JP4942136B2 - 生体用材料を製造するための方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生体適合性および生体組織に対する密着性、接着性を向上するとともに、抗菌性を有する、少なくともリン酸カルシウム粒子及び酸化チタン粒子からなり、前記酸化チタン粒子が前記リン酸カルシウム粒子に担持されてなるリン酸カルシウム−酸化チタン複合粒子からなる生体用材料を製造するための方法に関する。
リン酸カルシウムからなるアパタイトは,生体親和性を有することから人工骨や人工歯根材料として使用され、たんぱく質や細菌の吸着特性にも優れているため、医療分野において広く用いられている。一方、酸化チタンは光触媒活性(抗菌特性)を有することから各種光触媒剤として使用されている。したがって、これら二つの粒子を混合したものは両方の特性を合わせ持つため、医療分野において、特に生体用材料として、極めて有用性が高いと考えられる。
現在まで、様々な酸化チタン−アパタイト複合体が創出されている。例えば、両粉体を物理的に混合したもの、酸化チタン粒子上にハイドロキシアパタイトをコーティングした酸化チタン−アバタイト複合体の合成方法が開発されているが、これらは主に光触媒材として使用されている。
例えば、特許文献1は、酸化チタン粒子の表面に,リン酸カルシウムを生成させた光触媒フィルターを開示している。また、特許文献2は、光照射により光触媒作用を生じる二酸化チタンにリン酸カルシウム化合物がコーティングされているコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物を開示している。
上記のごとく、酸化チタン−アパタイト複合体を用いた光触媒材は、酸化チタン粒子上にハイドロキシアパタイトを部分的にコーティングしたものである。しかしながら、このような酸化チタン−アパタイト複合体は、医療用途として、特に生体に対しては使用することが困難である。この理由は、基材となる酸化チタンは生体親和性に乏しいため、組織接着性がなく生体内における安定固定化が不可能であるからである。また、酸化チタン上にリン酸カルシウムが固着されているために、高い光触媒活性を得ることができないという問題点もあった。
特開2000‐157876号公報 特開2002‐277839号公報
即ち、生体適合性および生体組織に対する密着性及び接着性とともに、高い光触媒活性を有するためには酸化チタンがリン酸カルシウム上に固着されていることが望ましい。しかしながら、このような酸化チタン−リン酸カルシウム複合体、或いは、その製造方法は見出されていないのが現状である。
本発明の課題は、酸化チタン粒子がリン酸カルシウム粒子に担持されてなるリン酸カルシウム−酸化チタン複合粒子からなる生体用材料を製造するための方法を提供することにある。
詳細には、生体親和性、たんぱく質や細菌の吸着特性、及び光触媒活性、即ち抗菌特性に優れた生体用材料を製造するための方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、以下の工程(1)〜(4)により、酸化チタン粒子がリン酸カルシウム粒子に担持されてなるリン酸カルシウム−酸化チタン複合粒子からなる生体用材料を製造するための方法に関する。
(1)前記リン酸カルシウム粒子をpH2.5〜pH7.0の緩衝溶液中で分散させた後、
攪拌することにより、前記リン酸カルシウム粒子の表面を活性化する工程
(2)前記工程(1)で得た表面活性化リン酸カルシウム粒子を含むアルコール溶液を、
有機溶媒と界面活性剤を含む溶液に加えた後、
攪拌することによりエマルション溶液を調整する工程
(3)ケトン類、アミン類又はグリコール類のいずれかである安定剤とアルコール、及び少なくともチタンが含まれ、前記リン酸カルシウム粒子の表面水酸基と加水分解及び重縮合反応することで、前記リン酸カルシウム粒子に前記酸化チタン粒子が担持されるチタン化合物を加えた溶液を、
前記工程(2)で得られた前記エマルション溶液に加える工程
(4)前記工程(3)で得られた溶液を、遠心分離した後、洗浄し、
乾燥した後、400℃〜750℃で焼成を行う工程。
請求項2に係る発明は、前記工程(1)中で加えられる前記リン酸カルシウム粒子が集合して平板を形成するように制御されていることを特徴とする請求項1に記載の生体用材料を製造するための方法に関する。
請求項3に係る発明は、前記工程(1)の前記緩衝溶液は、pH4.5〜pH5.5であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体用材料を製造するための方法に関する。
請求項4に係る発明は、前記工程(4)は、前記工程(3)で得られた溶液を、遠心分離した後、洗浄し、乾燥した後、500℃〜600℃で焼成を行う工程であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の生体用材料を製造するための方法に関する。
請求項5に係る発明は、前記安定剤は、アセチルアセトン又はアセト酢酸エチルのいずれかであり、前記チタン化合物は、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラブトキシド又は四塩化チタンのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体用材料を製造するための方法に関する
発明の生体用材料を製造するための方法によると、酸化チタンをリン酸カルシウム粒子に担持させることができる。詳細には、製造工程中に用いられる緩衝液のpHを調整することにより、酸化チタンの担持量を容易に調節可能となる。
本発明のリン酸カルシウム‐酸化チタン複合粒子からなる生体用材料について詳説する。本発明に係るリン酸カルシウム‐酸化チタン複合粒子は、少なくともリン酸カルシウム粒子及び酸化チタン粒子からなり、前記酸化チタン粒子が前記リン酸カルシウム粒子に担持されていることを特徴とする。
本発明の生体用材料の形状は特に限定されないが、好ましくは平板状である。この理由は、酸化チタン粒子がリン酸カルシウム粒子に担持される工程において、リン酸カルシウム粒子が集合して平板を形成するように制御されたものを用いることにより、担持したものの均質性に優れ、効率的に酸化チタン粒子を担持できるからである。さらに、本発明の生体用材料が平板状であれば、医療用材料に用いられる場合において、その固定化を強化することが可能となる。本発明の平板状の生体用材料は、好ましくは長軸1cm〜10nm、短軸1mm〜10nmを有することがより望ましい。これは,リン酸カルシウムが前記の長軸及び短軸を有することにより,基材への固定化においてリン酸カルシウム粒子の凝集や重畳化を抑制することに優れているためである。本発明の生体用材料の一実施形態を図1に示す。
本発明の生体用材料が平板状である場合、少なくとも片側表面の少なくとも一部に酸化チタン粒子が担持されていれば、酸化チタン粒子の担持量は特に限定されないが、リン酸カルシウム粒子の重量に対して0.01〜50重量%が好ましく、0.03〜5重量%であることがより望ましい。この理由は、0.01重量%未満の場合、光触媒活性を示さず、また50重量%を超えると生体親和性を損なうため、いずれの場合も望ましくないからである。
本発明の生体用材料に担持される酸化チタン粒子の粒径は、好ましくは1nm〜50nmであり、より望ましくは5nm〜20nmである。1nm未満の場合、合成が非常に困難であるため、また50nmを超えるとリン酸カルシウム粒子上に均質に担持することが困難となるためいずれの場合も望ましくない。
本発明の生体用材料に係るリン酸カルシウム粒子の粒径は、好ましくは1cm〜10nmであり、より望ましくは50〜300nmである。10nm未満の場合、医療用材料として用いる場合に基材からはがれやすいため、また1cmを超えると医療用材料に用いる基材と強固に固定できないためいずれの場合も望ましくない。
本発明の生体用材料に担持される酸化チタン粒子の結晶系は特に限定されないが、アナタースであることが望ましい。これは、光触媒活性が高いであるからである。
本発明の医療用材料は、少なくとも表面の一部が、本発明の生体用材料で覆われていることを特徴とする。
本発明の医療用材料は、例えば、カテーテル、経皮デバイス、ステントグラフト、人工骨等が挙げられる。これらは一例であり、これらに限られるものではない。本発明の医療用材料は、その表面の一部が本発明の生体用材料で覆われているため、生体内における医療用材料が安定的に固定され、抗菌・滅菌作用を併せ持つ。たとえば、表面に生体用材料がつけられたカテーテルなどの医療用材料は、生体と強く接着し、万が一細菌感染が生じた場合には医療器具内部から光ファイバーにより紫外光を細菌感染部に照射することで非侵襲的に抗菌性を発現させる機能を合わせもったインテリジェント型インプラント材料となる。これにより、患者の自由度が高くなり、在宅治療における生命維持療法を必要とする患者に対しても、高い生活の質(クォリティー・オブ・ライフ)が実現できる。
図2において、本発明の医療用材料の一実施例であるカテーテルを示す。図2の(1)は、本発明の生体用材料、(2)はカテーテルを示す。図2において、本発明の生体用材料(1)が、規則正しくカテーテル(2)の表面を覆っている様子を示すが、特にこれに限定されない。即ち、本発明の生体用材料(1)は、カテーテル(2)の表面の一部を覆っていればよく、例えば使用用途、目的、生体内の使用箇所に応じて、生体用材料(1)の配列や表面を覆う割合等を適宜定めればよい。
本発明のリン酸カルシウム‐酸化チタン複合粒子からなる生体用材料の製造方法について以下に詳説する。本発明の生体用材料の製造方法は、以下の工程(1)〜(4)からなる。
(1)リン酸カルシウム粒子をpH2.5〜pH7.0の緩衝溶液中で分散させた後、
攪拌することにより、前記リン酸カルシウム粒子の表面を活性化する工程
(2)工程(1)で得た表面活性化リン酸カルシウム粒子を含むアルコール溶液を、
有機溶媒と界面活性剤を含む溶液に加えた後、
攪拌することによりエマルション溶液を調製する工程
(3)安定剤とアルコール、及びチタン化合物を加えた溶液を、
工程(2)で得られたエマルション溶液に加える工程
(4)工程(3)で得られた溶液を、遠心分離した後、洗浄し、
乾燥した後、400℃〜750℃で焼成を行う工程
工程(1)は、リン酸カルシウム粒子をpH2.5〜pH7.0の緩衝溶液中で分散させた後、攪拌することにより、前記リン酸カルシウム粒子の表面を活性化する工程である。前記「活性化」とは、リン酸カルシウム粒子を緩衝溶液に浸漬させることにより、その表面水酸基量を増やすことである。この表面水酸基と、後に加えられるチタン化合物(以下単にチタン源という場合がある)との間で加水分解・重縮合反応させることにより、リン酸カルシウム粒子に酸化チタン粒子を担持させることが可能となる。即ち、この工程(1)において表面水酸基量を制御することにより、生体用材料における酸化チタン粒子担持量を調節することが可能となる。詳細には、酸化チタン粒子担持量は、前記リン酸カルシウム粒子の重量に対して0.01〜50重量%の範囲で調節することが可能となる。
工程(1)で用いられるリン酸カルシウム粒子は、親和性が特に優れたハイドロキシアパタイト、フッ化アパタイト、リン酸三カルシウムが好ましい。このリン酸カルシウム粒子は、予め平板状に制御されていることが望ましく、さらには、長軸1cm〜10nm、短軸1mm〜10nmとされていることがより好ましい。この理由は、基材上に強固な固定ができるからである。
工程(1)で使用する緩衝溶液は特に限定されず、その調整方法も特に限定されないが、本発明においては、pH2.5〜7.0の緩衝溶液、より望ましくはpH4.0〜7.0の緩衝溶液、さらに好ましくはpH4.5〜5.5の緩衝溶液を用いる。これは、pHが2.5未満の場合、リン酸カルシウム粒子が溶解されその形状が維持できないため、また、pHが7.0を超えると、それ以上の表面水酸基量の増加が望めないため、いずれの場合も望ましくない。逆に、pH4.5〜5.5の緩衝溶液を用いることにより、リン酸カルシウム粒子の形状を維持しながらも、水酸基の増加量が最大であるため、最も望ましい。
工程(1)における攪拌時間は、特に限定されないが、好ましくは、0.2〜12時間、1〜3時間がより望ましい。これは、0.2時間未満の場合、表面活性化されず、12時間を越えると、リン酸カルシウム粒子が凝集し形状が維持できないためいずれの場合も望ましくない。
工程(2)は、表面活性化リン酸カルシウム粒子を含むアルコール溶液を、有機溶媒と界面活性剤を含む溶液に加えた後、攪拌することにより、エマルション溶液を調製する工程である。
工程(2)において用いられるアルコール溶液は、炭素数1〜5のアルコールが好ましく、より好ましくはメタノール,エタノール,プロパノール,ブタノールが用いられ、メタノールがさらに好ましい。
工程(2)で用いられる有機溶媒は、例えば鎖式炭化水素、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、含窒素化合物類、芳香族炭化水素等が挙げられるが、本発明においては、ペンタン、ヘプタン、シクロペンタン、オクタン,シクロヘキサン、ヘキサン、エチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。さらに望ましくは、シクロヘキサン、ヘキサン、エチルシクロヘキサンである。
工程(2)で用いられる界面活性剤は、非イオン系、両性系の界面活性剤をも用いることができるが、詳細には、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコールが望ましく、本発明においては、ポリオキシエチレンセチルエーテルが好適に用いられる。
工程(2)における攪拌時間は、望ましくは1時間〜5時間であり、1時間〜3時間がより好ましい。この理由は、1時間未満の場合、酸化チタンの担持量が少なく、5時間を超える場合は、酸化チタンの担持量が多くなり,生体親和性が劣ってしまうため、いずれの場合も望ましくない。
工程(3)は、安定剤とアルコール、及びチタン化合物を加えた溶液を、前記工程(2)で得られたエマルション溶液に加える工程である。工程(3)で用いられるチタン化合物は、少なくともチタンが含まれ、例えばチタニウムテトライソプロポキシド(以下TTIPと略す場合がある),チタニウムテトラエトキシド,チタニウムテトラブトキシド,四塩化チタンが挙げられる。このチタン化合物は、リン酸カルシウム粒子の表面水酸基と加水分解および重縮合反応することで、リン酸カルシウム粒子に酸化チタンが担持されることとなる。
工程(3)で用いられる安定剤とは、ケトン類、アミン類,グリコール類が挙げられ、詳細には、アセチルアセトン(以下AcAcHと略す場合がある)、アセト酢酸エチル(EtAc)等が好適に用いられる。
工程(3)において、用いられるアルコールは特に限定されないが、炭素数1〜5のアルコールが好ましく、より望ましくはメタノール,エタノール,プロパノール,ブタノールが用いられ、メタノールがさらに好ましい。
工程(3)終了時におけるエマルション溶液には、連続相と分散相が生じる。連続相は工程(2)で加えられた有機溶媒からなり、同じく工程(2)で加えられた界面活性剤によって隔てられた分散相が存在する。前記分散相には、安定剤とアルコール、チタン化合物を加えた溶液及びリン酸カルシウム粒子が含まれる。この分散相において、リン酸カルシウム粒子表面水酸基とチタン化合物との間で加水分解・重縮合反応が起こることによりリン酸カルシウム粒子表面に酸化チタン粒子を担持させることができる。工程(3)終了時におけるエマルション溶液中の状態を図3に示す。
例えば、前記工程内で加えられるリン酸カルシウム粒子として、ハイドロキシアパタイト、チタン源としてチタニウムテトライソプロポキシド(以下TTIPと略す場合がある)を用いた場合、それぞれの添加量は、モル比で1:0.5〜1:10(ハイドロキシアパタイト:チタニウムテトライソプロポキシド)であることが望ましい。さらに、チタニウムテトライソプロポキシドとアセチルアセトンの添加量は、モル比で1:0.5〜1:2であることが望ましい。この比率における添加量で各溶液が加えられた場合、酸化チタンの担持量が適度であり、また酸化チタンが均一に薄く担持される。TTIPとAcAcHの添加比率を変化させて、各添加比率におけるリン酸カルシウム粒子上に酸化チタン粒子が担持される様子を、図4においてTEM観察による写真で示す。尚、図4中(1)は1:0.5であり、(2)は1:1であり、(3)は1:2におけるTEM画像である。
工程(4)は、工程(3)で得られた溶液を、遠心分離した後、洗浄し、乾燥した後、400℃〜750℃で焼成を行う工程である。
工程(4)中の遠心分離は、好ましくは5000rpm〜13000rpmで、3〜15分行われ、より好ましくは10000rpm〜13000rpmで、5〜10分である。
工程(4)における洗浄方法及び洗浄回数は特に限定されないが、例えばアルコール類で洗浄、詳細にはエタノールで1回洗浄が挙げられる。
工程(4)における焼成は、400℃〜750℃で行われ、500℃〜600℃で行うことがより好ましい。また、焼成時間は1時間〜3時間が望ましく、1時間〜2時間がより好ましい。上記条件によって、酸化チタン‐リン酸カルシウム複合粒子を焼成することにより、アナタース型の結晶系を形成することができ、この結晶系は、光触媒活性に優れる。
以下本発明の生体用材料の製造方法について説明する。
(実施例1)
ハイドロキシアパタイト粒子をpH6の緩衝溶液(リン酸水素ナトリウムーリン酸二水素ナトリウム混合溶液)に分散させて、1時間攪拌することにより粒子表面を活性化させると、表面水酸基量が1.5倍に増え、なおかつハイドロキシアパタイトの粒子の形状も変化しなかった。つぎに,シクロヘキサン20mLに界面活性剤であるポリオキシエチレンセチルエーテルを1.806g加え、さらに活性化したハイドロキシアパタイト粒子(HAp)0.1gを分散させたメタノール2gを加えて、1時間攪拌を行ってエマルションを調製した。メタノール1.66gにアセチルアセトン(0.05g)とチタニウムテトライソプロポキシド(0.284g)を加えた溶液を30分攪拌し、この溶液をエマルション溶液に徐々に加えながら1時間攪拌し、その後遠心分離、エタノールで1回洗浄、乾燥、550℃で1時間焼成を行い、 酸化チタン粒子担持ハイドロキシアパタイト粒子を得た。即ち、本実施例1におけるハイドロキシアパタイトとチタニウムテトライソプロポキシドの添加量は、モル比で1:1(ハイドロキシアパタイト:チタニウムテトライソプロポキシド)であった。XRD測定より,酸化チタン粒子の結晶系はアナタースであり、また、ICP測定によるとTiO担持量は1重量%であった。TEM観察によると、酸化チタン粒子は直径10nm程度でまばらに担持されていることがわかった。このTEM画像を図5に示す。さらにアセトアルデヒド気相光酸化分解測定(ガスクロマトグラフィー)によってこの光触媒特性を測定すると7.1h‐1‐1と、適度な光触媒活性を有していることがわかった。結果を図6に示す。
(実施例2)
本実施例2は、チタニウムテトライソプロポキシドの添加量を除いては、実施例1と同様の方法で行った。
即ち、活性化したハイドロキシアパタイト粒子(HAp)0.1gを分散させたメタノール2gを加えて,1時間攪拌を行ってエマルションを調製した。メタノール1.66gにアセチルアセトン(0.05 g)とチタニウムテトライソプロポキシド(2.84g)を加えた溶液を30分攪拌し、この溶液をエマルション溶液に徐々に加えながら1時間攪拌し、その後,遠心分離,エタノールで1回洗浄,乾燥,550℃で1時間焼成を行い, 酸化チタン粒子担持ハイドロキシアパタイト粒子を得た。即ち、本実施例2におけるハイドロキシアパタイトとチタニウムテトライソプロポキシドの添加量は、モル比で1:10(ハイドロキシアパタイト:チタニウムテトライソプロポキシド)であった。このもののTEM観察によると、TiO2はハイドロキシアパタイト粒子の比較的広い範囲を覆うように担持されているために、生体親和性にはやや劣るが、非常に優れた光触媒活性を示した。
(比較例1)
ハイドロキシアパタイト粒子をpH2.0緩衝溶液に分散させて,1時間攪拌することにより粒子表面を活性化させると,表面水酸基量が2倍に増えたが、ハイドロキシアパタイト粒子が一部溶解したため、粒子形状が変化した。
(比較例2)
酸化チタン粒子担持ハイドロキシアパタイト粒子を800℃で1時間焼成すると、結晶系はルチルとなり、光触媒活性も幾分低かった。
(表面活性化処理)
以下、本発明の本発明のリン酸カルシウム‐酸化チタン複合粒子からなる生体用材料の製造方法中、工程(1)におけるリン酸カルシウム粒子の表面活性化処理について詳説する。
前記表面活性化、即ちリン酸カルシウム粒子の水酸基量増加は、工程(1)中で加えられる緩衝溶液のpHを変動させることにより調整できる。図7において、工程(1)における表面処理の終了時のリン酸カルシウム粒子の表面上の水酸基量を、近赤外吸収分光光度計によって測定し、緩衝溶液のpHとの関係を示す。図7が示すように、緩衝溶液のpHが高くなるにつれ、水酸基量は減少する。逆に、pHが低くなるに従い、水酸基量は増加するが、リン酸カルシウム粒子の表面の溶解により粒子形状が変化してしまう。したがって、本発明に係る緩衝溶液のpHは、2.5〜7.0に調整される。
本発明の生体用材料の一実施形態である。 本発明の医療用材料の一実施形態である。 本発明に係る工程(3)終了時におけるエマルション溶液中の状態を示す図である。 AcAcHとTTIPの添加比率を変化させて、酸化チタンを担持させた場合の、酸化チタン担持リン酸カルシウム粒子を示すTEM画像である。尚、図4中(1)は1:0.5であり、(2)は1:1であり、(3)は1:2におけるTEM画像である。 本発明の実施例1に係るTEM画像である。 本発明の実施例1に係る、ガスクロマトグラフィーにより測定した光触媒特性を示すグラフである。 工程(1)における表面処理の終了時のリン酸カルシウム粒子の表面上の水酸基量を、近赤外分光光度計によって測定し、緩衝溶液のpHとの関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 以下の工程(1)〜(4)により、酸化チタン粒子がリン酸カルシウム粒子に担持されてなるリン酸カルシウム−酸化チタン複合粒子からなる生体用材料を製造するための方法。
    (1)前記リン酸カルシウム粒子をpH2.5〜pH7.0の緩衝溶液中で分散させた後、
    攪拌することにより、前記リン酸カルシウム粒子の表面を活性化する工程
    (2)前記工程(1)で得た表面活性化リン酸カルシウム粒子を含むアルコール溶液を、 有機溶媒と界面活性剤を含む溶液に加えた後、
    攪拌することによりエマルション溶液を調整する工程
    (3)ケトン類、アミン類又はグリコール類のいずれかである安定剤とアルコール、及び少なくともチタンが含まれ、前記リン酸カルシウム粒子の表面水酸基と加水分解及び重縮合反応することで、前記リン酸カルシウム粒子に前記酸化チタン粒子が担持されるチタン化合物を加えた溶液を、
    前記工程(2)で得られた前記エマルション溶液に加える工程
    (4)前記工程(3)で得られた溶液を、遠心分離した後、洗浄し、
    乾燥した後、400℃〜750℃で焼成を行う工程。
  2. 前記工程(1)中で加えられる前記リン酸カルシウム粒子が集合して平板を形成するように制御されていることを特徴とする請求項1に記載の生体用材料を製造するための方法。
  3. 前記工程(1)の前記緩衝溶液は、pH4.5〜pH5.5であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体用材料を製造するための方法。
  4. 前記工程(4)は、前記工程(3)で得られた溶液を、遠心分離した後、洗浄し、乾燥した後、500℃〜600℃で焼成を行う工程であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生体用材料を製造するための方法。
  5. 前記安定剤は、アセチルアセトン又はアセト酢酸エチルのいずれかであり、
    前記チタン化合物は、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラブトキシド又は四塩化チタンのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体用材料を製造するための方法。
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