JP4940708B2 - 荷重センサ付きクランプボルト - Google Patents
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しかしながら、このような構成では、ロードセルを実装するために特別な構造を考案する必要があり、複雑な構成になることが避けられない。また、ロードセルとボルトとが一体でないため、両者の間の当接状態が安定せず、また、両者の間で摩擦が生じる場合があり、測定値にヒステリシスが発生して精度よい測定ができないという問題も生じる。
上記ロッド部の先端には、該ロッド部の軸方向に作用する荷重を測定するための荷重センサが一体的に配設されており、
該荷重センサは、応力の印加によって電気的特性が変化する感圧体と、該感圧体を挟持するように、該感圧体の対向する2つの表面にそれぞれ一体的に形成された電気絶縁性の絶縁体とを有する力学量センサ素子よりなり、該絶縁体を上記ロッド部の先端に接合してなり、
上記感圧体は、ガラスよりなるマトリックスに導電性を有する導電性粒子を分散してなり、該導電性粒子は、酸化ルテニウム又はルテニウム酸鉛よりなり、
かつ、上記荷重センサは上記ロッド部の外径よりも小さい外径を有することを特徴とする荷重センサ付きクランプボルトにある(請求項1)。
また、上記荷重センサとしても、公知の様々なものを適用可能であるが、後述する構成の力学量センサ素子を用いることが最も好ましい。
上記力学量センサ素子において、上記絶縁体は、上記感圧体の対向する2つの表面に、上記感圧体を挟み込むように形成されている。そのため、上記感圧体は、外部から上記絶縁体に加えられた応力を直接受けることができる。それ故、上記感圧体に対する力学量のかかり具合を平均化することができ、正確なクランプ力の測定ができる。また、クランプ力として比較的大きな応力を測定する場合でも精密に測定できる。そのため、上記絶縁体を上記ロッド部の先端に配設した場合には、ロッド部の軸方向にかかる荷重であるクランプ力を精度よく測定することができる。
上記導電性粒子が10重量部未満の場合には、粒子同士の接触が少なくなり、上記感圧体の抵抗値が非常に大きくなり、上記力学量センサ素子の感度が低下するおそれがある。一方、50重量部を越える場合には、上記マトリックス中に分散された上記導電性粒子の多くが互いに接触し、その結果、上記感圧体の抵抗値が非常に小さくなり、印加された荷重に対する抵抗変化率が小さくなるおそれがある。そのため、上記力学量センサ素子における精密な力学量の測定が困難になるおそれがある。
感圧体と絶縁体とを一体で形成した素子は、絶縁体を別途加工する工程、及び感圧体と絶縁体とを接着する工程を省くことができるため、素子の製造コストを安価にすることができる。また、上記力学量センサ素子の強度を向上させることができる。
これにより、上記感圧体と上記絶縁体とが焼結によりうまく一体化できない場合等にも、容易に両者の一体化を実現することができる。
上記接着剤としては、例えば有機系及び無機系の接着剤、又は低融点ガラスよりなるもの等を用いることができる。
例えば、ロッド部の先端に配設された上記荷重センサの先端には、球形状の当接面を有する球座が一体的に配設されている構成を取ることができる(請求項2)。この場合には、クランプすべき部材に上記球座を受ける球状の受け面を設けることによって、当接角度にかかわらず安定した固定状態を得ることができる。
本発明の実施例に係る荷重センサ付きクランプボルトにつき、図1〜図4を用いて説明する。
本例の荷重センサ付きクランプボルト1は、図1に示すごとく、外周部にねじ山110を有する円柱状のロッド部11と、該ロッド部11の後端に配設された頭部12とを有し、上記ロッド部11の先端を、固定しようとする部材に当接させて用いるクランプボルトである。
上記ロッド部11の先端には、ロッド部11の軸方向に作用する荷重を測定するための荷重センサ2が一体的に配設されている。そして、荷重センサ2はロッド部11の外径D1よりも小さい外径D2を有する。
図1に示すごとく、上記ロッド部11は、その全長において外周面にねじ山110を有しており、所定の配設位置に設けられたねじ穴に螺着可能に構成されている。また、図1、図3に示すごとく、ロッド部11の後端には六角形の頭部12が設けられており、ごく一般的に用いられているスパナ等の工具によって回転操作できるように構成されている。なお、この頭部12の形状および構成は必要に応じて変更できることは言うまでもない。
荷重センサ2は、図4に示すごとく、外形状が略直方体形状を呈しており、応力の印加によって電気的特性が変化する感圧体20と、該感圧体20を挟持するように、感圧体20の対向する2つの表面にそれぞれ一体的に形成された電気絶縁性の絶縁体21、22とを有する力学量センサ素子よりなる。図2に示すごとく、荷重センサ2の外径D2は、正面から見て正方形の対角線の長さとすることができるが、この長さが、ロッド部11の外径D1よりも小さくなっている。
まず、絶縁体21、22として、ジルコニア板(東ソー株式会社製)を2枚準備し、また、感圧体2の材料として、粒径0.2〜5μmのRuO2の粒子とガラスとを含有する抵抗ペースト(ESL社製の3414A)を準備した。
次に、得られた力学量センサ素子よりなる荷重センサ2を、別途準備したボルトにおける上記ロッド部11の先端に熱硬化型エポキシ系接着剤を用いて上記のごとく接着した。
本例の荷重センサ付きクランプボルト102においては、図5に示すごとく、ロッド部11の先端に配設された上記荷重センサ2の先端には、球形状の当接面31を有する球座3が一体的に配設されている。即ち、球座3は、球体の一部を平坦に切除した形態の後端平面32を有しており、この後端平面32を熱硬化型エポキシ系接着剤を用いて上記荷重センサ2の絶縁体22に接着してある。その他は実施例1と同様の構成である。
この場合には、クランプすべき部材に球座3を受ける球状の受け面を設けることによって、当接角度にかかわらず安定した固定状態を得ることができる。その他、実施例1と同様の作用効果が得られる。
本例の荷重センサ付きクランプボルト103においては、図6に示すごとく、ロッド部11の先端には、球形状の窪み114に収容された球座4が設けられており、該球座4の先端平面42に上記荷重センサ2が一体的に接合されている。即ち、球座4は、球形状の当接面41をロッド部11の先端に設けた球状の窪み114に収容して、球座4をロッド部11に一体化させ、さらに、球座4の先端平面42に熱硬化型エポキシ系接着剤を用いて荷重センサ2の絶縁体21を接着してある。その他は実施例1と同様の構成である。
この場合には、荷重センサ2とクランプすべき部材との当接角度を上記ロッド部11の先端と荷重センサ2の間で調整することができ、安定した固定状態を得ることができる。その他、実施例1と同様の作用効果が得られる。
本例では、実施例3の荷重センサ付きクランプボルト103によるクランプ力測定精度を定量的に評価するため、感度およびヒステリシスを測定する試験を行った。比較のために、実施例3の荷重センサ付きクランプボルト103のロッド部11における球座4と荷重センサ2との一体化のための接着をやめ、両者を単に接触させただけの比較品を用いた比較例を行った。
感度およびヒステリシスの測定結果を表1に示す。
11 ロッド部
12 頭部
2 荷重センサ
20 感圧体
21、22 絶縁体
Claims (3)
- 外周部にねじ山を有する円柱状のロッド部と、該ロッド部の後端に配設された頭部とを有し、上記ロッド部の先端を、固定しようとする部材に当接させて用いるクランプボルトにおいて、
上記ロッド部の先端には、該ロッド部の軸方向に作用する荷重を測定するための荷重センサが一体的に配設されており、
該荷重センサは、応力の印加によって電気的特性が変化する感圧体と、該感圧体を挟持するように、該感圧体の対向する2つの表面にそれぞれ一体的に形成された電気絶縁性の絶縁体とを有する力学量センサ素子よりなり、該絶縁体を上記ロッド部の先端に接合してなり、
上記感圧体は、ガラスよりなるマトリックスに導電性を有する導電性粒子を分散してなり、該導電性粒子は、酸化ルテニウム又はルテニウム酸鉛よりなり、
かつ、上記荷重センサは上記ロッド部の外径よりも小さい外径を有することを特徴とする荷重センサ付きクランプボルト。 - 請求項1において、上記荷重センサの先端には、球形状の当接面を有する球座が一体的に配設されていることを特徴とする荷重センサ付きクランプボルト。
- 請求項1又は2において、上記ロッド部の先端には、球形状の窪みに収容された球座が設けられており、該球座の先端平面に上記荷重センサが一体的に接合されていることを特徴とする荷重センサ付きクランプボルト。
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