JP4939934B2 - サラシノールの類似化合物およびその合成方法 - Google Patents

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Description

本出願は、現在米国特許第6455573号として発行されている米国特許出願第09/627434号の継続である米国特許出願第10/226657号の一部継続出願である。本出願は、本願明細書に援用する米国仮特許出願第60/482006号に基づく優先権を主張する。
この出願は、グリコシダーゼ阻害剤として潜在的に有用なサラシノール、その立体異性体、それらの類似体および同族体、および他の誘導体の合成方法に関する。
インシュリン非依存性糖尿病(NIDD)の治療において、血糖値の管理が重要である。NIDDを治療する一つの戦略は、摂取した炭水化物の消化を遅延させることにより食後の血糖濃度を低下させることである。これは、グルコシダーゼなどの酵素の活性を阻害する薬剤を投与することにより達成し得る。グルコシダーゼは、小腸で複合デンプンのオリゴ糖への加水分解を介在する。例えば、アカルボースなどの炭水化物類似体は、膵臓性α−アミラーゼ及び膜結合腸α−グルコシドヒドロラーゼ酵素の機能を可逆的に阻害する。II型糖尿病患者において、このような酵素阻害により、血液へのグルコース吸収が遅延され、食後の過血糖が除去又は低下され、糖血制御が改善される。
幾つかの天然グルコシダーゼ阻害剤が、スリランカ及びインドの所々の緩斜面森林原産の植物、サラシア・レティキュラタ(Salacia reticulata)から単離されている(シンハラ語で"コタラ・ヒンブツ(Kotala himbutu)"として公知である)。サラシア・レティキュラタは、糖尿病の治療においてインド医学のアーユルヴェーダ系で用いられてきた木質のつる植物である。アーユルヴェーダ医学は伝統的に、コタラ・ヒンブツ木材を刻んで造った大型カップ中に一晩放置させた水を飲むべきであると糖尿病患者に助言している。1997年に発表された論文で、ヨシカワ等(Yoshikawa et al.)は、サラシア・レティキュラタの乾燥した根及び茎から得た水溶性分留物由来の化合物サラシノールの単離を報告した。ヨシカワ等は、以下に示すサラシノールの構造を決定し、α−グルコシダーゼ阻害剤としてその有効性を示した。
Figure 0004939934
ヨシカワ等は、同様にα−グルコシダーゼ阻害剤として有効であることが判明したコタラノールのサラシア・レティキュラタの根及び茎からの単離を後に報告した。サラシノールのように、コタラノールは、チオ糖スルホニウムイオン及び対イオンを提供する内部
硫酸塩を含む。
Figure 0004939934
コタラノールは、サラシノール及びアカルボースよりもスクラーゼに対して強力な阻害活性を示すことが認められている
サラシノール及び他のグルコシダーゼ阻害剤の正確な作用機序は、未だ解明されていない。インドリジジンアルカロイドのカスタノスペルミン及びスワインソニンなどの幾つかの公知のグリコシダーゼ阻害剤は、生理学的pHで陽電荷を有することが知られている。
Figure 0004939934
若干の公知阻害剤の作用機序は、阻害剤と酵素活性部位カルボン酸塩残基との間の静電気的相互作用で安定化を確立することにより少なくとも部分的に説明し得るものと考えら
れる。陽電荷のスルホニウム、アンモニウム及びセレニウムイオンを含む本発明の化合物は、類似の方法で機能し得るものと仮定される。同様に、サラシノール及び同じクラスの他の化合物は、グルコシダーゼ酵素との直接結合によるよりもむしろ腸壁を横切る輸送機序を改変することにより作用し得ると考えられる。
サラシノール及びコタラノールは、他の現存の経口抗糖尿病剤よりも少なく長期に亙る副作用を潜在的に有し得る。例えば、II型糖尿病の治療において、アカルボースの経口投与により、患者によっては不都合な胃腸の副作用、最も著明には、鼓腸、下痢及び腹痛が増大する。上述のように、サラシノールは、長期間に亙って、伝承医学のアーユルヴェーダ系における糖尿病の治療法として用いられており、著明な副作用は報告されていない。さらに、最近の動物実験では、ラットに用量5,000mg/kgでサラシア・レティキュラタ幹のエキスを経口摂取させても重篤な急性毒性又は突然変異誘発力がなかったことを示した
しかし、サラシア・レティキュラタ植物は、比較的供給量が少なく、スリランカ及びインド以外では、容易に入手できない。従って、サリシノール、コタラノール及びそれらの類似体を合成により製造できるなら、それは望ましいものとなり得る。
炭水化物を処理する阻害剤は、同様に、癌など若干の非糖尿病性障害の治療に有効なことが示されている。正常細胞は、特徴的なオリゴ糖構造を示すが、腫瘍細胞は、胚組織で通常見られる非常に複雑な構造を示す。これらの複雑な構造は、腫瘍細胞の急速な増殖及び転移に対してシグナル刺激を提供すると考えられる。グルコシダーゼ阻害剤を治療的に用いる可能な戦略は、正常細胞対癌細胞の成長の異なる速度を利用して複合オリゴ糖構造体の組み立てを阻害することである。例えば、インドリジジンアルカロイドのスワインソニン、ゴルジα−マンノシダーゼII阻害剤は、報告によると、マウスにおいて腫瘍細胞転移を減らし、細胞免疫反応を増強し、腫瘍細胞の成長を低下させる。スワインソニン治療は、進行した悪性腫瘍患者において腫瘍の大きさを有意に減少させたことから、乳房、肝臓、肺及び他の悪性腫瘍患者の有望な薬物療法である5、6
同様に、本発明の化合物は、その安定な内部塩構造のため、アルツハイマー病の治療において用途を有し得る。アルツハイマーは、小繊維内へのペプチド、β−アミロイドの凝集に起因する脳のプラーク形成を特徴とする。これは、神経細胞にとって有毒である。洗浄剤様分子を用いることにより、この凝集を阻止し得る。両親媒性の本発明の化合物は、この活性を示し得ると考えられる。
従って、入手が容易な出発物質から高収量で合成でき、治療剤として潜在的な用途を有する新クラスのグリコシダーゼ阻害剤の必要性が生じた。
本発明によると、化学式(I)により示される非天然化合物、それらの立体異性体及び医薬として許容される塩から選択した化合物が開示される。
Figure 0004939934
上記の式において、XはS、Se及びNHから選択される。このような化合物には、サリシノールの立体異性体が含まれる。目標化合物は、ヘテロ原子陽イオンXと硫酸陰イオンとを含む安定な内部塩構造を有する。その置換基は本発明から離れることなく変化し得る。R、R、R、R、Rは好適には、同一であるか相異なり、H、OH、SH、NH、ハロゲン、並びに、シクロプロパン、エポキシド、アジリジン及びエピスルフィドから選択される構成部分から選択される。Rは、H及び、任意の適当な機能性を含むアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びアルコキシ置換基などの、任意に置換した直鎖、分枝鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基からなる部類から選択される。本発明の一実施形態において、Rは、炭素が5〜10個のアルジトール鎖などのポリヒドロキシル化非環式鎖であり得る。
本発明の別の実施形態において、複素環は5個ではなく6個の炭素を含むことが可能であり、該化合物は一般式(II)
Figure 0004939934
で表すことができる。
また、一般式(III)を有する環状硫酸エステルを、一般式(IV)または(V)を有する5員環糖と反応させることを含む、一般式(I)および(II)の化合物の製造方法を開示する。
Figure 0004939934
上記式中、Xは、S、Se、およびNHのうちから選択され、RおよびRは、Hおよび保護基のうちから選択され、Rは、H、ならびに任意で置換された直鎖、分枝鎖または環状の飽和または不飽和炭化水素基およびそれらの保護誘導体のうちから選択される。R、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、かつH、OH、SH、NH、ハロゲン、ならびにシクロプロパン、エポキシド、アジリジンおよびエピスルフィドおよびそれらの保護誘導体のうちから選択される化合物の構成成分のうちから選択される。好ましくは、前記環状硫酸エステルは、2,4−O−ベンジリデン−D−またはL−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル(すなわち、RおよびRがベンジリデン保護基からなる)などの2,4−ジ−O−保護−D−またはL−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステルであり、Rは、Hまたは保護ポリヒドロキシル化アルキル鎖であり、R、RおよびRは、OH、およびOCHまたはOCHOCHなどの保護OH基のうちから選択される。合成方法は、糖(IV)または(V)のヘテロ原子Xによる求核的攻撃により環状硫酸エステル(III)を開環する工程を含む。
目標化合物の製造方法は、p−メトキシベンジルなどの新規な保護剤および脱保護剤、およびヘキサフルオロイソプロパノールなどの溶媒を使用することを含む。
本出願は、また、グリコシダーゼ阻害剤としての式(I)または(II)で記載される化合物の使用、および、医薬として許容される担体と共に式(I)または(II)で記載される化合物、またはそれらの組合せの有効量を含有する医薬組成物、ならびにこのような化合物の有効量を治療が必要な被験者に投与することにより、インシュリン非依存性糖尿病などの炭水化物代謝障害を治療する方法に関する。
図面は本発明の実施形態を例示することを目的とし、本発明の範囲を限定するものではない。
サラシノールは、スリランカ及びインド原産の植物、サラシア・レティキュラタの根及び茎から抽出し得る天然化合物である。この出願は、以下に示すサラシノール(1)及びその窒素(2)及びセレニウム(3)類似体を調製する合成経路に関する。
Figure 0004939934
この出願は、化合物(1)から(3)化合物並びにその立体異性体、類似体、同族体およびその他の誘導体を調製する合成経路にも関する。本願において用いる場合、立体異性体は、エナンチオマーおよびジアステレオ異性体を含む。本発明の化合物(サラシノールの立体異性体を含む)は、非天然性、かつグリコシダーゼ阻害剤としての用途を有し得る新規なクラスの化合物を含む。
1.0 一般合成スキームの要約
以下のスキーム1(a)は、標的化合物に達するため発明者が開発した一般合成スキームを示す。サラシノール及びその窒素とセレニウム類似体の異なる立体異性体(A)〜(C)を合成すべく、本発明に従って5員環糖を硫酸含有化合物と反応させる。(スキーム1(a)において、活字(A),(B),(C)は、サラシノール及びその窒素及びセレニウム類似体、それぞれ(1),(2),(3)の全立体異性体を示す。)発明者は、好適合成経路を決定するため、切断アプローチを追求した。合理的な切断は、5員環糖(D)を与える切断である。何故なら、容易に入手可能な炭水化物前駆体から簡単に合成し得るからである。次に、硫酸フラグメント(E)のCの求核置換により、標的分子を生成し得る(スキーム1(a))。この方法に関する潜在的な問題は、脱離基(L)が後に塩基として作用し、スルホニウム塩の酸性水素を引抜き、不都合な生成物を生成し得ることである。従って、環状硫酸エステル(F)を(E)の代わりに用いて、脱離基(L)に関連する問題をうまく回避し得る。化合物(G)は、環状硫酸エステル試薬として同様に使用し得るので、(F)の保護形である。
Figure 0004939934
下記のスキーム1(b)は、標的化合物(A)〜(C)を製造するカップリング反応一般を示す。
Figure 0004939934
スキーム1(b)の経路1は、環状硫酸エステルを5員環糖と反応させて中間体化合物を製造する一般的戦略を示す。中間体化合物は、ベンジルか他の保護基を含み得る。以下により詳細に記載したように、次に、中間体化合物を脱保護して標的化合物を得る。本発明者は、スキーム1(b)の経路2が、可能な副反応を生じないことを認めた。
2.0 試薬の合成
環状硫酸エステルと5員環糖を下述の合成スキームに従って調製した。当業者にとって明白であるように、本発明の試薬を製造する他の等価のスキームにより置換し得る。
2.1 環状硫酸エステル
環状硫酸エステルをエチリデンアセタールと類似の方法で調製した。環状硫酸エステル(7)は、D−グルコースから出発する4段階で合成した(スキーム2)。2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール(5)は、D−グルコールから二段階で合成し9、10、次に、塩化チオニルと処理して環状亜硫酸エステル(6)を得た。環状亜硫酸エステルは、カルボ−フロレス等(Calvo−Flores et al.)により記載されるように、環状硫酸エステルに酸化した。
Figure 0004939934
同様に、エナンチオマー(10)を同じ経路を用いて合成したが、L−グルコースから出発した(スキーム3)。
Figure 0004939934
2.2 5員環複素環の合成
5員環糖(D、X=S)の一つを合成するため、1,4−アンヒドロ−3−O−ベンジル−4−チオ−D−アラビニトール(11)をD−グルコースから出発する9段階で合成した(スキーム4)11。DMF中で臭化ベンジルを用いる化合物(11)のベンジル化により、90%の収量で1,4−アンヒドロ−2,3,5−トリ−O−ベンジル−4−チオ−D−アラビニトール(12)を得た。バーチ(Birch)還元を用いて、化合物(11)を脱ベンジル化し、1,4−アンヒドロ−4−チオ−D−アラビニトール(13)を97%の収量で得た。
Figure 0004939934
L−異性体、1,4−アンヒドロ−2,3,5−トリ−O−ベンジル−4−チオ−L−アラビニトール(14)をD−キシロースから出発する5段階で合成した(スキーム5)12
Figure 0004939934
1,4−ジ−O−メタンスルホニル−2,3,5−トリ−O−ベンジル−D−キシリトール(15)は、同様に、アザ及びセレナ糖(16)と(17)を合成する重要な中間体
である。1,4−ジデオキシ−1,4−イミノ−L−アラビニトール(16)13をD−キシロースから出発する7段階で合成した(スキーム5)。エナンチオマー(19)13は、L−キシロースから出発する類似の方法で合成した(スキーム6)。化合物(19)もまた、D−キシロースから出発する10段階で合成した13。1,4−アンヒドロ−2,3,5−トリ−O−ベンジル−4−セレノ−D−アラビニトール(20)をL−キシロースから出発する5段階で合成した(スキーム6)。化合物(20)を合成するため、セレニウム金属をナトリウムと液体アンモニア中で処理することにより、インシチュでNaSeを製造した。
Figure 0004939934
下記のスキーム6(a)は、他の可能な保護基(R=COR、CH−OMeP )を用いて化合物(20)を合成する、さらに一般化したスキームを示す。
Figure 0004939934
3.0 標的化合物の合成
5員環のヘテロ原子の求核的攻撃により環状硫酸エステルを開環することにより、標的化合物(1)〜(3)を調製した(上記のスキーム1(b))。ヘテロ原子は、陽電荷陽イオンを生じさせ、環状硫酸エステルは、陰電荷対イオンを生じさせる。この内部塩構造は、さらに別の求核的攻撃による分解に対する標的化合物の安定性を説明し得る。
3.1 サラシノールの合成
保護チオ−アラビニトール(12)を環状硫酸エステル(10)(1.2当量)とKCOを含む乾燥アセトン中で求核置換して保護中間体化合物(21)を33%の収量で得ることによりサラシノール(1)を合成した。AcOH:HO、4:1中でベンジル及びベンジリデン基の水素化分解により、サラシノール(1)を67%の収量で得た(スキーム7)。
Figure 0004939934
同じ操作方法を用いて、中間体化合物(22)をエナンチオマー環状硫酸エステル(7)から79%の収量で調製した。前記のように、脱保護により、化合物(23)を59%
の収量で得た(スキーム8)。化合物(23)は、サラシノール(1)のジアステレオマーである。
Figure 0004939934
化合物(24)を(7)とエナンチオマーチオ−エーテル(14)から40%の収量で調製した(スキーム9)。80%の収量の脱保護により、サラシノールのエナンチオマー(25)を得た。
Figure 0004939934
合成段階の数を減らすため、発明者は、脱保護チオ−アラビニトールとのカップリング反応を試みた。従って、部分的に脱保護した化合物(11)を環状硫酸エステル(10)とアセトン中で反応させ、化合物(26)を32%の収量で得た。脱保護により、サラシノール(1)を36%の収量で得た(スキーム10)。
Figure 0004939934
完全に脱保護したチオ−アラビニトール(13)は、アセトンに溶解しなかったので、メタノール中で反応させて、幾つかの生成物を製造した。
3.1.1 サラシノールの合成の別法
サラシノール(1)の発表されている合成15,25において鍵となる工程は、上述のように、1,4−アンヒドロ−4−チオ−D−ペンチトール(33)の環内硫黄原子の求核的攻撃による環状硫酸エステルの開環反応である(スキーム10a)。これらの試薬を含むアルキル化反応は、環状硫酸エステルの保護基によって左右される。例えば、パーベンジル化チオエーテル33とベンジリデン保護環状硫酸エステル34との炭酸カリウム含有アセトン中での未最適化反応は、33%の収率で進行した(スキーム10a)25。モノベンジル化チオエーテル36との反応においても類似の収率が得られた25。DMF中での未保護チオエーテル38とイソプロピリデン化環状硫酸エステル39との反応は、61%の収率で進行し化合物40を生じたが、対応するベンジル化環状硫酸エステル41との反応は進行しなかった15。後者の誘導体41は、化合物39と比較して、明らかに反応性がかなり低いアルキル化剤である15。また、DMF中、60〜70℃の温度で、環状硫酸エステル39および41のかなりの分解が観察された。化合物40の脱保護は、75%の収率で進行し、46%の総括収率でサラシノール1を与えた15
Figure 0004939934
サラシノール(1)の生物学的な重要性1,2,27により、本発明者らはその合成のためのより効率的な方法を研究することを思い至った。ヒューズ−インゴールド則(Hughes−Ingold rule)は、化合物33または36などの中性求核試薬と化合物34、39または41などの中性求電子試薬との間のS2反応が、溶媒の極性増加によって大きな速度増加を示すはずであることを指摘している。1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)は、水のE =1.00よりも大きな正規化Dimroth−Reichardt溶媒極性パラメータE =1.068を有する。対照的に、アセトンおよびDMFのE 値は、それぞれわずか0.355および0.404である。さらに、沸点(bp)=59℃のHFIPは揮発性であり、これより生成物の精製が容易になる。予備的検討により、テトラヒドロチオフェンは、HFIP中
、45℃、2日間で化合物34および41と容易に反応し、収率>90%で所望のアルキル化生成物を与えることが判った。
従って、それぞれベンジルまたはベンジリデン保護環状硫酸エステル41または34を用いた化合物33のアルキル化反応における溶媒の役割の体系的評価に着手した。反応は、アセトンおよびヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中、濃度、温度、および継続時間について同一条件下で同時的に実施した(スキーム10b)。KCOを含むアセトン中、75〜80℃での封管中でのチオエーテル33(1当量)と環状硫酸エステル41(1.2当量)の反応は、極めて徐々に進行し、わずか5%の収率で所望のアルキル化生成物42を生成し、出発原料の残りは回収された。加熱を延長し、かつ過剰の環状硫酸エステルを使用しても収率は向上しなかった。さらに、過剰の環状硫酸エステル39を使用すると、そのゆっくりした分解により、形成された生成物42の精製が複雑になった。しかし、HFIP中での化合物33と環状硫酸エステル41との類似反応により、未反応出発原料を回収することによって、45%の収率で付加化合物42が生成した(スキーム10b)。極性プロトン性溶媒2−プロパノール中、83℃で26時間にわたる、化合物33と環状硫酸エステル41との類似の反応は、所望の生成物を少しも生成せず、出発原料が回収されたことは注目に値する。従って、この反応を促進するのに重要なのはHFIPの高い極性であると思われる。
Figure 0004939934
幾つかの研究15は、アセタール保護基を含む環状硫酸エステルと比較して遥かに低いベンジル化環状硫酸エステルの反応性を示している(スキーム10a)。従って、次に、炭酸カリウムを含むアセトンおよびHFIP中における、濃度、温度および継続時間の同一条件下でのベンジリデン保護環状硫酸エステル34の反応を調べた(スキーム10b)。アセトン中で化合物34を用いた化合物33のアルキル化反応は、化合物41を用いた反応に比較してアルキル化生成物35の収率の劇的な増加(59%)を伴って進行した。未最適化収率33%25からの改善は、より濃縮された反応混合物を使用したためである。
より注目すべきことは、HFIP中で反応を行うと、所望の生成物35が94%の収率で得られたことである。環状硫酸エステルの安定性はKCOの存在下でより大きいが、温度が高く(>80℃)反応時間が長いほど環状硫酸エステルの分解が起こる。HFIP中で収率が増加するのは、反応の遷移状態の良好な溶媒和および付加物の良好な溶媒和によって説明できる。ベンジリデン保護基を有する環状硫酸エステル(34)の反応性が増加するのは、ベンジル保護環状硫酸エステル41の対応する反応とは異なり、反応に伴う環のひずみの解放によって説明できる。最後に、HFIP中でのチオエーテル38(保護基を含まない)とベンジリデン保護環状硫酸エステル34との反応を調べた。60℃で、環状硫酸エステルの分解が観察され、所望のカップリング生成物はほとんど形成されなかった。保護誘導体3525および42を水素化分解すると、サラシノール(1)が得られたが、この工程は、触媒の被毒による問題があり、65%の収率で生成物が得られたに過ぎない。スキーム10(b)に示したサラシノール(1)の立体化学は、本明細書の2頁に示した立体化学と等価な表現である。
問題のある水素化分解工程を回避するために、本発明者らは、次に、p−メトキシベンジルエーテル保護基を含むチオエーテルとベンジリデン保護L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステルとの反応を調べることを選択した。これは、本発明者らは、酸加水分解による全保護基の除去は容易であろうと推論したためである。それ故、化合物38から、87%の収率で合成された2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−1,4−アンヒドロ−4−チオ−D−アラビニトール(43)を、HFIP中で環状硫酸エステル34と反応させて、定量的収率でスルホニウム塩44を得た(スキーム10c)。化合物44の脱保護は、トリフルオロ酢酸水中で円滑に進行し(86%)、75%の総括収率でサラシノール1が得られた。従って、後者の経路は、生物学的に重要な天然物サラシノール1の効率的な合成法であることを意味する。
Figure 0004939934
本発明者らは、化合物35,42、および13のスルホニウムステレオジェン中心(ste
reogenic sulfonium center)の立体化学を考慮し、これらの反応は、反応で使用する溶媒とは無関係に立体選択的に進行すると判断した。立体化学はNOESY実験によって確認した。この実験は、H−4とH−1' の間の明瞭な相関を示し、これによりC−5とC−1' がトランス関係にある異性体の存在が示された。これらの誘導体および関連誘導体29における異性化の証拠は報告されていないので、スルホニウムイオン中心における反転に対する障壁はかなり堅固であるに違いない。
3.2 セレニウム類似体の合成
セレノ−類似体中間体(27)(R=CH)をセレノ−アラビニトール(20)(R=CH)及び環状硫酸エステル(10)から出発して86%の優れた収量で製造した(スキーム11)。NMRスペクトル法により、セレニウムステレオジェン中心で立体化学的に異なった二つの異性体が7:1の比率で存在することが示された。異性体は、分析HPLCにより分離可能であった。本発明者は、新規セレニウム類似体(3)を「ブリントール」と命名した。
Figure 0004939934
セレノ−類似体中間体(28)(R=CH)をセレノ−アラビニトール(20)(R=CH)及び環状硫酸エステル(7)から出発して97%の優れた収量で製造した(スキーム12)。セレニウムステレオジェン中心で立体化学的に異なった二つの異性体の比率3:1の混合物が得られた。その異性体は、分析HPLCにより分離可能であった。
Figure 0004939934
化合物(29)は、ブリントール(3)のジアステレオマーである。
3.2.1 ブリントール(Blintol)合成の代替経路
逆合成解析により、ブリントール(3)は、適切に保護された環状硫酸エステル(47)を使用する、環へテロ原子でのアンヒドロセレノ−D−アラビニトール(45)のアルキル化によって得られる可能性のあることが示唆された(スキーム12a)25
Figure 0004939934
前に考察したブリントール(3)の合成では、アンヒドロセレノ−D−アラビニトール(45)のヒドロキシル基に対する保護基としてベンジルエーテルを使用した26。しかし、水素化分解によるベンジル保護ブリントール(3)の脱保護は、反応混合物中に形成される少量のセレノエーテル45によるパラジウム触媒の被毒の問題がある。
問題のある水素化分解工程を排除するために、本発明者らによるサラシノール(1)の最適化合成53の場合と同様、セレノ−D−アラビニトールに対してp−メトキシベンジル(PMB)保護基を使用することを考えた。従って、p−メトキシベンジル保護セレノエーテル46とベンジリデン保護L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル(47
;R=ベンジリデン)との反応を調べた。PMBおよびベンジリデン保護基は両方とも酸加水分解を起こし易いので、酸加水分解によりすべての保護基を除去することが容易である53
L−キシロース(48)からPMB保護アンヒドロセレノ−D−アラビニトール(45)を合成するには、アグリコンを慎重に選択する必要があった。アリルグリコシドを使用する最初の試みは、所望のアリルキシロフラノシドと所望でないアリルキシロピラノシドとの分離不能な混合物を生成した。さらに、アリル基の開裂は、大規模合成の方法としてはあまりにも不経済であると判断された。それにもかかわらず、フラノシドとピラノシドの混合物は、ブリントール(3)の成功した合成において使用され、それらの分離は、合成スキームの後の工程で実施された。
これらの懸念により、本発明者らは、次の戦略、すなわち、1)フレーザー−リード(Fraser−Reid)および共同研究者らによって最初に開発され54、その基はPMB基に影響を与えることなしにNBSによって開裂すること55も報告されているn−ペンテニルグリコシドを利用すること、および2)フラノシドとピラノシドの比率56を改善するために、L−キシロース(48)の酸触媒アセチル化でホウ酸を利用することを検討することになった。後者の方法により、L−キシロース(48)は、ワンポット操作の2工程で1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−D−キシロフラノース(49)に変換させた。Hおよび13C NMRスペクトルの分析により、所望でないピラノシド副生物を形成することなく、フラノシド49のみが形成されることが示された(スキーム12b)。
Figure 0004939934
次いで、化合物49を4−ペンテン−1−オールおよびBFOEtと処理して4−ペンテニル2,3,5−トリ−O−アセチル−L−キシロフラノシド(50)を得た57。この化合物は、酸加水分解を受けてアセチル基が開裂し、次いで3つのヒドロキシル基がPMB基で再保護され、4−ペンテニル2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−L−キシロフラノシド(52)を与えた。次いで、アセトニトリル−水中、NBSを使用して化合物52のアノマー性ヒドロキシル基を遊離させて、対応する2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−L−キシロフラノース(53)を得た(スキーム12c)。
Figure 0004939934
2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−L−キシロフラノース53を、NaBHによって対応するキシリトール54に還元し、次いで、ヒドロキシル基をメシル化するとジメシレート55が得られた。次いで、エタノール中で金属セレニウムと水素化ホウ素ナトリウムからインシチュで生成したセレニウム化ナトリウムを用いて、化合物55を83%の収率で1,4−アンヒドロ−2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−4−セレノ−D−アラビニトール(56)に変換した(スキーム12d)。
Figure 0004939934
ブリントール(3)の合成(およびサラシノールの最適化合成53)におけるもう1つの要素は、2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル(57)の入手可能性である。この化合物は、以前にはL−グルコースから調製された25。しかし、L−グルコースは高価であるとともに、6工程からなる合成経路における出発材料であることから、それ程高価でない材料から環状硫酸エステル(57)を調製することが所望された。本明細書に記載するように、本発明者らは、D−グルコース(58)から環状硫酸エステル57を成功裡に調製した。
本発明者らが開発した方法25,26を用いて、D−グルコース(58)からベンジル保護環状硫酸エステル62を調製した。化合物59におけるベンジリデン保護基の開裂は
、60%TFAを用い、室温下、30分で達成され、酢酸水を用いて得られるのに匹敵する収率で、対応するジオール60が得られることに注目するのは興味深い。元々の方法は、化合物59を80%HOAc中で48時間還流すること必要とするので、この改良はより効率的であることが分かった。化合物62は水素化分解を受け、非保護の環状硫酸エステル63を与えた。触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)を使用するベンジリデンアセタールの導入は、これらの条件下で環状硫酸エステルは開裂しなかったため、重要な工程であった。所望のベンジリデン保護環状硫酸エステル57が71%の収率で得られた(スキーム12e)。
Figure 0004939934
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)中、60〜65℃でのアンヒドロセレノ−D−アラビニトール56と環状硫酸エステル57とのカップリング反応は、7時間で円滑に進行し、95%の収率で、2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジルセレノニウム塩64の混合物が得られた(スキーム12f)。Hおよび13C NMRスペクトルの分析により、化合物64は、セレニウムステレオジェン中心での異性体の7:1混合物であることが判った。主要な異性体は、以前に得られた結果26との類似によりC−5とC−1' とがトランスの関係にある異性体と帰属された。
続いて、トリフルオロ酢酸(TFA)で処理することによってセレノニウム塩64を脱保護し、再結晶によって精製して、62%の収率で純粋なブリントール(3)を得た(スキーム12f)。
Figure 0004939934
3.3 窒素類似体の合成
窒素類似体中間体(30)は、脱保護イミノ−アラビニトール(19)と環状硫酸エステル(10)の反応により、72%の良好な収量で製造した(スキーム13)。化合物(19)は、アセトンに溶解しなかったので、乾燥メタノール中で反応を行った。環状硫酸エステルのメタノリシス生成物と同定された副生成物(19%)を得た。本発明者は、新規の窒素類似体(2)を「ガバミオール」と命名した。化合物(30)を脱保護し、ガバミオールを64%の収量で得た。
Figure 0004939934
エナンチオマー中間体(31)は、脱保護イミノ−アラビニトール(16)と環状硫酸エステル(7)の反応により、72%の良好な収量で製造した(スキーム14)。環状硫酸エステルのメタノリシス生成物と同定された副生成物(21%)を得た。化合物(31)を脱保護して化合物(32)を77%の収量で得た。化合物(32)は、ガバミオール
(2)のエナンチオマーである。
Figure 0004939934
4.1 代替合成スキーム
4.1 6員環類似体
本発明の代替の実施形態において、グリコシダーゼ阻害剤としての潜在的用途を有する目標化合物は、試薬として5員複素環ではなく6員複素環を用いて、上述の方法と同様にして合成することができる。上述の実施形態の場合と同様、環状硫酸エステル(上述)を、環糖のヘテロ原子(すなわち、X=S、Se、NH)の求核的攻撃によるカップリング反応で開環する。当業者にとって明白であるように、6員環糖試薬および得られる目標化合物の一般式を以下に示す。
Figure 0004939934
6員環目標化合物は、5員環の実施形態と同じ内部塩構造を有する。置換基は、本発明から逸脱することなく、以下に述べるように変更することができる。
特に、グリコシダーゼ阻害剤として作用し得るこの種の分子の範囲を拡大するために、本発明者らは、サラシノールと同じL−エリトリトール由来の硫酸エステル化された側鎖を有するN−アルキル化1,5−ジデオキシ−1,5−イミノキシリトール(66a)、およびデオキシノジリマイシン(67a)を合成することを提案した。アンモニウム塩を形成するための内部硫酸対イオンを有することの利点は、このような構造的改良がインビボ安定性および/または膜透過性の向上に繋がるか否かを調べるために、追求する価値があると考えた。さらに、内部硫酸塩および極性側鎖は、触媒の活性部位カルボン酸を脱プロトン化することなく、グリコシダーゼ酵素に結合するカチオン性阻害剤を提供し、阻害にとって重要な構造的特徴に対するさらなる洞察を提供する可能性がある。本発明者らは
、本明細書で、化合物66aおよび67a、ならびに対応するスルホニウムおよびセレノニウム類似体68a、69aおよび70aの合成について説明する。また、本発明者らは、D−エリトリトールから誘導される側鎖を導入して得られる、対応するエナンチオマーまたはジアステレオマー66b〜70bの合成について報告する。
Figure 0004939934
硫酸エステル化アルキル側鎖の供給源として環状硫酸エステルのエナンチオマー形71aまたは71bのいずれかを用いて、6員環目標化合物のそれぞれを、2つの立体異性型(aまたはb)として合成した。化合物66、68、および70の場合、これらの立体異性体はエナンチオマーであるが、化合物67および69は2つのジアステレオマーのいずれかとして調製された。エナンチオマー性スルホニウム塩68aおよび68bについて、立体異性を生じさせるスルホニウムイオン中心に関するR/S異性体を分離して、独立して特性を規定した。スルホニウム塩69およびセレノニウム塩70の類似の異性体は、クロマトグラフィーで分離することができず、生成物は混合物として特性を規定した。アンモニウム塩66および67の場合、遊離アミンを経由しての窒素中心での反転は、室温の溶液中で十分に速く、アンモニウム中心での立体異性体は観察されなかった。
Figure 0004939934
一般的合成戦略(スキーム15)には、L−グルコースから誘導される2,4−O−ベンジリデン−L−1,3−環状硫酸エステル(71a)16,53、またはD−グルコースから得られるそのエナンチオマー(71b)16,53による、ピペリジン(72および73)、テトラヒドロチアピラン(74および75)、またはテトラヒドロセレナピラン(76)複素環のアルキル化が必要であった。一般には、あまり高価でない化合物71bを用いる反応を最初に検討した。これらの方法は、本発明者らが5員環類似体、サラシノールおよびその窒素またはセレニウム同属体16,25,26を合成するのに使用した上述の方法に類似している。
Figure 0004939934
4.1.1 出発原料の調製
環状硫酸エステル71bの反応性を調べる予備実験で、本発明者らは、さらなる官能基として第二級アルコールのみを有する複合アミン求核試薬の場合には、ヒドロキシル基を保護する必要はないが、いずれかの第一級アルコール官能基がアミンと競合してアルキル化される場合のあることを見出した。
Figure 0004939934
従って、非保護アンヒドロキシリトールイミン(72)は文献法75で調製し、一方、デオキシノジリマイシンはそのテトラ−O−ベンジル誘導体(73)73として調製した。テトラヒドロチアピラン誘導体74は、既知のトリアセテート7775の脱アセチル化およびベンジル化によって調製した(スキーム16)。ベンジル化テトラヒドロチアピラン75は、既知のアンヒドロ−5−チオ−D−グルシトールテトラアセテート(78)28から保護基交換によって同様に調製した。次に、化合物77は、テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノース(79)の還元39によって、あるいはより簡便にはアセチル化1,5−ジブロモキシリトール(80)と硫化ナトリウムとの反応75から得た。セレニウム複素環81は、アセチル化1,5−ジブロモキシリトール(80)との反応において硫化ナトリウムをNaSeB(OEt)(SeをNaBH/EtOHで還元してインシチュ77で得られる)に置き替えて調製した(スキーム16)。続いてアセテート基をベンジル保護基と交換して、所望のテトラヒドロセレナピラン誘導体76を得た。この誘導体の調製は関連のない方法によって報告されている78
4.1.2 標的アンモニウム化合物
COを含むMeOH中で化合物72をD−環状硫酸エステル71bと反応させた(スキーム17)。より極性の生成物を単離すると、43%の収率でアンモニウム塩84が得られた。メタノール溶媒による環状硫酸エステルの開環で生じる大量の副生物(83)は、初期のクロマトグラフィー画分から単離可能であった。L−環状硫酸エステル71aを用いて同様に反応させると、この副生物が若干少なく、所望のカップリング生成物82がわずかに高い収率(56%)で得られた。化合物82および84のH NMRスペクトルは、DO(KCOで塩基性にした)中でアミンに対してα位のメチレン基に対して鋭い共鳴を示したが、中性または酸性のDO溶液中では、これらメチレン共鳴に対して低磁場にシフトしたより幅広い共鳴が得られた。本発明者らは、これらの観察を、酸性pHでそれらの共役酸と平衡状態で存在する遊離アミンを経由して起こる窒素反転を伴う、化学シフトのNMR時間尺度に対応した中間の時間での、共役−酸R/Sアンモニウム塩の交換によるものと考えた。
Figure 0004939934
酢酸水中での加水分解によりベンジリデン保護基を除去すると、シリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して目標化合物66a(73%)および66b(72%)が得られ
た。これらのアンモニウム塩は、激しい交換により広幅化したNMRスペクトルを与え、共役アミン塩基を生じさせるためにNMRサンプルに塩基を添加することによってより明確に特定された。しかし、以下に示すように、硫酸エステルには加水分解する可能性があるので、強塩基で長時間処理することは避けるべきである。エナンチオマーの場合に予想されるように、化合物66aおよび66bのNMRデータは実質上同一であったが、同一およびエナンチオマー化合物の双方における異なるサンプル間の小さな化学シフトの差異に気づいた。これらの差異は、サンプル間でのNMR化学シフトの濃度および温度依存性によるものと考えた。双性イオン化合物が溶液中で凝集体として存在する傾向が、これらの効果の原因であろう。
ベンジル保護デオキシノジリマイシンから誘導されるカップリング生成物85および86は、アセトン/KCO中での化合物73と環状硫酸エステル71aおよび71bとの反応により、それぞれ80%および65%の収率で得られた(スキーム18)。化合物85および86のH NMR共鳴は、CDCl中で極めて幅広であるが、CDOD中(NaODで塩基性にした)では鋭くなった。よって、これはカップリング生成物は所望のアンモニウム塩と対応するその共役塩基との平衡混合物として得られたことを示す。酢酸水中での水素化分解によってベンジルおよびベンジリデン保護基を同時に除去し、目標化合物67aおよび67bを得た。
Figure 0004939934
H NMRスペクトルによる分析により、これらの生成物はKOAcで汚染されていることが示された。それにも拘らず、酢酸塩不純物に帰属されるスペクトルのδ1.8での共鳴を除いて、目標化合物は本質的に純粋であり、Hおよび13Cスペクトルの両方とも、すべての共鳴を二次元法により帰属した。化合物67bのNMRサンプルをDO/NaOD中、pH>10で長期貯蔵すると、H−3' 共鳴の高磁場シフトで証明されるように、3' −硫酸エステル基のゆっくりした消失が生じた。外界温度で2日経過すると、硫酸エステルは完全に加水分解され、容易に、第三級アミン化合物87および無機硫酸塩を生じた。
すべてのアミン化合物の対するDO中(pH>8)でのH NMRデータにより、
ピペリジン環の優勢な立体配座は(炭水化物の番号付け)であること、およびこの立体配座選択はプロトン化(pH<3)で変化するようには思われないことが示された。アルキル化デオキシノジリマイシン誘導体に関する以前の立体配座研究において類似の結論に到達した74
4.1.3 標的スルホニウム化合物
スルホニウム塩68および69の合成(スキーム19および20)は、アンモニウム塩と類似の方法で行った。従って、最初に化合物74を、アセトン中、65℃でD−環状硫酸エステル71bと反応させた。より極性がある2種の生成物のゆっくりとした形成がTLC分析によって観察された。生成物の混合物を単離すると、約37%の収率で化合物88bおよび89bが得られた。溶媒を1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)に変更すると、収率は87%まで向上した。ここでは、スルホニウム塩形成の収率に対するHFIP溶媒の劇的に有利な効果が注目される。主生成物(major product) 88bの副生成物(minor product) 89bに対する比率は2:1であった。クロマトグラフィーで2つの成分の純粋サンプルを取り出し、NMR法で別々に特性を規定した。
Figure 0004939934
まず、2つの化合物が同数の水素原子を有する異性体であることを示す1次元H N
MRスペクトルを得た。2つの化合物のスペクトルが類似していることから、それらの化合物は立体異性を生じる硫黄原子においてのみ立体化学を異にすることが示唆された。COSYスペクトルにより、両方の化合物におけるテトラヒドロチアピラン環およびエリトリトール側鎖に対するプロトン・シグナルの帰属が可能になった。特に、環プロトン・シグナルのすべてが、元のテトラヒドロチアピラン17と比較して低磁場にシフトすることが見出された。正のスルホニウム中心は電子求引性なので、このことは予想されたことである。さらに、初め、C−2、C−3およびC−4の3つのベンジルオキシ基はより立体障害が少ないエクアトリアル位を好むと予想されたが、ビシナル・カップリング定数を分析すると、J2,3およびJ3,4=3.5〜3.9Hzであった。これらの値は、前駆体17中のアキシアル−アキシアルのビシナル・カップリング定数に対して観察される値(J2,3≒J3,4≒8.9Hz)よりもはるかに小さい。従って、本発明者らは、化合物88bおよび89bは、3つのベンジルオキシ基をアキシアル位に配置した、小さなビシナル・カップリング定数の原因である立体配座を好むと推論した。この立体配座を好むことは、C−2およびC−4のアキシアル置換基が、極性のベンジルオキシ基とスルホニウムイオン中心とのゴーシュ形静電相互作用の安定化を提供し、C−3の基も静電相互作用の安定化を提供できる28という事実で説明できる。この結果は、カスタノスペルミンのスルホニウム類似体を用いる本発明者らの以前の研究28を想起させる。
次に、NOESY実験の方法によりスルホニウム中心の立体配置を確立した。主要ジアステレオマーのNOESYスペクトルは、H−1ax/H−1eq/H−5axおよびH−1a' に対してH−1b' の相関を、H−5eq/H−5axに対して相関を示した。従って、この異性体は、エクアトリアル配向を占めるエリトリトール側鎖をもつ構造88bと帰属された。従って、硫黄における絶対配置は、Sであることが確立された。
少量ジアステレオマーのNOESYスペクトルは、H−1a' とH−1ax/H−1eqに帰属される等時シグナルとの間の相関、ならびにH−1b' とH−5eqとの間の相関を示した。H−5axとの間の相関は観察されなかった。従って、この異性体は、アキシアル配向のエリトリトール側鎖を持つジアステレオマーである構造89bと帰属された。従って、硫黄における絶対配置は、Rであることが確定された。水素化分解によりシアステレオマー88bおよび89bのそれぞれを脱保護し、スルホニウム塩S−68bおよびR−68bをそれぞれ81%および95%の収率で得た。ビシナル・カップリング定数により、両方の場合とも、脱保護はからへの優勢な環立体配座変化を伴うことが判った(S−68b;J2,3≒J3,4≒7.2Hz、R−68b;J2,3≒J3,4≒9.0Hz)。積算1次元核オーバーハウザー強化(NOE)差実験により、ベンジルおよびベンジリデン保護基を除去する際にスルホニウム中心での配置の反転は無いことを確認した。従って、主要異性体(major isomer)S−68bは、H−4' b/H−1' a多重線の照射で、環アキシアルプロトンとのNOEを示さなかった(図1)。H−1ax/H−5axを照射すると、H−1eq/H−5eq/H−3およびH−2/H−4多重線に対してのみNOEを示した。エリトリトール側鎖プロトンとのNOEは観察されなかった。これらの実験により、エリトリトール側鎖が硫黄においてβ側でかつH−1axと反対のアキシアル位を占める証拠が得られ、保護前駆体88bについて前に帰属したように、主要異性体S−68bのスルホニウム中心におけるS配置が確認される。
Figure 0004939934
少量異性体(minor isomer)R−68bは、H−4' b/H−1' b多重線の照射で、H−lax/H−5axプロトンとのNOEを示した(図2)。H−lax/H−5ax多重線の照射で、環プロトンに対するNOEに加え、H−2/H−4/H−4' a/H−1' a多重線に対してと同様、H−4' b/H−1' b多重線によるNOEを示した。これらの実験により、エリトリトール側鎖がH−1axと同じ側に存在し、硫黄においてα−エクアトリアル位を占めるという証拠が得られ、これによって、保護前駆体89bについて前に帰属したように、少量異性体R−68bのスルホニウム中心におけるR配置が確認される。
次に、L−環状硫酸エステル71aからのスルホニウム塩の合成を検討した(スキーム19)。HFIP溶媒中、70℃で化合物74を71aと反応させ、2種の生成物88aおよび89aを5:2の比率で得た(収率84%)。エリトリトール側鎖がC−3ベンジルオキシ基に対してシスである主要ジアステレオ異性体88aを、C−3ベンジルオキシ基に対してトランスのエリトリトール側鎖をもつ少量ジアステレオ異性体89aから分離した。H NMRスペクトルは、前に示したと同様、濃度によるわずかな変化を除いて、エナンチオマー88bおよび89bのスペクトルと実質上同一であった。ジアステレオマー88aおよび89aのそれぞれを水素化分解により脱保護し、目標化合物R−68aおよびS−68aを得た。
1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−5−チオ−D−グルシトール75をD−環状硫酸エステル71bで処理して、5−チオ−D−グルシトール類似体に着手した。この反応により、化合物90bと91b(異性体比率は約2:1)の分離不能な混合物を70%の収率で得た(スキーム20)。キシリトール系列と同様、保護グルシトール誘導体90bは、そのカップリング定数で示されるように、異常な立体配座選択性を示した。これにより、C−2、C−3およびC−4に3つのベンジルオキシ基、ならびにC−5にベンジルオキシメチル基はアキシアル配向で配置される。
Figure 0004939934
主要異性体90bの立体異性を生じさせるスルホニウム中心の立体化学は、NOESY実験によって確定した。H−1b' プロトンとH−5プロトンの間に強いNOESY相関が観察され、それによってベンジリデン保護エリトリトール側鎖がH−5に対してシスであることを確認した。H−1axに対するおよびH−6a/H−6bに対するNOEは観察されなかった。従って、主要異性体のスルホニウム中心の絶対配置はSであった。硫黄のアルキル化は、隣接C−5ベンジルオキシメチル基によるβ側の遮蔽によって、1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−5−チオ−D−グルシトール75のα側から優先的に起こるに違いない。
次いで、化合物90bおよび91bからなる混合物を水素化分解にかけ、主として1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]−エピスルホニウムイリデン]−D−グルシトール内部塩S−69bを81%の収率で得た(スキーム20)。1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−5−チオ−D−グルシトール(75)をL−環状硫酸エステル71aと処理して、化合物90aと91a(異性体比率は約3:1)の分離不能な混合物を68%の収率で得た(スキーム20)。非キラルのアンヒドロキシリトール化合物74は、エナンチオマー性D−およびL−環状硫酸エステルとの反応でエナンチオマーを生成したが、これはキラル化合物75の場合と異なった。この反応の場合、生成物90aおよび90bは、エナンチオマーではなくジアステレオマーである。
主要異性体90aに立体異性を生じさせるスルホニウム中心の立体化学は、やはりNO
ESY実験により確定した。H−1' aプロトンとH−5の間に強いNOE相関が観察された。さらに、H−2' とH−5の間にもNOE相関が存在し、ベンジリデン保護エリトリトール側鎖はH−5と同じ側であることを確認した。H−1axに対するおよびH−6a/H−6bに対するNOEは観察されなかった。従って、化合物90aのスルホニウム中心の絶対配置は、R、すなわち、ジアステレオ異性体90bについて前に見出された硫黄での立体化学と同一であった。(注、配列規則による化合物90aと90bの間のR/S配置の変化は、この場合、硫黄での立体化学の変化を暗示しない)。従って、環状硫酸エステル試薬の配置(71aおよび71b)と無関係に、両方の場合とも、硫黄のアルキル化は化合物75のより障害が少ないβ側から優先的に起こった。
次いで、化合物90aおよび91aを含む混合物を水素化分解にかけ、主として1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]−R−エピスルホニウム−イリデン]−D−グルシトール内部塩R−69aを67%の収率で得た(スキーム20)。
保護基を除去すると、化合物R−69aおよびS−69bは、近接プロトンのカップリング定数で示されるように、立体配座に適合した。この配座は、キシリトール系列で観察されたように、すべての環置換基がエクアトリアル配向に配置される。
4.1.4 標的セレノニウム化合物
テトラヒドロセレナピラン76をHFIP溶媒中でD−環状硫酸エステル71bにカップリングさせ、96%の収率で比率が1:4の2種の化合物92bおよび93bの分離不能な混合物を得た(スキーム21)。これら2つの化合物は、セレニウムステレオジェン中心でのジアステレオ異性体である。アルキル化はセレニウム上で起こり、硫黄についてと同様、C−3ベンジルオキシ基に対してシスまたはC−3ベンジルオキシ基に対してトランスのベンジリデン保護エリトリトール側鎖を与えることができる。NMRデータをスルホニウム類似体88b/89bのデータと比較することによって、およびNOESYスペクトル(以下を参照)を分析することによって、主生成物93bは、ベンジリデン保護エリトリトール側鎖がC−3のベンジルオキシ基に対してトランスである生成物であることが判った。副生成物92bは、ベンジリデン保護エリトリトール側鎖がC−3のベンジルオキシ基に対してシスである生成物であった。奇妙にも、比率は、主要異性体がシス異性体であったテトラヒドロチアピラン生成物88bおよび89bで得られた結果と反対であった。化合物92bおよび93bの両方で観察された優勢な立体配座は、対応するチオ類似体の場合と同様、3つのベンジルオキシ基のすべてをアキシアル配列で配置した配座であり、従って、カップリング定数で証明されるように立体配座が優先した。その立体配座優先の主要異性体93bは、セレノニウムアルキル基をアキシアル位に配置する。化合物92b/93bのチオ類似体と比較してより長いC−Se結合は、セレノニウムアルキル基とC−2とC−4との間のゴーシュ形立体相互作用の厳しさを緩和するに違いない。
次いで、化合物92bおよび93bからなる混合物を水素化分解によって脱保護し、39%の収率でほとんど1種のジアステレオ異性体70bを得た(スキーム21)。収率が低いのは、分解生成物による触媒被毒のためであり、反応は完結できなかった。この主要化合物を、NMR法で特定し、1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]−R−エピセレノニウムイリデン]−キシリトール内部塩R−70bであることが判った。
Figure 0004939934
セレノエーテル76とL−環状硫酸エステル71aとの反応も実施した。生成物は、セレニウムステレオジェン中心での比率が1:3の2つのジアステレオ異性体92aおよび93aの分離不能な混合物であった(スキーム21)。
エナンチオマー93aおよび93bのセレニウムステレオジェン中心の配置は、それらの少量ジアステレオマーを含む化合物の混合物について実施したNOESY実験により確認した。それぞれの場合の主要異性体は、エリトリトール側鎖が立体配座優先でアキシアル位を占める異性体であることが判った。このことは、H−1b' とH−5eqの間の相関、およびH−1' aとH−1eqの間の相関によって立証された。アキシアル優先は、H−1' a/H−1' bとH−5eqの間、およびH−1' a/H−1' bとH−1eqのみの相関を意味する。これは、これらはセレノエーテル環の反対側にあるので、C−1' −Se結合の周りの自由回転によりH−1' aおよびH−1' bプロトンはアキシアルC−1およびC−5プロトンと相互作用できないためである。従って、H−1' a/H−1' bとH−1ax/H−1eqとの間でNOEは期待できない。一方、エクアトリアル優先は、H−1' a/H−1' bとH−1axおよびH−5axの間の、ならびに可能性としてH−1eqおよびH−5eqに対する相関を意味する。従って、化合物93bの場合、セレニウム中心の絶対配置はRであり、エナンチオマー93aの場合の絶対配置はSである。両方の場合とも、エリトリトール側鎖は、C−2およびC−4のベンジルオキシ基に対してシス、C−3ベンジルオキシ基に対してトランスである。
次いで、92aおよび93aからなる混合物を水素化分解により脱保護し、ほとんど1種のジアステレオ異性体70aを25%の収率で得た(スキーム21)。NMR法により主要化合物を特定し、化合物R−70bのエナンチオマーである、所望の1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2S,3S)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]−S−エピセレノニウムイリデン]−キシリトール内部塩S−70aであることが判った。
4.2 サラシノールの鎖延長同族体
サラシノールおよびそのエナンチオおよびジアステレオ異性体の幾つかの合成について上述した。さらに、本発明者らは、延長されたアルジトール側鎖を有するサラシノール同族体を合成するための戦略を開発した。一実施形態において、側鎖は、5または6個の炭素を有することができる。4つのサラシノール同族体94〜97を下に示す。
Figure 0004939934
原則として、所望の化合物は、スルホニウム−硫酸二糖類似体98〜101から得られる可能性がある。このような類似体は、新規な部類の炭水化物誘導体の典型であり、本質的および自発的に興味ある特性を有する可能性がある。これらは、永続的な正電荷が非還元環および結合へテロ原子上に同時に存在する二糖類似体である。かくして、これらは、酵素で触媒されるグリコシド加水分解の遷移状態段階において類似原子上に生じる部分正電荷の模倣物である可能性がある。
Figure 0004939934
本発明者らの合成戦略は、上述のような関連構造に対する本発明者らの利点に使用される戦略と同様とした。この戦略には、スルフィドの求核的攻撃による1,3−環状硫酸エステルの開環が含まれる。この場合、標的構造は、適切な環状硫酸エステル誘導体の利用可能性によってある程度選択された。文献調査により炭水化物誘導体の1,3−環状硫酸エステルを調べ、グルコピラノシド4,6−O−環状硫酸エステル10237および10338、ならびにキシロース誘導体10439およびガラクトース誘導体10540に帰着した。
Figure 0004939934
これらの誘導体は、その第一級炭素において酸素、窒素または硫黄求核試薬と選択的に反応することが判っている。メチルピラノシド102および103は、提案された敏感であるであろうスルホニウム中間体の脱保護に際してのグリコシド結合の加水分解に必要な条件が過酷であると思われたため、採用しなかった。化合物104および105は、より適切であると考えられ、文献法で調製できた。新規な方法で3種の別な環状硫酸エステルを調製できた。ベンジルグルコピラノシドの4,6−環状硫酸エステル107は、既知のベンジルグルコピラノシド10641からシャープレス(Sharpless)法81で調製可能であり、メチルアラビノフラノシドまたはベンジルアラビノフラノシド10842および109を同様に処理して、環状硫酸エステル110および111が得られる(スキーム22)。
鎖延長標的同族化合物を合成するための計画を以下のスキームに示し、一般戦略の実験を環状硫酸エステル105の反応について説明する。
Figure 0004939934
Figure 0004939934
スルフィド117は、以前の研究25から入手可能であり、対応するセレニウム誘導体用に開発された方法26に類似の方法でより簡便に調製できた。化合物117を環状硫酸エステル105と反応させ、保護スルホニウム硫酸塩化合物119を得た(スキーム24)。溶媒は、本発明者らにより上述のようなスルホニウム塩を形成する反応において極めて有利であることが見出された独特な溶媒1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)とした。Pd触媒上でHを用いる水素化分解により化合物119を脱保護し、アノマー混合物としてヘミアセタール誘導体99を得た。水素化ホウ素ナトリウムで混合物を還元して、サラシノールの鎖延長類似体である化合物95を得た。
Figure 0004939934
Figure 0004939934
5.0 実施例
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明することになるが、本発明が特定の実施例に限定するものではないことは明らかであろう。
5.1 実験方法
旋光度を20℃で測定した。H及び13C NMRスペクトルは、それぞれプロトンとカーボンについて400.13と100.6MHzで記録した。全実験は標準Brukerパルスプログラムを使用する二次元H、H(COSYDFTP)又はH、13C(INVBTP)実験を用いて確認した。MALDI−TOF質量スペクトルは、Perseptive Biosystems Voyager−DE計器を用いて、2、5−ジヒドロキシ安息香酸マトリックス中に分散させた試料について得た。クロマトグラフィー用のシリカゲルは、メルク・キーゼルゲル60であった。高分解質量スペクトルは、
10000RPでKratos Concept H二重収束型質量分析計により行ったLSIMS(Fab)であった。
5.2 中間体の調製
5.2.1 参考例1−環状硫酸エステル(7)の調製(スキーム2)
工程1− 2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール(5)
化合物(5)を標準操作法9、10に従って4,6−O−ベンジリデン−D−グルコース(4)から調製した。化合物(5)は、マクドナルド等(MacDonald et al.)10により特性を決定することなく言及された。従って、特性の決定を本明細書において扱った。Mp138〜139℃;[α]−44°(c 1.0、MeOH);H NMR(CDOD):δ7.53〜7.28(5H、m、Ar)、5.53(1H、s、H−5)、4.2(1H、dd、J=10.1,3.6Hz、H−4a)、3.92(1H、dd、J=12.1、1.7Hz、H−1a)、3.74(1H、dd、J=12.1、5.7Hz、H−1b)、3.67〜3.55(3H、m、H−3、H−2、H−4b);13C NMR(100.6MHz、CDOD):δ139.52(Cipso)、129.77(Cpara)、128.99、127.49(4Cortho+meta)、102.36(C−5)、84.22(C−3)、72.21(C−4)、62.76(C−1)、62.59(C−2);MALDI−TOF MS:m/e211(M+H)、233(M+Na)。分析値。C1114に対する計算値:C、62.83;H、6.72。実測値:C、62.96;H、6.55。
工程2 −2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状亜硫酸エステル(6)
ジオール(5)(4.5g、21mmol)及びEtN(11ml、4当量)を乾燥CHCl(90ml)に溶かした溶液を、SOCl(2.4ml、1.5当量)を乾燥CHCl(60ml)に溶かした溶液に、N雰囲気下、氷浴中で撹拌しながら滴下した。TLC(hex:EtOAc、4:1)が出発物質の完全消失を示すまで、0℃で撹拌を継続した。混合物をCHCl(150ml)で希釈し、HO(150ml)及び塩水(150ml)で洗浄した。有機溶液を乾燥(NaSO)し、ロータリーエバポレーターにより濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー[hex:EtOAc、4:1+0.1%EtN]により精製して二つのジアステレオマーの混合物を得た(4.5g、82%)。異性体の一つをEtOAc:hexから選択的に再結晶化した。Mp137〜139℃;[α]+32°(c 1.0、CHCl);H NMR(CDCl):δ7.48〜7.36(5H、m、Ar)、5.68(1H、s、H−5)、5.04(1H、ddd、J=10.4、9.5、5.0Hz、H−3)、4.80(1H、dd、J=10.4、10.4Hz、H−1a)、4.24(1H、dd、J=10.5、5.0Hz、H−4e)、4.18(1H、ddd、J=10.4、9.5、4.8Hz、H−2)、4.06(1H、dd、J=10.4、4.8Hz、H−1e)、3.89(1H、dd、J=10.5、10.4Hz、H−4a);13
NMR(100.6MHz、CDCl):δ137.14(Cipso)、129.74(Cpara)、128.65、126.50(4Cortho+meta)、102.72(C−5)、73.56(C−2)、68.16(C−4)、63.90(C−3)、60.18(C−1)。分析値。C1112Sに対する計算値:C、51.55;H、4.72。実測値:C、51.80;H、4.66。
工程3− 2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル(7)
環状亜硫酸エステル(6)(3.5g、14mmol)をMeCN(50ml)とCCl(50ml)の混合物に溶かし、NaIO(4.1g、1.5当量)とRuCl・HO(50mg)を加えた後、HO(50ml)を添加した。TLC(hex:E
tOAc、4:1)が出発物質の完全消失を示すまで、混合物を室温で激しく撹拌した。混合物をEtO(200ml)で希釈し、HO(200ml)及び塩水(200ml)で洗浄した。有機溶液を乾燥(NaSO)し、ロータリーエバポレーターにより濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー[hex:EtOAc、4:1+0.1%EtN]により精製して白色固体を得た(3.5g、95%)。生成物の1部をEtOAc:hexから再結晶化した。Mp115〜125℃(分解);[α]+4°(c
1.0、CHCl);H NMR(CDCl):δ7.48〜7.37(5H、m、Ar)、5.65(1H、s、H−5)、4.86(1H、ddd、J=10.2、9.8、5.0Hz、H−3)、4.76(1H、dd、J=10.7、10.5Hz、H−1a)、4.65(1H、dd、J=10.5、5.0Hz、H−1e)、4.44(1H、dd、J=10.5、5.0Hz、H−4e)、4.25(1H、ddd、J=10.7、9.8、5.0Hz、H−2)、3.97(1H、dd、J=10.5、10.2Hz、H−4a);13C NMR(100.6MHz、CDCl):δ136.32(Cipso)、130.03(Cpara)、128.74、126.52(4Cortho+meta)、102.98(C−5)、75.74(C−3)、73.19(C−1)、71.68(C−2)、67.64(C−4);MALDI−TOF MS:m/e273(M+H)、分析値。C1112Sに対する計算値:C、48.52;H、4.45。実測値:C、48.43;H、4.39。
5.2.2 参考例2− チオ−アラビニトールの調製(スキーム4)
1,4−アンヒドロ−2,3,5−トリ−O−ベンジル−4−チオ−D−アラビニトール(12)
1,4−アンヒドロ−3−O−ベンジル−4−チオ−D−アラビニトール(1.0g、4.2mmol)及び60%NaH(0.85g、5当量)をDMF(20ml)中で混合した混合物を、氷浴中、1時間撹拌した。臭化ベンジル(1.9ml、3.8当量)をDMF(5ml)に溶かした溶液を加え、溶液を室温で3時間撹拌した。混合物を氷水(150ml)に加え、EtO(150ml)で抽出した。有機溶液を乾燥(NaSO)し、濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー[hex:EtOAc、4:1]により精製してシロップを得た(1.6g、90%)。[α]+5°(c 1.6、CHCl);H NMR(CDCl):δ7.38〜7.23(15H、m、Ar)、4.64〜4.45(6H、m、CHPh)、4.19(1H、dd、J=8.9、4.6Hz、H−2)、4.11(1H、dd、J=7.2、3.8Hz、H−3)、3.69(1H、dd、J=8.8、7.6Hz、H−5a)、3.57(1H、ddd、J=7.5、6.4、3.6Hz、H−4)、3.50(1H、dd、J=8.9、6.3Hz、H−5b)、3.08(1H、dd、J=11.4、5.1Hz、H−1a)、2.91(1H、dd、J=11.4、4.6Hz、H−1b)。13C NMR(100.6MHz、CDCl):δ138.16、138.06、137.88(3Cipso)、128.40〜127.59(15CAr)、85.08(C−3)、85.04(C−2)、73.01(CHPh)、72.34(C−5)、71.85、71.50(2CHPh)、48.99(C−4)、33.10(C−1)。分析値。C2628Sに対する計算値:C、74.25;H、6.72。実測値:C、74.18;H、6.53。
5.2.3 参考例3−セレノ−アラビニトールの調製(スキーム6)
1、4−アンヒドロ−2、3、5−トリ−O−ベンジル−4−セレノ−D−アラビニトール(20)
セレニウム金属(1.1g、14mmol)を−50℃浴中の液体NH(60ml)に添加し、青色が出現するまで小片のNa(0.71g)を加えた。小部分のセレニウム(20mg)を加えて、青色を除去した。水浴中で加温することによりNHを除去し、次いでDMFを添加し、高真空下でNHの残りを除去した。メシル化化合物(18)(7.4g、12.7mmol)をDMF(100ml)に溶かした溶液を添加し、混合物を、N下、70℃浴中で3時間撹拌した。混合物を冷却し、溶媒を高真空下で除去した。生成物をCHCl(150ml)と水(50ml)間で分配し、有機溶液を水(50ml)及び塩水(50ml)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。生成物をフラッシュクロマトグラフィー[hex:EtOAc、3:1]により精製して黄色の油を得た(4.74g、80%)。
[α]+22°(c 1.3、CHCl);H NMR(CDCl):δ7.22〜7.48(15H、m、Ar)、4.67、4.61(2H、2d、J=11.8Hz、CHPh)、4.56、4.48(2H、2d、J=12.1Hz、CHPh)、4.53、4.50(2H、2d、CHPh)、4.22(1H、dd、J=10.1、5.1Hz、H−2)、4.07(1H、dd、J=4.6、4.6Hz、H−3)、3.85(1H、dd、J=9.2、7.6Hz、H−5a)、3.77(1H、ddd、J=7.5、6.9、4.5Hz、H−4)、3.53(1H、dd、J=9.1、6.8Hz、H−5b)、3.11(1H、dd、J=10.4、5.1Hz、H−1a)、2.96(1H、dd、J=10.4、5.3Hz、H−1b)。13C NMR(100.6MHz、CDCl):δ138.24、138.21、138.06(3Cipso)、128.40〜127.60(15CAr)、85.93(C−2)、85.63(C−3)、72.96(C−5、CHPh)、72.14、71.50(2CHPh)、42.59(C−4)、23.96(C−1)。分析値。C2628Seに対する計算値:C、66.65;H、6.03。実測値:C、66.49;H、6.05。
5.2.4 参考例4− 保護スルホニウム、セレニウム及びアンモニウム硫酸エステル(21)、(22)、(24)、(26)、(27)、(28)、(30)、(31)を合成する一般操作法(スキーム7〜14)
チオ、アザ又はセレノ糖(3mmol)及び環状硫酸エステル(1.2当量)を乾燥アセトン((21)、(22)、(24)、(26)、(27)及び(28)の場合)又は乾燥メタノール((30)及び(31)の場合)に溶かし、無水KCO(7mg)を加えた。混合物を油浴(75℃)中、Caries管内で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
1−((1' ,4' −アンヒドロ−2' ,3' ,5' −トリ−O−ベンジル−4' −チオ−D−アラビニトール)−4' −S−イル)−2、4−O−ベンジリデン−1−デオキシ−L−エリトリトール−3−硫酸エステル(21)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、10:1+0.1%EtN]により、無定形固定物を得た(33%)。[α]−11.9°(c 1.7、CHCl);H NMR(CDCl):δ7.49〜7.12(20H、m、Ar)、5.54(1H、s、H−5)、4.59(1H、ddd、J=9.9、5.4、4.5Hz、H−3)、4.55〜4.33(8H、m、4CHPh、H−2' 、H−4a、H−1a、H−3' )、4.29(1H、dt、J=9.5、3.0Hz、H−2)、4.25と4.15(2H、2d、J=11.9Hz、CHPh)、4.04(1H、m、H−1' a)、4.02〜3.95(2H、m、H−4' 、H−1b)、3.78(1H、dd、J=10.7、10.7Hz、H−4b)、3.74(1H、dd、J=13.6、3.8Hz、H−1' b)、3.62(1H、dd、J=9.9、8.6Hz、H−5' a)、3.54(1H、dd、J=9.9、7.2Hz、H−5' b);13C NMR(100.6MHz、CDCl):δ137.34、137.24、136.56、136.39(4Cipso)、129.73〜126.62(20CAr)、101.95(C−5)、83.75(C−3' )、82.82(C−2' )、76.80(C−2)、73.73、72.84、72.52(3CHPh)、69.54(C−4)、67.01(C−5' )、66.48(C−3)、65.27(C−4'
)、49.67(C−1)、48.28(C−1' );MALDI−TOF MS:m/e693(M+H)。分析値。C3740に対する計算値:C、64.14;H、5.82。実測値:C、63.88;H、5.83。
1−((1' ,4' −アンヒドロ−2' ,3' ,5' −トリ−O−ベンジル−4' −チオ−D−アラビニトール)−4' −S−イル)−2,4−O−ベンジリデン−1−デオキシ−D−エリトリトール−3−硫酸エステル(22)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、10:1+0.1%EtN]により、無定形の固体を得た(79%)。[α]−46.9°(c 0.65、CHCl);H NMR(CDCl):δ7.43〜7.10(20H、m、Ar)、5.49(1H、s、H−5)、4.62〜4.34(11H、m、CHPh、H−3、H−4a、H−2' 、H−1a、H−3' )、4.30〜4.21(2H、m、H−2、H−4' )、3.96(1H、dd、J=9.7、6.2Hz、h−5' a)、3.90(1H、dd、J=13.3、3.4Hz、H−1b)、3.82(1H、dd、J=9.8、9.8Hz、H−5' b)、3.79〜3.71(2H、m、H−1' a、H−4b)、3.51(1H、dd、J=13.2、3.9Hz、H−1' b);13C NMR(100.6MHz、CDCl):δ137.62、137.27、136.48、136.29(4Cipso)、129.80〜126.56(20CAr)、102.16(C−5)、84.25(C−3' )、82.56(C−2' )、77.07(C−2)、74.02、72.74(3CHPh)、69.75(C−4)、67.19(C−5' )、66.82(C−3)、65.76(C−4' )、50.41(C−1)、49.60(C−1' );MALDI−TOF MS:m/e693(M+H)。分析値。C3740に対する計算値:C、64.14;H、5.82。実測値:C、64.16;H、5.73。
1−((1' ,4' −アンヒドロ−2' ,3' ,5' −トリ−O−ベンジル−4' −チオ−L−アラビニトール)−4' −S−イル)−2、4−O−ベンジリデン−1−デオキシ−D−エリトリトール−3−硫酸エステル(24)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、10:1+0.1%EtN]により、無定形の固体を得た(40%)。[α]+14.3°(c 1.4、CHCl);H NMR(CDCl):δ7.49〜7.12(20H、m、Ar)、5.55(1H、s、H−5)、4.60(1H、ddd、J=9.8、5.5、4.5Hz、H−3)、4.55〜4.44(5H、m、3CHPh、H−2' 、H−4a)、4.42(1H、dd、J=13.3、2.3Hz、H−1a)、4.39〜4.34(2H、m、CHPh、H−3' )、4.28(1H、dt、J=9.8、2.9Hz、H−2)、4.24と4.14(2H、2d、J=11.9Hz、CHPh)、4.10(1H、d、J=13.4Hz、H−1' a)、3.98〜3.90(2H、m、H−4' 、H−1b)、3.78(1H、dd、J=10.5、10.5Hz、H−4b)、3.67(1H、dd、J=13.4、3.8Hz、H−1' b)、3.62(1H、dd、J=9.9、8.7Hz、H−5' a)、3.53(1H、dd、J=9.9、7.2Hz、H−5' b);13C NMR(100.6MHz、CDCl):δ137.32、137.26、136.48、136.25(4Cipso)、129.79〜126.64(20CAr)、102.06(C−5)、83.96(C−3' )、82.74(C−2' )、76.93(C−2)、73.81、72.97、72.57(3CHPh)、69.59(C−4)、67.07(C−5' )、66.36(C−3)、66.31(C−4' )、49.96(C−1)、48.52(C−1' )。分析値。C3740に対する計算値:C、64.14;H、5.82。実測値:C、64.13;H、5.74。
1−((1' ,4' −アンヒドロ−3' −O−ベンジル−4' −チオ−D−アラビニト
ール)−4' −S−イル)−2、4−O−ベンジリデン−1−デオキシ−L−エリトリトール−3−硫酸エステル(26)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、10:1+0.1%EtN]により、無定形の固体を得た(32%)。H NMR(CDCl):δ7.49〜7.26(10H、m、Ar)、6.22(1H、d、J=4.4Hz、2' −OH)、5.54(1H、s、H−5)、4.96(1H、br−s、H−2' )、4.64(1H、d、J=11.6Hz、CHPh)、4.64〜4.62(1H、m、5' −OH)、4.56(1H、d、J=11.6Hz、CHPh)、4.54〜4.48(1H、m、H−3)、4.46(1H、dd、J=10.5、5.4Hz、H−4a)、4.33〜4.25(3H、m、H−3' 、H−2、H−1' a)、4.12(1H、dd、J=13.5、2.6Hz、H−1a)、4.12〜4.09(1H、m、H−4' )、4.01(1H、dd、J=13.5、3.4Hz、H−1b)、3.92〜3.82(2H、m、H−5' a、H−5' b)、3.78(1H、dd、J=10.5、10.1Hz、H−4b)、3.67(1H、dd、J=13.5、3.9Hz、H−1' b);13C NMR(100.6MHz、CDCl):δ136.92、136.73(2Cipso)、129.97〜126.61(10CAr)、102.32(C−5)、88.45(C−3' )、76.61(C−2)、76.22(C−2' )、72.96(CHPh)、71.24(C−4' )、69.27(C−4)、66.96(C−3)、60.51(C−5' )、52.43(C−1' )、48.30(C−1);MALDI−TOF MS:m/e513(M+H)。分析値。C2328に対する計算値:C、53.89;H、5.51。実測値:C、53.64;H、5.34。
1−((1' ,4' −アンヒドロ−2' ,3' ,5' −トリ−O−ベンジル−4' −セレノ−D−アラビニトール)−4' −Se−イル)−2,4−O−ベンジリデン−1−デオキシ−L−エリトリトール−3−硫酸エステル(27)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、15:1]により、無定形の固体を得た(86%)。NMRは、セレニウムステレオジェン中心で二つの異性体(7:1)の存在を示した。これらの異性体は、分析HPLC[アセトニトリル/HO]で分離した。分析値。C3740SSeに対する計算値:C、59.99;H、5.45。実測値:C、59.91;H、5.44。
1−((1' ,4' −アンヒドロ−2' ,3' ,5' −トリ−O−ベンジル−4' −セレノ−D−アラビニトール)−4' −Se−イル)−2、4−O−ベンジリデン−1−デオキシ−D−エリトリトール−3−硫酸エステル(28)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、15:1]により、無定形の固体を得た(96%)。NMRは、セレニウムステレオジェン中心で二つの異性体(3:1)の存在を示した。これらの異性体は、分析HPLC[アセトニトリル/HO]により分離した。分析値。C3740SSeに対する計算値:C、59.99;H、5.45。実測値:C、59.91;H、5.37。
1−((1' ,4' −ジデオキシ−1' ,4' −イミノ−D−アラビニトール)−4' −N−イル)−2、4−O−ベンジリデン−1−デオキシ−L−エリトリトール−3−硫酸エステル(30)
1,4−ジデオキシ−1,4−イミノ−D−アラビニトール(19)(100mg、0.7mmol)と2、4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル(10)(235mg、1.2当量)の混合物を乾燥MeOH(0.5ml)に溶かし、無水KCO(15mg)を加えた。混合物を油浴(75℃)中、Caries管内で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、4.5:1]により、無定形の固体を得た(219mg、72%
)。H NMR(CDOD):δ7.53〜7.30(5H、m、Ar)、5.61(1H、s、H−5)、4.53(1H、dd、J=11.1、5.2Hz、H−4a)、4.25(1H、m、H−2)、4.20(1H、ddd、J=9.8、5.2、4.4Hz、H−3)、4.11(1H、br−s、H−2' )、3.99〜3.84(4H、m、H−1a、H−3' 、H−5' a、H−5' b)、3.82(1H、dd、J=10.7、9.8Hz、H−4b)、3.58(1H、m、H−1' a)、3.55〜3.42(2H、m、H−1' b、H−4' )、3.38(1H、m、H−1b);13C NMR(100.6MHz、CDOD):δ138.72(Cipso)、130.12(Cpara)、129.21、127.39(4Cortho+meta)、102.33(C−5)、78.01(C−4' 、C−3' 、C−2)、76.31(C−2' )、70.29(C−4)、69.02(C−3)、62.64(C−1' )、60.51(C−5' )、58.46(C−1);MALDI−TOF MS:m/e428(M+Na)、406(M+H);HRMS(高分解能質量分析).C1623SN(M+H)に対する計算値:406.1179。実測値:406.1192。
1−((1' 、4' −ジデオキシ−1' 、4' −イミノ−L−アラビニトール)−4' −N−イル)−2、4−O−ベンジリデン−1−デオキシ−D−エリトリトール−3−硫酸エステル(31)
1,4−ジデオキシ−1,4−イミノ−L−アラビニトール(16)(80mg、0.6mmol)及び2、4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル(7)(190mg、1.2当量)の混合物を乾燥MeOH(0.5ml)に溶かし、無水KCO(10mg)を加えた。混合物を油浴(75℃)中、Caries管内で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、5:1]により、無定形の固体を得た(175mg、72%)。H NMR(CDOD):δ7.52〜7.31(5H、m、Ar)、5.62(1H、s、H−5)、4.53(1H、dd、J=10.9、5.2Hz、H−4a)、4.28(1H、m、H−2)、4.20(1H、ddd、J=9.7、5.1、4.6Hz、H−3)、4.14(1H、br−s、H−2' )、4.03(1H、m、H−1a)、3.98〜3.84(3H、m、H−3' 、H−5' a、H−5' b)、3.81(1H、dd、J=10.9、10Hz、H−4b)、3.63(1H、m、H−1' a)、3.55〜3.42(2H、m、H−1' b、H−4' )、3.38(1H、m、H−1b);13C NMR(100.6MHz、CDOD):δ138.66(Cipso)、130.15(Cpara)、129.23、127.40(4Cortho+meta)、102.34(C−5)、77.81(C−4' )、77.52(C−3' 、C−2)、76.19(C−2' )、70.27(C−4)、68.92(C−3)、62.68(C−1' )、60.41(C−5' )、58.61(C−1);MALDI−TOF MS:m/e428(M+Na)、406(M+H)。
5.2.4.1 参考例4.1−サラシノール(1)の代替合成のための一般手順(スキーム10(a)〜10(c))
2,3,5−トリ−O−ベンジル−1,4−ジデオキシ−1,4−[[(2S,3S)−2,4−ジ−(ベンジルオキシ)−3−スルホキシ)ブチル]−エピスルホニウムイリデン]−D−アラビニトール内部塩(42)
無水KCO(16mg、0.10ミリモル)を含むアセトンまたはHFIP(0.5mL)中、チオエーテル3325(270mg、0.64ミリモル)および2,4−ジ−O−ベンジル−1,3−環状硫酸エステル(41)15,26(280mg、0.77ミリモル)の混合物を、油浴(75〜80℃)に浸けた封管中で14時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、溶離液として(CHCl:MeOH、10:1)を用いるカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物42を無定形固体として、アセトンでは5%(29mg)、HFIPでは45%(229mg)の収率で得た。R 0.40(CHCl:MeOH,10:1);[α]−26°(c 1.3,CHCl);H NMR(CDCl):δ7.38〜7.05(25H,m,Ar)、4.67および4.45(2H,2d,JA,B=11.8Hz,CHPh)、4.60および4.45(2H,2d,JA,B=9.5Hz,CHPh)、4.59および4.44(2H,2d,JA,B=11.2Hz,CHPh)、4.58(1H,dt,J2’,3’=5.0Hz,H−3’)、4.42および4.28(2H,2d,JA,B=11.0Hz,CHPh)、4.36(1H,m,H−2)、4.32(1H,ddd,J=1.7,4.1,6.3Hz,H−2’)、4.30および4.20(2H,2d,JA,B=11.7Hz,CHPh)、4.23(1H,m,H−3)、4.13(1H,dd,J1’a,1’b=13.4,J1’a,2’=2.0Hz,H−1’a)、4.05(1H,d,J2,3=13.3Hz,H−1a)、4.00(1H,dd,J4’a,4’b=11.1,J3’,4’a=2.7Hz,H−4’a)、3.86(1H,dd,J3’,4’b=2.4,J4’a,4’b=11.3Hz,H−4’b)、3.71(1H,brt,J=9.2Hz,H−4)、3.69(1H,dd,J1’b,2’=3.8,J1’b,1’a=9.2Hz,H−1’b)、3.60(1H,dd,J1a,1b=13.5,J1b,2=3.8Hz,H−1b)、3.51(1H,dd,J5a,5b=13.6,J4,5a=9.7Hz,H−5a)、3.49(1H,dd,J4,5b=9.7Hz,H−5b);13C NMR(CDCl):δ137.97、136.77、136.71、136.05および135.77(5×Cipso Ph)、128.81〜127.66(25C,Ph)、83.14(C−3)、81.65(C−2)、74.59(C−3’)、73.81、73.53、3.39、72.12、71.84(5×CHPh)、73.10(C−2’)、68.79(C−4’)、66.62(C−5)、65.53(C−4)、50.89(C−1’)、48.07(C−1)。MALDI−TOF MS:m/e 785.41(M+H)、808.32(M+Na)。元素分析:C4448の計算値:C,67.32;H,6.16。実測値:C,67.36;H,6.10。
2,3,5−トリ−O−ベンジル−1,4−ジデオキシ−1,4−[[(2S,3S)−2,4−O−ベンジリデン−3−(スルホオキシ)ブチル]−エピスルホニウムイリデン]−D−アラビニトール(35)
CO(13mg、0.09ミリモル)を含むアセトンまたはHFIP(0.5mL)中、チオエーテル3325(260mg、0.62ミリモル)および2,4−ジ−O−ベンジリデン−1,3−環状硫酸エステル(34)25(200mg、0.74ミリモル)の混合物を、上記と同様に処理し、表題化合物3525を無定形固体として、アセトンでは59%(252mg)、HFIPでは94%(406mg)の収率で得た。
1,4−アンヒドロ−2,3,5−トリ−O−(p−メトキシベンジル)−4−チオ−D−アラビニトール(43)
THF(15mL)中の1,4−アンヒドロ−4−チオ−D−アラビニトール3825(0.98g、6.52ミリモル)と60%NaH(1.56g、39.15ミリモル、6当量)の氷冷混合物に、p−メトキシベンジルクロリド(4.59g、29.34ミリモル、4.5当量)のTHF(10mL)溶液を30分に渡って添加した。反応混合物を室温になるまで放置、さらに1時間撹拌し、その後55℃で12時間加熱した。反応混合物を冷却し、氷水(150mL)に注ぎ、EtO(150mL)で抽出した。有機層を乾燥(NaSO)し、濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:EtOAc、7:3]で精製して無色のシロップを得た(2.96g、87%)。[α]+6°(c 1,CHCl);H NMR(CDCl):δ7.20〜6.80(12H,m,Ar)、4.55(2H,s,CHPh)、4.48および4.45(2H,2d,JA,B=11.7Hz,CHPh)、4.42および4.39(2H,2d,JA,B=12.0Hz,CHPh)、4.13(1H,dd,J1a,2=4.
6,J2,3=9.1Hz,H−2)、4.05(1H,dd,J2,3=J3,4=3.7Hz,H−3)、3.81(3H,s,OCH)、3.79(3H,s,OCH)、3.76(3H,s,OCH)、3.64(1H,dd,J5a,5b=8.9,J4,5a=7.5Hz,H−5a)、3.50(1H,ddd,J4,5b=6.3Hz,H−4)、3.45(1H,dd,H−5b)、3.04(1H,dd,J1a,1b=11.4,J1a,2=5.2Hz,H−1a)、2.85(1H,dd,H−1b)。13C NMR(CDCl):δ159.24、159.16(3Cpara)、130.31、130.19、130.01(3Cipso)、129.48、129.28、129.22(6Cortho)、113.80、113.74(6Cmeta)、84.77(C−3)、84.70(C−2)、72.66、71.49、71.20(3×CHPh)、72.15(C−5)、55.24(3×OCH)、48.96(C−4)、33.07(C−1)。元素分析:C2934Sの計算値:C,68.21;H,6.71。実測値:C,67.99;H,6.69。
2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−1,4−ジデオキシ−1,4−[[(2S,3S)−2,4−ベンジリデンジオキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−エピスルホニウムイリデン]−D−アラビニトール内部塩(44)
無水KCO(30mg)を含むHFIP(2.5mL)中、チオエーテル43(1.50g、2.94ミリモル)および環状硫酸エステル34(0.96g、1.2当量)の混合物を、油浴(55℃)に浸けた封管中で一夜撹拌した。TLC分析(CHCl:MeOH、10:1)により、チオエーテル43が完全に消費されたことが判った。溶媒を減圧下で除去し、カラムクロマトグラフィー(CHClからCHCl:MeOH=10:1までのグラジエント)で生成物を精製し、化合物13を無色の泡状物として得た(2.3g、100%)。[α]−10.5°(c 1.1,CHCl);H NMR(CDCl):δ7.51〜6.81(17H,m,Ph)、5.53(1H,s,CCH)、4.57(1H,ddd,J2' ,3' =J3' ,4' ax=10.0,J3' ,4' eq=5.5Hz,H−3' )、4.49(1H,dd,J4' ax,' eq=10.8Hz,H−4' eq)、4.44(2H,s,CHPh)、4.42〜4.39(1H,m,H−2)、4.39および4.29(2H,2d,JA,B=11.4Hz,CHPh)、4.33(1H,dd,J1' a,2' =13.4,J1' a,2' =2.6Hz,H−1' a)、4.29〜4.26(1H,m,H−3)、4.26(1H,ddd,H−2' )、4.19および4.09(2H,2d,JA,B=11.5Hz,CHPh)、4.03(1H,br d,J1a,2<1Hz,H−1a)、3.96〜3.89(2H,m,H−4,H−1' b)、3.80(3H,s,OCH)、3.79(3H,s,OCH)、3.78(3H,s,OCH)、3.77(1H,dd,H−4' ax)、3.63(1H,dd,J1a,1b=13.3,J1b,2=3.8Hz,H−1b)、3.58(1H,dd,J5a,5b=9.9,J4,5a=8.5Hz,H−5a)、3.49(1H,dd,J4,5b=7.3Hz,H−5b);13C NMR(CDCl):δ160.30、160.23、159.97、137.20および130.27〜126.61(21×C,Ph)、114.45、114.36および114.18(3×Cipso,OMBn)、101.96(PHCH)、83.29(C−3)、82.37(C−2)、76.76(C−2' )、73.36、72.43、および72.14(3×CHPh)、69.50(C−4' )、66.71(C−5)、66.55(C−4)、66.45(C−3' )、55.61(3C,3×OCH)、49.55(C−1' )、48.48(C−1)。元素分析:C404612の計算値:C,61.36;H,5.92。実測値:C,61.13;H,6.00。
1,4−ジデオキシ−1,4−[[(2S,3S)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−エピスルホニウムイリデン]−D−アラビニトール内部塩(1)
化合物13(2.30g、2.94ミリモル)をトリフルオロ酢酸(24mL)に溶解し、撹拌しながら水(2.4mL)を添加した。混合物を室温で0.5時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、ガム状残留物をCHCl(3×20mL)で洗浄した。水(15mL)を添加して粗生成物を溶解し、次いで、減圧下で蒸発させて残存する痕跡量の酸を除去した。サラシノール1をMeOHで結晶化した(0.67g、68%)。母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:HO、7:3:1)で精製して、さらなるサラシノール1(0.18g、18%)を白色固体として得た。
5.2.5 参考例5− 保護スルホニウム硫酸エステル(スキーム7〜10)とアンモニウム硫酸エステル(スキーム13〜14)を脱保護する一般操作法
保護化合物をAcOH:HO、4:1(3ml)に溶解し、H(52psi)下、Pd−C(80mg)と共に撹拌した。60時間後、反応混合物をセライトパッドでろ過し、その後、MeOHで洗浄した。ろ液を合わせて濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
1−((1' ,4' −アンヒドロ−4' −チオ−D−アラビニトール)−4' −S−イル)−1−デオキシ−L−エリトリトール−3−硫酸エステル(1)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH:HO、7:3:1]により、無定形の固体を得た(67%)。[α]+2.1°(c 0.48、MeOH);H NMR(ピリジン−d5):δ5.25(1H、ddd、J=7.4、3.8、3.6Hz、H−3)、5.14〜5.09(2H、m、H−3' 、H−2' )、5.00(1H、m、H−2)、4.78(1H、dd、J=13.0、4.9Hz、H−1a)、4.70(1H、m、H−4' )、4.63(1H、dd、J=13.0、4.0Hz、H−1b)、4.61(1H、dd、J=11.8、3.7Hz、H−4a)、4.53(2H、m、H−5' a、H−5' b)、4.38(1H、dd、J=11.8、3.8Hz、H−4b)、4.32(2H、br−s、H−1' a、H−1' b);13C NMR(100.6MHz、ピリジン−d5):δ79.14(C−3)、79.06(C−3' )、78.18(C−2' )、72.30(C−4' )、67.44(C−2)、62.05(C−4)、59.98(C−5' )、52.46(C−1)、50.35(C−1' )。HRMS.C18(M+H)に対する計算値:335.0471。実測値:335.0481。
1−((1' ,4' −アンヒドロ−4' −チオ−D−アラビニトール)−4' −S−イル)−1−デオキシ−D−エリトリトール−3−硫酸エステル(23)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH:HO、7:3:1]により、無定形の固体を得た(59%)。[α]−35.6°(c 0.86、MeOH);H NMR(ピリジン−d5):δ5.19(1H、ddd、J=8.0、4.1,3.6Hz、H−3)、5.17〜5.12(2H、m、H−2' 、H−3' )、5.00(1H、ddd、J=8.0、5.3、4.1Hz、H−2)、4.83(1H、dd、J=13.0、5.1Hz、H−1a)、4.78(1H、m、H−4' )、4.65(1H、dd、J=11.9、3.8Hz、H−4a)、4.64〜4.57(2H、m、H−5' a、H−5' b)、4.53(1H、dd、J=13.0、4.1Hz、H−1b)、4.40(1H、dd、J=11.9、3.8Hz、H−4b)、4.29(1H、dd、J=12.7、3.9Hz、H−1' a)、4.17(1H、dd、J=12.7、2.6Hz、H−1' b);13C NMR(100.6MHz、ピリジン−d5):δ79.46(C−3)、79.38(C−3' )、78.94(C−2' )、71.94(C−4' )、67.52(C−2)、62.02(C−4)、60.26(C−5' )、52.64(C−1)、51.01(C−1' )。HRMS.C18(M+H)に対する計算値:335.0471。実測値:335.0486。
1−((1' ,4' −アンヒドロ−4' −チオ−L−アラビニトール)−4' −S−イル)−1−デオキシ−D−エリトリトール−3−硫酸エステル(25)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH:HO、7:3:1]により、無定形の固体を得た(80%)。[α]+1.1°(c 1.5、MeOH);H NMR(ピリジン−d5):δ5.23(1H、ddd、J=7.4、3.8、3.7Hz、H−3)、5.11(1H、m、H−3' )、5.10(1H、m、H−2' )、4.98(1H、m、H−2)、4.76(1H、dd、J=11.7、3.7Hz、H−1a)、4.70(1H、m、H−4' )、4.63(1H、dd、J=11.7、3.8Hz、H−1b)、4.60(1H、dd、J=11.8、3.7Hz、H−4a)、4.51(2H、m、H−5' a、H−5' b)、4.35(1H、dd、J=11.8、4.0Hz、H−4b)、4.31(2H、m、H−1' a、H−1' b);13C NMR(100.6MHz、ピリジン−d5):δ79.38(C−3、C−2' )、78.41(C−3' )、72.51(C−4' )、67.63(C−2)、62.23(C−4)、60.21(C−5' )、52.60(C−1)、50.57(C−1' )。HRMS.C18(M+H)に対する計算値:335.0471。実測値:335.0466。
1−((1' ,4' −ジデオキシ−1' ,4' −イミノ−D−アラビニトール)−4' −N−イル)−1−デオキシ−L−エリトリトール−3−硫酸エステル(2)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH:HO、7:3:1]により、無定形の固体を得た(64%)。H NMR(CDOD):δ4.26〜4.20(2H、m、H−2、H−3)、4.15(1H、m、H−2' )、3.98(1H、br−s、H−3' )、3.94〜3.87(3H、m、H−5' a、H−5' b、H−4a)、3.81(1H、dd、J=12.0、3.5Hz、H−4b)、3.74〜3.62(2H、m、H−1a、H−1' a)、3.49〜3.42(1H、m、H−1' b)、3.40〜3.35(1H、m、H−4' )、3.15(1H、m、H−1b);13C NMR(100.6MHz、CDOD):δ81.17(C−3)、78.27(C−3' )、77.86(C−4' )、76.19(C−2' )、68.07(C−2)、62.57(C−1' )、61.67(C−4)、60.72(C−1、C−5' )。HRMS.C18SN(M+H)に対する計算値:318.0859。実測値:318.0863。
1−((1' ,4' −ジデオキシ−1' ,4' −イミノ−L−アラビニトール)−4' −N−イル)−1−デオキシ−D−エリトリトール−3−硫酸エステル(32)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH:HO、7:3:1]により、無定形の固体を得た(77%)。H NMR(CDOD):δ4.25(1H、m、H−2)、4.23(1H、m、H−3)、4.16(1H、br−s、H−2' )、3.99(1H、br−s、H−3' )、3.94〜3.87(3H、m、H−5' a、H−5' b、H−4a)、3.81(1H、dd、J=12.1,3.6Hz、H−4b)、3.77〜3.64(2H、m、H−1a、H−1' a)、3.55〜3.39(2H、m、H−1' b、H−4' )、3.22(1H、m、H−1b);13C NMR(100.6MHz、CDOD):δ81.18(C−3)、78.23(C−3' 、C−4' )、76.10(C−2' )、68.05(C−2)、62.66(C−1' )、61.88(C−4)、60.49(C−1、C−5' )。HRMS.C18SN(M+H)に対する計算値:318.0859。実測値:318.0856。
5.2.6 参考例6−ブリントール(3)の代替合成のための一般手順(スキーム12a〜12f)
1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−キシロフラノース(49)
L−キシロース(5.00g、33.3ミリモル)、ホウ酸(4.50g、73.2ミリモル)、および氷酢酸(100mL)を250mL丸底フラスコに仕込んだ。混合物を、L−キシロースおよびホウ酸が酢酸に溶解するまで80℃で撹拌した。無水酢酸(50mL)を添加し、反応混合物を75℃で4時間撹拌した。TLC(EtOAc:MeOH:HO、10:3:1)で分析すると、L−キシロースが完全に消費されたことが判った。次いで、反応混合物にMeOHを添加し、そして反応混合物を濃縮し、暗橙褐色のシロップを得た。このシロップに無水酢酸(50mL)およびピリジン(50mL)を添加し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。橙褐色混合物を砕氷中に注ぎ、EtO(100mL)で抽出した。有機層を、飽和NaHCO水溶液(50mL)、HCl水溶液、水、および飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、黄色シロップとなるまで濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、2:1)で精製すると、テトラ−O−アセチルキシロフラノース49(α:β比率は1:23)が無色のシロップとして得られた(9.01g、85%)。β異性体(主要物)のデータ。
H NMR(CDCl):δ6.08(1H,s,H−1)、5.35(1H,dd,J2,3=1.7,J3,4=5.6Hz,H−3)、5.18(1H,d,J1,2<1Hz,H−2)、4.62(1H,dd,J4,5a<1,J4,5b=12.1Hz,H−4)、4.22(2H,m,H−5a,H−5b)、2.10、2.09、2.08、および2.04(12H,4s,COCH)。13C NMR(CDCl):d 170.71、169.69、169.52、169.43(4×C=O,OAc)、99.01(C−1)、80.03(C−2)、79.58(C−3)、74.43(C−4)、62.54、(C−5)、21、33、20.97、20.82、20.68(4×CH,OAc)。元素分析:C1318の計算値:C,49.06;H,5.70。実測値:C,48.93;H,5.84。
4−ペンテニル−2,3,5−トリ−O−アセチル−L−キシロフラノシド(50)
テトラ−O−アセチルキシロフラノース49(5.00g、17.7ミリモル)、CHCl(100mL)、4−ペンテン−1−オール(9.1mL、88ミリモル)、および破砕モレキュラーシーブ(4Å、2g)を250mL丸底フラスコに仕込み、0℃まで冷却した。反応混合物に三フッ化ホウ素(11mL、88ミリモル)を添加し、混合物を0℃で2時間撹拌した。温度を室温まで上昇させ、混合物を1時間撹拌した。TLC(ヘキサン:EtOAc、2:1)での分析により、大部分の出発原料の消費されたことが判った。反応混合物を、氷/NaHCO混合物中に注ぎ、EtO(100mL)で抽出し、MgSO上で乾燥した。反応混合物を暗橙褐色のシロップになるまで濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、2:1)で精製すると、ペンテニルグリコシド50(α:β比率は1:23)が無色のシロップとして得られた(3.28g、60%)。
β異性体(主要物)のデータH NMR(CDCl):δ5.78(1H,dddd,J4' ,5b' =23.6,J4' ,5a' =17.1,J3a' ,4' =3.6,J3b' ,4' =13.3Hz,H−4' )、5.30(1H,dd,J2,3=1.5,J3,4=6.0Hz,H−3)、5.07(1H,s,J1,2<1Hz,H−2)、4.99(1H,2 ddd,J3' a,5' a=1.7,J3' b,5' a=1.7,J5' b,5' a=3.5Hz,H−5a' )、4.94(1H,s,H−1)、4.93(1H,m,H−5' b)、4.55(1H,ddd,J4,5a=5.3,J4,5b=7.3Hz,H−4)、4.24(1H,dd,J5a,5b=11.5,H−5a)、4.18(1H,dd,H−5b)、3.69(1H,ddd,J1' a,2' a=6.7,J1' a,2' b=6.7,J1' a,1' b=13.3Hz,H−1' a)、3.40(1H,ddd,J1' b,2' a=6.4,J1' b,2' b=6.4Hz,H−1' b)、2.07(6H,s,2×COCH)、2.04(3H,s,COC
)、2.04(2H,m,H−3' a,H−3' b)、1.65(2H,m,H−2' a,H−2' b)。13C NMR(CDCl):δ170.72、170.11、および169.74(3×C=O,OAc)、138.22(C−4' )、115.13(C−5' )、106.08(C−1)、80.92(C−2)、78.17(C−4)、75.11(C−3)、67.77(C−1' )、63.42(C−5)、30.34(C−3' )、28.78(C−2' )、20.99、20.93、および20.81(3×CH,OAc)。元素分析:C1624の計算値:C,55.81;H,7.02。実測値:C,55.99;H,7.19。
4−ペンテニル−L−キシロフラノシド(51)
ペンテニルグリコシド50(3.28g、9.52ミリモル)を、250mL丸底フラスコ中のMeOH(50mL)に溶解した。反応混合物にNaOMeのMeOH溶液(0.02M)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。TLC(CHCl:MeOH、10:1)での分析により、出発原料が消費されたことが判った。反応混合物にRexyn(登録商標)101(H)樹脂を添加してpHを7に調整した。次いで、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して淡褐色シロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH、10:1)で精製すると、ペンテニルグリコシド51(α:β比率は1:23)が無色のシロップとして得られた(1.97g、95%)。
β異性体(主要物)のデータ H NMR(CDOD):δ5.75(1H,m,H−4' )、5.03(1H,m,H−5' a)、4.96(1H,m,H−5' b)、4.86(1H,s,J1,2<1Hz,H−1)、4.24(1H,ddd,J4,5a=5.0,J4,5b=6.6,J3,4=5.1Hz,H−4)、4.08(1H,dd,J2,3=2.0,H−3)、4.03(1H,br.s,H−2)、3.83(1H,dd,J5a,5b=11.6,H−5a)、3.79(1H,m,H−1' a)、3.74(1H,m,H−5b)、3.43(1H,m,H−1' b)、2.17(2H,m,H−3' a,H−3' b)、1.68(2H,m,H−2' a,H−2' b)。13C NMR(CDOD):δ138.23(C−4' )、114.17(C−5' )、109.62(C−1)、82.71(C−4)、81.01(C−2)、76.31(C−3)、67.42(C−1' )、61.49(C−5)、32.20(C−3' )、28.78(C−2' )。元素分析:C1018の計算値:C,55.03;H,8.31。実測値:C,55.30;H,8.44。
4−ペンテニル−2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−L−キシロフラノシド(52)
250mLフラスコにNaH(4.38g、0.11モル)およびDMF(80mL)を仕込み、0℃まで冷却した。ペンテニルグリコシド51(3.00g、13.7ミリモル)をDMF(10mL)に溶解し、この溶液をNaH/DMF混合物に滴加した。滴加後、反応混合物を0℃で2時間撹拌した。次いで、温度を室温まで上昇させ、混合物を1時間撹拌した。次いで、DMF(10mL)に溶解したp−メトキシベンジルクロリド(15mL、0.11モル)を反応混合物に滴加した。滴加後、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を氷水で急冷し、EtO(100mL)で抽出し、HO(8×20mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥した。混合物を濃縮して、橙褐色シロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、4:1)で精製すると、ペンテニルグリコシド52(α:β比率は1:23)が無色のシロップとして得られた(7.30g、92%)。
β異性体(主要物)のデータ H NMR(CDCl):δ7.25〜6.85(12H,m,Ar)、5.83(1H,dddd,J4' ,5b' =6.6,J4' ,5a' =16.9,J3' a,4' =6.8,J3' b,4' =10.4Hz,H−4' )
、5.03(1H,dddd,J3' a,5' a=1.7,J3' b,5' a=5.5,J5' b,5' a=3.5Hz,H−5a' )、4.98(1H,br.s,J1,2=1.8Hz,H−1)、4.97(1H,m,H−5' b)、4.49(6H,m,3×CHPh)、4.41(1H,m,H−4)、4.02(1H,dd,J2,3=2.3,J3,4=5.8Hz,H−3)、3.97(1H,br.t,H−2)、3.81(6H,s,2×OCH)、3.80(3H,s,OCH)、3.76(1H,m,H−1' a)、3.72(1H,dd,J4,5a=4.7,J5a,5b=10.3Hz,H−5a)、3.67(1H,dd,J4,5b=7.3Hz,H−5b)、3.42(1H,m,H−1' b)、2.12(2H,m,H−3' a,H−3' b)、1.68(2H,m,H−2' a,H−2' b)。13C NMR(CDCl):δ159.60〜113.91(12 CAr)、138.51(C−4' )、114.03(C−5' )、107.38(C−1)、87.02(C−2)、81.83(C−3)、80.04(C−4)、73.32、71.93、71.81(3×CHPh)、69.78(C−5)、67.94(C−1' )、55.52(OCH)、30.61(C−3' )、28.98(C−2' )。元素分析:C3442の計算値:C,70.57;H,7.32。実測値:C,70.44;11,7.48。
2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−L−キシロフラノース(53)
500mL丸底フラスコ中で、ペンテニルグリコシド52(7.00g、12.1ミリモル)をCHCN(180mL)に溶解した。HO(20mL)を添加し、混合物を0℃まで冷却した。反応混合物にN−ブロモスクシンイミド(5.38g、30.2ミリモル)を添加し、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。TLC(ヘキサン:EtOAc、2:1)での分析により、出発原料が完全に消費されていたことが判った。次いで、HO(60mL)に溶解したNa5HO(15g、60ミリモル)を添加し、混合物を20分間撹拌した。次いで、混合物を濃縮して暗橙色のシロップを得た。シロップをEtOAc(150mL)に溶解し、HO、飽和NaClで洗浄し、MgSO上で乾燥した。次いで、混合物を濃縮して暗褐色のシロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、1:1)で精製すると、p−メトキシベンジルキシロフラノース53(α:β比率は1:2)が無色のシロップとして得られた(5.52g、90%)。
β異性体(主要物)のデータ H NMR(CDCl):δ7.25〜6.80(12H,m,Ar)、5.20(1H,br.s,J1,2=1.8Hz,H−1)、4.55〜4.40(6H,m,3×CHPh)、4.34(1H,ddd,J4,5b=5.0,J4,5a=4.1,J3,4=5.4Hz,H−4)、4.05(1H,dd,J2,3=2.8Hz,H−3)、3.95(1H,br.d,J1,2<1Hz H−2)、3.82、3.81、3.80(9H,3×s,3×OCH)、3.68(2H,m,H−5a,H−5b)。13C NMR(CDCl):δ159.60〜113.50(12 CAr)、101.68(C−1)、86.24(C−2)、80.91(C−3)、79.83(C−4)、73.32、72.33、71.48(3×CHPh)、68.31(C−5)、55.22(OCH)。元素分析:C2934の計算値:C,68.22;H,6.71。実測値:C,68.17;H,6.65。
2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−L−キシリトール(54)
p−メトキシベンジルキシロフラノース53(5.50g、10.8ミリモル)をTHF(10mL)に溶解し、次いでMeOH(50mL)を添加した。反応混合物に、TLC分析(ヘキサン:EtOAc、1:1)により、出発原料が消滅したことが示されるまで、NaBHを室温で分割添加した。混合物を濃縮して淡黄色の固体を得た。この固体をEtOAc(150mL)に溶解し、水、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO
で乾燥し、濃縮して淡黄色のシロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、1:1)で精製すると、p−メトキシベンジルキシリトール54が無色のシロップとして得られた(4.62g、84%)。
[α]+7.25(c 2.8,CHCl)。H NMR(CDCl):δ7.20〜6.80(12H,m,Ar)、4.58、4.43(2H,2d,JA,B=11.2Hz,CHPh)、4.54(2H,2d,JA,B=11.2Hz,CHPh)、4.44、4.39(2H,2d,JA,B=11.7Hz,CHPh)、4.02(1H,ddd,J2,3=1.9,J1a,2=6.4,J1b,2=6.2Hz,H−2)、3.80(9H,s,3×OCH)、3.75(2H,m,H−4,H−5a)、3.66(1H,dd,J3,4=6.4Hz,H−3)、3.63(1H,m,H−5b)、3.46(1H,dd,J1a,1b=9.4Hz,H−1a)、3.37(1H,dd,H−1b)。13C NMR(CDCl):δ159.60〜113.50(12 CAr)、78.32(C−3)、77.01(C−5)、73.88、73.08、72.10(3×CHPh)、71.23(C−1)、68.79(C−2)、60.81(C−4)、55.53(OCH)。元素分析:C2936の計算値:C,67.95;H,7.08。実測値:C,67.85;H,7.12。
2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−1,4−ジ−O−メタンスルホニル−L−キシリトール(55)
250mL丸底フラスコ中で、メタンスルホニルクロリド(5.3mL、68ミリモル)、ピリジン(6mL、68ミリモル)、およびCHCl(50mL)を0℃まで冷却した。次いで、p−メトキシベンジルキシリトール54(3.50g、6.84ミリモル)のCHCl(50mL)溶液をメタンスルホニルクロリド/ピリジン混合物に滴加した。滴加完了後、温度を室温まで上昇させ、混合物を3時間撹拌した。次いで、反応混合物を砕氷上に注ぎ、EtOAc(150mL)で抽出し、水、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、淡黄色シロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、1:1)で精製すると、メタンスルホニルキシリトール55が無色のシロップとして得られた(3.28g、72%)。
[α]−16.2(c 5.6,CHCl)。H NMR(CDCl):δ7.20〜6.80(12H,m,Ar)、4.92(1H,ddd,J2,3=9.2,J1a,2=3.6,J1b,2=6.1Hz,H−2)、4.60、4.43(2H,2d,JA,B=11.3Hz,CHPh)、4.57(2H,2d,JA,B=11.3Hz,CHPh)、4.41、4.33(2H,2d,JA,B=11.1Hz,CHPh)、4.36(1H,dd,J4,5a=5.6,J5a,5b=11.0Hz,H−5a)、4.31(1H,dd,J4,5b=4.2Hz,H−5b)、3.83(1H,m,H−4)、3.80、3.79、3.78(9H,3s,3×OCH)、3.78(1H,m,H−3)、3.56(1H,dd,J1a,1b=11.2Hz,H−1a)、3.54(1H,dd,H−1b)、2.99、2.92(6H,2s,2×OSOCH)。13C NMR(CDCl):δ159.60〜113.50(12 CAr)、80.32(C−2)、75.63(C−3)、75.24(C−4)、74.11、72.83、72.69(3×CHPh)、68.43(C−5)、68.41(C−1)、55.12(OCH)、38.5、37.1(2×OSOCH)。元素分析:C314012の計算値:C,55.67;H,6.03。実測値:C,55.45;H,6.13。
1,4−アンヒドロ−2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−4−セレノ−D−アラビニトール(56)
250mL丸底フラスコにセレニウム金属(0.61g、7.7ミリモル)および95
%EtOH(50mL)を仕込んだ。次いで、NaBHを、反応混合物の色が黒色から白色に変わるまで室温で分割添加した。次いで、反応混合物に、THF(10mL)に溶解したジメシレート55(3.28g、4.91ミリモル)を添加し、混合物を60℃で12時間にわたって加熱撹拌した。次いで、混合物を濃縮して暗橙赤色のシロップを得た。この固体をEtO(100mL)に溶解し、水、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して淡黄色のシロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、4:1)で精製すると、セレノアラビニトール56が無色のシロップとして得られた(2.27g、83%)。
[α]+17.83(c 1.5,CHCl)。H NMR(CDCl):δ7.20〜6.80(12H,m,Ar)、4.58、4.52(2H,2d,JA,B=11.4Hz,CHPh)、4.48、4.44(2H,2d,JA,B=11.6Hz,CHPh)、4.45、4.42(2H,2d,JA,B=11.7Hz,CHPh)、4.16(1H,ddd,J2,3=5.2Hz,J1a,2=5.1,J1b,2=5.4Hz,H−2)、4.00(1H,dd,J3,4=4.8Hz,H−3)、3.81(1H,m,H−5a)、3.81(6H,s,2×OCH)、3.80(3H,s,OCH)、3.72(1H,m,H−4)、3.48(1H,dd,J4,5b=7.2,J5a,5b=9.3Hz,H−5b)、3.06(1H,dd,H−1a)、2.92(1H,dd,H−1b)。13C NMR(CDCl):δ159.20〜113.50(12 CAr)、85.73(C−2)、85.33(C−3)、72.89(C−5)、72.83、72.01、71.42(3×CHPh)、55.22(OCH)、42.38(C−4)、23.91(C−1)。元素分析:C2934Seの計算値:C,62.47;H,6.15。実測値:C,62.39;11,6.25。
2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル(57)
文献法25に従って調製した環状硫酸エステル62(13.5g、37.0ミリモル)を500mL丸底フラスコ中のEtOAc(120mL)に溶解した。この溶液に活性炭担持Pd(200mg、10%パラジウム)を添加し、撹拌しながら室温で48時間、溶液中にHを吹き込んだ。TLC(ヘキサン:EtOAc、1:1)での周期的分析により、反応は環状硫酸エステル62が消費されるまで円滑に進行したことが判った。濾過してPdを除去し、溶媒を蒸発させて、脱保護された環状硫酸エステル63を白色固体として得た(6.82g、定量的収率)。環状硫酸エステル63は、さらに精製することなく直接使用した。環状硫酸エステル63およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(500mg)を250mL丸底フラスコ内のCHCl(20mL)に溶解し、PhCH(OMe)(37mL、0.26ミリモル)を添加した。溶液をロータリーエバポレーターで減圧下に60℃まで1時間加熱した。TLC(ヘキサン:EtOAc、1:1)での分析により、環状硫酸エステル57が完全に消費されていたことが判った。混合物をEtOAc(100mL)に溶解し、飽和NaCl水溶液(20mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して無色のシロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、1:1)で精製すると、環状硫酸エステル57が白色固体として得られた(7.14g、71%)。この物質は、前にL−グルコースを用いて得られたもの25にすべての点で同一であった。
1,3−ジ−O−ベンジル−D−エリトリトール(60)−代替手順
250mLフラスコに2,4−O−ベンジリデン−1,3−ジ−O−ベンジル−D−エリトリトール59(36.6g、93.7ミリモル)および50%TFA水溶液(100mL)を仕込んだ。反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。TLC(ヘキサン:EtOAc、2:1)での分析により、出発原料が消費されていたことが判った。反応混合物を0℃まで冷却し、50%KOH水溶液(50mL)を添加した。反応混合物を0℃でさら
に0.5時間撹拌し、EtOAc(200mL)で抽出し、NaSO上で乾燥した。混合物を濃縮して褐色のシロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、1:1)で精製すると、エリトリトール60が無色のシロップとして得られた(17.6g、60%)。この物質は、前に酢酸水を用いて得られたもの26とすべての点で同一であった。
2,3,5−トリ−O−p−メトキシベンジル−1,4−ジデオキシ−1,4−[[(2S,3S)−2,4−ベンジリデンジオキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−エピセレノニウムイリデン]−D−アラビニトール内部塩(64)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(8.0mL)にセレノ−D−アラビニトール56(3.11g、5.59ミリモル)、環状硫酸エステル57(1.33g、4.88ミリモル)およびKCO(160mg、1.16ミリモル)を添加し、この混合物を60〜65℃に加熱した封管中で7時間撹拌した。TLC(EtOAc:MeOH=10:1)での周期的分析により、反応は若干の未反応環状硫酸エステルを残してセレノエーテルが消費されるまで円滑に進行したことが判った。混合物を冷却し、CHClを使用してセライトを通過させて濾過した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAcからEtOAc:MeOH=10:1までのグラジエント)で精製した。セレノニウム塩64が無色の泡状物として得られた(3.85g、セレノエーテル14を基準にして95%)。Hおよび13C−NMRスペクトルの分析により、化合物64はセレニウムステレオジェン中心での7:1の異性体混合物として生成したことが判った。主要異性体は、対応するベンジル保護セレノニウム塩について前に得られた結果と類似していることから、C−5およびC−1' の間にトランスの関係を有する異性体であると帰属した。トランス体64について、H NMR(600MHz,CDCl)δ7.45〜6.80(17H,m,Ar)、5.58(1H,s,CCH)、4.51(1H,dd,J2' ,3' =J3' ,4' ax=9.7,J3' ,4' eq=5.3Hz,H−3' )、4.48(1H,br s,H−2)、4.46(1H,dd,J4' ax,4' eq=10.5Hz,H−4' eq)、4.41、4.33(2H,2d,JA,B=11.1Hz,CHPh)、4.57(2H,2d,JA,B=11.3Hz,CHPh)、4.43および4.40(2H,2d,JA,B=12.0Hz,CHPh)、4.39および4.26(2H,2d,JA,B=11.4Hz,CHPh)、4.32(1H,dd,J1' a,2' =2.2Hz,H−1' a)、4.27(1H,br d,J2,3=2.0Hz,H−3)、4.25および4.19(2H,2d,JA,B=10.8Hz,CHPh)、4.21(1H,ddd,H−2' )、4.04(1H,br d,J1,2<1Hz,H−1a)、4.03(1H,br dd,J3,4<1Hz,H−4)、3.90(1H,dd,J1' a,1' b=12.2,J1' b,2' =3.6Hz,H−4)、3.78(3H,s,OCH)、3.77(1H,dd,H−4' ax)、3.77(3H,s,OCH)、3.76(3H,s,OCH)、3.55(1H,dd,J1a,1b=12.8,J1b,2=2.9Hz,H−1b)、3.54(1H,dd,J5a,5b=9.7,J4,5a=6.7Hz,H−5a)、3.48(1H,dd,J4,5b=9.4Hz,H−5b);13C NMR(150MHz,CDCl):δ
160.34、160.09、136.58および130.14〜126.51(21 CAr)、114.56、114.47および114.70(3×Cipso,OMBn)、102.17(PHCH)、84.31(C−3)、83.00(C−2)、77.30(C−2' )、73.37、72.49、および72.10(3×CHPh)、69.67(C−4' )、67.75(C−3' )、66.80(2×C,C−4,C−5)、55.67(3×C,3×OCH)、48.73(C−1' )、46.69(C−1)。元素分析:C404612SSeの計算値:C,57.90;H,5.59。実測値:C,57.87;H,5.57。
1,4−ジデオキシ−1,4−[[(2S,3S)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]エピセレノニウムイリデン]−D−アラビニトール内部塩(ブリントール、3)
セレノニウム塩64(3.80g、4.58ミリモル)を冷トリフルオロ酢酸(40mL)に溶解して紫色溶液を得た。水(4.0mL)を添加し、反応混合物を室温で0.5時間保持した。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、残留物をCHCl(4×50mL)と共に粉砕し、不溶性ガム状生成物からそれぞれ溶媒部分をデカンテーションで除去した。粗生成物を水(50mL)に溶解し、濾過して少量の不溶性物質を除去した。水性濾液をシロップ状残留物になるまで濃縮した(1.84g)。NMR分光法での分析により、生成物は化合物3とセレニウム中心でのその立体異性体との異性体混合物(7:1)であったことが判った。MeOHで再結晶して2回の結晶化で純粋な化合物3を得た(1.09g、62%)。この物質は、ベンジル保護基を除去するのに水素化分解を利用して前に26得られた物質にすべての点で同一であった。母液画分をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:HO、6:3:1)で精製すると、化合物3とその異性体の3:2混合物がシロップとして得られた(0.25g、14%)。
5.2.7 参考例7 6員環類似体の合成(スキーム15〜21)
概論
23℃で旋光度を測定した。吸着剤としてメルク・シリカゲル60F−254でプレコートしたアルミニウム板上で分析薄層クロマトグラフィー(TLC)を行った。展開した板を空気乾燥し、UV光に暴露し、かつ/または10%HSO水溶液中に1%Ce(SOおよび1.5%モリブデン酸を含む溶液を噴霧し、加熱した。化合物を、キーゼルゲル60(230〜400メッシュ)でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。Rexyn101はフィッシャー(Fischer)から入手した。Hおよび13C−NMRスペクトルは、400.13MHzでブルカー(Bruker)AMX−400型NMR分光計および600.13MHzでブルカーAMX−600型NMR分光計によって記録し、Hについては499.97MHzでバリアン(Varian)INOVA500型NMR分光計によって記録した。化学シフトは、CDCl、CDODおよびCDCl中で測定されるものについてはTMSから、DO中で測定されるそれらスペクトルについては2,2−ジメチル−2−シラペンタン−5−スルホン酸塩(DSS)から低磁場側へのppmで与えられる。スペクトルの一次解析から化学シフトおよびカップリング定数が得られた。帰属は、標準ブルカーまたはバリアン・パルス・プログラムを使用する二次元H,H(COSY)、H,H(NOESY)およびH,13C(HMQC)実験により十分に支持された。スペクトルの処理は、標準UXNMRおよびWINNMRソフトウェア(ブルカー)またはMestReCソフトウェア(バリアン)を用いて実施した。
1D−積算NOE実験(1D-transient NOE experiments)は、対象のシグナルを1024工程から構成された80msガウス選択パルスで変換して実施した。スペクトルは、オンレゾナンスおよびオフレゾナンス中の受信機利得の相を変更することによる差方式で集めた。デジタル化シグナルを、10ppmの掃引幅、2.72sのデータ取込み時間、128スキャン、および8ダミー・スキャンを使用して32Kのデータ・セットに格納した。スペクトルの処理は、64Kへのゼロ・フィリング、続いて1Hzの線幅を使用する指数関数的乗算によって行った。500msまたは800msのミキシング・タイムでNOESYスペクトルを得た。
2,5−ジヒドロキシ安息香酸マトリックスに分散させたサンプルについて、パーセプティブバイオシステムズ(PerSeptive Biosystems)、ヴォイジャーDE(Voyager DE)飛行時間型分析計でMALDI質量スペクトルを得た。高分解能質量スペクトルは、グリセリン・マトリックス使用して、あるいは、化合物88
aの場合にはマトリックスとしてm−NO−ベンジルアルコールを用いて10000RPでのクラトス・コンセプト(Kratos Concept)二重収束質量分析計で行われる液体二次イオン質量分析(LSIMS)とした。溶媒は、必要により使用前に蒸留し、乾燥した。溶媒を、減圧下で50℃未満で蒸発させた。
1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−5−チオキシリトール(74)
(a)酢酸エステルの加メタノール分解:乾燥MeOH(10mL)中、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオキシリトール77(0.125g、0.435ミリモル)と、MeOH(0.6mL、0.6ミリモル)中、1MのNaOMeとの混合物をN下に一夜撹拌した。混合物を過剰のRexyn101で中和した。濾過により樹脂を除去し、有機層を濃縮して1,5−アンヒドロ−5−チオキシリトールを固体として得た(59.6mg、88%)。融点137〜140℃;H NMR(DO):δ3.65(2H,m,J1eq,2=J4,5eq=4.5Hz,J1ax,2=J4,5ax=10.9Hz,H−2およびH−4)、3.15(1H,t,J2,3=J3,4=9.1Hz,H−3)、2.66(2H,m,H−5eqおよびH−1eq)、2.56(2H,dd,J5ax,5eq=J1ax,1eq=13.6Hz,H−5axおよびH−1ax);13C NMR(DO):δ81.20(C−3)、75.75(2C,C−2およびC−4)、34.86(2C,C−1およびC−5)。元素分析:C10Sの計算値:C,39.99;H,6.71。実測値:C,39.68;H,6.91。
(b)ベンジル化:DMF(50mL)中、1,5−アンヒドロ−5−チオキシリトール(0.520g、3.47ミリモル)と60%NaH(0.744g、5当量)の混合物を氷浴中で1時間撹拌した。BnBr(1.4mL、4当量)の溶液を添加し、溶液を室温で一夜撹拌した。MeOH(8mL)で混合物をクエンチし、HO(100mL)を添加し、溶液をEtO(3×150mL)で抽出した。有機溶液をNaSO上で乾燥し、濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー[ヘキサン:EtOAc=20:1]で精製して、化合物74を白色固体として得た(0.928g、64%)。融点46〜49℃;H NMR(CDCl):δ7.36〜7.24(15H,m,Ar)、4.83(2H,s,CHPh)、4.69(2H,d,JA,B=11.4Hz,CHPh)、4.65(2H,d,JA,B=11.6Hz,CHPh)、3.63(2H,m,J1eq,2=J4,5eq=4.2Hz,J1ax,2=J4,5ax=11.0Hz,H−4およびH−2)、3.31(1H,t,J2,3=J3,4=8.9Hz,H−3)、2.72(2H,m,H−5eqおよびH−1eq)、2.47(2H,dd,J5ax,5eq=J1ax,1eq=13.4Hz,H−5axおよびH−1ax);13C NMR(CDCl):δ138.9、138.37(3Cipso)、128.42〜127.51(15C,Ar)、86.76(C−3)、82.26(2C,C−2およびC−4)、76.33(CHPh)、73.02(2 CHPh)、31.49(2C,C−1およびC−5)。元素分析:C2628Sの計算値:C,74.25;H,6.71。実測値:C,74.16;H,6.91。
1.5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−5−チオ−D−グルシトール(75)
(a)酢酸エステルの加メタノール分解:1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−グルシトール78(0.310g、0.89ミリモル)の乾燥MeOH(20mL)溶液に1MのNaOMe/MeOH(4mL、4当量)を添加し、混合物をN下で一夜撹拌した。混合物を過剰のRexyn101イオン交換樹脂で中和し、濾過して樹脂を除去し、有機相を濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、5:2]で精製し、1,5−アンヒドロ−5−チオ−
D−グルシトールを白色固体として得た(0.125g、78%)。融点110〜115℃;[α]=+27.4(c 1.2,MeOH);H NMR(DO):δ3.90(1H,dd,J5,6a=3.2Hz,J6b,6a=11.9Hz,H−6a)、3.75(1H,dd,J5,6b=6.4Hz,H−6b)、3.64(1H,m,H−2)、3.48(1H,dd,J4,5=10.2Hz,H−4)、3.19(1H,t,J2,3=J3,4=9.1Hz,H−3)、2.88(1H,m,H−5)、2.71(1H,dd,J1eq,2=4.6Hz,J1eq1ax=13.3Hz,H−1eq)、2.62(1H,dd,J1ax,2=11.0Hz,H−1ax)。
(b)ベンジル化:撹拌された1,5−アンヒドロ−5−チオ−D−グルシトール(0.194g、1.08ミリモル)の乾燥DMF(60mL)溶液にNaH(0.5g,12.5ミリモル)、次いでBnBr(0.7mL,5.9ミリモル)を添加し、混合物を一夜撹拌した。MeOHを添加して過剰のNaHを分解した。有機相を減圧下で濃縮した。残留物にHO(200mL)を添加し、これをCHCl(5×100mL)で抽出した。有機相をNaSO上で乾燥し、濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー[ヘキサン:EtOAc,20:1]で精製し、シロップを得た。このシロップをEtOAc/ヘキサンから再結晶して化合物75を白色固体として得た(0.276g、58%)。Mp56〜59℃;[α]=+15.1(c1.1、CHCl)。H NMRスペクトルは文献データ79と一致した。
1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−アセチル−5−セレノキシリトール(81)
撹拌されたセレニウム(1.48g、18.7ミリモル)の無水EtOH(40mL)懸濁液に、0℃でNaBH(0.9g、23.8ミリモル)を添加した。ほとんど無色の溶液が得られた。氷浴を除去し、2,3,5−トリ−O−アセチル−1,5−ジブロモー1,5−ジデオキシ−キシリトール80(4.87g、12.0ミリモル)を添加し、混合物を室温で一夜撹拌した。HO(200mL)を添加し、混合物をEtO(5×100mL)で抽出した。濾過して固体を除去し、溶液を濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー[ヘキサン:EtOAc、1:1]で精製して化合物81を黄色結晶として得た(2.22g、57%)。融点106〜111℃;H NMR(CDCl):δ5.11(2H,ddd,J1eq,2=J4,5eq=4.5Hz,J1ax,2=J4,5ax=10.8Hz,H−2,H−4)、4.96(1H,t,J2,3=J3,4=9.7Hz,H−3)、2.74(2H,dd,H−1eq,H−5eq)、2.67(2H,t,J5ax,5eq=J1ax,1eq=12.0Hz,H−1ax,H−5ax)、2.00(3H,s,OAc)、1.99(6H,s,OAc);13
NMR(CDCl):δ169.79および169.65(3C=O)、73.98(C−3)、73.78(2C,C−2およびC−4)、21.02(2 OAc)、20.80(2C,C−1およびC−5)、20.56(OAc)。元素分析:C1116Seの計算値:C,40.88;H,4.99。実測値:C,40.76;H,5.02。
1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−5−セレノキシリトール(76)
(a)酢酸エステルの加メタノール分解:乾燥MeOH(60mL)中、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−アセチル−5−セレノキシリトール81(2.22g、6.87ミリモル)と1MのNaOMe/MeOH(10mL、10ミリモル)の混合物をN雰囲気下で一夜撹拌した。混合物を過剰のRexyn101で中和し、濾過により樹脂を除去し、有機層を濃縮して1,5−アンヒドロ−セレノキシリトールを黄褐色結晶として得た(1.19g、88%)。融点98〜105℃;H NMR(DO):δ3.75(2H,m,J1eq,2=J4,5eq=4.6Hz,J1ax,2=J4,
5ax=10.8Hz,H−2,H−4)、3.11(1H,t,J2,3=J3,4=9.2Hz,H−3)、2.66(2H,t,J5ax,5eq=J1ax,1eq=11.8Hz,H−5ax,H−1ax)、2.60(2H,dd,H−1eq,H−5eq);13C NMR(DO):δ81.40(C−3)、76.62(2C,C−2およびC−4)、25.65(2C,C−1およびC−5)。元素分析:C10Seの計算値:C,30.47;H,5.11。実測値:C,30.29;11,5.21。
(b)ベンジル化:乾燥DMF(20mL)中の1,5−アンヒドロ−5−セレノキシリトール81(0.289g、1.47ミリモル)に氷浴中で撹拌しながら60%NaH(0.516g、6当量)を添加した。氷浴を除去し、BnBr(0.9mL、4当量)を添加した。混合物をN下で一夜撹拌した。次いで、MeOH(5mL)でクエンチし、HO(100mL)を添加し、混合物をEtO(3×50mL)で抽出した。有機溶液をNaSO上で乾燥し、濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー[ヘキサン:EtOAc、20:1]で精製して、表題化合物76を白色固体として得た(0.505g、74%)。融点56〜60℃;H NMR(CDCl):δ7.32〜7.24(15H,m,ArH)、4.81(2H,s,CHPh)、4.70(2H,d,JA,B=11.6Hz,CHPh)、4.66(2H,d,JA,B=11.5Hz,CHPh)、3.73(2H,m,J1eq,2=J4,5eq=4.2Hz,J1ax,2=J4,5ax=11.2Hz,H−2,H−4)、3.27(1H,t,J2,3=J3,4=8.9Hz,H−3)、2.69(2H,dd,J5ax,5eq=J1ax,1eq=12.0Hz,H−5eq,H−1eq)、2.58(2H,t,H−5ax,H−1ax);13C NMR(CDCl):138.89(Cipso)、138.44(2Cipso)、128.39〜127.46(15C,Ar)、86.98(C−3)、83.17(2C,C−2およびC−4)、76.34(CHPh)、72.97(2 CHPh)、22.11(2C,C−1およびC−5)。元素分析:C2628Seの計算値:C,66.80;H,6.04。実測値:C,66.88;H,6.22。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[N−(2R,3R)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]イミノオニウム]−キシリトール(84)
1,5−ジデオキシ−1,5−イミノキシリトール72(0.161g、1.21ミリモル)および2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71b(0.360g、1.32ミリモル)を試薬級MeOH(2mL)に溶解した。無水KCO(0.015g、0.11ミリモル)を添加し、混合物を封管中、65℃で3.5時間撹拌した。この時点で、TLCは環状硫酸エステルが消費されたことを示した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:HO、8:2:1)で精製し、生成物84を黄色オイルとして得た(0.209g、43%):[α]−50(c0.48、HO);NMRデータは表1および表3に示す。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[N−(2R,3R)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]イミノオニウム]−キシリトール(66b)
化合物84(0.209g、0.515ミリモル)に60%HOAc水(25mL)を添加し、混合物を開放したフラスコ中で暖めながら70℃で20時間撹拌した。混合物を冷却し、濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:HO、6:4:1)で精製して、化合物66bを無色の硬い泡状物として得た(0.118g、72%):[α]−9(c 0.57,HO);NMRデータは表2および表4中に示す;MALDI MS m/e 339.99(M+Na)、238.12(M+H−SO)。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[N−(2S,3S)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]イミノオニウム]−キシリトール(82)
1,5−ジデキシ−1,5−イミノキシリトール72(0.158g、1.19ミリモル)および2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71a(0.347g、1.27ミリモル)を試薬級MeOH(2mL)に溶解した。無水KCO(0.018g、0.15ミリモル)を添加し、混合物を封管中、65℃で4時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:HO、8:2:1)で精製し、生成物82を黄色オイルとして得た(0.273g、56%):[α]+55(c0.65、HO);Hおよび13C−NMRデータは、エナンチオマー84のデータとほぼ同一であった(表1および表3参照);MALDI MS m/e428.09(M+Na)、406.11(M+H)、326.15(M+H−SO)。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[N−(2S,3S)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]イミノオニウム]−キシリトール(66a)
化合物82(0.273g、0.673ミリモル)に60%HOAc水溶液(25mL)を添加し、混合物を開放したフラスコ中で暖めながら75℃で14時間撹拌した。混合物を冷却し、濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:HO、6:4:1)で精製して、化合物66aを無色の硬い泡状物として得た(0.156g、73%)。[α]+11(c0.56、HO);Hおよび13C−NMRデータは、エナンチオマー66bのデータとほぼ同一であった(表2および表4参照);MALDI MS m/e399.99(M+Na)、318.28(M+H)、238.12(M+H−SO)。
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1,5−ジデオキシ−1,5−[[N−(2R,3R)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]イミノオニウム]−D−グルシトール(86)
トリ−O−ベンジルデオキシノジリマイシン73(0.241g、0.460ミリモル)および2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71b(0.143g、0.525ミリモル)を試薬級アセトン(2mL)に溶解した。無水KCO(0.020g、0.15ミリモル)を添加し、混合物を封管中、70℃で20時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH、5:1)で精製して、生成物86を無色のガム状物として得た(0.240g、65%)。[α]−5.4(c0.9、CHCl);NMRデータは表1および表3に示す。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[N−(2R,RS)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]イミノオニウム]−D−グルシトール(67b)
化合物86(0.209g、0.263ミリモル)を80%酢酸水溶液(20mL)に溶解し、溶液を1気圧のH下で10%Pd/C触媒(0.42g)と共に20時間撹拌した。シリカゲルの小さな詰め物を通して濾過することによって触媒を除去し、次いで、水(50mL)で洗浄した。濾液を蒸発させ、ガム状残留物を、水に溶解し再濃縮する(50mL×2回)ことによって酢酸を完全に除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:HO、6:3:1)で精製して、化合物67b(0.096g、H NMRによればKOAcを0.56当量または13重量%含む、酢酸塩含有量の補正後で91%)を得た。NMRデータは表2および表4。
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1,5−ジデオキシ−1,5−[[N−(2
S,3S)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]イミノオニウム]−D−グルシトール(85)
トリ−O−ベンジルデオキシノジリマイシン73(0.223g、0.426ミリモル)および2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71a(0.123g、0.4535ミリモル)を試薬級アセトン(2mL)に溶解した。無水KCO(0.020g、0.15ミリモル)を添加し、混合物を封管中、70℃で20時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH、5:1)で精製して、生成物85を無色の無定形固体として得た(0.271g、80%)。[α]+36(c0.8、CHCl);NMRデータは表1および表3。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[N−(2R,3R)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]イミノオニウム]−D−グルシトール(67a)
化合物85(0.205g、0.263ミリモル)を80%酢酸水(20mL)に溶解し、溶液を1気圧のH下で10%Pd/C触媒(0.41g)と共に20時間撹拌した。シリカゲルの小さな詰め物を通して濾過することによって触媒を除去し、次いで、水(50mL)で洗浄した。濾液を蒸発させ、ガム状残留物を、水に溶解し再濃縮する(50mL×2回)ことによって酢酸を完全に除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:HO=6:3:1)で精製して、化合物67a(0.094g、H NMRによればKOAcを0.77当量または18重量%含み、酢酸塩含有量を補正した後で89%)。Hおよび13C−NMRデータは表2および表4を参照されたい。
2,3,4−トリ−O−ベンジル−1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(S)−エピスルホニウムイリデン]−キシリトール内部塩(88b)および2,3,4−トリ−O−ベンジル−1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(R)−エピスルホニウムイリデン]−キシリトール内部塩(89b)。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(0.5mL)に2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71b(0.565g、2.08ミリモル)、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−5−チオキシリトール7(0.677g、1.61ミリモル)および無水KCO(70mg)を添加した。混合物を、70℃の油浴に浸けた封管中で一夜撹拌し、その後に40mgの無水KCOを追加で添加した。溶媒を除去し、残留物をクロマトグラフ[CHCl:MeOH、10:1]にかけ、化合物88bおよび89bを2:1の比率で得た(0.975g、87%)。
主要異性体88b:融点186〜189℃;[α]+2.1(c 1.2,CHCl);NMR 表1および表3中のデータ;HRMS C3740(M+H)の計算値:693.2192。実測値:693.2209。元素分析:C3740の計算値:C,64.14;H,5.82。実測値:C,64.39;H,5.94。
少量異性体89b:融点169〜172℃;[α]−49.1(c 0.8,CHCl);NMR 表1および表3中のデータ;元素分析:C3740の計算値:C,64.14;H,5.82。実測値:C,63.84:H,5.96。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−ジヒドロキシ−3−(ス
ルホオキシ)ブチル]−(S)−エピスルホニウムイリデン]−キシリトール内部塩(S−68b)
80%AcOH(12mL)に溶解した化合物88b(0.33g、0.48ミリモル)にPd(OH)(0.2g)を添加した。混合物をH(0.75MPa(110psi))下で48時間撹拌し、次いで、MeOHを用いてセライトを通して濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc:MeOH:HO、7:3:1]で精製した。化合物S−68bがシロップとして得られた(0.13g、81%);[α]−21.8(c 1.1,HO);NMR 表2および表4中のデータ;HRMS C19(M+H)の計算値:335.0470。実測値:335.0454。元素分析:C18の計算値:C,32.33;H,5.43。実測値:C,32.03;H,5.59。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(R)−エピスルホニウムイリデン]−キシリトール内部塩(R−68b)
化合物89b(0.249g、0.36ミリモル)を、S−68bに対して上に記載した手順を用いる水素化分解により脱保護し、表題化合物をシロップとして得た(0.13g、95%);[α]−16.2(c 0.9,HO);NMR 表2および表4中のデータ;HRMS C19(M+H)の計算値:335.0470。実測値:335.0478。元素分析:C18の計算値:C,32.33;H,5.43。実測値:C,31.88;H,5.21。
2,3,4−トリ−O−ベンジル−1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2S,3S)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(R)−エピスルホニウムイリデン]−キシリトール内部塩(88a)および2,3,4−トリ−O−ベンジル−1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2S,3S)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(S)−エピスルホニウムイリデン]−キシリトール内部塩(89a)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(0.5mL)に2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71a(0.265g、0.97ミリモル)、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−5−チオキシリトール74(0.328g、0.78ミリモル)および無水KCO(24mg)を添加した。混合物を、70℃の油浴に浸けた封管中で5日間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、10:1]で精製し、化合物88aおよび89aを5:2の比率で白色固体として得た(0.465g、86%)。再クロマトグラフィーにより純粋サンプルが得られた。
主要異性体88a:Mp175〜180℃;[α]−3.7(c0.9、CHCl);Hおよび13C−NMRデータは、エナンチオマー88bのデータとほぼ同一であった。分析値、C3740に対する計算値:C、64.14;H、5.82、実測値:C、63.81;H、5.68。
少量異性体89a:Mp163〜170℃;[α]+41.8(c1.1、CHCl);Hおよび13C−NMRデータは、エナンチオマー89bのデータとほぼ同一であった。分析値、C3740に対する計算値:C、64.14;H、5.82、実測値:C、64.42;H、5.75。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2S,3S)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(R)−エピスルホニウムイリデン]−キシリトール内部塩(R−68a)
80%AcOH(10mL)に溶解した化合物88a(0.304g、0.44ミリモル)にPd/C(0.5g)を添加した。混合物を0.83MPa(120psi)のH下で96時間撹拌した。MeOHを用いセライトを通して混合物を濾過し、溶媒を除去した。次いで、残留物を80%AcOH(10mL)に再溶解した。この溶液にPd(OH)(0.2g)を添加し、溶液を0.83MPa(120psi)のH下で48時間撹拌した。MeOHを用いセライトを通して混合物を濾過し、溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc:MeOH:HO、7:3:1]で精製して、表題化合物をシロップとして得た(0.08g、55%);[α]+21.7(c0.8、HO)。Hおよび13C−NMRデータは、エナンチオマーS−68bのデータとほぼ同一であった(表1および表3を参照されたい)。HRMS C18Na(M+Na)に対する計算値:357.0290。実測値:357.0284。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2S,3S)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(S)−エピスルホニウムイリデン]−キシリトール内部塩(S−68a)
化合物89a(0.240g、0.35ミリモル)を、S−68bについて上記した手順を用いる水素化分解により脱保護し、表題化合物をシロップとして得た(0.08g、67%);[α]+19.5(c0.7、HO)。Hおよび13C−NMRデータは、エナンチオマーR−68bのデータとほぼ同一であった(表2および表4を参照されたい)。HRMS C19(M+H)に対する計算値:335.0470。実測値:335.0477。
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(S/R)−エピスルホニウムイリデン]−D−グルシトール内部塩(90b)および(91b)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(0.5mL)に2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71b(0.115g、0.42ミリモル)、1,5−アンヒドロ−2,3,4、6−テトラ−O−ベンジル−5−チオ−D−グルシトール75(0.174g、0.32ミリモル)および無水KCO(30mg)を添加した。混合物を、70℃の油浴に浸けた封管中で5日間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、10:1]で精製し、比率が2:1の化合物90bと化合物91bとの分離不能な混合物を白色固体として得た(0.182g、70%);[α]+2.1(c1.3、CHCl)。主要異性体90b:Hおよび13C−NMRデータは表1および2を参照されたい。元素分析、C454810に対する計算値:C、66.48;H、5.96。実測値:C、66.36;H、6.08。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(S)−エピスルホニウムイリデン]−D−グルシトール内部塩(69b)
80%AcOH(10mL)に溶解した化合物90bおよび91b(0.1639g、0.20ミリモル)の混合物にPd(OH)(0.17g)を添加した。混合物を0.83MPa(120psi)のH下で48時間撹拌した。混合物をMeOHを用いてセライトを通して濾過し、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc:MeOH:HO、7:3:1]で精製した。化合物69bがシロップとして得られた(0.06g、81%);[α]=−20.4(c0.8、HO)。Hおよび13C−NMRデータは表2および表4を参照されたい。HRMS、C102110(M+H)に対する計算値:365.0576、実測値:365.0574。
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2S,3S)−2.4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(R/S)−エピスルホニウムイリデン]−D−グルシトール内部塩(90a)および(91a)。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(0.5mL)に2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71a(0.148g、0.54ミリモル)、1,5−アンヒドロ−2,3,4、6−テトラ−O−ベンジル−5−チオ−D−グルシトール75(0.240g、0.44ミリモル)および無水KCO(33mg)を添加した。混合物を、69〜70℃の油浴に浸けた封管中で84時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、10:1]で精製し、90aおよび91aの分離できない3:1混合物を白色固体として得た(0.25g、68%);[α]=+48.8(c1.6、CHCl)。主要異性体90a:Hおよび13C−NMRデータは表1および2を参照されたい。分析値、C454810に対する計算値:C、66.48;H、5.95。実測値:C、66.19;H、6.07。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2S,3S)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(R)−エピスルホニウムイリデン]−D−グルシトール内部塩(69a)
80%AcOH(10mL)に溶解した化合物90aおよび91a(0.180g、0.22ミリモル)の混合物にPd(OH)(0.20g)を添加し、混合物を0.83MPa(120psi)のH下で6日間撹拌した。MeOHを用いセライトを通して混合物を濾過し、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc:MeOH:HO、7:3:1]で精製した。化合物69aがシロップとして得られた(0.05g、67%);[α]=+10.3(c0.6、HO)。Hおよび13C−NMRデータは表2および表4を参照されたい。HRMS、C102110(M+H)に対する計算値:365.0576、実測値:365.0577。
2,3,4−トリ−O−ベンジル−1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(S/R)−エピセレノニウムイリデン]−キシリトール内部塩(92bおよび93b)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(0.5mL)に2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71b(0.272g、1.00ミリモル)、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−5−セレノキシリトール76(0.362g、0.78ミリモル)および無水KCO(50mg)を添加した。混合物を、70℃の油浴に浸けた封管中で48時間撹拌した。溶媒を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、10:1]で精製し、比率が1:4の化合物92bと93bの分離できない混合物を得た(0.20g、96%);[α]−45.7(c1.1、CHCl)。主要異性体36bについて:Hおよび13C−NMRデータは表1および2を参照されたい。分析値、C3740SSeに対する計算値:C、59.99;H、5.45。実測値:C、59.73;H、5.36。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2R,3R)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(R)−エピセレノニウムイリデン]−キシリトール内部塩(70b)
80%AcOH(10mL)に溶解した化合物92bおよび93b(0.295g、0.40ミリモル)の混合物にPd(OH)(0.29g)を添加し、混合物を0.83MPa(120psi)のH下で5日間撹拌した。TLCで1つの主生成物と2つの副
生成物が認められた。セライトを通して混合物を濾過し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc:MeOH:HO、7:3:1]で精製して、主生成物である化合物70bをシロップとして得た(0.06g、39%);[α]−16.6(c0.9、HO)。Hおよび13C−NMRデータは表2および表4を参照されたい。HRMS C19SSe(M+H)の計算値:382.9915。実測値:382.9916。元素分析:C18SSeの計算値:C,28.35;H,4.76。実測値:C,28.44;H,4.71。
2,3,4−トリ−O−ベンジル−1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2S,3S)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(R/S)−エピセレノニウムイリデン]−キシリトール内部塩(92aおよび93a)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(0.5mL)に2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71a(0.226g、0.83ミリモル)、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−5−セレノキシリトール76(0.308g、0.66ミリモル)および無水KCO(20mg)を添加した。混合物を、70℃の油浴に浸けた封管中で72時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー[CHCl:MeOH、10:1]で精製し、比率が1:3の化合物92aと93aとの分離不可能な混合物を白色固体として得た(0.42g、85%);[α]−44.0(c0.9、CHCl)。主要異性体93aについて:Hおよび13C−NMRデータは、濃度効果による化学シフトの小さな差異を除いてエナンチオマー(化合物93b、表1および表2を参照)のデータとほぼ同一であった。分析値、C3740SSeに対する計算値:C、59.99;H、5.45。実測値:C、59.85;H、5.38。
1,5−ジデオキシ−1,5−[[(2S,3S)−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ブチル]−(S)−エピセレノニウムイリデン]−キシリトール内部塩(70a)
80%AcOH(10mL)に溶解した化合物92aおよび93a(0.406g、0.55ミリモル)の混合物にPd(OH)(0.50g)を添加し、混合物を0.83MPa(120psi)のH下で8日間撹拌した。TLCで1つの主生成物と2つの少量成分が認められた。MeOHを用いセライトを通して混合物を濾過し、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc/MeOH/HO、7:3:1]で精製した。化合物70aがシロップとして得られた(0.05g、25%);[α]+14.1(c0.4、HO)。化合物70aについて、Hおよび13C−NMRデータは、濃度効果による化学シフトにおける小さな差異を除いてエナンチオマー(化合物70b、表1および2を参照)とほぼ同一であった。HRMS C18SSeNa(M+Na)の計算値:404.9734。実測値:404.9735。元素分析:C18SSeの計算値:C,28.35;H,4.76。実測値:C,28.56;H,4.54。
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5.2.8 実施 サラシノールの鎖延長同族体の合成(スキーム22〜25)
一般手順
HFIP(スルフィド117のミリモル当たり1.0〜3.0mL)中のスルフィド117と環状硫酸エステル105の混合物を密封反応容器に仕込み、撹拌しながら以下に示す温度で所定時間にわたって加温した。反応の進行は、アリコートのTLC分析(展開溶媒、CHCl:MeOH、10:1)によって追跡した。特定の出発原料が本質的に消費された時点で、混合物を冷却し、次いで、CHClで希釈し、シロップ状残留物になるまで蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(CHClからCHCl:MeOH、10:1まで)で精製すると精製スルホニウム塩119が得られた。
ベンジル2,3−ジ−O−ベンジル−4−O−スルホオキシ−6−デオキシ−6−[2,3,5−トリ−O−ベンジル−1,4−ジデオキシ−1,4−エピスルホニウムイリデン−D−アラビニトール]−β−D−ガラクトピラノース内部塩(119)
HFIP(3.0mL)中でスルフィド117(431mg、1.02ミリモル)と環状硫酸エステル105(588mg、1.15ミリモル)とを70℃で42時間反応させると、化合物119が無色のガム状固体として得られた(571mg、60%)。[α]−7.6°(c1.1、CHCl)。NMRデータについては表5および6を参照されたい。MALDI MS m/e 955.39(M+Na)、853.42(M+H−SO)。元素分析:C535611の計算値:C,68.22;H,6.05。実測値:C,68.48;H,6.09。
1,4−ジデオキシ−1,4−[[2R,3R,4R,5S−2,4,5,6−テトラヒドロキシ−3−(スルホオキシ)ヘキシル]エピスルホニウム−イリデン]−D−アラビニトール(95)
保護スルホニウム塩119(460mg、0.493ミリモル)をMeOH(50mL)に溶解し、0.10MPa(1気圧)のH下で10%Pd/C触媒(580mg)と共に室温で24時間撹拌した。TLC(EtOAc:MeOH:HO、6:3:1)分析は、単一生成物(rf0.10)の形成を示した。追加のMeOHを使用し、セライトを通過させて濾過することによって触媒を除去し、濾液を蒸発させ、粗製ヘミアセタール化合物4−O−スルホキシ−6−デオキシ−6−[1,4−ジデオキシ−1,4−エピスルホニウムイリデン−D−アラビニトール]−α/β−D−ガラクトピラノース内部塩(99、α:β=1:1)を無色の泡状物として得た(184mg、95%)。化合物99のNMRデータについては表7および8を参照されたい。MALDI MS m/e414.89(M+Na)、392.93(M+H)、312.93(M+H−SO)。
化合物98について上記したように、ヘミアセタール99(430mg、1.10ミリモル)をNaBHで還元すると、スルホニウム硫酸塩95が無色のガラスとして得られた(232mg、54%)。[α]+18°(c0.72、MeOH)。95のNMRデータについては表9および10を参照されたい。MALDI MS m/e 416.94(M+Na)、315.03(M+H−SO);HRMS。C112211Na(M+Na)の計算値:417.0501。実測値:417.0498。
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5.3 参考例8−酵素阻害アッセイ
5.3.1 グリコシダーゼ酵素(非ヒト)のイン・ビトロ阻害アッセイ
サラシノール、ブリントール、ガバミオール、およびアカルボースの各種異性体について、これら異性体による3種のグリコシダーゼ酵素、すなわちグルコアミラーゼG219,20、ブタ膵臓α−アミラーゼ(PPA)、およびオオムギα−アミラーゼ(AMY1)23の阻害を試験した。結果を表11に要約する。グルコアミラーゼG2はサラシノール(1)によって弱く阻害され(Ki=1.7mM)、一方、ブリントールの立体異性体は0.72mMのKi値を有し、この酵素のより優れた阻害剤であった。サラシノール(1)はAMY1およびPPAを阻害し、Ki値はそれぞれ15±1および10±2μMであった。その他の化合物は、AMY1またはPPAを有意には阻害しなかった。よって、サラシノール(1)およびサラシノール(1)の類似体は、特定のグリコシダーゼ酵素に対して識別力を示し、ヒト小腸マルターゼ−グルコアミラーゼ17およびヒト膵臓α−アミラーゼ18を含む広い範囲の酵素を選択的に阻害する有望な候補であると思われる。
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)からのグルコアミラーゼG2型は、市販酵素(ノボノルディクス(Novo Nordisk)、デンマーク、バウスヴェア(Bagsvaerd))から記載されている19,20通りに精製した
。グルコアミラーゼG2で触媒されるマルトースの加水分解初期速度は、基質として0.1M酢酸ナトリウム中の1mMマルトースを用い、pH4.5、45℃で、7.0×10−8Mの酵素濃度および1μM〜5μMの範囲のうち5種の阻害剤濃度を用いて試験した。基質の加水分解速度に対する阻害効果を様々な化合物について比較した。放出されるグルコースは、適当な時間間隔で取り出したアリコートについて、マイクロタイター・プレート読取りに適合させたグルコース・オキシダーゼ・アッセイ法を用い、酵素反応混合物に対して150μLまたは300μLの総反応容積を採用して分析した21。Ki値は、競合阻害を仮定し、ENZFITTER22を使用して、1/v=(1/Vmax)+[(K)/(Vmax[S]Ki)][I]から計算した。式中、vは阻害剤の存在または非在下で測定した速度、[I]および[S]は阻害剤および基質の濃度であり、Kは1.6mM、kcatは11.3s−1である。
ブタ膵臓α−アミラーゼ(PPA)およびウシ血清アルブミン(BSA)はシグマ(Sigma)から購入した。アミロースEX−1(DP17;平均重合度17)は林原化学研究所(Hayashibara Chemical Laboratories)(日本、岡山)から購入した。組換えオオムギα−アミラーゼ・アイソザイム1(AMY1)を発表されている通り23産生させ、精製した。ブタ膵臓α−アミラーゼ(PPA)結晶懸濁液(硫酸アンモニウム中)のアリコートを、BSAを含まないアッセイ緩衝液に対して十分に透析した。酵素濃度は、LKB社のアルファプラス(Alpha Plus)型アミノ酸分析計を使用して測定されるようなアミノ酸分析で測定した。DP17アミロースに対するAMY1(3×10−9M)およびPPA(9×10−9M)の阻害活性は、37℃で、20mM酢酸ナトリウム中、pH5.5、5mM CaCl、0.005%BSA(AMY1の場合)、および20mMリン酸ナトリウム中、pH6.9、10mM
NaCl、0.1mM CaCl、0.005%BSA(PPAの場合)で測定した。範囲が1μM〜5mMの6つの異なる最終阻害剤濃度を採用した。阻害剤は、基質を添加する前に、酵素と共に37℃で5分間予備インキュベートした。初期速度は銅−ビシンコニン酸塩法で還元糖を発表されている通り23,24に測定することによって決定した。Ki値は、競合阻害を仮定し、ENZFITTER22を使用し、上述したグルコアミラーゼの場合と同様に計算した。0.03〜10mg/mlの基質濃度で測定して、AMY1に対してKは0.57mg/ml、kcatは165s−1であり、PPAに対して1mg/ml、1200s−1であった。Ki測定の場合、AMY1結合に対しては[S]=0.7mg/mLのアミロースDP17、PPA結合に対しては[S]=2.5mg/mLのアミロースDP17とした。
5.3.2 ヒト・グリコシダーゼ酵素のイン・ビトロ阻害アッセイ
サラシノール、ブリントール、ガバミオール、およびアカルボースのイン・ビトロ阻害活性を以下に記載するようにヒト・グリコシダーゼ酵素について試験した。
5.3.2.1 マルターゼ・グルコアミラーゼ(MGA)を用いる酵素アッセイ
組換えMGA酵素は十分に発現しなかったので、MGA活性のアッセイは、細胞抽出液に対する効果を測定した。このアッセイでは、MGA5' (マルターゼのサブユニット・クローン10)コンストラクトでトランスフェクトされたコス(COS)細胞を使用した。活性測定はMGAを含む細胞抽出液を用いて実施した。マルトースの加水分解は、放出されるグルコースをグルコース・オキシダーゼ比色アッセイ法で測定することによって観察した。この加水分解の阻害を、OD示度の低下として測定した。このアッセイ法は細胞抽出液を扱うので、新たに想定される阻害剤をアッセイする度に、標準阻害剤、例えばサラシノールを常に含めた。
実際には、阻害剤の非存在下でのOD示度、続いて、阻害剤の存在下での示度を記録した。次いで、候補阻害剤(表11参照)を投与することによるOD示度のパーセント低下
を、所定濃度についてのパーセント阻害と相関させた。例えば:1)200nM(0.2μM)で、ブリントールはMGA活性の50%を阻害し、サラシノールは2500nM(2.5μM)で、MGA活性の50%を阻害し、2)5μMの濃度のサラシノールはマルトース分解の60%を阻害するのに対して、アカルボースは活性の4%を阻害するに過ぎない。
5.3.2.2 ヒト膵臓α−アミラーゼ(HPA)を用いる酵素アッセイ
これらのアッセイは、精製酵素を用いて実施した。候補阻害剤が2,4−ジニトロフェニルマルトトリオシドの加水分解を阻害する能力は、放出される2,4−ジニトロフェノールを紫外−可視分光法で観察した。
5.3.2.3 イン・ビトロ生物活性の要約
1)アカルボースは、主としてヒト膵臓α−アミラーゼ(HPA)を阻害してデンプンの分解を阻害することによって効果を発揮すると思われる。サラシノールはHPAおよびMGAの両方を阻害し、ブリントールはMGAのみを阻害するものと思われる。
2)サラシノールのセレニウム類似体であるブリントールは、サラシノールより低濃度でMGAの阻害を示す。より重要なことは、ブリントールはHPAを阻害するとは思われないことである。一方、これらの実験的アッセイにおいて、サラシノールはHPAおよびMGAの両方を阻害し、アカルボースはHPAのみを阻害する。
3)MGAアッセイの場合と同様のOD示度観察を利用して、生きた腸細胞を用いる生検でのマルターゼ活性を観察した。5μMの濃度で、ブリントールはマルターゼ活性の50%を阻害するが、サラシノールによる活性阻害はわずか13%である。
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5.3.3 ブリントールおよびサラシノールのインビボでの阻害の検討
この参考例では、インビボでのグルコース吸収の阻害および食後グルコース濃度の低下に関するブリントールの最大効力を、サラシノールおよびアカルボースと対比した。
5週齢のスプレーグ・ドーリー(Sprague−Dawley)ラットを、12:12の明−暗光周期で1匹ずつ収容し、水および食物(ピュリナ(Purina)ネズミ飼料)を自由に摂取させた。順化1週間後、長期体内留置カテーテルを埋め込んだ。動物は、ケタミン−キシラジン−ブトルファノールの組合せ(0.1ml/100gim)で麻酔した。麻酔から回復後および翌朝に、鎮痛剤(ブトルフェノール、1mg/kg皮下)を投与した。抗生物質を、皮下への1回投与および飲料水で術後4日間投与した(バイトリル、5mg/kg皮下、バイエル(Bayer)社、カナダ、トロント;バイトリル、50mg/ml:250mlの飲料水に溶液0.36ml)。滅菌カテーテル(〜3cmの傾斜シラスティック・チップを備えたイントラメックPE−50)を左頚動脈に入れ、カテーテルの末端を皮下に通し、体外に出し、首筋に固定した。動物の自由な動作および研究者がカテーテルに容易に接近することを可能にする回り継手装置に連結されたステンレススチールの鎖によってカテーテルが噛まれるのを防いだ。
動物を1週間回復させた。実験は、21:00時にケージのホッパーから食料を除去して一夜絶食させた、意識のある抑制されていない動物で実施した。翌朝8:00時に、動物の体重を秤量し、筋弛緩剤としてアトロピン(0.05mg/kg皮下)を投与した。基線において、動物に薬剤を含む(すべての薬剤について25mg/kg体重)または含まない強制経口投与(1000mg/kg体重)によってマルトースの丸薬を投与した。埋め込んだ頚動脈ラインを経由して、基線用に−15分および−5分で血液サンプル(0.1mL)を採取し、7、15、30、60、90、120、210、300分に血液サンプル(0.1mL)を採取した。
血液サンプルはミクロ遠心チューブに入れて氷上に保ち、次いで、遠心した。血漿は、アッセイするまで−20℃で貯蔵した。血漿容積をヘパリン化生理食塩水(10u/mL)で3回置換したが、赤血球は返血しなかった。血漿グルコースは、グルコース・オキシダーゼ法(ヘマゲン・ダイアグノスティックス・インク(Hegmagen Diagnostics,Inc)のトリンダー・ライケム・ディビジョン(Trinder RAICHEM Division)カリフォルニア州、サンディエゴ)を用いてアッセイした。血漿インシュリン濃度は、ラット・インシュリンELISA(クリスタル・ケム・インク(Crystal Chem INC)、イリノイス州、ダウナーズグローブ(Downers Grove))によって測定した。各処理剤(対照、ブリントール、アカルボース、サラシノール)について6回の実験を行った。
0〜90分の時間ポイントに台形法を適用して、グルコース、グルコース吸収、およびインシュリンに対するAUC(曲線下面積)を計算した。AUCは、グルコースの場合、各サンプルの基底値(−5および−15分のサンプルの平均値)を超える偏差について、ならびにインシュリンおよびグルコース吸収の場合、0を超える偏差について計算した。
データはすべて平均値±SEとして示した。血漿グルコースおよびインシュリンの変化における有意性は、分散の二元反復測定分析によって検定し、Windows用の統計解析システム(バージョン6.3、SASインスティチュート(SAS Institute)、ノースカロライナ州、ケアリー(Cary))を用いて実施した。非対t−検定を使用してAUCを比較した。
5.3.3.1 血漿グルコース濃度
すべての処理剤に対する血漿グルコースのプロフィールは、対照よりも有意に低く(P<0.0001;対照に対するすべての処理剤)、ブリントール群はアカルボースよりも低いプロフィールを有するが(P<0.01)、その他の処理剤間で差は無かった(図3
参照)。すべての群に対する血漿グルコース濃度は、経口強制投与に続き直ちに増加し(P<0.01)、15分でピークに到達した。対照群の場合、15分におけるグルコースの基底からの偏差は98.0±12.4mg/dL)であり、この偏差はすべての処理剤で減少した(ブリントール:29.3±6.5、アカルボース:34.2±3.5、サラシノール26.0±5.1;P<0.005)。すべての群が、15分のピークの後に指数関数的なグルコース消失を示した。対照群の場合、グルコース値は210分まで基底値に戻らなかった(P=0.46)。ブリントール(P=0.40)およびサラシノール(P=0.43)群は、60分で、およびアカルボースは90分(P=0.19)基底値まで戻った。
曲線下面積はすべての処理剤で有意に減少した。ブリントールおよびサラシノールはアカルボースよりわずかに低い90分AUCを与えたが、その差は有意でなかった(アカルボースに対して、ブリントール:P=0.16、サラシノール:P=0.6)
5.3.3.2 血漿インシュリン濃度
血漿インシュリンのプロフィールは、対照に対してすべての処理剤で低下した(P<0.0001)(図4)。15分でのグルコースのピークに一致して、すべての群においてインシュリンも7〜15分の間で最高点に到達したが、インシュリンのプロフィールは、より丸みがあり、いずれの群についても指数関数的消滅を示さなかった。対照およびアカルボースのインシュリン値は、15〜90分の範囲で基底と異なるのに対し、ブリントールおよびサラシノールのインシュリン値は、15分の時点で基底からわずかに異なるだけであった(P<0.05)。90分でのインシュリンAUCはブリントール、アカルボース、およびサラシノール処理剤によって、それぞれ53%、49%および65%減少した。処理剤群の間に統計的差異は無かった。
この実験の結果は、ブリントール、アカルボース、およびサラシノールが、カテーテルを入れた正常なラットにおいて、25mg/kg体重の投与量で食後の血漿グルコース濃度および血漿インシュリン濃度を有意に低下させることを示している。重要なことに、この投与量で、ブリントールは、アカルボースに較べてグルコースのプロフィールを低下させた。すべての処理剤でのグルコース・プロフィールの改善は、グルコース吸収の抑制に直接的に帰着可能であると思われ、薬剤の予想された作用機序と一致している。
すべての処理剤で観察される食後のグルコースピークの抑制は、これらの薬剤を長期的に使用した場合、糖尿病性合併症の低減に貢献する可能性がある。グルコース濃度の低下は、インシュリンを分泌するβ−細胞の必要性を減らし、長期的には、β−細胞集団および機能の保護に寄与する可能性がある。さらに、グルコース濃度を良好に調節すると、インシュリンを分泌するβ−細胞の機能を破壊または損傷する可能性のあるグルコース−毒作用を低減し得る。薬剤の長期投与研究は、これらの要素が糖尿病性動物モデルにおける糖尿病の発症を遅延または防止できるかを解明するのに役立つであろう。
前記開示を考慮すると、当業者にとって明白であるように、本発明を実行する上で、その精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更および修正が可能である。

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O中での化合物S−68bの1次元積算NOE差スペクトルを示す図であり、(a)はH NMRスペクトル、(b)はH−4' b/H−1' a多重線の選択照射を伴うスペクトル、(c)はH−1ax/H−5ax多重線の選択照射を伴うスペクトル。 O中での化合物R−68bの1次元積算NOE差スペクトルを示す図であり、(a)はH NMRスペクトル、(b)はH−4' b/H−1' b多重線の選択照射を伴うスペクトル、(c)はH−1ax/H−5ax多重線の選択照射を伴うスペクトル。 アカルボース、ブリントール、およびサラシノールで処置した後の、ラットの平均血漿グルコース濃度を示す図。パネルa):1000mg/kg体重のマルトース経口強制投与に続く、薬剤なし(対照:○)、または25mg/kgの薬剤あり(ブリントール:●、アカルボース:■、サラシノール:□)での平均血漿グルコース経時変化、群毎にn=6、±標準誤差。各動物の時間ゼロの標本(基底量)は、−5および−15分の標本の平均として算定した。パネルb):基底量を超えるグルコースの偏差の平均曲線下面積、0〜90分(対照に対して*:対照に対してP<0.005、#:対照に対してP<0.05)。 アカルボース、ブリントール、およびサラシノールで処置した後の、ラットの平均血漿インシュリン濃度を示す図。パネルa):平均血漿インシュリン濃度(対照:○、ブリントール:●、アカルボース:■、サラシノール:□)、群毎にn=6、±標準誤差。パネルb):グルコース吸収速度曲線下の平均面積(*:対照に対してP<0.01)。

Claims (3)

  1. 下記式で表される化合物94、95、および97のうちから選択される化合物。
    Figure 0004939934
  2. 請求項1に記載の化合物の合成方法であって
    a)下記式で表される化合物104、105、110、および111
    Figure 0004939934
    のうちから選択される環状硫酸エステルを準備する工程と、
    (b)下記式で表される化合物117
    Figure 0004939934
    からなる5員複素環化合物を準備する工程と、
    (c)ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を含む極性溶媒中で前記環状硫酸エステルを前記5員複素環化合物と反応させて、正に帯電したヘテロ原子および負に帯電した硫酸対イオンからなる内部塩構造を有する中間体化合物を生成する工程と、
    (d)前記中間体化合物から保護基を除去する工程と
    を含み、かつ下記スキーム24および25に記載の合成工程で示される合成方法。
    Figure 0004939934
    Figure 0004939934
  3. 前記環状硫酸エステルがD−グルコースから誘導される、請求項に記載の方法。
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