以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
まず、図1は、本発明を適用した燃料残量測定装置を備え付けた発電装置の基本構成を示したブロック図である。ここで、図1(a)は燃料改質式の発電装置のブロック図であり、図1(b)は直接燃料式の発電装置のブロック図であり、何れの発電装置にも本発明を適用することができる。
図1に示すように、何れの発電装置も、液体燃料99(図5等に図示)を貯留する燃料貯留モジュール1と、燃料貯留モジュール1に貯留された燃料99から電気エネルギを生成する発電モジュール91と、を具備し、燃料貯留モジュール1は発電モジュール91に対して着脱自在とされている。ここでいう着脱とは燃料99を流れる燃料貯留モジュール1の流路と発電モジュール91の流路とが連結、脱離自在であることを意味している。また、この発電装置には、燃料貯留モジュール1と発電モジュール91の他に、燃料貯留モジュール1を発電モジュール91に着脱自在に取り付けるための取付構造と、燃料貯留モジュール1に残留した燃料99の残量を測定する燃料残量測定装置と、が備え付けられている。
燃料99は、液状の化学燃料と水の混合液であり、化学燃料としてはメタノール、エタノール等のアルコール類やジエチルエーテル、ガソリンといった水素元素を含む化合物が適用可能である。本実施形態では、燃料99としてメタノールと水の混合液を用いる。
図1(a)に示すように、燃料改質式発電装置においては、発電モジュール91が、気化器92と、改質器93と、一酸化炭素除去器94と、燃料電池95と、を具備する。気化器92、改質器93、一酸化炭素除去器94及び燃料電池95はいずれもマイクロリアクタと呼ばれる微小の化学反応炉であり、内部に燃料99又は燃料99によって改質された生成物で構成された流体を導入する流路とこの流路内の化学反応を促進するための熱を発生させるための加熱手段が形成されている。
燃料貯留モジュール1に貯留された燃料99は、まず気化器92に供給される。気化器92では、供給された燃料99が加熱されて気化(蒸発)し、メタノール及び水(水蒸気)の混合気となる。気化器92において生成された混合気は改質器93に供給される。
改質器93では、気化器92で気化した燃料99から水素及び二酸化炭素が生成される。具体的には、化学反応式(1)のように、気化器92で混合気とされたメタノールと水蒸気が触媒により反応して二酸化炭素及び水素が生成される。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 … (1)
改質器93では、気化器92で混合気とされたメタノールと水蒸気が完全に二酸化炭素及び水素に改質されない場合もあり、この場合、化学反応式(2)のように、メタノールと水蒸気が反応して二酸化炭素及び一酸化炭素が生成される。
2CH3OH+H2O→5H2+CO+CO2 … (2)
改質器93で生成された混合気は一酸化炭素除去器94に供給される。
一酸化炭素除去器94では、改質器93から供給された混合気に含まれる一酸化炭素を選択的に酸化させて混合気中から一酸化炭素が除去される。具体的には、改質器93から供給された混合気のなかから特異的に選択された一酸化炭素と、取り込んだ空気中の酸素とが触媒により反応して二酸化炭素が生成される。
2CO+O2→2CO2 … (3)
一酸化炭素除去器94から混合気が燃料電池95の燃料極に供給される。
燃料電池95の燃料極では、電気化学反応式(4)に示すように、一酸化炭素除去器94から供給された混合気のうち水素ガスを、燃料極の触媒の作用を受けて水素イオンと電子とに分離する。水素イオンはイオン伝導膜を通じて空気極に伝導し、電子は燃料極により取り出される。
3H2→6H++6e- … (4)
燃料電池95の空気極には、空気が取り込まれて供給される。そして、電気化学反応式(5)に示すように、空気中の酸素と、イオン伝導膜を通過した水素イオンと、燃料極により取り出された電子とが反応して水が副生成物として生成される。
6H++3/2O2+6e-→3H2O … (5)
以上のように、燃料電池95で上記(4)、(5)に示す電気化学反応が起こることにより電気エネルギが生成される。生成された副生成物としての水、二酸化炭素、空気等の混合気は燃料貯留モジュール1に排出される。以上のような燃料99や生成物の流れを起こしているものは、後述するポンプ80である。
図1(b)に示すように、直接燃料式発電装置においては、発電モジュール91が、気化器96と、燃料電池97と、を具備する。
燃料貯留モジュール1から気化器96に供給された燃料99は、気化器96において気化されて、メタノール及び水蒸気の混合気となる。気化器96において生成された混合気は燃料電池97の燃料極に供給される。
燃料電池97の燃料極では、電気化学反応式(6)に示すように、気化器96から供給された混合気を、燃料極の触媒の作用を受けて水素イオンと電子と二酸化炭素に分離する。水素イオンはイオン伝導膜を通じて空気極に伝導し、電子は燃料極により取り出される。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- … (6)
燃料電池97の空気極には、空気が取り込まれて供給される。そして、電気化学反応式(7)に示すように、空気中の酸素と、イオン伝導膜を通過した水素イオンと、燃料極により取り出された電子とが反応して水が副生成物として生成される。
6H++3/2O2+6e-→3H2O … (7)
以上のように、燃料電池97で上記(6)、(7)に示す電気化学反応が起こることにより電気エネルギが生成される。生成された副生成物としての水、二酸化炭素、空気等の混合気は燃料貯留モジュール1に排出される。以上のような燃料99や生成物の流れを起こしているものは、後述するポンプ80である。
なお、この発電装置を携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistance)、電子手帳等の電子機器に適用した場合、電子機器本体に発電モジュール91が備え付けられることになり、電子機器本体に対して燃料貯留モジュール1が着脱自在となり、発電モジュール91で生成された電気エネルギにより電子機器が動作することになる。発電モジュール91で生じる電気エネルギは電子機器の要求に応じて出力できるように、燃料電池95或いは燃料電池97で精製された電気エネルギを充電し電子機器に出力する充電部があることが好ましい。この場合、充電部は電子機器への出力又は内部での電力消費によって充電量が減衰した場合、それを補償する量の電気エネルギを発電するように発電モジュール91内の制御回路がポンプ80を動作するように制御信号を出力する。
次に、図2〜図5を用いて燃料貯留モジュール1について説明する。
図2は燃料貯留モジュール1を示した斜視図であり、図3はこの燃料貯留モジュール1の分解斜視図であり、図4は燃料貯留モジュール1の横断面図であり、図5は燃料貯留モジュール1の縦断面図である。なお、図4では、燃料貯留モジュール1に貯留された燃料99の図示を省略する。
燃料貯留モジュール1は容器2を具備し、この容器2に種々の部材が取り付けられることで燃料貯留モジュール1が構成されている。この容器2は、内部空間を有するとともに略矩形板状の外形を呈した容器本体3と、容器本体3の前端部に取り付けられた前蓋部材4と、容器本体3の後端部に取り付けられた後ろ蓋部材5と、から構成されている。
図4に示すように、容器本体3の内部空間は、前後に長尺な五つの液室31,31,…と、前後に長尺な一つの加圧流路32とに仕切られている。つまり、容器本体3の内部には、前後方向に延在する五つの隔壁33が形成されており、これら隔壁33が互いに離れて平行に配列されることによって、容器本体3の内部空間が五つの液室31,31,…と一つの加圧流路32とに仕切られている。これら隔壁33,33,…の前後の長さは容器本体3の前後の長さよりも短く、これら隔壁33,33,…は容器本体3の前端面37から容器本体3の後端よりもやや前側にまで延在している。従って、図3に示すように、これら液室31,31,…及び加圧流路32が隔壁33の後端部33a、33a…で開口しており、容器本体3の後端面に開口する開口部36が液室31,31,…及び加圧流路32に通じている。液室31,31,…は複数あれば、5つに限らない。
これら液室31,31,…の前後の長さは全て等しい。また、各液室31は、前後方向に直角な面で破断した場合の断面積が前端側から後端側にかけて一定となっており、略円柱状の空間となっている。燃料残量測定装置で燃料99の残量を測定するために、前後方向に直角な面で破断した場合の液室31,31,…の断面積は、次の(A)、(B)又は(C)の何れかのようになっている。
(A):全ての液室31,31,…の容積が等しい或いは全ての液室31,31,…の断面積が等しい。
(B):最も右側(図15(a)〜(c)の上側)に配置されている液室31の断面積が最も大きくひいては最も液室31内の容積が大きく、左側(図15(a)〜(c)の下側)になるにつれて液室31の断面積ひいては液室31内の容積が小さくなり、最も左側に配置されている液室31の断面積が最も小さく、ひいては液室31内の容積が最も小さい。
(C):最も左側(図15(a)〜(c)の下側)に配置されている液室31の断面積が最も大きくひいては最も液室31内の容積が大きく、右側(図15(a)〜(c)の上側)になるにつれて液室31の断面積が小さくなりひいては液室31内の容積が小さくなり、最も右側に配置されている液室31の断面積が最も小さい。
図2〜図5に示すように、容器本体3の後端部には、液室31,31,…及び加圧流路32から所定の間隔を置いてこの後端部を覆う後ろ蓋部材5が取り付けられている。後ろ蓋部材5は、図3に示すように、被覆部51と、嵌合部52とから構成されている。被覆部51は、容器本体3の後端面を覆うものであり、その後端面と同形状且つ同じ大きさに形成されている。嵌合部52は、容器本体3の後端面に開口する開口部36に嵌合するものであり、被覆部51に立設されている。また、嵌合部52は、容器本体3に向かった側に開口するように形成されている。
このような後ろ蓋部材5は、その嵌合部52にシール材53を嵌め込んでそのシール材53を被覆部51に当接させ、更にその嵌合部52を容器本体3の後端面から開口部36に嵌合したうえで、被覆部51と容器本体3の後端面との間にシール材53を挟持することによって、容器本体3の後端面に取り付けられている。シール材53はゴム等の柔軟性のある部材からなり、容器本体3と蓋部材5との隙間を埋め、液室31,31,…内の燃料が容器本体3と蓋部材5との間から漏洩することを防止する。後ろ蓋部材5が容器本体3の後端面に取り付けられることで開口部36が後ろ蓋部材5の被覆部51によって覆われ、嵌合部52が容器本体3に向かった側に開口し、図4に示すようにその開口部36には圧力調整室38が形成されている。液室31,31,…及び加圧流路32がその後端で圧力調整室38に開口しているので、これら液室31,31,…及び加圧流路32が圧力調整室38に通じている。
後ろ蓋部材5の被覆部51には、圧力調整室38から外部にまで通じる排出口54が形成されている。図6は、図4に示された排出口54の周辺の領域Aの拡大図である。図6に示すように、排出口54を形成した円筒部55が圧力調整室38内に向かって突出するようにして被覆部51に形成されている。また、排出口54には、圧力調整室38から排出口54を通じて外部に向かった方向にのみ流体の流れを許容する第二逆止弁6が嵌め込まれている。第二逆止弁6は、図7に示すように可撓性・弾性を有する材料(例えば、エラストマー(ゴム))でダックビル状(アヒルのくちばし形状)に形成されたダックビル弁である。ここで、図7(a)は図6と同一方向に見た場合の第二逆止弁6の側面図であり、図7(b)は第二逆止弁6の正面図であり、図7(c)は第二逆止弁6の上面図であり、図7(d)は第二逆止弁6の縦断面図である。
詳細に説明すると、第二逆止弁6は、円筒状を呈した本体部6aと、本体部6aの先端側で本体部6aに一体形成されるとともに上下に重ね合わされた上唇部6b及び下唇部6cと、本体部6aの後端部に一体形成されるとともに本体部6aの外壁から半径方向外向きに突出するように形成されたリング状のフランジ部6dと、から構成されている。第二逆止弁6の後端では本体部6aの内部中空が開口している。第二逆止弁6の先端では、上唇部6b及び下唇部6cが上下に重ね合わせられるように形成されることで、第二逆止弁6の先端で内部中空が閉じられており、上唇部6b及び下唇部6cで規定された横長の亀裂6eが第二逆止弁6の先端に形成されており、この亀裂6eは内部中空にまで通じている。また、上唇部6b及び下唇部6cは、全体の厚みTが第二逆止弁6の先端に向かうにつれて薄くなるようにテーパ状に形成されている。
この第二逆止弁6において、内部中空の圧力と第二逆止弁6の先端外側の圧力が等しい状態では、亀裂6eが閉じているか、又は、亀裂6eがやや開いた状態となる(このような状態を初期状態という。)。一方、内部中空の圧力が第二逆止弁6の先端外側の圧力よりも高い状態では、上唇部6b及び下唇部6cが弾性変形することによって亀裂6eが初期状態よりも大きく開き、内部中空から亀裂6eを通じて第二逆止弁6の先端外側へ流体が流動することが許容される(このような状態を開口状態という。)。逆に内部中空の圧力が第二逆止弁6の先端外側の圧力よりも低い状態では、上唇部6b及び下唇部6cが弾性変形することによって亀裂6eが閉じ、第二逆止弁6の先端外側から亀裂6eを通じて内部中空に流体が流動することが阻止される(このような状態を閉口状態という。)。
図6に示すように、このような第二逆止弁6は、その先端を圧力調整室38から外に向け、上唇部6b、下唇部6c及び本体部6aを排出口54に嵌め込み、更にフランジ部6dを圧力調整室38の内壁の円筒部55の突端に係止することによって、後ろ蓋部材5に取り付けられている。また、中空円筒状を呈した弁止め56であってその内壁から半径方向内向きに突出するように形成されたリング状のフランジ部を有した弁止め56を円筒部55に嵌合し、さらに、弁止め56のフランジ部と円筒部55の突端で第二逆止弁6のフランジ部6dを挟持することによって、第二逆止弁6が固定されている。
図3に示すように、容器本体3の前端部には、容器本体3の中央部よりも薄い嵌合部39が前方に向かって突出するように形成されており、図4に示すように嵌合部39の突端面が容器本体3の前端面37を成している。図4、図5に示すように、前端面37のそれぞれの液室31に対応する位置には、液室31にまで貫通した連通穴34が形成されている。これら連通穴34,34,…に微小の複数のスリットができた網が張られていても良い。
燃料残量測定装置で燃料99の残量を測定するために、これら連通穴34,34,…の開口面積と液室31,31,…の断面積との関係は次のようになっている。
上記(A)のように全ての液室31,31,…の断面積が等しい場合、(A−1):最も右側に配置されている連通穴34の開口面積が最も大きく、左側になるにつれて連通穴34の開口面積が小さくなり、最も左側に配置されている連通穴34の開口面積が最も小さい、又は、(A−2):最も左側(図14(a)〜(c)の下側)に配置されている連通穴34の開口面積が最も大きく、右側(図14(a)〜(c)の上側)になるにつれて連通穴34の開口面積が小さくなり、最も右側に配置されている連通穴34の開口面積が最も小さい。
上記(B)又は上記(C)のように液室31,31,…の断面積が互いに異なる場合、全ての連通穴34,34,…の開口面積が等しい。
図4に示すように、容器本体3の前端面37の加圧流路32に対応する位置には、加圧流路32に通じる連通穴35が形成されている。
図2〜図5に示すように、容器本体3の前端部には、その前端部を覆う前蓋部材4が取り付けられている。ここで、図8は前蓋部材4の斜視図である。図3、図8に示すように、前蓋部材4には、容器本体3側に開口した開口溝41が横方向に長尺となって形成されており、開口溝41の底には更に開口溝41よりも開口面積の小さい段溝42が横方向に長尺となって形成されている。開口溝41には容器本体3の嵌合部39が嵌合しており、図4に示すように加圧流路32に通じた連通穴35の周囲では容器本体3の前端面37が開口溝41の底に当接し、液室31,31,…に通じた連通穴34,34,…の周囲では容器本体3の前端面37が段溝42の底から離れている。段溝42の底が容器本体3の前端面37から離れていることによって、段溝42によって規定された内部空間である連通室43が形成されている。連通室43の壁面は容器本体3の前端面37と前蓋部材4から構成されており、連通室43は連通穴34,34,…を介して液室31,31,…に通じている。
図3、図4、図8に示すように、前蓋部材4の連通穴35に対応する位置には、開口溝41の底から前側外部にまで通じる流入口44が形成されており、流入口44と連通穴35が通じている。図9には、図4に示された流入口44の周辺の領域Bが拡大して示されている。図9に示すように、流入口44を形成した円筒状の流入ニップル部45が前方外側(図中左側)に向かって突出するようにして前蓋部材4に形成されている。また、流入口44には、外部から流入口44及び連通穴35を通じて加圧流路32に向かった方向(図中左側から右側に向かった方向)にのみ流体の流れを許容する第三逆止弁7が嵌め込まれている。この第三逆止弁7は、第二逆止弁6と同様に、可撓性・弾性を有する材料でダックビル状に形成されたダックビル弁である。この第三逆止弁7はその先端を外部から加圧流路32に向けて流入口44に嵌め込まれている。また、第三逆止弁7のフランジ部(図7の6d)が流入ニップル部45の突端に係止された状態で、流入ニップル部45に嵌合した弁止め46のフランジ部と流入ニップル部45の突端との間に第三逆止弁7のフランジ部が挟持されることによって、第三逆止弁7が固定されている。
図4に示すように、流入口44から離れた位置であって流入口44と左右に対となる位置には、段溝42の底から前側外部にまで通じる流出口47が形成されている。この流出口47が連通室43と通じている。図10には、図4に示された流出口47の周辺の領域Cが拡大して示されている。図10に示すように、流出口47を形成した円筒状の流出ニップル部48が前方外側に向かって突出するようにして前蓋部材4に形成されている。また、流出口47には、後述する吸引管79又は針等の挿入によって亀裂6eが開いてない状態で、外部から流出口47を通じて連通室43に向かった方向(図中左側から右側に向かった方向)にのみ流体の流れを許容する第一逆止弁8が嵌め込まれている。この第一逆止弁8は、第二逆止弁6と同様に、可撓性・弾性を有する材料でダックビル状に形成されたダックビル弁である。この第一逆止弁8はその先端を外部から連通室43に向けて流出口47に嵌め込まれている。また、第一逆止弁8のフランジ部が流出ニップル部48の突端に係止された状態で、流出ニップル部48に嵌合した弁止め49のフランジ部と流出ニップル部48の突端との間に第一逆止弁8のフランジ部が挟持されることによって、第一逆止弁8が固定されている。
図3、図4、図8、図10に示すように、連通室43内であって流出口47に面する位置(つまり、第一逆止弁8の先)には、燃料99を吸収する吸収体9が配設されている。この吸収体9は柔軟な海面状構造を有し、吸収体9には燃料99を吸収するための多数の微細孔が形成され、燃料99を含んだ状態で外部から圧力が加わると、内部に吸収した燃料99が外側に滲み出るような構造となっている。吸収体9としては、スポンジ、不織布、繊維等が挙げられる。
以上のように構成された容器2では、容器本体3に前蓋部材4及び後ろ蓋部材5を取り付けることによって内部空間が形成されており、その内部空間は液室31,31,…、加圧流路32、圧力調整室38、連通室43に仕切られており、流入口44から流出口47までの経由順は加圧流路32、圧力調整室38、液室31,31,…、連通室43の順となっている。
各液室31内の圧力調整室38寄りの燃料99の末端には、燃料99を覆うとともに燃料99の末端に追従する追従体としての粘性体10が配設されている。粘性体10は液室31を形成した内壁面(隔壁33や容器本体3の内壁面)に接しており、粘性体10によって液室31が、燃料99が封入された連通穴34側の領域と燃料99が消費される毎に増大する空間である反対の圧力調整室38側の領域とに仕切られている。この粘性体10はこれらの空間で流体の相互移動を防止するものであり、燃料99は粘性体10を通過して連通穴34側の領域に移動せず、連通穴34側の領域の流体は粘性体10を通過して燃料99に混入することはない。更には、粘性体10,10,…によって容器2の内部空間が流出口47側の領域と流入口44側の領域とに仕切られている。粘性体10は燃料99に対して親和性の低い液体、ゾル、ゲル等であり、更に望ましくは燃料99よりも粘性の高く且つ燃料99に対して難溶性又は不溶性の高粘性液体である。更に、好ましくは、粘性体10は、ずれ応力(又は、ずれ速度)が増大すると見かけの応力が減少する構造粘性流体(異常粘性流体)の性質を有していると良い。具体的にはポリブテン、流動パラフィン、スピンドル油、その他の鉱油類、ジメチルシリコン油、メチルフェニルシリコン油、その他のシリコン油類、これらの組み合わせを粘性体10として用いることができる。なお、各液室31において、前後方向が、粘性体10から連通穴34に向かった方向である。
容器2の内部空間のうち粘性体10,10,…によって仕切られた流出口47側の領域には、つまり液室31,31,…の連通室43寄りの領域及び連通室43には、燃料99が充填されている。
次に、燃料貯留モジュール1を発電モジュール91に着脱可能に取り付ける取付構造について説明する。
図11〜図13は、取付構造を示した斜視図である。図11は、発電モジュール91の筐体60から燃料貯留モジュール1を外した状態を示した図面である。図12は、筐体60に一つの燃料貯留モジュール1を取り付けた状態を示した図面である。図13は、筐体60に二つの燃料貯留モジュール1,1を取り付けた状態を示した図面である。
ここで、図1(a)に示された発電装置の場合には、気化器92、改質器93、一酸化炭素除去器94及び燃料電池95が筐体60に内蔵されており、図1(b)に示された発電装置の場合には、気化器96及び燃料電池97が筐体60に内蔵されている。また、この発電装置を携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistance)、電子手帳等の電子機器に適用した場合、電子機器本体の筐体に発電モジュール91の筐体60が一体形成されていても良いし、電子機器本体の筐体に対して発電モジュール91の筐体60が着脱自在となっていても良い。
図2、図11〜図13に示すように、発電装置に備わった取付構造は、筐体60に一体形成されている一対の板状の支持部71,71と、容器本体3の左右側面部に一体形成された一対の弾性係合片72,72と、を具備し、支持部71,71と弾性係合片72,72とがそれぞれ係合するようになっている。
支持部71,71は、筐体60の後端面60a左右両端から後方に向かって延出している。支持部71,71が左右に相対向しており、支持部71,71の間に収納空間73が形成されている。支持部71,71によって形成された収納空間73が二つの容器2を収納するための空間となる。容器2が収納空間73に収納される場合には、容器2の前端面(つまり、前蓋部材4の前端面)が筐体60の後端面60aに対向する。なお、支持部71,71が左右に相対向することによって収納空間73が形成されており、その収納空間73の上と下が開放しているが、更に収納空間73の上側と下側を覆うことによって筐体60の後ろで開口した穴状に収納空間73を形成しても良い。その場合、後端面60aは穴状の収納空間73の底となる。
各支持部71の筐体60側の基端部であって対の支持部71に対向した面には、前後に長尺となって延在した二つのガイド突起74,74が突出形成されている。ガイド突起74,74は上下に配列されている。
各支持部71の突端側には、前後に長尺な矩形状の二つの係止孔75,75が支持部71を左右に貫通するように形成されている。係止孔75,75は、上下に配列されており、支持部71においてガイド突起74,74と前後で対になっている。なお、係止孔75は支持部71を左右に貫通しているが、対の支持部71に対向した面で凹むように形成されていれば貫通していなくても良い。
一方、容器2の左右両側面では、前後に長尺な被ガイド溝70,70が、前蓋部材4の前端から容器本体3の中央部にかけて形成されている。被ガイド溝70の前端が開放されており、この被ガイド溝70の前側からガイド突起74が前後に挿抜されるように構成されており、ガイド突起74が前後に摺動自在となって被ガイド溝70に嵌合するように構成されている。従って、発電装置の前後方向が、容器2を収納空間73に挿入する挿入方向となる。なお、支持部71に突起74が形成され、容器2に溝70が形成されているが、逆に前後に長尺なガイド用の溝が支持部71に形成され、この溝に嵌合可能でありこの溝に沿って前後に摺動可能な突起が容器2に形成されていても良い。
また、被ガイド溝70よりも後方には、弾性係合片72が容器本体3の側面中央部で分岐するように形成されており、容器2の側面後ろ側では弾性係合片72が容器本体3及び後ろ蓋部材5の側面から離れている。この弾性係合片72を含めて容器本体3は合成樹脂(例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト)等のように可撓性を有した材料から形成されており、弾性係合片72が容器2の内側に押圧されると弾性係合片72はその基端部を固定端として容器2側に撓む、その押圧が解除されると弾性係合片72の撓みも解除されるようになっている。
弾性係合片72の容器2とは反対側である外面には、係止孔75に係合可能な係合突起76が形成されている。この係合突起76は、弾性係合片72の前後方向中間部において弾性係合片72から突出している。図4に示すように、係合突起76の横断面形状は三角形状となっており、発電モジュール91の筐体60に燃料貯留モジュール1をスムースにスライドして取り付けるために係合突起76の突出高さが後ろ側になるにつれて高くなるように係合突起76が形成されている。容器2の被ガイド溝70に支持部71のガイド突起74に嵌合した状態で容器2の前端面を筐体60の後端面60aに当接すると、係合突起76が係止孔75に係合するようになっている。更に、容器2の被ガイド溝70に支持部71のガイド突起74に嵌合した状態で容器2の前端面を筐体60の後端面60aに当接すると、弾性係合片72の後ろ端部は、支持部71の後ろ端部よりも後方に延出するようになっている。
図11、図12に示すように、筐体60の後端面60aであってそれぞれの容器2の流入口44に対向する位置には、二つの排出カプリング口77,77が形成されており、それぞれの容器2の流出口47に対向する位置には、二つの吸引カプリング口78,78が形成されている。なお、図11、図12において、下側(図中左側)の排出カプリング口77は支持部71に隠れているため、その符号を省略する。
吸引カプリング口78内には、吸引カプリング口78と同心となる吸引管79が設けられている。吸引管79は、吸引カプリング口78から後方に向けて突出している。
容器2の被ガイド溝70に支持部71のガイド突起74に嵌合した状態で容器2の前端面を筐体60の後端面60aに当接すると、排出カプリング口77に流入ニップル部45が挿入されるとともに吸引カプリング口78に流出ニップル部48が挿入されるようになっている。また、吸引カプリング口78に流出ニップル部48が挿入されると、被挿入材としての吸引管79が第一逆止弁8の内部中空及び亀裂6eを貫通して、容器2の内部にある吸収体9に押し当たるようになっている。
また、筐体60の内部には、吸引管79から排出カプリング口77にまで通じる流路が形成されており、その流路の途中にポンプ80が配設されており、このポンプ80によって容器2内の燃料99が吸引されるようになっている。
ここで、図1(a)に示された発電装置の場合には、吸引管79から排出カプリング口77までの流路の途中に気化器92、改質器93、一酸化炭素除去器94及び燃料電池95がこの順に配設されており、燃料99が吸引管79を通じて気化器92に供給され、改質器93、一酸化炭素除去器94及び燃料電池95で生成された水、二酸化炭素の他空気が排出カプリング口77及び流入口44を通じて容器2の内部に流れるようになっている。この場合、吸引管79の端とポンプ80が接続されており、吸引管79から排出カプリング口77の流路は、吸引管79→ポンプ80→気化器92→改質器93→一酸化炭素除去器94→燃料電池95→排出カプリング口77という経路になっていると良い。
一方、図1(b)に示された発電装置の場合には、吸引管79から排出カプリング口77までの流路の途中に気化器96及び燃料電池97がこの順に配設されており、燃料99が吸引管79を通じて気化器96に供給され、燃料電池97で生成された水、二酸化炭素の他空気が排出カプリング口77及び流入口44を通じて容器2の内部に流れるようになっている。吸引管79から排出カプリング口77の流路は、吸引管79→ポンプ80→気化器96→燃料電池97→排出カプリング口77という経路になっていると良い。
また、筐体60の後端面60aであって液室31,31…に対向する位置には、それぞれの粘性体10を検出するためのセンサ81,81,…が配設されている。センサ81は、容器2の外から後方に向けて光(主に赤外線)を投光する投光素子と、後方からの光を液室31よりも前方の筐体60の後端面60aで受光する受光素子(主に赤外線に対して感度を示す。)と、から構成されている。一方、燃料99及び容器2特に前蓋部材4及び容器本体3はセンサ81から発する光を透過する性質を有し、容器2の内部にある粘性体10には、センサ81から発する光に対して高反射率の材料(例えば、金属粒子)が添加されている。つまり、粘性体10の光学的性質(反射率、透過率等)は燃料99の光学的性質と異なる。ここで、粘性体10が液室31の圧力調整室38寄りにある場合には、粘性体10からセンサ81までの距離が長いから、投光素子で発せされた光が粘性体10に到達するまでに燃料99等によって吸収により減衰され、また粘性体10で反射しても、反射光は復路で再び燃料99等により減衰するので低強度の反射光が受光素子によって受光されるので、センサ81によって粘性体10が検出されないようになっている。一方、粘性体10が液室31の連通穴34寄りにある場合には、粘性体10からセンサ81までの距離が短いから、燃料99等による減衰量が少なく、投光素子で発せされた光が粘性体10での反射すると、高強度の反射光が受光素子によって受光されるので、センサ81によって粘性体10が検出されるようになっている。つまり、センサ91は、粘性体10が液室31の連通穴34寄りにあるか、それとも粘性体10が液室31の圧力調整室38寄りにあるかを検出して液室31の長手方向における粘性体10の変位を検出するようになっている。なお、センサ91は、粘性体10が液室31の連通穴34寄りにあるか否かの二段階に検出するものであるが、センサ91の代わりに、更に液室31の長手方向における粘性体10の変位を多段階的又は無段階的に検出するセンサを設けても良い。この場合、そのセンサも投光素子と受光素子から構成されるが、受光素子が入射した反射光の強度に基づいた大きさの電気信号(電圧、電流)を出力するように設けられている。
次に、以上のように構成された発電装置の使用方法及びそれに伴う作用について説明する。
容器2内に燃料99が貯留されていても、燃料貯留モジュール1を発電モジュール91に取り付けていない状態では、第一逆止弁8が閉じているので、燃料99が流出口47から漏れない。
燃料99が充填された容器2の前端面を筐体60の後端面60aに向けて、被ガイド溝70,70にガイド突起74,74を嵌め込んで、容器2を前側の筐体60に向けて押し、容器2を被ガイド溝70,70及びガイド突起74,74で案内して前に移動させる。容器2を前に移動させている時に、係合突起76,76を支持部71,71の後端に当接させ、係合突起76,76を支持部71,71で押すことによって弾性係合片72,72が弾性変形する。そして、係合突起76,76が係止孔75,75に差し掛かって係合突起76,76を係止孔75,75に係合させ、更に排出カプリング口77に流入ニップル部45を挿入するとともに吸引カプリング口78に流出ニップル部48を挿入し、容器2の前端面を筐体60の後端面60aに当接させる。
以上のように、被ガイド溝70,70とガイド突起74,74を嵌合させた状態で、発電モジュール91に対して燃料貯留モジュール1を前方に押して挿入するだけで、係合突起76,76を係止孔75,75に係合させることができるとともに、流入ニップル部45、吸引カプリング口78に排出カプリング口77、流出ニップル部48が吸引カプリング口78をそれぞれ挿入することができる。これにより、燃料貯留モジュール1を発電モジュール91に簡単に取り付けることができる。また、燃料貯留モジュール1に発電モジュール91を取り付けた状態では、燃料貯留モジュール1の前側では、流入ニップル部45が排出カプリング口77に挿入するとともに流出ニップル部48が吸引カプリング口78に挿入した状態であり、燃料貯留モジュール1の後ろ側では、係合突起76,76が係止孔75,75に係合しているので、発電モジュール91と燃料貯留モジュール1との取付状態を堅固にすることができる。また、燃料貯留モジュール1を発電モジュール91に取り付けた状態では、センサ81,81,…はそれぞれの液室31よりも前方で液室31に対向している。
吸引カプリング口78に流出ニップル部48を挿入すると、吸引管79が第一逆止弁8の内部中空及び亀裂6eを貫通して、吸収体9に押し当たる。吸引管79によって吸収体9が押圧されると、吸収体9に吸収された燃料99が吸収体9から滲み出て、滲み出た燃料99が吸引管79を通じてポンプ80にまで供給される。ここで、吸収体9から滲み出た燃料99が吸引管79からポンプ80までの流路を満たすので、滲み出た燃料99はポンプ80の揚程を稼ぐ呼水として機能する。更には、吸収体9が吸引管79によって圧縮された状態であるので、吸収体9の復元力による負圧によって容器2内の燃料99が吸収体9に吸収されていき、吸収された燃料99が吸引管79へと滲み出る。そのため、ポンプ80によって燃料99を安定して液送することができる。なお、容器2内で発生した気泡(燃料99の蒸気)が吸収体9にトラップされるので、吸引管79には気泡が入らないようになっている。
吸引カプリング口78に流出口47が接続した状態でポンプ80が作動すると、容器2内の燃料99が吸引管79を通じてポンプ80にまで吸引されるともに、吸引された燃料99がポンプ80から排出される。容器2内の燃料99が吸引されると、容器2内の燃料99が減っていくが、それに伴い粘性体10にずれ応力が発生して粘性体10の粘性率が低下し、燃料99の消費に伴って粘性体10が液室31の前側へと追従していく。
以上のようなポンプ80の作動によって、燃料99が気化器92、改質器93、一酸化炭素除去器94、燃料電池95の順に(又は気化器96、燃料電池97の順に)流動し、燃料電池95又は燃料電池97において電気エネルギが生成される。燃料99から生成された生成物(水蒸気、二酸化炭素ガス等)が排出カプリング口77から排出される。排出カプリング口77から排出された生成物の圧力によって第三逆止弁7が開く。これにより、排出された生成物が加圧流路32及び圧力調整室38に排出され、加圧流路32及び圧力調整室38内の圧力が上昇し、その圧力により粘性体10,10,…が容器2の前端面側へと押される。圧力調整室38側から粘性体10,10,…に作用する圧力が容器2内の燃料99を排出することを補助し、容器2内からポンプ80に向かった燃料99の揚程が安定して行われる。そのため、ポンプ80によって燃料99を安定して液送することができる。なお、ポンプ80が停止すれば、燃料99の液送も停止し、燃料電池95や燃料電池97における電気エネルギの生成も停止する。ポンプ80の停止により、圧力調整室38から粘性体10への圧力も下がり、ずれ応力が粘性体10に作用していないので、粘性体10の粘性率が高く、粘性体10の形状が保持される。このため燃料貯留モジュール1の流出ニップル部48の向きがどこを向いていてもポンプ80に継続的に燃料99を供給できるとともに、できるだけポンプ80に気泡を供給しない構造になっているので、気泡によって発電効率が低減することを抑制できる。
また、加圧流路32及び圧力調整室38内の圧力が上昇し、所定以上の圧力となると、第二逆止弁6が開き、加圧流路32及び圧力調整室38内の生成物が排出口54から排出される。これにより、加圧流路32及び圧力調整室38内の圧力を所定以上の圧力に保つことができる。これにより、加圧流路32及び圧力調整室38内の圧力が高くなりすぎることにより容器2が破損することを防止することができる。更には、圧力調整室38内の生成物が排出口54から外に排出されることによって、圧力調整室38を適度の圧力に保つことがでる。更には、流入口44に第三逆止弁7が設けられているため、圧力調整室38に排出された生成物が流入口44及び排出カプリング口77を通じて発電モジュール91に逆流することを防止することができ、圧力調整室38を適度の圧力に保つことができる。圧力調整室38を適度の圧力に保つことにより、吸引管79を通じて燃料99を発電モジュール91に安定して供給することができる。
燃料残量測定装置により燃料99の残量を測定するための作用について説明する。
液室31に燃料99が残留している場合には、液室31にある粘性体10が液室31の前側壁面から離れており、センサ81によって粘性体10が検出されていない。一方、液室31に燃料99が残留していない場合には、液室31にある粘性体10が液室31の前側壁面の連通穴34に近接しており、センサ81によって粘性体10が検出される。これにより、その液室31に燃料99が残留しているか否かをセンサ81によって検出することができる。
ところで、センサ81,81,…が二値センサであっても、つまり、液室31に燃料99が残留しているか否かを検知する二値センサであっても、容器2内にどの程度の燃料99が残留しているかを測定することができる。これは、液室31内の燃料99が消費されるのに要する時間が液室31ごとに異なるためである。
つまり、上記(A)のように全ての液室31,31,…の断面積が等しい場合、燃料99の消費開始前においては液室31内の燃料99の体積がどの液室31でも同じであるが、連通穴34の開口面積が液室31ごとに異なるため、液室31から連通穴34を通じて燃料99が排出される排出流量が液室31ごとに異なる。そのため、液室31内の燃料99が消費されるのに要する時間(つまり、粘性体10が液室31の後端から前端まで移動するのに要する時間)が液室31ごとに異なる。そのため、センサ81,81,…が同時に粘性体10を検知するのではなく、センサ81,81,…が順次粘性体10を検知するので、容器2内にどの程度の燃料99が残留しているかを検出することができる。つまり、全てのセンサ81,81,…が粘性体10を検知していない場合には、容器2内に燃料99が満たされていることを意味し、粘性体10を検知するセンサ81の数が増えるにつれて、容器2内の燃料99が少なくなり、全てのセンサ81,81,…が粘性体10を検知している場合には、容器2内の燃料99が空になったことを意味する。
また、上記(B)又は上記(C)のように液室31,31,…の断面積が互いに異なる場合には、燃料99の消費開始前においては液室31内の燃料99の体積が液室31ごとに異なる。しかし、どの液室31,31,…の連通穴34の開口面積が等しいので、液室31から連通穴34を通じて燃料99が排出される排出流量がどの液室31でも同じである。そのため、液室31内の燃料99が消費されるのに要する時間(つまり、粘性体10が液室31の後端から前端まで移動するのに要する時間)が液室31ごとに異なる。そのため、センサ81,81,…が同時に粘性体10を検知するのではなく、センサ81,81,…が順次粘性体10を検知するので、容器2内にどの程度の燃料99が残留しているかを検出することができる。
更に、図14、図15を用いて具体的に説明する。図14は、全ての液室31,31,…の断面積が等しく、連通穴34,34,…の開口面積は左側(図中下側)になるにつれて大きくなる場合についての作用を説明するための図面である。図15は、全ての連通穴34,34,…の開口面積が等しく、液室31,31,…の断面積は右側になるにつれて大きくなる場合についての作用を説明するための図面である。なお、説明を簡単にするために、図14、図15において液室31、連通穴34の数をそれぞれ三つとするが、複数であれば同様の効果を得ることができる。
図14(a)又は図15(a)に示すように、燃料99を供給しだした直後では何れの液室31,31,…でも粘性体10が液室31の前端から離れているが、燃料99が消費されていくと、図14(b)又は図15(b)に示すように最初に最も左の液室31にある粘性体10が液室31の前端に位置して、センサ81が粘性体10を検出する。更に、燃料99が消費されていくと、図14(c)又は図15(c)に示すように、次に中央の液室31にある粘性体10が液室31の前端に位置して、センサ81が粘性体10を検出する。最後には、最も右の液室31にある粘性体10が液室31の前端に位置して、センサ81が粘性体10を検出する。
以上のように、液室31,31,…での燃料99の消費に伴って、各液室31の燃料99の材料が順次空又は空に近づくと、対応するセンサ81,81,…が順次粘性体10による反射光を検出していくことで、容器2内にどの程度の燃料99が残留しているかを多段階で検出することができる。例えば、一つ目の液室31に燃料99がほぼなくなったことを対応するセンサ81が十分な反射光を検知したときの燃料貯留モジュール1内の燃料99の総量が50%になり、二つ目の液室31に燃料99がほぼなくなったことを対応するセンサ81が十分な反射光を検知したときの燃料貯留モジュール1内の燃料99の総量が25%となるように連通穴34,34…の面積や液室31,31,…の断面積を設定すればよい。
なお、上記燃料貯留モジュール1では、液室31,31,…の前後の長さは全て等しく且つ各液室31は、前後方向に直角な面で破断した場合の断面積が前端側から後端側にかけて一定となっていたが、これに限らず液室31,31,…の前後の長さを互いに異ならせることで液室31,31,…内の燃料99が封入される容積を互いに異ならせるようにしてもよい。この場合、液室31,31,…の断面積が互いに同じであっても、互いに異なっていてもよく、連通穴34,34…の開口面積が互いに同じであっても、互いに異なっていてもよい。
電子機器が内部に設けられた本発明の発電装置による電気エネルギを必要とした場合或いは発電モジュール91の充電部が充電量が十分でない場合、ポンプ80を作動させれば燃料貯留モジュール1から発電モジュール91に燃料99が供給され、電子機器が内部に設けられた本発明の発電装置による電気エネルギを必要としない場合或いは発電モジュール91の充電部が充電量が十分ある場合、制御回路がポンプ80の動作並びに気化器92、改質器93、一酸化炭素除去器94への加熱を停止すれば燃料99の供給及び化学反応が止まるので、電気エネルギが生成されない。
燃料貯留モジュール1の取り外し方について説明する。
容器2内の燃料99が無くなったら、新しい燃料貯留モジュール1に交換する。交換の際には、既に取り付けてある燃料貯留モジュール1を取り外す。ここで、燃料貯留モジュール1が発電モジュール91に取り付けられている場合には、弾性係合片72,72の後ろ端部が支持部71,71の後ろ端部よりも後方に延出しているので、弾性係合片72,72の後ろ端部を支持部71,71に干渉されずに互いに近づけるようにして挟むことができる。弾性係合片72,72の後ろ端部を互いに近づけるようにして挟むと、弾性係合片72,72が弾性変形し、係合突起76,76が係止孔75,75から外れる。その状態で燃料貯留モジュール1を発電モジュール91に対して後ろに引き出すと、燃料貯留モジュール1を発電モジュール91から取り外すことができる。
本実施形態の効果について説明する。
以上のように、容器2にセンサ81,81,…が設けられているのではなく、発電モジュール91にセンサ81,81,…が設けられているので、燃料貯留モジュール1の製造コストを抑えることができる。更には、容器2が空になって、新しい燃料貯留モジュール1を発電モジュール91に取り付けた場合でも、発電モジュール91に設けられたセンサ81,81,…を、新たな燃料貯留モジュール1にある粘性体10,10,…を検出することに用いることができる。
また、粘性体10によって仕切られた液室31の二つの領域のうち連通穴34側の領域に燃料99が充填されているため、センサ81によって粘性体10を検出するのは液室31から燃料99が消費された時だけである。つまり、液室31の連通穴34側の領域に燃料99が充填されている限り、容器2の姿勢がどのようになってもセンサ81によって粘性体10が検出されず、逆に液室31の連通穴34側の領域から燃料99が消費されると、粘性体10が連通穴34寄りに位置するから、センサ81によって粘性体10が検出される。そのため、容器2がどのような姿勢であっても容器2内の燃料99の残量を測定することができる。
また、センサ81の投光素子から発する光に対して高反射率の材料が粘性体10に添加されているので、センサ81受光素子によって粘性体10を検出しやすくなる。
また、ポンプ80を作動させれば燃料貯留モジュール1から発電モジュール91に燃料99が供給され、ポンプ80を停止すれば燃料99の供給が止まるので、電気エネルギを必要としない場合には電気エネルギが生成されない。
また、ポンプ80によって燃料99が供給されるので、燃料貯留モジュール1を発電モジュール91に取り付けてから発電モジュール91の燃料電池95又は燃料電池97にまで燃料99が到達するまでの時間が、毛管力により供給する場合と比較しても短時間で済む。
また、粘性体10,10,…によって仕切られた液室31,31,…及び連通室43に燃料99が充填された状態で、圧力調整室38の圧力及びポンプ80の吸引力によって燃料99が燃料貯留モジュール1から発電モジュール91に供給されるので、燃料貯留モジュール1及び発電モジュール91の姿勢にかかわらず、燃料99を安定して供給することができる。
また、発電モジュール91にポンプ80が設けられているので、燃料貯留モジュール1にはポンプを設ける必要がないから、燃料貯留モジュール1の製造コストを抑えることができる。更には、燃料貯留モジュール1が空になって、新しい燃料貯留モジュール1を発電モジュール91に取り付けた場合でも、発電モジュール91に設けられたポンプ80を、新たな燃料貯留モジュール1の燃料99を供給することに用いることができる。
なお、連通室43を設けることによって、単一の流出ニップル部48、単一の第一逆止弁8及び単一の吸収体9を用いて各液室31から燃料99を流出させたが、これに限らず、各液室31毎に流出ニップル部48、第一逆止弁8及び吸収体9を設けることによってそれぞれ独立して燃料99を流出するようにしてもよい。これに伴い発電モジュール91は、吸引カプリング口78及び吸引管79の数及びそれらの位置を液室31,31…の数及び流出ニップル部48の位置に合わせればよい。このとき、連通室43はあってもなくてもよい。