伴うさらに離れた周波数を有する信号を扱う送信及び/又は受容器機器が使われてもよい。
本発明のこうした及び他の目的及び有利な態様が、以降の図面を用いて、非限定的な例によって説明される。
図1は、アンテナ構造体を示す。アンテナ構造体は、誘電体10を備え、これは、いくつかの断面16によって概略的に示される。導電性グランド・プレーン12が、誘電体の下に取り付けられている。細い非導電性アンテナ・スロット14が、グランド・プレーン12中で、アンテナ構造体の長さに沿って走る。誘電体10は円錐形であり、切頂された楕円の形を有する断面16を有する。切頂部は、グランド・プレーン12の上にある。
図2は、誘電体の1つの断面16を示し、その切頂楕円形、グランド・プレーン12の断面(誇張された厚さを有する)及びアンテナ・スロット14の断面(誇張された幅を有する)を示す。仮想線22は、楕円の主軸を示す(その焦点を通る軸。よく知られているように、楕円の2つの焦点は、楕円の周辺上のどの点から両方の焦点までの距離の和も、周辺上の点に依存しないという事実によって、定義される)。アンテナ・スロット14は、楕円のフォーカス(焦点)の第1の1つをほぼ通って走り、他の断面の楕円形のフォーカスを通る、図面の平面を横切って伸びる。楕円の第2のフォーカス(焦点)20は、誘電体内部に位置する。楕円は、楕円の主軸に対して垂直に、且つ楕円の第1のフォーカスをほぼ通って走る線に沿って切頂される。グランド・プレーン12は、楕円形断面16を横切って伸びる。
図3は、誘電体の別の断面を示し、この場合、連続する断面の主軸22を通り、アンテナ・スロット14(図示せず)に対して並列に走る平面を通る。誘電体は、例えばTMM03材料で作られてよく、この材料は、Rogers製のスラブの形で販売される。この材料は、3.27の比誘電率を有する。当然ながら、例えば1.5と4の間の比誘電率を有する他の材料が使われてもよい。スラブ形をした材料が使われる場合、スラブは、電気的立体を実現するように積み重ねられ、形作られてよい。厚さがおよそ0.1ミリメートルの、取り付けられた銅製グランド・プレーンを有する、最も低いスラブが提供されてよく、そこでは、アンテナ・スロット14が、例えば0.2ミリメートルの幅で圧延されてよい。しかし、こうした寸法及びこの製造法は、例として与えられるに過ぎないことが理解されるべきである。幅は好ましくは、誘電材料中の波長の4分の1未満であるべきである。10〜30ギガヘルツの範囲内の周波数に対して、0.2ミリメートルの幅が用いられ得る。より高い周波数、すなわちテラヘルツの範囲でも可能であるが、その場合、より細いスロットが使われるべきである。他の寸法及び製造技術が用いられてもよい。
アンテナの動作は、スロット幅が波長よりほぼ小さい(波長の4分の1より小さい)ことを条件として、グランド・プレーン12が、相互に異なる誘電率の2つの無限半空間によって境界を定められる場合、導電性グランド・プレーン12中のスロット14に沿った波の伝播速度は、波の波長に大きくは依存しないという事実に基づく。このことは、かかるスロットが、漏れ波アンテナとして作用することになることを意味し、このアンテナは、放射の波長に依存しない方向で、半空間の1つに放射を行う。
実際には、誘電材料からなる無限半空間は、当然ながら不可能である。このことは、有限材料体が使われなければならないが、普通は立体の有限サイズが、波長に依存して、アンテナ・スロット14に沿った波の伝播速度に影響を与えることを意味する。この波長依存性は、アンテナ帯域幅を制限し、放射の方向を波長依存にさせる。
本アンテナにおいて、波長依存性は、1つのフォーカスがアンテナ・スロット14の位置にある切頂された楕円形断面を有する誘電体10の使用によって最小限にされる。好ましくは、誘電体を通る漏れ波の伝播方向に対して並列な平面を通る断面は、この形をもち、その第1のフォーカスを、アンテナ・スロット14の所に有する。この方向は、アンテナ・スロット14に沿った波の伝播の速度に依存し、伝播速度は、立体10の誘電材料の誘電率と周辺空間とに依存することが理解されよう。要求される方向は、シミュレーションを用いて、又は分析的な解明を用いて理論的に、或いは誘電体における伝播方向を観察することによって、実験によって決定されてよい。
グランド・プレーン12の下の半空間は、空気によって(又は真空、或いは他の何らかの気体又は液体によって)形成される。上位の半空間は、誘電体10に接近される。楕円形断面により、アンテナ・スロット14からの放射は、誘電体10の周辺における2回の反射の後に、アンテナ・スロット14上で反応し得るのみである。これは、誘電体10の有限サイズの影響を最小限にし、無限半空間に対する波長非依存の伝播速度が極めて近い値を求められるという結果をもたらす。好ましくは、楕円形断面は、その離心率が、周辺空間のものに対して、誘電体10の比誘電率の平方根にほぼ等しくなるように形作られる。
その結果、放射がアンテナ・スロット14から漏れることになり、波面30をグランド・プレーン12に対する角度φで上昇させ、角度φは、アンテナ・スロット14に沿った伝播の速度によって決定され、この速度は、誘電体の誘電率の関数であるが、波長には大きくは依存しない。誘電率が3.27である例の場合、角度φは、およそ40度に等しい。
図面の実施形態において、楕円形断面のサイズは、アンテナ構造体の端部に向かって先細りし、それにより、少なくとも楕円の主軸22上では、等しい位相の波面30が、楕円の頂点の所にある頂線面32(主軸22が楕円の表面と交差する所)に対して並列に走り、この表面に対して、波面30が移動する。その結果、波は、頂線面32上で垂直入射をし、誘電体を出た後、同じ方向に波面を進行させる。頂線面32が、放射される波の伝播方向に対してほぼ垂直になるような先細りを伴うこの配置は、反射を最小限にするために好まれる。しかし、本発明から逸脱することなく、頂線面32は、全反射が起こらない程度に角度が小さく保たれる限り、波面30に対して一定の角度をなしてよい。これは単に、放射が誘電体10を出る際の放射の方向を乱す結果となり、反射のせいで損失が幾分増加する。
図に示されるように、グランド・プレーン12は、切頂部のほぼ全幅に渡って伸びるが、それ以上は伸びない。これは、機構上の目的にとっては好都合であるが、放射面での目的にとっては不可欠でない。すなわち、本発明から逸脱することなく、グランド・プレーンは、楕円形断面を越えて伸びても、切頂部の一部のみを覆ってもよい。好ましくは、スロットから離れたグランド・プレーン12の幅は、例えば無限グランド・プレーンの場合に電流の大部分が理論的解明に従って流れる区域を含む程大きいものとして選択され、それにより、グランド・プレーン12は、スロット14のいずれかの側において、少なくとも1つの波長に、好ましくは少なくとも3〜4波長に及ぶ。
導電性グランド・プレーン12が除かれ、又は非導電性グランド・プレーンで置き換えられるときは、図面に示される非導電性アンテナ・スロット14ではなく、導電トラックが用いられてもよい。アンテナ・スロット14のように、連続する断面のフォーカスの1つを通って伸びるかかる導電トラックは、ほぼ波長非依存の伝播速度と、アンテナ効果を与える漏れ波放射とを上昇させる。
一般に、単一の非導電性スロット又は導電トラックが、焦線を通って伸びる。スロットの場合、これは、グランド・プレーンを横切って、グランド・プレーンの一方の半分から他方までの電界線と、スロットを通る磁界線とを有する伝播電磁界構造体につながる。好ましくは、スロットと並列の追加スロットは与えられない。しかし、1つ又は複数のスロットが、スロットの励起と同位相で励起され、又は少なくともスロットの励起に対して完全に逆の位相で励起されるわけではないのであれば、スロットに対して並列の、こうした1つ又は複数の追加スロットを有する同様の伝播電磁界が実現されてもよい。アンテナ・ビームの方向を変えるのに、異なるスロットの位相不一致の(ただし逆位相ではない)励起が用いられてもよい。
同様の考察が、磁界及び電界の役割が入れ換えられることを除いて、導電トラックに対して成り立つ。好ましくは、単一の導電トラックが使われるが、好ましくはトラックが相互に逆の位相で励起されないのであれば、複数のトラックが使われてもよい。
本発明は、放射の送信の場合について例示されるが、相互関係の原理により、アンテナは、放射するようになされてよい方向から、すなわちほぼ波長非依存の方向からの放射を受信するようにも動作することが理解されよう。
図4は、アンテナの給電構造体の例を示す。好ましくは、給電構造体は、グランド・プレーン12中に統合される。図4の給電構造体は一実施形態であり、アンテナ・スロット14を横切る導電材料の舌片のいずれかの側にある2つの相互並列給電スロット40を備える。給電スロット40は、アンテナ・スロット14の所で短絡に終わるコプレーナ導波路を形成する。
給電構造体は、磁界励起を利用するが、これは、アンテナ・スロット14内で、グランド・プレーン12に対してほぼ垂直の磁力線を有するスロット内の磁界を用いて波を励起させる。かかる磁界は、給電スロット40の間の舌片など、アンテナ・スロットと交差する導体で誘発され得る。
コプレーナ導波路はアンテナ・スロット14の所で短絡に終わるので、電流最大値(及び従って、磁界最大値)がアンテナ・スロット14の位置で引き起こされる。このように、アンテナ・スロット14における波の最大励起が実現される。アンテナ・スロット14は、一方向でアンテナの長さに渡って伸び、他の方向で給電スロット40がアンテナ・スロット14内で終わる点を越えて有限長44に及ぶ。有限長44は好ましくは、波の4分の1波長(任意選択で、整数である半波長をプラスする)に対応し、それにより、有限長の端部で反射される波は、直接励起される波と同位相になる。アンテナ・スロット14とは反対方向の給電スロット40の端部で、送信機又は受信機回路(図示せず)への給電接続42が与えられる。給電接続42は、給電スロットの間のグランド・プレーン12の中心部分から、給電スロット40のいずれかの側にあるグランド・プレーンの部分までの対称場を与えるように構成される。任意選択で、導電ブリッジ46は、給電スロット40のいずれかの側にあるグランド・プレーンの部分を結合して、反対称モードを抑圧する。
給電構造体の様々なスロットの長さが、アンテナの帯域幅を制限することが留意されるべきである。一般に、中心周波数の50%の有用周波数帯域幅が達成され得る。
給電スロット40は、アンテナ・スロット14の所で終端するのではなく、アンテナ・スロット14を通って伸びてもよいことが理解されよう。この場合、給電スロット40は、整数である半波長分だけ伸びてよく、舌片は、端部の所でグランド・プレーンに接続され、それにより、コプレーナ導波路中の、アンテナ・スロット14と交差する位置で短絡インピーダンスが実現される。或いは、舌片は、開回路に終わってもよく、この場合、給電スロット40は好ましくは、4分の1波長(任意の整数である波長をプラスする)分だけ伸びて、コプレーナ導波路中の、アンテナ・スロット14と交差する位置で短絡インピーダンスを実現する。舌片の終端され方によるインピーダンス効果のおかげで、こうした長さからのわずかな偏差が、アンテナ・スロット14と交差する位置に短絡インピーダンスを生じるのに要求される場合がある。
図5は、グランド・プレーン中の給電構造体の別の例を示す。分かりやすくするために、グランド・プレーンは明示的には示されず、グランド・プレーン中のスロットの境界のみが示される。この例において、それぞれの給電接続42、52の所で異なる周波数の電磁界を適用する2対の給電スロット40、50が与えられる。隔離構造体54、56が与えられ、両方とも、アンテナ・スロット14を横切るグランド・プレーン中のスロット対として実現され、導電材料の舌片58a、bがスロット54、56の間にある。給電スロット40、50は、隔離構造体54、56の中に伸び、それにより、給電スロット40、42の間のグランド・プレーンの舌片58a、bは、隔離構造体54、46のスロットの間に伸び、アンテナ・スロット14と交差する。ただ2つの給電構造体が示されているが、より大きな数の同様の構造体が与えられてもよいことが理解されるべきである。
隔離構造体54、56は、給電接続42、52の間のクロス結合を抑圧するように働く。動作の際、それぞれの、相互に異なる周波数の電磁界が、給電接続42、52に適用される。特定の給電構造体の給電接続42、52によって適用される電磁界の周波数を除く、適用されるすべての周波数向けのアンテナ・スロット14と特定の給電構造体が交差する点での磁界結合を最小限にすることによって、クロス結合が実現される(図の例では、それぞれの交差場所での磁界結合各々が、1つ1つの周波数に対してのみ最小限にされる必要がある)。磁界結合は、給電接続42、52が1つの非結合周波数(又は複数の周波数)向けのアンテナ・スロット14に電磁界を供給する点で開放インピーダンスを与えることによって実現される。
この例で、一方の周波数は、他方の周波数の2倍である。最も高い周波数給電接続42に面した隔離構造体54のスロットは、短絡に終わり、その周波数に対する波長の半分、従って、他方の給電接続52のより低い周波数に対する波長の4分の1の長さである。これは、高い周波数向けのアンテナ・スロットの位置の所で短絡インピーダンスと、低い周波数向けのその位置で開放インピーダンスとを生じる。結果として、最も高い周波数に対しては給電構造体とアンテナ・スロット14の間で最大結合が、最も低い周波数には最小結合が起こる。
最も低い周波数の給電接続52に面した隔離構造体54のスロットは、開回路に終わり、やはり最も高い周波数に対しては波長の半分、従って、より低い周波数に対しては波長の4分の1の長さである。これは、低い周波数向けのアンテナ・スロットの位置の所で短絡インピーダンスと、高い周波数向けのその位置で開放インピーダンスとを生じる。結果として、最も低い周波数に対しては給電構造体とアンテナ・スロット14の間で最大結合が、最も高い周波数には最小結合が起こる。
舌片の終端され方によるインピーダンス効果のおかげで、こうした長さからのわずかな偏差が、アンテナ・スロット14と交差する位置に短絡及び開放インピーダンスを生じるのに要求される場合がある。
好ましくは、給電構造体と有限長44の間のスロットの長さは、より低い周波数の4分の1波長である。従って、有限長44の端部からアンテナ・スロット14に反射して戻される波は、両方の周波数に対して、直接励起される波と同位相である。
図6は、アンテナ構造体に接続された2つの接続62、64を有する送信機及び/又は受信機60を備える送信及び/又は受信システムを示す。このシステムは、アンテナ構造体へ、且つ/又はそこから2通りの周波数で電磁界を供給し、且つ/又は受信する。一例では、送信機及び/又は受信機60は、周波数が2倍離れた信号を送信し、且つ/又は受信するように構成される。送信機及び/又は受信機60は、こうした2つの周波数用に別々の機器を含んでもよいが、別法としては一体型の機器が使われてもよい。
アンテナ・スロット14を有する実際のアンテナ構造体は、極度に広い周波数帯域に適していることが理解されるべきである。この例の周波数は、2倍離れており、このブロードバンドに容易に適合する。この例では、給電構造体のみが、帯域幅を制限する。実際に、約30%の帯域幅(中心周波数で割られた幅)の2つの帯域において操作され得るデュアル・バンド・アンテナが実現される。
一方が他方の2倍である2つの周波数を有する励起の例のために給電構造体が説明されたが、異なる組合せの周波数に対して、又はより大きい数の周波数に対しては、異なる給電構造体が可能であることが理解されるべきである。この場合、電磁界がアンテナ・スロット14に給電される点で「他の」周波数に対してほぼ開放のインピーダンスを提供するために、より複雑な隔離構造体が必要とされることがある。やはり、例えばアンテナ・スロット14は、いくつかの周波数を適応させるために、給電構造体において、分岐スロットに分裂されてもよい。
別の例として、給電接続に接続された送信及び/又は受信機器60において、クロス結合を抑圧するための措置がとられてもよい。さらに、統合されたコプレーナ導波路ではなく、アンテナ・スロット14とインターフェイスをとる外部の導波路など、他のタイプの給電構造体が用いられてもよいことが理解されるべきである。
導体トラックがアンテナ・スロット14の代わりに使われる場合、アンテナ・スロット用の給電構造体が二重になった給電構造体が用いられてよく、すなわち、導電部分が非導電部分で置き換えられ、且つその逆の置換えも行われる。この場合、コプレーナ導波路ではなく、隣り合う1対の導体から成る給電構造体が使われる。
ここで、切頂された楕円形断面の誘電体を有し、楕円形断面のフォーカスを通って伸びるスロット又はフォーカスを通って伸びる導体を有するグランド・プレーンを有するアンテナ構造体を用いて、極度に広帯域なアンテナ構造体が実現されることが理解されるであろう。送信機及び/又は受信機器60は、有効な送信及び/又は受信のために、大きく異なる周波数の電磁界を同時に、且つ/又は連続してアンテナ構造体に供給し、且つ/又は受信するために、アンテナ構造体に取り付けられてよい。アンテナ・スロットから波を励起し、又は受信するために、様々な給電構造体が用いられてよい。一実施形態では、給電構造体は、グランド・プレーンに統合されてもよい。一般に、給電構造体は、送信及び/又は受信機器60がアンテナ構造体を使う所の1つの周波数又は複数の周波数に依存して選択される。特定の給電構造体が示されたが、スロット中のいずれかの位置で、又は一定の範囲若しくは一連の位置に沿って展開する導波路など、他の給電構造体が可能であることが理解されるべきである。大きく異なる周波数の所でアンテナが使われる場合、かかる異なる周波数に対するそれぞれの給電構造体が使われてよい。特に、こうした周波数が遠く(例えば、10倍)離れている場合、それぞれの周波数向けの異なる給電構造体が互いと干渉しないようにすることは、あまり困難でない。
焦点を通る直線を有するその全長に沿った円錐である、好まれるアンテナ構造体が示されたが、本発明から逸脱することなく、アンテナの一部のみが円錐状でもよいこと、及び焦点を通る線が曲線形でもよいことが理解されるべきである。前者の場合、円錐状の一部は、アンテナ・ビームの指向性の挙動を可能にする。曲線(及び、従って曲線形のスロット又は導体トラック)が、漏れ波の局部的に可変の伝播方向を生じる。楕円のサイズを対応するように変えることによって、焦点を通る焦線の異なる部分からの漏れ波が、誘電体を出た後、コヒーレント干渉を起こすことが保証され得る。やはり、例えば相互に対してある程度の角度にある異なる部分、及び/又は円錐立体に沿った異なる点で異なるように先細りする切頂された楕円形断面を含むスロットを使うことによって、多アンテナ・ローブが実現され得る。
アンテナ構造体を示す。 アンテナ構造体の断面を示す。 アンテナ構造体の別の断面を示す。 給電構造体を示す。 それ以外の給電構造体を示す。 送信及び/又は受信システムを示す。
符号の説明
10 誘電体
12 グランド・プレーン
14 アンテナ・スロット
16 楕円形断面
20 フォーカス(焦点)
22 仮想線、主軸
30 波面
32 頂線面
40 給電スロット
42 給電接続
44 有限長
46 導電ブリッジ
50 給電スロット
52 給電接続
54 隔離構造体、スロット
56 隔離構造体、スロット
58a、b 舌片
60 送信機及び/又は受信機
62 接続
64 接続

Claims (14)

  1. 切頂楕円形の一連の断面を有する、少なくとも部分的に円錐状の誘電材料からなる立体であって、各楕円形が、前記楕円形の主軸に対してほぼ垂直に伸びる切頂線に沿った前記楕円形の第1のフォーカスをほぼ通って切頂され、前記楕円形の第2のフォーカスが前記立体内部に位置する立体と、
    連続する断面中の前記楕円形の前記第1のフォーカスを通る焦線にほぼ沿って伸びる細長い波搬送構造体とを備えるアンテナ。
  2. 前記楕円形それぞれのものの前記主軸が、前記細長い波搬送構造体から前記誘電材料への漏れ波の干渉伝播の方向とほぼ一致する、請求項1に記載のアンテナ。
  3. 仮想頂線が前記細長い波搬送構造体から前記誘電材料への漏れ波の干渉伝播の方向に対して垂直になるように前記断面のサイズが先細りし、前記仮想頂線が、立体の周辺が前記楕円形の前記主軸と交差する所を走る、請求項1及び2のいずれか一項に記載のアンテナ。
  4. 前記切頂線が、前記焦線に対して垂直になり、前記楕円形の楕円率が、前記立体の周囲の誘電率に比例する前記誘電材料の比誘電率の平方根とほぼ等しくなるように仮想平面が方向づけられる、請求項2に記載のアンテナ。
  5. 前記立体の表面において統合された給電構造体を備え、前記表面が、前記断面の前記楕円形の前記切頂線によって画定される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアンテナ。
  6. 前記断面の前記楕円形の前記切頂線によって画定される前記立体の表面に隣接して配置された導電性グランド・プレーンを備え、前記グランド・プレーン中の非導電性アンテナ・スロットが、前記波搬送構造体を形成するように前記焦線に沿って伸びる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアンテナ。
  7. 前記グランド・プレーン中を、前記給電スロットの間の導電材料の舌片を有する前記アンテナ・スロットを横切って伸びる1対の並列非導電性給電スロットを有する第1のコプレーナ導波路を備える給電構造体を備え、前記舌片が、前記アンテナ・スロットに渡り、前記舌片が、前記アンテナ・スロットと交差する第1の位置において、前記第1のコプレーナ導波路内で短絡インピーダンスが起こるように終端される、請求項6に記載のアンテナ。
  8. 前記アンテナ・スロットの一部が、前記舌片が前記アンテナ・スロットと交差する前記第1の位置を越えて伸び、前記一部が、前記一部において動作中の励起される波が同位相で前記第1の位置に反射して戻されるような長さ分だけ伸びる、請求項7に記載のアンテナ。
  9. 前記グランド・プレーン中を、前記アンテナ・スロットを横切って伸びる第2のコプレーナ導波路を備え、前記第2のコプレーナ導波路が、前記アンテナ・スロットの第1及び第2の側で伸び、前記第2のコプレーナ導波路が、前記第1の側において、前記第1のコプレーナ導波路からの波に対して、前記第2のコプレーナ導波路が前記アンテナ・スロットと交差する第2の位置で開放インピーダンスが形成されるような長さだけ伸びた後に終端する、請求項7に記載のアンテナ。
  10. 前記断面の前記楕円形の前記切頂線によって画定される前記立体の表面に隣接する、前記焦線に沿って伸びる伸長導電トラックを備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアンテナ。
  11. 前記導体トラックを横切る前記切頂線によって形成される前記表面上を伸び、前記導体トラックに電気的に取り付けられた1対の並列導電給電線を備える給電構造体を備え、それにより、前記給電線によって形成される導波路において、前記導波路が前記伸長導電トラックに接着する第1の位置で短絡インピーダンスが起こる、請求項10に記載のアンテナ。
  12. 前記導体トラックの一部が、前記導波路が前記導電トラックに接着する前記第1の位置を、前記一部において励起される波が同位相で前記第1の位置に反射して戻されるような長さだけ越えて伸びる、請求項11に記載のアンテナ。
  13. 前記導電トラックを横切る前記切頂線によって形成される前記表面上を伸びるさらなる一対の平行な導電給電線を有するそれ以外の導波路を備え、前記それ以外の導波路が、前記導電トラックの第1及び第2の側で伸び、前記それ以外の導波路が、前記第1の側で、前記第1に言及された給電構造体からの波に対して、前記それ以外の導波路が前記導電トラックに接着する第2の位置で開放インピーダンスが形成されるような長さだけ伸びた後に終端する、請求項11又は12に記載のアンテナ。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のアンテナと、前記アンテナによって受信された信号を受信し、且つ/又は前記アンテナによる送信用に信号を供給するように動作可能な信号処理機器とを備える送信及び/又は受信機器であって、少なくとも2倍離れた相互に異なる周波数を有する前記信号を連続して、且つ/又は同時に供給し、且つ/又は受信するように構成された機器。
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