JP4936367B2 - 回路設計プログラム及び回路設計システム - Google Patents
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Description
1−1.構成及び処理の概要
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る回路設計システムの構成を示すブロック図である。その回路設計システムは、記憶部1、レイアウト部2、及びテストポイント処理部3を備えている。記憶部1には、設計対象の回路の接続情報を示すネットリストNETや、そのレイアウトを示すレイアウトデータLAYが格納される。レイアウト部2は、レイアウト処理を行い、ネットリストNETからレイアウトデータLAYを作成する。
次に、例を挙げることによって、本実施の形態に係るテストポイント挿入処理を詳細に説明する。
テストポイント処理部3は、記憶部1からネットリストNETを読み出す。図4は、ゲートレベルのネットリストNETで示される論理回路の一例を概念的に示している。図4に示される論理回路は、NAND素子、NOR素子、インバータ素子、及び6個のノードNA〜NFを有している。NAND素子の入力は、ノードNA及びNBに接続されており、その出力はノードNCに接続されている。インバータ素子の入力はノードNDに接続されており、その出力はノードNEに接続されている。NOR素子の入力はノードNC及びNEに接続されており、その出力はノードNFに接続されている。各ノードの脇の括弧()内の数値は、各ノードの配線長を表している。以下、図4で示された論理回路に対する処理が例示される。
縮退故障抽出部10は、ネットリストNETから、設計対象回路で発生し得る全ての縮退故障fiを抽出する。図5は、抽出された縮退故障f1〜f12のリストを示している。図5に示されるように、各ノードにおいて「0縮退故障(stuck-at-0 fault)」及び「1縮退故障(stuck-at-1 fault)」の両方が発生し得る。
「等価故障(equivalent fault)」とは、故障診断では場所の特定が不可能な故障のことである。例えば、ノードNCで1縮退故障が発生した場合、ノードNFの論理は常に「0」に縮退する。よって、故障f6(ノードNCの1縮退故障)と故障f11(ノードNFの0縮退故障)とは互いに等価であり、どちらが真の故障かを故障診断で判別することは不可能である。つまり、故障f6と故障f11はいずれも等価故障である。
挿入位置探索部30は、等価故障fjの各々(以下、探索対象等価故障fjと参照される)に関して、次のような処理を行う。すなわち、挿入位置探索部30は、探索対象等価故障fjと他の等価故障fjとの等価関係を調べ、その等価関係を解消するのに必要なテストポイントの挿入位置G(fj)を探索する。つまり、挿入位置探索部30は、探索対象等価故障fjが独立故障となるために必要なテストポイントの挿入位置G(fj)を探索する。必要な挿入位置G(fj)が決まれば、必要なテストポイントの数n(fj)も自動的に決まる。
次に、独立故障抽出部40は、挿入位置G(fj)にテストポイントが挿入された際に、探索対象等価故障fjと同時に独立故障となる等価故障fjの集合Fs(fj)を抽出する。例えば、図7で示されたように、故障f7を独立故障化するためには、位置P4にテストポイントを挿入する必要がある。この時、故障f7だけでなく、故障f8及びf9も独立故障となる。従って、挿入位置G(f7)に対応する集合Fs(f7)={f7,f8,f9}である。また、挿入位置が同じであるため、故障f8及びf9に関しても同じ集合Fs={f7,f8,f9}が得られる。
次に、故障確率算出部50は、単一縮退故障が発生した場合に当該単一縮退故障が上記集合Fs(fj)に含まれる確率p(fj)を算出する。確率p(fj)は、既出の式(3)及び式(4)に基づいて算出される。この時、上述の理由と同じ理由により、等価故障fj毎ではなく、挿入位置G(k)のパターン毎に確率p(k)を算出することが便利である。その場合、“fj”を単に“k”に置き換えればよく、確率p(k)は、次の式(6)及び式(7)で与えられる。
次に、改善効果算出部60は、上記確率p(k)と上記個数n(k)に基づいて、テストポイント1個あたりの解析容易性改善率e(k)を算出する。解析容易性改善率e(k)は、既出の式(5)と等価な次の式(8)で与えられる。
テストポイント挿入による効果を大きくするためには、高い解析容易性改善率e(k)が得られる挿入位置G(k)にテストポイントを挿入することが好適である。本実施の形態において、挿入位置決定部70は、最大の解析容易性改善率e(fmax)が得られる挿入位置G(fmax)を、最終的なテストポイント挿入位置として決定する。本例の場合、挿入位置G(4)=P4が、テストポイント挿入位置として決定される。
テストポイント挿入部80は、決定された挿入位置G(fmax)に対してn(fmax)個のテストポイントをそれぞれ挿入する。本例の場合、図4中の位置P4に、1個のテストポイントが挿入される。
引き続きテストポイントの挿入が行われる場合には、処理はステップS1に戻り、同様の処理が繰り返される。例えば、上記ステップS80において位置P4にテストポイントが挿入されると、故障f7,f8,f9が独立故障となり、これらのノード及びこれらに隣接する故障ノードの解析容易性改善率e(fj)が変化する。そのため、解析容易性改善率e(fj)の再算出が必要になる。
次に、本発明による効果を検証するために、ゲート数が約100万の製品の設計データが用意された。そして、本発明に係るアルゴリズムに従ってテストポイントが挿入された場合と、従来方式に係るアルゴリズムに従ってテストポイントが挿入された場合との比較が行われた。図11〜図13は、製品回路の任意の配線で単一縮退故障が発生した際の故障候補(等価故障)の数の分布を示している。その分布は、各配線での故障確率を積算することによって算出された(式(3)を参照)。
本発明によれば、故障が発生した際に、故障診断により故障候補を1ノードに絞り込める確率が効率的に向上する。特に、解析すべき不良サンプルが大量に存在する場合に、解析効率が格段に向上するという効果が得られる。以下、その理由を説明する。
2−1.構成
第1の実施の形態では、等価故障fjが独立故障となるようにテストポイントが挿入される。一方、第2の実施の形態では、等価故障fjが「独立故障ペア」の1要素となるようにテストポイントが挿入される。ここで、独立故障ペアとは、互いに隣接するノードに位置し、且つ、他の故障との等価関係が解消されている1組の等価故障を意味する。すなわち、ある独立故障ペアは、互いに等価な2個の等価故障から構成され、それら2個の等価故障は隣接するノードに位置する。従って、第1の実施の形態では故障箇所が1ノードに絞り込まれるのに対し、第2の実施の形態では故障箇所が2ノードまで絞り込まれる。
図15は、本実施の形態に係るテストポイント挿入処理を要約的に示すフローチャートである。第1の実施の形態と同様の処理に関する説明は、適宜省略される。ステップS1〜S20は、第1の実施の形態と同様である。
挿入位置探索部30’は、既出の図6で示された等価故障fjの各々(探索対象等価故障fj)に関して、次のような処理を行う。すなわち、挿入位置探索部30’は、探索対象等価故障fjが独立故障ペアの1要素となるために必要なテストポイントの挿入位置G(fj)を探索する。必要な挿入位置G(fj)が決まれば、必要なテストポイントの数n(fj)も自動的に決まる。
次に、独立故障ペア抽出部40’は、挿入位置G(fj)にテストポイントが挿入された際に同時に独立故障ペアの1要素となる等価故障fjの集合Fs(fj)を抽出する。図18には、挿入位置G(k)のパターンのそれぞれに対して求められた集合Fs(k)が示されている。例えば、位置P3及びP6にテストポイントが挿入されるパターンG(1)の場合、3つの独立故障ペアFs11={f1,f3}、Fs12={f7,f10}、Fs13={f6,f11}が得られる(図17参照)。すなわち、集合Fs(1)={f1,f3,f6,f7,f10,f11}が得られる。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。すなわち、故障が発生した際に、故障診断により故障候補を2ノードまで絞り込める確率が効率的に向上する。
3−1.構成
図19は、本発明の第3の実施の形態に係る回路設計システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態において、第1の実施の形態と同様の構成には同じ符号が付され、重複する説明は適宜省略される。
図20は、本実施の形態に係るテストポイント挿入処理を要約的に示すフローチャートである。第1の実施の形態と同様の処理に関する説明は、適宜省略される。ステップS1〜S30は、第1の実施の形態と同様である。ステップS40は行われない。
故障確率算出部50’は、単一縮退故障が発生した場合に当該縮退故障が等価故障fjと一致する確率p(fj)を算出する。つまり、故障確率算出部50’は、等価故障fjの各々が発生する確率p(fj)を算出する。本実施の形態において、確率p(fj)は、下記式(9)で与えられる。第1の実施の形態で用いられた式(3)と比較して、集合Fs(fj)に含まれる全故障ノードの総配線長ls(fj)が、各故障ノードの配線長l(fj)に置き換えられている。
次に、改善効果算出部60は、第1の実施の形態と同様に、上記確率p(fj)と上記個数n(fj)に基づいて、テストポイント1個あたりの解析容易性改善率e(fj)を算出する(式(5)参照)。図21から、G(f6)の場合に解析容易性改善率e(fj)が最も大きくなることがわかる。つまり、図4中の位置P3及びP5のそれぞれに対して2個のテストポイントを挿入した場合に、解析容易性改善率e(fj)が最大となる。この結果は、第1の実施の形態における結果と異なっていることに留意されたい。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じ効果が得られる。すなわち、故障が発生した際に、故障診断により故障候補を1ノードに絞り込める確率が効率的に向上する。更に、第1の実施の形態と比較して、処理が簡略化されるというメリットがある。それは、上述のステップS40が省略されるからである。一方、本実施の形態では、各等価故障fjだけの発生確率p(fj)が参酌されているため、解析容易性改善率e(fj)の算出精度が低下する可能性がある。
第4の実施の形態は、既出の第1〜第3の実施の形態のいずれかに係る方式と従来方式との組み合わせである。本発明に係る方式は、不良サンプル数が多い場合に特に効果を発揮する。一方、従来方式は、不良サンプル数が少ない場合に効果を発揮する。第4の実施の形態によれば、それら両方の方式を組み合わせることによって、テストポイントの配置が決定される。それにより、不良サンプル数の多少に拘わらず、故障解析を容易化することが可能となる。
上記実施の形態に係る回路設計システムは、コンピュータ上で実現される。コンピュータ上での回路設計システム(CADシステム)は、当業者により適宜構成され得る。図23には、そのシステム構成の一例が示されている。図23に示される回路設計システム100は、記憶装置110、演算処理装置120、入力装置130、及び出力装置140を備えている。また、回路設計システム100は、演算処理装置120によって実行されるコンピュータプログラムである回路設計プログラム150を含んでいる。
本発明によれば、故障が発生した際に故障候補数を少なくとも指定された数まで絞り込める確率が高くなる。その結果、故障解析容易性が向上する。本発明は、例えば、半導体集積回路のうちCMOS論理回路の故障解析容易性を向上させるために用いられる。また、バイポーラ、NMOS、化合物半導体素子等で構成された論理回路の場合にも、本発明を適用することが可能である。更に、本発明は、半導体集積回路以外にも、配線層の多層化が近年著しいプリント配線板の故障解析容易性を向上させるために用いられてもよい。更に、本発明は、光スイッチ素子を用いた光論理回路など、あらゆる種類の論理回路の故障解析容易化に適用され得る。
2 レイアウト部
3 テストポイント処理部
5 配線長取得部
10 縮退故障抽出部
20 等価故障抽出部
30 挿入位置探索部
30’ 挿入位置探索部
40 独立故障抽出部
40’ 独立故障ペア抽出部
50 故障確率算出部
50’ 故障確率算出部
60 改善効果算出部
70 挿入位置決定部
80 テストポイント挿入部
90 判断部
100 回路設計システム
110 記憶装置
120 演算処理装置
130 入力装置
140 出力装置
150 回路設計プログラム
NET ネットリスト
LAY レイアウトデータ
LEN 配線長データ
Claims (14)
- テストポイント挿入(Test Point Insertion)法を用いた回路設計処理をコンピュータに実行させる回路設計プログラムであって、
前記回路設計処理は、
(A)回路のネットリストを参照して、前記回路で発生し得る全ての縮退故障から、互いに等価な関係にある複数の等価故障fjを抽出するステップと、
(B)前記複数の等価故障fjの各々を探索対象等価故障として、前記探索対象等価故障fjと等価な関係となる等価故障の数が所定数となるために必要なテストポイントの数n(fj)と挿入位置G(fj)を探索するステップと、
(C)前記回路中に単一縮退故障が発生した場合に当該単一縮退故障が少なくとも前記探索対象等価故障fjを含む等価故障の集合に含まれる確率p(fj)を算出するステップと、
(D)前記挿入位置G(fj)のパターンのそれぞれに関して、式:e(fj)=p(fj)/n(fj)で与えられるパラメータe(fj)を算出するステップと、
(E)前記算出されたパラメータe(fj)のうち最大値が得られる前記挿入位置G(fmax)を、前記テストポイントが挿入される位置として決定するステップと、
(F)前記決定された挿入位置G(fmax)に対して、前記n(fmax)個のテストポイントをそれぞれ挿入するステップと
を有する
回路設計プログラム。 - 請求項1に記載の回路設計プログラムであって、
前記所定数は1であり、
前記(B)ステップにおいて、前記探索対象等価故障fjが独立故障となるために必要なテストポイントの数n(fj)と挿入位置G(fj)が探索される
回路設計プログラム。 - 請求項2に記載の回路設計プログラムであって、
前記回路設計処理は、更に、(X)前記探索対象等価故障fjに関する前記挿入位置G(fj)に前記テストポイントが挿入された際に同時に独立故障となる前記等価故障fjの集合Fs(fj)を抽出するステップを有し、
前記(C)ステップにおいて、前記単一縮退故障が前記集合Fs(fj)に含まれる確率が、前記確率p(fj)として算出される
回路設計プログラム。 - 請求項1に記載の回路設計プログラムであって、
前記所定数は2以上の整数Nであり、
N個の等価故障が互いに隣接するノードに位置し、且つ、他の故障との等価関係が解消されている場合、当該N個の等価故障は独立故障集団と参照され、
前記(B)ステップにおいて、前記探索対象等価故障fjが独立故障集団の1要素となるために必要なテストポイントの数n(fj)と挿入位置G(fj)が探索される
回路設計プログラム。 - 請求項4に記載の回路設計プログラムであって、
前記回路設計処理は、更に、(Y)前記探索対象等価故障fjに関する前記挿入位置G(fj)に前記テストポイントが挿入された際に同時に独立故障集団の要素となる前記等価故障fjの集合Fs(fj)を抽出するステップを有し、
前記(C)ステップにおいて、前記単一縮退故障が前記集合Fs(fj)に含まれる確率が、前記確率p(fj)として算出される
回路設計プログラム。 - 請求項4又は5に記載の回路設計プログラムであって、
前記整数Nは2である
回路設計プログラム。 - 請求項1に記載の回路設計プログラムであって、
前記(C)ステップにおいて、前記単一縮退故障が前記探索対象等価故障fjと一致する確率が、前記確率p(fj)として算出される
回路設計プログラム。 - テストポイント挿入(Test Point Insertion)法に基づく回路設計システムであって、
回路のネットリストが格納される記憶部と、
前記ネットリストを参照して、前記回路で発生し得る全ての縮退故障から、互いに等価な関係にある複数の等価故障fjを抽出する等価故障抽出部と、
前記複数の等価故障fjの各々を探索対象等価故障として、前記探索対象等価故障fjと等価な関係となる等価故障の数が所定数となるために必要なテストポイントの数n(fj)と挿入位置G(fj)を探索する挿入位置探索部と、
前記回路中に単一縮退故障が発生した場合に当該単一縮退故障が少なくとも前記探索対象等価故障fjを含む等価故障の集合に含まれる確率p(fj)を算出する故障確率算出部と、
前記挿入位置G(fj)のパターンのそれぞれに関して、式:e(fj)=p(fj)/n(fj)で与えられるパラメータe(fj)を算出し、前記算出されたパラメータe(fj)のうち最大値が得られる前記挿入位置G(fmax)を探索する判断部と、
前記挿入位置G(fmax)に前記n(fmax)個のテストポイントをそれぞれ挿入するテストポイント挿入部と
を備える
回路設計システム。 - 請求項8に記載の回路設計システムであって、
前記所定数は1であり、
前記挿入位置探索部は、前記探索対象等価故障fjが独立故障となるために必要なテストポイントの数n(fj)と挿入位置G(fj)を探索する
回路設計システム。 - 請求項9に記載の回路設計システムであって、
更に、前記探索対象等価故障fjに関する前記挿入位置G(fj)に前記テストポイントが挿入された際に同時に独立故障となる前記等価故障fjの集合Fs(fj)を抽出する独立故障抽出部を備え、
前記故障確率算出部は、前記単一縮退故障が前記集合Fs(fj)に含まれる確率を、前記確率p(fj)として算出する
回路設計システム。 - 請求項8に記載の回路設計システムであって、
前記所定数は2以上の整数Nであり、
N個の等価故障が互いに隣接するノードに位置し、且つ、他の故障との等価関係が解消されている場合、当該N個の等価故障は独立故障集団と参照され、
前記挿入位置探索部は、前記探索対象等価故障fjが独立故障集団の1要素となるために必要なテストポイントの数n(fj)と挿入位置G(fj)を探索する
回路設計システム。 - 請求項11に記載の回路設計システムであって、
更に、前記探索対象等価故障fjに関する前記挿入位置G(fj)に前記テストポイントが挿入された際に同時に独立故障集団の要素となる前記等価故障fjの集合Fs(fj)を抽出する独立故障集団抽出部を備え、
前記故障確率算出部は、前記単一縮退故障が前記集合Fs(fj)に含まれる確率を、前記確率p(fj)として算出する
回路設計システム。 - 請求項11又は12に記載の回路設計システムであって、
前記整数Nは2である
回路設計システム。 - 請求項8に記載の回路設計システムであって、
前記故障確率算出部は、前記単一縮退故障が前記探索対象等価故障fjと一致する確率を、前記確率p(fj)として算出する
回路設計システム。
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