以下、本発明を適用した電子写真方式の画像形成装置の実施形態について説明する。
図3は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は、マゼンタ,イエロー,シアン,ブラック(以下、M,Y,C,Kという)のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成することができる。そして、感光ベルトユニット81、4色にそれぞれ個別に対応する4つのプロセスユニット、4つの光書込部を具備する光書込ユニット100、定着装置76、転写搬送ベルトユニット78、レジストローラ対79などを備えている。
感光ベルトユニット81は、潜像担持体たる無端ベルト状の感光体82を、水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の姿勢で張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる。より詳しくは、無端ベルト状の感光体82を、駆動ローラ83、テンションローラ84、下部従動ローラ85、及び4つの現像対向ローラ86M,Y,C,Kによって裏面側から支えながら張架している。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる駆動ローラ83の回転によって感光体82を図中反時計回り方向に無端移動せしめる。この感光体82における図中左側の張架面(以下、左側張架面という)は、ほぼ鉛直方向に延在する姿勢になっている。
感光体82は、ベルト状の導電性基体上に感光層を塗布したいわゆる単層感光体である。感光層は、ポリカーボネート樹脂中に、電荷発生物質、正負の電荷輸送物質が分散された材料からなり、正帯電性を発揮する。かかる構成の感光体82が、駆動ローラ83の回転駆動によって、100[mm/sec]の線速で無端移動せしめられる。
感光体82の左側張架面の図中左側方には、M,Y,C,K用のプロセスユニットが鉛直方向に並ぶように配設されており、それぞれ感光体82の左側張架面に対向している。これら4つのプロセスユニットは、それぞれ、現像装置(1M,Y,C,K)と、感光体82を一様帯電せしめる帯電装置(62M,Y,C,K)とを1つのユニットとして図示しない共通の保持体に保持している。そして、画像形成装置本体に対して現像装置及び帯電装置が一体的に着脱されるようになっている。
4つの現像装置1M,Y,C,Kのうち、鉛直方向の最も下側に位置するK用の現像装置1Kの上方には、K用の帯電装置62Kが感光体82の左側張架面に対向するように配設されている。また、K用の現像装置1Kの真上に配設されたY用の現像装置1Yの上方には、C用の帯電装置62Cが感光体82の左側張架面に対向するように配設されている。また、C用の現像装置1Cの真上に配設されたY用の現像装置1Yの上方には、Y用の帯電装置62Yが感光体82の左側張架面に対向するように配設されている。更に、Y用の現像装置1Yの真上に配設されたM用の現像装置1Mの上方には、M用の帯電装置62Mが感光体82の左側張架面に対向するように配設されている。
M,Y,C,K用の帯電装置62M,Y,C,Kは、いわゆるスコロトロン帯電器であり、グリッド電圧を制御することで、感光体82の表面を+700[V]に一様帯電させる。
鉛直方向に並ぶ4つの現像装置1M,Y,C,Kの図中左側方には、4つの光書込部100M,Y,C,Kを具備する光書込ユニット100が配設されている。これら光書込部M,Y,C,Kは、外部の図示しないパーソナルコンピュータやスキャナから送られてくる画像情報に基づいて、図示しない4つのレーザーダイオード(以下、LDと記す)を駆動してM,Y,C,K用の書込光Lm,Ly,Lc,Lkを出射する。そして、これらを図示しないポリゴンミラーによって偏向せしめながら、図示しない反射ミラーで反射させたり光学レンズに通したりすることで感光体82に対する光走査を行う。なお、LDは、波長が780[nm]のLD素子である。
感光体82は、自らを張架している複数の張架ローラのうち、最も下方に位置する駆動ローラ83と、最も上方に位置するテンションローラ84との間では、鉛直方向上方から下方に向けてほぼ真っ直ぐに移動する。この過程において、まず、M用の帯電装置62Mとの対向位置を通過する際に、例えば負極性に一様帯電せしめられる。そして、M用の書込光Lmによる光走査によってM用の静電潜像を担持した後、M用の現像装置1Mとの対向位置を通過する。この際、感光体82に書き込まれたM用の静電潜像がM用の現像装置1Mによって現像されてMトナー像になる。
Mトナー像が形成された感光体82は、鉛直方向上方から下方に向けての移動に伴って、C用の帯電装置62Cによって再び一様帯電せしめられた後、C用の書込光Lcによる光走査によってC用の静電潜像を担持する。このC用の静電潜像は、C用の現像装置1Cによって現像されてCトナー像となる。このとき、Cトナー像の全領域又は一部領域は、既に感光体82上に形成されているMトナー像に重ね合わせて現像される。そして、その重ね合わせ箇所は、M及びCによる2次色部となる。
Cトナー像が形成された感光体82は、鉛直方向上方から下方に向けての移動に伴って、Y用の帯電装置62Yによって再び一様帯電せしめられた後、Y用の書込光Lyによる光走査によってY用の静電潜像を担持する。このY用の静電潜像は、Y用の現像装置1Yによって現像されてYトナー像となる。このとき、Yトナー像の全領域又は一部領域は、既に感光体82上に形成されているMトナー像、Cトナー像、あるいはMC2次色部の上に重ね合わせた状態で現像される。そして、その重ね合わせ箇所は、MY2次色部、CY2次色部、あるいはMCY3次色部となる。
Yトナー像が形成された感光体82は、鉛直方向上方から下方に向けての移動に伴って、K用の帯電装置62Kによって再び一様帯電せしめられた後、K用の書込光Lkによる光走査によってK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、K用の現像装置1Kによって現像されてKトナー像となる。
以上のようなM,Y,C,Kトナー像の重ね合わせ現像により、感光体82のおもて面(ループ外面)には、4色重ね合わせトナー像が形成される。なお、M,Y,C,K用の帯電装置62M,Y,C,Kとしては、それぞれコロナ放電によって感光体82を正極性に一様帯電せしめるものが用いられている。
K用の現像装置1Kとの対向位置であるK用の現像領域を通過した感光体82は、下部従動ローラ85に対する掛け回し箇所を通過すると、今度は相対的に鉛直方向下方から上方に向けて移動するようになる。そして、スコロトロン方式のトナー像帯電装置88との対向位置を通過する際に、表面上の4色トナー像が約−400[V]に一様帯電せしめられる。
ベルト状の感光体82における駆動ローラ83に対する掛け回し箇所の図中左側方には、転写搬送ベルトユニット78が配設されている。この転写搬送ベルトユニット78は、駆動ローラ78bと2次転写ローラ78cとによって転写搬送ベルト78aを張架しながら、駆動ローラ78bの回転駆動によって転写搬送ベルト78aを図中時計回り方向に無端移動せしめる。
ベルト上の感光体82における駆動ローラ83に対する掛け回し箇所と、転写搬送ベルト78aにおける2次転写ローラ78cに対する掛け回し箇所とは、互いに当接して転写ニップを形成している。上述したトナー像帯電装置88によって約−400[V]に一様帯電せしめられた4色トナー像は、感光体82の無端移動に伴って前述の転写ニップ内に進入する。
感光体82を張架している駆動ローラ83は接地されているのに対し、転写搬送ベルト78aを張架している2次転写ローラ78cには図示しないバイアス印加手段によって転写バイアスが印加されている。この転写バイアスは、転写搬送ベルト78cから感光体82に+40[μA]の転写電流が流れるように定電流制御される。これにより、転写ニップ内には、感光体82上の4色トナー像を転写バックアップローラ85側から転写ローラ88側に静電移動させる転写電界が形成されている。
実施形態に係る画像形成装置は、図示しない給紙カセットを具備しており、この給紙カセット内に記録紙を収容している。そして、所定のタイミングで給紙ローラを回転駆動させることで、カセット内に収容している記録紙を給紙路に向けて送り出す。送り出された記録紙は、転写ニップの図中下方に配設されたレジストローラ対79のローラ間に挟み込まれる。レジストローラ対79は、記録紙Pの先端部を挟み込むとすぐに回転駆動を一時停止する。そして、記録紙Pを感光体82の4色重ね合わせトナー像と同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを転写ニップに送り出す。
転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた4色重ね合わせトナー像は、ニップ圧や転写電界の作用によって感光体82から記録紙Pに一括転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された記録紙Pは、転写ニップから定着装置76に送り込まれた後、機外へと排出される。
図4は、K用の現像装置1Kを示す概略構成図である。同図において、現像装置1Kは、筺体としてのケーシング11Kの内部に形成されたトナー収容部13Kの中に、図示しないKトナーを収容している。このKトナーは、図中反時計回り方向に回転駆動されるアジテータ14Kにより、撹拌されながら弾性ローラ15Kに向けて搬送される。
ケーシング11K内において、トナー収容部13Kの図中右側方には、弾性ローラ15Kが配設されている。この弾性ローラ15Kは、図示しない軸受けによって回転自在に支持される金属製の軸部材と、これの周面に形成された円柱状のローラ部とを具備しており、ローラ部はスポンジ等の発泡セルを具備する弾性部材から構成されている。弾性ローラ15Kのトナー担持ローラ2Kへの食い込み量は0.5[mm]に設定されている。
アジテータ14Kの回転に伴ってトナー収容部13Kから弾性ローラ15Kに向けて搬送されたKトナーは、弾性ローラ15のローラ部に汲み上げられる。そして、弾性ローラ15とトナー担持ローラ2Kとの当接部にて、弾性ローラ15Kからトナー担持ローラ2Kの表面に供給される。この際、弾性ローラ15Kとトナー担持ローラ2Kとの間で擦られることで、負極性への摩擦帯電が助長される。なお、弾性ローラ15Kには、トナー供給バイアスが印加されており、弾性ローラ15Kとトナー担持ローラ2Kとの電位差により、弾性ローラ15Kからトナー担持ローラ2KへのKトナーの転移が助長される。実施形態では、トナー担持ローラ2K上のトナー量が0.5[mg/cm2]となるように、トナー規制部材22Kの位置を調整した。
直径10[mm]程度のトナー担持ローラ2Kは、100[mm/sec]の線速(回転数326rpm)で、図中時計回り方向に回転駆動される。トナー担持ローラ2Kの表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ2Kの表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ2Kの回転に伴って、トナー供給領域から現像領域に向けて搬送される。現像領域では、トナー担持ローラ2Kの表面に対して、図示しない感光体が0.20[mm]の現像ギャップを介して対向している。現像領域でホッピングしたKトナーは、感光体82上の静電潜像に付着して、それをKトナー像に現像する。
なお、現像領域通過後の感光体上のトナー付着量は、ベタ画像領域では0.5[mg/cm2]であり、また、感光体の移動速度とトナー担持ローラ2Kの移動速度とは同速である。よって、感光体上に現像されるトナーの付着量が、トナー担持ローラ2K上に保持されるトナー量と同じになる。つまり、ベタ画像領域ではトナー担持ローラ2K上に担持されている全てのトナーが感光体側に移動したことになる。
K用の現像装置1Kについて説明したが、他色用の現像装置(1M,Y,C)は、K用と同様の構成になっているので、説明を省略する。なお、何れの現像装置も、正規現像方式によって現像を行うようになっている。
各色のトナーは重合法によって製造されたいわゆる重合トナーであり、その体積平均粒径は5.5[μm]程度である。このトナー粒径については、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用い、アパーチャー径を100μmに設定した条件で測定したものである。なお、トナーとして、分散重合法、あるいは粉砕法などによって製造されたものを用いてもよい。
図5は、現像装置1Kのトナー担持ローラ2Kを示す斜視図である。また、図6は、トナー担持ローラ2Kのローラ部3Kを示す横断面図である。図5に示すように、トナー担持ローラ2Kは、ローラ部3K、これの軸線方向の両端面にそれぞれ接続されたフランジ(6K,7K)、それぞれのフランジの中心から突出する軸部材(4K,5K)などを有している。ローラ部3Kの周面には、ローラ軸線方向に延在する形状の複数の電極が、周方向(回転方向)に所定のピッチで並ぶように形成されている。これら電極のうち、周方向において1個おきに並んでいるもの同士は、互いに同じ電位状態にされる電気的に同相の電極になっている。具体的には、ローラ部3Kの周面には、図6に示すように、A相電極3aKとB相電極3bKとが周方向に交互に並ぶように配設されている。A相電極3aKは、ローラ部3Kの軸線方向の一端まで延在しており、ローラ部3Kの一端には金属製のフランジ6Kが接続されている。この第1フランジ6Kにより、複数のA相電極3aKが互いに電気的に導通している。第1フランジ6Kの中心には、図示しない軸受けによって回転自在に支持される軸部材4Kが突設せしめられている。また、B相電極3bKは、ローラ部3Kの軸線方向の他端まで延在しており、ローラ部3Kの他端には金属製の第2フランジ7Kが接続されている。この第2フランジ7Kにより、複数のB相電極3bKが互いに電気的に導通している。第2フランジ7Kの中心には、図示しない軸受けによって回転自在に支持される軸部材5Kが突設せしめられている。
図5に示したトナー担持ローラ2Kは、現像装置内において、軸部材4K,5Kが回転自在に支持されながら回転駆動される。そして、図示のように、第1フランジ6Kには、搬送電源25KによってA相パルス電圧が印加される。この印加は、不動に固定された状態で回転する第1フランジ6Kに摺擦する図示しない摺擦電極を介して行われる。第1フランジ6Kに印加されたA相パルス電圧は、複数のA相電極3aKにそれぞれ導かれる。また、第2フランジ7Kには、搬送電源25KによってB相パルス電圧が印加される。この印加も、不動に固定された状態で回転する第2フランジ7Kに摺擦する図示しない摺擦電極を介して行われる。第2フランジ7Kに印加されたB相パルス電圧は、複数のB相電極3bKにそれぞれ導かれる。
図7は、A相電極3aKに印加されるA相パルス電圧、及びB相電極3bKに印加されるB相パルス電圧の波形を示すグラフである。A相パルス電圧と、B相パルス電圧とは、図示のように互いに逆位相になっており、単位時間あたりにおける平均電位は互いに同じである。それぞれのパルス電圧の波形における中心位置で水平方向に延在している線が、この平均電位を示している。平均電位は、それぞれ、トナーとは逆極性であるプラス極性で、且つ感光体(82)の潜像電位(地肌部電位)と非画像部電位(露光部電位)との間の値(例えば+400V)になっている。これにより、A相電極3aKやB相電極3bKは、平均的にトナーとは逆極性で且つ静電潜像と非画像部との間の電位を帯びる。このようなパルス電圧(例えば下側ピーク=+250、上側ピーク=+500V、周波数=1msec)がそれぞれの電極に印加されると、トナー担持ローラ2Kにおけるローラ部3Kの表面上のKトナーが、A相電極3aK上とB相電極3bK上との間を往復移動するように繰り返しホッピングする。以下、トナー担持ローラ2Kの表面上でトナーが所定の周期でホッピングを繰り返している状態をフレア(Flare)という。
なお、図示のような矩形波状のパルス電圧では、極性が瞬時に切り替わるため、トナーに対して大きな静電力を付与することが可能である。但し、サイン波状のパルス電圧や三角波状のパルス電圧を採用してもよい。
また、一方の軸部材(電極)に周波数fの矩形波状のパルス電圧を印加する一方で、もう一方の軸部材(電極)には、前記パルス電圧の平均電位となる直流電圧を印加しても、逆位相のパルス電圧を採用する場合と同様に、フレア現象を生起せしめることが可能である(図8)。
ローラ部3Kの周面におけるA相電極3aK上とB相電極3bKとの間をホッピングによる往復移動の繰り返しで、ローラ部3Kの周面上にフレアを形成しているKトナーは、トナー担持ローラ2Kの回転駆動により、感光体(82)に対向する現像領域まで搬送される。そして、現像領域にて、その放物線状のホッピング軌跡の頂点付近で感光体の静電潜像の近傍に至ると、静電潜像の静電気力によって引かれながらホッピング軌跡から外れて、静電潜像に付着する。これに対し、放物線状のホッピング軌跡の頂点付近で感光体の地肌部の近傍に至ると、ホッピング軌跡から外れることなく下降して、ローラ部3Kの表面付近まで下降する。
なお、図6に示したように、ローラ部3Kの表面には、絶縁材料からなる表面保護層3dKを設けている。この表面保護層3dKにより、KトナーとA相電極3aKやB相電極3bKとの直接接触を回避することで、電極からKトナーへの電荷注入の発生を回避している。
以上の構成の現像装置1Kにおいては、ホッピングによってローラ部3Kとの吸着力が解かれた状態のKトナーを現像に用いることで、現像ローラや現像スリーブを用いる1成分現像方式や二成分現像方式では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。
図6において、ローラ部3Kの基板3cKとしては、ガラス基板、樹脂基板、セラミックス基板等の絶縁性材料からなる基板、ステンレス等の導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したもの、ポリイミドフィルム等の変形可能な材料からなる基板などを用いることができる。実施形態に係る画像形成装置では、基板3cKとして、膜厚0.1[mm]のポリイミドフィルムを使用し、このポリイミドフィルムをアルミ製のローラに巻きつけることで、ローラ状のフィルムを得た。
A相電極3aKやB相電極3bKについては、次のようにして作成した。即ち、まず、基板3cK上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜10[μm]、好ましくは0.5〜2.0[μm]の厚みで成膜してから、これをフォトリソグラフィー技術等によって所要の電極形状にパターン化して各電極を得た。これらの電極の幅W(ローラ表面移動方向の長さ)については、トナーの体積平均粒径の1倍以上20倍以下とすることが望ましい。本実施形態では、電極の材料としてAlを使用し、これを2[μm]の厚みで成膜した。幅Wについては、50[μm]とした。
表面保護層3dKとしては、例えばSiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5などを厚さ0.5〜10[μm]、好ましくは厚さ0.5〜3[μm]で成膜して形成している。また、無機ナイトライド化合物、例えばSiN、Bn、Wなどを用いることができる。実施形態では、SiO2を使用して、膜厚3[μm]で形成した。
先に示した図4において、現像領域で現像に寄与しなかったKトナーは、トナー担持ローラ2Kの回転に伴ってケーシング11K内に戻った後、トナー担持ローラ2Kのローラ部3Kと弾性ローラ15Kとが当接する供給領域に戻る。そして、戻ったKトナーの一部は、この供給領域においてトナー担持ローラ2Kから弾性ローラ15Kに回収される。Kトナーはホッピングによってローラ表面との付着力を発揮していないので、トナー担持ローラ2Kに対してカウンター方向に摺擦する弾性ローラ15Kによって容易に掻き取られたり均されたりするからである。同時に、新しいKトナーが弾性ローラ15Kからトナー担持ローラ2Kに供給される。このような掻き取り回収、均し、及び供給の相乗作用により、トナー供給領域を通過した後のトナー担持ローラ2K表面上では均一量のトナーがホッピングするようになる。
先に示した図3において、ビデオ信号処理部302では画像処理装置301によって処理された画像データを受け取る。そして、光書込装置100のLDの個数分のデータをラインメモリ上に記憶し、ポリゴンミラーの回転に同期した同期信号に合せて、各画素に対応するラインメモリ上のデータを所定のタイミング(画素クロック)で、PWM制御部へと引き渡す。なお、実施形態では、LDの個数は各色とも1つずつである。PWM制御部では、前述のデータをパルス幅変調(PWM)信号に変換した後、LDドライバに引き渡す。LDドライバは、このパルス幅変調信号に対応して所定の光量でLD素子を光変調駆動する。実施形態では、各色成分の出力用画像データに対応して、パルス幅変調(PWM)制御を行い、LDの光変調駆動を行うようになっている。
LDから発せられたレーザー光は、コリーメートレンズにおいて平行光を形成するようになり、アパーチャ−により所望のビーム径に対応する光束に切り取られる。アパーチャー通過後の光束はシリンドリカルレンズを通過し、ポリゴンミラーへと入射される。ポリゴンミラーで反射された光束は、走査レンズ(f−θレンズ)によって集光されて、折り返しミラーで折り返したあとに、上述の感光体位置上で結像するようになっている。実施形態に係るプリンタでは、LDによる光書込みを解像度600[dpi]で行っている。また、PWMについては、8[bit]の自由度を持つようにしてある。但し、後述する画像処理装置301において、オリジナル画像データは擬似中間調処理での量子化後には、600[dpi]、4[bit]のデータに変換されることになる。このため、PWMの8[bit]中の4[bit]を出力用の画像データ(擬似中間調処理後のデータ)に対応づけて、LDの発光を制御するようになっている。従って、LDの発光の仕方としては出力用の画像データに対応した4bit分(光らない状態を含めて16通り)となる。
以上のようにして光変調されたレーザー光が、書込装置100によって、ベ感光体82上で走査され、感光体82上に所望の画像に対応した静電潜像が形成される。なお、感光体82上にトナー層が付着していないときの全画素露光後の電位(画像では正規現像のため白地部に相当)は、+200[V]となるように、レーザビームの光強度が調整されている。
図9は、画像処理装置301の電気回路を示すブロック図である。同図において、デジタル画像信号からなるオリジナル画像データは、R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)の各色8[bit]ずつの階調データを具備しており、色補正手段301a’によってCMYKの各色8[bit]ずつの階調データに変換される。DLUT(Direct Look up Table)と呼ばれる方法でCMYKデータへの変換を行っている。
DLUTは、入力色空間(RGB)を小さな単位立方体に分割し、各格子点に対応した出力値(CMYK)を後述する方法によって決定しておき、DLUT形式で保持しておくようにしてある。格子点以外の入力値については、補完演算により計算する。本画像形成装置では、この補完演算法として、4面体補完(Tetrahedral補完)を用いておこなっている。4面体補完は、単位立方体を6つの単位四面体で分割して補完演算を行うものである。このような方法により、CMYKの各色8[bit]ずつの階調データを得ている。
DLUTの作成を行うためには、色予測モデルを構築する必要がある、発明者らは、CMYKの各色ごと10段階の階調ステップについて、全ての組み合わせに対して、単色特性データおよび混色特性データを用意した。つまり5000通りのカラーパッチを、実際に感光体上色重ね方式の実験機を用いて紙上に形成して、自動測色機にてLab値の測色を行い、この色予測モデル構築のために使用した。色予測モデルの構築は、5000パッチ分の測色データに対して、重回帰モデルを用いて統計処理することで行っている。このようにして、構築した色予測モデルを用いて、上述したDLUTの各格子点の値を計算することで、DLUPの作成を行った。
色補正手段301a’によって4色に分解された信号は、メモリ301bに一旦記憶される。そして、メモリ301bに記憶された信号が階調補正手段301c、ディザ処理手段301dを順次経由して、出力用画像データとなる。階調補正手段301cでは、1次元のLUT(ルックアップテーブル)であるγテーブルを用いて、CMYKデータ(8bit)からCMYKデータ(8bit)への変換を行う。これにより、予め設定されている所定の入出力関係(あらかじめ設定されている、色補正後のCMYKデータに対する感光体上のトナー付着量、または付着量を代用検知する反射センサの出力値との関係)に一致させるといった役割を果たす。環境変動や経時変動などの変動要因によって入出力関係が変動してしまうことを、吸収して補正するために行われる。
階調補正手段301cは、後段のディザ処理手段301dにおいてプリンタγ補正機能をもつディザ処理が行われるため、γ特性を補正するような階調補正は行わず、上述したような環境変動や経時変動などの変動要因によって入出力関係が変動してしまうことを吸収するための補正を行う。このため、階調補正手段301cでの階調損失は大きくはない。
擬似中間調処理を行うディザ処理手段301dでは、ディザマトリクスと呼ばれる閾値データが記入されたマトリクスをデータ記憶手段に記憶している。そして、階調補正手段301cによって変換されたCMYKデータの個々の画素の階調データと、ディザマトリクスに記載されている閾値データとの比較を行いながら擬似中間調処理を行う。このディザ処理により、CMYKの各8[bit]のデータからCMYKの各[4bit]のデータへと変換される。
ディザ処理では、ドットの出力のオンオフを平面的に周期的な構造パターンを単位として制御するいわゆるドットスクリーンディザとよばれるディザマトリクスを適用している。ディザマトリクスの周期構造を特徴づける数値として、スクリーン角度およびスクリーン線数が一般的に採用される。
図10は、ディザマトリクスを示す模式図である。このディザマトリクスにおけるスクリーン角度やスクリーン線数は、次の数1、数2の式によって求められる。
図示のような2次元の周期構造を持つディザマトリクスは、次の数3、数4で示される2次元の主ベクトル及び副ベクトルで表される。
これら主ベクトル、副ベクトルを用いて、実施形態に係る画像形成装置に用いられるディザマトリクス(CMYKの4色)の組み合わせを記載すると表1のようになる。
表1において、a0x,a0y,a1x,a1yの4つの整数は、それぞれ、図10における主ベクトルのx成分、主ベクトルのy成分、副ベクトルのx成分、副ベクトルのy成分に、対応している。実施形態の画像形成装置は、解像度600[dpi]の画像を形成するものである。このため、表1に示される周期構造を実現すると、表1に示されるスクリーン線数になる。表1におけるXsize、Ysize、は、それぞれディザマトリクスのX方向およびY方向の大きさ(画素数)を表している。また、量子化数は、ディザマトリクスが何bitのディザ処理を行うのかを表している。
以下、図10における太線で囲った領域を、ディザマトリクスの「セル」と言う。1つセルは、ディザマトリクスの周期構造の1周期単位を意味する。つまり、ディザマトリクスは、この1セルを繰り返したような構造になっている。1セルの形状は1義的に決まるわけではなく、様々な形状を取りえる。但し、1セルに含まれる画素の個数Ncellは、「Ncell=|主ベクトルと副ベクトルの外積|=|a01*a1y−a0y*a1x|」という式で求められる。
本画像形成装置では、ディザ処理手段301dで使用されるM,Y,C,K用のディザマトリクスのうち、少なくとも1色分については、後述するマトリクス作成方法で作成された第3ディザマトリクスを用いるようになっている。この第3ディザマトリクスの処理対象となる画像データの1画素あたりにおける階調数は、256階調(8bit)である。また、第3ディザマトリクスの元となる第1ディザマトリクスの処理対象となる画像データの1画素あたりにおける階調数は、第3ディザマトリクスよりも多くなっている。第1ディザマトリクスにおいて、全てのマス目に対してそれぞれ異なる閾値を入力する場合には、第1ディザマトリクスの階調数Lは、「L=N×(Q−1)+1」という式によって求められる。この式において、Nは、第1ディザマトリクスのマス目数(画素数)を示している。また、Qは、ディザ処理の量子化数を示している。
以下、K色のディザマトリクスを例にして説明する。第1ディザマトリクスと、これを元にして作成される第3ディザマトリクスとでは、ディザマトリクスのサイズ(マトリクスを構成する画素数)や、ディザ処理の量子化数が互いに同じである。両者では、個々のマス目における閾値の値や、全マス目における閾値の範囲が異なっている。K色の第1ディザマトリクの画素数N、量子化数Qは、表1に示すように、N=8×8、Q=16となっている。これらを「L=N×(Q−1)+1」の式に代入すると、K色の場合、第1ディザマトリクスの階調数は最大で961階調となる。そこで、実施形態に係るディザマトリクス作成方法においては、まず、第1マトリクス作成工程にて、961階調に対応するマス目数が960の第1ディザマトリクスを作成する。各マス目には、それぞれ互いに異なる閾値を入力する。
第1マトリクス作成工程で作成された第1ディザマトリクスの一例を図11に示す。この第1ディザマトリクスは、Level=0〜Lebel=14の15個のサブマトリクスからなっており、それぞれのサブマトリクスは、8マス×8マス=64マスという構造になっている。
一方、実際にディザ処理手段301dは、4bit(0〜15)のディザ処理を行うようになっている。4bitのディザ処理を行うためには、レベル0〜レベル14の15レベルにあらかじめ設定された閾値データが必要になる。このため、第3ディザマトリクスも、第1ディザマトリクスと同様に、15のサブマトリクスから構成される。
第1ディザマトリクスの作成方法の一例は次の通りである。即ち、まず、各サブマトリクス内のセルの優先順位を決定した後、1セル内において1セルを構成するマス目(画素)の優先順位を決定する。そして、最も優先順位の高いセルの最も優先順位の高いマス目から順に小さな値の閾値を入力する。次いで、2番目に優先順位の高いセルの最も優先順位の高いマス目に対して、その次に小さな値の閾値を入力する。同様の手順を繰り返し、全てのセルに対してそれぞれ最も優先順位の高いマス目に閾値を入力したら、各セルについて、閾値の入力対象を次に優先順位の高いマス目に切り替える。そして、同様の手順を繰り返していき、全てのマス目を閾値で埋める。
このようにして第1ディザマトリクスを作成したら、次に、第2マトリクス作成工程を実施して、第1ディザマトリクスを元にした第2ディザマトリクスを作成する。この第2ディザマトリクスも、第1ディザマトリクスと同様に、15個のサブマトリクスからなるもので、それぞれのサブマトリクスは8マス×8マス=64マスになっている。第1ディザマトリクスと異なっているのは、処理対象となる画像データの階調数である。第2ディザマトリクスでは、0〜255という256階調の画像データを処理対象にしている。このため、サブマトリクスに入力される閾値の範囲は、0〜254になっている(ディザマトリクスに記入される閾値の種類数は、階調数より1つ少ない)。0〜254という255通りの数値に対し、マス目の数は960であるので、3〜4マスずつに、それぞれ同じ値の閾値が入力される。但し、ディザマトリクスの階調数と入力画像データ(オリジナル画像データ)の階調数とが必ずしも同じである必要はない。第2ディザマトリクスの階調数は、入力画像データの階調数よりも大きくなることは許されないが、小さい分には特に問題は生じないからである。出力画像において階調のステップ(段差)を重視しないのであれば、例えば200階調や150階調などであってもよい。出力画像の種類などによっては、このような階調数でも十分であるケース十分にあり得る。一般的な階調数に合わせて、人間の視覚特性(階調の分解能)の観点から256階調程度に設定することが望ましい。
K色において、第1ディザマトリクスからディザ処理手段301dで使用する第3ディザマトリクスを生成するためには、プロセスユニットの階調特性を調べる必要がある。この階調特性を採取するために、0〜254の閾値がほぼ同じ数だけ配置されているような、階調特性採取用の第2ディマトリクスを生成するのである。第1ディザマトリクスにおいて、0〜960という閾値の何れかが入力された個々のマス目について、その閾値を全体の閾値範囲における昇順に合わせて、0〜254の閾値の何れかを割り当てるのである。同じ値の閾値を3〜4マスずつに割り当てるので、例えば、957〜960の閾値が入力されたマス目に対して254という閾値を割り当て、954〜956の閾値が入力されたマス目に対して253という閾値を割り当て・・・・0〜3の閾値が入力されたマス目に対して0という閾値を割り当てるといった具合である。
このようにして第2ディザマトリクスを作成したら、実施形態に係る画像形成装置と同様のプリンタ試験機を用意して、そのプリンタ試験機のディザ処理手段301dに、作成した第2ディザマトリクスを記憶させる。そして、0〜255階調という256通りの階調部(それぞれ大きさは1cm×1cmの面積)を具備する黒単色のテスト画像をプリンタ試験機でテストプリントする(テストプリント工程)。
そして、このテストプリント工程で得られたテスト画像の各階調部の画像濃度を測定した結果に基づいて、画像面積の増加に伴う画像濃度の増加の鈍化が認められる階調領域の上限値を特定する(上限値特定工程)。具体的には、テストプリントしたテスト画像における各階調部の明度を、X−Rite社製の分光測色濃度計モデル939によって測定する。図12は、テスト画像の各階調部の画像濃度(明度L*0の値からパッチの明度L*を引いた値)と、ディザ処理手段301dに入力された各画素についての階調値との関係を示すグラフである。プリンタ試験機では、地汚れを生じない程度に非現像ポテンシャルを十分に大きくとっていることから、ハイライト領域において、階調表現できなくなる階調領域が発生する。図示のように、全体の階調数の3.75分の1程度が、かかる階調領域に該当し、階調値の範囲としては、960階調中の0〜256に相当する。つまり、鈍化階調値領域が961階調中の0〜257となるのである。この領域における257に対応させて、256(ディザマトリクス上では階調値が1つ小さくなる)を鈍化階調領域の上限値として特定する。
このようにして鈍化階調領域の上限値を特定したら、第1ディザマトリクスにおける各マス目のうち、閾値が256(上限値)以下であるマス目の全てについて、閾値を第3ディザマトリクスの閾値範囲である0〜254という狭範囲における最小値である「0」に変換するとともに、残りのマス目の閾値をオリジナル画像の階調数に基づいて補正する。具体的には、残りの255〜960という範囲で分散している各閾値を、第3ディザマトリクスの閾値の範囲(狭範囲)である0〜254に対応する値に変換したものを、第3ディザマトリクスとする(第3マトリクス作成工程)。このとき、同じ閾値を割り当てるマス目の個数については、図13に示すグラフの逆関数に基づいて決定すればよい。
なお、960階調に対応する256という上限値は、255階調では68に相当する。つまり、オリジナル画像のデータが通常の256階調を表現しているものである場合、0〜68の階調値の領域では、出力画像の階調が変化しなくなるのである。
また、第3マトリクス作成工程において、第3ディザマトリクスを第1ディザマトリクスに代えて、第2ディザマトリクスを元にして、第3ディザマトリクスを作成してもよい。この場合、上限値特定工程において、第1ディザマトリクスに対応する0〜960という閾値範囲に代えて、第2ディザマトリクスに対応する0〜254という閾値範囲に基づいて、鈍化階調値領域の上限値を特定すればよい。上述の例では、この上限値は63になる。
以上の工程によって作成された第3ディザマトリクスの1例を図14に示す。本画像形成装置では、M,Y,Cについても、同様の第3ディザマトリクスを用いるようになっている。
図15は、ディザ処理手段301dの内部回路を示すブロック図である。ディザ処理手段301dにおいて、CMYKデータ(8bit)からCMYKデータ(4bit)への変換方法は、次のようにして行われる。即ち、ディザマトリクス記憶部301d’には、CMYK4色の各色に対応するディザマトリクス(第3ディザマトリクス)があらかじめ記憶されている。このディザマトリクスは、上述したように、実施形態に係るディザマトリクス作成方法で作製された第3ディザマトリクスである。なお、CMYKのうち、何れか1色、2色、あるいは3色だけについて、第3ディザマトリクスを使用するようにしてもよい。
比較部301d"では、ディザマトリクス記憶部301d’に記憶されているディザマトリクスと階調補正手段(301c)から出力されるCMYKデータ(8bit)の値とを、1つ1つの画素について比較することで、各色4bit(16値)に変換されたCMYKデータ(出力用画像データ)を得る。具体的には、まず、1つの画素に注目して、階調補正処理後のCMYKデータにおける階調値(以後DATA値と略す)と、1枚目のディザマトリクスの注目するマス目に対応する閾値との比較を行う。DATA値が閾値よりも大きければ2枚目の閾値との比較をおこなう。以後DATA値が閾値よりも大きい限り、レベル1、レベル2、と比較を繰り返す、そしてはじめてDATA値が閾値以下となったのがN枚目のディザマトリクスであったとする。この場合、その画素のディザ処理後の値を(N−1)の値に変換する。もし、DATAが15枚目の閾値よりも大きければ、その画素のディザ処理後の値を15の値に変換する。このような変換をおこなうことで、入力データを、0〜15(4bit)のレベルをもつデータに変換する。
なお、本画像形成装置においては、0〜255という8[bit]の階調データのうち、4[bit]をディザ処理による面積階調で処理しつつ、残りの4[bit]をLDの書込強度の調整(0〜15の16段階)に変化させることで、256階調を実現している。つまり、例えば、Lebel=5のサブマトリクスを選択した画素では、そのサブマトリクスの各マス目の閾値によって4[bit]同等の面積階調を行うとともに、LDの書込強度をLebel=5に相当するものに設定することで、残りの4[bit]の多値階調表現を実現している。
図16は、実施形態に係る画像形成装置によって出力されたテスト画像の各階調部と画像濃度との関係を示すグラフである。このグラフからわかるように、階調変化の起こらない領域を排除した、入出力特性を実現することができる。また、図16のグラフから明らかなように、入力データの0〜255の値のすべてについて、出力画像の階調を実際に変化させており、階調損失を回避し、且つ繊細な階調再現性を維持することができている。これは次に説明する理由による。即ち、例えば図12のような特性のある画像形成装置において、256階調に対応する通常のディザマトリクスを用いた場合、オリジナル画像データにおける0〜68という階調値の領域では、実際に出力される画像に階調の変化が殆ど認められなくなる。これに対し、69〜255という階調値の領域では、階調値と実際に出力される画像の階調との関係を示すグラフの傾きがかなり急になる。階調値の変化に対する出力画像の階調の変化率が非常に大きくなってしまうのである。一方、実施形態に係る第3ディザマトリクスを用いれば、通常のディザマトリクスで出力画像の階調の変化率が非常に大きくなってしまう69〜255という階調値の領域を、1〜255というより広範囲の領域に拡張することから、繊細な階調再現性を維持することができるのである。
次に、第1実施例に係る画像形成装置について説明する。なお、以下に特筆しない限り、第1実施例に係る画像形成装置の構成は、実施形態と同様である。実施形態に係る画像形成装置との差異は、ディザ処理手段301dで使用するディザマトリクスが異なるといった点である。第1実施例に係る画像形成装置では、ディザマトリクスとして、6[bit]ディザマトリクスを用いる。第3ディザマトリクスであるこの6[bit]ディザマトリクスにおいては、同一のサブマトリクス内では、各セル内に同じ閾値数列が入力されている。この閾値数列とは、セル内の各マス目について、ドットの出力が最優先されるマス目の閾値、2番目に優先されるマス目の閾値・・・という順で、閾値を並べたものである。かかる閾値数列が同一のサブマトリクス内において、各セルで全く同じになっているのである。
光書込みのPWMにおいては、PWMの8[bit]中の6bitを出力用画像データ(擬似中間調処理後のデータ)に対応づけて、LDの発光を制御するようになっている。このため、LDの発光の仕方としては出力用画像データに対応した6[bit]分(光らない状態を含めて64通り)となる。つまり、第1〜第3ディザマトリクスはそれぞれ、Lebel=0〜Lebel=62の63個のサブマトリクスを具備したものである。
第1実施例に係る画像形成装置に使用されるディザマトリクスにおけるCMYKのスクリーン線数・角度、およびディザサイズ・量子化数を次の表2に示す。
スクリーン線数・角度は実施形態(表1)と同じである。当然のことであるが、スクリーン線数・角度は6[bit]ディザマトリクスであっても変わることはない。ディザサイズは、第1ディザマトリクスの階調数を決定することになるので、6[bit]ディザマトリクスの場合に、階調数が十分大きく取れるのであれば、小さなディザマトリクスサイズであっても構わない。
K色のディザマトリクスの場合、第1ディザマトリクスにおける1セルあたりの階調数Lcellについては、「Lcell=Ncell×(Q−1)+1」という数式で求めることができる。この数式において、Ncellは、第1ディザマトリクスの1セルを構成する画素数を示している。また、Qは、ディザ処理の量子化数を示している。サブマトリクスとして8マス×8マスのものを用い、1セルの画素数を8画素とする場合には、505階調となる(8×(64−1)+1)。505階調であれば、鈍化階調値領域を1つの階調としてまとめても、残りの領域で256階調以上を十分に確保することができる。
第1実施例では、このように、505階調の階調数を有する第1ディザマトリクスから256階調の階調数を有する第2ディザマトリクスや第3ディザマトリクスを作成する。同一のサブマトリクスの各セルにおける閾値数列については同じにしているので、テクスチャーと呼ばれる、画像の低周波数成分が知覚されてしまうという不具合の発生を防ぐことができる。
次に、第2実施例に係る画像形成装置について説明する。なお、以下に特筆しない限り、第2実施例に係る画像形成装置の構成は、実施形態と同様である。
図17は、第2実施例に係る画像形成装置のK用の現像装置1Kを示す概略構成図である。同図において、現像装置1Kのトナー担持ローラ2Kは、回転不能に固定されている。また、トナー担持ローラ2KにKトナーを供給する弾性ローラ15Kは、トナー担持ローラ2Kに対して非接触に配設されている。トナー担持ローラ2Kと、図示しない感光体との間の現像ギャップは、0.20[mm]である。弾性ローラ15Kは、326[rpm]の回転速度で回転駆動される。弾性ローラ15Kとトナー担持ローラ2Kとの間に、1.3[kV]の電位差を設けることで、弾性ローラ15Kからトナー担持ローラ2KにKトナーを供給するようになっている。
トナー規制部材22Kは、弾性ローラ15K上のトナー層厚を規制する役割を担うとともに、トナー層中のKトナーを摺擦によって摩擦帯電させる役割も担っている。弾性ローラ15Kにより、トナー担持ローラ2Kには、0.5[mg/cm2]のトナーが供給される。
図18は、トナー担持ローラ2Kのローラ部3Kと、感光体82とを示す拡大構成図である。ローラ部3Kでは、周方向において、A相パルス電圧が印加されるA相電極3ak、B相パルス電圧が印加されるB相電極3bK、C相パルス電圧が印加されるC相電極3cKが、その順で繰り替えし配設されている。それぞれのパルス電圧は、図19に示すように、互いに位相した繰り返しパルス電圧であり、ピーク・ツウ・ピーク電圧、下側のピーク電圧(+250V)、上側のピーク電圧(+550V)、周波数が互いに同じになっている。このようなパルス電圧を、それぞれの相の電極に印加すると、トナー担持ローラ2Kの表面上において、KトナーがA相電極3aK上からB相電極3bK上へ、B相電極3bK上からC相電極3fK上へ、C相電極3fK上からA相電極3aK上へ、といった具合に、繰り返しホッピングする。これにより、Kトナーは、トナー担持ローラ2Kの表面上において、弾性ローラ15Kによるトナー供給領域から現像領域に向けて、繰り返しのホッピングによって移動していく。本画像形成装置では、このようにして、トナー担持ローラ2Kの表面上のトナーを、トナー担持ローラ2Kの表面移動によらず、Kトナーのホッピングによって、トナー供給領域から現像領域まで搬送するようになっている。また、現像領域で現像に寄与しなかったトナーを、繰り返しのホッピングによって、現像領域から弾性ローラ15Kとの対向領域まで搬送するようになっている。
図20は、搬送電源25Kの内部回路を示すブロック図である。搬送電源25Kは、パルス信号を生成出力するパスル信号発生回路25K’を有している。また、このパルス信号発生回路25K’からのパルス信号に基づいてA相パルス電圧Va,B相パルス電圧Vb、C相パルス電圧Vcを生成するA相波形増幅器25aK",B相波形増幅器25aK",C相波形増幅器25cK"も有している。パルス信号発生回路25K’は、例えばロジックレベルの入力パルスを受けて、各120°に位相シフトした1組み(3つで1組み)パルスで、次段の波形増幅器に含まれるスイッチング手段、例えばトランジスタを駆動して100〜600[V]のスイッチングを行うことができるレベルの出力電圧10〜15[V]のパルス信号を生成して出力する。これにより、図19に示したような、ピーク間電圧300Vであって、デューティー比が50%の交流成分に、+400Vの直流成分を重畳したVa、Vb、Vcが生成される。それぞれのパルス電圧(Va、Vb,Vc)の周波数は667[Hz]である。かかる構成において、現像バイアスは、ピーク間の中心値である+400[V]となる。
A相違電極3aK、B相電極3bK、C相電極3fKの電極ピッチは、3つまとめると150[μm](個々の電極ピッチは50μm)になっている。パルス電圧の周波数が667[kHz]であるため、Kトナーの移動速度は100[mm/sec]となる。トナー担持ローラ2Kのローラ部3Kの表面上におけるトナー量は、約0.5[mg/cm2]であるので、トナー担持ローラ2Kのローラ部3K上におけるトナー搬送量は、5mg/cm・secとなっている。
これに対して、現像領域通過後の感光体上のトナー付着量は上述したように0.5[mg/cm2]、感光体の線速は100[mm/sec]であるので、画像領域ではトナー担持ローラ2Kに保持されている全てのKトナーが感光体82側に移動することになる。
なお、第2実施例に係る画像形成装置のトナー担持ローラ2Kを、実施形態と同様に回転させてもよい。この場合、例えば、トナー担持ローラ2Kの線速を50[mm/sec]にすれば、トナーの移動速度をホッピングによるものと合わせて150[mm/sec]にまで引き上げることが可能になる。このため、トナー担持ローラ2K上のトナー付着量を0.33[mg/cm2]になるように、弾性ローラ15Kとトナー担持ローラ2Kとの電位差を設定すればよい。例えば、1.2[kV]程度である。