JP4920768B2 - ニー補正装置及びニー補正方法 - Google Patents

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Description

この発明の実施の形態は、撮像装置における撮像素子から得られた映像信号の高輝度成分をレベル圧縮するニー補正装置及びニー補正方法に関する。
周知のように、例えばデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置にあっては、撮影した被写体の光学像を撮像素子に結像させることにより電気的な映像信号に変換し、その映像信号に種々の信号処理を施して外部への出力や、記録媒体への記録に供させるようにしている。
この場合、撮像装置から出力される映像信号のレベル範囲は、規格により、撮像素子から得られる映像信号のレベル範囲よりも狭くなるように規定されている。このため、撮像装置では、出力映像信号のレベル範囲を規格内に収めるために、撮像素子から得られる映像信号の高輝度成分をレベル圧縮するニー補正処理を施すようにしている。
特開2003−333613号公報 特開平2−33265号公報
ところで、このようなニー補正処理技術は、まだまだ開発途上にある段階であり、実用化するには種々の点で改良の余地が多々残されている。例えば、現状のニー補正処理技術では、有彩色を撮像した場合に、レベル圧縮処理により映像信号の高輝度成分の色相が正しく再現されず、色相回りが発生することが知られている。
そこで、この発明は、色相回りを発生させることなく映像信号の高輝度成分に対して所望の特性でレベル圧縮を施すことができ、高輝度部分に対してもより自然な色相での映像表示を行なうことを可能としたニー補正装置及びニー補正方法を提供することを目的とする。
実施の形態によれば、ニー補正装置は、生成手段と検出手段と混合手段と第1の供給手
段と第1の演算手段と、第2の供給手段と第2の演算手段とを具備する。生成手段は、R
,G,Bの色信号から輝度信号を生成する。検出手段は、R,G,Bの色信号の中から最
大値を有する色信号を検出する。混合手段は、生成手段で生成された輝度信号と検出手段
で検出された色信号とを所定の混合比で混合する。第1の供給手段は、前記混合手段の出
力に対して、負の傾きを持った第1の入出力特性に基づいて、前記R,G,Bの色信号に
対する彩度量を制御するための第1の係数を供給する。第1の演算手段は、前記第1の供
給手段で供給された第1の係数を前記R,G,Bの色信号とそれぞれ演算して、当該R,
G,Bの色信号のレベル制御を行なう。第2の演算手段は、前記混合手段の出力に対して
正の傾きを持った第2の入力特性に基づいて、前記R,G,Bの色信号に対する輝度
レベルを制御するための第2の係数を供給する。第1の演算手段は、前記第2の供給部で
供給された第2の係数を前記第1の演算手段の出力信号とそれぞれ演算して、当該R,G
,Bの色信号のレベル制御を行なう。

実施の形態における撮像装置の信号処理系を概略的に説明するために示すブロック構成図。 同実施の形態における撮像装置が備えるニー補正部の一例を説明するために示すブロック構成図。 同実施の形態における撮像装置が備えるニー補正部の主要な処理動作を説明するために示す図。 同実施の形態における撮像装置が備えるニー補正部の主要な処理動作を説明するために示す図。 現状におけるニー補正処理技術で実行される処理動作を説明するために示す図。 同実施の形態における撮像装置で表示されるニー設定画面の一例を説明するために示す図。 同実施の形態における撮像装置が備えるニー補正部の他の例を説明するために示すブロック構成図。 同実施の形態における撮像装置が備えるニー補正部の他の例の主要な処理動作を説明するために示す図。 同実施の形態における撮像装置が備えるニー補正部のさらに他の例を説明するために示すブロック構成図。 同実施の形態における撮像装置が備えるニー補正部のさらに他の例を説明するために示すブロック構成図。
以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明する撮像装置11の信号処理系を概略的に示している。すなわち、撮像レンズ12を介して入射された被写体の光学像は、撮像部13に供給されてR(red),G(green),B(blue)の各色信号に変換される。
この撮像部13としては、撮像レンズ12からの入射光を色フィルタによりR,G,Bの各色成分に分離し、分離した各色成分の光を撮像素子にそれぞれ結像させて色信号R,G,Bを生成する、いわゆる、3板式のものや、1枚の撮像素子を用いて色信号R,G,Bを生成する、いわゆる、単板式のものが使用される。
そして、この撮像部13から出力された色信号R,G,Bは、A/D(analog/digital)変換部14に供給されてデジタル化された後、信号処理LSI(large-scale integrated circuit)15に供給される。この信号処理LSI15は、A/D変換部14から供給された色信号R,G,Bに対して、ゲイン・ホワイトバランス制御部16により、ゲイン制御及びホワイトバランス制御と黒レベルの減算処理とを実行する。
そして、ゲイン制御及びホワイトバランス制御が施され、黒レベルが減算された色信号R,G,Bは、ニー補正部17によりニー補正処理が施され、ガンマ補正部18によりガンマ補正処理が施され、映像信号処理部19により各種の信号処理が施された後、出力端子20を介して外部に導出される。
ここで、この撮像装置11は、上記した撮像動作を含むその全ての動作を制御部21によって統括的に制御されている。この制御部21は、CPU(central processing unit)21aを内蔵しており、撮像装置11の本体に設置された操作部22からの操作情報を受けて、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
この場合、制御部21は、メモリ部21bを利用している。このメモリ部21bは、主として、CPU21aが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、該CPU21aに作業エリアを提供するためのRAM(random access memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
また、この制御部21には、表示部23が接続されている。この表示部23は、ユーザによる操作部22の操作に基づいて、撮像された映像を表示する他、撮像装置11の動作状況や各部の状態等を表示する。さらに、この表示部23は、ユーザによる操作部22の操作に基づいて、複数の選択肢を有するメニュー画面を表示する。ユーザは、操作部22を操作してメニュー画面から所望の選択肢を選択することにより、撮像装置11を所望の状態に設定することができる。
また、この制御部21には、記録再生部24が接続されている。この記録再生部24は、ユーザによる操作部22の操作に基づいて、撮像された映像信号を記録再生するもので、再生された映像信号は、出力端子20を介して外部に導出することや、表示部23に表示させることが可能である。
この記録再生部24としては、例えばHDD(hard disk drive)であっても良く、または、DVD(digital versatile disk)のような光ディスクやメモリカード等の携帯可能な記録媒体を装着して記録再生可能なドライブ装置であっても良いものである。
図2は、上記ニー補正部17の一例を示している。すなわち、このニー補正部17は、上記ゲイン・ホワイトバランス制御部16から出力された色信号R,G,Bが対応的に供給される入力端子25,26,27を備えている。そして、これらの入力端子25〜27に供給された色信号R,G,Bは、乗算回路28,29,30の一方の入力端に対応的に供給される。
また、これらの入力端子25〜27に供給された色信号R,G,Bは、輝度生成部31に供給されている。この輝度生成部31は、入力された色信号R,G,Bから輝度信号Yを生成している。例えば、ハイビジョン信号の場合、輝度生成部31は、Y=0.2126R+0.7152G+0.0722Bなる演算を行なうことによって輝度信号Yを生成している。
さらに、上記入力端子25〜27に供給された色信号R,G,Bは、最大値検出部32に供給されている。この最大値検出部32は、入力された色信号R,G,Bの中から最大レベルを有する色信号MAXを検出している。
そして、上記輝度生成部31で生成された輝度信号Yと、上記最大値検出部32で検出された色信号MAXとは、混合部33に供給される。この混合部33は、上記制御部21から入力端子34を介して供給される混合比制御信号で指定される混合比に基づいて、輝度信号Yと色信号MAXとを混合する。例えば、輝度信号Yと色信号MAXとの混合比が1:3であれば、混合部33の出力信号は、(Y+MAX×3)÷4となる。
その後、混合部33の出力信号は、減算回路35に供給されて、上記制御部21から入力端子36を介して供給されるニーポイントKpがレベル減算される。このニーポイントKpは、ニー補正部17が入力端子25〜27に供給された色信号R,G,Bに対して、後述するニー補正処理、つまり、高輝度成分のレベル圧縮を実行するか否かの判別レベルとなっている。
すなわち、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベル以下である場合、つまり、減算回路35の減算結果が0か負である場合、ニー補正処理は実行されず、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベルを超えた場合、つまり、減算回路35の減算結果が正である場合、ニー補正処理が実行されることになる。
具体的に言えば、減算回路35の減算結果は、クリップ回路37に供給される。このクリップ回路37は、減算回路35の減算結果が0か負である場合に0を出力し、減算回路35の減算結果が正である場合に、その減算結果をそのまま出力する。
そして、このクリップ回路37の出力は、2つの係数演算部38,39にそれぞれ供給される。このうち、係数演算部38は、クリップ回路37の出力をxとしたとき、x=0であるとき1となり、x>0であるときそのxの値に対応した1以下の正の値を有する係数を算出する関数f1(x)に基づいて係数を算出し、上記した乗算回路28〜30に供給している。
これらの各乗算回路28〜30は、入力端子25〜27に供給された色信号R,G,Bに、係数演算部38から出力された係数をそれぞれ乗算し、その各乗算結果を加算回路40,41,42に対応的に出力している。
また、上記係数演算部39は、クリップ回路37の出力をxとしたとき、x=0であるとき0となり、x>0であるときそのxの値に対応した正の値を有する係数を算出する関数f2(x)に基づいて係数を算出し、上記した加算回路40〜42に供給している。
このため、クリップ回路37の出力が0であるとき、つまり、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベル以下であるときには、係数演算部38から係数1が出力されるため、乗算回路28〜30は、入力された色信号R,G,Bをそのまま出力することになる。
また、クリップ回路37の出力が0であるとき、つまり、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベル以下であるときには、係数演算部39から係数0が出力されるため、加算回路40〜42は、乗算回路28〜30から供給された色信号R,G,Bをそのまま出力することになる。
すなわち、クリップ回路37の出力が0であるとき、つまり、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベル以下であるときには、加算回路40〜42からは、入力端子25〜27に供給された色信号R,G,Bがそのまま出力され、各色信号R,G,B毎にレベルクリップを行なうクリップ回路43,44,45を介して出力端子46,47,48から取り出されるため、ニー補正処理が行なわれないことになる。
一方、クリップ回路37の出力が正であるとき、つまり、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベルを超えるときには、係数演算部38から出力された正の係数が、乗算回路28〜30により色信号R,G,Bに乗算され、その乗算後の色信号R,G,Bに、係数演算部39から出力された正の係数が加算回路40〜42により加算されるため、ニー補正処理が実行されることになる。
次に、色信号R,G,Bに対するニー補正処理の具体例について説明する。図3(a)は、撮像レンズ12からの入射光量と、入力端子25〜27に供給される色信号(入力色信号)R,G,Bのレベルとの関係を示している。入射光量に対して入力色信号R,G,Bのレベルは線形に変化し、同じ入射光量であれば、R>G>Bの順にレベルが設定されている。
また、図3(b)は、上記係数演算部38における、入力信号レベルと出力係数との関係を示している。入力信号レベル、つまり、クリップ回路37の出力レベルが0のとき係数1を出力し、入力信号レベルが0から高くなるに連れて、出力係数が1から0に向けて順次小さくなるような、負の傾きαを持った線形特性を示している。
換言すれば、係数演算部38は、クリップ回路37の出力をxとしたとき、x=0であるとき1となり、xが大きくなるに連れて1から0に向けて順次小さくなる係数を出力するような、負の傾きαを持った線形の入出力特性を示す一次関数f1(x)に基づいて係数を算出している。この係数演算部38で算出される係数は、入力色信号R,G,Bに対する変調成分を導出するためのもので、乗算回路28〜30により入力色信号R,G,Bに乗算されることによって、色信号R,G,Bの彩度量(色の濃さ)を制御している。
図3(c)は、入力端子25〜27に供給される色信号(入力色信号)R,G,Bのレベルと、乗算回路28〜30から出力される色信号(第1の出力色信号)R,G,Bのレベルとの関係を示している。すなわち、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベル以下であるとき、つまり、入力色信号R,G,Bのレベルがa以下であるときには、乗算回路28〜30からは、入力色信号R,G,Bがそのまま第1の出力色信号R,G,Bとして出力される。
これに対し、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベルを超えたとき、つまり、入力色信号R,G,Bのレベルがaを超えたときには、乗算回路28〜30からは、入力色信号R,G,Bに係数演算部38から出力された係数を乗算した信号が第1の出力色信号R,G,Bとして出力される。
この場合、第1の出力色信号R,G,Bのレベルは、入力色信号R,G,Bのレベルが高くなるに連れて、高輝度成分がレベル圧縮されるような湾曲した特性を持つように制御される。そして、図3(b)に示した線形特性の傾きαを小さく(急峻に)するほど、入力色信号R,G,Bに対するレベル圧縮率は高くなって、色の抑圧量が大きくなる。ただし、入力色信号R,G,Bのレベルが所定のレベルを越えると、つまり、例えば図3(c)でレベルbに示すようになると、第1の出力色信号R,G,Bのレベルは、逆に低下するようにもなる。
次に、図4(a)は、上記係数演算部39における、入力信号レベルと出力係数との関係を示している。入力信号レベル、つまり、クリップ回路37の出力レベルが0のとき係数0を出力し、入力信号レベルが0から高くなるに連れて、出力係数が正方向に順次大きくなるような、正の傾きβを持った線形特性を示している。
換言すれば、係数演算部39は、クリップ回路37の出力をxとしたとき、x=0であるとき0となり、xが大きくなるに連れて正方向に順次大きくなる係数を出力するような、正の傾きβを持った線形の入出力特性を示す一次関数f2(x)に基づいて係数を算出している。この係数演算部39で算出される係数は、入力色信号R,G,Bに対する重畳成分を導出するためのもので、加算回路40〜42により乗算回路28〜30から出力される第1の出力色信号R,G,Bに加算されることによって、色信号R,G,Bの輝度レベルを制御している。
図4(b)は、入力端子25〜27に供給される入力色信号R,G,Bのレベルと、加算回路40〜42から出力される色信号(第2の出力色信号)R,G,Bのレベルとの関係を示している。すなわち、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベル以下であるとき、つまり、入力色信号R,G,Bのレベルがa以下であるときには、加算回路40〜42からは、乗算回路28〜30から出力される第1の出力色信号R,G,Bがそのまま第2の出力色信号R,G,Bとして出力される。
これに対し、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベルを超えたとき、つまり、入力色信号R,G,Bのレベルがaを超えたときには、加算回路40〜42からは、第1の出力色信号R,G,Bに係数演算部39から出力された係数を加算した信号が第2の出力色信号R,G,Bとして出力される。
この場合、第2の出力色信号R,G,Bのレベルは、入力色信号R,G,Bのレベルが高くなるに連れて、高輝度成分のレベルが高く持ち上げられるような特性を持つように制御される。これにより、入力色信号R,G,Bのレベルが図4(b)でレベルbに示すようになっても、第2の出力色信号R,G,Bは、その高輝度成分のレベルが低下することが補正される。なお、図4(a)に示した線形特性の傾きβを小さく(急峻に)するほど、第1の出力色信号R,G,Bに対するレベル圧縮量は高くなる。
図4(c)は、ニー補正部17で、入力色信号R,G,Bの高輝度成分に、上記のようなレベル圧縮処理を施した場合の、色相の再現特性を示している。色相は、R−Y信号とB−Y信号との関係で表わすことができ、角度θが色相を示し、矢印A方向の長さが彩度(色の濃さ)を示している。
入力色信号R,G,Bのレベルが順次高くなっていく場合、入力色信号R,G,Bのレベルがaに達するまでの領域では、彩度が矢印Aで示す方向に伸び、入力色信号R,G,Bのレベルがaを超えた領域では、彩度が矢印Aで示す方向とは正反対の矢印Bで示す方向に伸びる。
一般に、入射光量に対する色信号R,G,Bのレベルが、図5(a)に示すような特性を有する場合、この色信号R,G,Bに対してニー補正による高輝度成分に対するレベル圧縮を行なわなければ、色相は、図5(b)に示すように、所定の角度θ(色相)と長さ(彩度)とを有する1本の線形特性で表わされる。
これに対し、現状のニー補正処理技術では、入射光量に対する色信号R,G,Bのレベルが、図5(c)に示すように、予め設定された所定の基準レベルVpに達すると、レベル圧縮を施すようにしている。この場合、入射光量に対して色信号R,G,B毎にレベルの変化特性が異なるので、まず、入射光量がaのときレベルの増加率が一番高い色信号Rが基準レベルVpに達するためレベル圧縮される。その後、入射光量がbのとき色信号Gが基準レベルVpに達するためレベル圧縮され、入射光量がcのとき色信号Bが基準レベルVpに達するためレベル圧縮されることになる。
ここで、入射光量が順次大きくなっていく場合を考えると、入射光量がaに達するまでの領域では、いずれの色信号R,G,Bにもレベル圧縮が行なわれていないので、色相は、図5(d)に矢印Aで示すように本来の角度と長さとを有する線形特性となる。
また、入射光量がa〜bの領域では、色信号Rにのみレベル圧縮が行なわれるため、入射光量に対する本来の色信号R,G,Bのレベルの比率が崩れ、色相は、図5(d)に矢印Bで示すような角度と長さとを有する線形特性となる。
さらに、入射光量がb〜cの領域では、色信号R,Gにレベル圧縮が行なわれるため、入射光量に対する本来の色信号R,G,Bのレベルの比率が崩れ、色相は、図5(d)に矢印Cで示すような角度と長さとを有する線形特性となり、色相周りが発生することになる。
また、現状のニー補正処理技術では、色信号R,G,Bのレベルを圧縮したとき、色信号R,G,Bのレベルの出力特性が折れ点となるため、その付近で輝度や色の変化が大きく表示映像が不自然になってしまうことがある。
一方、図2に示したニー補正部17によれば、入力色信号R,G,Bから生成した輝度信号Yと最大レベルの色信号MAXとを混合した信号に基づいて、入力色信号R,G,Bに対する彩度量と輝度レベルとを制御する係数を生成し、彩度量を制御する係数を入力色信号R,G,Bに乗算し、その乗算結果に輝度レベルを制御する係数を加算するようにしている。
このため、入射光量に対する本来の色信号R,G,Bのレベルの比率を崩すことなく、色信号R,G,Bに対してレベル圧縮を施すことができるので、色相回りが発生することを防止することができる。また、色信号R,G,Bのレベルを圧縮したとき、色信号R,G,Bのレベルの出力特性が折れ点とならないため、輝度や色の大きな変化が生じることがなく、自然な映像表示を行なうことができる。
さらに、輝度信号Yと最大レベルの色信号MAXとの混合比を変えることや、係数演算部38,39における入出力特性を変えることにより、様々な特性を得ることができる。例えば、輝度信号Yと最大レベルの色信号MAXとの混合比を変えることにより、彩度の抑圧の特性を制御することができる。
すなわち、赤や青の原色の強い信号の場合、輝度信号Yに対する寄与率が低いため、MAX≫Yとなるので、色信号MAXの混合比を大きくすると、ニーポイントKpのレベルが見かけ上下がり、色信号R,G,Bに対するレベル圧縮を強く働かせることができる。また、輝度信号Yの混合比を大きくすると、ニーポイントKpのレベルが見かけ上上がるため、色信号R,G,Bに対するレベル圧縮を弱くすることができる。通常、輝度信号Yと最大レベルの色信号MAXとの混合比は、1:1としている。
また、先にも述べたように、係数演算部38における入出力特性の傾きαを小さくすると、色の抑圧量を大きくすることができ、係数演算部39における入出力特性の傾きβを小さくすると、圧縮量を大きくすることができる。このように、所望の圧縮率を実現することが可能となる。なお、上記したf1(x)及びf2(x)は一次関数に限らず、複雑な演算式とすれば、さらに自由度の高いニー補正処理を行なうことが可能となる。
さらに、ユーザがニー補正処理の特性を選択できるようにすることも可能である。これは、ユーザが、操作部22を操作して表示部23に図6に示すようなニー設定画面を表示させることにより行なわれる。このニー設定画面には、「標準」と「色優先」と「輝度優先」との3つの項目が表示されており、ユーザは、操作部22を操作して所望の項目を選択決定することによって、ニー補正処理の特性を選択することができる。
ここで、「標準」の項目が設定されると、輝度信号Yと最大レベルの色信号MAXとの混合比は1:1となる。また、「色優先」の項目が設定されると、輝度信号Yと最大レベルの色信号MAXとの混合比は1:2となり、原色や色の強さを強調する特性となる。さらに、「輝度優先」の項目が設定されると、輝度信号Yと最大レベルの色信号MAXとの混合比は2:1となり、彩度の低い(色の薄い)映像を表示するのに適した特性となる。
図7は、図2に示したニー補正部17の変形例を示している。図7において、図2と同一部分に同一符号を付して説明すると、係数演算部38,39をテーブル49,50で構成した点が異なる部分である。テーブル49,50は、それぞれ、種々の入力信号レベルに対する係数を記憶しており、入力信号のレベルに応じた係数を出力している。
ここで、図8(a)は、撮像レンズ12からの入射光量と、入力端子25〜27に供給される色信号(入力色信号)R,G,Bのレベルとの関係を示している。入射光量に対して入力色信号R,G,Bのレベルは線形に変化し、同じ入射光量であれば、R>G>Bの順にレベルが設定されている。
また、図8(b)は、上記テーブル49における、入力信号レベルと出力係数との関係を示している。入力信号レベル、つまり、クリップ回路37の出力レベルが0のとき係数1を出力し、入力信号レベルが0から高くなるに連れて、出力係数が1から0に向けて順次小さくなるような非線形特性を示している。
なお、テーブル50は、図4(a)に示したような入力信号レベルと出力係数との関係を有している。入力信号レベル、つまり、クリップ回路37の出力レベルが0のとき係数0を出力し、入力信号レベルが0から高くなるに連れて、出力係数が正方向に順次大きくなるような、正の傾きβを持った線形特性を示している。
図8(c)は、入力端子25〜27に供給される入力色信号R,G,Bのレベルと、加算回路40〜42から出力される色信号(第2の出力色信号)R,G,Bのレベルとの関係を示している。すなわち、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベル以下であるとき、つまり、入力色信号R,G,Bのレベルがa以下であるときには、加算回路40〜42からは、入力色信号R,G,Bがそのまま第2の出力色信号R,G,Bとして出力される。
これに対し、混合部33の出力信号レベルがニーポイントKpのレベルを超えたとき、つまり、入力色信号R,G,Bのレベルがaを超えたときには、加算回路40〜42からは、入力色信号R,G,Bを折れ点でレベル圧縮した信号が第2の出力色信号R,G,Bとして出力される。
図7に示したニー補正部17によっても、図2に示したニー補正部17と同様の効果を得ることができる。また、テーブル49,50を書き替えることで容易にニー補正の特性を変更することができるようになる。
図9及び図10は、図2に示したニー補正部のさらなる変形例を示している。まず、図9においては、図2と同一部分に同一符号を付して説明すると、最大値検出部32及び混合部33を削除し、輝度生成部31で生成された輝度信号Yをそのまま減算回路35に供給するようにしている。また、図10においては、図2と同一部分に同一符号を付して説明すると、輝度生成部31及び混合部33を削除し、最大値検出部32で検出された色信号MAXをそのまま減算回路35に供給するようにしている。図9及び図10に示す変形例は、輝度信号Yと最大レベルの色信号MAXとの混合処理が不要な場合に使用可能な簡略化された例を示している。
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
11…撮像装置、12…撮像レンズ、13…撮像部、14…A/D変換部、15…信号処理LSI、16…ゲイン・ホワイトバランス制御部、17…ニー補正部、18…ガンマ補正部、19…映像信号処理部、20…出力端子、21…制御部、21a…CPU、21b…メモリ部、22…操作部、23…表示部、24…記録再生部、25〜27…入力端子、28〜30…乗算回路、31…輝度生成部、32…最大値検出部、33…混合部、34…入力端子、35…減算回路、36…入力端子、37…クリップ回路、38,39…係数演算部、40〜42…加算回路、43〜45…クリップ回路、46〜48…出力端子、49,50…テーブル。

Claims (6)

  1. R,G,Bの色信号から輝度信号を生成する生成手段と、
    前記R,G,Bの色信号の中から最大値を有する色信号を検出する検出手段と、
    前記生成手段で生成された輝度信号と前記検出手段で検出された色信号とを所定の混合
    比で混合する混合手段と、
    前記混合手段の出力に対して、負の傾きを持った第1の入出力特性に基づいて、前記R
    ,G,Bの色信号に対する彩度量を制御するための第1の係数を供給する第1の供給手段
    と、
    前記第1の供給手段で供給された第1の係数を前記R,G,Bの色信号とそれぞれ演算
    して、当該R,G,Bの色信号のレベル圧縮を行なう第1の演算手段と、
    前記混合手段の出力に対して、正の傾きを持った第2の入力特性に基づいて、前記R
    ,G,Bの色信号に対する輝度レベルを制御するための第2の係数を供給する第2の供給
    手段と、
    前記第2の供給部で供給された前記第2の係数を前記第1の演算手段の出力信号とそれ
    ぞれ演算して、当該R,G,Bの色信号のレベル制御を行なう第2の演算手段と
    を具備するニー補正装置。
  2. 前記第1及び2の供給手段は、
    前記混合手段の出力が前記R,G,Bの色信号の高輝度成分に対応しないレベルにある
    とき、前記第1及び2の演算手段が前記R,G,Bの色信号に対してレベル制御を行なわ
    ずに通過させる係数を供給し、
    前記混合手段の出力が前記R,G,Bの色信号の高輝度成分に対応するレベルにあると
    き、前記第1及び2の演算手段が前記R,G,Bの色信号に対してレベル制御を行なう係
    数を供給する請求項1記載のニー補正装置。
  3. 前記第1の演算部は、前記第1の供給部で供給された第1の係数と前記R,G,Bの色
    信号とをそれぞれ乗算し、
    前記第2の演算部は、前記第2の供給部で供給された第2の係数と前記第1の演算部の
    出力信号とをそれぞれ加算する請求項3記載のニー補正装置。
  4. 前記第1の供給手段または前記第2の供給手段は、
    前記混合手段の出力に基づいて関数演算を行なって係数を生成する手段と、
    前記混合手段の出力と係数とを対応させたテーブルから係数を得る手段とのいずれか一
    方を備える請求項1記載のニー補正装置。
  5. 撮像レンズを介して入射された被写体の光学像をR,G,Bの色信号に変換する撮像手
    段と、
    前記撮像手段から出力されたR,G,Bの色信号から輝度信号を生成する生成手段と、
    前記撮像手段から出力されたR,G,Bの色信号の中から最大値を有する色信号を検出
    する検出手段と、
    前記生成手段で生成された輝度信号と前記検出手段で検出された色信号とを所定の混合
    比で混合する混合手段と、
    前記混合手段の出力に対して、負の傾きを持った第1の入出力特性に基づいて、前記R
    ,G,Bの色信号に対する彩度量を制御するための第1の係数を供給する第1の供給手段
    と、
    前記第1の供給手段で供給された第1の係数を前記R,G,Bの色信号とそれぞれ演算
    して、当該R,G,Bの色信号のレベル圧縮を行なう第1の演算手段と、
    前記混合手段の出力に対して、正の傾きを持った第2の入力特性に基づいて、前記R,
    G,Bの色信号に対する輝度レベルを制御するための第2の係数を供給する第2の供給手
    段と、
    前記第2の供給部で供給された第2の係数を前記第1の演算手段の出力信号とそれぞれ
    演算して、当該R,G,Bの色信号のレベル制御を行なう第2の演算手段と
    を具備する撮像装置。
  6. R,G,Bの色信号から輝度信号を生成し、
    前記R,G,Bの色信号の中から最大値を有する色信号を検出し、
    前記輝度信号と前記検出された色信号とを所定の混合比で混合し、
    輝度信号と色信号との混合信号に対して、負の傾きを持った第1の入出力特性に基づい
    て、前記R,G,Bの色信号に対する彩度量を制御するための第1の係数を供給し、
    前記第1の係数を前記R,G,Bの色信号とそれぞれ演算して、当該R,G,Bの色信
    号のレベル圧縮を行い
    前記輝度信号と色信号との混合信号に対して、正の傾きを持った第2の入出力特性に基
    づいて、前記R,G,Bの色信号に対する輝度レベルを制御するための第2の係数を供給
    し、
    前記第2の係数を前記第1の係数と演算された前記R,G,Bの色信号とそれぞれ演算
    して当該R,G,Bの色信号のレベル制御を行なうニー補正方法。

    以上
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