以下では特定の構成が説明されるが、これは単に例示目的であるものと理解されたい。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の構成を認識可能であろう。また、本発明は他にさまざまな応用が可能であることも当業者に明らかであろう。
本明細書は、光ビームにおけるビーム指向性エラー、ビーム位置エラー、ビームサイズエラー、ビーム発散度エラーのうち1つまたは複数の変動制御に関連する本発明の特徴を組み入れた1つまたは複数の実施形態を開示する。開示された実施形態は、本発明を例示するものにすぎない。本発明の範囲は開示された実施形態に限定されない。本発明は請求項により定められる。
以下で「一実施形態」、「一実施例」等の表現を用いる場合には、実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含んでもよいことを示すにすぎないものであり、当該特徴、構造または特性がすべての実施形態に含まれなければならないことを意味するのではない。またこれらの表現は同一の実施形態を必ずしも指し示すものでもない。さらに、一実施形態に関連して特定の特徴、構造、または特性が説明される場合には、明示的に説明されているか否かによらず当業者の知識により他の実施形態においても当該特徴、構造または特性が有効であるものと理解されたい。
本発明の実施形態は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、またはこれらの組合せの形式で具現化されてもよい。本発明の実施形態は、1つまたは複数のプロセッサにより読取かつ実行可能である機械読取可能媒体に記憶された命令として具現化されてもよい。機械読取可能媒体は、機械(例えばコンピュータ)により読取可能な形式で情報を記憶または伝送するいかなる機構も含んでもよい。例えば、機械読取可能媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記録媒体、光記録媒体、フラッシュメモリ装置、電気的または光学的または音響的またはその他の信号伝送形式(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、またはその他を含んでもよい。また以下では、ファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、命令はある動作を実行するためのものとして記述されていてもよい。しかしこれらの記述は単に簡便化のためであり、これらの動作はそのファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、命令等を実行する演算装置、プロセッサ、コントローラ、または他の装置により実際に得られるものと理解されたい。
図1は本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置1を模式的に示す図である。この装置は、照明系IL、パターニングデバイスPD、基板テーブルWT、及び投影系PSを備える。照明系(イルミネータ)ILは放射ビームB(例えば紫外放射)を調整するよう構成されている。
パターニングデバイスPD(例えばレチクル、マスク、または個別制御可能素子アレイ)はビームを変調する。普通は個別制御可能素子アレイは投影系PSに対して位置が固定されるが、あるパラメタに従って該アレイを正確に位置決めする位置決め装置に接続されていてもよい。
基板テーブルWTは、基板(例えばレジストが塗布された基板)Wを支持するよう構成されており、あるパラメタに従って基板を正確に位置決めする位置決め装置PWに接続されている。
投影系(例えば屈折投影レンズ光学系)PSは、個別制御可能素子アレイにより変調された放射ビームを基板Wの(例えば1つ又は複数のダイからなる)目標部分Cに投影するよう構成されている。
照明系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射ビームの向きや形状、あるいは他の特性を制御するためのものである。
本明細書において「パターニングデバイス」または「コントラストデバイス」なる用語は、例えば基板の目標部分にパターンを生成する等、放射ビーム断面を変調するのに用い得るいかなるデバイスをも示すよう広く解釈されるべきである。パターニングデバイスは、静的なパターニングデバイス(例えばマスクまたはレチクル)であってもよいし、動的なパターニングデバイス(例えばプログラム可能素子アレイ)であってもよい。簡単のため本明細書では動的パターニングデバイスを例に挙げて説明しているが、本発明の範囲から逸脱することなく静的パターニングデバイスを使用することも可能であるものと理解されたい。
放射ビームに付与されるパターンは、パターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを例えば含む場合には基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよい。また、基板に最終的に形成されるパターンは、個別制御可能素子アレイ上に形成されるパターンにどの時点においても一致しないようになっていてもよい。このような事態は、基板の各部に形成される最終的なパターンが所定時間または所定回数の露光の重ね合わせにより形成され、かつこの所定の露光中に個別制御可能素子アレイ上のパターン及び/またはアレイと基板との相対位置が変化する場合に起こりうる。
通常、基板の目標部分に生成されるパターンは、その目標部分に生成されるデバイス例えば集積回路やフラットパネルディスプレイの特定の機能層に対応する(例えばフラットパネルディスプレイのカラーフィルタ層や薄膜トランジスタ層)。パターニングデバイスの例としては、レチクル、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、LEDアレイ、グレーティングライトバルブ、及びLCDアレイなどがある。
パターニングデバイスは電子的手段(例えばコンピュータ)でパターンをプログラム可能である。パターニングデバイスは、複数のプログラム可能素子を含んでもよく、例えば前の文で言及したレチクル以外のデバイスはすべて該当する。以下ではこれらを集合的に「コントラストデバイス」と称する。一実施例では、パターニングデバイスは少なくとも10個のプログラム可能素子を備えてもよく、または少なくとも100個、少なくとも1,000個、少なくとも10,000個、少なくとも100,000個、少なくとも1,000,000個、または少なくとも10,000,000個、のプログラム可能素子を備えてもよい。
プログラマブルミラーアレイの一実施例は、粘弾性制御層と反射表面とを有するマトリックス状のアドレス指定可能な表面を備えてもよい。この装置の基本的な原理は例えば、反射表面のうちアドレス指定されている区域が入射光を回折光として反射する一方、アドレス指定されていない区域が入射光を非回折光として反射するというものである。適当な空間フィルタを用いることにより、反射光ビームから非回折光を取り除いて回折光だけを基板に到達させるようにすることができる。このようにして、マトリックス状のアドレス指定可能表面にアドレス指定により形成されるパターンに従ってビームにパターンが付与される。
なお代替例として、回折光をフィルタにより取り除いて非回折光を基板に到達させるようにしてもよい。
他の実施例として、回折光学MEMS(微小電気機械システム)デバイスを同様に用いることもできる。一実施例では、回折光学MEMSデバイスは、入射光を回折光として反射する格子を形成するよう変形される複数の反射性のリボン状部位を備える。
プログラマブルミラーアレイの他の例においては、マトリックス状の微小ミラーの配列が用いられる。各微小ミラーは局所的に電界を適宜付与されることによりまたは圧電駆動手段を使用することにより各々が独立に軸周りに傾斜されうる。繰り返しになるがミラーはマトリックス状にアドレス指定可能に構成されており、アドレス指定されたミラーは入射する放射ビームをアドレス指定されていないミラーとは異なる方向に反射する。このようにしてマトリックス状のアドレス指定可能なミラーにより形成されるパターンに従って反射ビームにパターンが付与されうる。必要とされるマトリックス状アドレス指定は、適宜の電子的手段を使用して実行することができる。
パターニングデバイスの他の例は、プログラマブルLCDアレイである。
リソグラフィ装置は1つ以上のコントラストデバイスを備えてもよい。例えば、リソグラフィ装置は、複数の個別制御可能素子アレイを有し、それぞれのアレイが互いに独立に制御されるものであってもよい。この構成においては、個別制御可能素子アレイのうちのいくつかのアレイまたはすべてのアレイが少なくとも1つの照明系(または照明系の一部)を共有していてもよい。斯かるアレイは当該アレイ用の支持構造及び/または投影系(または投影系の一部)を共有していてもよい。
一実施例例えば図1に示される実施例では、基板Wは実質的に円形状であってもよい。基板Wは周縁部にノッチ及び/または平坦部を有していてもよい。一実施例では基板は例えば長方形などの多角形形状でもよい。
基板の形状が実質的に円形の場合、基板の直径は少なくとも25mmであってもよく、または例えば少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、または少なくとも300mmであってもよい。一実施例では、基板の直径は長くても500mm、長くても400mm、長くても350mm、長くても300mm、長くても250mm、長くても200mm、長くても150mm、長くても100mm、または長くても75mmである。
基板が例えば長方形などの多角形の場合、基板の少なくとも1辺の長さ、または例えば少なくとも2辺または少なくとも3辺の長さが、少なくとも5cmであってもよく、または例えば少なくとも25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、または少なくとも250cmであってもよい。
一実施例では、基板の少なくとも1辺の長さは、長くても1000cm、または例えば長くても750cm、長くても500cm、長くても350cm、長くても250cm、長くても150cm、または長くても75cmである。
一実施例においては、基板Wはウェーハであり、例えば半導体ウェーハである。一実施例ではウェーハの材料は、Si(ケイ素)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、SiGeC(シリコンゲルマニウムカーボン)、SiC(炭化ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、InP(インジウムリン)、InAs(インジウムヒ素)から成るグループから選択される。一実施例ではウェーハはIII−V族化合物半導体ウェーハである。一実施例ではウエーハはシリコンウェーハである。一実施例では基板はセラミック基板である。一実施例では基板はガラス基板である。一実施例では基板はプラスチック基板である。一実施例では基板は(人の裸眼で見たときに)透明である。一実施例では基板は有色である。一実施例では基板は無色である。
この基板の厚さは例えば基板材料及び/または基板寸法に応じてある程度変更される。基板の厚さは、少なくとも50μmであり、または例えば少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、または少なくとも600μmである。一実施例では、基板の厚さは、厚くても5000μm、例えば厚くても3500μm、厚くても2500μm、厚くても1750μm、厚くても1250μm、厚くても1000μm、厚くても800μm、厚くても600μm、厚くても500μm、厚くても400μm、または厚くても300μmである。
基板は露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。一実施例ではレジスト層が基板に設けられる。
本明細書では投影系という用語は、使用される露光光、あるいは液浸露光用液体や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影系をも包含するよう広く解釈されるべきである。投影系には例えば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である投影系という用語と同義に用いられ得る。
投影系は、個別制御可能素子アレイにおけるパターンが基板上にコヒーレントに形成されるように当該パターンの像を形成する。これに代えて投影系は二次光源の像を形成してもよく、この場合個別制御可能素子アレイの各素子はシャッタとして動作してもよい。この場合には投影系は、例えば二次光源を形成し基板上にスポット状に像形成するために、例えばマイクロレンズアレイ(micro lens array、MLAとして知られている)やフレネルレンズアレイなどのフォーカス素子のアレイを含んでもよい。フォーカス素子のアレイ(例えばMLA)は少なくとも10個のフォーカス素子を備え、または例えば少なくとも100個、少なくとも1,000個、少なくとも10,000個、少なくとも100,000個、または少なくとも1,000,000個のフォーカス素子を備えてもよい。一実施例では、パターニングデバイスにおける個別制御可能素子の数とフォーカス素子のアレイにおけるフォーカス素子の数とは等しいか、あるいは、パターニングデバイスにおける個別制御可能素子の数がフォーカス素子のアレイにおけるフォーカス素子の数よりも多い。一実施例では、フォーカス素子のアレイにおける1つ以上(例えばたいていは1000以上、またはすべての)のフォーカス素子は、個別制御可能素子アレイにおける1つ以上(例えば2つ以上、または3つ以上、5つ以上、10以上、20以上、25以上、35以上、または50以上)の個別制御可能素子に光学的に連関していてもよい。一実施例では、MLAは、少なくとも基板に近づく方向及び遠ざかる方向に例えば1以上のアクチュエータを用いて移動可能であってもよい。基板に近づく方向及び遠ざかる方向にMLAを移動させることができる場合には、基板を動かすことなく例えば焦点合わせをすることが可能となる。
図1及び図2に示されるように本装置は反射型(例えば反射型の個別制御可能素子アレイを用いる)である。透過型(例えば透過型の個別制御可能素子アレイを用いる)の装置を代替的に用いてもよい。
リソグラフィ装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブルを備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が「液浸露光用の液体」で覆われるものであってもよい。この液体は比較的高い屈折率を有する例えば水などの液体であり、投影系と基板との間の空隙を満たす。液浸露光用の液体は、例えばパターニングデバイスと投影系との間などのリソグラフィ装置の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は投影系の開口数を増大させる技術として周知である。本明細書では「液浸」という用語は、基板等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光の際に投影系と基板との間に液体が存在するということを意味するに過ぎない。
図1に示されるようにイルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。一実施例では、放射源により、少なくとも5nm、または例えば少なくとも10nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、または少なくとも360nmの波長を有する放射が供される。一実施例では、放射源SOにより供される放射は、長くても450nm、または例えば長くても425nm、長くても375nm、長くても360nm、長くても325nm、長くても275nm、長くても250nm、長くても225nm、長くても200nm、または長くても175nmの波長を有する。この放射は、436nm、405nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、及び/または126nmの波長を含んでもよい。一実施例では、放射は、365nm付近の波長、または355nm付近の波長を含む。一実施例では、放射は、例えば365nm、405nm、及び436nmの波長を含む広帯域の波長を含む。355nmのレーザ源が使用されてもよい。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOからイルミネータILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは例えば適当な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が水銀ランプである場合には、光源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系または放射システムと総称される。
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。一般にはアジャスタADにより、イルミネータの瞳面における照度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の値(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。イルミネータはビーム断面における所望の均一性及び照度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。イルミネータIL及び追加の関連構成要素は放射ビームを複数の分割ビームに分割するように構成されていてもよい。例えば各分割ビームが個別制御可能素子アレイにおける1つまたは複数の個別制御可能素子に対応するように構成してもよい。放射ビームを分割ビームに分割するのに例えば二次元の回折格子を用いてもよい。本明細書においては「放射ビーム」という用語は、放射ビームがこれらの複数の分割ビームを含むという状況も包含するが、これに限定されないものとする。
放射ビームBは、パターニングデバイスPD(例えば、個別制御可能素子アレイ)に入射して、当該パターニングデバイスにより変調される。放射ビームはパターニングデバイスPDにより反射され、投影系PSを通過する。投影系PSはビームを基板Wの目標部分Cに合焦させる。位置決め装置PWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTは正確に移動され、例えば放射ビームBの経路に異なる複数の目標部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。また、個別制御可能素子アレイ用の位置決め手段が設けられ、例えば走査中にビームBの経路に対してパターニングデバイスPDの位置を正確に補正するために用いられてもよい。
一実施例では、基板テーブルWTの移動は、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現される。ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールは図1には明示されていない。一実施例では、リソグラフィ装置は、基板テーブルWTを移動させる少なくともショートストロークモジュールが省略されていてもよい。個別制御可能素子アレイを位置決めするためにも同様のシステムを用いることができる。必要な相対運動を実現するために、対象物テーブル及び/または個別制御可能素子アレイの位置を固定する一方、放射ビームBを代替的にまたは追加的に移動可能としてもよいということも理解されよう。この構成は装置の大きさを小さくするのに役立ち得る。例えばフラットパネルディスプレイの製造に適用可能な更なる代替例として、基板テーブルWT及び投影系PSを固定し、基板Wを基板テーブルWTに対して移動させるように構成してもよい。例えば基板テーブルWTは、実質的に一定の速度で基板Wを走査させるための機構を備えてもよい。
図1に示されるように放射ビームBはビームスプリッタBSによりパターニングデバイスPDに向けられるようにしてもよい。このビームスプリッタBSは、放射ビームがまずビームスプリッタBSにより反射されてパターニングデバイスPDに入射するように構成される。ビームスプリッタを使わずに放射ビームをパターニングデバイスに入射させるようにすることもできる。一実施例では、放射ビームは0度から90度の間の角度でパターニングデバイスに入射する。または例えば5度から85度の間、15度から75度の間、25度から65度の間、または35度から55度の間の角度であってもよい(図1には90度の例が示されている)。パターニングデバイスPDは放射ビームBを変調し、再度ビームスプリッタBSに向かって戻るように放射ビームBを反射する。ビームスプリッタBSは変調されたビームを投影系PSへと透過させる。しかしながら放射ビームBをパターニングデバイスPDに入射させ、そのまま更に投影系PSに入射させるという代替的な構成も可能であることも理解されよう。特に透過型のパターニングデバイスが用いられる場合には図1に示される構成は必要とはされない。
図示の装置はいくつかのモードで使用することができる。
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なる目標部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズによって、1回の静的露光で結像される目標部分Cの寸法が制限されることになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。個別制御可能素子アレイに対する基板の速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが1回の動的露光での目標部分Cの(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
3.パルスモードにおいては、個別制御可能素子アレイは実質的に静止状態とされ、パルス放射源により基板Wの目標部分Cにパターンの全体が投影される。基板テーブルWTが実質的に一定の速度で移動して、ビームBは基板上を線状に走査させられる。個別制御可能素子アレイ上のパターンは放射系からのパルス間に必要に応じて更新される。パルス照射のタイミングは、基板上の複数の目標部分Cが連続して露光されるように調整される。その結果、基板上の1つの短冊状領域にパターンが完全に露光されるようビームBにより基板Wが走査されることになる。この短冊状領域の露光を順次繰り返すことにより基板Wは完全に露光される。
4.連続スキャンモードは基本的にパルスモードと同様である。異なるのは、変調された放射ビームBに対して基板Wが実質的に等速で走査され、ビームBが基板W上を走査し露光しているときに個別制御可能素子アレイ上のパターンが更新されることである。個別制御可能素子アレイのパターンの更新に同期させるようにした、実質的に一定の放射源またはパルス放射源を用いることができる。
5.ピクセルグリッド結像モードでは、基板Wに形成されるパターンはスポット状の露光を連続的に行うことにより実現される。このモードは図2のリソグラフィ装置を使用して実現することができる。このスポット状の露光はスポット発生器により形成され、パターニングデバイスPDへと向けられる。スポット状の露光はそれぞれ実質的に同形状である。基板W上には露光スポットが実質的に格子状(グリッド状)に転写される。このスポットの寸法は転写されるピクセルグリッドのピッチよりも大きいが、毎回の露光時に露光スポットが形成する格子の大きさよりはかなり小さい。転写されるスポットの強度を変化させることによりパターンが形成される。露光照射の合間に各スポットの強度分布が変更される。
上記で記載したモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードで使用してもよい。
リソグラフィでは基板上のレジスト層にパターンが露光される。そしてレジストが現像される。続いて追加の処理工程が基板に施される。基板の各部分へのこれらの追加の処理工程の作用は、レジストへの露光の程度によって異なる。特にこの処理は、所与のドーズ閾値を超える放射ドーズ量を受けた基板の部位が示す反応と、その閾値以下の放射ドーズ量を受けた部位が示す反応とが異なるように調整されている。例えば、エッチング工程においては上記の閾値を超える放射ドーズ量を受けた基板上の区域は、レジスト層が現像されることによりエッチングから保護される。一方、この閾値以下の放射ドーズ量を受けたレジストは露光後の現像工程で除去され、基板のその区域はエッチングから保護されない。このため、所望のパターンにエッチングがなされる。特に、パターニングデバイス内の個別制御可能素子は、パターン図形内部となる基板上の区域での露光中の放射ドーズ量がドーズ閾値を超えるように実質的に高強度であるように設定される。基板の他の領域は、ゼロまたはかなり低い放射強度を受けるように対応の個別制御可能素子が設定されることにより、ドーズ閾値以下の放射を受ける。
実際には、パターン図形端部での放射ドーズ量は所与の最大ドーズ量からゼロへと急激に変化するわけではない。この放射ドーズ量は、たとえ図形の境界部分の一方の側への放射強度が最大となり、かつその図形境界部分の他方の側への放射強度が最小となるように個別制御可能素子が設定されていたとしても急激には変化しない。回折の影響により、放射ドーズ量の大きさは移行領域を介して低下するからである。パターン図形の境界位置は最終的にレジストの現像により形成される。その境界位置は、照射されたドーズ量が閾値を下回る位置によって定められる。この移行領域でのドーズ量低下のプロファイル、ひいてはパターン図形の境界の正確な位置は、当該図形境界上または近傍に位置する基板上の各点に放射を与える個別制御可能素子の設定により、より正確に制御できるであろう。これは、照度レベルの最大値または最小値を制御するだけではなく、当該最大値及び最小値の間の照度レベルにも制御することによっても可能となるであろう。これは通常「グレイスケーリング」と呼ばれる。
グレイスケーリングによれば、個別制御可能素子により基板に2値の放射強度(つまり最大値と最小値)だけが与えられるリソグラフィシステムよりも、パターン図形の境界位置の制御性を向上させることができる。一実施例では、少なくとも3種類の放射強度が基板に投影されてもよく、または例えば少なくとも4種類の放射強度でも、少なくとも8種類の放射強度でも、少なくとも16種類の放射強度でも、少なくとも32種類の放射強度でも、少なくとも64種類の放射強度でも、少なくとも128種類の放射強度でも、少なくとも256種類の放射強度でもよい。
グレイスケーリングは上述の目的に加えてまたは上述の目的に代えて使用されてもよい。例えば、照射されたドーズ量レベルに応じて基板の各領域が2種以上の反応を可能とするように、露光後の基板への処理が調整されていてもよい。例えば、第1のドーズ閾値以下の放射を受けた基板の部位では第1の種類の反応が生じ、第1のドーズ閾値以上で第2のドーズ閾値以下の放射を受けた基板の部位では第2の種類の反応が生じ、第2のドーズ閾値以上の放射を受けた基板の部位では第3の種類の反応が生じるようにしてもよい。したがって、グレイスケーリングは、基板上での放射ドーズ量プロファイルが2以上の望ましいドーズ量レベルを有するようにするのに用いることができる。一実施例では、このドーズ量プロファイルは少なくとも2つの所望のドーズ量レベルを有し、または例えば少なくとも3つの所望のドーズ量レベル、少なくとも4つの所望のドーズ量レベル、少なくとも6つの所望のドーズ量レベル、または少なくとも8つの所望のドーズ量レベルを有してもよい。
放射ドーズ量プロファイルの制御は、上述のように基板上の各点が受ける放射強度を単に制御するという方法以外の方法によっても可能である。例えば、基板上の各点が受ける放射ドーズ量は、各点への露光時間を代替的にまたは追加的に制御することによっても制御することができる。他の例として、基板上の各点は、連続的な複数回の露光により放射を受けてもよい。このような連続的複数露光から一部の露光を選択して照射することにより代替的にまたは追加的に各点が受ける放射ドーズ量を制御することが可能となる。
要求されるパターンを基板に形成するためには、パターニングデバイスの各個別制御可能素子を露光プロセスの各段階において必要状態に設定することが必要である。そのために必要状態を表す制御信号が各個別制御可能素子に伝達されなければならない。一実施例では、リソグラフィ装置は、制御信号を生成する制御部を含む。基板に形成されるパターンは例えばGDSIIなどのベクトル定義の形式でリソグラフィ装置に与えられる。設計情報を各個別制御可能素子への制御信号に変換するためには、制御部は1つまたは複数のデータ処理装置を備える。それらのデータ処理装置は各々が、パターンを表すデータストリームに所定の処理を施すように構成されている。これらのデータ処理装置は以下では「データパス」と総称される場合もある。
データパスの各データ処理装置は、以下の処理のうち1つまたは複数を実行する。その処理は、ベクトル形式の設計情報をビットマップのパターンデータに変換すること、ビットマップのパターンデータを要求放射ドーズ量マップ(すなわち基板上での要求放射ドーズ量プロファイル)に変換すること、要求放射ドーズ量マップを各個別制御可能素子での要求放射照度値に変換すること、及び、各個別制御可能素子での要求放射照度値をそれに対応する制御信号に変換すること、である。
図2は、本発明に係るOML装置の一例を示す図である。図1に示される構成要素に対応するものには図2においても同じ参照符号を付している。また、基板やコントラストデバイス、MLA、放射ビームなどについてのさまざまな構成例などを含む上述のさまざまな変形例は同様に適用可能である。
図2は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置の一例を示す図である。この実施例は例えばフラットパネルディスプレイの製造に用いることができる。図1に示される構成要素に対応するものには図2においても同じ参照符号を付している。また、基板やコントラストデバイス、MLA、放射ビームなどについてのさまざまな構成例などを含む上述のさまざまな変形例は同様に適用可能である。
図2に示されるように、投影系PSは、2つのレンズL1、L2を備えるビームエキスパンダを含む。第1のレンズL1は、変調された放射ビームBを受け、開口絞りASの開口部で合焦させる。開口部には他のレンズALを設けてもよい。そして放射ビームBは発散し、第2のレンズL2(例えばフィールドレンズ)により合焦させられる。
投影系PSは、拡大された変調放射ビームBを受けるように構成されているレンズアレイMLAをさらに備える。変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれレンズアレイMLAの異なる部分を通過する。この変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれ、パターニングデバイスPDの1つ以上の個別制御可能素子に対応している。各レンズは変調放射ビームBの各部分を基板W上の点に合焦させる。このようにして基板W上に照射スポットSの配列が露光される。図示されているレンズアレイには8つのレンズ14が示されているだけであるが、レンズアレイは数千のレンズを含んでもよい(パターニングデバイスPDとして用いられる個別制御可能素子アレイについても同様である)。
本発明の一実施形態においては図2のシステムを用いて、投影系PSのレンズアレイMLAでスポットSの配列を基板Wに投影することにより、基板W上にパターンが生成される。基板Wは、基板上での露光が進むにつれて投影系に対してY方向に移動する。白丸は、基板W上で既に露光されている露光スポットSEを示す。投影系PSのレンズアレイMLAによって基板Wに投影された各スポットは基板W上に露光スポット列Rを形成する。各スポットSの露光により形成される露光スポット列Rがすべて合わさって、基板にパターンが完全に形成される。上述のようにこのような方式はよく「ピクセルグリッド結像」と称される。
例えば、放射スポットSの配列は基板Wに対して角度θをなして配置されていてもよい(基板Wの端部はそれぞれX方向及びY方向に平行である)。これは、基板が走査方向(Y方向)に移動するときに、各放射スポットが基板の異なる領域を通過するようにするためである。これにより、放射スポット15の配列により基板の全領域がカバーされることになる。一実施例では、角度θは大きくても20°または10°であり、または例えば大きくても5°、大きくても3°、大きくても1°、大きくても0.5°、大きくても0.25°、大きくても0.10°、大きくても0.05°、または大きくても0.01°である。一実施例では、角度θは小さくても0.001°である。
図1及び図2に示されるようなOMLシステムは単パルスツールであるが、各パルスツールは理想的には、照明系に進入する光ビームの指向性エラー(ポインティングエラー)も位置エラー(ポジショニングエラー)もゼロであることが望ましい。典型的な単パルスレーザビームは、数ミリメートルまたは数ミリラジアンだけ外れてしまうことがある。このことが単パルスの転写を困難にしている。
図3は、本発明の一実施形態に係る光学装置100を模式的に示す。この光学装置100は第1ビーム制御モジュール200(1)を備えてもよい。第1ビーム制御モジュール200(1)は、光軸210に第1光学系205(1)を有する。第1光学系205(1)は、光源220からレーザパルス215を光学的に分離する。光源220は、図2に示されるように、本発明の一実施形態に係るイルミネータ300に付随して設けられている。
本発明の実施形態は光源220を分離する手法を提供する。光源220は光ビーム305を形成するためのレーザパルス215を生成する。光ビーム305を生成するレーザパルス215を光源220から光学的に分離することにより、光学装置100は、光ビーム305のビーム指向性エラー、ビーム位置エラー、ビームサイズエラー、ビーム発散度エラーのうち1つまたは複数の変動を制御することができる。
本発明の一実施形態においては、ビーム指向性エラーとは光ビーム305の進行方向の変動量をいい、角度空間での重心を測定して得られる。同様に、ビーム位置エラーとは光軸210からの光ビーム305の位置変動量をいい、重心を測定して得られる。ビームサイズエラーとはビームサイズの変動量をいい、5%強度点(または10%、1/e2等)間の幅を測定して得られる。最後に、ビーム発散度エラーとはビームの発散度の変動量をいい、角度空間での5%強度点(または10%、1/e2等)間の幅を測定して得られる。
例えば、図1及び図2に示されるOMLシステムは本発明の一実施形態に矛盾なく用い得るものであるが、後述のビームシンメトリシェイパ(BSS)及び2つのプレートホモジナイザにより、約3ミクロンのビーム位置エラーかつ3マイクロラジアンのビーム指向性エラーを実現しうる。しかし、ビーム発散度エラーやビームサイズエラーといったビームに関連するエラーは光学系の製造上の許容誤差の関数であり、いかなる光学系を用いるかによって特定される。このようにして、光ビーム305のビーム指向性エラー、ビーム位置エラー、ビームサイズエラー、ビーム発散度エラーのうち1つまたは複数を所望の水準に安定化させることができる。
同様に、望ましくは、あるシステムに関して対称性が特定されてもよい。このようにして、OMLツールを利用可能とする所望の特性をウエーハ面で得ることができる。
第1ビーム制御モジュール200(1)は、ビーム指向性エラー、ビーム位置エラー、ビームサイズエラー、及び/またはビーム発散度エラーを選択的に安定化してもよい。そのために、第1ビーム制御モジュール200(1)は、第1光学系205(1)の第1系統に基づいて、光ビーム305の照明プロファイルの空間フィールド情報または角度情報を選択して均質化し、かつ空間フィールド情報及び角度情報のうち均質化されていないほうを対称化してもよい。あるいは、第1ビーム制御モジュール200(1)は、第1光学系205(1)の第2系統310(1)に基づいて空間フィールド情報及び角度情報の両方を均質化し対称化してもよい。本発明の一実施形態においては、角度の均質化とは、角度空間での強度プロファイル形状をトップハット状(矩形状)にすることをいう。同様に、空間的な均質化とは、フィールド空間での強度プロファイル形状をトップハット状(矩形状)にすることをいう。空間的な対称性とは、所望の伝播方向の両側でフィールド空間が対称性を有することをいう。最後に、角度の対称性とは、所望の伝播方向の両側で角度空間が対称性を有することをいう。
動作時においては、第1ビーム制御モジュール200(1)は、光源220からの出力を安定化する。そのために、第1ビーム制御モジュール200(1)は、照明系302に入射する手前で光ビーム305が指向性及び位置について無変動となるように発散度エラーを制御する。理想的には、第1ビーム制御モジュール200(1)は、位置及び指向性が無変動であり、かつOMLシステムで許容できる程度のビームサイズ及びビーム発散度を有するビーム303を生成する。例えば、光学装置100は、図4にあるように、所望のサイズ値及び発散度レベルを有するビーム303を生成する。このようにして、所望のビームサイズエラー、所望のビーム指向性エラー、所望のビーム位置エラー、及び所望のビーム発散度エラーを持つビーム303が得られる。
光学装置100は、第1ビーム制御モジュール200(1)のほかに、ビームサイズエラー、ビーム指向性エラー、ビーム位置エラー、及びビーム発散度エラーの4つのすべてを完全に制御するために、第2光学系205(2)を有する第2ビーム制御モジュール200(2)を備えてもよい。また、光学装置100の別の構成例においては、第1光学系205(1)の第1系統310(1)及び第2系統310(2)を第2光学系205(2)と組み合わせて用いる。この場合、上述のビームエラーパラメタのいずれか1つまたは複数が選択的に所望の状態に制御されてもよい。または所望の状態へ向けて部分的に制御されてもよい。
第2ビーム制御モジュール200(2)は第2光学系205(2)を有し、第1ビーム制御モジュール200(1)に光軸210上で連結されており、光ビーム305を受光する。第2ビーム制御モジュール200(2)は、ビーム指向性エラー、ビーム位置エラー、ビームサイズエラー、及びビーム発散度エラーのうち第1ビーム制御モジュール200(1)では安定化されていない2つまたは3つのうちの少なくとも2つを安定化してもよい。
図4A及び図4Bは、本発明の一実施形態に係り、図3に示される第1光学系205(1)の第1系統310(1)を模式的に示す。図4A及び図4Bは互いに90°回転しており、図4Aが第1系統310(1)の側面図であり、図4Bが第1系統310(1)の上面図である。第1系統310(1)は、光軸210上に配置された第1長方形プレート400(1)を備える。第1系統310(1)は、入力面402(1)に面して設けられている。第1系統301(1)は、第1長方形プレート400(1)に直交する第2長方形プレート400(2)をさらに備える。一実施形態においては、第1長方形プレート400(1)及び第2長方形プレート400(2)は、隔てられた2つの平坦面を有するホモジナイザープレートであってもよい。平坦面の間隔は例えば0.3mmである。各プレート400(1,2)は長さ90mmで幅20mmであってもよい。
動作時においては、レーザビーム215は二直交方向すなわちx方向及びy方向に分割されてもよい。第1長方形プレート400(1)はx方向を取り扱い、第2長方形プレート400(2)はy方向を取り扱ってもよい。
第1系統310(1)は、第1長方形プレート400(1)のレーザビーム215が入射するほうの一端に面して設けられた第1コンデンサレンズ405(1)を備えてもよい。第1長方形プレート400(1)の他端には第2コンデンサレンズ405(2)が設けられていてもよく、第2コンデンサレンズ405(2)に並んで第2長方形プレート400(2)の一端に第3コンデンサレンズ405(3)が設けられていてもよい。第2長方形プレート400(2)の他端には第4コンデンサレンズ405(4)が、物体平面として出力面402(2)を生成するように第1系統301(1)の内部に設けられていてもよい。一実施形態においては、各コンデンサレンズ405(1−4)は、シリンドリカル光学系であってもよい。
図4Aに示されるように、光はz軸に沿って進む。z軸はx軸及びy軸に直交する。y軸は紙面に垂直である。よって、レーザビーム215が第1系統310(1)に進入すると、第1長方形プレート400(1)がビームを均質化して第2コンデンサレンズ405(2)へと送る。第2コンデンサレンズ405(2)はレーザビームの像を形成する。第1系統310(1)に進入するレーザビーム215は紙面のxy平面において、0.9mradの発散度及び12.2mmのビームサイズを有する。これは均質化されていないので例えばガウス形状を有する。第1系統310(1)の末端においては、レーザビーム215は2つのプレート400(1,2)及び4つのコンデンサレンズ405(1−4)を通過することで、光ビーム305のビームサイズは10.7mmに縮まり、発散度は2mradとなるが、ある与えられた照明プロファイルをなお有している。発散度が0.9mradから2mradに変化するが、均一なビームすなわち比較的安定なビーム303が得られる。このようにして、入力面402(1)でのビーム発散度(例えば0.9mrad)にかかわらず、出力面402(2)でのビーム発散度は2mradとなる。これは、ビーム303が、所望の発散度エラー(すなわち出力面402(2)においてレーザビーム215がどの程度はやく広がるかということ)を有し、かつ幅10.7mmのビームサイズを有する安定状態にあるということである。
図4Bにおいては、第1系統310(1)が90°回転されている。紙面内にy方向を有する図4Bに示されるように、入射レーザビーム215は直交方向に1.7mradの発散度及び12.2mmのビームサイズを有する。光ビーム305は第1コンデンサレンズ405(1)を通る。第1コンデンサレンズ405(1)は、光伝播方向の一方にのみ作用するシリンドリカル光学系であってもよい。すなわち、第1コンデンサレンズ405(1)及び第2コンデンサレンズ405(2)は光の経路のy方向には何ら影響を与えないシリンドリカル光学系である。光が第3コンデンサレンズ405(3)に到達すると、当該レンズは第2長方形プレート400(2)へと光を集束する。第2長方形プレート400(2)により光は混ぜられる。第4コンデンサレンズ405(4)は物体平面としての出力面402(2)に光を再度集束する。
出力ビーム305(1)は、発散度エラーが2mradでビームサイズが13.1mmのビームである。サイズが13.1mmの出力ビーム305(1)は、入力ビームつまり光ビーム305の構造的形状と同等である。例えば、入力ビームがトップハート形状、ガウス形状、あるいは三角形状であるなら、出力ビーム305(1)も同様の形状である。しかし、入力ビームの1.7mradというビーム発散度に関係なく、出力ビームのビーム発散度エラーは2mradである。このようにして、第1及び第2の長方形プレート400(1,2)はビーム発散度エラーを均質化し安定化する。よって、入力ビーム(例えば光ビーム305)の発散度エラーにかかわらず、出力ビーム305(1)は2mradのプロファイルを有する滑らかなトップハット形状となりうる。
更に2つの長方形プレート400を持つ第2光学系205(2)を有する第2ビーム制御モジュール200(2)を加えることにより、光ビーム305のビームサイズが均質化されてもよい。この場合、出力ビームはビーム発散度エラーが2mradで一定であるだけでなく、10.7mm×13.1mmのトップハット形状のプロファイルを有する。言い換えれば、第1及び第2ビーム制御モジュール200(1,2)それぞれの第1及び第2光学系205(1,2)の4つの長方形プレート400(1−4)の組み合わせにより、ビーム指向性エラー、ビーム位置エラー、ビームサイズエラー、及びビーム発散度エラーが安定化されてもよい。
図5は、本発明の一実施形態に係り、図3に示す第1光学系205(1)の第2系統310(2)を模式的に示す。第2系統310(2)は、本発明の例示的な一実施形態に従って第1ビーム制御モジュール200(1)の第1光学系205(1)に用いるものとして模式的に示している。第2系統310(2)は、第1及び第2の長方形プレート400(1,2)を備える。第1及び第2の長方形プレート400(1,2)はそれぞれ、水平または垂直に配置された1組の平行な平板または表面を有する。図5においては、水平配置の第1及び第2の長方形プレート400(1,2)が本発明の一実施形態として示されている。この実施例では、フィールドサイズ及び発散度はプレート400(1,2)のサイズに依存しうる。
第2系統310(2)は、第1光学系205(1)の入力側の第1長方形プレート400(1)の一端に設けられた第1コンデンサレンズ405(1)をさらに備えてもよい。第1光学系205(1)の入力とは反対側の他端において、第2系統310(2)は第1リレーレンズ505(1)を備えてもよい。第1リレーレンズ505(1)に並んで第2リレーレンズ505(2)が設けられていてもよい。例えば、第1リレーレンズ505(1)は度数40.7の1組のレンズを含んでもよく、第1コンデンサレンズ405(1)は焦点距離がf=150mmであってもよい。第1コンデンサレンズ405(1)、第1長方形プレート400(1)、第1及び第2リレーレンズ505(1,2)を組み合わせることにより、NAの均質化または発散度エラーの補正が可能となる。
第2系統310(2)は、第2コンデンサレンズ405(2)をさらに備えてもよい。第2コンデンサレンズ405(2)は第2リレー505(2)の後方に設けられ、第2コンデンサレンズ405(2)の後方には第2長方形プレート400(2)が設けられている。第3リレーレンズ505(3)及び第4リレーレンズ505(4)が第2長方形プレート400(2)の次に並べられて第1光学系205(1)の出力側に設けられていてもよい。図示される実施形態のように、第2リレーは度数40.7の1組のレンズを含んでもよく、第2コンデンサレンズ405(2)は焦点距離がf=150mmであってもよい。第2コンデンサレンズ405(2)、第2長方形プレート400(2)、第3及び第4リレーレンズ505(3,4)を組み合わせることにより、空間的な均質化が可能となる。
すなわち、この組合せによって、発散度エラーが2mradでビームサイズが12.2mmの光ビーム305を、その両方が安定化されて発散度エラーが2mradでビームサイズが12.2mmである光ビームとすることができる。言い換えれば、出力光ビーム305(2)の角度成分及び空間成分の両方が、入力光ビーム305に対する感度の低いトップハット形状となる。したがって、第2系統310(2)における光ビーム305の形状またはサイズがある程度変動したとしても、出力光ビーム305(2)は12.2mmのサイズ及び2mradの発散度に留まる。
図4A及び図4Bを再度参照する。図示された第1ビーム制御モジュール200(1)は、発散度エラーの角度均質化または補正をする。一方、図5は、角度及び空間の両方を均質化する構成例を示す。第2系統310(2)が付加されたビーム制御モジュールを、第1ビーム制御モジュール200(1)に対して直交方向に関して用いることにより、直交方向についての角度補正及び空間補正が得られる。すなわち、第2系統310(2)を有する第1ビーム制御モジュール200(1)に、直交するが第2系統310(2)と同様の第2光学系205(2)を有する第2ビーム制御モジュール200(2)を組み合わせることにより、サイズ、位置、指向性、発散度の4つのビームエラーすべてについて望ましく補正することができる。
図4A及び図4Bの第1系統310(1)を使用することにより、角度の均質化が可能である。同様に、第1系統310(1)を有する第1光学系205(1)に使用されているものとは異なる光学系を用いて空間フィールドの均質化も可能である。1つの方向について図5に示されており、空間及び角度の均質化がx方向について得られてもよい。これら両方の均質化をy方向で得るために、上述の光学系のセットに直交する光学系のセットをもう一つ設けてもよい。上述のすべての場合において、特定の光学系の配列がビーム(例えば入力側の光ビーム305)を均質化する際にそのビームの対称化も行う。つまり、光ビーム305を均質化することにより、トップハットのプロファイルが得られるようにしてもよい。
図6は、本発明の一実施形態に係り、図3に示される第1ビーム制御モジュール200(1)と、第1ビーム制御モジュール200(1)に光軸210上で連結されて光ビーム305を受光する第2光学系205(2)を有する第2ビーム制御モジュール200(2)と、を備える光学装置100を示す。第1光学系205(1)を2枚のプレート(例えば400(1,2))を有する構成として、光学装置100が角度空間の均質化及び対称化をする一方、空間フィールドについては均質化及び対称化をしないようにしてもよい。このための1つの手法は、プレートを更に追加すること、または、ビームを対称化するだけにして均質化はしないことである。ビームシンメトリシェイパ(ビーム対称化整形器、BSS)605が、第2光学系205(2)を有する第2ビーム制御モジュール200(2)に組み合わせて使用されてもよい。これは図6に装置600として、本発明の一実施形態として示されている。BSS600は、空間フィールドの対称化をするが均質化はしない。
図1及び図2に示されるOMLシステムにおいては、空間フィールドが完全に均質化されていることが必ずしも必要ではなく、フィールドが対称でさえあれば十分である場合もある。しかし、角度空間については、対称化されかつ均質化された空間フィールドが望ましい。第2ビーム制御モジュール200(2)においては、第2光学系205(2)は、角度均質化及び空間フィールド対称化をする2枚のプレート400(1,2)を備えてもよい。BSS605は、入射ビーム305aをx方向に分割するビームスプリッタ610を含んでもよい。このようなOMLシステムにおいては、y方向についてもスプリッタが設けられていてもよい。一実施形態では、ビームスプリッタ610は30/70スプリッタであってもよい。
入射ビーム305aがBSS605に達すると、矢印615で示されるようにこのビームの一部は通過して直進する。例えばおよそ30%が経路補償器520を出力ビーム305bとして直進通過する。図示されるように、入射ビーム305aのおよそ70%は第1ミラー625(1)で反射されて反射ビーム305cとしてビームスプリッタ610に戻ってきて透過する。2度目の反射では、もとの70%の70%が反射ビーム305cに加えられる。つまり、約49%が再度反射されて反射ビーム305cに加えられる。
BSS605は、入射ビーム305aを反転させる第1レンズ630(1)及び第2レンズ630(2)をさらに備えてもよい。第1及び第2レンズ630(1,2)の一方を左に傾けかつ他方を右に同じ量だけ傾けてもよい。このようにすれば、これらレンズを通過して進む光ビームに均衡のとれたプロファイルを与えることができる。BSS605は指向性及び位置のシフト量を発散度及び幅の変化量に転換するが、レンズ630(1,2)がなければBSS605は通常のパルス伸張の機能を果たす。
4つのミラー625(1−4)、第1レンズ630(1)、及び第2レンズ630(2)を通る入射ビーム305aの周回経路はビームを反転させてもよい。このようにして、BSS605は、パルスを伸張し、入射ビーム305aの成分を反射ビーム305cに加え続けてもよい。すなわち、第1及び第2レンズ630(1,2)は反射ビームを反転して結像する。2つのレンズ630(1,2)を通る入射ビーム305aの光路それぞれがビームを反転する。
角度領域で4つのビームエラーのうち3つを制御するために、装置600は、入射ビーム305aを均質化し対称化することでビーム発散度及び指向性の安定性をもたらす。空間領域では、装置600は、BSS605を使用してビームサイズエラーを制御することなく対称性を制御してもよい。よって、ビームサイズは、12.2mmから対称に両側に大きくなりうる。しかしビーム指向性は制御される。入射ビーム305aがBSS605により対称化されれば、ビーム指向性については、他方の側を考慮に入れれば重心がゼロとなるからである。
反転光学系を有するBSS605は、光ビーム305の照明プロファイルの空間フィールド情報及び角度情報を対称化してもよい。さらに、第1及び第2のホモジナイザプレート(例えば400(1,2))がBSS605に連結されていてもよい。ホモジナイザプレートは、空間フィールド情報及び/または角度情報を選択的に均質化し、空間フィールド情報及び角度情報のうち均質化されていないほうを対称化してもよい。
第1光学系205(1)の第1系統310(1)は、第1及び第2のホモジナイザプレート(例えば400(1,2))を備えてもよい。第1及び第2のホモジナイザプレートは、空間フィールド情報及び/または角度情報を選択的に均質化し、空間フィールド情報及び角度情報のうち第1及び第2のホモジナイザプレートが第1の方向に均質化していないほうを対称化してもよい。同様に、第2ビーム制御モジュール200(2)の第2光学系205(2)は、第3及び第4のホモジナイザプレートを備えてもよい。第3及び第4のホモジナイザプレートは、空間フィールド情報及び/または角度情報を選択的に均質化し、空間フィールド情報及び角度情報のうち第3及び第4のホモジナイザプレートが第1の方向に直交する第2の方向に均質化していないほうを対称化してもよい。また、第1ビーム制御モジュール200(1)の第1光学系205(1)の第2系統310(2)は、光ビーム305の照明プロファイルの空間フィールド情報及び角度情報の両方を第1の方向について均質化しかつ対称化する第1及び第2のホモジナイザプレートを備えてもよい。第2ビーム制御モジュール200(2)の第2光学系205(2)は、空間フィールド情報及び角度情報の両方を第1の方向に直交する第2の方向について均質化しかつ対称化するために第1及び第2のホモジナイザプレートに連結された第3及び第4のホモジナイザプレートをさらに備えてもよい。このようにして、第1及び第2のビーム制御モジュール200(1,2)は基板のリソグラフィ処理を可能としてもよい。
図7A及び図7Bは、本発明の一実施形態に係り、x方向の第1系統310(1)及びy方向の第1系統310(1)をBSS605に組み合わせたものを装置700として模式的に示す。図7A及び図7Bにおいて、本発明の一実施形態においては、反転光学系を有するBSS605を第2ビーム制御モジュール200(2)の第2光学系205(2)に用いて、光ビーム305の照明プロファイルの空間フィールド情報及び角度情報を対称化してもよい。本発明の一実施形態においては、空間フィールド情報とはx次元及びy次元についての光のプロファイルをいう。同様に角度情報は、適当な角度次元(すなわちx軸まわりの回転及びy軸まわりの回転等)についての角度空間での光のプロファイルをいう。照明プロファイルとは光ビーム305における光の分布をいう。
第1ビーム制御モジュール200(1)の第1光学系205(1)の第1系統310(1)においてBSS605に連結されている第1及び第2のホモジナイザまたは長方形プレート400(1,2)により装置700は、照明プロファイルの空間フィールド情報及び角度情報の対称化を可能としてもよい。装置700においては、まずBSS605が空間領域で入射ビーム305aを対称化し、第1系統310(1)の第1及び第2の長方形プレート400(1,2)が角度領域で入射ビーム305aを対称化かつ均質化する。第1系統310(1)の次にもう一組の長方形プレート(図示せず)を設けて、装置700がx方向及びy方向の両方で入射ビーム305aを対称化かつ均質化してもよい。よって、装置700は、入射ビーム305aを空間領域及び角度領域で対称化し、入射ビーム305aを角度領域で均質化する。しかし、装置700においては、空間的にビームサイズは安定化されていないので、ビームサイズは大きくなりうる。
本発明の一実施形態においては、第1及び第2の光学系205(1,2)は、フッ化カルシウム(CaF2)、石英ガラスを含む光学材料を備えてもよく、プレート400(1,2)には高反射コーティングを使用してもよい。フッ化カルシウム(CaF2)はカルシウムとフッ素の不溶性イオン化合物であり、フッ化鉱物(ホタル石とも呼ばれる)として天然に産出する。第1及び第2の光学系205(1,2)は、平坦なプレート表面を製作する適当な製造技術を使用して製造されてもよい。400(1,2)それぞれの2つの平坦プレート面は、公知の機械的手段で隔てられて保持されていてもよい。
図7Cは、本発明の一実施形態に係り、例えば図4A及び図4Bに示したような、垂直モジュール805(1)を水平モジュール805(2)に結合した統合ビーム制御モジュール800を模式的に示す。本発明の一実施形態においては、垂直モジュール805(1)を水平モジュール805(2)に結合することで、ビームサイズエラー、ビーム発散度エラー、ビーム指向性エラー、ビーム位置エラーを制御してもよい。このため、垂直モジュール805(1)においては像面がプレートの第1セットを通過するがその直交方向にはビームが大きくなる経路距離を有する。この効果を補償するために、水平リレー810(1)等のリレー光学系が垂直モジュール805(1)に設けられてもよい。この水平リレー810(1)は直交方向について垂直モジュール805(1)の入力面から出力面にリレーするために使用される。同様に、水平モジュール805(2)の入力面から出力面に結像するために垂直リレー810(2)が水平モジュール805(2)に組み込まれるか挿入されてもよい。
水平モジュール805(2)及び垂直モジュール805(1)間で最大の透過度を得るために、第1波長板(WP)815(1)が水平モジュール805(2)及び垂直モジュール805(1)間に設けられていてもよい。第1波長板(WP)815(1)は、偏光を90°回転し、両方のプレートを通じて比較的高効率の信号伝達がされることを保証する。また任意的に、第2波長板(WP)815(2)が水平モジュール805(2)の出力面に設けられてもよい。一実施形態では、水平リレー810(1)が図4Aに示される第1系統310(1)に挿入されてもよいし、同様に垂直リレー810(2)が図4Bに示される第1系統310(1)に挿入されてもよい。
動作時においては、光ビーム305はプレート400(1,2)を通過して自由に伝播するが、この光ビーム305は発散度が成長しうる。プレート400(1,2)が光ビーム305を均質化している間も光源22は照明系302から隔離されない(図3参照)。水平リレー及び垂直リレー810(1,2)は、光ビーム305が指向性及び位置について安定的であることを保証する。水平リレー及び垂直リレー810(1,2)は、入力フィールドを出力フィールドへと自由伝播を回避して結像する。1つの方向の均質化及びその直交方向のリレーを経て、光ビーム305のビームサイズ及び発散度は、OMLシステムにおいて水平リレー810(1)を有する第1系統310(1)によって保存されていてもよい。
一実施形態では、光ビーム305を分離することにより、統合ビーム制御モジュール800は、入力ビームにおける位置、指向性、サイズ成長またはサイズ縮小についてのいかなる動きも出力ビームにおいて認識されないことを保証する。出力が安定しているからである。よって、プレート400(1,2)は、空間フィールドの更なる均質化及び対称化に使用され、他の2つのプレート400(3,4)は、角度領域での均質化及び対称化に使用されてもよい。これにより、サイズ、指向性、位置、発散度の4つのビームエラーすべてが制御される。BSS605は光ビーム305のサイズを維持しないから、2つのプレート400(1,2)が与える機能の半分しか提供しない。よって、BSS605は、空間フィールドまたは角度領域の一方の対称化に使用され、均質化は提供しないようにしてもよい。
図8Aは、本発明の一実施形態に係り、角度均質化及び/または空間対称化のためのx方向角度領域ホモジナイザ845(1)を含む光学装置840を模式的に示す。図8Bは、本発明の一実施形態に係り、角度均質化及び/または空間対称化のためのy方向角度領域ホモジナイザ845(2)を含む光学装置840を模式的に示す。
加えて、図8A及び図8Bは、本発明の一実施形態に係り、イルミネータIL等の光学装置840の構成要素を示す。イルミネータILの構成要素は、複数のレンズを有する一組のコンデンサと1つの波長板とを備える。図8A及び図8Bに示されるイルミネータの構成要素は、図1及び/または図2に示されるイルミネータILに使用されてもよい。また、図8A及び図8Bに示されるイルミネータの構成要素は、図1に示されるイルミネータの構成要素のうち一部または全部の構成要素に置き換えてまたは付加して使用されてもよい。
一実施例では、x方向角度領域ホモジナイザ845(1)は、互いに平行に光源から等距離に設けられた第1及び第2のリフレクタ850(1,2)を備える。第1及び第2のリフレクタ850(1,2)は、適当な寸法の例えば石英またはその他の適当な材料で形成された平坦な外表面を備えてもよい。また、第1及び第2のリフレクタ850(1,2)は、2つの平行ミラーを備えてもよい。ミラーの位置及び向きは、動作を最適化するために調整可能であってもよい。
一実施例では、光源が光ビーム305を生成する。光源は例えばレーザであってもよいし、あるいはレーザから光を搬送するビーム搬送システムの出力であってもよい。「光」という用語は可視スペクトル領域の電磁放射に限定して解釈されるべきではなく、上述のようにリソグラフィへの使用に適するいかなる波長の電磁放射も含むものと理解すべきである。
図9Aは、本発明の一実施形態に係り、空間均質化及び/または角度対称化のためのx方向空間ホモジナイザ905(1)を含む光学装置900を模式的に示す。図9Bは、本発明の一実施形態に係り、空間均質化及び/または角度対称化のためのy方向空間ホモジナイザ905(2)を含む光学装置900を模式的に示す。加えて、図9A及び図9Bは、本発明の一実施形態に係り、イルミネータILの構成要素を示す。イルミネータILの構成要素は、一組のリレーと1つの波長板とを備える。図9A及び図9Bに示されるイルミネータの構成要素は、図1及び/または図2に示されるイルミネータILに使用されてもよい。また、図9A及び図9Bに示されるイルミネータの構成要素は、図1に示されるイルミネータの構成要素のうち一部または全部の構成要素に置き換えてまたは付加して使用されてもよい。
図10Aは、本発明の一実施形態に係り、x方向及びy方向の角度/空間ホモジナイザ1005(1,2)を含む光学装置1000の上面図を模式的に示す。図10Bは、本発明の一実施形態に係り、x方向及びy方向の角度/空間ホモジナイザ1005(3,4)を含む光学装置1000の側面図を模式的に示す。加えて、図10A及び図10Bは、本発明の一実施形態に係り、イルミネータILの構成要素を示す。イルミネータILの構成要素は、一組のリレーと一組のコンデンサと複数の波長板とを備える。図10A及び図10Bに示されるイルミネータの構成要素は、図1及び/または図2に示されるイルミネータILに使用されてもよい。また、図10A及び図10Bに示されるイルミネータの構成要素は、図1に示されるイルミネータの構成要素のうち一部または全部の構成要素に置き換えてまたは付加して使用されてもよい。
図11A、図11B、図12A、図12Bを参照する。図11Bにおいては、検出器による出力像は概ね長方形である。図11Aの像は空間フィールドを示す。これは本発明の一実施形態である。レーザプロファイルの例が図11A、図12Aに示されている。瞳面における角度空間は、図12Aは双方向にガウス形状を示すのに対して、図12Bの出力像は概ね比較的対称である。これは本発明の一実施形態である。例えば、図11Bにおいては、検出器の出力像は概ね長方形であるのに対し、図11Aの像は筒状の非均一の照明プロファイルを有する空間フィールドを示している。瞳面の角度空間は、図12Aは双方向にガウス形状を示すのに対して、図12Bの出力像は概ね比較的対称であり、いくらかのリップル(波紋)のある均質化がなされた正方形または長方形のパターンである。この図12Bの出力像においては、強度プロファイルは比較的滑らかである。入力ビームを対称化すると、図12Bに示される対称化された出力ビームのパターンはその鏡像を自身に重ねるように一端へ向けて歪ませて巻きつけたものとなる。よって、均質化は滑らかな出力強度をもたらし、対称化は入力のミラー像をその入力自身に加えて対称な出力を生成する。例えば、対称化後のパターンの重心はオフセットを有せずゼロとなるであろう。
図11A、図11B、図12A、図12Bは、本発明の一実施形態に係り、上述のように、第1及び第2のビーム制御モジュール200(1,2)の両方を連結した光学装置100の検出器の入力像及び出力像を模式的に示す。図11A、図11Bは、空間フィールド補正の入力像及び出力像をそれぞれ示し、図12A、図12Bは、瞳面での発散度補正、例えばNA均質化を示す。
図13A、図13B、図14A、図14Bはそれぞれ、本発明の一実施形態に係り、装置700の空間領域でのフィールドの入力像及び出力像、及び、装置700の瞳の入力像及び出力像を模式的に示す。図14Aに示される瞳は、図7Aに示される装置700への入力である。この入力は均質化され対称化されて、図14Bに示される出力が生成される。入力として図13Aに示されるフィールド及びこれに対応する図13Bの出力は対称性を有する。そのフィールドにオフセットがあったとしても、均質化はされていないが入力に実質的に似た形状を有する対称な出力に変換する。
本発明の一実施形態によれば、リソグラフィシステムのイルミネータ300に関連する光源220からの光ビーム305を制御する方法が提供される。この方法は、光ビーム305を生成する光源220からレーザパルス215を光学的に分離してビーム指向性エラー、ビーム位置エラー、ビームサイズエラー、及びビーム発散度エラーの少なくとも1つを選択的に安定化するために光軸210に第1光学系205(1)を有する第1ビーム制御モジュール200(1)を設けることを含む。この方法は、光ビームの照明プロファイルの空間フィールド情報及び角度情報の少なくとも一方を選択的に均質化し、空間フィールド情報及び角度情報のうち第1光学系205(1)の第1系統310(1)に基づいて均質化されていないほうを対称化するよう第1光学系205(1)の第1系統310(1)を使用すること、及び、第1光学系205(1)の第2系統310(2)に基づいて空間フィールド情報及び角度情報の少なくとも一方を均質化し対称化するよう第1光学系205(1)の第2系統310(2)を使用すること、の少なくとも一方をさらに含む。
光ビーム305の照明プロファイルの空間フィールド情報及び角度情報を対称化するために、この方法は、光源220からのレーザパルス215を選択的に伸張することを更に含む。BSS605またはパルスストレッチャの反転光学系で光ビーム305の対称性を整形することにより、光学装置100は、ビーム指向性エラー、ビーム位置エラー、ビームサイズエラー、及びビーム発散度エラーの少なくとも1つの変動に対する光ビーム305の感度を小さくしてもよい。ビーム指向性エラー、ビーム位置エラー、ビームサイズエラー、及びビーム発散度エラーのうち第1ビーム制御モジュール200(1)により安定化されていない2つまたは3つのうちの少なくとも2つを安定化させるために、この方法は、光軸210で第1ビーム制御モジュール200(1)に連結された第2光学系205(2)を有する第2ビーム制御モジュール200(2)の入力として光ビーム305を受光することを含む。
種々の実施例において、この単一の光ビームはパターニングデバイスPDに直接送られてもよいし、(例えば図1及び図2に示される)ビームスプリッタまたはその他の適当なビーム伝達手段を介してパターニングデバイスPDに向けられてもよい。
一実施例では、ビームのfナンバーは、パターニングデバイスPDに入射するビームに光路長の変動が実質的に影響しないように充分な大きさに選択される(例えば、テレセントリック性、像面湾曲など)。
上述の説明では、光、光源、光ビームという用語を使用しているが、これは可視波長を有する光に限定されるべきではなく、上述のようにリソグラフィに適する紫外光または赤外光を含む他の波長も含みうるものと理解されたい。
本説明においてはリソグラフィ装置の用途を特定の装置(例えば集積回路やフラットパネルディスプレイ)の製造としているが、ここでのリソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積回路や集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、微小電気機械素子(MEMS)などの製造に用いることが可能であり、これらに限られない。また、例えばフラットパネルディスプレイに関しては、本発明に係る装置は、例えば薄膜トランジスタ層及び/またはカラーフィルター層などのさまざまな層の製造に用いることができる。
ここでは特に光リソグラフィを本発明に係る実施形態に適用したものを例として説明しているが、本発明は例えばインプリントリソグラフィなど文脈が許す限り他にも適用可能であり、光リソグラフィに限られるものではない。インプリントリソグラフィでは、パターニング用デバイスのトポグラフィが基板に生成されるパターンを決める。パターニング用デバイスのトポグラフィが基板に塗布されているレジスト層に押し付けられ、電磁放射や熱、圧力、あるいはこれらの組み合わせによってレジストが硬化される。レジストが硬化されてから、パターニング用デバイスは、パターンが生成されたレジストから外されて外部に移動される。
本明細書において「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば約365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)、及び極紫外(EUV)放射(例えば5乃至20nmの範囲に含まれる波長を有する)、さらにはイオンビームや電子ビームなどの粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を示す。
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子を含む1つまたは各種の光学素子の組み合わせを指し示すものであってもよい。
本発明の特定の実施形態をいくつか説明したが、説明した以外にも本発明は実施可能である。例えば、本発明は、上述の方法を機械読取可能な命令の1つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形式をとってもよいし、またはそのようなコンピュータプログラムを記録するデータ記録媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、または光ディスク)の形式をとってもよい。
[結語]
本発明の種々の実施例を上に記載したが、それらはあくまでも例示であって、それらに限定されるものではない。本発明の精神と範囲に反することなく種々に変更することができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。本発明の範囲と精神は上記で述べた例示に限定されるものではなく、請求項とその均等物によってのみ定義されるものである。
「課題を解決する手段」及び「要約書」の項ではなく「発明の詳細な説明」の項が請求項を解釈するのに使用されるように意図されている。「課題を解決する手段」及び「要約書」の欄は本発明者が考えた本発明の実施例の1つ以上を示すものであるが、すべてを説明するものではない。よって、本発明及び請求項をいかなる形にも限定するものではない。
B 放射ビーム、 C 目標部分、 IL 照明系、 PD パターニングデバイス、 PS 投影系、 SO 放射源、 W 基板、 WT 基板テーブル。