JP4939934B2 - サラシノールの類似化合物およびその合成方法 - Google Patents
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Description
硫酸塩を含む。
サラシノール及び他のグルコシダーゼ阻害剤の正確な作用機序は、未だ解明されていない。インドリジジンアルカロイドのカスタノスペルミン及びスワインソニンなどの幾つかの公知のグリコシダーゼ阻害剤は、生理学的pHで陽電荷を有することが知られている。
れる。陽電荷のスルホニウム、アンモニウム及びセレニウムイオンを含む本発明の化合物は、類似の方法で機能し得るものと仮定される。同様に、サラシノール及び同じクラスの他の化合物は、グルコシダーゼ酵素との直接結合によるよりもむしろ腸壁を横切る輸送機序を改変することにより作用し得ると考えられる。
また、一般式(III)を有する環状硫酸エステルを、一般式(IV)または(V)を有する5員環糖と反応させることを含む、一般式(I)および(II)の化合物の製造方法を開示する。
本出願は、また、グリコシダーゼ阻害剤としての式(I)または(II)で記載される化合物の使用、および、医薬として許容される担体と共に式(I)または(II)で記載される化合物、またはそれらの組合せの有効量を含有する医薬組成物、ならびにこのような化合物の有効量を治療が必要な被験者に投与することにより、インシュリン非依存性糖尿病などの炭水化物代謝障害を治療する方法に関する。
サラシノールは、スリランカ及びインド原産の植物、サラシア・レティキュラタの根及び茎から抽出し得る天然化合物である。この出願は、以下に示すサラシノール(1)及びその窒素(2)及びセレニウム(3)類似体を調製する合成経路に関する。
以下のスキーム1(a)は、標的化合物に達するため発明者が開発した一般合成スキームを示す。サラシノール及びその窒素とセレニウム類似体の異なる立体異性体(A)〜(C)を合成すべく、本発明に従って5員環糖を硫酸含有化合物と反応させる。(スキーム1(a)において、活字(A),(B),(C)は、サラシノール及びその窒素及びセレニウム類似体、それぞれ(1),(2),(3)の全立体異性体を示す。)発明者は、好適合成経路を決定するため、切断アプローチを追求した。合理的な切断は、5員環糖(D)を与える切断である。何故なら、容易に入手可能な炭水化物前駆体から簡単に合成し得るからである。次に、硫酸フラグメント(E)のC1の求核置換により、標的分子を生成し得る(スキーム1(a))。この方法に関する潜在的な問題は、脱離基(L)が後に塩基として作用し、スルホニウム塩の酸性水素を引抜き、不都合な生成物を生成し得ることである。従って、環状硫酸エステル(F)を(E)の代わりに用いて、脱離基(L)に関連する問題をうまく回避し得る。化合物(G)は、環状硫酸エステル試薬として同様に使用し得るので、(F)の保護形である。
環状硫酸エステルと5員環糖を下述の合成スキームに従って調製した。当業者にとって明白であるように、本発明の試薬を製造する他の等価のスキームにより置換し得る。
環状硫酸エステルをエチリデンアセタールと類似の方法で調製した8。環状硫酸エステル(7)は、D−グルコースから出発する4段階で合成した(スキーム2)。2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール(5)は、D−グルコールから二段階で合成し9、10、次に、塩化チオニルと処理して環状亜硫酸エステル(6)を得た。環状亜硫酸エステルは、カルボ−フロレス等(Calvo−Flores et al.)8により記載されるように、環状硫酸エステルに酸化した。
5員環糖(D、X=S)の一つを合成するため、1,4−アンヒドロ−3−O−ベンジル−4−チオ−D−アラビニトール(11)をD−グルコースから出発する9段階で合成した(スキーム4)11。DMF中で臭化ベンジルを用いる化合物(11)のベンジル化により、90%の収量で1,4−アンヒドロ−2,3,5−トリ−O−ベンジル−4−チオ−D−アラビニトール(12)を得た。バーチ(Birch)還元を用いて、化合物(11)を脱ベンジル化し、1,4−アンヒドロ−4−チオ−D−アラビニトール(13)を97%の収量で得た。
である。1,4−ジデオキシ−1,4−イミノ−L−アラビニトール(16)13をD−キシロースから出発する7段階で合成した(スキーム5)。エナンチオマー(19)13は、L−キシロースから出発する類似の方法で合成した(スキーム6)。化合物(19)もまた、D−キシロースから出発する10段階で合成した13。1,4−アンヒドロ−2,3,5−トリ−O−ベンジル−4−セレノ−D−アラビニトール(20)をL−キシロースから出発する5段階で合成した(スキーム6)。化合物(20)を合成するため、セレニウム金属をナトリウムと液体アンモニア中で処理することにより、インシチュでNa2Seを製造した。
5員環のヘテロ原子の求核的攻撃により環状硫酸エステルを開環することにより、標的化合物(1)〜(3)を調製した(上記のスキーム1(b))。ヘテロ原子は、陽電荷陽イオンを生じさせ、環状硫酸エステルは、陰電荷対イオンを生じさせる。この内部塩構造は、さらに別の求核的攻撃による分解に対する標的化合物の安定性を説明し得る。
保護チオ−アラビニトール(12)を環状硫酸エステル(10)(1.2当量)とK2CO3を含む乾燥アセトン中で求核置換して保護中間体化合物(21)を33%の収量で得ることによりサラシノール(1)を合成した。AcOH:H2O、4:1中でベンジル及びベンジリデン基の水素化分解により、サラシノール(1)を67%の収量で得た(スキーム7)。
の収量で得た(スキーム8)。化合物(23)は、サラシノール(1)のジアステレオマーである。
3.1.1 サラシノールの合成の別法
サラシノール(1)の発表されている合成15,25において鍵となる工程は、上述のように、1,4−アンヒドロ−4−チオ−D−ペンチトール(33)の環内硫黄原子の求核的攻撃による環状硫酸エステルの開環反応である(スキーム10a)。これらの試薬を含むアルキル化反応は、環状硫酸エステルの保護基によって左右される。例えば、パーベンジル化チオエーテル33とベンジリデン保護環状硫酸エステル34との炭酸カリウム含有アセトン中での未最適化反応は、33%の収率で進行した(スキーム10a)25。モノベンジル化チオエーテル36との反応においても類似の収率が得られた25。DMF中での未保護チオエーテル38とイソプロピリデン化環状硫酸エステル39との反応は、61%の収率で進行し化合物40を生じたが、対応するベンジル化環状硫酸エステル41との反応は進行しなかった15。後者の誘導体41は、化合物39と比較して、明らかに反応性がかなり低いアルキル化剤である15。また、DMF中、60〜70℃の温度で、環状硫酸エステル39および41のかなりの分解が観察された。化合物40の脱保護は、75%の収率で進行し、46%の総括収率でサラシノール1を与えた15。
、45℃、2日間で化合物34および41と容易に反応し、収率>90%で所望のアルキル化生成物を与えることが判った。
reogenic sulfonium center)の立体化学を考慮し、これらの反応は、反応で使用する溶媒とは無関係に立体選択的に進行すると判断した。立体化学はNOESY実験によって確認した。この実験は、H−4とH−1' の間の明瞭な相関を示し、これによりC−5とC−1' がトランス関係にある異性体の存在が示された。これらの誘導体および関連誘導体29における異性化の証拠は報告されていないので、スルホニウムイオン中心における反転に対する障壁はかなり堅固であるに違いない。
セレノ−類似体中間体(27)(R=CH2C6H5)をセレノ−アラビニトール(20)(R=CH2C6H5)及び環状硫酸エステル(10)から出発して86%の優れた収量で製造した(スキーム11)。NMRスペクトル法により、セレニウムステレオジェン中心で立体化学的に異なった二つの異性体が7:1の比率で存在することが示された。異性体は、分析HPLCにより分離可能であった。本発明者は、新規セレニウム類似体(3)を「ブリントール」と命名した。
3.2.1 ブリントール(Blintol)合成の代替経路
逆合成解析により、ブリントール(3)は、適切に保護された環状硫酸エステル(47)を使用する、環へテロ原子でのアンヒドロセレノ−D−アラビニトール(45)のアルキル化によって得られる可能性のあることが示唆された(スキーム12a)25。
;R=ベンジリデン)との反応を調べた。PMBおよびベンジリデン保護基は両方とも酸加水分解を起こし易いので、酸加水分解によりすべての保護基を除去することが容易である53。
、60%TFAを用い、室温下、30分で達成され、酢酸水を用いて得られるのに匹敵する収率で、対応するジオール60が得られることに注目するのは興味深い。元々の方法は、化合物59を80%HOAc中で48時間還流すること必要とするので、この改良はより効率的であることが分かった。化合物62は水素化分解を受け、非保護の環状硫酸エステル63を与えた。触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)を使用するベンジリデンアセタールの導入は、これらの条件下で環状硫酸エステルは開裂しなかったため、重要な工程であった。所望のベンジリデン保護環状硫酸エステル57が71%の収率で得られた(スキーム12e)。
窒素類似体中間体(30)は、脱保護イミノ−アラビニトール(19)と環状硫酸エステル(10)の反応により、72%の良好な収量で製造した(スキーム13)。化合物(19)は、アセトンに溶解しなかったので、乾燥メタノール中で反応を行った。環状硫酸エステルのメタノリシス生成物と同定された副生成物(19%)を得た。本発明者は、新規の窒素類似体(2)を「ガバミオール」と命名した。化合物(30)を脱保護し、ガバミオールを64%の収量で得た。
(2)のエナンチオマーである。
4.1 6員環類似体
本発明の代替の実施形態において、グリコシダーゼ阻害剤としての潜在的用途を有する目標化合物は、試薬として5員複素環ではなく6員複素環を用いて、上述の方法と同様にして合成することができる。上述の実施形態の場合と同様、環状硫酸エステル(上述)を、環糖のヘテロ原子(すなわち、X=S、Se、NH)の求核的攻撃によるカップリング反応で開環する。当業者にとって明白であるように、6員環糖試薬および得られる目標化合物の一般式を以下に示す。
特に、グリコシダーゼ阻害剤として作用し得るこの種の分子の範囲を拡大するために、本発明者らは、サラシノールと同じL−エリトリトール由来の硫酸エステル化された側鎖を有するN−アルキル化1,5−ジデオキシ−1,5−イミノキシリトール(66a)、およびデオキシノジリマイシン(67a)を合成することを提案した。アンモニウム塩を形成するための内部硫酸対イオンを有することの利点は、このような構造的改良がインビボ安定性および/または膜透過性の向上に繋がるか否かを調べるために、追求する価値があると考えた。さらに、内部硫酸塩および極性側鎖は、触媒の活性部位カルボン酸を脱プロトン化することなく、グリコシダーゼ酵素に結合するカチオン性阻害剤を提供し、阻害にとって重要な構造的特徴に対するさらなる洞察を提供する可能性がある。本発明者らは
、本明細書で、化合物66aおよび67a、ならびに対応するスルホニウムおよびセレノニウム類似体68a、69aおよび70aの合成について説明する。また、本発明者らは、D−エリトリトールから誘導される側鎖を導入して得られる、対応するエナンチオマーまたはジアステレオマー66b〜70bの合成について報告する。
環状硫酸エステル71bの反応性を調べる予備実験で、本発明者らは、さらなる官能基として第二級アルコールのみを有する複合アミン求核試薬の場合には、ヒドロキシル基を保護する必要はないが、いずれかの第一級アルコール官能基がアミンと競合してアルキル化される場合のあることを見出した。
K2CO3を含むMeOH中で化合物72をD−環状硫酸エステル71bと反応させた(スキーム17)。より極性の生成物を単離すると、43%の収率でアンモニウム塩84が得られた。メタノール溶媒による環状硫酸エステルの開環で生じる大量の副生物(83)は、初期のクロマトグラフィー画分から単離可能であった。L−環状硫酸エステル71aを用いて同様に反応させると、この副生物が若干少なく、所望のカップリング生成物82がわずかに高い収率(56%)で得られた。化合物82および84の1H NMRスペクトルは、D2O(K2CO3で塩基性にした)中でアミンに対してα位のメチレン基に対して鋭い共鳴を示したが、中性または酸性のD2O溶液中では、これらメチレン共鳴に対して低磁場にシフトしたより幅広い共鳴が得られた。本発明者らは、これらの観察を、酸性pHでそれらの共役酸と平衡状態で存在する遊離アミンを経由して起こる窒素反転を伴う、化学シフトのNMR時間尺度に対応した中間の時間での、共役−酸R/Sアンモニウム塩の交換によるものと考えた。
た。これらのアンモニウム塩は、激しい交換により広幅化したNMRスペクトルを与え、共役アミン塩基を生じさせるためにNMRサンプルに塩基を添加することによってより明確に特定された。しかし、以下に示すように、硫酸エステルには加水分解する可能性があるので、強塩基で長時間処理することは避けるべきである。エナンチオマーの場合に予想されるように、化合物66aおよび66bのNMRデータは実質上同一であったが、同一およびエナンチオマー化合物の双方における異なるサンプル間の小さな化学シフトの差異に気づいた。これらの差異は、サンプル間でのNMR化学シフトの濃度および温度依存性によるものと考えた。双性イオン化合物が溶液中で凝集体として存在する傾向が、これらの効果の原因であろう。
ピペリジン環の優勢な立体配座は4C1(炭水化物の番号付け)であること、およびこの立体配座選択はプロトン化(pH<3)で変化するようには思われないことが示された。アルキル化デオキシノジリマイシン誘導体に関する以前の立体配座研究において類似の結論に到達した74。
スルホニウム塩68および69の合成(スキーム19および20)は、アンモニウム塩と類似の方法で行った。従って、最初に化合物74を、アセトン中、65℃でD−環状硫酸エステル71bと反応させた。より極性がある2種の生成物のゆっくりとした形成がTLC分析によって観察された。生成物の混合物を単離すると、約37%の収率で化合物88bおよび89bが得られた。溶媒を1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)に変更すると、収率は87%まで向上した。ここでは、スルホニウム塩形成の収率に対するHFIP溶媒の劇的に有利な効果が注目される。主生成物(major product) 88bの副生成物(minor product) 89bに対する比率は2:1であった。クロマトグラフィーで2つの成分の純粋サンプルを取り出し、NMR法で別々に特性を規定した。
MRスペクトルを得た。2つの化合物のスペクトルが類似していることから、それらの化合物は立体異性を生じる硫黄原子においてのみ立体化学を異にすることが示唆された。COSYスペクトルにより、両方の化合物におけるテトラヒドロチアピラン環およびエリトリトール側鎖に対するプロトン・シグナルの帰属が可能になった。特に、環プロトン・シグナルのすべてが、元のテトラヒドロチアピラン17と比較して低磁場にシフトすることが見出された。正のスルホニウム中心は電子求引性なので、このことは予想されたことである。さらに、初め、C−2、C−3およびC−4の3つのベンジルオキシ基はより立体障害が少ないエクアトリアル位を好むと予想されたが、ビシナル・カップリング定数を分析すると、J2,3およびJ3,4=3.5〜3.9Hzであった。これらの値は、前駆体17中のアキシアル−アキシアルのビシナル・カップリング定数に対して観察される値(J2,3≒J3,4≒8.9Hz)よりもはるかに小さい。従って、本発明者らは、化合物88bおよび89bは、3つのベンジルオキシ基をアキシアル位に配置した、小さなビシナル・カップリング定数の原因である1C4立体配座を好むと推論した。この立体配座を好むことは、C−2およびC−4のアキシアル置換基が、極性のベンジルオキシ基とスルホニウムイオン中心とのゴーシュ形静電相互作用の安定化を提供し、C−3の基も静電相互作用の安定化を提供できる28という事実で説明できる。この結果は、カスタノスペルミンのスルホニウム類似体を用いる本発明者らの以前の研究28を想起させる。
ESY実験により確定した。H−1' aプロトンとH−5の間に強いNOE相関が観察された。さらに、H−2' とH−5の間にもNOE相関が存在し、ベンジリデン保護エリトリトール側鎖はH−5と同じ側であることを確認した。H−1axに対するおよびH−6a/H−6bに対するNOEは観察されなかった。従って、化合物90aのスルホニウム中心の絶対配置は、R、すなわち、ジアステレオ異性体90bについて前に見出された硫黄での立体化学と同一であった。(注、配列規則による化合物90aと90bの間のR/S配置の変化は、この場合、硫黄での立体化学の変化を暗示しない)。従って、環状硫酸エステル試薬の配置(71aおよび71b)と無関係に、両方の場合とも、硫黄のアルキル化は化合物75のより障害が少ないβ側から優先的に起こった。
テトラヒドロセレナピラン76をHFIP溶媒中でD−環状硫酸エステル71bにカップリングさせ、96%の収率で比率が1:4の2種の化合物92bおよび93bの分離不能な混合物を得た(スキーム21)。これら2つの化合物は、セレニウムステレオジェン中心でのジアステレオ異性体である。アルキル化はセレニウム上で起こり、硫黄についてと同様、C−3ベンジルオキシ基に対してシスまたはC−3ベンジルオキシ基に対してトランスのベンジリデン保護エリトリトール側鎖を与えることができる。NMRデータをスルホニウム類似体88b/89bのデータと比較することによって、およびNOESYスペクトル(以下を参照)を分析することによって、主生成物93bは、ベンジリデン保護エリトリトール側鎖がC−3のベンジルオキシ基に対してトランスである生成物であることが判った。副生成物92bは、ベンジリデン保護エリトリトール側鎖がC−3のベンジルオキシ基に対してシスである生成物であった。奇妙にも、比率は、主要異性体がシス異性体であったテトラヒドロチアピラン生成物88bおよび89bで得られた結果と反対であった。化合物92bおよび93bの両方で観察された優勢な立体配座は、対応するチオ類似体の場合と同様、3つのベンジルオキシ基のすべてをアキシアル配列で配置した配座であり、従って、カップリング定数で証明されるように1C4立体配座が優先した。その1C4立体配座優先の主要異性体93bは、セレノニウムアルキル基をアキシアル位に配置する。化合物92b/93bのチオ類似体と比較してより長いC−Se結合は、セレノニウムアルキル基とC−2とC−4との間のゴーシュ形立体相互作用の厳しさを緩和するに違いない。
サラシノールおよびそのエナンチオおよびジアステレオ異性体の幾つかの合成について上述した。さらに、本発明者らは、延長されたアルジトール側鎖を有するサラシノール同族体を合成するための戦略を開発した。一実施形態において、側鎖は、5または6個の炭素を有することができる。4つのサラシノール同族体94〜97を下に示す。
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明することになるが、本発明が特定の実施例に限定するものではないことは明らかであろう。
旋光度を20℃で測定した。1H及び13C NMRスペクトルは、それぞれプロトンとカーボンについて400.13と100.6MHzで記録した。全実験は標準Brukerパルスプログラムを使用する二次元1H、1H(COSYDFTP)又は1H、13C(INVBTP)実験を用いて確認した。MALDI−TOF質量スペクトルは、Perseptive Biosystems Voyager−DE計器を用いて、2、5−ジヒドロキシ安息香酸マトリックス中に分散させた試料について得た。クロマトグラフィー用のシリカゲルは、メルク・キーゼルゲル60であった。高分解質量スペクトルは、
10000RPでKratos Concept H二重収束型質量分析計により行ったLSIMS(Fab)であった。
5.2.1 参考例1−環状硫酸エステル(7)の調製(スキーム2)
工程1− 2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール(5)
化合物(5)を標準操作法9、10に従って4,6−O−ベンジリデン−D−グルコース(4)から調製した。化合物(5)は、マクドナルド等(MacDonald et al.)10により特性を決定することなく言及された。従って、特性の決定を本明細書において扱った。Mp138〜139℃;[α]D−44°(c 1.0、MeOH);1H NMR(CD3OD):δ7.53〜7.28(5H、m、Ar)、5.53(1H、s、H−5)、4.2(1H、dd、J=10.1,3.6Hz、H−4a)、3.92(1H、dd、J=12.1、1.7Hz、H−1a)、3.74(1H、dd、J=12.1、5.7Hz、H−1b)、3.67〜3.55(3H、m、H−3、H−2、H−4b);13C NMR(100.6MHz、CD3OD):δ139.52(Cipso)、129.77(Cpara)、128.99、127.49(4Cortho+meta)、102.36(C−5)、84.22(C−3)、72.21(C−4)、62.76(C−1)、62.59(C−2);MALDI−TOF MS:m/e211(M++H)、233(M++Na)。分析値。C11H14O4に対する計算値:C、62.83;H、6.72。実測値:C、62.96;H、6.55。
ジオール(5)(4.5g、21mmol)及びEt3N(11ml、4当量)を乾燥CH2Cl2(90ml)に溶かした溶液を、SOCl2(2.4ml、1.5当量)を乾燥CH2Cl2(60ml)に溶かした溶液に、N2雰囲気下、氷浴中で撹拌しながら滴下した。TLC(hex:EtOAc、4:1)が出発物質の完全消失を示すまで、0℃で撹拌を継続した。混合物をCH2Cl2(150ml)で希釈し、H2O(150ml)及び塩水(150ml)で洗浄した。有機溶液を乾燥(Na2SO4)し、ロータリーエバポレーターにより濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー[hex:EtOAc、4:1+0.1%Et3N]により精製して二つのジアステレオマーの混合物を得た(4.5g、82%)。異性体の一つをEtOAc:hexから選択的に再結晶化した。Mp137〜139℃;[α]D+32°(c 1.0、CH2Cl2);1H NMR(CD2Cl2):δ7.48〜7.36(5H、m、Ar)、5.68(1H、s、H−5)、5.04(1H、ddd、J=10.4、9.5、5.0Hz、H−3)、4.80(1H、dd、J=10.4、10.4Hz、H−1a)、4.24(1H、dd、J=10.5、5.0Hz、H−4e)、4.18(1H、ddd、J=10.4、9.5、4.8Hz、H−2)、4.06(1H、dd、J=10.4、4.8Hz、H−1e)、3.89(1H、dd、J=10.5、10.4Hz、H−4a);13C
NMR(100.6MHz、CD2Cl2):δ137.14(Cipso)、129.74(Cpara)、128.65、126.50(4Cortho+meta)、102.72(C−5)、73.56(C−2)、68.16(C−4)、63.90(C−3)、60.18(C−1)。分析値。C11H12O5Sに対する計算値:C、51.55;H、4.72。実測値:C、51.80;H、4.66。
環状亜硫酸エステル(6)(3.5g、14mmol)をMeCN(50ml)とCCl4(50ml)の混合物に溶かし、NaIO4(4.1g、1.5当量)とRuCl3・H2O(50mg)を加えた後、H2O(50ml)を添加した。TLC(hex:E
tOAc、4:1)が出発物質の完全消失を示すまで、混合物を室温で激しく撹拌した。混合物をEt2O(200ml)で希釈し、H2O(200ml)及び塩水(200ml)で洗浄した。有機溶液を乾燥(Na2SO4)し、ロータリーエバポレーターにより濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー[hex:EtOAc、4:1+0.1%Et3N]により精製して白色固体を得た(3.5g、95%)。生成物の1部をEtOAc:hexから再結晶化した。Mp115〜125℃(分解);[α]D+4°(c
1.0、CHCl3);1H NMR(CD2Cl2):δ7.48〜7.37(5H、m、Ar)、5.65(1H、s、H−5)、4.86(1H、ddd、J=10.2、9.8、5.0Hz、H−3)、4.76(1H、dd、J=10.7、10.5Hz、H−1a)、4.65(1H、dd、J=10.5、5.0Hz、H−1e)、4.44(1H、dd、J=10.5、5.0Hz、H−4e)、4.25(1H、ddd、J=10.7、9.8、5.0Hz、H−2)、3.97(1H、dd、J=10.5、10.2Hz、H−4a);13C NMR(100.6MHz、CD2Cl2):δ136.32(Cipso)、130.03(Cpara)、128.74、126.52(4Cortho+meta)、102.98(C−5)、75.74(C−3)、73.19(C−1)、71.68(C−2)、67.64(C−4);MALDI−TOF MS:m/e273(M++H)、分析値。C11H12O6Sに対する計算値:C、48.52;H、4.45。実測値:C、48.43;H、4.39。
1,4−アンヒドロ−2,3,5−トリ−O−ベンジル−4−チオ−D−アラビニトール(12)
1,4−アンヒドロ−3−O−ベンジル−4−チオ−D−アラビニトール(1.0g、4.2mmol)及び60%NaH(0.85g、5当量)をDMF(20ml)中で混合した混合物を、氷浴中、1時間撹拌した。臭化ベンジル(1.9ml、3.8当量)をDMF(5ml)に溶かした溶液を加え、溶液を室温で3時間撹拌した。混合物を氷水(150ml)に加え、Et2O(150ml)で抽出した。有機溶液を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー[hex:EtOAc、4:1]により精製してシロップを得た(1.6g、90%)。[α]D+5°(c 1.6、CHCl3);1H NMR(CDCl3):δ7.38〜7.23(15H、m、Ar)、4.64〜4.45(6H、m、CH2Ph)、4.19(1H、dd、J=8.9、4.6Hz、H−2)、4.11(1H、dd、J=7.2、3.8Hz、H−3)、3.69(1H、dd、J=8.8、7.6Hz、H−5a)、3.57(1H、ddd、J=7.5、6.4、3.6Hz、H−4)、3.50(1H、dd、J=8.9、6.3Hz、H−5b)、3.08(1H、dd、J=11.4、5.1Hz、H−1a)、2.91(1H、dd、J=11.4、4.6Hz、H−1b)。13C NMR(100.6MHz、CDCl3):δ138.16、138.06、137.88(3Cipso)、128.40〜127.59(15CAr)、85.08(C−3)、85.04(C−2)、73.01(CH2Ph)、72.34(C−5)、71.85、71.50(2CH2Ph)、48.99(C−4)、33.10(C−1)。分析値。C26H28O3Sに対する計算値:C、74.25;H、6.72。実測値:C、74.18;H、6.53。
1、4−アンヒドロ−2、3、5−トリ−O−ベンジル−4−セレノ−D−アラビニトール(20)
セレニウム金属(1.1g、14mmol)を−50℃浴中の液体NH3(60ml)に添加し、青色が出現するまで小片のNa(0.71g)を加えた。小部分のセレニウム(20mg)を加えて、青色を除去した。水浴中で加温することによりNH3を除去し、次いでDMFを添加し、高真空下でNH3の残りを除去した。メシル化化合物(18)(7.4g、12.7mmol)をDMF(100ml)に溶かした溶液を添加し、混合物を、N2下、70℃浴中で3時間撹拌した。混合物を冷却し、溶媒を高真空下で除去した。生成物をCH2Cl2(150ml)と水(50ml)間で分配し、有機溶液を水(50ml)及び塩水(50ml)で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。生成物をフラッシュクロマトグラフィー[hex:EtOAc、3:1]により精製して黄色の油を得た(4.74g、80%)。
[α]D+22°(c 1.3、CHCl3);1H NMR(CDCl3):δ7.22〜7.48(15H、m、Ar)、4.67、4.61(2H、2d、J=11.8Hz、CH2Ph)、4.56、4.48(2H、2d、J=12.1Hz、CH2Ph)、4.53、4.50(2H、2d、CH2Ph)、4.22(1H、dd、J=10.1、5.1Hz、H−2)、4.07(1H、dd、J=4.6、4.6Hz、H−3)、3.85(1H、dd、J=9.2、7.6Hz、H−5a)、3.77(1H、ddd、J=7.5、6.9、4.5Hz、H−4)、3.53(1H、dd、J=9.1、6.8Hz、H−5b)、3.11(1H、dd、J=10.4、5.1Hz、H−1a)、2.96(1H、dd、J=10.4、5.3Hz、H−1b)。13C NMR(100.6MHz、CDCl3):δ138.24、138.21、138.06(3Cipso)、128.40〜127.60(15CAr)、85.93(C−2)、85.63(C−3)、72.96(C−5、CH2Ph)、72.14、71.50(2CH2Ph)、42.59(C−4)、23.96(C−1)。分析値。C26H28O3Seに対する計算値:C、66.65;H、6.03。実測値:C、66.49;H、6.05。
チオ、アザ又はセレノ糖(3mmol)及び環状硫酸エステル(1.2当量)を乾燥アセトン((21)、(22)、(24)、(26)、(27)及び(28)の場合)又は乾燥メタノール((30)及び(31)の場合)に溶かし、無水K2CO3(7mg)を加えた。混合物を油浴(75℃)中、Caries管内で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、10:1+0.1%Et3N]により、無定形固定物を得た(33%)。[α]D−11.9°(c 1.7、CH2Cl2);1H NMR(CD2Cl2):δ7.49〜7.12(20H、m、Ar)、5.54(1H、s、H−5)、4.59(1H、ddd、J=9.9、5.4、4.5Hz、H−3)、4.55〜4.33(8H、m、4CH2Ph、H−2' 、H−4a、H−1a、H−3' )、4.29(1H、dt、J=9.5、3.0Hz、H−2)、4.25と4.15(2H、2d、J=11.9Hz、CH2Ph)、4.04(1H、m、H−1' a)、4.02〜3.95(2H、m、H−4' 、H−1b)、3.78(1H、dd、J=10.7、10.7Hz、H−4b)、3.74(1H、dd、J=13.6、3.8Hz、H−1' b)、3.62(1H、dd、J=9.9、8.6Hz、H−5' a)、3.54(1H、dd、J=9.9、7.2Hz、H−5' b);13C NMR(100.6MHz、CD2Cl2):δ137.34、137.24、136.56、136.39(4Cipso)、129.73〜126.62(20CAr)、101.95(C−5)、83.75(C−3' )、82.82(C−2' )、76.80(C−2)、73.73、72.84、72.52(3CH2Ph)、69.54(C−4)、67.01(C−5' )、66.48(C−3)、65.27(C−4'
)、49.67(C−1)、48.28(C−1' );MALDI−TOF MS:m/e693(M++H)。分析値。C37H40O9S2に対する計算値:C、64.14;H、5.82。実測値:C、63.88;H、5.83。
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、10:1+0.1%Et3N]により、無定形の固体を得た(79%)。[α]D−46.9°(c 0.65、CH2Cl2);1H NMR(CD2Cl2):δ7.43〜7.10(20H、m、Ar)、5.49(1H、s、H−5)、4.62〜4.34(11H、m、CH2Ph、H−3、H−4a、H−2' 、H−1a、H−3' )、4.30〜4.21(2H、m、H−2、H−4' )、3.96(1H、dd、J=9.7、6.2Hz、h−5' a)、3.90(1H、dd、J=13.3、3.4Hz、H−1b)、3.82(1H、dd、J=9.8、9.8Hz、H−5' b)、3.79〜3.71(2H、m、H−1' a、H−4b)、3.51(1H、dd、J=13.2、3.9Hz、H−1' b);13C NMR(100.6MHz、CD2Cl2):δ137.62、137.27、136.48、136.29(4Cipso)、129.80〜126.56(20CAr)、102.16(C−5)、84.25(C−3' )、82.56(C−2' )、77.07(C−2)、74.02、72.74(3CH2Ph)、69.75(C−4)、67.19(C−5' )、66.82(C−3)、65.76(C−4' )、50.41(C−1)、49.60(C−1' );MALDI−TOF MS:m/e693(M++H)。分析値。C37H40O9S2に対する計算値:C、64.14;H、5.82。実測値:C、64.16;H、5.73。
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、10:1+0.1%Et3N]により、無定形の固体を得た(40%)。[α]D+14.3°(c 1.4、CH2Cl2);1H NMR(CD2Cl2):δ7.49〜7.12(20H、m、Ar)、5.55(1H、s、H−5)、4.60(1H、ddd、J=9.8、5.5、4.5Hz、H−3)、4.55〜4.44(5H、m、3CH2Ph、H−2' 、H−4a)、4.42(1H、dd、J=13.3、2.3Hz、H−1a)、4.39〜4.34(2H、m、CH2Ph、H−3' )、4.28(1H、dt、J=9.8、2.9Hz、H−2)、4.24と4.14(2H、2d、J=11.9Hz、CH2Ph)、4.10(1H、d、J=13.4Hz、H−1' a)、3.98〜3.90(2H、m、H−4' 、H−1b)、3.78(1H、dd、J=10.5、10.5Hz、H−4b)、3.67(1H、dd、J=13.4、3.8Hz、H−1' b)、3.62(1H、dd、J=9.9、8.7Hz、H−5' a)、3.53(1H、dd、J=9.9、7.2Hz、H−5' b);13C NMR(100.6MHz、CD2Cl2):δ137.32、137.26、136.48、136.25(4Cipso)、129.79〜126.64(20CAr)、102.06(C−5)、83.96(C−3' )、82.74(C−2' )、76.93(C−2)、73.81、72.97、72.57(3CH2Ph)、69.59(C−4)、67.07(C−5' )、66.36(C−3)、66.31(C−4' )、49.96(C−1)、48.52(C−1' )。分析値。C37H40O9S2に対する計算値:C、64.14;H、5.82。実測値:C、64.13;H、5.74。
ール)−4' −S−イル)−2、4−O−ベンジリデン−1−デオキシ−L−エリトリトール−3−硫酸エステル(26)
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、10:1+0.1%Et3N]により、無定形の固体を得た(32%)。1H NMR(CD2Cl2):δ7.49〜7.26(10H、m、Ar)、6.22(1H、d、J=4.4Hz、2' −OH)、5.54(1H、s、H−5)、4.96(1H、br−s、H−2' )、4.64(1H、d、J=11.6Hz、CH2Ph)、4.64〜4.62(1H、m、5' −OH)、4.56(1H、d、J=11.6Hz、CH2Ph)、4.54〜4.48(1H、m、H−3)、4.46(1H、dd、J=10.5、5.4Hz、H−4a)、4.33〜4.25(3H、m、H−3' 、H−2、H−1' a)、4.12(1H、dd、J=13.5、2.6Hz、H−1a)、4.12〜4.09(1H、m、H−4' )、4.01(1H、dd、J=13.5、3.4Hz、H−1b)、3.92〜3.82(2H、m、H−5' a、H−5' b)、3.78(1H、dd、J=10.5、10.1Hz、H−4b)、3.67(1H、dd、J=13.5、3.9Hz、H−1' b);13C NMR(100.6MHz、CD2Cl2):δ136.92、136.73(2Cipso)、129.97〜126.61(10CAr)、102.32(C−5)、88.45(C−3' )、76.61(C−2)、76.22(C−2' )、72.96(CH2Ph)、71.24(C−4' )、69.27(C−4)、66.96(C−3)、60.51(C−5' )、52.43(C−1' )、48.30(C−1);MALDI−TOF MS:m/e513(M++H)。分析値。C23H28O9S2に対する計算値:C、53.89;H、5.51。実測値:C、53.64;H、5.34。
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、15:1]により、無定形の固体を得た(86%)。NMRは、セレニウムステレオジェン中心で二つの異性体(7:1)の存在を示した。これらの異性体は、分析HPLC[アセトニトリル/H2O]で分離した。分析値。C37H40O9SSeに対する計算値:C、59.99;H、5.45。実測値:C、59.91;H、5.44。
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、15:1]により、無定形の固体を得た(96%)。NMRは、セレニウムステレオジェン中心で二つの異性体(3:1)の存在を示した。これらの異性体は、分析HPLC[アセトニトリル/H2O]により分離した。分析値。C37H40O9SSeに対する計算値:C、59.99;H、5.45。実測値:C、59.91;H、5.37。
1,4−ジデオキシ−1,4−イミノ−D−アラビニトール(19)(100mg、0.7mmol)と2、4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル(10)(235mg、1.2当量)の混合物を乾燥MeOH(0.5ml)に溶かし、無水K2CO3(15mg)を加えた。混合物を油浴(75℃)中、Caries管内で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CH2Cl2:MeOH、4.5:1]により、無定形の固体を得た(219mg、72%
)。1H NMR(CD3OD):δ7.53〜7.30(5H、m、Ar)、5.61(1H、s、H−5)、4.53(1H、dd、J=11.1、5.2Hz、H−4a)、4.25(1H、m、H−2)、4.20(1H、ddd、J=9.8、5.2、4.4Hz、H−3)、4.11(1H、br−s、H−2' )、3.99〜3.84(4H、m、H−1a、H−3' 、H−5' a、H−5' b)、3.82(1H、dd、J=10.7、9.8Hz、H−4b)、3.58(1H、m、H−1' a)、3.55〜3.42(2H、m、H−1' b、H−4' )、3.38(1H、m、H−1b);13C NMR(100.6MHz、CD3OD):δ138.72(Cipso)、130.12(Cpara)、129.21、127.39(4Cortho+meta)、102.33(C−5)、78.01(C−4' 、C−3' 、C−2)、76.31(C−2' )、70.29(C−4)、69.02(C−3)、62.64(C−1' )、60.51(C−5' )、58.46(C−1);MALDI−TOF MS:m/e428(M++Na)、406(M++H);HRMS(高分解能質量分析).C16H23O9SN(M+H)に対する計算値:406.1179。実測値:406.1192。
1,4−ジデオキシ−1,4−イミノ−L−アラビニトール(16)(80mg、0.6mmol)及び2、4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル(7)(190mg、1.2当量)の混合物を乾燥MeOH(0.5ml)に溶かし、無水K2CO3(10mg)を加えた。混合物を油浴(75℃)中、Caries管内で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CH2Cl2:MeOH、5:1]により、無定形の固体を得た(175mg、72%)。1H NMR(CD3OD):δ7.52〜7.31(5H、m、Ar)、5.62(1H、s、H−5)、4.53(1H、dd、J=10.9、5.2Hz、H−4a)、4.28(1H、m、H−2)、4.20(1H、ddd、J=9.7、5.1、4.6Hz、H−3)、4.14(1H、br−s、H−2' )、4.03(1H、m、H−1a)、3.98〜3.84(3H、m、H−3' 、H−5' a、H−5' b)、3.81(1H、dd、J=10.9、10Hz、H−4b)、3.63(1H、m、H−1' a)、3.55〜3.42(2H、m、H−1' b、H−4' )、3.38(1H、m、H−1b);13C NMR(100.6MHz、CD3OD):δ138.66(Cipso)、130.15(Cpara)、129.23、127.40(4Cortho+meta)、102.34(C−5)、77.81(C−4' )、77.52(C−3' 、C−2)、76.19(C−2' )、70.27(C−4)、68.92(C−3)、62.68(C−1' )、60.41(C−5' )、58.61(C−1);MALDI−TOF MS:m/e428(M++Na)、406(M++H)。
2,3,5−トリ−O−ベンジル−1,4−ジデオキシ−1,4−[[(2S,3S)−2,4−ジ−(ベンジルオキシ)−3−スルホキシ)ブチル]−エピスルホニウムイリデン]−D−アラビニトール内部塩(42)
無水K2CO3(16mg、0.10ミリモル)を含むアセトンまたはHFIP(0.5mL)中、チオエーテル3325(270mg、0.64ミリモル)および2,4−ジ−O−ベンジル−1,3−環状硫酸エステル(41)15,26(280mg、0.77ミリモル)の混合物を、油浴(75〜80℃)に浸けた封管中で14時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、溶離液として(CH2Cl2:MeOH、10:1)を用いるカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物42を無定形固体として、アセトンでは5%(29mg)、HFIPでは45%(229mg)の収率で得た。Rf 0.40(CH2Cl2:MeOH,10:1);[α]D−26°(c 1.3,CHCl3);1H NMR(CDCl3):δ7.38〜7.05(25H,m,Ar)、4.67および4.45(2H,2d,JA,B=11.8Hz,CH2Ph)、4.60および4.45(2H,2d,JA,B=9.5Hz,CH2Ph)、4.59および4.44(2H,2d,JA,B=11.2Hz,CH2Ph)、4.58(1H,dt,J2’,3’=5.0Hz,H−3’)、4.42および4.28(2H,2d,JA,B=11.0Hz,CH2Ph)、4.36(1H,m,H−2)、4.32(1H,ddd,J=1.7,4.1,6.3Hz,H−2’)、4.30および4.20(2H,2d,JA,B=11.7Hz,CH2Ph)、4.23(1H,m,H−3)、4.13(1H,dd,J1’a,1’b=13.4,J1’a,2’=2.0Hz,H−1’a)、4.05(1H,d,J2,3=13.3Hz,H−1a)、4.00(1H,dd,J4’a,4’b=11.1,J3’,4’a=2.7Hz,H−4’a)、3.86(1H,dd,J3’,4’b=2.4,J4’a,4’b=11.3Hz,H−4’b)、3.71(1H,brt,J=9.2Hz,H−4)、3.69(1H,dd,J1’b,2’=3.8,J1’b,1’a=9.2Hz,H−1’b)、3.60(1H,dd,J1a,1b=13.5,J1b,2=3.8Hz,H−1b)、3.51(1H,dd,J5a,5b=13.6,J4,5a=9.7Hz,H−5a)、3.49(1H,dd,J4,5b=9.7Hz,H−5b);13C NMR(CDCl3):δ137.97、136.77、136.71、136.05および135.77(5×Cipso Ph)、128.81〜127.66(25C,Ph)、83.14(C−3)、81.65(C−2)、74.59(C−3’)、73.81、73.53、3.39、72.12、71.84(5×CH2Ph)、73.10(C−2’)、68.79(C−4’)、66.62(C−5)、65.53(C−4)、50.89(C−1’)、48.07(C−1)。MALDI−TOF MS:m/e 785.41(M++H)、808.32(M++Na)。元素分析:C44H48O9S2の計算値:C,67.32;H,6.16。実測値:C,67.36;H,6.10。
K2CO3(13mg、0.09ミリモル)を含むアセトンまたはHFIP(0.5mL)中、チオエーテル3325(260mg、0.62ミリモル)および2,4−ジ−O−ベンジリデン−1,3−環状硫酸エステル(34)25(200mg、0.74ミリモル)の混合物を、上記と同様に処理し、表題化合物3525を無定形固体として、アセトンでは59%(252mg)、HFIPでは94%(406mg)の収率で得た。
THF(15mL)中の1,4−アンヒドロ−4−チオ−D−アラビニトール3825(0.98g、6.52ミリモル)と60%NaH(1.56g、39.15ミリモル、6当量)の氷冷混合物に、p−メトキシベンジルクロリド(4.59g、29.34ミリモル、4.5当量)のTHF(10mL)溶液を30分に渡って添加した。反応混合物を室温になるまで放置、さらに1時間撹拌し、その後55℃で12時間加熱した。反応混合物を冷却し、氷水(150mL)に注ぎ、Et2O(150mL)で抽出した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:EtOAc、7:3]で精製して無色のシロップを得た(2.96g、87%)。[α]D+6°(c 1,CHCl3);1H NMR(CDCl3):δ7.20〜6.80(12H,m,Ar)、4.55(2H,s,CH2Ph)、4.48および4.45(2H,2d,JA,B=11.7Hz,CH2Ph)、4.42および4.39(2H,2d,JA,B=12.0Hz,CH2Ph)、4.13(1H,dd,J1a,2=4.
6,J2,3=9.1Hz,H−2)、4.05(1H,dd,J2,3=J3,4=3.7Hz,H−3)、3.81(3H,s,OCH3)、3.79(3H,s,OCH3)、3.76(3H,s,OCH3)、3.64(1H,dd,J5a,5b=8.9,J4,5a=7.5Hz,H−5a)、3.50(1H,ddd,J4,5b=6.3Hz,H−4)、3.45(1H,dd,H−5b)、3.04(1H,dd,J1a,1b=11.4,J1a,2=5.2Hz,H−1a)、2.85(1H,dd,H−1b)。13C NMR(CDCl3):δ159.24、159.16(3Cpara)、130.31、130.19、130.01(3Cipso)、129.48、129.28、129.22(6Cortho)、113.80、113.74(6Cmeta)、84.77(C−3)、84.70(C−2)、72.66、71.49、71.20(3×CH2Ph)、72.15(C−5)、55.24(3×OCH3)、48.96(C−4)、33.07(C−1)。元素分析:C29H34O6Sの計算値:C,68.21;H,6.71。実測値:C,67.99;H,6.69。
無水K2CO3(30mg)を含むHFIP(2.5mL)中、チオエーテル43(1.50g、2.94ミリモル)および環状硫酸エステル34(0.96g、1.2当量)の混合物を、油浴(55℃)に浸けた封管中で一夜撹拌した。TLC分析(CH2Cl2:MeOH、10:1)により、チオエーテル43が完全に消費されたことが判った。溶媒を減圧下で除去し、カラムクロマトグラフィー(CH2Cl2からCH2Cl2:MeOH=10:1までのグラジエント)で生成物を精製し、化合物13を無色の泡状物として得た(2.3g、100%)。[α]D−10.5°(c 1.1,CH2Cl2);1H NMR(CD2Cl2):δ7.51〜6.81(17H,m,Ph)、5.53(1H,s,C6H5CH)、4.57(1H,ddd,J2' ,3' =J3' ,4' ax=10.0,J3' ,4' eq=5.5Hz,H−3' )、4.49(1H,dd,J4' ax,4' eq=10.8Hz,H−4' eq)、4.44(2H,s,CH2Ph)、4.42〜4.39(1H,m,H−2)、4.39および4.29(2H,2d,JA,B=11.4Hz,CH2Ph)、4.33(1H,dd,J1' a,2' =13.4,J1' a,2' =2.6Hz,H−1' a)、4.29〜4.26(1H,m,H−3)、4.26(1H,ddd,H−2' )、4.19および4.09(2H,2d,JA,B=11.5Hz,CH2Ph)、4.03(1H,br d,J1a,2<1Hz,H−1a)、3.96〜3.89(2H,m,H−4,H−1' b)、3.80(3H,s,OCH3)、3.79(3H,s,OCH3)、3.78(3H,s,OCH3)、3.77(1H,dd,H−4' ax)、3.63(1H,dd,J1a,1b=13.3,J1b,2=3.8Hz,H−1b)、3.58(1H,dd,J5a,5b=9.9,J4,5a=8.5Hz,H−5a)、3.49(1H,dd,J4,5b=7.3Hz,H−5b);13C NMR(CD2Cl2):δ160.30、160.23、159.97、137.20および130.27〜126.61(21×C,Ph)、114.45、114.36および114.18(3×Cipso,OMBn)、101.96(PHCH)、83.29(C−3)、82.37(C−2)、76.76(C−2' )、73.36、72.43、および72.14(3×CH2Ph)、69.50(C−4' )、66.71(C−5)、66.55(C−4)、66.45(C−3' )、55.61(3C,3×OCH3)、49.55(C−1' )、48.48(C−1)。元素分析:C40H46O12S2の計算値:C,61.36;H,5.92。実測値:C,61.13;H,6.00。
化合物13(2.30g、2.94ミリモル)をトリフルオロ酢酸(24mL)に溶解し、撹拌しながら水(2.4mL)を添加した。混合物を室温で0.5時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、ガム状残留物をCH2Cl2(3×20mL)で洗浄した。水(15mL)を添加して粗生成物を溶解し、次いで、減圧下で蒸発させて残存する痕跡量の酸を除去した。サラシノール1をMeOHで結晶化した(0.67g、68%)。母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:H2O、7:3:1)で精製して、さらなるサラシノール1(0.18g、18%)を白色固体として得た。
保護化合物をAcOH:H2O、4:1(3ml)に溶解し、H2(52psi)下、Pd−C(80mg)と共に撹拌した。60時間後、反応混合物をセライトパッドでろ過し、その後、MeOHで洗浄した。ろ液を合わせて濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH:H2O、7:3:1]により、無定形の固体を得た(67%)。[α]D+2.1°(c 0.48、MeOH);1H NMR(ピリジン−d5):δ5.25(1H、ddd、J=7.4、3.8、3.6Hz、H−3)、5.14〜5.09(2H、m、H−3' 、H−2' )、5.00(1H、m、H−2)、4.78(1H、dd、J=13.0、4.9Hz、H−1a)、4.70(1H、m、H−4' )、4.63(1H、dd、J=13.0、4.0Hz、H−1b)、4.61(1H、dd、J=11.8、3.7Hz、H−4a)、4.53(2H、m、H−5' a、H−5' b)、4.38(1H、dd、J=11.8、3.8Hz、H−4b)、4.32(2H、br−s、H−1' a、H−1' b);13C NMR(100.6MHz、ピリジン−d5):δ79.14(C−3)、79.06(C−3' )、78.18(C−2' )、72.30(C−4' )、67.44(C−2)、62.05(C−4)、59.98(C−5' )、52.46(C−1)、50.35(C−1' )。HRMS.C9H18O9S2(M+H)に対する計算値:335.0471。実測値:335.0481。
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH:H2O、7:3:1]により、無定形の固体を得た(59%)。[α]D−35.6°(c 0.86、MeOH);1H NMR(ピリジン−d5):δ5.19(1H、ddd、J=8.0、4.1,3.6Hz、H−3)、5.17〜5.12(2H、m、H−2' 、H−3' )、5.00(1H、ddd、J=8.0、5.3、4.1Hz、H−2)、4.83(1H、dd、J=13.0、5.1Hz、H−1a)、4.78(1H、m、H−4' )、4.65(1H、dd、J=11.9、3.8Hz、H−4a)、4.64〜4.57(2H、m、H−5' a、H−5' b)、4.53(1H、dd、J=13.0、4.1Hz、H−1b)、4.40(1H、dd、J=11.9、3.8Hz、H−4b)、4.29(1H、dd、J=12.7、3.9Hz、H−1' a)、4.17(1H、dd、J=12.7、2.6Hz、H−1' b);13C NMR(100.6MHz、ピリジン−d5):δ79.46(C−3)、79.38(C−3' )、78.94(C−2' )、71.94(C−4' )、67.52(C−2)、62.02(C−4)、60.26(C−5' )、52.64(C−1)、51.01(C−1' )。HRMS.C9H18O9S2(M+H)に対する計算値:335.0471。実測値:335.0486。
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH:H2O、7:3:1]により、無定形の固体を得た(80%)。[α]D+1.1°(c 1.5、MeOH);1H NMR(ピリジン−d5):δ5.23(1H、ddd、J=7.4、3.8、3.7Hz、H−3)、5.11(1H、m、H−3' )、5.10(1H、m、H−2' )、4.98(1H、m、H−2)、4.76(1H、dd、J=11.7、3.7Hz、H−1a)、4.70(1H、m、H−4' )、4.63(1H、dd、J=11.7、3.8Hz、H−1b)、4.60(1H、dd、J=11.8、3.7Hz、H−4a)、4.51(2H、m、H−5' a、H−5' b)、4.35(1H、dd、J=11.8、4.0Hz、H−4b)、4.31(2H、m、H−1' a、H−1' b);13C NMR(100.6MHz、ピリジン−d5):δ79.38(C−3、C−2' )、78.41(C−3' )、72.51(C−4' )、67.63(C−2)、62.23(C−4)、60.21(C−5' )、52.60(C−1)、50.57(C−1' )。HRMS.C9H18O9S2(M+H)に対する計算値:335.0471。実測値:335.0466。
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH:H2O、7:3:1]により、無定形の固体を得た(64%)。1H NMR(CD3OD):δ4.26〜4.20(2H、m、H−2、H−3)、4.15(1H、m、H−2' )、3.98(1H、br−s、H−3' )、3.94〜3.87(3H、m、H−5' a、H−5' b、H−4a)、3.81(1H、dd、J=12.0、3.5Hz、H−4b)、3.74〜3.62(2H、m、H−1a、H−1' a)、3.49〜3.42(1H、m、H−1' b)、3.40〜3.35(1H、m、H−4' )、3.15(1H、m、H−1b);13C NMR(100.6MHz、CD3OD):δ81.17(C−3)、78.27(C−3' )、77.86(C−4' )、76.19(C−2' )、68.07(C−2)、62.57(C−1' )、61.67(C−4)、60.72(C−1、C−5' )。HRMS.C9H18O9SN(M+H)に対する計算値:318.0859。実測値:318.0863。
粗生成物のカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH:H2O、7:3:1]により、無定形の固体を得た(77%)。1H NMR(CD3OD):δ4.25(1H、m、H−2)、4.23(1H、m、H−3)、4.16(1H、br−s、H−2' )、3.99(1H、br−s、H−3' )、3.94〜3.87(3H、m、H−5' a、H−5' b、H−4a)、3.81(1H、dd、J=12.1,3.6Hz、H−4b)、3.77〜3.64(2H、m、H−1a、H−1' a)、3.55〜3.39(2H、m、H−1' b、H−4' )、3.22(1H、m、H−1b);13C NMR(100.6MHz、CD3OD):δ81.18(C−3)、78.23(C−3' 、C−4' )、76.10(C−2' )、68.05(C−2)、62.66(C−1' )、61.88(C−4)、60.49(C−1、C−5' )。HRMS.C9H18O9SN(M+H)に対する計算値:318.0859。実測値:318.0856。
1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−キシロフラノース(49)
L−キシロース(5.00g、33.3ミリモル)、ホウ酸(4.50g、73.2ミリモル)、および氷酢酸(100mL)を250mL丸底フラスコに仕込んだ。混合物を、L−キシロースおよびホウ酸が酢酸に溶解するまで80℃で撹拌した。無水酢酸(50mL)を添加し、反応混合物を75℃で4時間撹拌した。TLC(EtOAc:MeOH:H2O、10:3:1)で分析すると、L−キシロースが完全に消費されたことが判った。次いで、反応混合物にMeOHを添加し、そして反応混合物を濃縮し、暗橙褐色のシロップを得た。このシロップに無水酢酸(50mL)およびピリジン(50mL)を添加し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。橙褐色混合物を砕氷中に注ぎ、Et2O(100mL)で抽出した。有機層を、飽和NaHCO3水溶液(50mL)、HCl水溶液、水、および飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、黄色シロップとなるまで濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、2:1)で精製すると、テトラ−O−アセチルキシロフラノース49(α:β比率は1:23)が無色のシロップとして得られた(9.01g、85%)。β異性体(主要物)のデータ。
テトラ−O−アセチルキシロフラノース49(5.00g、17.7ミリモル)、CH2Cl2(100mL)、4−ペンテン−1−オール(9.1mL、88ミリモル)、および破砕モレキュラーシーブ(4Å、2g)を250mL丸底フラスコに仕込み、0℃まで冷却した。反応混合物に三フッ化ホウ素(11mL、88ミリモル)を添加し、混合物を0℃で2時間撹拌した。温度を室温まで上昇させ、混合物を1時間撹拌した。TLC(ヘキサン:EtOAc、2:1)での分析により、大部分の出発原料の消費されたことが判った。反応混合物を、氷/NaHCO3混合物中に注ぎ、Et2O(100mL)で抽出し、MgSO4上で乾燥した。反応混合物を暗橙褐色のシロップになるまで濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、2:1)で精製すると、ペンテニルグリコシド50(α:β比率は1:23)が無色のシロップとして得られた(3.28g、60%)。
H3)、2.04(2H,m,H−3' a,H−3' b)、1.65(2H,m,H−2' a,H−2' b)。13C NMR(CDCl3):δ170.72、170.11、および169.74(3×C=O,OAc)、138.22(C−4' )、115.13(C−5' )、106.08(C−1)、80.92(C−2)、78.17(C−4)、75.11(C−3)、67.77(C−1' )、63.42(C−5)、30.34(C−3' )、28.78(C−2' )、20.99、20.93、および20.81(3×CH3,OAc)。元素分析:C16H24O8の計算値:C,55.81;H,7.02。実測値:C,55.99;H,7.19。
ペンテニルグリコシド50(3.28g、9.52ミリモル)を、250mL丸底フラスコ中のMeOH(50mL)に溶解した。反応混合物にNaOMeのMeOH溶液(0.02M)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。TLC(CH2Cl2:MeOH、10:1)での分析により、出発原料が消費されたことが判った。反応混合物にRexyn(登録商標)101(H)樹脂を添加してpHを7に調整した。次いで、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して淡褐色シロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH、10:1)で精製すると、ペンテニルグリコシド51(α:β比率は1:23)が無色のシロップとして得られた(1.97g、95%)。
250mLフラスコにNaH(4.38g、0.11モル)およびDMF(80mL)を仕込み、0℃まで冷却した。ペンテニルグリコシド51(3.00g、13.7ミリモル)をDMF(10mL)に溶解し、この溶液をNaH/DMF混合物に滴加した。滴加後、反応混合物を0℃で2時間撹拌した。次いで、温度を室温まで上昇させ、混合物を1時間撹拌した。次いで、DMF(10mL)に溶解したp−メトキシベンジルクロリド(15mL、0.11モル)を反応混合物に滴加した。滴加後、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を氷水で急冷し、Et2O(100mL)で抽出し、H2O(8×20mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。混合物を濃縮して、橙褐色シロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、4:1)で精製すると、ペンテニルグリコシド52(α:β比率は1:23)が無色のシロップとして得られた(7.30g、92%)。
、5.03(1H,dddd,J3' a,5' a=1.7,J3' b,5' a=5.5,J5' b,5' a=3.5Hz,H−5a' )、4.98(1H,br.s,J1,2=1.8Hz,H−1)、4.97(1H,m,H−5' b)、4.49(6H,m,3×CH2Ph)、4.41(1H,m,H−4)、4.02(1H,dd,J2,3=2.3,J3,4=5.8Hz,H−3)、3.97(1H,br.t,H−2)、3.81(6H,s,2×OCH3)、3.80(3H,s,OCH3)、3.76(1H,m,H−1' a)、3.72(1H,dd,J4,5a=4.7,J5a,5b=10.3Hz,H−5a)、3.67(1H,dd,J4,5b=7.3Hz,H−5b)、3.42(1H,m,H−1' b)、2.12(2H,m,H−3' a,H−3' b)、1.68(2H,m,H−2' a,H−2' b)。13C NMR(CDCl3):δ159.60〜113.91(12 CAr)、138.51(C−4' )、114.03(C−5' )、107.38(C−1)、87.02(C−2)、81.83(C−3)、80.04(C−4)、73.32、71.93、71.81(3×CH2Ph)、69.78(C−5)、67.94(C−1' )、55.52(OCH3)、30.61(C−3' )、28.98(C−2' )。元素分析:C34H42O8の計算値:C,70.57;H,7.32。実測値:C,70.44;11,7.48。
500mL丸底フラスコ中で、ペンテニルグリコシド52(7.00g、12.1ミリモル)をCH3CN(180mL)に溶解した。H2O(20mL)を添加し、混合物を0℃まで冷却した。反応混合物にN−ブロモスクシンイミド(5.38g、30.2ミリモル)を添加し、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。TLC(ヘキサン:EtOAc、2:1)での分析により、出発原料が完全に消費されていたことが判った。次いで、H2O(60mL)に溶解したNa2S2O35H2O(15g、60ミリモル)を添加し、混合物を20分間撹拌した。次いで、混合物を濃縮して暗橙色のシロップを得た。シロップをEtOAc(150mL)に溶解し、H2O、飽和NaClで洗浄し、MgSO4上で乾燥した。次いで、混合物を濃縮して暗褐色のシロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、1:1)で精製すると、p−メトキシベンジルキシロフラノース53(α:β比率は1:2)が無色のシロップとして得られた(5.52g、90%)。
p−メトキシベンジルキシロフラノース53(5.50g、10.8ミリモル)をTHF(10mL)に溶解し、次いでMeOH(50mL)を添加した。反応混合物に、TLC分析(ヘキサン:EtOAc、1:1)により、出発原料が消滅したことが示されるまで、NaBH4を室温で分割添加した。混合物を濃縮して淡黄色の固体を得た。この固体をEtOAc(150mL)に溶解し、水、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO4上
で乾燥し、濃縮して淡黄色のシロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、1:1)で精製すると、p−メトキシベンジルキシリトール54が無色のシロップとして得られた(4.62g、84%)。
250mL丸底フラスコ中で、メタンスルホニルクロリド(5.3mL、68ミリモル)、ピリジン(6mL、68ミリモル)、およびCH2Cl2(50mL)を0℃まで冷却した。次いで、p−メトキシベンジルキシリトール54(3.50g、6.84ミリモル)のCH2Cl2(50mL)溶液をメタンスルホニルクロリド/ピリジン混合物に滴加した。滴加完了後、温度を室温まで上昇させ、混合物を3時間撹拌した。次いで、反応混合物を砕氷上に注ぎ、EtOAc(150mL)で抽出し、水、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮して、淡黄色シロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、1:1)で精製すると、メタンスルホニルキシリトール55が無色のシロップとして得られた(3.28g、72%)。
250mL丸底フラスコにセレニウム金属(0.61g、7.7ミリモル)および95
%EtOH(50mL)を仕込んだ。次いで、NaBH4を、反応混合物の色が黒色から白色に変わるまで室温で分割添加した。次いで、反応混合物に、THF(10mL)に溶解したジメシレート55(3.28g、4.91ミリモル)を添加し、混合物を60℃で12時間にわたって加熱撹拌した。次いで、混合物を濃縮して暗橙赤色のシロップを得た。この固体をEt2O(100mL)に溶解し、水、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮して淡黄色のシロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、4:1)で精製すると、セレノアラビニトール56が無色のシロップとして得られた(2.27g、83%)。
文献法25に従って調製した環状硫酸エステル62(13.5g、37.0ミリモル)を500mL丸底フラスコ中のEtOAc(120mL)に溶解した。この溶液に活性炭担持Pd(200mg、10%パラジウム)を添加し、撹拌しながら室温で48時間、溶液中にH2を吹き込んだ。TLC(ヘキサン:EtOAc、1:1)での周期的分析により、反応は環状硫酸エステル62が消費されるまで円滑に進行したことが判った。濾過してPdを除去し、溶媒を蒸発させて、脱保護された環状硫酸エステル63を白色固体として得た(6.82g、定量的収率)。環状硫酸エステル63は、さらに精製することなく直接使用した。環状硫酸エステル63およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(500mg)を250mL丸底フラスコ内のCH2Cl2(20mL)に溶解し、PhCH(OMe)2(37mL、0.26ミリモル)を添加した。溶液をロータリーエバポレーターで減圧下に60℃まで1時間加熱した。TLC(ヘキサン:EtOAc、1:1)での分析により、環状硫酸エステル57が完全に消費されていたことが判った。混合物をEtOAc(100mL)に溶解し、飽和NaCl水溶液(20mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮して無色のシロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、1:1)で精製すると、環状硫酸エステル57が白色固体として得られた(7.14g、71%)。この物質は、前にL−グルコースを用いて得られたもの25にすべての点で同一であった。
250mLフラスコに2,4−O−ベンジリデン−1,3−ジ−O−ベンジル−D−エリトリトール59(36.6g、93.7ミリモル)および50%TFA水溶液(100mL)を仕込んだ。反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。TLC(ヘキサン:EtOAc、2:1)での分析により、出発原料が消費されていたことが判った。反応混合物を0℃まで冷却し、50%KOH水溶液(50mL)を添加した。反応混合物を0℃でさら
に0.5時間撹拌し、EtOAc(200mL)で抽出し、Na2SO4上で乾燥した。混合物を濃縮して褐色のシロップを得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、1:1)で精製すると、エリトリトール60が無色のシロップとして得られた(17.6g、60%)。この物質は、前に酢酸水を用いて得られたもの26とすべての点で同一であった。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(8.0mL)にセレノ−D−アラビニトール56(3.11g、5.59ミリモル)、環状硫酸エステル57(1.33g、4.88ミリモル)およびK2CO3(160mg、1.16ミリモル)を添加し、この混合物を60〜65℃に加熱した封管中で7時間撹拌した。TLC(EtOAc:MeOH=10:1)での周期的分析により、反応は若干の未反応環状硫酸エステルを残してセレノエーテルが消費されるまで円滑に進行したことが判った。混合物を冷却し、CH2Cl2を使用してセライトを通過させて濾過した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAcからEtOAc:MeOH=10:1までのグラジエント)で精製した。セレノニウム塩64が無色の泡状物として得られた(3.85g、セレノエーテル14を基準にして95%)。1Hおよび13C−NMRスペクトルの分析により、化合物64はセレニウムステレオジェン中心での7:1の異性体混合物として生成したことが判った。主要異性体は、対応するベンジル保護セレノニウム塩について前に得られた結果と類似していることから、C−5およびC−1' の間にトランスの関係を有する異性体であると帰属した。トランス体64について、1H NMR(600MHz,CD2Cl2)δ7.45〜6.80(17H,m,Ar)、5.58(1H,s,C6H5CH)、4.51(1H,dd,J2' ,3' =J3' ,4' ax=9.7,J3' ,4' eq=5.3Hz,H−3' )、4.48(1H,br s,H−2)、4.46(1H,dd,J4' ax,4' eq=10.5Hz,H−4' eq)、4.41、4.33(2H,2d,JA,B=11.1Hz,CH2Ph)、4.57(2H,2d,JA,B=11.3Hz,CH2Ph)、4.43および4.40(2H,2d,JA,B=12.0Hz,CH2Ph)、4.39および4.26(2H,2d,JA,B=11.4Hz,CH2Ph)、4.32(1H,dd,J1' a,2' =2.2Hz,H−1' a)、4.27(1H,br d,J2,3=2.0Hz,H−3)、4.25および4.19(2H,2d,JA,B=10.8Hz,CH2Ph)、4.21(1H,ddd,H−2' )、4.04(1H,br d,J1,2<1Hz,H−1a)、4.03(1H,br dd,J3,4<1Hz,H−4)、3.90(1H,dd,J1' a,1' b=12.2,J1' b,2' =3.6Hz,H−4)、3.78(3H,s,OCH3)、3.77(1H,dd,H−4' ax)、3.77(3H,s,OCH3)、3.76(3H,s,OCH3)、3.55(1H,dd,J1a,1b=12.8,J1b,2=2.9Hz,H−1b)、3.54(1H,dd,J5a,5b=9.7,J4,5a=6.7Hz,H−5a)、3.48(1H,dd,J4,5b=9.4Hz,H−5b);13C NMR(150MHz,CDCl2):δ
160.34、160.09、136.58および130.14〜126.51(21 CAr)、114.56、114.47および114.70(3×Cipso,OMBn)、102.17(PHCH)、84.31(C−3)、83.00(C−2)、77.30(C−2' )、73.37、72.49、および72.10(3×CH2Ph)、69.67(C−4' )、67.75(C−3' )、66.80(2×C,C−4,C−5)、55.67(3×C,3×OCH3)、48.73(C−1' )、46.69(C−1)。元素分析:C40H46O12SSeの計算値:C,57.90;H,5.59。実測値:C,57.87;H,5.57。
セレノニウム塩64(3.80g、4.58ミリモル)を冷トリフルオロ酢酸(40mL)に溶解して紫色溶液を得た。水(4.0mL)を添加し、反応混合物を室温で0.5時間保持した。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、残留物をCH2Cl2(4×50mL)と共に粉砕し、不溶性ガム状生成物からそれぞれ溶媒部分をデカンテーションで除去した。粗生成物を水(50mL)に溶解し、濾過して少量の不溶性物質を除去した。水性濾液をシロップ状残留物になるまで濃縮した(1.84g)。NMR分光法での分析により、生成物は化合物3とセレニウム中心でのその立体異性体との異性体混合物(7:1)であったことが判った。MeOHで再結晶して2回の結晶化で純粋な化合物3を得た(1.09g、62%)。この物質は、ベンジル保護基を除去するのに水素化分解を利用して前に26得られた物質にすべての点で同一であった。母液画分をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:H2O、6:3:1)で精製すると、化合物3とその異性体の3:2混合物がシロップとして得られた(0.25g、14%)。
概論
23℃で旋光度を測定した。吸着剤としてメルク・シリカゲル60F−254でプレコートしたアルミニウム板上で分析薄層クロマトグラフィー(TLC)を行った。展開した板を空気乾燥し、UV光に暴露し、かつ/または10%H2SO4水溶液中に1%Ce(SO4)2および1.5%モリブデン酸を含む溶液を噴霧し、加熱した。化合物を、キーゼルゲル60(230〜400メッシュ)でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。Rexyn101はフィッシャー(Fischer)から入手した。1Hおよび13C−NMRスペクトルは、400.13MHzでブルカー(Bruker)AMX−400型NMR分光計および600.13MHzでブルカーAMX−600型NMR分光計によって記録し、1Hについては499.97MHzでバリアン(Varian)INOVA500型NMR分光計によって記録した。化学シフトは、CDCl3、CD3ODおよびCD2Cl2中で測定されるものについてはTMSから、D2O中で測定されるそれらスペクトルについては2,2−ジメチル−2−シラペンタン−5−スルホン酸塩(DSS)から低磁場側へのppmで与えられる。スペクトルの一次解析から化学シフトおよびカップリング定数が得られた。帰属は、標準ブルカーまたはバリアン・パルス・プログラムを使用する二次元1H,1H(COSY)、1H,1H(NOESY)および1H,13C(HMQC)実験により十分に支持された。スペクトルの処理は、標準UXNMRおよびWINNMRソフトウェア(ブルカー)またはMestReCソフトウェア(バリアン)を用いて実施した。
aの場合にはマトリックスとしてm−NO2−ベンジルアルコールを用いて10000RPでのクラトス・コンセプト(Kratos Concept)二重収束質量分析計で行われる液体二次イオン質量分析(LSIMS)とした。溶媒は、必要により使用前に蒸留し、乾燥した。溶媒を、減圧下で50℃未満で蒸発させた。
(a)酢酸エステルの加メタノール分解:乾燥MeOH(10mL)中、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオキシリトール77(0.125g、0.435ミリモル)と、MeOH(0.6mL、0.6ミリモル)中、1MのNaOMeとの混合物をN2下に一夜撹拌した。混合物を過剰のRexyn101で中和した。濾過により樹脂を除去し、有機層を濃縮して1,5−アンヒドロ−5−チオキシリトールを固体として得た(59.6mg、88%)。融点137〜140℃;1H NMR(D2O):δ3.65(2H,m,J1eq,2=J4,5eq=4.5Hz,J1ax,2=J4,5ax=10.9Hz,H−2およびH−4)、3.15(1H,t,J2,3=J3,4=9.1Hz,H−3)、2.66(2H,m,H−5eqおよびH−1eq)、2.56(2H,dd,J5ax,5eq=J1ax,1eq=13.6Hz,H−5axおよびH−1ax);13C NMR(D2O):δ81.20(C−3)、75.75(2C,C−2およびC−4)、34.86(2C,C−1およびC−5)。元素分析:C5H10O3Sの計算値:C,39.99;H,6.71。実測値:C,39.68;H,6.91。
(a)酢酸エステルの加メタノール分解:1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−5−チオ−D−グルシトール78(0.310g、0.89ミリモル)の乾燥MeOH(20mL)溶液に1MのNaOMe/MeOH(4mL、4当量)を添加し、混合物をN2下で一夜撹拌した。混合物を過剰のRexyn101イオン交換樹脂で中和し、濾過して樹脂を除去し、有機相を濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、5:2]で精製し、1,5−アンヒドロ−5−チオ−
D−グルシトールを白色固体として得た(0.125g、78%)。融点110〜115℃;[α]D=+27.4(c 1.2,MeOH);1H NMR(D2O):δ3.90(1H,dd,J5,6a=3.2Hz,J6b,6a=11.9Hz,H−6a)、3.75(1H,dd,J5,6b=6.4Hz,H−6b)、3.64(1H,m,H−2)、3.48(1H,dd,J4,5=10.2Hz,H−4)、3.19(1H,t,J2,3=J3,4=9.1Hz,H−3)、2.88(1H,m,H−5)、2.71(1H,dd,J1eq,2=4.6Hz,J1eq,1ax=13.3Hz,H−1eq)、2.62(1H,dd,J1ax,2=11.0Hz,H−1ax)。
撹拌されたセレニウム(1.48g、18.7ミリモル)の無水EtOH(40mL)懸濁液に、0℃でNaBH4(0.9g、23.8ミリモル)を添加した。ほとんど無色の溶液が得られた。氷浴を除去し、2,3,5−トリ−O−アセチル−1,5−ジブロモー1,5−ジデオキシ−キシリトール80(4.87g、12.0ミリモル)を添加し、混合物を室温で一夜撹拌した。H2O(200mL)を添加し、混合物をEt2O(5×100mL)で抽出した。濾過して固体を除去し、溶液を濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー[ヘキサン:EtOAc、1:1]で精製して化合物81を黄色結晶として得た(2.22g、57%)。融点106〜111℃;1H NMR(CDCl3):δ5.11(2H,ddd,J1eq,2=J4,5eq=4.5Hz,J1ax,2=J4,5ax=10.8Hz,H−2,H−4)、4.96(1H,t,J2,3=J3,4=9.7Hz,H−3)、2.74(2H,dd,H−1eq,H−5eq)、2.67(2H,t,J5ax,5eq=J1ax,1eq=12.0Hz,H−1ax,H−5ax)、2.00(3H,s,OAc)、1.99(6H,s,OAc);13C
NMR(CDCl3):δ169.79および169.65(3C=O)、73.98(C−3)、73.78(2C,C−2およびC−4)、21.02(2 OAc)、20.80(2C,C−1およびC−5)、20.56(OAc)。元素分析:C11H16O6Seの計算値:C,40.88;H,4.99。実測値:C,40.76;H,5.02。
(a)酢酸エステルの加メタノール分解:乾燥MeOH(60mL)中、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−アセチル−5−セレノキシリトール81(2.22g、6.87ミリモル)と1MのNaOMe/MeOH(10mL、10ミリモル)の混合物をN2雰囲気下で一夜撹拌した。混合物を過剰のRexyn101で中和し、濾過により樹脂を除去し、有機層を濃縮して1,5−アンヒドロ−セレノキシリトールを黄褐色結晶として得た(1.19g、88%)。融点98〜105℃;1H NMR(D2O):δ3.75(2H,m,J1eq,2=J4,5eq=4.6Hz,J1ax,2=J4,
5ax=10.8Hz,H−2,H−4)、3.11(1H,t,J2,3=J3,4=9.2Hz,H−3)、2.66(2H,t,J5ax,5eq=J1ax,1eq=11.8Hz,H−5ax,H−1ax)、2.60(2H,dd,H−1eq,H−5eq);13C NMR(D2O):δ81.40(C−3)、76.62(2C,C−2およびC−4)、25.65(2C,C−1およびC−5)。元素分析:C5H10O3Seの計算値:C,30.47;H,5.11。実測値:C,30.29;11,5.21。
1,5−ジデオキシ−1,5−イミノキシリトール72(0.161g、1.21ミリモル)および2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71b(0.360g、1.32ミリモル)を試薬級MeOH(2mL)に溶解した。無水K2CO3(0.015g、0.11ミリモル)を添加し、混合物を封管中、65℃で3.5時間撹拌した。この時点で、TLCは環状硫酸エステルが消費されたことを示した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:H2O、8:2:1)で精製し、生成物84を黄色オイルとして得た(0.209g、43%):[α]D−50(c0.48、H2O);NMRデータは表1および表3に示す。
化合物84(0.209g、0.515ミリモル)に60%HOAc水(25mL)を添加し、混合物を開放したフラスコ中で暖めながら70℃で20時間撹拌した。混合物を冷却し、濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:H2O、6:4:1)で精製して、化合物66bを無色の硬い泡状物として得た(0.118g、72%):[α]D−9(c 0.57,H2O);NMRデータは表2および表4中に示す;MALDI MS m/e 339.99(M++Na)、238.12(M++H−SO3)。
1,5−ジデキシ−1,5−イミノキシリトール72(0.158g、1.19ミリモル)および2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71a(0.347g、1.27ミリモル)を試薬級MeOH(2mL)に溶解した。無水K2CO3(0.018g、0.15ミリモル)を添加し、混合物を封管中、65℃で4時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:H2O、8:2:1)で精製し、生成物82を黄色オイルとして得た(0.273g、56%):[α]D+55(c0.65、H2O);1Hおよび13C−NMRデータは、エナンチオマー84のデータとほぼ同一であった(表1および表3参照);MALDI MS m/e428.09(M++Na)、406.11(M++H)、326.15(M++H−SO3)。
化合物82(0.273g、0.673ミリモル)に60%HOAc水溶液(25mL)を添加し、混合物を開放したフラスコ中で暖めながら75℃で14時間撹拌した。混合物を冷却し、濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:H2O、6:4:1)で精製して、化合物66aを無色の硬い泡状物として得た(0.156g、73%)。[α]D+11(c0.56、H2O);1Hおよび13C−NMRデータは、エナンチオマー66bのデータとほぼ同一であった(表2および表4参照);MALDI MS m/e399.99(M++Na)、318.28(M++H)、238.12(M++H−SO3)。
トリ−O−ベンジルデオキシノジリマイシン73(0.241g、0.460ミリモル)および2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71b(0.143g、0.525ミリモル)を試薬級アセトン(2mL)に溶解した。無水K2CO3(0.020g、0.15ミリモル)を添加し、混合物を封管中、70℃で20時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH、5:1)で精製して、生成物86を無色のガム状物として得た(0.240g、65%)。[α]D−5.4(c0.9、CHCl3);NMRデータは表1および表3に示す。
化合物86(0.209g、0.263ミリモル)を80%酢酸水溶液(20mL)に溶解し、溶液を1気圧のH2下で10%Pd/C触媒(0.42g)と共に20時間撹拌した。シリカゲルの小さな詰め物を通して濾過することによって触媒を除去し、次いで、水(50mL)で洗浄した。濾液を蒸発させ、ガム状残留物を、水に溶解し再濃縮する(50mL×2回)ことによって酢酸を完全に除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:H2O、6:3:1)で精製して、化合物67b(0.096g、1H NMRによればKOAcを0.56当量または13重量%含む、酢酸塩含有量の補正後で91%)を得た。NMRデータは表2および表4。
S,3S)−2,4−O−ベンジリデン−2,4−ジヒドロキシ−3−(スルホオキシ)−ブチル]イミノオニウム]−D−グルシトール(85)
トリ−O−ベンジルデオキシノジリマイシン73(0.223g、0.426ミリモル)および2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71a(0.123g、0.4535ミリモル)を試薬級アセトン(2mL)に溶解した。無水K2CO3(0.020g、0.15ミリモル)を添加し、混合物を封管中、70℃で20時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH、5:1)で精製して、生成物85を無色の無定形固体として得た(0.271g、80%)。[α]D+36(c0.8、CHCl3);NMRデータは表1および表3。
化合物85(0.205g、0.263ミリモル)を80%酢酸水(20mL)に溶解し、溶液を1気圧のH2下で10%Pd/C触媒(0.41g)と共に20時間撹拌した。シリカゲルの小さな詰め物を通して濾過することによって触媒を除去し、次いで、水(50mL)で洗浄した。濾液を蒸発させ、ガム状残留物を、水に溶解し再濃縮する(50mL×2回)ことによって酢酸を完全に除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH:H2O=6:3:1)で精製して、化合物67a(0.094g、1H NMRによればKOAcを0.77当量または18重量%含み、酢酸塩含有量を補正した後で89%)。1Hおよび13C−NMRデータは表2および表4を参照されたい。
ルホオキシ)ブチル]−(S)−エピスルホニウムイリデン]−キシリトール内部塩(S−68b)
80%AcOH(12mL)に溶解した化合物88b(0.33g、0.48ミリモル)にPd(OH)2(0.2g)を添加した。混合物をH2(0.75MPa(110psi))下で48時間撹拌し、次いで、MeOHを用いてセライトを通して濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc:MeOH:H2O、7:3:1]で精製した。化合物S−68bがシロップとして得られた(0.13g、81%);[α]D−21.8(c 1.1,H2O);NMR 表2および表4中のデータ;HRMS C9H19O9S2(M+H)の計算値:335.0470。実測値:335.0454。元素分析:C9H18O9S2の計算値:C,32.33;H,5.43。実測値:C,32.03;H,5.59。
化合物89b(0.249g、0.36ミリモル)を、S−68bに対して上に記載した手順を用いる水素化分解により脱保護し、表題化合物をシロップとして得た(0.13g、95%);[α]D−16.2(c 0.9,H2O);NMR 表2および表4中のデータ;HRMS C9H19O9S2(M+H)の計算値:335.0470。実測値:335.0478。元素分析:C9H18O9S2の計算値:C,32.33;H,5.43。実測値:C,31.88;H,5.21。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(0.5mL)に2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71a(0.265g、0.97ミリモル)、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−5−チオキシリトール74(0.328g、0.78ミリモル)および無水K2CO3(24mg)を添加した。混合物を、70℃の油浴に浸けた封管中で5日間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、10:1]で精製し、化合物88aおよび89aを5:2の比率で白色固体として得た(0.465g、86%)。再クロマトグラフィーにより純粋サンプルが得られた。
80%AcOH(10mL)に溶解した化合物88a(0.304g、0.44ミリモル)にPd/C(0.5g)を添加した。混合物を0.83MPa(120psi)のH2下で96時間撹拌した。MeOHを用いセライトを通して混合物を濾過し、溶媒を除去した。次いで、残留物を80%AcOH(10mL)に再溶解した。この溶液にPd(OH)2(0.2g)を添加し、溶液を0.83MPa(120psi)のH2下で48時間撹拌した。MeOHを用いセライトを通して混合物を濾過し、溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc:MeOH:H2O、7:3:1]で精製して、表題化合物をシロップとして得た(0.08g、55%);[α]D+21.7(c0.8、H2O)。1Hおよび13C−NMRデータは、エナンチオマーS−68bのデータとほぼ同一であった(表1および表3を参照されたい)。HRMS C9H18O9S2Na(M+Na)に対する計算値:357.0290。実測値:357.0284。
化合物89a(0.240g、0.35ミリモル)を、S−68bについて上記した手順を用いる水素化分解により脱保護し、表題化合物をシロップとして得た(0.08g、67%);[α]D+19.5(c0.7、H2O)。1Hおよび13C−NMRデータは、エナンチオマーR−68bのデータとほぼ同一であった(表2および表4を参照されたい)。HRMS C9H19O9S2(M+H)に対する計算値:335.0470。実測値:335.0477。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(0.5mL)に2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71b(0.115g、0.42ミリモル)、1,5−アンヒドロ−2,3,4、6−テトラ−O−ベンジル−5−チオ−D−グルシトール75(0.174g、0.32ミリモル)および無水K2CO3(30mg)を添加した。混合物を、70℃の油浴に浸けた封管中で5日間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、10:1]で精製し、比率が2:1の化合物90bと化合物91bとの分離不能な混合物を白色固体として得た(0.182g、70%);[α]D+2.1(c1.3、CH2Cl2)。主要異性体90b:1Hおよび13C−NMRデータは表1および2を参照されたい。元素分析、C45H48O10S2に対する計算値:C、66.48;H、5.96。実測値:C、66.36;H、6.08。
80%AcOH(10mL)に溶解した化合物90bおよび91b(0.1639g、0.20ミリモル)の混合物にPd(OH)2(0.17g)を添加した。混合物を0.83MPa(120psi)のH2下で48時間撹拌した。混合物をMeOHを用いてセライトを通して濾過し、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc:MeOH:H2O、7:3:1]で精製した。化合物69bがシロップとして得られた(0.06g、81%);[α]D=−20.4(c0.8、H2O)。1Hおよび13C−NMRデータは表2および表4を参照されたい。HRMS、C10H21O10S2(M+H)に対する計算値:365.0576、実測値:365.0574。
80%AcOH(10mL)に溶解した化合物90aおよび91a(0.180g、0.22ミリモル)の混合物にPd(OH)2(0.20g)を添加し、混合物を0.83MPa(120psi)のH2下で6日間撹拌した。MeOHを用いセライトを通して混合物を濾過し、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc:MeOH:H2O、7:3:1]で精製した。化合物69aがシロップとして得られた(0.05g、67%);[α]D=+10.3(c0.6、H2O)。1Hおよび13C−NMRデータは表2および表4を参照されたい。HRMS、C10H21O10S2(M+H)に対する計算値:365.0576、実測値:365.0577。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(0.5mL)に2,4−O−ベンジリデン−D−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71b(0.272g、1.00ミリモル)、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−5−セレノキシリトール76(0.362g、0.78ミリモル)および無水K2CO3(50mg)を添加した。混合物を、70℃の油浴に浸けた封管中で48時間撹拌した。溶媒を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、10:1]で精製し、比率が1:4の化合物92bと93bの分離できない混合物を得た(0.20g、96%);[α]D−45.7(c1.1、CH2Cl2)。主要異性体36bについて:1Hおよび13C−NMRデータは表1および2を参照されたい。分析値、C37H40O9SSeに対する計算値:C、59.99;H、5.45。実測値:C、59.73;H、5.36。
80%AcOH(10mL)に溶解した化合物92bおよび93b(0.295g、0.40ミリモル)の混合物にPd(OH)2(0.29g)を添加し、混合物を0.83MPa(120psi)のH2下で5日間撹拌した。TLCで1つの主生成物と2つの副
生成物が認められた。セライトを通して混合物を濾過し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc:MeOH:H2O、7:3:1]で精製して、主生成物である化合物70bをシロップとして得た(0.06g、39%);[α]D−16.6(c0.9、H2O)。1Hおよび13C−NMRデータは表2および表4を参照されたい。HRMS C9H19O9SSe(M+H)の計算値:382.9915。実測値:382.9916。元素分析:C9H18O9SSeの計算値:C,28.35;H,4.76。実測値:C,28.44;H,4.71。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(0.5mL)に2,4−O−ベンジリデン−L−エリトリトール−1,3−環状硫酸エステル71a(0.226g、0.83ミリモル)、1,5−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−5−セレノキシリトール76(0.308g、0.66ミリモル)および無水K2CO3(20mg)を添加した。混合物を、70℃の油浴に浸けた封管中で72時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー[CHCl3:MeOH、10:1]で精製し、比率が1:3の化合物92aと93aとの分離不可能な混合物を白色固体として得た(0.42g、85%);[α]D−44.0(c0.9、CH2Cl2)。主要異性体93aについて:1Hおよび13C−NMRデータは、濃度効果による化学シフトの小さな差異を除いてエナンチオマー(化合物93b、表1および表2を参照)のデータとほぼ同一であった。分析値、C37H40O9SSeに対する計算値:C、59.99;H、5.45。実測値:C、59.85;H、5.38。
80%AcOH(10mL)に溶解した化合物92aおよび93a(0.406g、0.55ミリモル)の混合物にPd(OH)2(0.50g)を添加し、混合物を0.83MPa(120psi)のH2下で8日間撹拌した。TLCで1つの主生成物と2つの少量成分が認められた。MeOHを用いセライトを通して混合物を濾過し、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー[EtOAc/MeOH/H2O、7:3:1]で精製した。化合物70aがシロップとして得られた(0.05g、25%);[α]D+14.1(c0.4、H2O)。化合物70aについて、1Hおよび13C−NMRデータは、濃度効果による化学シフトにおける小さな差異を除いてエナンチオマー(化合物70b、表1および2を参照)とほぼ同一であった。HRMS C9H18O9SSeNa(M+Na)の計算値:404.9734。実測値:404.9735。元素分析:C9H18O9SSeの計算値:C,28.35;H,4.76。実測値:C,28.56;H,4.54。
一般手順
HFIP(スルフィド117のミリモル当たり1.0〜3.0mL)中のスルフィド117と環状硫酸エステル105の混合物を密封反応容器に仕込み、撹拌しながら以下に示す温度で所定時間にわたって加温した。反応の進行は、アリコートのTLC分析(展開溶媒、CHCl3:MeOH、10:1)によって追跡した。特定の出発原料が本質的に消費された時点で、混合物を冷却し、次いで、CH2Cl2で希釈し、シロップ状残留物になるまで蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(CHCl3からCHCl3:MeOH、10:1まで)で精製すると精製スルホニウム塩119が得られた。
HFIP(3.0mL)中でスルフィド117(431mg、1.02ミリモル)と環状硫酸エステル105(588mg、1.15ミリモル)とを70℃で42時間反応させると、化合物119が無色のガム状固体として得られた(571mg、60%)。[α]D−7.6°(c1.1、CHCl3)。NMRデータについては表5および6を参照されたい。MALDI MS m/e 955.39(M++Na)、853.42(M++H−SO3)。元素分析:C53H56O11S2の計算値:C,68.22;H,6.05。実測値:C,68.48;H,6.09。
保護スルホニウム塩119(460mg、0.493ミリモル)をMeOH(50mL)に溶解し、0.10MPa(1気圧)のH2下で10%Pd/C触媒(580mg)と共に室温で24時間撹拌した。TLC(EtOAc:MeOH:H2O、6:3:1)分析は、単一生成物(rf0.10)の形成を示した。追加のMeOHを使用し、セライトを通過させて濾過することによって触媒を除去し、濾液を蒸発させ、粗製ヘミアセタール化合物4−O−スルホキシ−6−デオキシ−6−[1,4−ジデオキシ−1,4−エピスルホニウムイリデン−D−アラビニトール]−α/β−D−ガラクトピラノース内部塩(99、α:β=1:1)を無色の泡状物として得た(184mg、95%)。化合物99のNMRデータについては表7および8を参照されたい。MALDI MS m/e414.89(M++Na)、392.93(M++H)、312.93(M++H−SO3)。
5.3.1 グリコシダーゼ酵素(非ヒト)のイン・ビトロ阻害アッセイ
サラシノール、ブリントール、ガバミオール、およびアカルボースの各種異性体について、これら異性体による3種のグリコシダーゼ酵素、すなわちグルコアミラーゼG219,20、ブタ膵臓α−アミラーゼ(PPA)、およびオオムギα−アミラーゼ(AMY1)23の阻害を試験した。結果を表11に要約する。グルコアミラーゼG2はサラシノール(1)によって弱く阻害され(Ki=1.7mM)、一方、ブリントールの立体異性体は0.72mMのKi値を有し、この酵素のより優れた阻害剤であった。サラシノール(1)はAMY1およびPPAを阻害し、Ki値はそれぞれ15±1および10±2μMであった。その他の化合物は、AMY1またはPPAを有意には阻害しなかった。よって、サラシノール(1)およびサラシノール(1)の類似体は、特定のグリコシダーゼ酵素に対して識別力を示し、ヒト小腸マルターゼ−グルコアミラーゼ17およびヒト膵臓α−アミラーゼ18を含む広い範囲の酵素を選択的に阻害する有望な候補であると思われる。
。グルコアミラーゼG2で触媒されるマルトースの加水分解初期速度は、基質として0.1M酢酸ナトリウム中の1mMマルトースを用い、pH4.5、45℃で、7.0×10−8Mの酵素濃度および1μM〜5μMの範囲のうち5種の阻害剤濃度を用いて試験した。基質の加水分解速度に対する阻害効果を様々な化合物について比較した。放出されるグルコースは、適当な時間間隔で取り出したアリコートについて、マイクロタイター・プレート読取りに適合させたグルコース・オキシダーゼ・アッセイ法を用い、酵素反応混合物に対して150μLまたは300μLの総反応容積を採用して分析した21。Ki値は、競合阻害を仮定し、ENZFITTER22を使用して、1/v=(1/Vmax)+[(Km)/(Vmax[S]Ki)][I]から計算した。式中、vは阻害剤の存在または非在下で測定した速度、[I]および[S]は阻害剤および基質の濃度であり、Kmは1.6mM、kcatは11.3s−1である。
NaCl、0.1mM CaCl2、0.005%BSA(PPAの場合)で測定した。範囲が1μM〜5mMの6つの異なる最終阻害剤濃度を採用した。阻害剤は、基質を添加する前に、酵素と共に37℃で5分間予備インキュベートした。初期速度は銅−ビシンコニン酸塩法で還元糖を発表されている通り23,24に測定することによって決定した。Ki値は、競合阻害を仮定し、ENZFITTER22を使用し、上述したグルコアミラーゼの場合と同様に計算した。0.03〜10mg/mlの基質濃度で測定して、AMY1に対してKmは0.57mg/ml、kcatは165s−1であり、PPAに対して1mg/ml、1200s−1であった。Ki測定の場合、AMY1結合に対しては[S]=0.7mg/mLのアミロースDP17、PPA結合に対しては[S]=2.5mg/mLのアミロースDP17とした。
サラシノール、ブリントール、ガバミオール、およびアカルボースのイン・ビトロ阻害活性を以下に記載するようにヒト・グリコシダーゼ酵素について試験した。
組換えMGA酵素は十分に発現しなかったので、MGA活性のアッセイは、細胞抽出液に対する効果を測定した。このアッセイでは、MGA5' (マルターゼのサブユニット・クローン10)コンストラクトでトランスフェクトされたコス(COS)細胞を使用した。活性測定はMGAを含む細胞抽出液を用いて実施した。マルトースの加水分解は、放出されるグルコースをグルコース・オキシダーゼ比色アッセイ法で測定することによって観察した。この加水分解の阻害を、OD示度の低下として測定した。このアッセイ法は細胞抽出液を扱うので、新たに想定される阻害剤をアッセイする度に、標準阻害剤、例えばサラシノールを常に含めた。
を、所定濃度についてのパーセント阻害と相関させた。例えば:1)200nM(0.2μM)で、ブリントールはMGA活性の50%を阻害し、サラシノールは2500nM(2.5μM)で、MGA活性の50%を阻害し、2)5μMの濃度のサラシノールはマルトース分解の60%を阻害するのに対して、アカルボースは活性の4%を阻害するに過ぎない。
これらのアッセイは、精製酵素を用いて実施した。候補阻害剤が2,4−ジニトロフェニルマルトトリオシドの加水分解を阻害する能力は、放出される2,4−ジニトロフェノールを紫外−可視分光法で観察した。
1)アカルボースは、主としてヒト膵臓α−アミラーゼ(HPA)を阻害してデンプンの分解を阻害することによって効果を発揮すると思われる。サラシノールはHPAおよびMGAの両方を阻害し、ブリントールはMGAのみを阻害するものと思われる。
この参考例では、インビボでのグルコース吸収の阻害および食後グルコース濃度の低下に関するブリントールの最大効力を、サラシノールおよびアカルボースと対比した。
すべての処理剤に対する血漿グルコースのプロフィールは、対照よりも有意に低く(P<0.0001;対照に対するすべての処理剤)、ブリントール群はアカルボースよりも低いプロフィールを有するが(P<0.01)、その他の処理剤間で差は無かった(図3
参照)。すべての群に対する血漿グルコース濃度は、経口強制投与に続き直ちに増加し(P<0.01)、15分でピークに到達した。対照群の場合、15分におけるグルコースの基底からの偏差は98.0±12.4mg/dL)であり、この偏差はすべての処理剤で減少した(ブリントール:29.3±6.5、アカルボース:34.2±3.5、サラシノール26.0±5.1;P<0.005)。すべての群が、15分のピークの後に指数関数的なグルコース消失を示した。対照群の場合、グルコース値は210分まで基底値に戻らなかった(P=0.46)。ブリントール(P=0.40)およびサラシノール(P=0.43)群は、60分で、およびアカルボースは90分(P=0.19)基底値まで戻った。
5.3.3.2 血漿インシュリン濃度
血漿インシュリンのプロフィールは、対照に対してすべての処理剤で低下した(P<0.0001)(図4)。15分でのグルコースのピークに一致して、すべての群においてインシュリンも7〜15分の間で最高点に到達したが、インシュリンのプロフィールは、より丸みがあり、いずれの群についても指数関数的消滅を示さなかった。対照およびアカルボースのインシュリン値は、15〜90分の範囲で基底と異なるのに対し、ブリントールおよびサラシノールのインシュリン値は、15分の時点で基底からわずかに異なるだけであった(P<0.05)。90分でのインシュリンAUCはブリントール、アカルボース、およびサラシノール処理剤によって、それぞれ53%、49%および65%減少した。処理剤群の間に統計的差異は無かった。
Claims (3)
- 請求項1に記載の化合物の合成方法であって、
(a)下記式で表される化合物104、105、110、および111
(b)下記式で表される化合物117
(c)ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を含む極性溶媒中で前記環状硫酸エステルを前記5員複素環化合物と反応させて、正に帯電したヘテロ原子Sおよび負に帯電した硫酸対イオンからなる内部塩構造を有する中間体化合物を生成する工程と、
(d)前記中間体化合物から保護基を除去する工程と
を含み、かつ下記スキーム24および25に記載の合成工程で示される合成方法。
- 前記環状硫酸エステルがD−グルコースから誘導される、請求項2に記載の方法。
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