JP4942612B2 - 列車制御方法 - Google Patents

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この発明は、地上と列車との間で情報を授受して列車を制御する列車制御方法に関するものである。
列車の速度を自動的に制限速度以下に制御するため地上と列車の間で情報を授受する列車制御装置は、あらかじめ先行列車との間隔と曲線や分岐等の進路の条件等により定まる停止目標位置と現在の在線位置を示す符号化した列車制御信号を地上から列車に伝送し、車上装置は受信した列車制御信号から算出される停止目標位置までの照査速度パターンに基づき連続的に列車を減速する方法である。
この地上と列車との間で情報を伝送するために軌道回路を利用して列車検知を行うとともに列車の速度を自動的に制限速度以下に制御する従来の列車制御装置は、特許文献1に示すように、列車検知信号と列車制御信号を別々に軌道回路に送信している。列車検知信号は各軌道回路の列車進出側の境界から常時送信し、送信した列車検知信号を軌道回路の列車進入側で受信しているときは、その軌道回路に列車無しと判断している。この列車無しの状態の軌道回路に列車が進入して列車進入側で列車検知信号を受信しなくなると、その軌道回路に列車が在線したと判断している。列車制御信号は列車が検知された軌道回路にのみ列車進出側の境界から送信して、前方軌道回路に送信する列車制御信号と混信することを防止している。
また、例えばモノレールや新交通システムにおいてはレールを利用した軌道回路方式を使用できないため、列車の走行路に沿ってループコイルを敷設し、このループコイルを介して地上と車上で情報の授受を行っている。例えば特許文献2に示された列車検知装置は、複数の閉そく区間に渡ったループコイルを敷設し、各閉そく区間の境界ごとに地点検知用のトランスポンダを利用した地上子を設置する。列車に搭載された車上装置は地上子からの地点情報を受信したとき、受信した地点情報に列車識別情報を付加した列車検知信号を地上に送信する。地上装置はループコイルを介して列車検知信号を受信して列車の在線位置を判定し、先行列車の位置に応じた速度制限情報を有するATC信号を生成してループコイルに送る。車上装置はループコイルに送られたATC信号を受信して列車の速度を制御する。このようにして1ループコイル上に複数の列車が在線することを許容している。この複数の列車と地上との間で情報を授受するためポーリング方式で通信を行っている。
特開平9−301173号公報 特開平9−301176号公報
列車を高密度運転するためには、同一閉そく区間に複数の列車が在線させることが考えられる。このように同一閉そく区間に複数の列車が在線する場合、軌道回路を利用した列車制御方法は、同一閉そく区間に同時に複数の列車が在線すると、左右のレールを先行列車で車軸短絡するため、地上と後続列車とは情報の授受ができなくなってしまう。
ループコイルとトランスポンダを利用した地上子を設けた場合は、同一閉そく区間に同時に複数の列車が在線しても、地上と各列車との間で情報を授受できるが、複数の列車と地上との間でポーリング方式により通信を行っているため、地上と各列車との情報伝達が間欠的になり情報伝達が遅れるという短所がある。
この発明は、このような短所を改善し、同一閉そく区間に同時に複数の列車が在線しても複数の列車と地上との間で効率良く情報を授受して列車の運転効率を高めることができる列車制御方法を提供することを目的とするものである。
この発明の列車制御方法は、列車の走行路に沿って設けた一つのループコイルにより複数の列車と地上装置とで双方向通信を行う列車制御方法であって、前記地上装置は、列車個別制御情報であるスロット(Sa〜Sn)を一つのループコイルの区間で許容する列車数(n)分だけ有する個別情報部と、次ループコイルに進入する列車が次ループコイルで使用するスロットを指定する共通情報部とで構成した地上送信情報を一つのパケットでループコイルに送信し、列車に搭載された車上装置は、一つのループコイルの区間で許容する列車数(n)分の搬送周波数(fa〜fn)を有し、ループコイルの境界を検知して次のループコイルに進入した時点で、進出したループコイルから受信した地上送信情報の共通情報部で指定したスロットの個別情報を解読して自列車の制御を行うとともに、そのスロットに対応した周波数で列車情報を地上に送信し、次のループコイルに接続された地上装置は受信した列車情報の周波数に対応するスロットで列車個別制御情報を送信することを特徴とする。
前記地上装置は、地上送信情報の共通情報部で指定するスロットの順序を循環させて管理する。
この発明は、一つのループコイルの区間で許容する列車数(n)分の列車個別制御情報であるスロット(Sa〜Sn)を有する個別情報部と、次ループコイルに進入する列車が次ループコイルで使用するスロットを指定する共通情報部とで構成した地上送信情報を一つのパケットでループコイルに送信し、車上装置は一つのループコイルの区間で許容する列車数(n)分だけ搬送周波数(fa〜fn)を有し、ループコイルの境界を検知して次のループコイルに進入した時点で、進出したループコイルから受信した地上送信情報の共通情報部で指定したスロットの情報を解読して自列車の制御を行うとともに、そのスロットに対応した周波数で列車情報を地上に送信し、次のループコイルに接続された地上装置は受信した列車情報の周波数に対応するスロットで列車個別制御情報を送信して全2重無手順通信を可能としてループコイル境界における通信制御遅れを最小限として複数の列車と地上との間で効率良く情報を授受でき、列車の運転効率を向上することができる。
また、地上装置は、地上送信情報の共通情報部で指定するスロットの順序を循環させて管理することにより、複数の列車と地上との間で安定して情報を授受することができる。
図1はこの発明の列車制御装置の構成図である。図に示すように、列車制御装置は、列車1a〜1nに搭載された車上装置2と地上装置3a〜3cとの間の情報伝送路として列車1が走行する走行路に沿って敷設されたループコイル4a〜4cを有し、複数の列車1a〜1nが一つのループコイル4a〜4cの区間で地上装置3a〜3cと双方向通信を行う。
車上装置2は、図2のブロック図に示すように、データ記憶部5と論理制御部6と列車情報送信器7及び制御情報受信器9を有する。データ記憶部5には、列車1の走行路の各ループコイル4a〜4cの始端と終端(あるいは区間距離)の位置データと、自列車1の先頭と後尾の位置データあるいは列車長等をあらかじめ記憶している。論理制御部6は同一ループコイル4で制御する列車1a〜1nの数分の搬送周波数fi(1〜n)を有し、各ループコイル4a〜4cに列車が進入すると、速度発電機9からのパルス計測によりループコイル4a〜4cの始端からの距離を積算して検出した列車1の位置情報等を、あらかじめ列車進入側の地上装置3で列車情報送信器7を介して列車1の前部に設けたアンテナ10から地上に常時送信する。制御情報受信器8は列車1の前部に設けたアンテナ10から地上送信情報を受信する。論理制御部6は制御情報受信器8で受信した地上送信情報で指定されたスロット情報に基づいて列車1の速度等を制御する。この車上装置2の論理制御部6はループコイル4a〜4cの境界を検知する機能を有する。
地上装置3a〜3cは、ループコイル4を介して車上装置2と情報を授受する送受信器11と論理制御部12を有し、各地上装置3a〜3cはLAN等の伝送路13で接続されている。論理制御部12は、同一ループコイル4a〜4c内の複数の列車1a〜1nに対する地上送信情報を生成する。
この論理制御部12で生成する地上送信情報20は、図3に示すように、共通情報部21と個別情報部22で構成している。個別情報部22は各列車1a〜1nの許容速度情報等の個別制御情報であるスロットSa〜Snをループコイル4a〜4cそれぞれ1つ毎に在線できる列車1a〜1nの数nだけ有し、各スロットSa〜Snは各列車1a〜1nが使用する周波数fa〜fnと1対1で対応している。共通情報部21は各ループコイル4a〜4cの識別符号と次ループコイルで各列車1a〜1nが使用するスロットSa〜Snと周波数fa〜fnを指定する。このスロットSa〜Snは、例えばループコイル4bに在線する先頭の列車1aが次のループコイル4cへ進入すると更新される。このスロットSの更新はスロットSa〜Snの順序をカウンタにより循環させて管理する。例えばループコイル4bに在線中の最後尾の列車1nがスロットSnを使用していると、次にループコイル4bに進入する列車1に対してはスロットSaが共通情報部21で指定される。送受信器13は共通情報部21と個別情報部22で構成した地上送信情報20を1周波数で一つのパケットでループコイル4a〜4cに送信し、車上装置2からのスロットに対応して周波数fi(i=a〜n)を同時に受信可能である。
次に、例えばループコイル4bの区間に2つの列車1a,1bが在線でき、ループコイル4a〜4cに接続された地上装置3a〜3cは、地上送信情報20として共通情報部21と周波数fa,fbに対応した2個のスロットSa,Sbを有する個別情報部22を生成して一つのパケットでループコイル4a〜4cに送信する場合について図4と図5の模式図を参照して説明する。
図4(a)に示すように、列車1aがループコイル4aの区間に1列車だけ在線してスロットSaで地上装置3aと通信しながら走行しているとする。この段階で地上装置3aはループコイル4bにおける列車在線なしとスロット順序管理により地上送信情報20の共通情報部21に列車1aがループコイル4bで使用するスロットとしてスロットSaを指定する。また、ループコイル4bに接続された地上装置3bはループコイル4cにおける列車在線なしとスロット順序管理により共通情報部21にスロットSaを指定するとともに、個別情報部22のスロットSaには列車1aが境界に達したとみなした許容速度情報等を送信する。
この状態で、図4(b)に示すように、走行している列車1aがループコイル4aとループコイル4bの境界に達してループ境界通過を検知すると、列車1aの車上装置2はループコイル4aで受信した共通情報部21により指定されたスロットSaの個別制御情報で許容速度情報等を得て自列車の制御を行うとともに、そのスロットSaに対応した周波数faで列車情報を地上に送信する。地上装置4bはループコイル4bを介して周波数faで受信した列車1aの列車情報から列車1aがループコイル4bに在線したことを認識して地上送信情報20の共通情報部21に列車1aがループコイル4cで使用するスロットとしてスロットSaを指定し、個別情報部22のスロットSaで列車1aの許容速度情報等の個別制御情報をループコイル4bに送信する。列車1aの車上装置2はループコイル4bに送信された地上送信情報20の個別情報部22のスロットSaから許容速度情報等を得て速度を制御すると共に共通情報部21から次のループコイル4cで使用するスロットSaの指定を得る。
ループコイル4bに列車1aが在線している状態で、図5(a)に示すように、次の列車1bがループコイル4aからループコイル4bに進入する場合、ループコイル4aに接続された地上装置3aはループコイル4bに列車1aが在線していることを認識しているのでループコイル4aに送信する地上送信情報20の共通情報部21に次のループコイル4bで使用するスロットとしてスロットSbを指定し、地上装置3bは個別情報部22のスロットSbで列車1bの許容速度情報等を送信している。
この状態で、図5(b)に示すように、列車1bがループコイル4aとループコイル4bの境界に達してループ境界通過を検知すると、列車1bの車上装置2はループコイル4aで受信した共通情報部21により指定されたスロットSbに対応した地上装置3bがループコイル4bから送信した地上送信情報20の個別情報部22のスロットSbから許容速度情報等を得て自列車を制御すると共にスロットSbに対応した周波数fbで列車情報を地上に送信する。地上装置3bはループコイル4bを介して周波数fbで受信した列車1bの列車情報から列車1bがループコイル4bに在線したことを認識して個別情報部22のスロットSbで列車1bの許容速度情報等の個別制御情報をループコイル4bに送信する。この地上装置4bから送信するパケットの共通情報部21ではループコイル4cに列車が在線しないため次のループコイル4cで使用するスロットとしてスロットSaが指定されている。この共通情報部21のスロットSaの指定は、列車1aがループコイル4cに進出すると自動的にスロットSbの指定に切り換る。また、地上装置3aはループコイル4aから列車1bが進出したことを認識して共通情報部21にスロットSaを指定する。
この状態でループコイル4aに次の列車1cが進入すると、列車1cの車上装置2はループコイル4aで受信した共通情報部21によりループコイル4bで使用するスロットとしてスロットSaを得る。このスロットSaを得てもループコイル4bには2つの列車1の在線が許容されているため、個別情報部22のスロットSaの個別制御情報により列車1cはループコイル4bに対する進入が禁止される。そして図5(c)に示すように、列車1aがループコイル4bからループコイル4cに進出すると、地上装置3aは個別情報部22のスロットSaの個別制御情報により列車1cのループコイル4bに対する進入を許可する。
この処理を順次繰り返してループコイル4aに送信されている地上送信情報20により指定されたスロットによりループコイル4bで2つの列車1と地上間で全2重無手順通信を行って通信遅れを最小限にして2つの列車1を制御する。
なお、車上装置2は同一ループコイル4で制御する列車1a〜1nの数分の搬送周波数fi(1〜n)を持つことにより全2重通信を可能として通信遅れを最小限にする場合について説明したが、システムの制御応答時間が許容する範囲であれは同じスロット方式で共通情報から列車1の送信順番を指定するポーリング通信制御による列車制御も可能である。
この発明の列車制御装置の構成図である。 車上装置の構成を示すブロック図である。 地上装置からループコイルに送信する地上送信情報の構成を示す模式図である。 地上装置から1つの列車に送信する地上送信情報の共通情報部と個別情報部の制御過程を示す模式図である。 地上装置から2つの列車に送信する地上送信情報の共通情報部と個別情報部の制御過程を示す模式図である。
符号の説明
1;列車、2;車上装置、3;地上装置、4;ループコイル、5;データ記憶部、
6;論理制御部、7;列車情報送信器、8;制御情報受信器、9;速度発電機、
10;アンテナ、11;送受信器、12;論理制御部、13;伝送路、
20;地上送信情報、21;共通情報部、22;個別情報部、Sa〜Sn;スロット。

Claims (2)

  1. 列車の走行路に沿って設けた一つのループコイルにより複数の列車と地上装置とで双方向通信を行う列車制御方法であって、
    前記地上装置は、列車個別制御情報であるスロット(Sa〜Sn)を一つのループコイルの区間で許容する列車数(n)分だけ有する個別情報部と、次ループコイルに進入する列車が次ループコイルで使用するスロットを指定する共通情報部とで構成した地上送信情報を一つのパケットでループコイルに送信し、
    列車に搭載された車上装置は、一つのループコイルの区間で許容する列車数(n)分の搬送周波数(fa〜fn)を有し、ループコイルの境界を検知して次のループコイルに進入した時点で、進出したループコイルから受信した地上送信情報の共通情報部で指定したスロットの個別情報を解読して自列車の制御を行うとともに、そのスロットに対応した周波数で列車情報を地上に送信し、
    次のループコイルに接続された地上装置は受信した列車情報の周波数に対応するスロットで列車個別制御情報を送信することを特徴とする列車制御方法。
  2. 前記地上装置は、地上送信情報の共通情報部で指定するスロットの順序を循環させて管理する請求項1記載の列車制御方法。
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