JP4936326B2 - 融着ヒータ線およびアルミ付ヒータ - Google Patents
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Description
ヒータ線としては、例えば下記特許文献1の補正図2の一部切欠正面図に示す構造のもの(本発明の図4に示す)が知られている。このヒータ線(20’)は、ポリエステル、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリアミド繊維等からなる芯線(1’)の外周に、銅又は銅合金からなる発熱体(2’)をスパイラル状に巻回し、その外周にポリアミド系樹脂(ナイロン11、12等)或いはポリエステル共重合体をチューブ状に押出しして溶断層(3’)を設け、次にこの外周に銅又は銅合金或いはニッケル線からなる導体をスパイラル状に巻回して信号線(4’)とし、次にこの外周にポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等からなる絶縁樹脂を押出し成形して絶縁シース(6’)を設けた構造になっている。このヒータ線を用い、接着層をコーティングしてあるアルミ箔、カーペット生地等に敷線して接着するか、或いはヒータ線に接着剤を塗布しながらアルミ箔、カーペット生地等に敷線し、接着して面状採暖具としている。また特許文献1には、絶縁シースの外周に融点が155℃以上250℃以下のポリエステル系接着層を設けたヒータ線が記載されている。
また従来のアルミ付きヒータは、例えば本発明の図5に(50’)として示すように、アルミ箔(31)の片面に接着層(34)を設け、反対面には粘着層(32)と離型紙(33)を設けた接着・粘着アルミ箔(40’)を用い、接着層(34)の上に、例えば前記ヒータ線(20’)を熱融着して製造していたが、アルミ箔の選定、調達の自由度が不足し、またヒータ製品の価格も高価になってしまうという問題があった。
本発明は、上記従来技術が有する各種問題点を解決するためになされたものであり、融着ヒータ線をボビンに巻き取る際に線同士の貼りつき(以下、融着ヒータ線の線同士の貼りつきと略記する)がなく、また耐水性,耐湿熱性等の環境試験特性が良く、高温多湿環境下での加水分解による接着力低下がない融着ヒータ線、およびアルミ箔の選定、調達の自由度が高まり、またヒータ製品のコストダウンが可能なアルミ付ヒータを提供することを目的とする。
前記融着層(6)がポリエステル接着剤50〜90重量部に対し、ポリオレフィン接着剤5〜49.9重量部、および耐加水分解剤0.1〜5重量部を添加し、溶融混練した融着樹脂からなることを特徴とする融着ヒータ線にある。
前記芯線(1)としては、ポリエステル繊維のテトロン(登録商標(以下(R)))或は全芳香族ポリアミド繊維のケブラ(R)のより糸を挙げることができる。前記発熱体(2)としては、銅線または銅合金線を挙げることができる。また前記絶縁シース(5)としては、耐熱PVCを挙げることができる。
前記ポリエステル接着剤は、結晶性を有する高分子ポリエステル樹脂からなるホットメルト接着剤で、成形性、接着性が良好であり、融着層の主成分樹脂として用いられ、融着ヒータ線を製造するときの成形性およびアルミ箔との接着に大きく寄与する樹脂である。
前記ポリオレフィン接着剤は融着ヒータ線の線同士の貼りつきを防ぎ、また環境試験特性を向上させるために前記ポリエステル接着剤に添加する樹脂であり、ポリオレフィン部分と無水カルボン酸等の極性基を有するホットメルト接着剤である。
前記耐加水分解剤は融着ヒータ線の高温多湿環境下での加水分解による接着力低下を防ぐ為にポリエステル接着剤に添加する樹脂であり、カルボジイミドまたはエポキシ基含有樹脂が好ましい。
前記ポリエステル接着剤の配合量を50〜90重量部と限定した理由は、50重量部未満では成形性、いわゆる融着樹脂を溶融押出しして融着層を設ける際の樹脂の伸び性が悪くなり、融着層の薄肉化ができなくなるので、製造コストが上がってしまうためである。また90重量部を超えると融着ヒータ線の線同士の貼りつきが生じやすくなり、また環境試験特性も悪くなるためである。
また前記ポリオレフィン接着剤の配合量を5〜49.9重量部と限定した理由は、5重量部未満では融着ヒータ線の線同士の貼りつきを防ぐ効果が十分ではなく、また49.9重量部を超えると成形性が悪くなるためである。
また耐加水分解剤の配合量を0.1〜5重量部と限定した理由は、0.1重量部未満では融着ヒータ線の高温多湿環境下での加水分解による接着力低下があり、また5重量部を超えると樹脂の溶融粘度が増加し、成形性が悪くなるためである。
上記第1観点の融着ヒータ線では、前記ポリエステル接着剤の所定量に対し、ポリオレフィン接着剤および耐加水分解剤の所定量を添加し、溶融混練することにより得られる融着樹脂を融着層として用いることにより、融着ヒータ線の線同士の貼りつきがなく、成形性および環境試験特性が良好で、高温多湿環境下での加水分解による接着力低下が無く、また後工程にも支障がない融着ヒータ線を得ることができる。またヒータ線側に融着層を設けることにより、融着ヒータ線をアルミ箔に熱融着してアルミ付ヒータを製造する場合、アルミ箔の選定、調達の自由度が高まり、既存製品のコストダウンと新たな用途展開につながる。
前記横巻糸(5a)としては、例えばポリエステル糸を挙げることができる。
上記第2観点の融着ヒータ線では、絶縁ヒータ線体が上記構成の絶縁ヒータ線体(z1)からなる融着ヒータ線(10)が好ましい。
前記熔断層(3)としては、例えばナイロン12、ポリエステルが挙げられる。また前記検知線(4)としては、銅線、銅合金線またはニッケル線を挙げることができる。
上記第3観点の融着ヒータ線では、絶縁ヒータ線体が上記構成の絶縁ヒータ線体(z2)からなる融着ヒータ線(20)が好ましい。
上記第4観点のアルミ付ヒータ(50)では、前記第1から第3観点の何れかの融着ヒータ線をアルミ箔または粘着アルミ箔のアルミ箔面に熱融着することにより得られる。このアルミ付ヒータ(50)は融着ヒータ線とアルミ箔が良好に接着され、コストダウンも計られる。
これらの図において、1は芯線、2は発熱体、3は溶断層、4は検知線、5は絶縁シース、5aは横巻糸、6は融着層、10,20は融着ヒータ線、31はアルミ箔、32は粘着層、33は離型紙、40は粘着アルミ箔、50はアルミ付ヒータ、またz1,z2は絶縁ヒータ線体である。
(1)融着樹脂の調製
融着樹脂の調製について下記表1を用いて説明する。なお表1は実施例1〜4の融着ヒータ線および参考比較例1、2の融着ヒータ線の融着層に用いる融着樹脂の配合組成表である。
表1の配合組成表に従い、ポリエステル接着剤90gに対し、ポリオレフィン接着剤5gおよび耐加水分解剤5gを添加し、溶融混練して実施調製例1の融着樹脂を調製した。
表1の配合組成表に従い、前記実施調製例1と同様にして実施調製例2、3の融着樹脂を調製した。
表1の配合組成表に従い、ポリエステル接着剤をそのまま融着樹脂として用いた。
表1の配合組成表に従い、ポリエステル接着剤にポリオレフィン接着剤を添加し、溶融混練して参考調製例2の融着樹脂を調製した。
本発明の融着ヒータ線の製造について図1、2を用いて説明する。また参考比較例の融着ヒータ線の製造についても説明する。
先ず巻芯(1)として、ポリエステル繊維のテトロンのより糸を用い、この外周に発熱体(2)として銅線を巻回し、その外周にポリエステル糸の横巻糸(5a)を設け、その外周に耐熱PVCを溶融押出しして絶縁シース(5)を設けて絶縁ヒータ線体(z1)とし、更にその外周に前記実施調製例1の融着樹脂を溶融押出しして融着層(6)を設けて融着ヒータ線(10)を製造した。
上記実施例1と同様の絶縁ヒータ線体(z1)の外周に、前記実施調製例2の融着樹脂を溶融押出しして融着層(6)を設けて融着ヒータ線(10)を製造した。
上記実施例1と同様の絶縁ヒータ線体(z1)の外周に、前記実施調製例3の融着樹脂を溶融押出しして融着層(6)を設けて融着ヒータ線(10)を製造した。
先ず巻芯(1)として、全芳香族ポリアミド繊維のケブラを用い、この外周に発熱体(2)として銅線を巻回し、その外周に融点170℃近辺のナイロン11を溶融押出しして溶断層(3)を設け、その外周に検知線(4)として銅線を定ピッチでスパイラル状に巻回し、その外周に耐熱PVCを溶融押出しして絶縁シース(6)を設けて絶縁ヒータ線体(z2)とし、更にその外周に前記実施調製例1の融着樹脂を溶融押出しして融着層(6)を設けて融着ヒータ線(20)を製造した。
融着ヒータ線の製造の参考比較例1について図1を参照して説明する。
上記実施例1と同様の絶縁ヒータ線体(z1)の外周に、前記参考調製例1の融着樹脂を溶融押出しして融着層を設けて融着ヒータ線を製造した。
融着ヒータ線の製造の参考比較例2について図1を参照して説明する。
上記実施例1と同様の絶縁ヒータ線体(z1)の外周に、前記参考調製例2の融着樹脂を溶融押出しして融着層を設けて融着ヒータ線を製造した。
本発明の実施例1〜3の融着ヒータ線および参考比較例1、2の融着ヒータ線の特性について試験した。その結果を下記表2に示す。
本発明のアルミ付ヒータの製造について図3を用いて説明する。また参考比較例のアルミ付ヒータの製造についても説明する。
前記実施例1により得られた融着ヒータ線(10)を粘着アルミテープ(40)のアルミ箔(31)面に熱プレスで圧着し、アルミ付ヒータ(50)を製造した。なお、前記粘着アルミテープ(40)には粘着層(32)と離型紙(33)が設けられている。なお前記熱プレスの条件は、プレス板の温度を200〜220℃、プレス時間を3〜6秒とした。
前記実施例2により得られた融着ヒータ線(10)を粘着アルミテープ(40)のアルミ箔(31)面に熱プレスで圧着し、アルミ付ヒータ(50)を製造した。なお熱プレスの条件は前記実施例5と同じとした。
前記実施例3により得られた融着ヒータ線(10)を粘着アルミテープ(40)のアルミ箔(31)面に熱プレスで圧着し、アルミ付ヒータ(50)を製造した。なお熱プレスの条件は前記実施例5と同じとした。
なお実施例5〜7においてはアルミ箔(31)を用いたが、アルミ箔(31)の代わりにアルミラミネートポリエチレンテレフタレート樹脂テープ(アルペット)を用いても良い。
アルミ付ヒータの製造の参考比較例3、4について図3を参照して説明する。
前記参考比較例1、2により得られたそれぞれの融着ヒータ線を、前記実施例5と同様に粘着アルミテープ(40)のアルミ箔(31)面に熱プレスで圧着し、アルミ付ヒータを製造した。なお熱プレスの条件は前記実施例5と同じとした。
前記実施例5〜7および参考比較例3、4により得られたアルミ付ヒータについて、融着ヒータ線とアルミ箔面との接着力を試験した。
その結果、本発明の融着ヒータ線とアルミ箔面とは良好に接着していた。なお、この接着力特性は前記表2の接着力として表示されているものと同等である。また、実施例4の融着ヒータ線(20)についても前記実施例5と同様にしてアルミ付ヒータを製造し、接着力特性を試験したが、全て良好だった。
2 発熱体
3 溶断層
4 検知線
5 絶縁シース
5a 横巻糸
6 融着層
10,20 融着ヒータ線
31 アルミ箔
32 粘着層
33 離型紙
40 粘着アルミ箔
50 アルミ付ヒータ
z1,z2 絶縁ヒータ線体
Claims (4)
- 少なくとも芯線(1)と、この芯線(1)の外周に巻回された発熱体(2)と、この発熱体(2)の上方に設けられた絶縁シース(5)からなる絶縁ヒータ線体の外周に融着層(6)が設けられている融着ヒータ線において
前記融着層(6)がポリエステル接着剤50〜90重量部に対し、ポリオレフィン接着剤5〜49.9重量部、および耐加水分解剤0.1〜5重量部を添加し、溶融混練した融着樹脂からなることを特徴とする融着ヒータ線。 - 前記絶縁ヒータ線体が、芯線(1)の外周に発熱体(2)を巻回し、その外周に横巻糸(5a)を設け、その外周に絶縁シース(5)を設けた絶縁ヒータ線体(z1)であることを特徴とする請求項1記載の融着ヒータ線(10)。
- 前記絶縁ヒータ線体が、芯線(1)の外周に発熱体(2)を巻回し、その外周に溶断層(3)を設け、その外周に検知線(4)を定ピッチでスパイラル状に巻回し、更にその外周に絶縁シース(5)を設けた絶縁ヒータ線体(z2)であることを特徴とする請求項1記載の融着ヒータ線(20)。
- 請求項1〜3の何れかに記載の融着ヒータ線をアルミ箔または粘着アルミ箔のアルミ箔面に熱融着したことを特徴とするアルミ付ヒータ(50)。
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