JP4925971B2 - 高張力鋼板用タッピンねじ類の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高張力鋼板用タッピンねじ類の製造方法に関するものである。
自動車の製造・組立には安全性・耐久性・経済性等が考慮された上で様々な方式がとられているが、各種ねじを用いての締結方式が多用されている。その中で、鋼板同士や、鋼板と部品等を連結立する場合に多く用いられているのが鋼製鋼板用タッピン類(以降「タッピンねじ類」と称する)による締結方式である。これは鋼板にプレス等で専用下穴をあけ、タッピンねじ類の雌ねじ成形機能を利用して締結する方式である。
現在使用されている自動車鋼板用鋼製タッピンねじ類は、JISの冷間圧造用炭素鋼線(SWCH)の16A(C:0.13〜0.18wt%含有)・18A(C:0.15〜0.2wt%含有)が材料として用いられ、冷間圧造加工、平ダイス転造加工、熱処理(浸炭焼入・焼戻)、防錆処理の加工・処理を経て供されているのが一般的である。これらの工程の中でもタッピンねじ類の雌ねじ成形機能とねじとして締結機能を両立させるための浸炭焼入・焼戻し処理がポイントとされている。JISにはタッピンねじ類の機械的性質の規格が設けられ、表面硬度・芯部硬度・浸炭層深さ・ねじりトルクが規定されている。
この熱処理は低処理コスト、大量生産、安定品質等の為、連続ガス浸炭炉によって処理されるが、この処理による表面・芯部の硬度バラツキは最低でも30Hv(ビッカース硬度)あるため、表面硬度520〜570Hv程度に管理されたタッピンねじ類が供されている。
一方、タッピンねじ類の被締結物である鋼板についてみてみると、自動車業界では高張力鋼板(ハイテンションスチール=ハイテン材)の採用が進んでいる。採用理由としては、CO2削減という社会的ニーズへの対応として、安全性・経済性を考慮した上での車体重量軽減化の一方法として採用された。40kg/mm2(392N/mm2)の引張力に耐えられる鋼板(40kg級高張力鋼板)から150kg/mm2(1470N/mm2)の引張力に耐えられる鋼板(150kg級高張力鋼板)まで耐えられる引張り力によってクラス別けされ、自動車用鋼板として目的に応じて使い分けされている。参考として、表1に鋼板の種類とその硬さを示している。
Figure 0004925971
一般的に鋼板下穴へタッピンねじ類を締付け、信頼性のある締結状態にするためには、当然ながらタッピンねじ類表面硬度は鋼板硬度より高くなければ鋼板への雌ねじ成形が不可能になる。また鋼板下穴へタッピンねじ類を締付けする時、タッピンねじ類のねじ山と鋼板下穴との間に摩擦が生じ、摩擦熱により膨張する現象が発生する。その結果として、ねじ山のヘタリによるかじり、ねじ山坊主が発生して締結不能や不良が生じる。これらの事を防止する上で、鋼板硬度よりタッピンねじ類表面硬度が十分に高くなければならない。締付の安全性確保の面からは硬度差が300Hv以上ある方が良いとされている。
ここで問題となるのが、80kg級以上の高張力鋼板への現状タッピンねじ類を用いての締付けである。前述の様に80kg級高張力鋼板の最高硬度は320Hvであるので、安全性確保の見地よりみると、タッピンねじ類の表面硬度は620Hv程度必要であるということになる。しかし、現在供されているタッピンねじ類の表面硬度は、ねじの強度(靭性)面より最高硬度は570Hv程度である。このため、信頼性のある締付が保証できない場合が生ずる。最近使用が増加している100kg級高張力鋼板への締付けを考えると、現状の硬度を持つタッピンねじ類は使えない結果となってしまうのである。
現在供されているタッピン類の材料はSWCH16A・18Aである。これらの材料製のタッピンねじ類を連続ガス浸炭炉を用いて表面硬度600Hv以上にすることは可能であるが、両材のカーボン含有量から芯部硬度は400Hvを越え、硬くて脆いタッピンねじ類になる。つまり、ねじとしての強度(靭性)が低化し、タッピンねじ類として恐れる遅れ破壊発生比率が増大する結果となってしまう。逆に、16A・18Aのカーボン量以下の炭素鋼線を用いた場合は、連続ガス浸炭炉による浸炭焼入焼戻しの結果、タッピンねじ類の表面硬度600Hv以上の確保は可能であるが、芯部硬度は300Hv以上にはならない。そのため、タッピンねじ類のJIS機械的性質のねじりトルク規定を満足させることができない。つまりタッピンねじ類の締結中にねじ切れという現象をひきおこす確率立が高くなる。また、現在供されているタッピンねじ類を用いて高張力鋼板の下穴を大きくして、摩擦を少なくしての締結をすればタッピン機能と靭性の確保が可能であるが、この場合雌ねじとのひっかかり率が低下し、耐ゆるみ性能の低下を導くため勧められない。
尚、本出願人は、特許文献1に開示されるように、従来のものより優れた雌ねじ成形性と靭性とを共に備えたタッピンねじ類を提案しているが、100kg級以上の高張力鋼板用のタッピンねじ類としては、表面硬度が足らず、性能的に不十分である。
特開2001−247937号公報
80kg級以上の高張力鋼板に鋼製タッピンねじ類で締結しようとする場合は前述の問題を解決しなければならない。現状の問題点がタッピンねじ類用材料と熱処理(浸炭焼入・焼戻し)にあることはいうまでもない。材料については、タッピンねじ類を従来の加工法で製造する上で16A・18Aと同等かそれ以上の加工性を有する材料でなければならない。タッピンねじ類を浸炭焼入・焼戻しをして、その表面硬度が600〜900Hvまで上げられ、しかもどちらとも芯部硬度は450Hv以下となる必要がある。つまり、高強度・高靭性で遅れ破壊に強い成分設計がなされた材料であり、現状の16A・18Aに近い材料価格で供給できる材料でなければならい。これらの条件を満たした冷間圧造用炭素鋼線(SWCH)が必要となるが、現状のJISのSWCHには見当たらない。
また、熱処理については、タッピンねじ類の雌ねじ形成機能とねじ強度(靭性)を両立させる上で表面硬化法、表面強化法があるが、大量消費されるタッピンねじ類は低処理コスト、大量生産、安定品質が求められているため、現状の設備である連続ガス浸炭炉による処理が最善と思われるが、そのままでは表面硬度が高くならない。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、SWCH16A・18Aに近い材料価格で供給できる材料で、冷間圧造によるねじ成形の加工性に優れた材料を用い、従来の連続ガス浸炭炉による処理条件を工夫して高硬度・高強度を実現できることにより、80kg級以上の高張力鋼板に対しても良好に使用することができる高張力鋼板用タッピンねじ類の製造方法を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、C:0.05〜0.20wt%、Si:0.20wt%以下、Mn:0.5〜1.8wt%、P:0.015wt%以下、S:0.015wt%以下、Al:0.02〜0.08wt%、N:0.0060wt%以下とCr:0.95wt%以下、Mo:0.30wt%以下、B:0.0005〜0.0050wt%のうち少なくとも1種、及び/またはTi:0.005〜0.050wt%、Nb:0.005〜0.050wt%、V:0.005〜0.050wt%、Ni:0.05〜0.20wt%、Cu:0.05〜0.20wt%のうち少なくとも1種を含有し、残部、鉄及び不可避的不純物からなる鋼材料を用い、熱間圧延した所定径のねじ素材を、冷間鍛造、転造加工を経てねじ形状に成形し、浸炭窒化焼入れ・焼戻し処理を施して、表面硬さが600〜900Hv、芯部硬さが300〜450Hv、硬化層深さ0.05〜0.7mm、引張り強さ700〜1500N/mm2を有し、引張り強さが80kg級〜150kg級の高張力鋼板用のタッピンねじ類の製造方法であって、前記浸炭窒化焼入れ処理が、炉内雰囲気ガス量に対してNH3を1.0〜3.0%(但し、2.0%以下は除く)添加した連続ガス浸炭炉による処理であり、前記焼戻し処理が、温度100〜400℃で焼き戻す処理であり、80kg級高張力鋼板用では表面硬さを600〜670Hv、100kg級高張力鋼板用では表面硬さを630〜700Hv、130kg級高張力鋼板用では表面硬さを670〜730Hv、150kg級高張力鋼板用では表面硬さを740〜830Hvに設定したことを特徴とする高張力鋼板用のタッピンねじ類の製造方法を構成した。
以上にしてなる本発明の高張力鋼板用タッピンねじ類の製造方法によれば、引張り強さが80kg級〜150kg級の高張力鋼板用として、高い引張り応力と剪断応力を備えるタッピンねじ類を提供することができる。特に、本発明のタッピンねじ類は、表面硬度を従来にも増して高くしているので、高張力鋼板の下穴に対する雌ねじ成形性に優れ、しかも芯部硬さを抑えているので、靭性に優れていて大きな締結性と耐久性を備えている。更に、本発明のタッピンねじ類は、高張力鋼板に対しても、かじりや頭飛びがなく、また遅れ破壊も大幅に改善されている。従来にない新素材採用と新熱処理法の採用により80kg級〜150kg級の高張力鋼板用タッピンねじ類として高硬度・高強度(靭性)を備えた高品質のものを、低価格で大量に供給することができるようになった。
次に、本発明を更に詳細に説明する。本発明で使用する鋼材料は、前述の特許文献1に記載された新鋼種の鋼材料(SWCH10AM)を改良したものである。即ち、前記鋼材料は、C:0.05〜0.20wt%、Si:0.20wt%以下、Mn:0.5〜1.8wt%、P:0.015wt%以下、S:0.015wt%以下、Al:0.02〜0.08wt%、N:0.0060wt%以下と、Cr:0.95wt%以下、Mo:0.30wt%以下、B:0.0005〜0.0050wt%のうち少なくとも1種、及び/またはTi:0.005〜0.050wt%、Nb:0.005〜0.050wt%、V:0.005〜0.050wt%、Ni:0.05〜0.20wt%、Cu:0.05〜0.20wt%のうち少なくとも1種を含有し、残部、鉄及び不可避的不純物からなるものである。
この鋼材料は、16A・18Aより、C含有量が少なく、Mn含有量が多く、P及びS含有量が少ないといった特徴を有している。更に、焼入性、靭性向上元素、結晶粒微細化元素の添加した特徴を有している。それにより、水素脆性破壊や粒界脆化破壊の低減化を図っている。この鋼材料は、JIS以外の新鋼種である。材料価格としては16A・18Aよりも現在は若干割高である。
SWCH10AM材を用いる条件で、引張り強さが80kg級〜150kg級の高張力鋼板用タッピンねじ類に、高表面硬度と高強度(靭性)を両立させる新熱処理法の浸炭焼入・焼戻しを施した。この熱処理法として浸炭窒化焼入れ・焼戻し処理法を採用し、焼入用炉内雰囲気ガスについて表面硬度を上げるため、炉内雰囲気ガスのRXガス量に対しNH3を1.0〜3.0%添加し、またその焼入温度と時間、戻し温度についても靭性を考慮した温度、時間に設定した。ここで、前記連続ガス浸炭炉におけるNH3濃度を1.5〜2.5%としてなることがより好ましい。また、浸炭窒化焼入れ後の焼戻し温度を100〜400℃で行った。
前述の浸炭窒化焼入れ・焼戻し処理法により、高張力鋼の表面硬度を所望の値に高めることができ、また鋼板の引張強度別に細かな表面硬度の設定ができ、その上、芯部硬度は全て300〜450Hvに抑制することができる。これらは既存設備の連続ガス浸炭炉を使用して処理でき、その処理条件を工夫するだけで、大量生産、低処理コスト、高品質のタッピンねじ類を製造することが可能であるので、工業的な意味での利点は大きいのである。
このように、連続ガス浸炭炉を使用して、浸炭窒化焼入れ・焼戻し処理を行うことで、低コスト・高品質の熱処理ができ、そして相手材に合った高い表面硬さを付与して耐摩耗性を高めるとともに、芯部硬さを300〜450Hvに抑えて頭飛びが発生しないようにできるのである。表2に高張力鋼板の種類毎にタッピンねじ類として要求される表面硬さと芯部硬さの関係を示している。本発明は、この表2に示した表面硬さと芯部硬さを備えたタッピンねじ類を提供するのである。
Figure 0004925971
本発明のタッピンねじ類は、前述の鋼材料をねじ形状に成形し、浸炭窒化焼入れ・焼戻し処理を施して、表面硬さが600〜900Hv、芯部硬さが300〜450Hv、硬化層深さ0.05〜0.7mm、引張り強さ700〜1500N/mm2を有するものである。更に好ましくは、芯部硬さは400〜450Hvである。この範囲の芯部硬さを有するタッピンねじ類は現在提供されてないのである。
ここで、100kg級の高張力鋼板に本発明のタッピンねじ類を用いた試験を行った結果、ねじ込み性、遅れ破壊に対する耐久性は共に良好であり、高い靭性を有していることも確認している。また、150kg級の高張力鋼板については、遅れ破壊試験(冷凍室での保持低温脆化)によるタッピンねじ類の破損状況を調べ、異常がないことを確認している。
以下に本発明に関わる高張力鋼板用タッピンねじ類の鋼材料について限定理由を述べる。
(1)C:0.05〜0.20wt%
Cは鋼の強度を確保するのに重要な元素であり、0.05wt%未満では所望の強度を得ることができず、浸炭硬化性も低下する。一方、0.20wt%を超えるとねじ芯部の硬度が高くなりすぎて、鋼の靱性が低下する。従って、C含有量を0.05〜0.20wt%の範囲内に限定する。
(2)Si:0.20wt%以下
Siは脱酸材として重要な作用をするので、製鋼段階においては必ず添加するが、鋼材段階まで残存しなくてもよく、Siは変形抵抗を増大させ、冷間加工性を低下させる。しかし、本発明においてはC含有率を低目に抑えているので、0.20wt%までは添加しても冷間加工性の低下は小さい。一方、Siは焼入れ性を高めることもできるのでSi含有量を0.20wt%以下にする。
(3)Mn:0.5〜1.8wt%
Mnは鋼の焼入れ性を高め、焼入れ後の組織を微細にすると共に、組織内のマルテンサイトの割合を高め、靱性を確保するのに重要な元素である。この目的のためにはMnは0.5wt%以上の添加を必要とする。一方、ねじは比較的寸法が小さいので上限が1.8wt%までの添加で十分焼入れ性は確保できる。従って、Mn含有量を0.5〜1.8wt%の範囲内に限定する。
(4)P:0.015wt%以下
Pはオーステナイト粒界に偏析して、粒界強度を弱める。また、フェライト内に固溶して鋼の変形能を低下させる。このように、Pは本発明において不純物元素であるので、その含有量を0.015wt%以下とする。
(5)S:0.015wt%以下
SはMnSを形成して鋼の変形能を低下させる。また、MnSは亀裂発生の起点となる。このように、Sは本発明において不純物元素であるので、その含有量を0.015wt%以下とする.
(6)sol.Al:0.020〜0.080wt%
Alは脱酸材として必要な元素であるばかりでなく、粒界に偏析するNをAlNとして固定して粒界強度を高める作用を有する。Alによるこのような効果を発揮させるためには、sol.Al(酸可溶Al)として0.020wt%以上の量が必要である。しかしながら、sol.Alが0.080wt%を超えると、鋳片の連続鋳造時にAl23の凝集体を形成してノズル詰まりの原因となり、鋳造作業を困難にする。従って、sol.Al含有量を0.020〜0.080wt%の範囲内に限定する。
(7)N:0.0060wt%以下
Nはねじ加工時に歪み時効硬化を起こして鋼の冷間加工性を低下させ、工具の寿命も低下させる。このように、Nは本発明において不純物元素であるので、その含有量を0.0060wt%以下とする。
(8)Ti:0.005〜0.050wt%
Tiは結晶粒の微細化効果を有する。しかしながら、0.005wt%未満ではその効果が小さく、またNをTiNとして固定する効果も小さい。ところが、0.050wt%を超えて添加しても、これらの効果は飽和するのみならず、Tiが高すぎると、硬質のTiN、TiCが多数形成し、加工性が低下する他、合金コストもかかる。従って、Ti含有量を0.005〜0.050wt%の範囲内に限定する。
(9)Cr:0.95wt%以下
Crは、焼入性を高め、強度を確保するのに有用な元素である。但し、多量に添加し過ぎると冷間圧造性に悪影響を与えもので上限は0.95wt%に設定する。
(10)Mo:0.30wt%以下
MoはPの粒界への偏析を防止し、粒界強度を高め、焼入性を向上させる有用な元素である。しかし、多量に添加するとCr同様に冷間圧造性を阻害し、また、Moは高価な元素なので上限を0.30wt%とする。
(11)B:0.0005〜0.0050wt%
Bは微量の添加で焼入れ性を向上させる作用を有する。また、BNを形成してNの粒界偏析を防止する。Bの添加によってMnやCr、Mo含有量を低減することができ、鋼の冷間加工性を更に向上させることができる。Bによるこのような効果を発揮させるためには0.0005wt%以上添加する必要がある。しかしながら、0.0050wt%を超えて添加するとボロンセメンタイトを析出して粒界強度を弱める。従って、B含有量を0.0005〜0,0050wt%の範囲内に限定する。
(12)Nb:0.005〜0.050wt%
NbもTiと同様、結晶粒の微細化効果を有する。そして、Tiと同様の理由によりNb含有量も0.005〜0.050wt%の範囲に限定する。
(13)V:0.005〜0.050wt%
Vをごく少量添加することで、結晶粒がより細かい金属構造ができるため、靭性を損なわないで強度や硬度を増すことができるほか、機械的性質や耐熱性なども向上する。そして、Tiと同様の理由によりV含有量も0.005〜0.050wt%の範囲に限定する。
(14)Ni:0.05〜0.20wt%
ステンレス鋼にも用いられているように、耐食性を高め、熱膨張率を下げる作用を有し、靭性も向上する。Ni含有量は0.05〜0.20wt%とすることが好ましい。
(15)Cu:0.05〜0.20wt%
Cuは靭性を高める作用を有している。Cuの含有量は0.05〜0.20wt%とすることが好ましい。
(16)表面のビッカース硬さHv:600〜900
所望のボルト強度および高張力鋼板に雌ねじを成形する上で、ビッカース硬さHvで600未満では先端が欠けたり、折れたりして雌ねじ成形が不可能になる。一方Hvで900を超えると脆くなり、切欠き効果が高まり亀裂発生を促進させる。従って、ねじ表面の硬さをHv:600〜900とする。
(17)芯部のビッカース硬さHv:300〜450
表面硬さ同様、所望のボルト強度を得るため必要とする。Hv300未満では所望のボルト強度が得られない。一方Hvで450を越えると靭性が低下し亀裂進展しやすくなる。従って、ねじ芯部の硬さをHv:300〜450とする。
(18)焼戻し温度:100〜400℃
焼戻し温度はボルトとしての最終的な性能(表面・芯部硬さ)と密接に関係しており、低いと硬くなり過ぎ、高いと所望の強度が得られないので100〜400℃の範囲とする。
(19)有効硬化層深さ:0.05〜0.70mm
高張力鋼板に雌ねじを成形する上で表面に所望の硬さを必要とするが、その硬化深さが浅すぎる雌ねじ成形性に劣り、深すぎると芯部の靭性が低下し亀裂進展が促進されるために0.05〜0.70mmの範囲とする。因みに、M4の量産品では硬化深さは約0.3mmである。
〔ねじ加工〕
本発明の高強度ねじの成形方法は、従来から公知の方法である。つまり、前述のねじ素材を線材とし、冷間鍛造、転造加工を経てねじ形状に成形するのである。つまり、線材の端部をヘッダ加工して頭部を形成するとともに、所定長さに切断してねじ部を転造加工によって成形するのである。

Claims (1)

  1. C:0.05〜0.20wt%、Si:0.20wt%以下、Mn:0.5〜1.8wt%、P:0.015wt%以下、S:0.015wt%以下、Al:0.02〜0.08wt%、N:0.0060wt%以下とCr:0.95wt%以下、Mo:0.30wt%以下、B:0.0005〜0.0050wt%のうち少なくとも1種、及び/またはTi:0.005〜0.050wt%、Nb:0.005〜0.050wt%、V:0.005〜0.050wt%、Ni:0.05〜0.20wt%、Cu:0.05〜0.20wt%のうち少なくとも1種を含有し、残部、鉄及び不可避的不純物からなる鋼材料を用い、熱間圧延した所定径のねじ素材を、冷間鍛造、転造加工を経てねじ形状に成形し、浸炭窒化焼入れ・焼戻し処理を施して、表面硬さが600〜900Hv、芯部硬さが300〜450Hv、硬化層深さ0.05〜0.7mm、引張り強さ700〜1500N/mm2を有し、引張り強さが80kg級〜150kg級の高張力鋼板用のタッピンねじ類の製造方法であって、前記浸炭窒化焼入れ処理が、炉内雰囲気ガス量に対してNH3を1.0〜3.0%(但し、2.0%以下は除く)添加した連続ガス浸炭炉による処理であり、前記焼戻し処理が、温度100〜400℃で焼き戻す処理であり、80kg級高張力鋼板用では表面硬さを600〜670Hv、100kg級高張力鋼板用では表面硬さを630〜700Hv、130kg級高張力鋼板用では表面硬さを670〜730Hv、150kg級高張力鋼板用では表面硬さを740〜830Hvに設定したことを特徴とする高張力鋼板用のタッピンねじ類の製造方法。
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