JP4928844B2 - モータの巻線方法及びそのための巻線機 - Google Patents
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Description
一方、ハードディスクやCD/DVDドライブを装着した電気機器の小型化高密度化を達成するために、モータに対してもサイズの小型化及び巻線の高密度化が要請され続けている。
そこで、固定子コアの主面に対して垂直方向に長い変形楕円の移動軌跡をノズルに描かせることにより、旋回速度を落とすことなく狭いティース間スロットを通過させる巻線機が提案されている(特許文献1)。提案された巻線機は、ベルトで連動して回転する駆動回転板及び従動回転板にそれぞれ偏芯して回転自在に駆動偏芯軸及び従動偏芯軸を取り付け、これら二つの偏芯軸を連接ロッドで連結し、連接ロッドにノズルを固定したものである。そして、従動回転軸の偏芯量を駆動回転軸のそれよりも小さくし、連接ロッドを従動回転軸に摺動自在とすることにより、前記の楕円軌道が達成されている。
また、特許文献1で提案された装置は、駆動回転板の回転力がベルトを介して従動回転板に伝達されることから、ベルトのテンション調整装置が必要であるなど装置全体複雑となる。また、ベルトの幅以上の肉厚を有する回転板などの質量のために慣性力が大きく加減速に長時間を要し、各ティース毎に加減速をくり返すモータの製造において、結果的に生産性が低下する。しかも連接ロッドを従動偏芯軸と摺動させるために高価なスライド軸受けが必要である。従って、製造コストが高くなってしまう。
それ故、この発明の第一の課題は、ノズルがモータの小型化及び高密度化に適した軌道を描く巻線方法を提供することにある。第二の課題は、この方法を低コストで実現する巻線機を提供することにある。
ノズルにワイヤを通し、固定子コアのティースの周囲にノズルを旋回させてワイヤをティースに巻く方法において、
ティースの一方の側を通過するときのノズルの軌道と、他方の側を通過するときのノズルの軌道とを非対称にすることを特徴とする。
この方法によれば、軌道半径が狭い側のスロットによって制限されないから、ノズルに小型化高密度化に最適の軌道を描かせることができる。
好ましい軌道は、前記固定子コアが図9に斜視図として示すように複数本のティースを有するストレートコアであって、n番目のティースにワイヤを巻く際に、(n−1)番目とn番目のティース間スロットを通過するときのノズルの軌道半径Rが、n番目と(n+1)番目のティース間スロットを通過するときのノズルの軌道半径rよりも大きくなるようにしたものである。
四節のリンク機構の原動節となり、駆動軸の回りに回転する節長dの回転体と、
同リンク機構の中間節となる連結ロッドと、
同リンク機構の従動節となり、節長Dが前記dより長い揺動体と、
連結ロッドの中間に固定され、ワイヤが通されるノズルと
を備えることを特徴とする。
この巻線機によれば、回転体と揺動体との間の連結ロッドの長さが一定であるから、図1に示すように回転体の作用点がe→f→g→h→eと時計方向に旋回するに伴って、揺動体の作用点はE→F→G→H→Eという円弧状の軌道を描く。そして、連結ロッドにおける揺動体に近い位置にノズルを固定すれば図2の軌跡1のようにノズルが三日月状の軌道を描き、回転体に近い位置に固定すれば軌跡4のように半月状の軌道を描く。軌跡1の場合、図3に示すように巻線済みのティースT(n-1)のコイルをすれすれで避けながら、ティースTnにコイル巻きすることができる。いずれにしてもノズルの軌道は非対称となり、回転体の作用点が時計方向0時と6時の間を移動するときのノズルの軌道半径が、6時と12時の間を移動するときよりも小さくなり、前記方法を実現できる。
この発明の第一の実施形態を図面と共に説明する。図4は、実施形態に係る巻線機を示す斜視図である。
巻線機1は、6本のティースを有するインナーローター型モータの固定子コアCにワイヤWを巻く機械であって、駆動モータ2、回転体3、連結ロッド4、揺動体5及びノズル6を備える。回転体3は、有効長さdの短冊状をなし、モータ2の出力軸2aと供回りするように固定端が圧入、焼き嵌め、キー挿入などにより出力軸2aに固定されている。揺動体5は、有効長さD(D>d)の短冊状をなし、固定端が静止系に回転可能に固定されている。そして、連結ロッド4の下端及び上端がそれぞれ回転体3及び揺動体5の各自由端に回転自在に連結され、回転体3、連結ロッド4及び揺動体5で四節のリンク機構を構成している。すなわち、揺動体5の固定端と回転体3の固定端との間に存在する実体が静止節、回転体3が原動節、連結ロッド4が中間節、揺動体5が従動節となる。
この巻線機1において、モータ2を駆動させると、回転体3が回転し、その回転運動が連結ロッド4を介して揺動体5に伝達されるが、揺動体5の有効長さDが回転体3のそれdよりも長いので、揺動体5の自由端は所定の円弧に沿って往復しながら揺動する。従って、ノズル6は、回転体3の円運動と揺動体5の揺動とで合成される三日月ないし半月状の軌道を描きながら、ティースの周囲を旋回し、ワイヤWをティースに巻く。
この実施形態では、実施形態1における回転体3に代えて図5に示す円盤状の回転体3’が用いられている。この場合は、回転体3’の回転中の振動が少ないので、モータ2の軸受けに負担がかかりにくく騒音も小さい。
図6は、第三の実施形態に係る巻線機を示す斜視図である。この実施形態では、回転体13及び揺動体15がともに円盤状をなし、連結ロッド14は広い幅を有する。回転体13は、その偏芯位置でモータ2の出力軸2aに固定され、図7に要部軸方向断面図として示すように、例えば軸受け14aを介するなどして回転可能に連結ロッド14に埋め込まれている。揺動体15もその偏芯位置で支持軸15aに回転可能に固定され、図略の軸受けを介して連結ロッド14に埋め込まれている。揺動体15の偏芯量は回転体13のそれよりも大きい。回転体13及び揺動体15が連結ロッド14に納められているため、回転体13、揺動体15及び連結ロッド14が実施形態1及び2よりも薄型であってよい。
尚、揺動体の直径と回転体の直径はワークの大きさと形状により適宜定める。揺動体の直径を大きくし、偏心量を大きくすればノズル軌跡は円と直線の合成に近似し、揺動体の偏心量を小さくすればノズル軌跡は円と半円の合成に近似する。
図8は、第四の実施形態に係る巻線機を示す斜視図である。この実施形態では、揺動体25が板バネからなり、固定端が静止系に、自由端が連結ロッド24にそれぞれボルトでいずれに対しても回転不能に固定されている。揺動体25側に回転部分が無いので、構造が簡単であり、一層コストの低減を図ることができる。
2 モータ
3、3’、13 回転体
4、14、24 連結ロッド
5、15、25 揺動体
6 ノズル
Claims (4)
- 四節のリンク機構の原動節となり、駆動軸の回りに回転する節長dの回転体と、
同リンク機構の中間節となる連結ロッドと、
同リンク機構の従動節となり、節長Dが前記dより長い揺動体と、
連結ロッドの中間に固定され、ワイヤが通されるノズルと
を備え、
固定子コアのティースの周囲にノズルを旋回させてワイヤをティースに巻くことを特徴とするモータの巻線機。 - 前記回転体及び揺動体が、ともに円盤状をなして前記連結ロッドに回転可能に埋め込まれている請求項1に記載の巻線機。
- 前記揺動体が弾性体からなり、静止系及び連結ロッドのいずれに対しても回転不能に固定されている請求項1に記載の巻線機。
- 前記請求項1〜3のいずれかに記載の巻線機を用いることを特徴とする、モーターの巻線方法。
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