JP4926331B2 - リサイクル熱可塑性樹脂設計装置およびリサイクル熱可塑性樹脂設計方法 - Google Patents

リサイクル熱可塑性樹脂設計装置およびリサイクル熱可塑性樹脂設計方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクル熱可塑性樹脂設計装置、リサイクル熱可塑性樹脂設計方法、コンピュータ読取可能な記録媒体およびコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂は、軽量で錆びることなく長持ちし、しかもいろんな形に成形できることから、フィルム、繊維、成形品などとして多種の用途に広く用いられている。とりわけ近年の情報化社会の進展で、軽量で機械的強度に優れる熱可塑性樹脂は、家電、各種機器などの内部部品、外装材料などに多用されている。
【0003】
しかし、熱可塑性樹脂の使用量が増えると共にその端材や廃棄物の処理が社会問題となってきており、熱可塑性樹脂を経済的にリサイクルする仕組みの構築が望まれている。
【0004】
特に、回収された樹脂を再び同じ用途で使用するクローズドリサイクルは、より付加価値が高く望ましい形態の1つである。
【0005】
現時点で実施されている熱可塑性樹脂のクローズドリサイクルの流れは、まず、使用済みの機器から回収された熱可塑性樹脂製部品(回収材)は、付着した汚れ、シール類を除去された後、破砕または粉砕され、樹脂メーカーに送られる。樹脂メーカーでは回収材と、新たな追加材料(バージン材料)とを混合して成型し、リサイクル熱可塑性樹脂として再び市場へ出荷される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したリサイクル処理は、回収材の種類とグレードを指定して回収した特定グレードから成る物性が均一の回収材であることを前提として行われているものであり、複数の異なるグレードから成る、物性が均一でない回収材に基づいてリサイクル熱可塑性樹脂の製造を行うことは困難である。
【0007】
例えば、種々のメーカーの種々のグレードが混在する特定種類の熱可塑性樹脂を回収し、原料として使用することを想定する。この場合、リサイクル樹脂メーカーが受け入れた回収材の物性は均一ではないため、一定の品質を有するリサイクル熱可塑性樹脂を製造するには、回収材毎に面倒な熱可塑性樹脂の配合処方の検討をしなければならない。ここで特定種類とは樹脂の主要な構成成分が同一であることを意味する。
【0008】
このような処理の煩雑さにより、リサイクル熱可塑性樹脂の製造に使用する回収材の対象を広げることができないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リサイクル熱可塑性樹脂の製造に使用する回収材の対象の拡大に対応可能な情報処理を行うリサイクル熱可塑性樹脂設計装置、リサイクル熱可塑性樹脂設計方法、コンピュータ読取可能な記録媒体およびコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂回収材を用いたリサイクル熱可塑性樹脂を設計するリサイクル熱可塑性樹脂設計装置であって、回収材の物性と、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂の物性とを入力する入力手段と、前記入力された回収材の物性とリサイクル熱可塑性樹脂の物性とに基づいて、前記回収材に追加する同種の追加材料の配合成分を求める計算手段とを備え、前記リサイクル熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂であり、前記入力された物性は、ロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかと、メルトフローレートとを含み、前記計算手段は、前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかに基づいて、前記追加材料中のゴム量を更に求めることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリサイクル熱可塑性樹脂設計装置において、前記入力された物性は、難燃剤の量を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項に記載の発明は請求項1または2に記載のリサイクル熱可塑性樹脂設計装置において、前記リサイクル熱可塑性樹脂中の回収材の量を表すリサイクル率を更に記憶する記憶手段を更に備え、前記計算手段は、前記記憶されたリサイクル率に基づいて、前記追加材料の配合成分を求めることを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、その実施態様1として、当該リサイクル熱可塑性樹脂設計装置において、前記難燃剤は、Br(臭素)、Sb(アンチモン)、Cl(塩素)およびP(リン)のいずれかを含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、その実施態様として、当該リサイクル熱可塑性樹脂設計装置において、前記計算手段は、前記入力された難燃剤の量に基づいて、前記追加材料中の難燃剤量を更に求めることを特徴とする。
【0019】
また、実施態様の発明は、その実施態様として、当該リサイクル熱可塑性樹脂設計装置において、前記計算手段は、前記求められた追加材料中の難燃剤量に基づいて、前記追加材料中に必要なゴム変性熱可塑性樹脂の配合成分を求めることを特徴とする。
【0020】
また、請求項1に記載の発明は、その実施態様として、当該リサイクル熱可塑性樹脂設計装置において、前記計算手段は、前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のメルトフローレートに基づいて、前記追加材料のマトリックス樹脂の配合比率を更に求めることを特徴とする。
【0021】
また、請求項に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のリサイクル熱可塑性樹脂設計装置において、前記回収材および前記リサイクル熱可塑性樹脂の物性の類似度を判断する判断手段を更に備えたことを特徴とする。
【0022】
また、請求項に記載の発明は、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂回収材を用いたリサイクル熱可塑性樹脂を設計するリサイクル熱可塑性樹脂設計方法であって、回収材の物性と、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂の物性とを入力し、前記入力された回収材の物性とリサイクル熱可塑性樹脂の物性とに基づいて、前記回収材に追加する同種の追加材料の配合成分を求めることを含み、前記リサイクル熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂であり、前記入力された物性は、ロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかと、メルトフローレートとを含み、前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかに基づいて、前記追加材料中のゴム量を求めることを更に含むことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のリサイクル熱可塑性樹脂設計方法において、前記入力された物性は、難燃剤の量を含むことを特徴とする。
【0023】
また、請求項に記載の発明は、その実施態様として、当該リサイクル熱可塑性樹脂設計方法において、更に、記憶手段に記憶されたリサイクル熱可塑性樹脂中の回収材の量を表すリサイクル率に基づいて、前記追加材料の配合成分を求めることを特徴とする。
【0028】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のリサイクル熱可塑性樹脂設計方法において、当該リサイクル熱可塑性樹脂設計方法において、前記入力された物性は、難燃剤の量を含むことを特徴とする。
【0029】
また、請求項6に記載の発明は、その実施態様として、当該のリサイクル熱可塑性樹脂設計方法において、前記難燃剤は、Br、Sb、ClおよびPのいずれかを含むことを特徴とする。
【0030】
また、請求項6に記載の発明は、その実施態様として、当該リサイクル熱可塑性樹脂設計方法において、更に、前記入力された難燃剤の量に基づいて、前記追加材料中の難燃剤量を求めることを特徴とする。
【0031】
また、実施態様の発明は、その実施態様として、当該リサイクル熱可塑性樹脂設計方法において、更に、前記求められた追加材料中の難燃剤量に基づいて、前記追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂の配合組成を求めることを特徴とする。
【0032】
また、請求項5に記載の発明は、その実施態様として、当該リサイクル熱可塑性樹脂設計方法において、更に、前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のメルトフローレートに基づいて、前記追加材料のマトリックス樹脂の配合比率を求めることを特徴とする。
【0033】
また、請求項に記載の発明は、その実施態様0として、当該リサイクル熱可塑性樹脂設計方法において、更に、前記回収材および前記リサイクル熱可塑性樹脂の物性の類似度を判断することを特徴とする。
【0034】
また、請求項に記載の発明は、少なくとも1種類の回収材を用いたリサイクル熱可塑性樹脂を設計するリサイクル熱可塑性樹脂設計プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記プログラムは、コンピュータに対して、回収材の物性と、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂の物性とを入力させ、前記入力された回収材の物性とリサイクル熱可塑性樹脂の物性とに基づいて、前記回収材に追加する追加材料の配合組成を求めさせ、前記リサイクル熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂であり、前記入力された物性は、ロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかと、メルトフローレートとを含み、前記プログラムは、前記コンピュータに対して、前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかに基づいて、前記追加材料中のゴム量を更に求めさせることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のコンピュータ読取可能な記録媒体において、前記入力された物性は、難燃剤の量を含むことを特徴とする。
【0035】
また、請求項に記載の発明は、少なくとも1種類の回収材を用いたリサイクル熱可塑性樹脂を設計するコンピュータ・プログラムであって、コンピュータに対して、回収材の物性と、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂の物性とを入力させ、前記入力された回収材の物性とリサイクル熱可塑性樹脂の物性とに基づいて、前記回収材に追加する追加材料の配合組成を求めさせ、前記リサイクル熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂であり、前記入力された物性は、ロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかと、メルトフローレートとを含み、前記コンピュータに対して、前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかに基づいて、前記追加材料中のゴム量を更に求めさせることを特徴とする。
更に、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のコンピュータ・プログラムにおいて、前記入力された物性は、難燃剤の量を含むことを特徴とする。
【0036】
上記においてリサイクルに供せられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体等のスチレン系重合体、、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリエチレン等のハロゲン含有ポリマー、6ナイロン、66ナイロンなどのポリアミド、ゴム変性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのゴム変性熱可塑性樹脂、その他にポリカーボネート、ポリサルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルサルホン、ポリアリールサルホン、ポリアミドイミドなどを挙げることができ、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系等の熱可塑性エラストマーなども適用することができる。更に、これらの樹脂のポリマーブレンドまたはポリマーアロイ、例えばポリカーボネート/ABSアロイ、ポリカーボネート/ポリスチレンアロイ、変性PPE、ポリブチレンテレフタレート/ABS樹脂アロイにも適応することができる。本発明の効果を良好に発揮しうる熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂、特にゴム変性スチレン系樹脂を含有する樹脂である。
【0037】
なお、本発明においてリサイクルする熱可塑性樹脂は、主たる構成成分が化学構造的に類似または同等とみなせる樹脂から構成されるが、必ずしも完全に同一である必要はない。例えば、80重量%以上、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上の構成成分が化学構造的に類似または同等であれば良い。
【0038】
熱可塑性樹脂の同一性を定量する手段としては、例えば赤外分光分析をを用いた成分分析を挙げることができ、高精度で選別することが可能である。
【0039】
これらの熱可塑性樹脂は、難燃剤を含むことができる。この難燃剤としては、リン系化合物、臭素系化合物を挙げることができる。
【0040】
難燃剤としてのリン系化合物としては非ハロゲン化合物が好ましく、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、芳香族縮合リン酸エステルなどが用いられる。
【0041】
また臭素系化合物としては、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAエポキシ、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAエチルエーテルオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ヘキサブロモフェノキシ)エタン、ヘキサブロモシクロデカンなどが用いられる。
【0042】
これらの難燃剤には三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどの難燃助剤を添加することができる。
【0043】
また熱可塑性樹脂の難燃特性向上のため、ドリッピング防止剤として塩素化ポリエチレン、テフロン樹脂なども使用されている。
【0044】
熱可塑性樹脂中のこれら難燃剤に由来する、例えばBr、Sb、ClまたはPを測定することで回収材料中に含まれる難燃剤の量を求めることができる。また、これら元素の定量には、蛍光X線を用いた分析方法を採用することが精度も良好で簡便であり好ましい。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、ゴム変性熱可塑性樹脂のリサイクル熱可塑性樹脂を設計する場合を例に挙げて、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0046】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のリサイクル熱可塑性樹脂設計装置のハードウェア構成の一例を示す。リサイクル熱可塑性樹脂設計装置100は、サーバ全体の制御を行う中央処理装置(CPU)101と、プログラムが格納されたROM102と、プログラムの実行に必要なデータを一時的に格納するRAM103とを備えており、これらはバス104を介して接続されている。
【0047】
バス104には、周辺装置を制御するための入出力インタフェース部105が接続されている。この入出力インタフェース部105には、通信装置106と、入力装置107と、表示装置108と、補助記憶装置109とが接続されている。
【0048】
通信装置106は、LANやインターネット等の通信ネットワークとの接続を行う機能を有する。入力装置107は、データの入力を行うキーボードや、カーソルの制御を行うマウス等のポインティングデバイスとして構成される。表示装置108は、CRT(Cathode-Ray Tube)あるいはLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイとして構成される。
【0049】
補助記憶装置109には、本発明に関わるリサイクル熱可塑性樹脂の設計に使用されるデータの集合、すなわちデータベースが記憶されている。なお、補助記憶装置109の具体的なハードウェア構成としては、例えばハードディスクが使用される。
【0050】
データベースには、特定の物性を有する回収材から、特定の物性を有するリサイクル製品を製造するために、物性の加成性の原則を利用して、物性を調整するために混合する追加材料の配合組成を求めるために関係式が記憶されている。本実施形態では、物性として、回収材またはリサイクル熱可塑性樹脂中の難燃剤の含有量、ロックウェル・ハードネス(Rh)およびメルトフローレート(MFR)が使用されるが、曲げ弾性率が使用されることもある。
【0051】
難燃剤の含有量は、回収材またはリサイクル熱可塑性樹脂中に含まれるBr、Sb、Cl、P等の元素の量をもって示す。これらの値は、蛍光X線を使用した定量分析により得られる実測値である。また、ロックウェル・ハードネスは、回収材またはリサイクル熱可塑性樹脂の硬度を示す。また、メルトフローレートとは、回収材またはリサイクル熱可塑性樹脂に熱を加えたときにどれぐらいの流動性を有するか、すなわちどの程度の熱可塑性を持つかを示す。また、曲げ弾性率は、回収材またはリサイクル熱可塑性樹脂の剛性を示す値である。
【0052】
本発明に関わるリサイクル熱可塑性樹脂設計装置100の諸機能は、ROM102に格納されたデータベース制御用プログラムを、CPU101が実行することにより達成される。なお、CPU101にプログラムコードを供給するための記録媒体はROMに限定されず、例えばハードディスクやCD−ROM、メモリカード等の媒体を使用することも可能である。また、本実施形態の動作を実行するためのプログラムコードを記録した記録媒体から、そのプログラムを通信ネットワークを介してリサイクル熱可塑性樹脂設計装置100に配信することとしてもよい。
【0053】
図2は、補助記憶装置109中のデータベースに登録されたデータの構成例を示す。
【0054】
データベース200には、難燃剤量検量線の式201、物性加成性の関係式202、物性に対する難燃剤添加量の関係式203、ロックウェル・ハードネスとゴム変性熱可塑性樹脂中のゴム量の関係式204、およびメルトフローレートとゴム変性熱可塑性樹脂中のマトリックス樹脂比率の関係式205が記憶されている。これらの式は、入力装置から入力されるリサイクル率を使用して計算される。
【0055】
ここで、ゴム変性熱可塑性樹脂としてアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)を例にとると、ゴム量とはABS樹脂中のブタジエン系ゴムの含量であり、マトリックス樹脂とはシアン化ビニル−芳香族ビニル共重合体(AS樹脂)を示す。また、リサイクル率とは、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂と回収材の比率を示す値である。
【0056】
以下、データベース200に記憶されている各関係式について説明する。以下の説明では、回収剤中の難燃剤量(実測値)をfr1、リサイクル熱可塑性樹脂の難燃剤量(目標値)をfr2、追加材料中の難燃剤量をfr3、リサイクル率をR、回収材のロックウェル・ハードネスおよびメルトフローレートの実測値をrh1およびmfr1、リサイクル熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよびメルトフローレートの目標値をrh2およびmfr2、追加材料のロックウェル・ハードネスおよびメルトフローレートの計算値をrh3およびmfr3、追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよびメルトフローレートの計算値をrh3_ABSおよびmfr3_ABSとする。
【0057】
難燃剤量検量線の式201は、ゴム変性熱可塑性樹脂中に含まれるBr、SbおよびCl等の難燃剤の量を表す式であり、
f(fr1,fr2,R)=fr3
と表される。リサイクル熱可塑性樹脂設計装置に蛍光X線を使用した回収材中の難燃剤量と、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂中の難燃剤量とが入力されると、この式に基づいて、追加材料の処方に必要な難燃剤の量が決定される。
【0058】
物性加成性の関係式202は、回収材とリサイクル熱可塑性樹脂の物性から追加材料に必要なゴム変性熱可塑性樹脂の物性を求める式であり、
g(rh1,mfr1,rh2,mfr2,R)=(rh3,mfr3
と表される。物性に対する難燃剤添加量の関係式hは、ゴム変性熱可塑性樹脂に難燃剤を添加した場合の物性の変化を表す式であり、
h(rh3,mfr3,fr3,R)=(rh3_ABS,mfr3_ABS
と表される。
【0059】
関係式iは、ゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスと、ゴム変性熱可塑性樹脂中のゴム量との関係を表す式であり、追加材料中のゴム量をgr3とすると、
i(rh3_ABS,R)=gr3
と表される。
【0060】
関係式jは、ゴム変性熱可塑性樹脂のメルトフローレートと、ゴム変性熱可塑性樹脂のマトリックス樹脂の比率との関係を表す式であり、追加材料中のマトリックス樹脂比率をas3とすると、
j(mfr3_ABS,R)=as3
と表される。
【0061】
これらの関係式は、回収材およびリサイクル熱可塑性樹脂の物性から求めることとしても良い。この場合、回収材の物性、回収材と混合する追加材料の物性、および生成されたリサイクル熱可塑性樹脂の物性の実測値を複数データベースに予め記憶しておく。そして、記憶された物性の値に基づいて、上述の関係式を求めて、データベースに記憶する。
【0062】
次に、図3のフローチャートを参照し、データベース制御プログラムにより実行されるリサイクル熱可塑性樹脂の設計の手順を示す。
【0063】
まず、入力装置から、蛍光X線を使用して測定された回収材中の難燃剤量、回収材のロックウェル・ハードネスおよびメルトフローレートの実測値rh1およびmfr1、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂中の難燃剤量fr2、ロックウェル・ハードネスおよびメルトフローレートの目標値rh2およびmfr2、およびリサイクル率Rを入力する(ステップS301)。
【0064】
次に、入力されたfr1およびfr2に式fを適用してfr3を算出し(ステップS302)、入力されたrh1、mfr1、rh2およびmfr2に式gを適用してrh3およびmfr3を算出する(ステップS303)。次に、ステップS302で算出されたfr3、およびステップS303で算出されたrh3およびmfr3に式hを適用し、rh3_ABSおよびmfr3_ABSを算出する(ステップS304)。
【0065】
次に、ステップS304において算出された追加材料のrh3_ABSに式iを適用して、gr3を算出し(ステップS305)、ステップS304において算出されたmfr3_ABSに式jを適用して、追加材料のマトリックス樹脂比率を決定する(ステップS306)。
【0066】
最後に、ステップS302において求められたfr3、ステップS305において求められたgr3、およびステップS306において求められたas3を出力し、RAMあるいは補助記憶装置に記憶する(ステップS307)。このように出力され記憶された値は、リサイクル熱可塑性樹脂設計における追加材料の処方を構成する。
【0067】
(第2実施形態)
上述した実施形態により、種々の物性を有する回収材を使用したリサイクル熱可塑性樹脂の設計が可能となる。しかしながら、回収材とリサイクル熱可塑性樹脂との物性がかけ離れている場合は設計の精度が低くなる。すなわち、追加材料の処方を算出することができても、実際にリサイクル熱可塑性樹脂を製造した場合の物性が目標とする物性(目標物性)から離れてしまう。そこで、計算の精度を高めるため、回収材とリサイクル熱可塑性樹脂の類似度を求めることとしても良い。
【0068】
本実施形態では、リサイクル熱可塑性樹脂の設計に使用するロックウェル・ハードネス等の物性をパラメータとして、ゴム変性熱可塑性樹脂の物性をベクトルで表現する。この物性ベクトルの内積を計算して、類似度を求める。以下、類似度の判断の具体的方法について説明する。なお、以下の説明では、上述のように表現されるベクトルを物性ベクトルという。
【0069】
図4は、回収材とリサイクル熱可塑性樹脂の物性の類似度を判断する方法の例を示す。図4に示す例では、パラメータとして、ロックウェル・ハードネス、メルトフローレート、および耐衝撃強度の一例としてIzodを使用している。また、ベクトルAは、リサイクル熱可塑性樹脂の目標物性の物性ベクトルを、ベクトルBは回収材の物性ベクトルであり、大きさはそれぞれaおよびbである。また、ベクトルAおよびベクトルBのなす角はθである。
【0070】
物性の類似度は、ベクトルの内積=abcosθによって求められる。また、回収材と目標物性との離れ具合は、
(回収材の物性ベクトルと目標物性ベクトルとの内積)/
(目標物性ベクトル同士の内積)=abcosθ/a2
により求められる。この式により求められた値が1から遠いほど、回収材の物性が目標物性から離れていることとなる。
【0071】
また、実際に製造されたリサイクル熱可塑性樹脂の物性と、リサイクル熱可塑性樹脂の目標物性とを使用して、目標物性の再現性の評価を行うことができる。この場合、実際に製造されたリサイクル熱可塑性樹脂の物性を測定し、第2実施形態と同様に物性ベクトルを計算する。目標物性の再現性は、
(リサイクル熱可塑性樹脂の物性ベクトルと目標物性のベクトルとの内積)/(目標物性ベクトル同士の内積)
により求めることができる。この式の値も上述と同様に、1から遠いほど回収材の物性が目標物性から離れていることとなる。
【0072】
このように類似度を求めることにより、目標物性に類似する回収材を選択使用して、リサイクル熱可塑性樹脂の設計および製造を行うこともできる。
【0073】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態のみに限定されることなく他の種々の態様でも実施することができることは言うまでもない。例えば、追加材料の処方を決めるための物性は、ロックウェル・ハードネス、メルトフローレート、曲げ弾性率および耐衝撃強度に限定されるものではない。
【0074】
また、回収材とリサイクル熱可塑性樹脂の物性の類似度の計算は、ベクトルの内積に限られず、例えば統計的手法を使用して算出することも可能である。
【0075】
また、上述の実施形態では、ゴム変性熱可塑性樹脂のリサイクル熱可塑性樹脂を設計する場合を例に挙げて説明したが、本発明は他のリサイクル熱可塑性樹脂を設計する場合にも適用可能であることはいうまでもない。
【0076】
本発明は、上述した実施の形態の機能を実施するコンピュータ・プログラムのプログラムコードをサーバまたはクライアントのコンピュータに供給し、そのコンピュータ内部のCPUがプログラムコードを読み出して実行することにより達成される。コンピュータ・プログラムに使用されるプログラミング言語としては、BASICやC言語等の高級言語、オブジェクト指向プログラミング言語、アセンブラ言語、機械語、HTML(HyperText Markup Language)等のマークアップランゲージその他の言語を使用できる。
【0077】
したがって、プロセッサは、コンピュータ・プログラムを記録媒体から受け取ることができる。コンピュータ・プログラムの命令を実体的に組み入れる記録媒体としては、例えばフラッシュメモリ素子などの半導体メモリ素子、ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、CD−R等の媒体を使用することができる。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂回収材を用いたリサイクル熱可塑性樹脂を設計するリサイクル熱可塑性樹脂設計装置であって、回収材の物性と、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂の物性とを入力する入力手段と、入力された回収材の物性とリサイクル熱可塑性樹脂の物性とに基づいて、回収材に追加する同種の追加材料の配合組成を求める計算手段とを備え、前記リサイクル熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂であり、前記入力された物性は、ロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかと、メルトフローレートとを含み、前記計算手段は、前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかに基づいて、前記追加材料中のゴム量を更に求めるので、物性の異なる回収材を用いたリサイクルを容易に行うことができる。
【0079】
また、回収材とリサイクル熱可塑性樹脂との物性の類似度を判断することにより、物性が類似する回収材を選択使用してリサイクル熱可塑性樹脂を製造することができる。結果として、リサイクル熱可塑性樹脂設計の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のリサイクル熱可塑性樹脂設計装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】データベースに登録されたデータの構成例を示す図である。
【図3】データベース制御プログラムにより実行されるリサイクル熱可塑性樹脂の設計の手順を示すフローチャートである。
【図4】回収材とリサイクル熱可塑性樹脂の物性の類似度を判断する方法の例を示す図である。
【符号の説明】
100 リサイクル熱可塑性樹脂設計装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 バス
105 入出力インタフェース部
106 通信装置
107 入力装置
108 表示装置
109 補助記憶装置
200 データベース

Claims (10)

  1. 少なくとも1種類の熱可塑性樹脂回収材を用いたリサイクル熱可塑性樹脂を設計するリサイクル熱可塑性樹脂設計装置であって、
    回収材の物性と、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂の物性とを入力する入力手段と、
    前記入力された回収材の物性とリサイクル熱可塑性樹脂の物性とに基づいて、前記回収材に追加する同種の追加材料の配合組成を求める計算手段と
    を備え、前記リサイクル熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂であり、前記入力された物性は、ロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかと、メルトフローレートとを含み、前記計算手段は、前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかに基づいて、前記追加材料中のゴム量を更に求めることを特徴とするリサイクル熱可塑性樹脂設計装置。
  2. 請求項1に記載のリサイクル熱可塑性樹脂設計装置において、前記入力された物性は、難燃剤の量を含むことを特徴とするリサイクル熱可塑性樹脂設計装置。
  3. 請求項1または2に記載のリサイクル熱可塑性樹脂設計装置において、前記リサイクル熱可塑性樹脂中の回収材の量を表すリサイクル率を記憶する記憶手段を更に備え、前記計算手段は、前記記憶されたリサイクル率に基づいて、前記追加材料の配合組成を求めることを特徴とするリサイクル熱可塑性樹脂設計装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のリサイクル熱可塑性樹脂設計装置において、前記回収材および前記リサイクル熱可塑性樹脂の物性の類似度を判断する判断手段を更に備えたことを特徴とするリサイクル熱可塑性樹脂設計装置。
  5. 少なくとも1種類の熱可塑性樹脂回収材を用いたリサイクル熱可塑性樹脂を設計するリサイクル熱可塑性樹脂設計方法であって、
    回収材の物性と、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂の物性とを入力し、
    前記入力された回収材の物性とリサイクル熱可塑性樹脂の物性とに基づいて、前記回収材に追加する同種の追加材料の配合組成を求めること
    を含み、前記リサイクル熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂であり、前記入力された物性は、ロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかと、メルトフローレートとを含み、
    前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかに基づいて、前記追加材料中のゴム量を求めることを更に含むことを特徴とするリサイクル熱可塑性樹脂設計方法。
  6. 請求項5に記載のリサイクル熱可塑性樹脂設計方法において、前記入力された物性は、難燃剤の量を含むことを特徴とするリサイクル熱可塑性樹脂設計方法。
  7. 少なくとも1種類の熱可塑性樹脂回収材を用いたリサイクル熱可塑性樹脂を設計するリサイクル熱可塑性樹脂設計プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記プログラムは、コンピュータに対して、
    回収材の物性と、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂の物性とを入力させ、
    前記入力された回収材の物性とリサイクル熱可塑性樹脂の物性とに基づいて、前記回収材に追加する同種の追加材料の配合組成を求めさせ
    前記リサイクル熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂であり、前記入力された物性は、ロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかと、メルトフローレートとを含み、
    前記プログラムは、前記コンピュータに対して、前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかに基づいて、前記追加材料中のゴム量を更に求めさせることを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。
  8. 請求項7に記載のコンピュータ読取可能な記録媒体において、前記入力された物性は、難燃剤の量を含むことを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。
  9. 少なくとも1種類の熱可塑性樹脂回収材を用いたリサイクル熱可塑性樹脂を設計するコンピュータ・プログラムであって、コンピュータに対して、
    回収材の物性と、目標とするリサイクル熱可塑性樹脂の物性とを入力させ、
    前記入力された回収材の物性とリサイクル熱可塑性樹脂の物性とに基づいて、前記回収材に追加する同種の追加材料の配合組成を求めさせ
    前記リサイクル熱可塑性樹脂は、ゴム変性熱可塑性樹脂であり、前記入力された物性は、ロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかと、メルトフローレートとを含み、
    前記コンピュータに対して、前記求められた追加材料中のゴム変性熱可塑性樹脂のロックウェル・ハードネスおよび曲げ弾性率のいずれかに基づいて、前記追加材料中のゴム量を更に求めさせることを特徴とするコンピュータ・プログラム。
  10. 請求項9に記載のコンピュータ・プログラムにおいて、前記入力された物性は、難燃剤の量を含むことを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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