JP4937864B2 - 硬さ計 - Google Patents

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Description

本発明は、金属等の硬いものではなく、ゴム、プラスチックス等の工業製品や、肌、筋肉、果実、食品などの医療、健康、食品産業において利用される硬さ測定器に関し、特に、押針を被測定物に当接させて測定を行う接触式の硬さ計に関するものである。
従来、押針を被測定物に当接させて押針の微小な変位を検出する硬さ計は、いくつかの方式が製品化されている。この種の微小硬さ計では、押針の被測定物への押圧荷重が非常に小さいため、周囲の僅かな騒音や振動などによる外乱の影響で押針が上下に振れて、測定結果に悪影響を与える問題がある。これは、外乱によって押針の先端が被測定物の表面に当たると、表面状態が変化して被測定物の硬度が変わり、測定誤差が生じるからである。
このような外乱による悪影響を無くすために、従来は比較的静かな深夜に測定を行うなどの措置をとっており、測定者の負担となっていた。また測定者が測定結果を見て外乱の有無を判定しており、このため初心者と熟練者とでは測定データに差が生じるなどの不都合もあった。このような問題の対策として、測定中に外乱を検出すると、測定を一時的に停止させる等の動作を行う硬さ計が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この従来の硬さ計は、押針が被測定物に当接するまでの間に外乱が発生すると、押針を所定時間だけ停止させる駆動制御手段を具備している。また、押針が被測定物に押圧されているときに外乱が発生すると、外乱の発生を表示する、又は、測定を中止する制御手段を具備している。ここで、図16は、特許文献1で開示されている従来の硬さ計の動作を説明するグラフである。図16において、横軸は時間であり、図面上左側の縦軸は押針に荷重を加えるボイスコイルモータ(以下、VCMと略す)に供給する駆動電流、図面上右側の縦軸は押針の変位量である。
ここで、硬さ計が測定を開始すると、押針を被測定物に当接させるために、VCMに駆動電流を供給し、その電流値を徐々に増加させる。通常は駆動電流の増加に従って押針が被測定物に接近し、押針の変位量は駆動電流にほぼ比例して増加するが、外乱が発生すると図示するように変位量が小刻みに上下する。このとき、硬さ計は、外乱が発生したと判断してVCMへの駆動電流の増加を所定時間Δtだけ停止し、その後、外乱が治まった頃に駆動電流の増加を再開する。これにより、外乱が発生しても、その影響を低減するので測定精度の向上が図れることが示されている。
特開平9−79963号公報(第2頁、第4図)
しかしながら、従来のような外乱の回避方法では、外乱の発生によって押針の移動を一定時間停止してしまうので、硬さ計の測定時間が長くなるという問題がある。また、押針が被測定物に当接後に外乱が発生した場合、外乱発生の表示を行っても、測定者に再測定を促すだけで、高精度な測定が出来るわけではない。また、外乱の多い環境では、いたずらに測定時間が長くなり、また、再測定が繰り返されるなど、外乱に対して根本的な対策はなされていない。
本発明の目的は上記課題を解決し、微小な硬さ測定における外乱の影響を抑制して、硬さ測定を短時間で、且つ、高精度に行うことが出来る硬さ計を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の硬さ計は、下記記載の構成を採用する。
本発明の硬さ計は、押針と、この押針を保持する押針固定部材と、この押針固定部材に結合するバネ部材と、このバネ部材を介して押針固定部材を押針軸線に沿って移動可能に保持する基台と、押針の変位を検出する変位検出部と、押針固定部材に荷重を印加する荷重発生部と、基台を昇降させる基台駆動部と、荷重発生部と基台駆動部とを制御する制御部と、を備え、基台駆動部によって基台を降下させて押針を被測定物に当接させた後、荷重発生部によって押針を被測定物に押圧し、押針と被測定物との相対的な位置変化に基づいて被測定物の硬さを求める硬さ計であって、制御部は押針固定部材に所定の予圧を印加し、バネ部材を撓ませた状態で被測定物の硬さ測定を行うことを特徴とする。
これにより、被測定物の硬さ測定において、押針固定部材に所定の予圧が加えられてバネ部材が撓み、押針固定部材は予圧とバネ部材の撓みによる反力でバランスして保持されているので、騒音や振動などによる外乱が押針固定部材に加わっても、押針固定部材は振動せず安定な状態を維持することが出来る。この結果、外乱の影響が抑制されるので、短時間で、且つ、高精度な硬さ測定を行う硬さ計を提供することが出来る。
また、所定の予圧は、基台の降下開始当初から印加されることを特徴とする。
これにより、基台の降下開始当初から、押針固定部材に所定の予圧が加えられてバネ部材が撓んでいるので、押針が被測定物に当接する以前に騒音や振動などによる外乱が押針固定部材に加わっても、押針固定部材は振動せず安定な状態を維持することが出来る。この結果、外乱によって押針が被測定物に突き当たるなどの現象を防ぐことが出来、高精度な硬さ測定を実現することが出来る。
また、所定の予圧は、押針固定部材に加えられる外乱の想定荷重より大きいことを特徴とする。
これにより、押針固定部材に加えられる所定の予圧は、外乱によって発生する荷重の想定値よりも大きいので、ある程度大きな外乱が到来したとしても、押針固定部材は安定な状態を維持することが出来る。この結果、外乱によって押針が被測定物に突き当たるなどの現象を防ぐことが出来、高精度な硬さ測定を実現することが出来る。
また、基台の降下開始後において、制御部は変位検出部の変位信号をモニターして外乱を検出し、所定の予圧は、この外乱に応じて印加されることを特徴とする。
これにより、基台の降下開始後に外乱が到来しても、その外乱に応じた予圧が直ちに押針固定部材に印加されるので、外乱による押針固定部材の振動を速やかに抑えることが出来る。また、押針固定部材に印加される予圧は、到来する外乱に応じた大きさとなるので、どのような外乱が到来しても、その影響を最小限に抑えることが可能となる。
また、制御部は、所定の予圧を印加した状態で押針を被測定物に当接させ、更に、所定の予圧に硬さ測定をするための測定圧を加えて押針を被測定物に押圧し、硬さ測定を行うことを特徴とする。
これにより、硬さ測定は、予め加えられている予圧に硬さ測定するための測定圧を加え
て行われるので、押針が被測定物に当接した後に外乱が到来しても、予圧と測定圧によって外乱の影響が抑制され、短時間で、且つ、高精度な硬さ測定を実現することが出来る。
上記の如く本発明によれば、被測定物の硬さ測定において、押針固定部材に所定の予圧が加えられてバネ部材が撓んでいるので、騒音や振動などによる外乱が押針固定部材に加わっても、押針固定部材は振動せず安定な状態を維持することが出来る。この結果、外乱の影響が抑制されるので、短時間で、且つ、高精度な硬さ測定を行う硬さ計を提供することが出来る。
以下図面により本発明の実施の形態を詳述する。図1は本発明の硬さ計の外観斜視図である。図2は本発明の第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。図3は本発明の第1の実施形態の制御部の概略構成を示すブロック図である。図4は本発明の第1の実施形態の測定開始当初の動作を示す説明図である。図5は本発明の第1の実施形態の基台の降下によって押針が被測定物に当接する様子を示す説明図である。
図6は本発明の第1の実施形態の硬さ測定の全体の動作を示すフローチャートである。図7は本発明の第1の実施形態の電流/変位テーブルを作成するフローチャートである。図8は本発明の第1の実施形態の予圧を印加する動作を示すフローチャートである。
図9は本発明の第1の実施形態のタッチON検出動作を示すフローチャートである。図10は本発明の第1の実施形態の硬さ測定の原点取得の動作を示すフローチャートである。図11は本発明の第1の実施形態の硬さ測定のための二次荷重印加の動作を示すフローチャートである。図12は本発明の第1の実施形態の電流/変位テーブルと予圧によって外乱の影響を抑制する効果を説明するグラフである。
図13は本発明の第2の実施形態の硬さ測定の全体の動作を示すフローチャートである。図14は本発明の第2の実施形態のタッチON検出動作を示すフローチャートである。図15(a)は本発明の第2の実施形態で予圧なしのときに到来した外乱に応じて予圧を印加する動作を説明するグラフである。図15(b)は本発明の第2の実施形態で、予圧有りのときに到来した外乱に応じて更に予圧を印加する動作を説明するグラフである。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態の硬さ計の外観を図1に基づいて説明する。尚、第1の実施形態の特徴は、硬さ測定を開始して基台の降下開始当初から所定の予圧を印加しバネ部材を撓ませることである。図1において、符号1は本発明の第1の実施形態の硬さ計である。符号2は押針固定部材としてのプランジャであり、その先端に押針3が保持され取り付けられている。
そして、プランジャ2は後述するバネ部材としての板バネに結合し、この板バネを介して測定のために昇降する基台5(図2)に保持されている。10は被測定物であり、測定台6に置かれて、基台5が降下することによって押針3が当接し、硬さ測定が行われる。また、符号31は表示部であり、測定した結果の硬度などを表示する。符号32は操作部であり、測定開始スイッチや測定停止スイッチなどが配設されている。
次に図2に基づいて本発明の第1の実施形態の硬さ計の概略構成を説明する。図2において、プランジャ2は細長い略棒形状であり、一方の先端部に押針3が保持されている。押針3は先端が微小な略半球形状であり、被測定物10を押圧して硬さ測定が行われる。また、4a、4bはバネ部材としての一対の板バネであり、プランジャ2にそれぞれ結合
し、基台5にプランジャ2を保持している。基台5は基台駆動部としてのステッピングモータ(以下、モータと略す)9によって昇降し、板バネ4a、4bを介して保持されているプランジャ2を押針軸線Aに沿って移動することが出来る。
7は荷重発生部としてのVCMであり、永久磁石7aと可動コイル7bによって構成される。VCM7の永久磁石7aは基台5に取り付けられており、可動コイル7bは、プランジャ2の他方の先端部に取り付けられている。この構造により、VCM7の可動コイル7bにVCM電流Ivを供給すると、プランジャ2に対して押針軸線Aに沿って矢印Bの方向に電流値に比例した荷重が印加される。尚、荷重発生部はVCMに限定されず、電磁ソレノイドなどで構成しても良い。
また、8は変位検出部としての差動トランスであり、基台5に保持されてプランジャ2に近接して配設され、プランジャ2の上下方向(押針軸線A方向)の変位を検出し、変位信号P1を出力する。ここで、前述したように、プランジャ2の先端部に押針3が保持されているので、差動トランス8が検出するプランジャ2の変位は、押針3の上下方向の変位である。尚、変位検出部は差動トランスに限定されず、静電容量型検出器などで構成しても良い。
また、20は制御部であり、硬さ計1の動作全体を制御する。ここで、制御部20は、前述の変位信号P1を入力し、VCM7を駆動するVCM電流Ivを出力する。また、制御部20は、表示部31に表示制御データP2を出力して測定した硬度情報などを表示し、また、操作部32から操作信号P3を入力する。また、モータ駆動信号P4を出力してモータ9を駆動し、基台5を昇降する機能も有している。尚、制御部20の詳細は後述する。
次に図3に基づいて本発明の硬さ計1を制御する制御部20の構成を説明する。図3において制御部20は、汎用のマイクロコンピュータによって構成することが出来る。ここで、21は変位入力部であり、差動トランス8からの変位信号P1を入力してインピーダンス変換を行い、変位変換信号P1´を出力する。22はA/D変換回路であり、アナログ信号である変位変換信号P1´をデジタル信号に変換して変位データP5を出力する。
23は制御部20の中心となる演算部であり、変位データP5、操作信号P3を入力し、表示制御データP2、VCM制御データP6、モータ制御データP7を出力する。また、演算部23は、メモリバスP8によってメモリ24とデータのリードライトを行う。また、25はD/A変換回路であり、デジタル信号であるVCM制御データP6をアナログ信号に変換してVCM制御信号P9を出力する。
26は電流供給部であり、VCM制御信号P9を入力してVCM7にVCM電流Ivを供給する。また、27はモータ駆動部であり、モータ制御データP7を入力してモータ9を駆動するモータ駆動信号P4を出力する。ここで、制御部20は、操作部32からの操作によって測定を開始し、差動トランス8からの変位信号P1を入力してモータ9とVCM7とを制御し、硬さ測定を実行するが、詳細な動作の説明は後述する。尚、制御部20の構成は、マイクロコンピュータに限定されず、ゲートアレイ等によるカスタムICで実現しても良い。
次に、図4と図5に基づいて、本発明の第1の実施形態の硬さ計による硬さ測定の基本的な概略動作を説明する。図4において、制御部20は、VCM7にVCM電流Ivを供給し、プランジャ2に対して矢印Bの方向に所定の荷重を印加する。これにより、プランジャ2は、矢印Bの方向に移動するが、プランジャ2は、一対の板バネ4a、4bによって基台5に対して保持されているので、プランジャ2に荷重が印加されることによって、
板バネ4a、4bは、矢印Bの方向に撓むことになる。
ここで、破線で示す位置は、荷重が印加されないときの板バネ4a、4bの位置であり、荷重が印加された板バネ4a、4b(実線で示す)は、X0の撓みが生じている。この板バネ4a、4bの撓み量X0は、プランジャ2に印加される荷重にほぼ比例する。そして、プランジャ2に印加される荷重と、板バネ4a、4bの撓みによる反力が釣り合った位置でプランジャ2はバランスして保持される。
次に、制御部20は、VCM7によってプランジャ2に所定の荷重を印加した状態で、モータ駆動信号P4によってモータ9を駆動し、基台5を矢印Cの方向にゆっくり降下させて、プランジャ2の先端部に保持されている押針3を被測定物10に近づける。
次に図5は、図4で示す状態(板バネが撓んだ状態)で、基台5の降下を継続し、押針3が被測定物10に当接した状態を示している。すなわち、制御部20は、VCM7によって所定の荷重を印加してプランジャ2に結合されている板バネ4a、4bを撓ませた状態を継続させながら、基台5の降下を継続する。
そして、制御部20は、差動トランス8からの変位信号P1をモニターし、押針3が被測定物10に当接してプランジャ2の位置が変化したならば、押針3が被測定物10に当接したと判断して基台5の降下を停止する。そして、VCM7によって被測定物10に硬さ測定のための測定圧を加え、押針3と被測定物10との相対的な位置変化を計測する硬さ測定ルーチンを開始する。
これにより、基台5の降下中、及び、押針3が被測定物10に当接した後の硬さ測定中に騒音や振動などによる外乱が発生しても、プランジャ2に結合されている板バネ4a、4bが撓んでおり、プランジャ2はVCM7から印加されている荷重と板バネ4a、4bによる反力でバランスして保持されているので、この荷重以下の外乱が加わっても、プランジャ2に影響を与えることがなく、正確な硬さ測定を実現することが出来る。尚、プランジャ2に予め印加する荷重を予圧と定義して、以降の説明を行う。
このように、本実施形態の硬さ計1は、基台5の降下開始当初からプランジャ2に予め所定の荷重(予圧)を継続して印加し、基台5の降下中、及び、押針3が被測定物10に当接した後の実際の硬さ測定において、板バネ4a、4bを撓んだ状態に維持させることが大きな特徴である。
次に、本発明の第1の実施形態の硬さ計の動作の詳細を図6〜図11のフローチャートによって説明する。まず図6によって、硬さ計1による硬さ測定の全体の動作を説明する。図6において、使用者が操作部32(図2参照)の測定開始ボタン(図示せず)を操作すると、硬さ計1は測定を開始し、まず、電流/変位テーブルを作成する(ステップST10)。
ここで、電流とはVCM7に供給するVCM電流Ivであり、変位とはVCM電流Ivが供給されることによってVCM7から発生する荷重によるプランジャ2の変位量である。すなわち、ステップST10は、VCM電流Ivの増加によってプランジャ2がどのように変位するかをテーブルとして作成するルーチンである。
次に硬さ計1の制御部20は、ステップST10で作成した電流/変位テーブルを参照して、プランジャ2に印加する予圧のためのVCM電流Ivを決定し、プランジャ2に所定の予圧を印加して板バネ4a、4bを撓ませる(ステップST20)。これにより、プランジャ2には、基台5の降下開始当初から所定の予圧が印加されることになる。
次に制御部20は、基台5を降下して押針3を被測定物10に当接させるために、タッチON検出を行う(ステップST30)。ここで、押針3が被測定物10に当接することをタッチONと呼ぶ。
次に制御部20は、押針3がタッチONしたならば、硬さ測定の準備として被測定物10に一次荷重を押圧し、硬さ測定の原点を取得する(ステップST40)。
次に制御部20は、硬さ測定のために被測定物10に二次荷重を押圧して硬さ測定を実行し、結果を表示部31に表示して測定を終了する(ステップST50)。
次に、図7に基づいて、電流/変位テーブル作成ルーチン(ステップST10〜ST19)の詳細を説明する。尚、硬さ計1の構成は図2を参照し、制御部20の構成は図3を参照とする。図7において、制御部20の演算部23は、メモリ24から電流/変位テーブルを作成するための電流ステップ値Istを読み出して決定する。この電流ステップ値Istは、電流/変位テーブルの電流増加の傾きを決定する値である。また、VCM7へ供給するVCM電流Ivの電流値(デジタル値)であるVCM制御データP6を初期化して零とする(ステップST11)。
次に制御部20の演算部23は、VCM制御データP6に電流ステップ値Istを加算する(ステップST12)。ここで、VCM制御データP6は初期化されて零であるので、電流ステップ値Istが加算されてVCM制御データP6の値は電流ステップ値Istとなる。以降、ステップST12が実行される毎に、VCM制御データP6は電流ステップ値Istが加算され増加する。
次に制御部20の演算部23は、電流値である加算されたVCM制御データP6をD/A変換回路25によってアナログ信号に変換してVCM制御信号P9を出力する(ステップST13)。
次に制御部20の電流供給部26は、VCM制御信号P9を入力し、定電流のVCM電流IvをVCM7に供給する(ステップST14)。
次にVCM7は、VCM電流Ivが供給されることによって荷重を発生し、プランジャ2を矢印B方向に電流の増加分だけ僅かに移動させる(ステップST15)。
次に制御部20は、差動トランス8からプランジャ2の変位情報である変位信号P1を変位入力部21によって入力し、A/D変換回路22でデジタル値の変位データP5に変換する(ステップST16)。
次に制御部20の演算部23は、VCM7に供給した電流値(すなわちVCM制御データP6)と取得した変位データP5を電流/変位テーブルとしてメモリ24に格納する(ステップST17)。尚、変位信号P1はテーブルの精度を向上させるために複数回入力し、平均値を算出して変位データP5として格納することが好ましい。
次に制御部20の演算部23は、メモリ24に記憶されているVCM最大電流値とVCM制御データP6を比較し、VCM制御データP6がVCM最大電流値を越えていれば肯定判定としてステップST19へ進み、否定判定であればステップST12に戻る(ステップST18)。
次に制御部20は、ステップST18で肯定判定であれば、VCM制御データP6を初
期値の零に戻し、VCM7への電流供給を停止してプランジャ2を初期の位置に戻し、電流/変位テーブル作成ルーチンを終了する(ステップST19)。
また、制御部20はステップST18が否定判定であれば、ステップST12に戻り、VCM制御データP6に電流ステップ値Istを再び加算する。その後、ステップST12からステップST18までを繰り返し実行し、VCM電流Ivを徐々に増加してプランジャ2の変位を測定し、電流/変位テーブルを作成する。
ここで、作成された電流/変位テーブルの一例を図12のグラフに示す。図12の縦軸はVCM電流Ivであり、プランジャ2には、この電流値に比例する荷重が印加される。また、横軸はプランジャ2の変位量である。図12において、破線で示すTは、作成された電流/変位テーブルの一例であり、VCM電流Ivが増加するに従ってプランジャ2に印加される荷重が増加し、板バネ4a、4bが撓んで、プランジャ2の変位も増加することが理解できる。
尚、この電流/変位テーブルTは、板バネ4a、4bのバネ定数等が温度によって変化するので、硬さ測定毎に繰り返し作成される。また、図12の詳細な説明は後述する。
次に図8に基づいて、プランジャ2に予め所定の予圧を印加するルーチン(ステップST20〜ST25)を説明する。図8において、制御部20はプランジャ2に所定の予圧を印加するためにプランジャ2の変位量を決定し、その変位を得るために必要な電流値Ivpを先に作成した電流/変位テーブルTを参照して決定する(ステップST21)。
ここで、所定の予圧の大きさは、硬さ計1が設置されている環境で、到来するであろう外乱による想定荷重より大きい値とする。一例として、外乱によってプランジャ2が、0.1mm程度振動することが想定されるならば、予圧はプランジャ2を0.1mm以上変位させる荷重、例えば、0.15mm〜0.2mm程度変位させる予圧を印加させる。
すなわち、図12において、外乱N1(大きさ0.1mm位)の到来が予想されるならば、その外乱N1より大きな変位量X1(例えば0.2mm)を与える予圧をプランジャ2に印加することを決定する。そして、変位量X1を与えるために必要なVCM電流Ivを電流/変位テーブルTから参照し、電流値Ivpを決定する。
次に制御部20の演算部23は、決定した電流値IvpをVCM制御データP6としてD/A変換回路25に出力し、D/A変換回路25は、デジタルデータをアナログ信号に変換してVCM制御信号P9を出力する(ステップST22)。
次に制御部20の電流供給部26は、VCM制御信号P9を入力し、定電流のVCM電流IvをVCM7に供給する(ステップST23)。ここで、VCM7に出力されるVCM電流Ivの電流値は、ステップST21で電流/変位テーブルTから取得した電流値Ivpである。
次にVCM7は、電流値Ivpが供給されることによって荷重を発生し、プランジャ2は所定の予圧が印加されて、矢印B(図4参照)の方向に移動する(ステップST24)。ここで、プランジャ2の変位量は、図12で示した変位量X1となる。
次にプランジャ2が移動することによって、プランジャ2に結合されている一対の板バネ4a、4bに撓みが発生し、プランジャ2は、この板バネ4a、4bの撓みによる反力とVCM7から印加されている予圧が釣り合った位置でバランスして保持される(ステップST25)。ここで、前述した板バネ4a、4bの撓み量X0(図4参照)とプランジ
ャ2の変位量X1は当然であるが等しい。尚、VCM7によって印加する予圧の大きさは、予想される外乱の大きさに応じて任意に設定して良いことは、もちろんである。
次に図9に基づいて、タッチON検出のルーチン(ステップST30〜ST35)を説明する。図9において、制御部20は、モータ駆動信号P4を出力してモータ9を駆動し、基台5をゆっくり降下させる(ステップST31)。このとき、硬さ計1の状態は、前述した図4の状態である。すなわち、プランジャ2は、VCM7によって所定の予圧が印加されているので、矢印Bの方向に変位しており、板バネ4a、4bは撓み量X0の撓みが生じている。そして、基台5は、モータ9によって矢印Cの方向にゆっくり降下を開始する。
次に制御部20は、差動トランス8から変位信号P1を入力し、A/D変換回路22によってデジタルデータである変位データP5に変換する(ステップST32)。
次に制御部20の演算部23は、取得した変位データP5を前回のデータと比較し、プランジャ2が規定以上に押し下げる方向(すなわち矢印B方向)へ変位していないかを判定する(ステップST33)。ここで、肯定判定であれば、プランジャ2に想定以上の外乱による荷重が加わったと判定し、正確な測定を行うことが出来ないので、制御部20はエラー処理を行うルーチンを実行し、その後、基台5を初期の位置に戻す。
尚、エラー処理においては、制御部20は表示部31に外乱が来たことを表示し、再測定を使用者に促すなどの動作を行う。また、ステップST33が否定判定であれば、想定以上の外乱は到来していないので、次のステップST34に進む。
ここで、プランジャ2には、前述した如く、VCM7によって予圧が印加されているので、この予圧より小さい想定内の外乱が到来した場合は、プランジャ2は振動せず安定している。しかし、想定以上の外乱が到来する可能性もあり、その場合には、測定に悪影響を及ぼすことになるので、その影響を排除するためにステップST33を設けている。よって、想定以上の外乱が到来する可能性が極めて低い場合は、ステップST33は無くても良い。
次にステップST33が否定判定であれば、制御部20の演算部23は、取得した変位データP5を前回のデータと比較し、プランジャ2が規定以上に押し上がる方向(すなわち矢印Bと反対方向)に変位していないかを判定する(ステップST34)。ここで、肯定判定であれば、プランジャ2に保持されている押針3が被測定物10に当接した(すなわち、タッチONした)と判断し、次のステップST35へ進む。また、否定判定であれば、ステップST31に戻り、タッチONするまでステップST31からステップST34を繰り返し、基台5の降下を継続しながらタッチONを検出する。
次に制御部20は、ステップST34で肯定判定(タッチON)がなされたならば、モータ駆動信号P4の出力を直ちに止めてモータ9の駆動を停止し、基台5の降下を停止する(ステップST35)。
ここで、タッチON検出と外乱検出は、変位信号P1の変化の方向によって区別している。すなわち、タッチONの場合は、押針3が被測定物10に当接するので、プランジャ2の変位は、プランジャ2を押し上げ方向に変化する。しかし、外乱によるプランジャ2の変位は、プランジャ2が外乱によって振動するので押し上げと押し下げの両方向の変化が生じる。これにより、変位信号P1の変化の方向によってタッチONと外乱を区別することが出来る。
次に図10に基づいて、硬さ測定の原点取得ルーチン(ステップST40〜ST47)を説明する。図10において、制御部20は、差動トランス8から変位信号P1を入力し、押針3が被測定物10に当接している状態でのプランジャ2の変位量を得る。そして、その変位量から先に作成した電流/変位テーブルTを参照し、その変位量に対応する電流値Ivsを算出する(ステップST41)。
次に制御部20は、算出した電流値Ivsに測定の原点を取得するための一次荷重に相当する電流値I1を加算し、電流値Ivs1を算出する(ステップST42)。ここで、一次荷重は規格から0.85gと定められており、制御部20のメモリ24にはVCM7がこの一次荷重を発生するために必要な電流値I1が記憶されている。よって、制御部20は、メモリ24から電流値I1を読み出し、ステップST41で取得した電流値Ivsに加算して電流値Ivs1を算出する。
次に制御部20は、一次荷重を加えた電流値Ivs1をD/A変換回路25によってアナログ信号に変換し、電流供給部26から電流値Ivs1の定電流をVCM電流IvとしてVCM7に供給する(ステップST43)。
次にVCM7は、電流値Ivs1であるVCM電流Ivが供給されることによって、予圧に一次荷重が加えられた荷重を発生し、これにより、プランジャ2に保持されている押針3は、被測定物10に対して一次荷重(0.85g)を押圧する(ステップST44)。
次に制御部20は、内蔵するクロック信号を計測して所定の時間(例えば5秒)が経過したかを判定する(ステップST45)。ここで、肯定判定(5秒間経過)であれば次のステップST46へ進み、否定判定(5秒未満)であれば、ステップST41に戻り、ステップST41からステップST45を繰り返す。
これにより、一次荷重の押圧によって被測定物10の表面が押されて押針3が変位しても、その変位に応じて電流/変位テーブルTから電流値Ivsが新たに算出され、その新たに算出された電流値Ivsに一次荷重に相当する電流値I1が加えられて再び一次荷重が押圧されるので、被測定物10は、押針3によって一次荷重が所定の時間継続して押圧されることになる。
次に制御部20は、ステップST45が肯定判定であれば、差動トランス8から変位信号P1を入力し、A/D変換回路22によってデジタルデータである変位データP5に変換する(ステップST46)。ここで、制御部20は変位信号P1を複数回入力し、平均値を算出して変位データP5とする。
次に制御部20は、算出した変位データP5の平均値を硬さ測定のための原点としてメモリ24に格納する(ステップST47)。
次に図11に基づいて、被測定物に二次荷重を加えて硬さ測定を行うルーチン(ステップST50〜ST60)を説明する。図11において、制御部20は原点取得ルーチンにおいてVCM7に供給した電流値Ivs1に、硬さ測定を行うための二次荷重に相当する電流値I2を加算し、電流値Ivs2を算出する(ステップST51)。ここで、二次荷重は規格から15.6gと定められており、制御部20のメモリ24にはVCM7がこの二次荷重を発生するために必要な電流値I2が記憶されている。よって、制御部20は、メモリ24から電流値I2を読み出し、電流値Ivs1に加算して電流値Ivs2を算出する。
次に制御部20は、電流値Ivs2をD/A変換回路25によってアナログ信号に変換し、電流供給部26から電流値Ivs2の定電流をVCM電流IvとしてVCM7に供給する(ステップST52)。
次にVCM7は、電流値Ivs2であるVCM電流Ivが供給されることによって、発生する荷重が増加し、これによって、プランジャ2は被測定物10を押し下げる方向に移動する(ステップST53)。
次に制御部20は、差動トランス8から変位信号P1を入力し、プランジャ2の変位量を測定する。そして、その測定した変位量から先に作成した電流/変位テーブルTを参照し、その変位量に対応する電流値Ivsを算出する(ステップST54)。
次に制御部20は、算出した電流値Ivsに硬さ測定を行うために印加する二次荷重(15.6g)に相当する電流値I2を加算し、電流値Ivs2´を得る(ステップST55)。ここで、前述した如く、制御部20のメモリ24にはVCM7が二次荷重を発生するために必要な電流値I2が記憶されている。よって、制御部20は、メモリ24から電流値I2を読み出し、電流値Ivsに加算して電流値Ivs2´を算出する。
次に制御部20は、電流値Ivs2´をD/A変換回路25によってアナログ信号に変換し、電流供給部26から電流値Ivs2´の定電流をVCM電流IvとしてVCM7に供給する。VCM7は、電流値Ivs2´であるVCM電流Ivが供給されることによって、二次荷重分が重畳された荷重を発生し、これにより、プランジャ2に保持されている押針3は、被測定物10に対して二次荷重を押圧する(ステップST56)。
次に制御部20は、内蔵するクロック信号を計測して所定の時間(例えば30秒)が経過したかを判定する(ステップST57)。ここで、肯定判定(30秒間経過)であれば次のステップST58へ進み、否定判定(30秒未満)であれば、ステップST54に戻り、ステップST54からステップST57を繰り返す。
これにより、二次荷重の押圧によって被測定物10の表面が押されて押針3が変位しても、その変位に応じて電流/変位テーブルTから電流値Ivsが新たに算出され、その新たに算出された電流値Ivsに二次荷重に相当する電流値I2が加えられて再び二次荷重が押圧される。このようにして、被測定物10は押針3によって二次荷重が所定の時間継続して押圧されることになる。
次に制御部20は、ステップST57が肯定判定であれば、差動トランス8から変位信号P1を入力し、A/D変換回路22によってデジタルデータである変位データP5に変換する(ステップST58)。ここで、制御部20は変位信号P1を複数回入力し、平均値を算出して変位データP5とする。
次に制御部20は、ステップST58で取得した変位データP5から前述した原点取得ルーチンで得た測定原点を減算し、測定原点からの変位量を算出する(ステップST59)。これにより、被測定物10に二次荷重を押圧することによって被測定物10の測定原点からの押針3と被測定物10との相対的な位置変化に基づいた硬さ測定を行うことが出来る。
次に制御部20は、算出された変位量を基にメモリ24に格納されている変位硬度変換テーブルを参照し、その変位量に対応する硬度値を算出する。そして、表示部31に、硬度値、及び変位量を表示し、測定を終了する(ステップST60)。尚、被測定物10に対して測定原点を得るための一次荷重と、硬さ測定のための二次荷重を、測定圧として定
義する。
次に、図12のグラフに基づいて、本発明の硬さ計の効果を説明する。ここで、前述したように、図12の縦軸はVCM電流Iv(荷重)であり、横軸はプランジャ2の変位量である。また、破線で示すTは、作成された電流/変位テーブルである。ここで、前述した如く、VCM7に電流値Ivpを供給すると、プランジャ2は、予圧が印加されて板バネ4a、4bに撓みが生じ、プランジャ2は、変位量X1まで移動する。そして、この状態でVCM7によって発生している予圧と、プランジャ2に結合されている板バネ4a、4bの撓みによって発生する反力は釣り合ってバランスしている。
ここで、図12で示すPpは、このバランス点を表しており、このバランス点Ppは電流/変位テーブルT上にあり、本発明の第1の実施形態では、基台5の降下開始当初から押針3がタッチONするまで、プランジャ2はバランス点Ppで保持されている。そして、外乱N1が到来した場合、その外乱のピークが、印加されている予圧より小さければ、すなわち、外乱によるプランジャ2の振動振幅が予圧によるプランジャ2の変位量X1よりも小さければ、プランジャ2は外乱の影響を受けることがない。
よって、硬さ計が設置されている環境において、到来する外乱の大きさを実験等によって予め想定し、その想定荷重より大きな予圧をプランジャ2に予め印加することで、外乱が到来してもプランジャ2は振動せず、外乱によって押針3が被測定物10に突き当たるなどの現象を防ぐことが出来る。
また、予圧は、タッチON検出後、実際に硬さ測定が行われている期間においても継続して印加されているので、硬さ測定中に外乱が到来しても、同じように外乱の影響を受けることがない。
以上のように、本発明の硬さ計は、プランジャに予め所定の予圧が加えられて板バネが撓んでいるので、騒音や振動などによる外乱が到来しても、プランジャは振動せず安定な状態を維持することが出来る。この結果、外乱の影響が抑制されるので、短時間で、且つ、高精度な硬さ測定を行う硬さ計を提供することが出来る。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態の硬さ計を説明する。尚、第2の実施形態の特徴は、検出された外乱に応じた予圧をVCMによってプランジャに印加しバネ部材を撓ませることである。また、第2の実施形態は、第1の実施形態と構成(図2)が同じであるので、構成の説明は省略し、硬さ測定の動作を説明する。
まず図13に基づいて、硬さ測定の全体の動作を説明する。図13において、使用者が操作部32(図2参照)の測定開始ボタン(図示せず)を操作すると、硬さ計1は測定を開始し、第1の実施形態と同様に、電流/変位テーブルTを作成する(ステップST10)。
次に制御部20は、基台5を降下して押針3を被測定物10に当接させるために、タッチON検出を行う(ステップST70)。このとき、到来する外乱のピーク検出を行うが、詳細は後述する。
次に制御部20は、第1の実施形態と同様に、押針3がタッチONしたならば、硬さ測定の準備として被測定物10に一次荷重を押圧し、硬さ測定の原点を取得する(ステップST40)。
次に制御部20は、第1の実施形態と同様に、硬さ測定のために被測定物10に二次荷重を押圧して硬さ測定を実行し、結果を表示部31に表示して測定を終了する(ステップST50)。
次に図14に基づいて、タッチON検出のルーチン(ステップST70〜ST84)を説明する。図14において、制御部20は、モータ駆動信号P4を出力してモータ9を駆動し、基台5をゆっくり降下させる(ステップST71)。このとき、硬さ計1の状態は、第1の実施形態とは異なり、プランジャ2は、まだ予圧が印加されておらず、板バネ4a、4bは、フリーの状態である。
次に制御部20は、差動トランス8から変位信号P1を入力し、A/D変換回路22によってデジタルデータである変位データP5に変換する(ステップST72)。
次に制御部20の演算部23は、取得した変位データP5を前回のデータと比較し、プランジャ2が、押し下がる方向(すなわち、図2矢印B方向)に変位していないかを判定する(ステップST73)。ここで、肯定判定であれば、プランジャ2に外乱による荷重が加わったと判断し、ステップST80へジャンプする。また、否定判定であれば、外乱は到来していないので、次のステップST74へ進む。
次にステップST73が否定判定であれば、制御部20の演算部23は、ステップST72で取得した変位データP5を前回のデータと比較し、プランジャ2が規定以上に押し上がる方向(すなわち矢印Bと反対方向)に変位していないかを判定する(ステップST74)。ここで、肯定判定であれば、プランジャ2に保持されている押針3が被測定物10に当接した(すなわち、タッチONした)と判断し、次のステップST75へ進む。また、否定判定であれば、ステップST71に戻り、タッチONするまでステップST71からステップST74を繰り返し、基台5の降下を継続する。
次に制御部20は、ステップST74で肯定判定(タッチON)がなされたならば、モータ駆動信号P4の出力を直ちに止めてモータ9の駆動を停止し、基台5の降下を停止する(ステップST75)。
また、ステップST73で肯定判定がなされたならば、制御部20は、取得した変位データP5から、プランジャ2が最も押し下がった値を検出し、その変位量を外乱のピーク値として記憶する(ステップST80)。尚、記憶する変位量は外乱のピーク値には限定されず、例えば、外乱の平均値等でも良い。
次に制御部20は、記憶した外乱のピーク値(変位量)から先に作成した電流/変位テーブルTを参照し、その変位量に対応する電流値を算出し、更に、その電流値に安全率を乗じた電流値Ivnを得る(ステップST81)。ここで安全率は1.0以上とし、到来した外乱に対して余裕を持って予圧を印加するためのものである。
次に制御部20は、算出した電流値IvnをD/A変換回路25によってアナログ信号に変換し、電流供給部26から電流値Ivnの定電流をVCM電流IvとしてVCM7に供給する(ステップST82)。
次にVCM7は、電流値IvnであるVCM電流Ivが供給されることによって、電流値Ivnに相当する予圧を発生し、プランジャ2は、その予圧によって矢印Bの方向に移動する。(ステップST83)。
次にプランジャ2が移動することによって、プランジャ2に結合されている一対の板バ
ネ4a、4bに撓みが発生し、プランジャ2は、この板バネ4a、4bの撓みによる反力とVCM7から印加されている予圧が釣り合った位置でバランスして保持される(ステップST84)。ここで、板バネ4a、4bの撓み量(プランジャ2の変位量)は、到来した外乱のピーク値に対して安全率を乗じた大きさとなり、この結果、これ以降、外乱が到来してもプランジャ2への影響を抑制することが出来る。
よって、硬さ計1は、外乱の影響を受けずにタッチON検出、または、その後の硬さ測定を高精度に実行することが出来る。また、本実施形態では、ステップST73で外乱を検出することにより、直ちにプランジャ2に予圧を印加するので、プランジャ2は外乱によって一時的に振動するが、その振動は予圧の印加で速やかに吸収される。これにより、外乱が到来したとしても、測定時間への影響も少なくて済む。尚、第2の実施形態において、タッチON検出以外の各ルーチンは第1の実施形態と同様であるので、動作の説明は省略する。
次に、図15(a)、図15(b)に基づいて、第2の実施形態の効果を具体的に説明する。ここで、縦軸はVCM電流Ivであり、横軸はプランジャ2の変位量である。また、破線で示すTは、作成された電流/変位テーブルの一例である。
図15(a)において、基台2が降下を開始した時点では、プランジャ2に予圧は印加されていないので、プランジャ2はバランス点P0でバランスしている。すなわち、バランス点P0は、VCM電流Ivは零であり、プランジャ2の変位も零である。
ここで、外乱N1が到来すると、制御部20は、その外乱N1のピーク値を検出し、そのピーク値に応じた予圧(VCM電流Iv1)をプランジャ2に直ちに印加する。これにより、プランジャ2のバランス点はP1に移動し、プランジャ2の振動にブレーキがかかるので外乱N1による振動を速やかに抑え、その後、タッチON検出を継続する。
この結果、プランジャ2のバランス点がP1に移動したことにより、これ以降、バランス点P1より小さな外乱が到来したとしても、プランジャ2は影響を受けることがない。尚、図15(a)においては、一例として、前述した安全率は1.0として予圧を印加した。
次に図15(b)は、プランジャ2がバイアス点P1に置かれているとき、更に大きな外乱N2が到来した例を示している。ここで、外乱N2が到来すると、制御部20は、その外乱N2のピーク値を検出し、そのピーク値に応じた予圧(VCM電流Iv2)をプランジャ2に直ちに印加する。これにより、プランジャ2のバランス点はP2に移動し、プランジャ2の振動に更に大きなブレーキがかかるので、外乱N2による振動を速やかに抑え、その後、タッチON検出を継続する。
この結果、プランジャ2のバランス点がP2に移動したことにより、これ以降、バランス点P2より小さな外乱が到来したとしても、プランジャ2は影響を受けることがない。尚、図15(b)においても、安全率は1.0として予圧を印加した。
以上のように、本発明の第2の実施形態は、到来する外乱に応じた予圧をリアルタイムで印加するので、外乱によるプランジャ2の振動を速やかに抑えることが出来る。また、プランジャ2に印加される予圧は、到来する外乱に応じた大きさとなるので、どのような外乱が到来しても、その影響を最小限に抑えることが可能となる。
すなわち、基台5の降下中に外乱が到来した場合、その外乱に応じた予圧が直ちにリアルタイムで印加されるので、外乱によるプランジャ2の振動を速やかに抑えて測定を継続
することが出来る。また、それ以降、外乱が再び到来しても、予圧以下の外乱であれば、その影響を受けることはない。また、印加されている予圧以上の大きな外乱が到来した場合は、更にその外乱に応じた予圧が印加されるので、外乱による影響を動的に抑制し、短時間で安定した硬さ測定を実現することが出来る。
尚、本発明の実施形態で提示したブロック図やフローチャート等は、この構成や動作フローに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、どのような構成や動作フローであっても良い。
本発明の硬さ計の外観斜視図である。 本発明の第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態の制御部の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態の測定開始当初の動作を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態の基台の降下によって押針が被測定物に当接する様子を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態の硬さ測定の全体の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態の電流/変位テーブルを作成するフローチャートである。 本発明の第1の実施形態の予圧を印加する動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態のタッチON検出動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態の硬さ測定の原点取得の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態の硬さ測定のための二次荷重印加の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態の電流/変位テーブルと予圧によって外乱の影響を抑制する効果を説明するグラフである。 本発明の第2の実施形態の硬さ測定の全体の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態のタッチON検出動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態で、予圧なしのときに到来した外乱に応じて予圧を印加する動作を説明するグラフである。 本発明の第2の実施形態で、予圧有りのときに到来した外乱に応じて更に予圧を印加する動作を説明するグラフである。 従来の硬さ計の動作を説明するグラフである。
符号の説明
1 硬さ計
2 プランジャ
3 押針
4a、4b 板バネ
5 基台
6 測定台
7 VCM
7a 永久磁石
7b 可動コイル
8 差動トランス
9 モータ
10 被測定物
20 制御部
21 変位入力部
22 A/D変換回路
23 演算部
24 メモリ
25 D/A変換回路
26 電流供給部
27 モータ駆動部
31 表示部
32 操作部
P1 変位信号
P1´ 変位変換信号
P2 表示制御データ
P3 操作信号
P4 モータ駆動信号
P5 変位データ
P6 VCM制御データ
P7 モータ制御データ
P8 メモリバス
P9 VCM制御信号
Iv VCM電流
Ivp 電流値
N1、N2 外乱
X0 撓み量
X1 変位量

Claims (5)

  1. 押針と、この押針を保持する押針固定部材と、この押針固定部材に結合するバネ部材と、このバネ部材を介して前記押針固定部材を押針軸線に沿って移動可能に保持する基台と、前記押針の変位を検出する変位検出部と、前記押針固定部材に荷重を印加する荷重発生部と、前記基台を昇降させる基台駆動部と、前記荷重発生部と前記基台駆動部とを制御する制御部と、を備え、
    前記基台駆動部によって前記基台を降下させて前記押針を被測定物に当接させた後、前記荷重発生部によって前記押針を前記被測定物に押圧し、前記押針と前記被測定物との相対的な位置変化に基づいて前記被測定物の硬さを求める硬さ計であって、
    前記制御部は前記押針固定部材に所定の予圧を印加し、前記バネ部材を撓ませた状態で前記被測定物の硬さ測定を行うことを特徴とする硬さ計。
  2. 前記所定の予圧は、前記基台の降下開始当初から印加されることを特徴とする請求項1に記載の硬さ計。
  3. 前記所定の予圧は、前記押針固定部材に加えられる外乱の想定荷重より大きいことを特徴とする請求項2に記載の硬さ計。
  4. 前記基台の降下開始後において、前記制御部は前記変位検出部の変位信号をモニターして外乱を検出し、前記所定の予圧は、前記外乱に応じて印加されることを特徴とする請求項1に記載の硬さ計。
  5. 前記制御部は、前記所定の予圧を印加した状態で前記押針を前記被測定物に当接させ、更に、前記所定の予圧に硬さ測定をするための測定圧を加えて前記押針を前記被測定物に押圧し、硬さ測定を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の硬さ計。
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