JP4927652B2 - 火災・非火災判別装置および火災警報器 - Google Patents

火災・非火災判別装置および火災警報器 Download PDF

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Description

本発明は、火災・非火災判別装置および該火災・非火災判別装置を用いた火災警報器に関するものである。
従来の火災警報器としては、たとえば、温度上昇を検出する熱センサ、煙量を検出する煙センサ、炎量を検出する炎センサ、一酸化炭素(CO)濃度を検出するCOセンサなどを単独に有する単独式のものや、これらセンサを組み合わせた複合式のものがある。住宅用火災警報器および住宅用自動火災報知設備に係る技術上の規格を定める省令では、煙センサを有することを定めている。
煙センサを有する煙式火災警報器は、居室では埃等の蓄積やタバコの煙に反応して、台所では調理の際に発生する煙や水蒸気に反応して、これらの非火災時にも誤警報が発生することがある。そのため従来、煙式火災警報器は台所での使用は認められていなかった。しかし、近年一戸建て住宅への火災警報器の設置が義務化され、その技術基準では煙式火災警報器が採用されており、台所で煙式火災警報器が使用可能となったため、誤警報対策がますます重要となっている。
また、住宅火災を模した実験から、寝タバコによるふとんのくん焼のように、煙量が高くなる前に有毒なCO濃度が上昇してしまう火災が存在し、このようなくん焼火災の発生時には最悪の場合、煙による火災警報が出る前にCO濃度もしくは一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)が危険な領域に達し、逃げ遅れてしまう危険性がある。
一方、火災発生時に煙と共に発生するCOを検知して、CO濃度がしきい値を超えると警報を発する警報器が国際標準化機構(ISO)において提案されている。CO濃度のしきい値は、EN規格の火災試験基準TF3の実験に基づいて決定されており、そのしきい値は50ppmとかなり低い。ところが、日常的に使用されている燃焼機器(ストーブ、ファンヒータ等)から発生するCO濃度は、50ppmよりも高くなることもあり得るので、このような低いCO濃度しきい値では、燃焼機器の運転に反応して誤警報を発することがある。
以上のように、従来の火災警報器では、しきい値を超える煙量といった物理量が検出されても、それが火災によるものなのか、それとも調理や燃焼器の使用などに起因する非火災によるものなのか判断できず、誤警報を発生したり、火災を早期に検出することができなかった。
上記問題を解決するため、従来の火災警報器として、火災と非火災を判別する方法として、1)煙の上昇時間に応じて動作レベルを可変し、しきい値と比較する方法(たとえば、特許文献1参照。)や、2)火災領域と非火災領域を設定し、煙とCO濃度からいずれの領域であるかを選択する方法(たとえば、特許文献2参照。)や、3)煙とCO濃度の変化率で火災を判断する方法(たとえば、特許文献3参照。)等が提案されている。
特開2006−146738号公報 特開2006−146843号公報 特開2006−277138号公報
台所では、調理時に水蒸気も発生することが多く、この水蒸気により誤報が発生する。水蒸気は煙と違い、発生する環境(温度、湿度等)によりその性状が大きく変化するため、安定した減光率値(煙濃度)とならない。そのため、上記従来方法では、非火災時の水蒸気に関しては、有効に判別できるかどうか明確になっていない。
そこで本発明は、上述した課題に鑑み、水蒸気による誤動作を軽減することができ実火災と非火災とを有効に判別することができる火災・非火災判別装置および該火災・非火災判別装置を用いた火災警報器を提供することを目的としている。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、煙センサで所定の検出タイミング毎に検出された煙濃度に基づいて火災・非火災の判別動作を行う火災・非火災判別装置において、前記煙センサで所定の検出タイミング毎に検出された煙濃度が第1の設定煙濃度を上回った時に、前記検出タイミングをそれより短い間隔の水蒸気判定用検出タイミングに変更する検出タイミング変更手段と、予め設定された水蒸気判定期間の間、前記検出タイミング変更手段で変更された前記水蒸気判定用検出タイミング毎に前記煙センサで検出された前記煙濃度の複数の実測データに基づいて、直線近似された水蒸気判定用一次式を算出すると共に、前記煙濃度の前記実測データと前記水蒸気判定用一次式で表される煙濃度値との差の最大値を水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)として算出する水蒸気判定用算出手段と、前記水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)が水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っているか否かを判定する水蒸気判定用煙濃度差判定手段とを備え、前記水蒸気判定用煙濃度差判定手段で、前記水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)が前記水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っていると判定された場合、前記火災・非火災の判別動作を行わず、前記水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っていると判定されなかった場合、前記火災・非火災の判別動作を行うことを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1記載の火災・非火災判別装置において、前記算出手段は、さらに、前記水蒸気判定用一次式の傾きを水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)として算出し、前記火災・非火災判別装置は、前記水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)が水蒸気判定用煙濃度傾きしきい値を上回っているか否かを判定する水蒸気判定用煙濃度傾き判定手段をさらに備え、前記水蒸気判定用煙濃度傾き判定手段で前記水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)が前記水蒸気判定用煙濃度傾きしきい値を上回っていると判定されない場合、前記火災・非火災の判別動作を行わず、前記水蒸気判定用煙濃度傾き判定手段で前記水蒸気判定用煙濃度傾きしきい値を上回っていると判定されかつ前記水蒸気判定用煙濃度差判定手段で前記水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)が前記水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っていると判定されなかった場合、前記火災・非火災の判別動作を行うことを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の火災・非火災判別装置を使用する火災警報器であって、前記火災・非火災判別装置で火災と判別された場合に、前記煙濃度が予め定められた第1の火災判定煙しきい値を上回ったか否かを判定する第1の火災判定手段と、前記第1の火災判定手段で前記煙濃度が前記第1の火災判定煙しきい値を上回ったと判定された場合、火災警報を報知する報知手段と、を備えていることを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、請求項1または2に記載の火災・非火災判別装置を使用する火災警報器であって、前記火災・非火災判別装置で非火災と判別された場合に、所定の遅延時間を設定する遅延時間設定手段と、前記遅延時間設定手段で設定された前記所定の遅延時間に渡って、前記煙濃度が前記第1の火災判定煙しきい値より予め高く設定された第2の火災判定煙しきい値を上回ったか否かを判定する第2の火災判定手段とをさらに備え、前記報知手段は、さらに、前記第2の火災判定手段で前記煙濃度が前記第2の火災判定煙しきい値を上回ったと判定された場合、火災警報を報知することを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の発明は、請求項4記載の火災警報器において、前記煙センサで所定の検出タイミング毎に検出された煙濃度が前記第2の火災判定煙しきい値より高く予め定められた第3の火災判定煙しきい値を上回ったか否かを判定する第3の火災判定手段をさらに備え、前記報知手段は、さらに、前記遅延時間設定手段で設定された前記所定の遅延時間経過中に、前記第3の火災判定手段で前記煙濃度が前記第3の火災判定煙しきい値を上回ったと判定された場合、即時に火災警報を報知することを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、煙センサで所定の検出タイミング毎に検出された煙濃度が第1の設定煙濃度を上回った時に、検出タイミングをそれより短い間隔の水蒸気判定用検出タイミングに変更し、予め設定された水蒸気判定期間の間、水蒸気判定用検出タイミング毎に煙センサで検出された煙濃度の実測データに基づいて、直線近似された水蒸気判定用一次式を算出すると共に、煙濃度の実測データと水蒸気判定用一次式で表される煙濃度値との差の最大値を水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)として算出し、算出された水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)が水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っていると判定された場合、火災・非火災の判別動作を行わず、水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っていると判定されなかった場合、火災・非火災の判別動作を行うので、水蒸気による誤動作を軽減して火災と特に調理による非火災とを有効に判別することができる。
請求項2記載の発明によれば、さらに、水蒸気判定用一次式の傾きを水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)として算出し、水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)が水蒸気判定用煙濃度傾きしきい値を上回っていると判定されない場合、火災・非火災の判別動作を行わず、水蒸気判定用煙濃度傾きしきい値を上回っていると判定されかつ水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)が水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っていると判定されなかった場合、火災・非火災の判別動作を行うので、水蒸気による誤動作を軽減して火災と特に調理による非火災とを有効に判別することができる。
請求項3記載の発明によれば、火災・非火災判別装置で火災と判別された場合に、煙濃度が第1の火災判定煙しきい値を上回ったときに火災警報を報知するので、火災を早期に判別して確実に報知し、特に調理による誤警報を低減することができ、特に台所等で使用するのに適する火災警報器を実現できる。
請求項4記載の発明によれば、火災・非火災判別装置で非火災と判別された場合に、設定された所定の遅延時間に渡って、煙濃度が第1の火災判定煙しきい値より予め高く設定された第2の火災判定煙しきい値を上回ったときに火災警報を報知するので、特に調理による誤警報を低減することができる。
請求項5記載の発明によれば、設定された所定の遅延時間経過中に、煙濃度が第2の火災判定煙しきい値より高く予め定められた第3の火災判定煙しきい値を上回った場合に即時に火災警報を報知するので、特に調理による誤警報を低減することができ、しかも早期に火災を報知することができる。
以下、本発明に係る火災・非火災判別装置を用いた火災警報器の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る火災・非火災判別装置を用いた火災警報器の構成を示すブロック図である。火災警報器1は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)2と、COセンサ3と、煙センサ4と、警報出力部5と、外部出力部6,記憶部7とを有している。
マイコン2は、CPU2a、ROM2bおよびRAM2cを含み、CPU2aは、ROM2bに格納されている制御プログラムにしたがって本実施の形態に係る制御を含む各種の処理を実行する。RAM2cには、CPU2aが各種の処理を実行する上で必要なデータ、プログラム等が適宜格納される。
COセンサ3は、空気中のCO濃度を検出してCO濃度に応じたセンサ出力を出力するものである。COセンサ3としては、CO濃度が検出できるものであればよく、たとえば接触燃焼式、電気化学式、NDIR式などが使用される。
煙センサ4は、空気中の煙量を検出して煙量に応じたセンサ出力を出力するものである。煙センサ4は、発光素子と、煙粒子による乱反射光を受光する受光素子とを備えた光電式のものが使用される。
警報出力部5は、マイコン2の制御により火災警報を出力するための、警報音や警報音声メッセージを発するブザーやスピーチプロセッサ等の音声出力回路や、警報表示を行うLED、LCD等の表示出力回路等を含んで構成される。外部出力部6は、マイコン2から出力される警報信号を外部システムや保安センタ等に送出する通信回路を含んで構成される。
記憶部7は、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等で構成された不揮発性の記憶手段である。記憶部7には、後述の判定処理で用いるために予め設定された、第1の設定煙濃度、第2の設定煙濃度、水蒸気判定期間、経過時間しきい値、煙濃度傾きしきい値、CO濃度傾きしきい値、煙濃度差しきい値、煙上昇判定用面積しきい値、第1の火災判定煙濃度、第2の火災判定しきい値および第3の火災判定煙濃度が格納されている。
次に、上述の構成を有する火災警報器1の動作について説明する。本発明では、上述の課題を解決するため、図2〜図8に示す調理実験および火災実験と、図9〜図14に示す水蒸気発生実験とを行い、その実験結果に基づいて火災・非火災の判別方法を得ている。
図2は、調理実験結果を示す。図2においては、調理実験項目として、被加熱物の種類、条件が、「さんま×2、換気扇GT+R」、「さんま×1、換気扇GT+R」、「さんま×1、換気扇R」、「肉+野菜、換気扇GT+R」、「肉+野菜、換気扇なし」、「肉、換気扇GT+R」および「肉、換気扇なし」、の場合であって煙センサおよびCOセンサの位置がA,B,Cの場合に対する、2.5<煙濃度Cs<6%/m間の煙濃度傾きGs(煙濃度Csが2.5%/mと6%/mの間で連続的に変動する間の煙濃度変化特性における煙濃度傾き)と、|(実測値)−(一次式)|の煙濃度差最大値|d|maxと、2.5<煙濃度Cs<6%/m間の経過時間Ts(煙濃度Csが2.5%/mと6%/mの間で連続的に変動する間の経過時間)と、2.5<煙濃度Cs<6%/m間のCO濃度傾きGco(煙濃度Csが2.5%/mと6%/mの間で連続的に変動する間のCO濃度変化特性におけるCO濃度傾き)とを示す。なお、煙濃度およびCO濃度の検出タイミングは5秒毎である。
図3は、火災実験結果を示す。図3においては、火災実験項目として、ゴミ箱、ストーブ(綿100%ふとん)、ストーブ(綿ポリ50%ふとん)、くん焼(綿100%ふとん)、ストーブ(Tシャツ)、ストーブ(羽毛ふとん)および天ぷらの場合に対する、2.5<煙濃度Cs<6%/m間の煙濃度傾きGs(煙濃度Csが2.5%/mと6%/mの間で連続的に変動する間の煙濃度変化特性における煙濃度傾き)と、|(実測値)−(一次式)|の煙濃度差最大値|d|maxと、2.5<煙濃度Cs<6%/m間の経過時間Ts(煙濃度Csが2.5%/mと6%/mの間で連続的に変動する間の経過時間)と、2.5<煙濃度Cs<6%/m間のCO濃度傾きGco(煙濃度Csが2.5%/mと6%/mの間で連続的に変動する間のCO濃度変化特性におけるCO濃度傾き)とを示す。なお、煙濃度およびCO濃度の検出タイミングは5秒毎である。
たとえば、ストーブ(綿100%ふとん)とは、反射式ストーブの反射板に対向するように綿100%ふとんをヒータに接触させて配置した状況でストーブに点火して火災を発生させる実験を行ったものである。ストーブの他の項目も同様である。また、くん焼(綿100%ふとん)とは、綿100%ふとんの間に火源となる火の点いた煙草を挟んでくん焼火災を発生させる実験を行ったものである。
なお、火災実験は、一般住宅の居所を模した火災実験室にて行い、調理実験および水蒸気発生実験は、一般住宅のキッチンを模した実験室で行った。
図4は、調理実験用の一般住宅のキッチンを模した実験室を概略的に示す図である。図4に示すように、ガステーブルGRを室の片隅に配置し、その上方の壁に大型の換気扇GTを配置し、天井に小型の換気扇Rを配置した部屋で、ガステーブルGRを使用しかつ換気扇GT、Rを駆動させたりさせなかったりして、調理実験を行った。そして、CO濃度および煙濃度のデータを、ガステーブルGRの右側の壁に配置したCOセンサ3Aおよび煙センサ4Aで測定した場合(図2の位置Aに相当)、ガステーブルGRの左側(ドア側)の壁に配置したCOセンサ3Bおよび煙センサ4Bで測定した場合(図2の位置Bに相当)、手前側の壁に配置したCOセンサ3Cおよび煙センサ4Cで測定した場合(図2の位置Cに相当)の各場合について収集した。
図2および図3における煙濃度傾きGsおよび煙濃度差最大値|d|maxの算出方法は次の通りである。たとえば、火災や調理により発生する煙濃度が、2.5%/mから6%/mまで上昇する間に図5のように推移した場合を考える。図5においては、測定間隔一定のタイミング毎に煙センサ4により測定時間t0,t2,t3,...,tnにおいて検出された煙濃度の実測データを、それぞれ、Cs0,Cs1,Cs2,Cs3,...,Csnとする。時間t0における煙濃度Cs0と時間t1における煙濃度Cs1で形成される台形の面積(煙濃度の時間積分値)をA1とし、時間t1における煙濃度Cs1と時間t2における煙濃度Cs2で形成される台形部の面積をA2とし、以下同様に形成される台形部の面積をそれぞれ、A3,....,Anとし、それぞれの台形部の面積を求め、最後に時間t0から時間tnまで全台形部の合計である全面積(時間t0からtnまでの煙濃度の時間積分値)Sを以下の通り求める。
S=ΣAn・・・(1)
次に、時間t0における煙濃度Cs0と時間t0およびtn間で形成される矩形部の面積(時間t0からtnまでの煙濃度積分値の一定部分)Ssを以下の通り求める。
Ss=Cs0×(tn−t0)・・・(2)
次に、全面積Sから矩形部の面積Ssを引き、台形部から矩形部を除いた上部の面積(時間t0からtnまでの煙濃度の積分値の変動部分)Stを求める。
St=S−Ss・・・(3)
次に、時間t0とtnの間で、求めたStに匹敵する面積を有する三角形を仮定し、その高さをhとすれば、以下の式で表すことができる。
St={(tn−t0)×h}/2・・・(4)
次に、上記(4)式から高さhを求める。
h=2St/(tn−t0)・・・(5)
次に、求めた高さhを(tn−t0)で割ると、時間t0から時間tnまでの煙濃度の平均の傾きとして煙濃度傾きGs(%/m/sec)が以下の通り求められる。
Gs=h/(tn−t0)=2St/(tn−t0)2 ・・・(6)
以上のようにして、煙濃度傾きGsを求めることができる。そして、時間t0から時間tnまでの時間tの経過中の煙濃度Csの変化を、一次式y=ax+bの形で表すと、上述のように求めた煙濃度傾きGs(=a)を有する下記の一次式で直線近似することができる。
Cs={2St/(tn−t0)2 }t+b・・・(7)
なお、tは時間、bは切片である。
そして、煙濃度Csの実測データCs0,Cs1,Cs2,Cs3,...,Csnと、上記の直線近似された一次式で表される煙濃度値との差をとり、その最大値を煙濃度差最大値|d|maxとして算出する。
なお、CO濃度傾きGcoも、時間t0〜tn間のCO濃度に基づき、上述の煙濃度傾きGsの計算方法と同様のやり方で求めることができるが、ここでは説明を省略する。
図6〜8は、一例として、それぞれ、調理実験「さんま×1、換気扇GT+R」の場合のセンサ位置A、BおよびCの場合の、(a)煙濃度Csの実測値と、実測値から上述のようにして求めた一次式とを表すグラフ、および(b)実測値と一次式の濃度差を表すグラフである。図6(a)のグラフでは、一次式は、Cs=0.01t−2.106で表され、図6(b)のグラフから、|(実測値)−(一次式)|の最大値|d|maxは、1.438であることが分かる。同様に、図7(a)のグラフでは、一次式は、Cs=0.043t−21.732で表され、図7(b)のグラフから、|(実測値)−(一次式)|の最大値|d|maxは、0.962であることが分かる。同様に、図8(a)のグラフでは、一次式は、Cs=−0.166t−101.92で表され、図8(b)のグラフから、|(実測値)−(一次式)|の最大値|d|maxは、0.733であることが分かる。
図9は、水蒸気発生実験結果を示す図である。図9(a)および(b)においては、水蒸気発生実験項目として、水蒸気発生源からガス警報器までの高さ1100mm,1200mm,1300mm,1500mmに対する、2.5%/m以上の煙濃度Csが検知されてからの経過時間(秒)と、2.5%/m以上の煙濃度Csが検知された時点での検知開始濃度(%/m)と、2.5<煙濃度Cs<6%/m間の煙濃度傾きGs(v)(煙濃度Csが2.5%/mと6%/mの間で連続的に変動する間の煙濃度変化特性における煙濃度傾き)と、|(実測値)−(一次式)|の煙濃度差最大値|d|max(v)とを示す。
なお、図9(a)は、煙濃度Csの検出タイミングが火災実験および調理実験と同じ5秒毎の場合を示し、図9(b)は、煙濃度Csの検出タイミングが1秒毎の場合を示す。煙センサ4は光電式であり、光の乱反射を利用しているので、煙粒子と水蒸気粒子の判別が難しい。また、水蒸気の発生は、上下動が激しいので、煙濃度差最大値|d|maxは、検出タイミングが火災実験や調理実験と同じ5秒毎ではその動きを捉えきれない。そこで、検出タイミングを5秒よりも短く、たとえば1秒毎とした場合についても水蒸気発生実験を行った。
図10は、水蒸気発生実験の様子を概略的に示す図である。図10に示すように、実験室の壁の上部に天井から500mmの場所に火災警報器1を設置し、ポット+水からなる水蒸気発生源VS(ポットに水を入れてお湯を沸かし、ポット上部の蓋を外した状態としたもの)を壁から100mm離れた所に設置して、水蒸気発生実験を行った。そして水蒸気発生源VSの設置位置を、火災警報器1との間隔が1100mm,1200mm,1300mm,1500mmとなるように可変し、それぞれの設置位置の場合について、火災警報器1で煙濃度Csを検知した。
図11〜図14は、それぞれ、図9(b)に示す検出タイミング1秒毎の場合であって、高さ1100mm、1200mm、1300mmおよび1500mmの場合の水蒸気発生実験における、(a)煙濃度Csの実測値と、実測値から上述のようにして求めた一次式とを表すグラフ、および(b)実測値と一次式の濃度差を表すグラフである。図11(a)に示す高さ1100mmの場合のグラフでは、一次式は、Cs=1.154t+2.53で表され、図11(b)のグラフから、|(実測値)−(一次式)|の最大値|d|maxは、8.1であることが分かる。同様に、図12(a)に示す高さ1200mmの場合のグラフでは、一次式は、Cs=0.31t+8.67で表され、図12(b)のグラフから、|(実測値)−(一次式)|の最大値|d|maxは、7.1であることが分かる。同様に、図13(a)に示す高さ1300mmの場合のグラフでは、一次式は、Cs=0.372t+7.48で表され、図13(b)のグラフから、|(実測値)−(一次式)|の最大値|d|maxは、9.6であることが分かる。同様に、図14(a)に示す高さ1500mmの場合のグラフでは、一次式は、Cs=0.52t+2.85で表され、図14(b)のグラフから、|(実測値)−(一次式)|の最大値|d|maxは、3.4であることが分かる。
図2〜図14に示す実験結果から、以下の事が判明した。
(1)火災実験では、くん焼、天ぷら火災以外は煙濃度傾きGsが大きく(>0.17)、調理実験では、全体的に煙濃度傾きGsは小さく、マイナスの場合もある。
(2)煙濃度差最大値|d|maxは、火災実験では小さく(<2)、調理実験でも2,3の例外を除いて小さい。
(3)経過時間Tsは、くん焼火災(119秒)、天ぷら火災(167秒)以外は、最大55秒以下であった。
(4)CO濃度傾きGcoは、くん焼火災が0.4以上で、調理実験では0.1以下であった。
(5)水蒸気発生実験では、検出タイミングが5秒毎の場合、煙濃度の傾きGsは0以上であり、煙濃度差最大値|d|maxは、0.2〜3.3であり、検出タイミングが1秒毎の場合、煙濃度の傾きGsは0以上であり、煙濃度差最大値|d|maxは、3.4〜9.6であった。
以上の判明事項をふまえて、以下に示すように火災・非火災判別条件を設定する。
条件A.くん焼火災および天ぷら火災以外の火災を判別するために、Gs>0.17かつ|d|max<2と設定する。
条件B.くん焼火災および天ぷら火災を判別するために、Gs<0.17かつ|d|max<2かつTs>100秒と設定する。
条件C.くん焼火災を判別するために、Gs<0.17かつ|d|max<2かつTs>100秒かつGco>0.4と設定する。
条件D.調理等において水蒸気が発生する非火災を判別するために、検出タイミングを5秒から1秒に切り替えると共に、|d|max>2と設定する。
上述の火災・非火災判別条件に基づいて判別した結果、火災と判別された場合は、警報遅延時間を0秒に設定すると共に、煙濃度Csが8%/mまで上昇した場合に火災警報を報知する。一般的な火災判定煙しきい値は10%/mであるが、本発明ではそれよりも低い8%/mを火災判定煙しきい値として設定することによって、火災検出感度を上げる。
一方、上述の火災・非火災判別条件に基づいて判別した結果、非火災と判別された場合は、警報遅延時間を45秒に設定し、火災判定煙しきい値を一般的な10%/mに設定し、煙濃度Csが10%/mまで上昇してから45秒経過後に火災警報を報知する。ただし、45秒経過する間に煙濃度Csが10%/m未満になったならば、タイマによる45秒のカウントをリセットし、再度45秒のカウントを開始する。一方、警報遅延時間45秒以内に煙濃度Csが22.5%/mになったときは、即時に火災警報を報知し、煙濃度Csが10%/m未満になったならば、警報解除する。
次に、上述のような火災・非火災判別条件の設定に基づいてマイコン2のCPU2aの制御により実行される火災警報器の火災検出処理の詳細な動作について、図15〜18に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図15において、まず、CPU2aは、電源投入後、第1の検出タイミング毎(たとえば、5秒毎)にCOセンサ3および煙センサ4のセンサ出力を読み込み(ステップS1)、次に、読み込んだCOセンサ3および煙センサ4のセンサ出力に基づき、それぞれCO濃度Ccoおよび煙濃度Csを求める換算演算処理を行う(ステップS2)。
次に、CPU2aは、求めた煙濃度Csが、予め設定された第1の設定煙濃度、たとえば2.5%を上回ったか否かを判定する(ステップS3)。煙濃度Csが2.5%/mを上回っていなければ(ステップS3のN)、次いでステップS3に戻り、上回っていれば(ステップS3のY)、次いで、煙濃度Csが2.5%/mから6%/mに達するまでの経過時間Tsのカウントを開始する(ステップS4:経過時間測定手段)。
次に、CPU2aは、検出タイミングを第1の検出タイミング(5秒毎)からそれにより短い第2の検出タイミング(たとえば、1秒毎)に変更し(ステップS5)、次いで、水蒸気判別用経過時間tiのカウントを開始する(ステップS6)。次に、CPU2aは、水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)および水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)を算出する(ステップS7)。水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)および水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)の算出は、検出タイミング1秒毎に計測された煙センサ4からのセンサ出力より換算された煙濃度Csの複数の実測データに基づいて、上述の算出方法により算出するものである。
次に、CPU2aは、水蒸気判別用経過時間tiのカウントが、予め設定された水蒸気判定期間、たとえば10秒、を上回っているか否かを判定する(ステップS8)。経過時間tiが10秒を上回っていなければ(ステップS8のN)、次いでステップS7に戻って水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)および水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)の算出を繰り返し、経過時間tiが10秒を上回っていれば(ステップS8のY)、次いで、CPU2aは、ステップS7で算出した水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)が予め設定された水蒸気判定用煙濃度傾きしきい値、たとえば0、を上回っているか否かを判定する(ステップS9)。
水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)が0を上回っていなければ(ステップS9のN)、次いでステップS3に戻り、上回っていれば(ステップS9のY)、次いで、CPU2aは、水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)が、予め設定された水蒸気判定用煙濃度差しきい値、たとえば2を上回っているか否かを判定する(ステップS10)。
水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)が2を上回っていれば(ステップS10のY)、次いでステップS3に戻り、2を上回っていなければ(ステップS10のN)、次に、CPU2aは、検出タイミングを第2の検出タイミング(1秒毎)から第1の検出タイミング(5秒毎)に戻す(ステップS11)。
次に、図16において、CPU2aは、煙濃度傾きGs、CO濃度傾きGcoおよび煙濃度差最大値|d|maxを算出する(ステップS12)。煙濃度傾きGsおよび煙濃度差最大値|d|maxの算出は、検出タイミング5秒毎に計測された煙センサ4からのセンサ出力により換算された煙濃度Csが2.5%/mから6%/mの間で連続的に変動する煙濃度Csの複数の実測データに基づいて上述の算出方法により算出するものである。また、CO濃度傾きGcoの算出は、5秒毎に計測された煙センサ4からのセンサ出力により換算された煙濃度Csが2.5%/mから6%/mの間で連続的に変動する複数の煙濃度Csの実測データと同時期に検出されたCO濃度の複数の実測データに基づいて上述の煙濃度の傾きGsの算出方法と同様の算出方法により算出するものである。なお、実測データが一度でも2.5%以下になった場合は、算出をキャンセルし、次に2.5%を上回った時点から再度、2.5%/mから6%/mの間で連続的に変動する複数の煙濃度Csの実測データを基にして算出が行われる。
次に、CPU2aは、煙濃度Csが予め設定された第2の設定煙濃度、たとえば6%/mを上回ったか否かを判定する(ステップS13)。煙濃度Csが6%/mを上回っていなければ(ステップS13のN)、次いでステップS12に戻り、上回っていれば(ステップS13のY)、次いで、CPU2aは、ステップS12で算出した煙濃度傾きGsが予め設定された煙濃度傾きしきい値、たとえば0.17を上回っているか否かを判定する(ステップS14:煙濃度傾き判定手段)。煙濃度傾きGsが0.17を上回っていれば(ステップS14のY)、次に、CPU2aは、|d|maxが、予め設定された煙濃度差しきい値、たとえば2、未満であるか否かを判定する(ステップS15:第1の煙濃度差判定手段)。
|d|maxが2未満であれば(ステップS15のY)、次に、CPU2aは火災と判別し(ステップS16:火災判別手段)、次いで火災判定処理を行う(ステップS17)。また、|d|maxが2未満でなければ(ステップS15のN)、CPU2aは非火災と判別し(ステップS23:非火災判別手段)、次いで非火災判定処理を行う(ステップS24)。
一方、ステップS14で、煙濃度傾きGsが0.17を上回っていなければ(ステップS14のN)、次に、CPU2aは、|d|maxが2未満であるか否かを判定する(ステップS18:第2の煙濃度差判定手段)。
|d|maxが2未満であれば(ステップS18のY)、次に、CPU2aは、煙濃度Csが2.5%/mから6%/mに達するまでの経過時間Tsのカウントが、予め設定された経過時間しきい値、たとえば100秒を上回っているか否かを判定する(ステップS19:経過時間判定手段)。経過時間Tsのカウントが100秒を上回っていれば(ステップS19のY)、次に、CPU2aは、ステップS12で算出されたCO濃度傾きGcoが、予め設定されたCO濃度傾きしきい値、たとえば0.4を上回っているか否かを判定する(ステップS20)。
CO濃度傾きGcoが0.4を上回っていれば(ステップS20のY)、次に、CPU2aは、くん焼火災と判別し(ステップS21)、次いでステップS17の火災判定処理に進む。CO濃度傾きGcoが0.4を上回っていなければ(ステップS20のN)、次に、CPU2aは、天ぷら火災と判別し(ステップS22)、次いでステップS17の火災判定処理に進む。
一方、ステップS18で、|d|maxが2未満でなければ、またはステップS19で、経過時間Tsが100秒を上回っていなければ、次いでステップS23に進み、非火災と判別し、次いでステップS24の非火災判定処理に進む。
以上のように、CPU2aは、ステップS6〜S10の処理において水蒸気が非火災によるものと判別した場合は、ステップS11以降に進まず、また、水蒸気が非火災によるものと判別しなかった場合は、ステップS11以降の処理に進んで火災・非火災を判別し、判別結果にしたがってステップS17の火災判定処理かステップS24の非火災判定処理を選択する。
次に、ステップS17の火災判定処理においては、図17のフローチャートに示すように、CPU2aは、まず、遅延時間T=0秒の設定を行い(ステップS171)、次に、煙濃度Csが、予め設定された第1の火災判定煙しきい値、8%/m(一般的な10%/mより低く設定)、を上回ったか否かを判定する(ステップS172)。
煙濃度Csが8%/mを上回っていれば(ステップS172のY)、次に、CPU2aは、火災発生を報知する警報を行う(ステップS173)。すなわち、CPU2aは、警報信号を生成して警報出力部5へ出力し、警報出力部5から警報音鳴動や警報表示等による警報を発する。また、必要に応じて外部出力部6は、火災発生を報知するための電文等を外部システムや保安センタ等へ送出する。
次に、CPU2aは、煙濃度Csが8%/mを下回ったか否かを判定する(ステップS174)。煙濃度Csが8%/mを下回っていなければ(ステップS174のN)、次いでステップS173に戻り、警報を継続する。煙濃度Csが8%/mを下回っていれば(ステップS174のY)、次に、CPU2aは、火災警報を解除し(ステップS175)、次いでステップS171に戻る。
一方、ステップS172で、煙濃度Csが8%/mを上回っていなければ(ステップS172のN)、次に、CPU2aは、煙濃度Csが2.5%/mを下回ったか否かを判定する(ステップS176)。煙濃度Csが2.5%/mを下回っていなければ(ステップS176のN)、次いでステップS172に戻り、煙濃度Csが2.5%/mを下回っていれば(ステップS176のY)、次いで図15のステップS3に戻る。
このように、ステップS17の火災判定処理においては、遅延時間T=0秒で煙濃度Csが8%/mを上回ったか否かを判定し、上回っていれば火災警報を発する。
次に、ステップS24の非火災判定処理においては、図18のフローチャートに示すように、CPU2aは、まず、遅延時間T=45秒の設定を行い遅延時間カウント用のタイマのカウントtを開始する(ステップS241)。次に、CPU2aは、煙濃度Csが予め設定された第2の火災判定煙しきい値、10%/m(一般的な値に設定)、を上回ったか否かを判定する(ステップS242)。
煙濃度Csが10%/mを上回っていれば(ステップS242のY)、次に、CPU2aは、タイマのカウントtがT=45秒以上になったか否かを判定する(ステップS243)。タイマのカウントtがT=45秒以上になっていれば(ステップS243のY)、次に、CPU2aは、火災発生を報知する警報を行う(ステップS244)。すなわち、CPU2aは、警報信号を生成して警報出力部5へ出力し、警報出力部5から警報音鳴動や警報表示等による警報を発する。また、必要に応じて外部出力部6は、火災発生を報知するための電文等を外部システムや保安センタ等へ送出する。
次に、CPU2aは、煙濃度Csが10%/mを下回ったか否かを判定する(ステップS245)。煙濃度Csが10%/mを下回っていなければ(ステップS245のN)、次いでステップS244に戻り、警報を継続する。煙濃度Csが10%/mを下回っていれば(ステップS245のY)、次に、CPU2aは、火災警報を解除し(ステップS246)、次いでステップS241に戻る。
一方、ステップS242で、煙濃度Csが10%/mを上回っていなければ(ステップS242のN)、次に、CPU2aは、煙濃度Csが2.5%/mを下回ったか否かを判定する(ステップS247)。煙濃度Csが2.5%/mを下回っていなければ(ステップS247のN)、次いでステップS242に戻り、煙濃度Csが2.5%/mを下回っていれば(ステップS247のY)、次いで図15のステップS3に戻る。
また、ステップS243で、タイマのカウントtがT=45秒以上になっていなければ(ステップS243のN)、次に、CPU2aは、煙濃度Csが10%/mを下回ったか否かを判定する(ステップS248)。煙濃度Csが10%/mを下回っていれば(ステップS248のY)、次いでステップS241に戻る。煙濃度Csが10%/mを下回っていなければ(ステップS248のN)、次に、CPU2aは、煙濃度Csが予め設定された第3の火災判定煙しきい値、たとえば22.5%/m、を上回ったか否かを判定する(ステップS249)。煙濃度Csが22.5%/mを上回っていれば(ステップS249のY)、ステップS244に進み、火災発生を報知する警報を行う。煙濃度Csが22.5%/mを上回っていなければ(ステップS249のN)、次いでステップS243に戻る。
このように、ステップS24の非火災判定処理においては、遅延時間T=45秒に設定し、遅延時間T=45秒経過前に煙濃度Csが10%/mを上回っていなければ、非火災と判定して火災警報を発しない。しかし、遅延時間T=45秒経過前に煙濃度Csが10%/mを上回っていた場合には、非火災ではなく火災と判定して火災警報を発し、また、遅延時間45秒経過前であっても煙濃度Csが22.5%/mを超えた場合は、即時に火災警報を発する。すなわち、図16のステップS23で非火災と判別してステップS24の非火災判定処理(図18)に進んだ場合でも、設定された遅延時間のように長い間煙濃度が10%/mを上回っていれば、実火災と判断して火災警報を発するのである。したがって、煙草のような一過性のCOおよび煙の発生に基づく非火災時の誤警報はもちろんのこと、調理時に発生するCOおよび煙の発生に基づく非火災時の誤警報も軽減されることになる。
以上の説明からも明らかなように、図15〜図18のフローチャートにおいて、ステップS12は請求項における算出手段に対応し、ステップS5は請求項における検出タイミング変更手段に対応し、ステップS7は請求項における水蒸気判定用算出手段に対応し、ステップS9は請求項における水蒸気判定用煙濃度傾き判定手段に対応し、ステップS10は、請求項における水蒸気判定用煙濃度差判定手段に対応する処理となっている。また、ステップS172は請求項における第1の火災判定手段に対応し、ステップS173は請求項における報知手段に対応する処理となっている。また、ステップS241は請求項における遅延時間設定手段に対応し、ステップS242は請求項における第2の火災判定手段に対応し、ステップS244は請求項における報知手段に対応し、ステップS249は請求項における第3の火災判定手段に対応する処理となっている。
このように、本発明によれば、水蒸気による誤動作を軽減して、火災と非火災とを有効に判別することができ、火災を確実に報知し、特に調理による誤警報を低減することができる。
以上の通り、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
たとえば、上述の実施の形態では、水蒸気判定用検出タイミングを1秒毎としているが、他の適宜な時間間隔に変更することができ、また、水蒸気判定期間を10秒としているが、他の適宜な期間(たとえば、通常の検出タイミング5秒の1サイクル分である5秒間等)に変更することができる。
本発明の実施の形態に係る火災・非火災判別装置を用いた火災警報器の構成を示すブロック図である。 調理実験結果を示す図である。 火災実験結果を示す図である。 調理実験用の一般住宅のキッチンを模した実験室を概略的に示す図である。 煙濃度傾きGsおよび煙濃度差最大値|d|maxの算出方法を説明するための図である。 調理実験「さんま×1、換気扇GT+R」の場合のセンサ位置Aの場合の、(a)煙濃度の実測値と、実測値から求めた一次式とを表すグラフ、および(b)実測値と一次式の濃度差を表すグラフである。 調理実験「さんま×1、換気扇GT+R」の場合のセンサ位置Bの場合の、(a)煙濃度の実測値と、実測値から求めた一次式とを表すグラフ、および(b)実測値と一次式の濃度差を表すグラフである。 調理実験「さんま×1、換気扇GT+R」の場合のセンサ位置Cの場合の、(a)煙濃度の実測値と、実測値から求めた一次式とを表すグラフ、および(b)実測値と一次式の濃度差を表すグラフである。 水蒸気発生実験結果を示す図である。 水蒸気発生実験の様子を概略的に示す図である。 水蒸気発生実験における検出タイミング1秒毎、高さ1100mmの場合の、(a)煙濃度Csの実測値と、実測値から求めた一次式とを表すグラフ、および(b)実測値と一次式の濃度差を表すグラフである。 水蒸気発生実験における検出タイミング1秒毎、高さ1200mmの場合の、(a)煙濃度Csの実測値と、実測値から求めた一次式とを表すグラフ、および(b)実測値と一次式の濃度差を表すグラフである。 水蒸気発生実験における検出タイミング1秒毎、高さ1300mmの場合の、(a)煙濃度Csの実測値と、実測値から求めた一次式とを表すグラフ、および(b)実測値と一次式の濃度差を表すグラフである。 水蒸気発生実験における検出タイミング1秒毎、高さ1500mmの場合の、(a)煙濃度Csの実測値と、実測値から求めた一次式とを表すグラフ、および(b)実測値と一次式の濃度差を表すグラフである。 図1の火災警報器の火災検出処理の詳細な動作を示すフローチャートである。 図1の火災警報器の火災検出処理の詳細な動作を示すフローチャートである。 図1の火災警報器の火災検出処理の詳細な動作を示すフローチャートである。 図1の火災警報器の火災検出処理の詳細な動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1 火災警報器
2 マイコン
2a CPU(算出手段、検出タイミング変更手段、水蒸気判定用算出手段、禁止手段、火災判別手段、非火災判別手段、第1の火災判定手段、第2の火災判定手段、第3の火災判定手段、遅延時間設定手段、報知手段の一部)
3 COセンサ
4 煙センサ
5 警報出力部(報知手段の一部)
7 記憶部

Claims (5)

  1. 煙センサで所定の検出タイミング毎に検出された煙濃度に基づいて火災・非火災の判別動作を行う火災・非火災判別装置において、
    前記煙センサで所定の検出タイミング毎に検出された煙濃度が第1の設定煙濃度を上回った時に、前記検出タイミングをそれより短い間隔の水蒸気判定用検出タイミングに変更する検出タイミング変更手段と、
    予め設定された水蒸気判定期間の間、前記検出タイミング変更手段で変更された前記水蒸気判定用検出タイミング毎に前記煙センサで検出された前記煙濃度の複数の実測データに基づいて、直線近似された水蒸気判定用一次式を算出すると共に、前記煙濃度の前記実測データと前記水蒸気判定用一次式で表される煙濃度値との差の最大値を水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)として算出する水蒸気判定用算出手段と、
    前記水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)が水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っているか否かを判定する水蒸気判定用煙濃度差判定手段とを備え、
    前記水蒸気判定用煙濃度差判定手段で、前記水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)が前記水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っていると判定された場合、前記火災・非火災の判別動作を行わず、前記水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っていると判定されなかった場合、前記火災・非火災の判別動作を行う
    ことを特徴とする火災・非火災判別装置。
  2. 請求項1記載の火災・非火災判別装置において、
    前記算出手段は、さらに、前記水蒸気判定用一次式の傾きを水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)として算出し、
    前記火災・非火災判別装置は、前記水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)が水蒸気判定用煙濃度傾きしきい値を上回っているか否かを判定する水蒸気判定用煙濃度傾き判定手段をさらに備え、
    前記水蒸気判定用煙濃度傾き判定手段で前記水蒸気判定用煙濃度傾きGs(v)が前記水蒸気判定用煙濃度傾きしきい値を上回っていると判定されない場合、前記火災・非火災の判別動作を行わず、前記水蒸気判定用煙濃度傾き判定手段で前記水蒸気判定用煙濃度傾きしきい値を上回っていると判定されかつ前記水蒸気判定用煙濃度差判定手段で前記水蒸気判定用煙濃度差最大値|d|max(v)が前記水蒸気判定用煙濃度差しきい値を上回っていると判定されなかった場合、前記火災・非火災の判別動作を行う
    ことを特徴とする火災・非火災判別装置。
  3. 請求項1または2に記載の火災・非火災判別装置を使用する火災警報器であって、
    前記火災・非火災判別装置で火災と判別された場合に、前記煙濃度が予め定められた第1の火災判定煙しきい値を上回ったか否かを判定する第1の火災判定手段と、
    前記第1の火災判定手段で前記煙濃度が前記第1の火災判定煙しきい値を上回ったと判定された場合、火災警報を報知する報知手段と、
    を備えていることを特徴とする火災警報器。
  4. 請求項1または2に記載の火災・非火災判別装置を使用する火災警報器であって、
    前記火災・非火災判別装置で非火災と判別された場合に、所定の遅延時間を設定する遅延時間設定手段と、
    前記遅延時間設定手段で設定された前記所定の遅延時間に渡って、前記煙濃度が前記第1の火災判定煙しきい値より予め高く設定された第2の火災判定煙しきい値を上回ったか否かを判定する第2の火災判定手段とをさらに備え、
    前記報知手段は、さらに、前記第2の火災判定手段で前記煙濃度が前記第2の火災判定煙しきい値を上回ったと判定された場合、火災警報を報知する
    ことを特徴とする火災警報器。
  5. 請求項4記載の火災警報器において、
    前記煙センサで所定の検出タイミング毎に検出された煙濃度が前記第2の火災判定煙しきい値より高く予め定められた第3の火災判定煙しきい値を上回ったか否かを判定する第3の火災判定手段をさらに備え、
    前記報知手段は、さらに、前記遅延時間設定手段で設定された前記所定の遅延時間経過中に、前記第3の火災判定手段で前記煙濃度が前記第3の火災判定煙しきい値を上回ったと判定された場合、即時に火災警報を報知する
    ことを特徴とする火災警報器。
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