JP4921332B2 - 窒素ナノバブル水の製造方法 - Google Patents
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Description
微小気泡発生装置3は取水口31によって容器1内の水溶液を取り込み、微小気泡発生装置3内に窒素微小気泡を製造するための窒素ガスを注入する注入口(図示せず)から窒素ガスが注入され、取水口31によって取り込んだ水溶液と混合させて、窒素微小気泡含有水溶液排出口32から微小気泡発生装置3で製造した窒素微小気泡を容器1内へ送る。これにより容器1内に窒素微小気泡が存在するようになる。容器1内には、陽極21と陰極22があり、陽極21と陰極22は放電発生装置2に接続されている。
まず、水溶液の入った容器1内に微小気泡発生装置3を用いて粒径が10〜50μmの窒素微小気泡を発生させる。
また、水溶液の電気伝導度が100μS/cm以上になるように鉄イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどの供給源となる電解質を加える。
放電発生装置2を用いて、容器1内の窒素微小気泡が含まれる水溶液に水中放電を行う。より効率的に窒素ナノバブルを製造させるため、容器1内の窒素の濃度が飽和濃度の50%以上に達している場合が好ましい。また、水中放電の電圧は2000〜3000Vとする。
水中放電に伴う衝撃波の刺激(物理的刺激)により、水中の窒素微小気泡は急速に縮小され、ナノレベルの気泡となる。この時に気泡周囲に存在しているイオン類は、縮小速度が急速なため、周囲の水中に逸脱する時間が無く、気泡の縮小に伴って急速に濃縮する。濃縮されたイオン類は気泡周囲に極めて強い高電場を形成する。この高電場の存在のもとで気液界面に存在する水素イオンや水酸化物イオンは気泡周囲に存在する反対符号を持つ電解質イオンと結合関係を持ち、気泡周囲に無機質の殻を形成する。この殻は気泡内の窒素の水溶液中への自然溶解を阻止するため、窒素ナノバブルは溶解することなく安定的に水溶液中に含まれる。なお、製造される窒素ナノバブルは100nm以下の極めて微小な気泡であるため、水中における浮力をほとんど受けることが無く、通常の気泡で認められる水表面での破裂は皆無に近い。
図5は窒素ナノバブル水を製造するために圧縮、膨張及び渦流を用いた場合の装置の側面図である。放電による窒素ナノバブル水の製造方法と同様に、微小気泡発生装置3、取水口31及び窒素ナノバブル含有水溶液排出口32で微小気泡を製造し、窒素微小気泡を容器1内へ送る。容器1には容器1内の窒素微小気泡が含まれる水溶液を部分循環させるための循環ポンプ4が接続されており、循環ポンプ4が設置されている配管(循環配管)内には多数の孔を持つオリフィス(多孔板)5が接続され、容器1と連結している。容器1内の窒素微小気泡が含まれる水溶液は循環ポンプ4により循環配管内を流動させられ、オリフィス(多孔板)5を通過することで圧縮、膨張及び渦流を生じさせる。
まず、電荷質イオンを含んだ水の入った容器1内に微小気泡発生装置3を用いて粒径が10〜50μmの窒素微小気泡を発生させる。
次に、この窒素微小気泡が含まれる水溶液を部分循環させるため、循環ポンプ4を作動させる。この循環ポンプ4により窒素微小気泡が含まれる水溶液が押し出され、オリフィス(多孔板)5を通過前及び通過後の配管内で圧縮、膨張及び渦流が発生する。通過時の微小気泡の圧縮や膨張により、及び配管内で発生した渦流により電荷を持った窒素微小気泡が渦電流を発生させることにより窒素微小気泡は急激に縮小され窒素ナノバブルとして安定化する。なお、循環ポンプ4とオリフィス(多孔板)5の流路における順序は逆でもよい。
オリフィス(多孔板)5は図5では単一であるが、複数設置してもよく、循環ポンプ4は必要に応じて省略してもよい。その場合、微小気泡発生装置3の水溶液に対する駆動力や高低差による水溶液の流動などを利用することも可能である。
また、図6に示すように、容器1内に渦流を発生させるための回転体6を取り付けることによっても窒素ナノバブルを製造することができる。回転体6を500〜10000rpmで回転させることにより、効率よく渦流を容器1内で発生させることができる。なお、回転体6が微小気泡発生装置3を兼ねることも可能である。
図5に示されているように容器1内に電解質イオンを含む水(電気伝導度:100μS/cm以上)を10L入れ、微小気泡発生装置3により直径が10〜50μmの窒素微小気泡を発生させ、容器1内の水を微小気泡含有水とした。容器1内の微小気泡の濃度が飽和値の50%以上になるように、微小気泡を連続的に発生させた。
次に、容器1内の微小気泡含有水を部分循環させ、微小気泡含有水の一部を循環ポンプ4がある循環配管内へと導入させた。微小気泡含有水は循環ポンプ4に導入され、0.3MPaの圧力でオリフィス(多孔板)5へと送り、渦流を発生させ微小気泡をナノバブル化させた。
作動を1時間実行し、十分な量の窒素ナノバブルを発生させた後、全体の装置を停止した。次に、容器1内に存在している窒素ナノバブル水100mLにスピントラップ剤であるDMPO(5,5−ジメチル−1−ピロリン N−オキサイド)0.03gを添加した後に塩酸0.3mLを添加し、電子スピン共鳴法(ESR)で1.5時間後に測定したところ、スピンアダクトであるDMPO−OHの特徴的なスペクトルを認めることができた。これは塩酸添加時に水酸基ラジカルが発生したことを意味している。水中に微小な気泡が存在している状況下で塩酸などの強酸を添加すると大量の水酸基ラジカルが発生することは公知の事実である。すなわち論文(Journal of Physical Chemistry B,111−6,pp.1343−1347(2007))においてはマイクロバブルが存在する水中にDMPOと塩酸を添加することで水酸基ラジカルが発生することを示している。今回の場合においても窒素ナノバブル水中に微細な気泡が存在していることを示している。また、DMPOを添加する前に窒素ナノバブル水を孔径100nmのメンブレンフィルターに通過させて、同様にDMPOと塩酸を添加してESRで測定しても、全く同じ強度のDMPO−OHのスペクトルを認めることができた。これはマイクロバブルなど100nmよりも気泡径の大きな微小気泡には認められない現象であり、窒素ナノバブル水中に存在する微小気泡が100nmよりも小さなナノバブルであることを示している。
製造した窒素ナノバブル水をペットボトルに入れて固く栓をして冷暗所において1ヶ月間保存し、上記と同様のESR試験を実施した。その結果、100nmのメンブレンフィルターの通過の有無に関係なく、製造直後とほぼ同一の強度のDMPO−OHのスペクトルを認めることができた。このことは窒素ナノバブル水中に存在するナノバブルが1カ月経過後においてもほぼ同様に存在することを示している。
製造後に塩分濃度3%の海水を添加して塩分濃度1%とした。この水槽に天然の渡り蟹を入れて飼育したところ1ヶ月以上にわたって生存した。
2 放電発生装置
3 微小気泡発生装置
4 循環ポンプ
5 オリフィス
6 回転体
21 陽極
22 陰極
31 取水口
32 排出口
Claims (3)
- 鉄イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる少なくとも1つの電解質イオンが混入した電気伝導度が100μS/cm以上(但し300μS/cm以上を除く)の水溶液中において、粒径が10〜50μmの窒素微小気泡に対して、電圧が2000〜3000Vの水中放電に伴う衝撃波を物理的刺激として加えることにより前記微小気泡を強制的に縮小させ、気液界面に吸着した水素イオン及び/又は水酸化物イオンによる静電気的な反発力により、並びに、水素イオン、水酸化物イオン、電解質イオンから選ばれる少なくとも1つが気液界面の縮小に伴って微小な体積の中に高濃度に濃縮して前記微小気泡周囲を取り囲む殻として働くことにより、製造後ペットボトルに入れて蓋をして冷暗所において保存して、製造から1ヶ月後の電子スピン共鳴法による測定において、水溶液のpHが2以下となるように塩酸を加えたときに、製造後と同じ水酸基ラジカルの発生に関与したスペクトルピークが検出される粒径が100nm以下の窒素ナノバブルを含む窒素ナノバブル水の製造方法。
- 鉄イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる少なくとも1つの電解質イオンが混入した電気伝導度が100μS/cm以上(但し300μS/cm以上を除く)の水溶液中において、粒径が10〜50μmの窒素微小気泡に対して、前記水溶液が入った容器内に取り付けた回転体を500〜10000rpmで回転させることにより前記水溶液を流動させ、前記流動時に生じる圧縮、膨張及び渦流を物理的刺激として加えることにより前記微小気泡を強制的に縮小させ、気液界面に吸着した水素イオン及び/又は水酸化物イオンによる静電気的な反発力により、並びに、水素イオン、水酸化物イオン、電解質イオンから選ばれる少なくとも1つが気液界面の縮小に伴って微小な体積の中に高濃度に濃縮して前記微小気泡周囲を取り囲む殻として働くことにより、製造後ペットボトルに入れて蓋をして冷暗所において保存して、製造から1ヶ月後の電子スピン共鳴法による測定において、水溶液のpHが2以下となるように塩酸を加えたときに、製造後と同じ水酸基ラジカルの発生に関与したスペクトルピークが検出される粒径が100nm以下の窒素ナノバブルを含む窒素ナノバブル水の製造方法。
- 鉄イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる少なくとも1つの電解質イオンが混入した電気伝導度が100μS/cm以上(但し300μS/cm以上を除く)の水溶液中において、粒径が10〜50μmの窒素微小気泡に対して、前記水溶液が入った容器内に取り付けたポンプ作動などにより水溶液を流動させ、前記水溶液内に存在する単一若しくは多数の孔を持つオリフィス又は多孔板を通過させることで圧縮、膨張及び渦流を物理的刺激として加えることにより前記微小気泡を強制的に縮小させ、気液界面に吸着した水素イオン及び/又は水酸化物イオンによる静電気的な反発力により、並びに、水素イオン、水酸化物イオン、電解質イオンから選ばれる少なくとも1つが気液界面の縮小に伴って微小な体積の中に高濃度に濃縮して前記微小気泡周囲を取り囲む殻として働くことにより、製造後ペットボトルに入れて蓋をして冷暗所において保存して、製造から1ヶ月後の電子スピン共鳴法による測定において、水溶液のpHが2以下となるように塩酸を加えたときに、製造後と同じ水酸基ラジカルの発生に関与したスペクトルピークが検出される粒径が100nm以下の窒素ナノバブルを含む窒素ナノバブル水の製造方法。
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