本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いることとする。
また、本発明は、使用する周波数モードを選ばず、例えば長波帯(135kHz等)、短波帯(6.78MHz、13.56MHz、27.125MHz、40.68MHz等)、超短波帯(433.92MHz、869.0MHz、915.0MHz等)、マイクロ波帯(2.45GHz、5.8GHz、24.125GHz等)等、いかなる周波数モードを使用する半導体装置においても適用することができる。通信距離や指向性等の要求に応じて、適宜周波数モードを選択すれば良い。本発明に用いるデータを送受信する半導体装置は、RFID(Radio Frequency IDentification)タグ、RFタグ、RFチップ、無線タグ、無線プロセッサ、無線メモリ、IC(Integrated Circuit)タグ、ICラベル、電子タグ、電子チップ等と呼ばれる物であるが、本明細書中においては、統一して「RFIDタグ」と称することとする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、RFIDタグを搭載した車両、及び、それを用いた速度計測システムの概要を図1乃至図6を用いて以下に説明する。
図1は速度の計測方法の一例を模式的に示したものである。図1において、車両104には、固有の車両識別情報(以下、車両IDともいう)が保持されたメモリ部を有するRFIDタグ102が搭載されている。該車両104が、道路100上に設置された第1のリーダライタ106に接近する、又は第1のリーダライタ106を通過する(図1(A)参照)。この際、第1のリーダライタ106は、ネットワークで接続されたサーバコンピュータ110に対してRFIDタグとの通信によって取得した車両IDを送信する。サーバコンピュータ110は、車両IDを保持すると同時に、第1のリーダライタ106が車両IDを取得した日時の情報を保持する。
次に、車両104が第2のリーダライタ108に接近する、または、第2のリーダライタ108を通過する(図1(B)参照)。この時も、第1のリーダライタ106を通過した際と同様の手順によって、サーバコンピュータ110は、車両IDを保持し、同時に、第2のリーダライタ108が車両IDを取得した日時の情報を保持する。
その後、サーバコンピュータ110は車両IDが一致する一組の日時を抽出し、その差、すなわち、第1のリーダライタ106が設置された地点Aから第2のリーダライタ108が設置された地点Bまでの距離を車両104が走行するのに要した時間を算出する。
地点A及び地点B間の距離をあらかじめ測定しておき、該距離を上記の方法で算出した時間で除することにより、地点A・地点B間の平均速度を求めることができる。
平均速度が法定速度を超過している場合には、サーバコンピュータは、日時、場所(リーダライタに固有のID等も含む)、速度、超過速度等のデータを保持する。後日、当該データを元に、車両の所有者に速度違反である旨の通知を行うことができる。
なお、RFIDタグに保持する情報は、日時情報及び速度情報のみであることに限られない。例えば、速度超過が行われた場所などの情報をあわせて保持する構成としても良い。また、サーバコンピュータによる複数のリーダライタの管理を容易にするという点から、リーダライタごとに固有のIDを有する構成とすることが好ましい。
図1(C)に本実施の形態に用いることができるサーバコンピュータの動作の詳細を示す。なお、本実施の形態においては統一してサーバコンピュータを用いているが、情報処理手段であれば特に限られない。例えば、サーバコンピュータの下位に接続されたコンピュータであっても良いし、その他の構成を用いても良い。また、図1(C)に示すサーバコンピュータの詳細は、あくまでも一例であり、これに限られるものではない。
第1のリーダライタ106から送信された車両IDを含む信号は、サーバコンピュータ110の信号処理手段120に入力される。信号処理手段120に入力された信号は、演算処理に適したデータへと変換され、その後、演算手段122を通じて、記憶手段124へ入力され、保持される。この時、車両IDと同時に日時の情報を記憶するが、当該日時の情報は、第1のリーダライタ106で計測したものであっても良いし、車両IDがサーバコンピュータの記憶手段124へと入力された時点の情報であっても良い。次に、第2のリーダライタ108から送信された車両IDを含む信号が、第1のリーダライタ106の場合と同様の処理を経て、記憶手段124へと入力され、保持される。
その後、演算手段122は、車両IDが一致する一組の日時情報を抽出し、その差、すなわち、第1のリーダライタ106が設置された地点Aから第2のリーダライタ108が設置された地点Bまでの距離を車両104が走行するのに要した時間を算出する。そして、あらかじめ記憶手段124に保持されていた地点A及び地点B間の距離を用いて、平均速度を求める。当該平均速度が、地点A及び地点Bを含む領域の法定速度を超過している場合には、当該平均速度を車両IDと組にして、再び記憶手段124に入力し、保持させる。そして、外部出力手段126等を用いて、適宜、法定速度超過である旨の通知を行う。
図2に、上記の説明で示した車両の速度を算出するためのフローを示す。
ステップS210として、第1のリーダライタは、接近した、若しくは、通過した車両の車両IDを検出し、ステップS220として当該車両IDと日時の情報をサーバコンピュータに記憶させる。
ステップS230として、第2のリーダライタは、接近した、若しくは、通過した車両の車両IDを検出し、ステップS240として当該車両IDと日時の情報をサーバコンピュータに記憶させる。
ステップS240の後、ステップS250として、サーバコンピュータは、対になる車両ID・日時情報(車両IDが一致する一対の日時情報)を抽出する。なお、ステップS250はステップS240と同時に行う構成としても良い。この場合には、ステップS230で検出された車両IDと一致する車両IDの情報(ステップS220で記憶された情報)を抽出し、後のステップにて速度を算出することになる。
次に、ステップS260として、サーバコンピュータは、抽出した日時情報から第1のリーダライタ・第2のリーダライタ間を走行するのに要した時間を算出し、第1のリーダライタ・第2のリーダライタ間の距離を用いて、平均速度を算出する。
その後のステップS270において、算出した平均速度と法定速度とを比較し、速度違反か否かを判断する。ここで、速度違反と判断された場合(図2のYESの場合)には、ステップS280として、日時、場所(リーダライタに固有のID等も含む)、速度、超過速度等の速度違反情報がサーバコンピュータに記憶される。一方、速度違反ではない場合には、速度違反情報が記憶されることなくフローは終了する。
なお、本発明において、上記処理をソフトウェアまたはハードウェアのいずれで行うかについては特に限定しないものとする。
図3に、本発明の車両におけるRFIDタグの設置例を示す。
図3(A)は、車両のサイドミラー302に本発明のRFIDタグ300を設置した例である。金属等の導電性を有する部分と接するようにRFIDタグ300を設置すると、通信に不具合が発生する可能性がある。このため、導電性を有する部分にRFIDタグ300を設置することは避けた方が好ましい。図3(A)に示すサイドミラー302は、多くの場合、樹脂材料で形成されており、RFIDタグ300の設置部分としては好適である。
なお、図3(A)は、サイドミラー302の表面に貼り付ける構成としたが、サイドミラー302に埋め込む構成としても良い。また、サイドミラー302を構成するミラー部分に貼り付ける構成としても良いし、埋め込む構成としても良い。
図3(B)は、車両のヘッドライト304に本発明のRFIDタグ300を設置した例である。ヘッドライト304は、多くの場合、ガラスや樹脂等で形成されており、RFIDタグ300の設置部分としては好適である。
なお、図3(B)は、ヘッドライト304の表面に貼り付ける構成としたが、ヘッドライト304に埋め込む構成としても良い。また、ヘッドライト304内部に存在する空間にRFIDタグ300を設置する構成としても良い。
もちろん、本発明のRFIDタグの設置場所はヘッドライトに限られるものではなく、ウインカーその他のライトに貼り付けたり、埋め込んだりする構成としても良い。
図3(C)は、車両のフロントガラス306に本発明のRFIDタグ300を設置した例である。フロントガラス306は、ガラス等で形成されており、RFIDタグ300の設置部分としては好適である。
なお、図3(C)は、フロントガラス306の表面に貼り付ける構成としたが、フロントガラス306に埋め込む構成としても良い。また、本発明の設置場所はフロントガラスに限られるものではなく、リアガラスその他の窓に貼り付けたり、埋め込んだりする構成としても良い。
なお、図3はあくまでも一例に過ぎず、本発明の機能が確保可能であれば、どのような位置に設置しても良い。例えば、車両室内の樹脂材料から形成される部分に貼り付けたり、埋め込んだりすることもできる。なお、導電性を有する部分にRFIDタグ300を設置しても大きな問題が生じない場合には、導電性を有する部分に設置する構成としても良い。また、車両一台につき、一つのRFIDタグを設置することに限られず、一台の車両に二つ以上の複数のRFIDタグを設ける構成としても良い。複数のRFIDタグを設けることにより、RFIDタグの破損等に対する冗長性を持たせることができる。
図4に、本発明のリーダライタの設置例を示す。なお、図4はリーダライタの配置について示す図であるため、車両に設置されたRFIDタグについては図示していない。
図4(A)は、道路400上にリーダライタ402、リーダライタ404を設置し、車両406の速度を計測する例を示している。図4(A)に示す設置例の使用方法としては、例えば、簡易型の速度違反取締装置が挙げられる。リーダライタは比較的小型であり、持ち運びも容易であるため、短時間に設置することができる。このため、一時的に取締りを強化したい場合などにおいて、図4(A)に示すような設置例を用いることが非常に有効である。なお、図4(A)においては、リーダライタの設置方法として三脚を用いた例を示しているがこれに限られない。直接、道路に配置する構成としても良い。
図4(B)は、道路400の地中にリーダライタ402、リーダライタ404を設置し、車両406の速度を計測する例を示している。図4(B)は、例えば、固定型の速度違反取締装置に用いることができる。図4(B)に示す設置例を用いる場合には、車両406の下部(底部)付近にRFIDタグを設置することが好ましいが、速度の計測に問題が生じない設置位置であれば下部(底部)付近に設置することには限られない。
図4(C)は、道路400の脇に設置された電柱など(図4(C)では電柱408、電柱410)にリーダライタ402、リーダライタ404を設置し、車両406の速度を計測する例を示している。図4(C)は、例えば、固定型の速度違反取締装置に用いることができる。図4(C)に示す設置例を用いる場合には、車両406の側部または上部付近にRFIDタグを設置することが好ましいが、速度の計測に問題が生じない設置位置であれば側部または上部付近に設置することには限られない。
図4(D)は、トンネル412内にリーダライタ402、リーダライタ404を設置し、道路400を走行する車両406の速度を計測する例を示している。図4(D)は、例えば、固定型の速度違反取締装置に用いることができる。図4(D)に示す設置例を用いる場合には、車両406の上部付近にRFIDタグを設置することが好ましいが、速度の計測に問題が生じない設置位置であれば上部付近に設置することには限られない。
図5に、リーダライタの設置例を平面図にて示す。なお、簡単のため、車両に搭載されたRFIDタグについては図示していない。
図5(A)は、道路500上を走行する車両502の速度を計測するために、リーダライタ504、リーダライタ506、リーダライタ508、リーダライタ510を設置した例を示している。図5(A)に示す設置例の使用方法としては、例えば、簡易型の速度違反取締装置が挙げられる。リーダライタは比較的小型であり、持ち運びも容易であるため、短時間に設置することができる。このため、一時的に取締りを強化したい場合などにおいて、図5(A)に示すような設置例を用いることが非常に有効である。もちろん、図5(A)の配置は、固定型の速度違反取締装置に用いることもできる。
なお、図5(A)においては、車両502が走行する車線と対向車線とに、リーダライタをそれぞれ配置する構成とした。このような構成とすることにより、車両の走行する車線に関わらず、精度良く速度を計測することができる。車線の数、道路の幅などに応じて、適宜リーダライタの数を増減させても良い。また、図5(A)の車両502の速度を計測する場合には、車両502の進行方向が図中の右方向であるため、リーダライタ506が第1のリーダライタとして機能し、リーダライタ510が第2のリーダライタとして機能する。ただしこれに限られるものではない。
図5(B)は、道路500の地中にリーダライタ504、リーダライタ506、リーダライタ508、リーダライタ510を設置した例を示している。図5(B)は、例えば、固定型の速度違反取締装置に用いることができる。図5(B)についても、図5(A)と同様に、車両502が走行する車線と対向車線とに、リーダライタをそれぞれ配置する構成としている。このような構成とすることにより、車両の走行する車線に関わらず、精度良く速度を計測することができる。車線の数、道路の幅などに応じて、適宜リーダライタの数を増減させても良い。
図5(B)に示す設置例を用いる場合には、車両502の下部(底部)付近にRFIDタグを設置することが好ましいが、速度の計測に問題が生じない設置位置であれば下部(底部)付近に設置することには限られない。
図5(C)は、道路500の中央部分の地中にリーダライタ504、リーダライタ508を設置した例を示している。このような構成とすることにより、リーダライタの設置数を抑えつつも、車両の走行する車線に関わらず、精度良く速度を計測することができる。ただし、道路500の幅が通信距離を大幅に上回る場合には、図5(B)に示す構成を用いるほうが好ましい。図5(C)は、例えば、固定型の速度違反取締装置に用いることができる。図5(C)に示す設置例を用いる場合にも、車両502の下部(底部)付近にRFIDタグを設置することが好ましいが、速度の計測に問題が生じない設置位置であれば下部(底部)付近に設置することには限られない。
図5(D)は、図5(A)の構成に、さらにリーダライタ512、リーダライタ514を追加した配置である。このような構成とすることにより、3区間の平均速度を求めることができる。すなわち、リーダライタ504(506)とリーダライタ512(514)の区間、リーダライタ504(506)とリーダライタ508(510)の区間、リーダライタ512(514)とリーダライタ508(510)の区間、の3区間である。
このような構成とすることにより、平均速度の推移を調べることが可能であり、例えば、急激な減速や加速といった危険な運転を検知することも可能になる。図5(D)の構成に加えて、さらに多くのリーダライタを設置することで、近似的に瞬間の速度を測定することも可能である。また、瞬間の速度を複数の地点で計測することにより、加速度を求めることも可能である。
図5(E)は、一車線の道路500において、リーダライタを設置する例を示すものである。図5(E)では、図5(C)と同様に、道路500の中央部分の地中にリーダライタ504、リーダライタ508を設置している。なお、図5(E)に示すような一車線の道路においては、車両の進行方向が一定ではない。したがって、どのリーダライタが第1のリーダライタに対応し、また、第2のリーダライタに対応するかは、車両の進行方向に依存して決まる。例えば、車両が図の左方向に進行する場合においては、リーダライタ504が第1のリーダライタであり、リーダライタ508が第2のリーダライタである。また、車両が図の右方向に進行する場合においては、リーダライタ508が第1のリーダライタであり、リーダライタ504が第2のリーダライタである。
なお、第1のリーダライタと第2のリーダライタがそれぞれどちらのリーダライタに対応するかについては、車両がリーダライタを通過した際にサーバコンピュータに保持される日時の情報によって決定することができる。すなわち、対になるリーダライタ504およびリーダライタ508のそれぞれによる日時情報を比較し、時刻が早い情報に対応するリーダライタを第1のリーダライタとし、時刻が遅い情報に対応するリーダライタを第2のリーダライタとする。
上記のように、第1のリーダライタおよび第2のリーダライタの概念は便宜的なものであり、実際上の速度算出にあたっては、第1のリーダライタおよび第2のリーダライタを具体的に決定することなく、車両IDが一致する日時情報を比較して速度を算出する構成とすることもできる。
このような構成とすることにより、一車線の道路においても、精度良く速度を計測することができる。図5(E)は、例えば、固定型の速度違反取締装置に用いることができる。図5(E)に示す設置例を用いる場合にも、車両502の下部(底部)付近にRFIDタグを設置することが好ましいが、速度の計測に問題が生じない設置位置であれば下部(底部)付近に設置することには限られない。また、一車線の道路において、図5(A)、図5(D)のような構成を用いることも可能である。
なお、図4、図5の設置例はあくまでも一例に過ぎず、本発明の機能が確保可能であれば、どのような配置を採っても良い。
図6乃至図8を用いて、本発明に用いることができるRFIDタグの作製工程を説明する。なお、本実施の形態においては、ガラス基板上にRFIDタグを形成する例を示すが、これに限られない。シリコン基板を用いてRFIDタグを作製しても良い。
まず、基板600の表面に、剥離層602を形成する(図6(A)参照)。基板600としては、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の表面に絶縁層を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板などを用いることができる。このような基板600であれば、大きさや形状に大きな制限はないため、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いることも可能である。このように大型・矩形状の基板を用いることにより、生産性を格段に向上させることができる。これは、円形のシリコン基板からRFIDタグを作製する場合と比較して、大きな利点である。
また、基板600上に形成する薄膜集積回路は、後に基板600から剥離する。つまり、本実施の形態で作製するRFIDタグは、基板600を有していない。したがって、薄膜集積回路が剥離された基板600は、再利用が可能である。このように、基板600を再利用すれば、例え高価な石英基板を用いたとしても、コストを削減することができるため、好ましい。
なお、本実施の形態では、基板600の表面に薄膜を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて形状を加工することにより、剥離層602を選択的に形成する。
剥離層602は、スパッタリング法やプラズマCVD法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、鉛(Pb)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層は、非晶質であっても良いし、微結晶若しくは多結晶であっても良い。
剥離層602が単層構造の場合、タングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成することが好ましい。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成することが好ましい。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。また、タングステンの酸化物は、酸化タングステンと表記することがある。
剥離層602が積層構造の場合、1層目としてタングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成することが好ましい。
なお、剥離層602として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層との積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化珪素を含む層を形成することで、タングステン層と酸化珪素層との界面にタングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用しても良い。これは、タングステンの窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物を含む層を形成する場合も同様であり、タングステンを含む層を形成した後、その上層に窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層を形成する。なお、タングステンを含む層を形成した後に、その上層に形成する酸化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層などは、後に下地となる絶縁層として機能する。
また、タングステンの酸化物は、WOxで表される。例えば、xが2の場合(WO2)、xが2.5の場合(W2O5)、xが2.75の場合(W4O11)、xが3の場合(WO3)などが存在する。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記に挙げたxの値に特に制約はなく、そのエッチングレートなどを基に決めると良い。但し、エッチングレートの最も良いものは、酸素雰囲気下で、スパッタリング法により形成するタングステンの酸化物を含む層(WOx、0<x≦3)である。従って、作製時間の短縮のために、剥離層として、酸素雰囲気下でスパッタリング法によりタングステンの酸化物を含む層を形成すると良い。
なお上記の工程において、基板600に接するように剥離層602を形成しているがこの工程に限られない。基板600に接するように下地となる絶縁層を形成し、該絶縁層に接するように剥離層602を形成しても良い。
次に、剥離層602を覆うように、下地となる絶縁膜604を形成する(図6(B)参照)。下地となる絶縁膜604は、スパッタリング法やプラズマCVD法等により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層で形成する。珪素の酸化物材料とは、珪素(Si)と酸素(O)を含む物質であり、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。珪素の窒化物材料とは、珪素と窒素(N)を含む物質であり、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。
次に、絶縁膜604の上に半導体膜を形成する(図示せず)。半導体膜としては、非晶質半導体膜を形成すれば良いが、微結晶半導体膜や結晶性半導体膜を形成しても良い。また、半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SiGe)を用いると良い。本実施の形態では、膜厚25nm以上100nm以下(好ましくは30nm以上60nm以下)程度の非晶質珪素膜を形成する。なお、半導体膜を形成した後に、半導体膜に含まれる水素を除去する工程を行っても良い。具体的には、例えば、500℃で1時間加熱すれば良い。
次に、半導体膜に結晶化を促進させる元素を添加する。本実施の形態では、半導体膜の表面に、重量換算で10ppm以上100ppm以下のニッケル(Ni)を含む溶液、例えば酢酸ニッケルの溶液をスピンコート法を用いて塗布する。結晶化を促進させる元素の添加は上記方法に限定されず、スパッタ法、蒸着法、プラズマ処理などを用いて添加しても良い。
そして、500℃以上650℃以下で4時間以上24時間以下、例えば570℃、14時間の加熱処理を行う。この加熱処理により、結晶化が促進された半導体膜が形成される。
加熱処理としては、ランプの輻射を熱源としたRTA(Rapid Thermal Anneal)や加熱された気体を用いるRTA(ガスRTA)が挙げられる。他に、ファーネスアニール炉を用いる加熱処理を行っても良い。また、レーザービームの照射による加熱処理を行っても良いし、これらを組み合わせて用いても良い。
レーザービームの照射を行う場合、連続発振(CW:continuous−wave)型のレーザービームやパルス発振型のレーザービーム(パルスレーザービーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザービームとしては、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザーなどの気体レーザー、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4などに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種が添加された材料を媒質とするレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザーまたは金蒸気レーザーなどから発振されるものを挙げることができる。このようなレーザービームの基本波、及び基本波の第2高調波、第3高調波、第4高調波を照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このレーザーは、CWで射出することも、パルス発振で射出することも可能である。
なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4などに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種が添加された材料を媒質とするレーザー、Arイオンレーザー、またはTi:サファイアレーザーは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザービームを発振させると、半導体膜がレーザーによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射されることになる。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
なお、本実施の形態では半導体膜の結晶化を促進させる元素としてニッケル(Ni)を用いたが、それ以外にも、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)といった元素を用いても良い。
上記の工程により、結晶質半導体膜が形成される。なお、結晶質半導体膜内には、結晶化を促進させる元素が含まれている。このため、結晶化工程の後に、当該元素のゲッタリングを行うことが好ましい。
次に、結晶性半導体膜をエッチングし、島状半導体膜606および島状半導体膜608を形成する。その後、島状半導体膜606および島状半導体膜608を覆うようにゲート絶縁膜610を形成する(図6(C)参照)。
ゲート絶縁膜610は、少なくとも酸素または窒素を含む絶縁膜であれば良く、単層構造でも積層構造でも良い。成膜方法としては、プラズマCVD法やスパッタ法を用いることができる。本実施の形態では、プラズマCVD法で窒化酸化珪素(SiNxOy(x>y))と、酸化窒素珪素(SiOxNy(x>y))を連続成膜して、合計膜厚が115nmになるように形成した。なお、チャネル長が1μm以下であるようなTFT(サブミクロンTFTともいう)を形成する場合、ゲート絶縁膜は10〜50nmの厚さで形成することが望ましい。
次に、ゲート絶縁膜610上に導電膜を形成し、エッチングすることでゲート電極612およびゲート電極614を形成する(図6(D)参照)。ゲート電極612およびゲート電極614としては、例えば、W(タングステン)と窒化タンタルを積層した導電膜、Mo(モリブデン)、Al(アルミニウム)、Moを順に積層した導電膜、Ti(チタン)、Al、Tiを順に積層した導電膜を用いることができる。本実施の形態においては、W(タングステン)と窒化タンタルの積層膜を用いた。また、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バリウム(Ba)から選ばれた元素、またはこれらの元素を主成分とする合成材料または化合物材料を、単層で、または積層して用いることもできる。
なお、他の方法として、所定の場所に材料を吐出することが可能な印刷法やインクジェット法などに代表される液滴吐出法を用いて、ゲート電極612およびゲート電極614を形成しても良い。
ゲート電極612およびゲート電極614を形成する際に用いたレジスト(図示せず)をマスクとして用い、島状半導体膜606および島状半導体膜608にn型またはp型の導電性を付与する不純物を選択的に添加する(図6(D)参照)。これにより、ソース領域、ドレイン領域、チャネル領域などを形成する。
続いて、絶縁膜616を形成する(図6(D)参照)。絶縁膜616は、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜を単層構造または積層構造で100〜200nmの厚さに形成する。窒化酸化珪素膜と酸化窒化珪素膜を組み合わせる場合には、ガスを切り替えることによって連続成膜をすることが可能である。本実施の形態では、プラズマCVD法により膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を形成した。絶縁膜616を設けることにより、酸素や空気中の水分をはじめ、各種不純物が、島状半導体膜606および島状半導体膜608に侵入することを防止できる。
次に、絶縁膜618を形成する(図6(E)参照)。ここでは、SOG(Spin On Glass)法またはスピンコート法によって塗布されたポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリル、シロキサンなどの有機樹脂膜、無機層間絶縁膜(窒化珪素、酸化珪素などの珪素を含む絶縁膜)、low−k(低誘電率)材料などを用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば感光性ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。感光性ポリベンゾオキサゾールは、誘電率が低く(常温1MHzで誘電率2.9)、耐熱性が高く(示差熱天秤(TGA)昇温5℃/分で熱分解温度550℃)、吸水率が低い(常温24時間で0.3%)材料である。オキサゾール樹脂は、ポリイミドより低誘電率であるので、絶縁膜618としてより適しているといえる。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてゲート絶縁膜610、絶縁膜616および絶縁膜618をパターン加工して、ソース領域、ドレイン領域に達するコンタクトホールを形成する(図6(E)参照)。
次に、導電性材料を用いて導電膜を形成し、この導電膜をパターン加工することによって配線620を形成する。その後、絶縁膜622を形成し、配線620に達するコンタクトホールを形成する(図6(E)参照)。
コンタクトホールを形成した後に、該コンタクトホール及び絶縁膜622を覆うようにアンテナ624を形成する。アンテナ624は、もととなる導電膜を絶縁膜622上に形成した後、パターン加工することで形成できる。印刷法やインクジェット法などに代表される液滴吐出法を用いて形成しても良い(図6(E)参照)。
なお、本実施の形態に示す薄膜トランジスタの構造は上記の構造に限られない。例えば、低濃度ドレイン(LDD:Lightly Doped Drain)領域を設ける構成としても良いし、ゲート電極612およびゲート電極614の側面にサイドウォールを設ける構成としても良い。また、本実施の形態においてはシングルゲート構造の薄膜トランジスタを作製したが、マルチゲート構造でも良い。また、ボトムゲート構造としても良いし、チャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有するデュアルゲート構造としても良い。
アンテナ624は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バリウム(Ba)から選択される元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。単層構造としても良いし、積層構造であっても良い。例えば、バリア層とアルミニウム層との積層構造、バリア層とアルミニウム層とバリア層との積層構造等の積層構造を採用することができる。バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、モリブデンの窒化物などに相当する。なお、アンテナ624の形状としては、例えば、ダイポール、輪状(例えば、ループアンテナ)、直方体で平坦なもの(例えば、パッチアンテナ)などを挙げることができる。
次に、剥離層602が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁膜604、ゲート絶縁膜610、絶縁膜616、絶縁膜618、絶縁膜622をエッチングして、開口部626、開口部628を形成する(図7(A)参照)。
その後、薄膜集積回路630(図7(A)参照)を覆うように、SOG法、液滴吐出法等により、絶縁層632を形成する(図7(B)参照)。絶縁層632は、有機材料により形成し、好ましくはエポキシ樹脂により形成する。薄膜集積回路630は、小さく、薄く、軽量であり、また、剥離層を除去した後は基板に密着していないため、飛散しやすいが、薄膜集積回路630の周囲に絶縁層632を形成することで、薄膜集積回路630に重みが付き、基板600からの飛散を防止することができる。また、薄膜集積回路630単体では薄く、脆いが、絶縁層632を形成することで、一定の強度を確保することができる。
なお、図7(B)に示す構成では、薄膜集積回路630の上面と側面に絶縁層632を形成しているが、この構成に限られない。薄膜集積回路630の上面のみに絶縁層632を形成しても良い。また、本実施の形態においては、開口部626、開口部628を形成する工程の後、絶縁層632を形成する工程を行っているが、この順序に限られない。絶縁膜622およびアンテナ624上に絶縁層632を形成する工程の後に、複数の絶縁層をエッチングして、開口部を形成する構成としても良い。この構成では、薄膜集積回路630の上面のみに絶縁層632が形成される。
次に、開口部626、開口部628にエッチング剤を導入して、剥離層602を除去する(図7(C)参照)。エッチング剤は、フッ化ハロゲン又はハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF3)を使用する。すると、薄膜集積回路630は、基板600から剥離された状態となる。
次に、薄膜集積回路630の一方の面を、第1の基体634に接着させて、基板600から完全に剥離する(図7(D)参照)。
続いて、薄膜集積回路630の他方の面を、第2の基体636に接着させ、その後、第1の基体634と第2の基体636を貼り合わせて、薄膜集積回路630を、第1の基体634と第2の基体636により封止する(図8(A)参照)。これにより、薄膜集積回路630が第1の基体634と第2の基体636により封止されたRFIDタグが完成する。
第1の基体634と第2の基体636としては、帯電防止対策を施したフィルム(帯電防止フィルム)、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどを用いることができる。帯電防止対策を施したフィルムとしては、帯電防止可能な材料を樹脂中に分散させたフィルム、帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルム等が挙げられる。帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルムは、片面に帯電防止可能な材料を貼り付けられたフィルムであっても良いし、両面に帯電防止可能な材料を貼り付けられたフィルムであっても良い。また、片面に帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルムは、帯電防止可能な材料が貼り付けられた面をフィルムの内側になるように貼り付けても良いし、フィルムの外側になるように貼り付けても良い。また、帯電防止可能な材料はフィルムの全面、あるいは一部に貼り付けてあれば良い。なお、帯電防止可能な材料としては、アルミニウムなどの金属、インジウム錫酸化物(ITO)、両面活性剤金属塩、イミダリン型両性界面活性剤、側鎖にカルボキシル基および4級アンモニウム塩基をもつ架橋性共重合体高分子を含む樹脂材料などが挙げられる。対策を施したフィルムを第1の基体634や第2の基体636として用いることで、外部からの静電気による集積回路への悪影響を防ぐことができる。積層フィルムは、熱圧着により、被処理体との貼り合わせが可能なフィルムである。
第1の基体634と第2の基体636の表面には接着層が設けられていても良いし、接着層が設けられていなくても良い。ここで、接着層とは、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む材料で形成された層をいう。
次に、非接触でデータの送受信が可能であるRFIDタグに関して説明する。
RFIDタグ800は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路802、クロック発生回路804、データ復調回路806、データ変調回路808、他の回路を制御する制御回路810、記憶回路812およびアンテナ814を有している(図8(B)参照)。なお、記憶回路は1つに限定されず、複数であっても良く、SRAM、フラッシュメモリ、ROM、FeRAMなどを用いることができる。有機化合物層を記憶素子部に用いた記憶回路を用いても良い。
リーダライタ816から電波として送られてきた信号は、アンテナ814において交流の電気信号に変換される。電源回路802では、交流の電気信号を用いて電源電圧を生成し、電源配線を用いて各回路へ電源電圧を供給する。クロック発生回路804は、アンテナ814から入力された交流信号を基に、各種クロック信号を生成し、制御回路810に供給する。データ復調回路806では、当該交流の電気信号を復調し、制御回路810に供給する。制御回路810では、入力された信号に従って各種演算処理を行う。記憶回路812では、制御回路810において用いられるプログラムやデータ等が記憶されている他、演算処理時の作業エリアとしても用いることができる。そして、制御回路810からデータ変調回路808にデータが送られ、データ変調回路808から当該データに従ってアンテナ814に負荷変調を加えることができる。リーダライタ816は、アンテナ814に加えられた負荷変調を電波で受け取ることにより、結果的にデータを読み取ることが可能となる。
また、RFIDタグは、各回路への電力の供給を、電源(バッテリー)を用いず電波により行うタイプとしても良いし、電源(バッテリー)を搭載して電波と電源(バッテリー)により各回路に電力を供給するタイプとしても良い。
本実施の形態で示した構成を用いることにより、折り曲げることが可能なRFIDタグを作製することが可能となる。これにより、車両の曲面部分にもRFIDタグを貼り付けることができる。
なお、上記RFIDタグの作製方法はあくまでも一例に過ぎず、本発明の機能が確保可能であれば、どのようなRFIDタグを用いても良い。
また、本実施の形態においては、サーバコンピュータによって速度の算出、速度違反であるか否かの判定等を一括して行っているが、本発明の構成はこれに限られない。個々のリーダライタもしくは一定領域に存在するリーダライタに対して、一もしくは複数のコンピュータ(サーバコンピュータに接続され、サーバコンピュータに対して下位に存在するコンピュータ)を割り当て、リーダライタとコンピュータとをそれぞれ接続することによって、任意の領域における車両の速度を算出する構成とすることもできる。この場合には、速度違反であるか否かの判定までを下位のコンピュータに行わせることができるため、サーバコンピュータの情報処理量を大きく低減させることができる。
本実施の形態に示す車両及び速度計測システムを用いることにより、速度違反の取締りが容易になる。つまり、従来の自動速度違反取締装置と比較して小型の装置を用いるため、特定の領域以外に設置することが容易である。また、従来の自動速度違反取締装置とは異なり、運転者等の撮影を行う必要がないため、自動速度違反取締装置の設置を示す標識を事前に提示しておく必要がない。すなわち、法定速度を超過して走行することへの抑止力が大きく、また、速度違反の取締りに有効である。
さらに、本実施の形態に示す速度計測システムは、撮像部等を有さず、また、小型であるため、メンテナンスも容易であり、装置の誤動作防止には非常に効果的である。
また、ETCやVICS(登録商標)を用いる方法と比較した場合、車両からの電力供給が不要であり、また、RFIDタグのON/OFFを車両の所有者が行うことは非常に困難である、といった利点を有する。すなわち、速度違反等の取締りを行うために非常に有効である。さらに、RFIDタグの単価は非常に安く、全車に標準で設置することを義務付けたとしても車両所有者の負担は、極わずかで済む。したがって、本実施の形態に示した速度計測システムを速度違反等の取締りに用いることは公平性の面からも好ましい。
(実施の形態2)
本実施の形態では、RFIDタグを搭載した車両、及び、それを用いた速度計測システムの別の例を図9、図10を用いて以下に説明する。
図9は、本実施の形態に係る速度の計測方法を模式的に示したものである。図9において、車両904には、固有の車両IDが保持されたメモリ部を有するRFIDタグ902が搭載されている。該車両904が、道路900上に設置された第1のリーダライタ906に接近する、又は第1のリーダライタ906を通過する(図9(A)参照)。この際、第1のリーダライタ906は、ネットワークで接続されたサーバコンピュータ910に対してRFIDタグとの通信によって取得した車両IDを送信する。サーバコンピュータ910は、車両IDを保持すると同時に、第1のリーダライタ906が車両IDを取得した日時の情報を保持する。
この時、車両に設置された通信装置912は、RFIDタグ902に対して日時情報及び車両が独自に計測した速度情報を送信し、RFIDタグ902はそれらの情報を保持する。車両が独自に計測した速度情報とは、例えば、車両の速度計に連動して抽出した速度情報などをいうものとする。
次に、車両904が第2のリーダライタ908に接近する、または、第2のリーダライタ908を通過する(図9(B)参照)。この時も、第1のリーダライタ906を通過した際と同様の手順によって、サーバコンピュータ910は、車両IDを保持し、同時に、第2のリーダライタ908が車両IDを取得した日時の情報を保持する。
また、第1のリーダライタを通過した際と同様に、車両に設置された通信装置912は、日時情報及び車両が独自に計測した速度情報をRFIDタグ902に対して送信し、RFIDタグ902はそれらの情報を保持する。
その後、サーバコンピュータ910は車両IDが一致する一組の日時を抽出し、その差、すなわち、第1のリーダライタ906が設置された地点Aから第2のリーダライタ908が設置された地点Bまでの距離を車両904が走行するのに要した時間を算出する。
地点A及び地点B間の距離をあらかじめ測定しておき、該距離を上記の方法で算出した時間で除することにより、地点A・地点B間の平均速度を求めることができる。
平均速度が法定速度を超過している場合には、サーバコンピュータは、日時、場所(リーダライタに固有のID等も含む)、速度、超過速度等のデータを保持する。後日、当該データを元に、車両の所有者に速度違反である旨の通知を行うことができる。
本実施の形態における速度の計測方法では、システムが計測する速度情報とは別に、車両が独自に計測した速度情報をRFIDタグ902のメモリ部に保持することができる。これにより、万が一、速度計測システムが誤動作して、速度超過と判断された場合においても、誤動作であるか否かの検証を行うことができる。
なお、本実施の形態における速度の計測方法では、車両とリーダライタとが通信を行うたびに、車両に設置された通信装置がRFIDタグのメモリ部に日時情報と速度情報を保持させる構成としているが、これに限られるものではない。例えば、第1のリーダライタと通信を行った場合のみ、または、第2のリーダライタと通信を行った場合のみに、車両に設置された通信装置がRFIDタグのメモリ部に日時情報と速度情報を保持させる構成としても良い。また、速度超過と判断された場合にのみ、RFIDタグのメモリ部に日時情報と速度情報を保持させる構成としても良い。
速度超過と判断された場合にのみ日時情報と速度情報を保持する構成においては、例えば、RFIDタグが第2のリーダライタと通信を行った際に、サーバコンピュータが瞬時に速度超過か否かを判断し、速度超過である場合には第2のリーダライタを通じて、速度超過である旨の信号をRFIDタグに送信する構成とすることができる。速度超過である旨の信号を受け取ったRFIDタグは、車両に設置された通信装置に対して、日時情報および速度情報を要求し、これに対して通信装置は、日時情報および車両が独自に計測した速度情報をRFIDタグに送信する。
もちろん、第1のリーダライタおよび第2のリーダライタに加えて第3のリーダライタを設け、第1のリーダライタおよび第2のリーダライタにて速度を算出し、サーバコンピュータが速度超過か否かを判断した後、第3のリーダライタによって、速度超過である旨の信号をRFIDタグに送信する構成とすることもできる。
なお、RFIDタグに保持する情報は、日時情報及び速度情報のみであることに限られない。例えば、速度超過が行われた場所などの情報をあわせて保持する構成としても良い。
また、本実施の形態において、RFIDタグと通信装置との通信は有線にて行っているが、無線で行う形態としても良い。
図10に、上記の説明で示した車両の速度を算出するためのフローを示す。
ステップS1000として、第1のリーダライタは、接近した、若しくは、通過した車両の車両IDを検出し、ステップS1002として当該車両IDと日時の情報をサーバコンピュータに記憶させる。
第1のリーダライタとの通信を行うと同時に、ステップS1004として、RFIDタグは、日時の情報および速度情報を通信装置に対して要求し、ステップS1006として、RFIDタグは、通信装置からの日時の情報および速度情報をメモリ部に保持する。
ステップS1008として、第2のリーダライタは、接近した、若しくは、通過した車両の車両IDを検出し、ステップS1010として当該車両IDと日時の情報をサーバコンピュータに記憶させる。
第2のリーダライタとの通信を行うと同時に、ステップS1012として、RFIDタグは、日時情報および速度情報を通信装置に対して要求し、ステップS1014として、RFIDタグは、通信装置からの日時情報および速度情報をメモリ部に保持する。
ステップS1010の後、ステップS1016として、サーバコンピュータは、対になる車両ID・日時情報(車両IDが一致する一対の日時情報)を抽出する。なお、ステップS1016はステップS1010と同時に行う構成としても良い。この場合には、ステップS1008で検出された車両IDと一致する車両IDの情報(ステップS1002で記憶された情報)を抽出し、後のステップにて速度を算出することになる。
次に、ステップS1018として、サーバコンピュータは、抽出した日時情報から第1のリーダライタ・第2のリーダライタ間を走行するのに要した時間を算出し、第1のリーダライタ・第2のリーダライタ間の距離を用いて、平均速度を算出する。
その後のステップS1020において、算出した平均速度と法定速度とを比較し、速度違反か否かを判断する。ここで、速度違反と判断された場合(図10のYESの場合)には、ステップS1022として、日時、場所(リーダライタに固有のID等も含む)、速度、超過速度等の速度違反情報がサーバコンピュータに記憶される。一方、速度違反ではない場合には、速度違反情報が記憶されることなくフローは終了する。
RFIDタグの車両への設置部位、リーダライタの道路への設置方法、RFIDタグの作製方法などについては、実施の形態1と同様であるため、ここでは省略する。
本実施の形態に示す車両及び速度計測システムを用いることにより、速度違反の取締りが容易になる。つまり、従来の自動速度違反取締装置と比較して小型の装置を用いるため、特定の領域以外に設置することが容易である。また、従来の自動速度違反取締装置とは異なり、運転者等の撮影を行う必要がないため、自動速度違反取締装置の設置を示す標識を事前に提示しておく必要がない。すなわち、法定速度を超過して走行することへの抑止力が大きく、また、速度違反の取締りに有効である。
さらに、本実施の形態に示す速度計測システムは、撮像部等を有さず、また、小型であるため、メンテナンスも容易であり、装置の誤動作防止には非常に効果的である。
また、ETCやVICS(登録商標)を用いる方法と比較した場合、車両からの電力供給が不要であり、また、RFIDタグのON/OFFを車両の所有者が行うことは非常に困難である、といった利点を有する。すなわち、速度違反等の取締りを行うためには非常に有効である。さらに、RFIDタグの単価は非常に安く、全車に標準で設置することを義務付けたとしても車両所有者の負担は、極わずかで済む。したがって、本実施の形態に示した速度計測システムを速度違反等の取締りに用いることは公平性の面からも好ましい。
また、本実施の形態に示した車両は、RFIDタグと情報のやり取りをする通信装置を備えている。これにより、車両が独自に測定した速度情報を、RFIDタグのメモリ部に保持することができるため、万が一、速度計測システムが誤動作した場合においても、誤動作か否かの検証を行うことができる。
本実施の形態は、実施の形態1と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、RFIDタグを搭載した車両、及び、それを用いた車両情報システムの例を図11乃至図13を用いて以下に説明する。
本発明の速度計測システムは、速度の計測を行うことを主たる目的としているが、同様の構成を用いて、その他の有用なシステムを構築することができる。例えば、車両に搭載されたRFIDタグに固有の車両IDを用いることにより、盗難車両の発見に用いることができるシステムを構築することができる。また、所望の車両の追跡を容易に行うことができるシステムを構築することができる。
図11は、盗難車両の発見等に用いることができるシステムを模式的に示したものである。図11において、車両1104には、固有の車両IDが保持されたメモリ部を有するRFIDタグ1102が搭載されている。該車両1104が、道路1100上に設置された第1のリーダライタ1106に接近する、又は第1のリーダライタ1106を通過する(図11(A)参照)。この際、第1のリーダライタ1106は、ネットワークで接続されたサーバコンピュータ1110に対してRFIDタグとの通信によって取得した車両IDを送信する。サーバコンピュータ1110は、当該車両IDが、盗難車両の車両IDであるか否かを判断する。盗難車両の車両IDである場合には、サーバコンピュータ1110は盗難車両が第1のリーダライタ1106を通過した日時の情報を記憶する。
次に、車両1104が第2のリーダライタ1108に接近する、または、第2のリーダライタ1108を通過する(図11(B)参照)。この時も、第1のリーダライタ1106を通過した際と同様の手順によって、サーバコンピュータ1110は、車両IDを取得し、当該車両IDが盗難車両のものである場合には、同時に、盗難車両が通過した日時の情報を記憶する。
これにより、盗難車両がどの方向に進行中であるかを判定することができる。また、主要な道路に本発明のリーダライタを設けることにより、盗難車両が存在する領域を限定することが可能になる。
上記システムにより盗難車両が存在する領域が概ね限定された後、車両に設置されたRFIDタグと情報のやり取りを行うリーダライタを用いて盗難車両を捜索することにより、捜索に費やす労力、費用などを大幅に低減することができる。車両に設置されたRFIDタグと情報をやり取りするためのリーダライタは小型の装置であるため、例えば、警察官などがパトロールする際に携帯することも可能である。これにより、盗難車両の発見等において、大きな効果を発揮する。例えば、図11(C)において、盗難車両1112にRFIDタグ1114が搭載されていれば、携帯可能なリーダライタ1116によって、車両が盗難車両であるか否かを容易に判断することができる。
なお、図11(A)および図11(B)に示す構成は、基本的には実施の形態1にて説明した速度計測システムの構成と同様である。つまり、盗難車両であるか否かを判断する際に、同時に速度を計測する構成としても良い。なお、盗難車両の発見に用いるシステムにおいては、盗難車両である旨の情報を書き込むことが可能なメモリ部を有するRFIDタグを車両に搭載させ、第1のリーダライタまたは第2のリーダライタの通過時にRFIDタグに盗難車両である旨の情報を書き込む構成としても良い。
図12に、上記の説明で示した盗難車両であるか否かを判断するためのフローを示す。
ステップS1200として、第1のリーダライタは、接近した、若しくは、通過した車両の車両IDを検出し、ステップS1202として、検出された車両IDが盗難車両のものであるか否かを判断し、検出された車両IDが盗難車両のものである場合には、ステップS1204として当該車両IDと日時の情報をサーバコンピュータに記憶させる。検出された車両IDが盗難車両のものではない場合には、車両IDと日時の情報をサーバコンピュータに記憶させることなく、次のステップに進む。
次に、ステップS1206として、第2のリーダライタは、接近した、若しくは、通過した車両の車両IDを検出し、ステップS1208として、検出された車両IDが盗難車両のものであるか否かを判断し、検出された車両IDが盗難車両のものである場合には、ステップS1210として当該車両IDと日時の情報をサーバコンピュータに記憶させる。検出された車両IDが盗難車両のものではない場合には、車両IDと日時の情報をサーバコンピュータに記憶させることなく、終了する。
その後、ステップS1212として、第1のリーダライタおよび第2のリーダライタによって検出された車両IDと対になっている二つの日時の情報を比較して、盗難車両がどちらの方向に進行中であるかを算出する。また、主要な道路に本システムに用いることが可能なリーダライタを設けた構成である場合には、車両が概ねどの領域に存在するかを判断することができるため、ステップS1214として、車両の存在領域を算出する。
図12においては、ステップS1202にて検出された車両IDが盗難車両のものでない場合に、そのまま次のステップに進む構成としているが、ステップS1202で終了する構成としても良い。
図13に、主要な道路にリーダライタを設置する場合の例を示す。図13において、×印がリーダライタの設置場所を表している。図13(A)のようにリーダライタを配置した場合、図中の破線にて示した領域内に、盗難車両が存在するか否かを判断することができる。
図13(B)に、リーダライタの配置の別の例を示す。図13(B)に示すように、主要な道路にリーダライタを設置することにより、盗難車両がどの領域に存在するのかを判断することができる。なお、図13においては簡単のため、道路が碁盤の目状に配列した場合について示したが、これに限られない。また、領域の区切り方も、図13に示す例に限られるものではない。
RFIDタグの車両への設置部位、リーダライタの道路への設置方法、RFIDタグの作製方法などについては、実施の形態1と同様であるため、ここでは省略する。
本実施の形態に示すシステムを用いることにより、盗難車両を容易に発見することができる。また、本実施の形態に示すシステムは、撮像部等を有さず、また、小型であるため、メンテナンスも容易であり、装置の誤動作防止には非常に効果的である。
また、車両からの電力供給が必要な車載機が不要であり、また、RFIDタグのON/OFFを車両の所有者が行うことは非常に困難である。すなわち、盗難車両の発見など、所望の車両の追跡を行うには、非常に都合が良い。さらに、RFIDタグの単価は非常に安く、全車に標準で設置することを義務付けたとしても車両所有者の負担は、極わずかで済む。したがって、本実施の形態に示したシステムを用いることは公平性の面からも好ましい。
本システムに用いる、車両に設置されたRFIDタグと情報をやり取りするためのリーダライタは、小型の装置であり、例えば警察官などがパトロールする際に携帯することも可能である。このため、本システムを用いることにより、盗難車両の発見を非常に容易に行うことができる。また、所望の車両を容易に追跡することができる。
本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本発明のシステムでは、車両が通過する際の短い時間において、RFIDタグとリーダライタとの間で信号の送受信を行う必要がある。したがって、RFIDタグの応答速度を向上するために、RFIDタグ自体に、電源を有する構成とすることが好ましい。本実施の形態では、無線通信により充電可能なバッテリーを有するRFIDタグおよびリーダライタの構成について図14および図15を用いて説明する。
図14(A)に示すように、本実施の形態にて説明するRFIDタグは、アンテナ(またはアンテナおよび容量(共振容量とも言う))1402、整流回路1404、電圧制御回路(レギュレータとも言う)1406、バッテリー1408、充電制御回路1410、および、無線通信の情報処理等を行うための処理回路1412を有する。アンテナ1402の出力は整流回路1404の入力に接続され、整流回路の出力は電圧制御回路1406の入力に接続される。また、電圧制御回路1406の出力は、スイッチA1414を介してバッテリーの入力に接続される。充電制御回路1410は、バッテリー1408と接続してバッテリー1408の充電状況をモニタし、それに応じてスイッチA1414のON/OFFを制御する。
ここで、スイッチA1414としてダイオードを用いて、充電制御回路1410を省略する構成としても良い。また、電圧制御回路1406は、電圧および電流の制御回路であってもよい。
次に、処理回路1412の構成例を図14(B)に示す。処理回路1412は、スイッチB1420を介して、バッテリー1408に接続されるレギュレータ1422、アンテナ1402に接続される復調回路1424、および変調回路1426、ならびに、ロジック回路1428を有する構成とすることができる。ロジック回路1428は復号や演算、記憶等の機能を有する複数の回路から構成される。
バッテリー1408はスイッチB1420を介して処理回路1412に接続される。スイッチB1420の制御はスイッチA1414と同様に、バッテリー1408の充電状況に応じて行われる。例えば、バッテリー1408の電圧がある値V1以上になるとスイッチB1420がONとなり、バッテリーの電力が消費されてある値V2(V1>V2)以下になるとスイッチB1420がOFFとなる。V1は、バッテリー1408と接続する処理回路1412等を駆動させるために充分な電圧とし、V2は、駆動させるために必要な最低限度の電圧とすると良い。
次に、RFIDタグと通信を行い、バッテリーを充電することが可能なリーダライタの例を図14(C)に示す。リーダライタは、制御系1430、および、アンテナ(または、アンテナおよび容量)1432を有する。
リーダライタからRFIDタグのバッテリーを充電する最も簡単な例としては、図15(A)に示すように、振幅が等しい電磁波を用いて通信する場合である。この時の充電方法を図15(B)のフローチャートで示す。
初めに、ステップS1502として、充電器のアンテナから振幅の等しい電磁波の送信を開始する。ステップS1504としてRFIDタグが電磁波を受信すると、ステップS1506として、スイッチAがONとなり、バッテリーへの充電が開始される。このとき、ステップS1508として充電制御回路はバッテリーへの充電状況を監視する。バッテリーの電圧が一定値(任意の値)以上になると(YES)、ステップS1510として、RFIDタグは充電が終了したことを伝える信号を送信する。ステップS1512として、その信号を受信したリーダライタは、ステップS1514として、電磁波の送信を停止する。なお、バッテリーの電圧が一定値に達していない場合(NO)には、ステップS1506に戻り、そのまま充電を行う。
本実施の形態に示すRFIDタグおよびリーダライタを用いることによって、本発明のシステムにおける信号の送受信をより正確かつ迅速に行うことができるようになる。したがって、システムの誤動作の確率をより低減できる。
また、本実施の形態に示すリーダライタは、従来の自動速度違反取締装置と比較して小型の装置であり、特定の領域以外に設置することが容易である。さらに、撮像部等を有さず、また、小型であるため、メンテナンスも容易であり、装置の誤動作防止には非常に効果的である。
本実施の形態は、実施の形態1乃至実施の形態3と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、RFIDタグを搭載した車両、及び、それを用いた車両情報システムの別の例を説明する。
本発明の速度計測システムは、速度の計測を行うことを主たる目的としているが、同様の構成を用いて、その他の有用なシステムを構築することができる。例えば、車両の事故暦・修復暦といった情報をRFIDタグに保持させることにより、事故暦・修復暦といった、判別が難しい車両の履歴等を容易に知ることができる。
また、別の例としては、納税情報や反則金納付情報といった情報をRFIDタグに保持させることが挙げられる。このようにすることで、税金や反則金が未納の場合に徴収することが容易になる。また、駐車場内において、適宜リーダライタを配置することによって、車両の位置情報を容易に確認することができる。また、エンジンのON/OFF時に連動させて、その日時の情報をRFIDタグに保持させる構成とすることにより、放置車両であるか否か、違法駐車であるか否か(駐車時間)といったことを容易に判別することができる。また、車両にRFIDタグを設けることによって、メーカー等における車両の管理能力が向上する。
なお、本実施の形態に用いることができるリーダライタは小型の装置であり、設置場所を選ばず様々な場所に取り付けることができる。また、小型の装置であるがゆえに、携帯することも容易である。さらに、RFIDタグは、車両からの電力供給が不要であるという点も、ETCやVICS(登録商標)といった既存の装置と比較して大きな利点となる。このため、本実施の形態に示すように、様々なシステムを構築することが可能である。
本実施の形態は、実施の形態1乃至実施の形態4と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、RFIDタグを搭載した車両、及び、それを用いた車両情報システムと、既存の自動速度違反取締装置とを用いた例について説明する。
本発明のシステムと、既存の自動速度違反取締装置を組み合わせて用いることにより、本発明のシステムを補完することが可能になる。例えば、本発明のシステムでは、車両識別情報を検出し、既存の自動速度違反取締装置では、車両の登録ナンバー(ナンバープレート)を検出することができるが、RFIDタグに保持された車両識別情報と、車両の登録ナンバーとが対応するものではない場合、すなわち、盗難車両などにおいて、ナンバープレートが改変されている場合において、当該車両の発見を容易に行うことができる。また、万が一、RFIDタグの故障などによって、本発明のシステムが機能しない場合などにおいても、既存の自動速度違反取締装置を用いて、RFIDタグが機能していない車両を識別することができる。同様に、RFIDタグが設置されていない車両を識別して、RFIDタグの設置を徹底させることが可能である。
なお、本発明のシステムと既存の自動速度違反取締装置との組み合わせ方はさまざまであり、特に限られるものではない。例えば、既存の自動速度違反取締装置が設置されている領域と同じ領域に本発明のシステムを設置して、用いることができる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至実施の形態5と適宜組み合わせて用いることができる。
本発明は、実施の形態に示した構成以外にも、その目的に応じて、様々な構成をとることができる。従って、本発明に示す車両及びシステムは、本明細書の記載のみに限定して用いられるものではない。