JP4921952B2 - 蓄熱槽及び蓄熱空調システム - Google Patents
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Description
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る蓄熱空調システムは、一般住宅やオフィス等、空調の対象になる各種の空間(以下、空調対象空間)に対する空調を行うためのシステムに関する。ここで、空調対象空間としては、1つの領域として区画された空間の他、複数の領域や、あるいは、明確な区画のない開放又は半開放領域を含む。
次に、本発明に係る蓄熱槽の各実施の形態の具体的内容について説明する。
まず、本発明の実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、蓄熱媒体が熱搬送媒体を兼ねる蓄熱槽の基本的形態である。
最初に、蓄熱槽1の構造について説明する。図1は本実施の形態1に係る蓄熱槽1の縦断面図、図2は図1の蓄熱槽1のA−A矢視図である。この蓄熱槽1は、複数の槽10〜13を備えて構成されており、最内側の槽10には送水管2が挿通されると共に、最外側の槽13には取水管3が挿通されている。これら送水管2及び取水管3は、上述の循環管路を構成するもので、図示しない熱源機にて加熱又は冷却された水(又は図示しない空調機にて熱交換を終えた水)が送水管2を介して蓄熱槽1に導入されると共に、当該蓄熱槽1に導入された水が取水管3を介して空調機又は熱源機に導入される。
次に、蓄熱槽1の組立て方法について説明する。蓄熱槽1は、工場等にて組み立てることもできるが、設置現場において容易に組み立てることも可能である。例えば、設置現場において組み立てる場合、当該現場に最外側の槽13と及び他の各槽10〜12を搬入する。ここで、各槽10〜12は、可撓性素材から形成されているので、折り畳まれたコンパクトな状態で取り扱うことができる。そして、最外側の槽13の内部に槽12を入れ、この槽12の内部に次の槽11を入れ、同様に槽11の内部に次の槽10を入れ込む。
このように本実施の形態1によれば、蓄熱槽1に設けた複数の槽10〜13に対して水を順次回流させることができるので、蓄熱槽1の内部に導入された水のショートサーキットを防止することができる。また、送水管2又は流出口10c〜12cを介して各槽10〜13に導入された水が、当該槽10〜13の内部を経由して次段に至るので、各槽10〜13の内部にくまなく水を回流させることができ、死水領域の発生を低減又は防止できる。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、各槽の相互間隔を維持するためのスペーサを配置した形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
最初に、蓄熱槽20の構造について説明する。図3は本実施の形態2に係る蓄熱槽202の縦断面図、図4は図3のB−B矢視断面図である。蓄熱槽20の各槽11〜13の内部空間には、スペーサ21が設けられている。このスペーサ21は、各槽10〜13の相互間隔を維持するための間隔維持手段であり、例えば、複数の脚部21aと保持部21bとから棚状に構成されている。
次に、蓄熱槽20の組立て方法について説明する。最外側の槽13を設置した後、この槽13の内部にスペーサ21を配置してから、この槽13の内部に前段の槽12を配置する。以降、同様に、スペーサ21と槽11、10とを交互に配置する。その他の手順は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
このように本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の基本的効果に加えて、各槽10〜13の相互間隔をスペーサ21にて維持すると共に、各槽10〜13の槽壁を略水平状に維持することで、各槽10〜13の内部における水の流路を所望の形状に維持しておくことができて、水の滞留を防止することができる。
次に、本発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3は、実施の形態2とは異なる形状のスペーサを用いた形態である。なお、実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて実施の形態2の構成と略同一であり、実施の形態2の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態2で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
このように本実施の形態3によれば、実施の形態2と同様の効果に加えて、蓄熱槽30の内部の受容部10a〜13aの容積を自由に調整することができると共に、1つのスペーサ31の体積や重量を低減してその取扱いを一層容易とすることができる。
次に、本発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4は、実施の形態2とは異なる形状のスペーサを用いた形態である。なお、実施の形態4の構成は、特記する場合を除いて実施の形態2の構成と略同一であり、実施の形態2の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態2で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
このように本実施の形態4によれば、実施の形態2と同様の効果に加えて、各槽11〜13の内部のスペーサ41を分割配置することで、各槽11〜13の内部における水の流動性を一層高めることができると共に、1つのスペーサ41の体積や重量を低減してその取扱いを一層容易とすることができる。
次に、本発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5は、スペーサを各槽に一体に設けた形態である。なお、実施の形態5の構成は、特記する場合を除いて実施の形態2の構成と略同一であり、実施の形態2の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態2で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
このように本実施の形態5によれば、実施の形態2と同様の効果に加えて、各槽10〜13にスペーサ51を一体化させることで、スペーサ51を独立して取り扱う必要がなくなり、蓄熱槽50の組立を一層容易に行なうことができる。
次に、本発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態6は、蓄熱媒体が熱搬送媒体との間で熱交換する蓄熱槽の基本的形態である。なお、実施の形態6の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
最初に、蓄熱槽60の構造について説明する。図10は本実施の形態6に係る蓄熱槽60の縦断面図である。蓄熱槽60の各槽10〜13の内部空間には、潜熱蓄熱材(PCM)61が配置されている。そして、各槽10〜13に導入された水は、この潜熱蓄熱材61の周囲を回流することにより、当該潜熱蓄熱材61の間で熱交換を行なう。このように、蓄熱槽60に導入された冷水の冷熱又は温水の温熱を潜熱蓄熱材61に蓄熱でき、蓄熱密度の向上を図ることができる。特に、潜熱蓄熱材61を用いることで、相変化に伴う潜熱を利用することで見かけの比熱が高くなり、蓄熱密度の一層の向上が図られている。
次に、蓄熱槽60の組立て方法について説明する。最外側の槽13を設置した後、この槽13の内部に潜熱蓄熱材61を配置してから、この槽13の内部に前段の槽12を配置する。以降、同様に、潜熱蓄熱材61と槽11、10とを交互に配置する。その他の手順は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
このように本実施の形態6によれば、実施の形態1と同様の基本的効果に加えて、蓄熱槽60に導入された冷水の冷熱又は温水の温熱を潜熱蓄熱材61に蓄熱でき、蓄熱密度の向上を図ることができる。特に、潜熱蓄熱材61を用いることで、相変化に伴う潜熱を利用することで見かけの比熱が高くなり、蓄熱密度の一層の向上が図られている。また、潜熱蓄熱材61を小型容器61aに充填することで、その取扱いが容易になると共に、単位体積あたりの熱搬送媒体との接触面積を大きくでき、その凝固又融解を促進することができる。
次に、本発明の実施の形態7について説明する。この実施の形態7は、各槽の内部に潜熱蓄熱材とスペーサの両方を配置した形態である。なお、実施の形態7の構成は、特記する場合を除いて実施の形態2又は実施の形態6の構成と略同一であり、実施の形態2又は実施の形態6の構成と略同一の構成についてはこれら実施の形態2又は実施の形態6で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
最初に、蓄熱槽70の構造について説明する。図11は本実施の形態6に係る蓄熱槽70の縦断面図である。蓄熱槽70の各槽10〜13の内部空間には、スペーサ21及び潜熱蓄熱材61が配置されている。ここで、スペーサ21は実施の形態2と同様に形成されており、潜熱蓄熱材61は実施の形態5と同様に小型容器61aの内部に収容されている。ただし、この小型容器61aは、中空球状ではなく中空円筒状に形成されている。そして、スペーサ21の上面に各槽10〜13の槽壁が水平状に保持され、この槽壁の上面に潜熱蓄熱材61が載置されている。ただし、この他にも、スペーサ21から潜熱蓄熱材61を吊り下げるように配置してもよい。
次に、蓄熱槽70の組立て方法について説明する。最外側の槽13を設置した後、この槽13の内部に潜熱蓄熱材61とスペーサ21とを順次配置してから、この槽13の内部に次順の槽12を配置する。以降、同様に、潜熱蓄熱材61とスペーサ21とを配置してから、槽11、10を配置する。その他の手順は、実施の形態2又は実施の形態6と同様であるので説明を省略する。
このように本実施の形態7によれば、実施の形態2及び実施の形態6と同様の効果を同時に得ることができる。
次に、本発明の実施の形態8について説明する。この実施の形態8は、各槽の内部に潜熱蓄熱材とスペーサの両方を配置した形態である。なお、実施の形態8の構成は、特記する場合を除いて実施の形態3又は実施の形態7の構成と略同一であり、実施の形態3又は実施の形態7の構成と略同一の構成についてはこれら実施の形態3又は実施の形態7で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
このように本実施の形態8によれば、実施の形態3及び実施の形態7と同様の効果を同時に得ることができる。
次に、本発明の実施の形態9について説明する。この実施の形態9は、各槽の槽壁に複数の空間部を設け、当該複数の空間部に潜熱蓄熱材を封入した形態である。なお、実施の形態9の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1及び実施の形態6の構成と略同一であり、実施の形態1及び実施の形態6の構成と略同一の構成についてはこれら実施の形態1及び実施の形態6で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
最初に、蓄熱槽90の構造について説明する。図13は本実施の形態9に係る蓄熱槽90の縦断面図、図14は図13の各槽の槽壁の要部斜視図である。蓄熱槽90の各槽10〜12の槽壁には、複数の空間部91が形成されており、各空間部91に潜熱蓄熱材61が封入されている。各槽10〜12の具体的製造方法としては、例えば、複数の凹部を有する第1のシートを準備し、この第1のシートの凹部に潜熱蓄熱材61を充填した後、この第1のシートの当該潜熱蓄熱材61側の面に対して平板状の第2のシートを重ね合わせて、これら第1のシートと第2のシートとを相互に溶着することで、各槽10〜12を製造することができる。
次に、蓄熱槽90の組立て方法について説明する。基本的には、実施の形態1と同様の手順にて、蓄熱槽90を組み立てることができる。ここでは、各槽10〜12に潜熱蓄熱材61が一体化されているので、各槽10〜12を組み入れることで、自動的に潜熱蓄熱材61を配置でき、潜熱蓄熱材61を独立して配置する手間を省略できるので、潜熱蓄熱材61を用いた蓄熱槽90の組立てを一層簡易化できる。
このように本実施の形態9によれば、実施の形態1及び実施の形態6と同様の効果を同時に得ることができる。さらに、潜熱蓄熱材61を独立して配置する手間を省略できるので、潜熱蓄熱材61を用いた蓄熱槽90の組立てを一層簡易化できる。
最後に、本発明の実施の形態10について説明する。この実施の形態10は、潜熱蓄熱材にてスペーサを兼ねるようにした形態である。なお、実施の形態10の構成は、特記する場合を除いて実施の形態5及び実施の形態9の構成と略同一であり、実施の形態5及び実施の形態9の構成と略同一の構成についてはこれら実施の形態5及び実施の形態9で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
このように本実施の形態10によれば、実施の形態5及び実施の形態9と同様の効果を同時に得ることができる。さらに、潜熱蓄熱材61を封入した空間部101によってスペーサを兼ねているので、スペーサを独立して配置する手間を省略でき、スペーサ及び潜熱蓄熱材61を用いた蓄熱槽100の組立てを一層簡易化できる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
また、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
実施の形態6から10においては、潜熱蓄熱材61を用いるものとして説明したが、凝固点や融点が異なる複数種類の潜熱蓄熱材61(またはこれらを混合して形成された蓄熱材)を用いてもよい。この場合には、様々な温度の熱搬送媒体に対して、効率的な蓄熱を行うことが可能になる。
上記各実施の形態においては、最内側の槽から最外側の槽に至る方向に熱搬送媒体が流動するものとして説明していたが、最外側の槽から最内側の槽に至る方向に流動させてもよい。この場合には、最外側の槽に送水管を挿入すると共に、最内側の槽に取水管を挿入することになる。
2 送水管
3 取水管
10〜12 槽
10a〜13a 受容部
10b〜12b 開口端部
10c〜12c 流出口
21、31、41、51 スペーサ
21a、41b 脚部
21b、41a 保持部
61 潜熱蓄熱材
61a 小型容器
91、101 空間部
Claims (7)
- 熱搬送媒体の流路を構成する複数の槽を備えた蓄熱槽であって、
前記複数の槽の中の最外槽以外の各槽を、当該各槽の1つ外側の槽に順次内包されるように配置することで、相互に入れ子状に配置し、
前記複数の槽の中の最外槽以外の各槽を可撓性素材から形成し、
前記複数の槽の各々には、前記熱搬送媒体を当該各槽から当該各槽に隣接する次順の槽に流出させるための流出口を形成し、
前記各槽の前記流出口と、当該各槽に隣接する次順の槽の前記流出口とを、相互に対向する位置に配置したこと、
を特徴とする蓄熱槽。 - 前記複数の槽の少なくとも一つの内部空間に、前記複数の槽の相互間隔を維持するためのスペーサを配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の蓄熱槽。 - 前記スペーサを、前記複数の槽の少なくとも一つの槽壁に一体に突設したこと、
を特徴とする請求項2に記載の蓄熱槽。 - 前記複数の槽の少なくとも一つの内部空間に、潜熱蓄熱材を配置したこと、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の蓄熱槽。 - 前記槽の槽壁に複数の空間部を設け、当該複数の空間部に前記潜熱蓄熱材を封入したこと、
を特徴とする請求項4に記載の蓄熱槽。 - 前記潜熱蓄熱材を封入した前記空間部にて、前記スペーサを形成したこと、
を特徴とする請求項2及び5に記載の蓄熱槽。 - 熱源と、空調機と、蓄熱槽とを、熱搬送媒体を流通可能に接続した蓄熱空調システムにおいて、
前記蓄熱槽として、請求項1から6のいずれか1項に記載の蓄熱槽を用いたこと、
を特徴とする蓄熱空調システム。
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