以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態における積荷の搬送装置の概略平面図である。
第1の実施形態における積荷の搬送装置(以下、単に搬送装置)は、貨物自動車を対象とするものであり、貨物自動車の荷受け部の床面上を樹脂製の支持部材やローラ等にてスライド可能とされた複数の床板材10を備え、床板材10は、3つの床板材群11A,11B,11Cに分割されている。
床板材群11Aを構成する複数の床板材10は横板材12Aに連結され、床板材群11Bを構成する複数の床板材10は横板材12Bに連結され、床板材群11Cを構成する複数の床板材10は横板材12Cに連結されている。
横板材12A,12B,12Cには、それぞれ油圧シリンダ13A,13B,13Cが連結されており、各床板材群の床板材10は、油圧シリンダ13A,13B,13Cの往復動に伴い同時にスライドする。例えば、横板材12Aに連結された床板材群11Aの床板材10は全て、油圧シリンダ13Aの往復動に伴って同時にスライドする。
図2は、油圧シリンダ13A,13B,13Cが横板材12A,12B,12Cに連結されている状態を示す拡大平面図である。
油圧シリンダ13A,13B,13Cにおいて、ピストンロッド130A,130B,130Cの先端部は、それぞれ横板材12A,12B,12Cに接続されている。
また、油圧シリンダ13A,13B,13Cのシリンダケース131A,131B,131Cは、貨物自動車の荷受け部の床面下に配置されたシャーシフレーム14に固定されている。
ここで、積荷搬送時における搬送装置の動作の概要について、搬送装置が図1に示す状態にあるときに、積荷の搬入が開始される場合を例に説明する。
なお、以下で、前方とは荷を進める方向をいい、後方とはその反対をいう。従って、搬入時には、運転席側(図1に示す左側)が前方となり、運転席の反対側(図1に示す右側)が後方となる。またこれとは逆に、搬出時には、運転席側が後方となり、その反対側が前方となる。図1に示す搬送装置では、床板材群11A,11B,11Cは全て前進端部に位置付けられており、ピストンロッド130A,130B,130Cは最伸長状態にある。
まず、床板材群11A,11B,11Cを、図1に示す状態から床板材群11A、床板材群11B、床板材群11Cの順に後退端部へと後退すべく、ピストンロッド130A,130B,130Cは収縮する(図3,4,5参照)。この際には、後退中の床板材群と積荷との間に生じる摩擦力が、停止中の床板材群と積荷との間に生じる摩擦力よりも小さくなるため、積荷は停止したままである。
次いで、床板材群11A,11B,11Cのそれぞれが後退を完了した後に、床板材群11A,11B,11Cを一斉に前進すべく、ピストンロッド130A,130B,130Cは一斉に伸長する(図6参照)。この際には、全床板材群の前進に伴って、積荷が前進する。
そうして本実施形態では、積荷を徐々に前方へ搬送させるべく、上述した床板材群の後退と前進とのサイクルが所定回数繰り返される。なお、本実施形態では、各床板材群がそれぞれ後退する際に、積荷が確実に停止すべく各床板材群への負荷重量の分散を図るために、搬送装置に配置された床板材10は、相隣る床板材が互いに異なる床板材群に属するように分割されている。
次に、上述した床板材群の動きをもたらす為の機構について説明する。
図7は、第1の実施形態の搬送装置における油圧回路の回路図である。
油圧回路には、上述の油圧シリンダ13A,13B,13Cに加えて、バルブ15A,15B,15C、油圧タンク16、油圧ポンプ17、リリーフ弁18、ストレーナ19が接続されている。
油圧ポンプ17は、図示しない動力取出装置によって取り出された貨物自動車の走行用エンジンの駆動力によって、油圧タンク16に貯留した油を圧送するものであり、油圧ポンプ17が圧送する油の量は、該走行用エンジンの回転数に応じて変更される。
バルブ15A,15B,15Cは、ソレノイド式の3位置6ポートバルブであり、入口ポートが油圧ポンプ17からの供給路に接続され、出口ポートが油圧シリンダ13A,13B,13Cへの供給路に接続されている。
バルブ15A,15B,15Cのスプールが一方の伸び側位置にシフトしたときには、油が油圧シリンダ13A,13B,13Cの伸び側油室に供給される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに、伸長方向への動力が伝達される。
また、バルブ15A,15B,15Cのスプールが他方の収縮側位置にシフトしたときには、油が油圧シリンダ13A,13B,13Cの縮み側油室に供給される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに収縮方向への動力が伝達される。
また、バルブ15A,15B,15Cのスプールが中立位置にシフトしたときには、油はバルブ15A,15B,15Cを通過して、油圧タンク16へと復帰する。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに動力は伝達されない。
リリーフ弁18は、油圧回路の油圧の過度の上昇を防止するためのものであり、油圧ポンプ17とバルブ15A,15B,15Cとの間に介設され、油圧回路の油圧が設定圧力まで上昇したときに開く弁体を備えている。
上述した油圧回路において、油圧ポンプ17の駆動中に、バルブ15A,15B,15Cのスプールの位置が変更された場合には、ピストンロッド130A,130B,130Cの動きが切り替えられ、これに伴い、床板材群11A,11B,11Cの動きも切り替えられることになる。よって、一の床板材群の後退端部への移動が完了した時点で、バルブ15A,15B,15Cのスプールの位置を変更して、次に後退すべき床板材群の後退を開始させ、さらに全床板材群の後退が完了した時点で、バルブ15A,15B,15Cのスプールの位置を変更して、全床板材群の前進を開始させることで、上述した床板材群の動きが実現されることになる。
ここで、上述したように、油圧ポンプ17が圧送する油の流量は、貨物自動車の走行用エンジンの回転数に応じて変更される。このため、油圧ポンプ17が駆動中であり、バルブ15A,15B,15Cのスプールが伸び側位置又は縮み側位置にあり、油圧ポンプ17から油圧シリンダ13A,13B,13Cに油が供給されている場合に、走行用エンジンの回転数が変更されたときには、この時点から、油圧シリンダ13A,13B,13Cに供給される油の流量は変更される。そうして、この油圧シリンダ13A,13B,13Cに供給される油の流量の変更に伴い、同時点から、ピストンロッド130A,130B,130Cの伸縮速度が変更され、さらに、床板材群11A,11B,11Cの移動速度が変更されることになる。
このため、本実施形態では、上述のように移動速度が変更し得る床板材群11A,11B,11Cが前進端部または後退端部に到達した時点を特定するために、本実施形態の搬送装置には、床板材群11A,11B,11Cの位置を検出するためのセンサA1,A2,B1,B2,C1,C2(位置センサ)が配置されている。以下、センサA1,A2,B1,B2,C1,C2を、センサA1〜C2と適宜示す。
センサA1,B1,C1は、それぞれ床板材群11A,11B,11Cが後退端部に位置付けられたことを検出するものであり、ピストンロッド130A,130B,130Cが最収縮状態にある場合にそれぞれ反応する。
また、センサA2,B2,C2は、それぞれ床板材群11A,11B,11Cが前進端部に位置付けられたことを検出するものであり、ピストンロッド130A,130B,130Cが最伸長状態にある場合にそれぞれ反応する。
次に、センサA1〜C2とその被検出体とが、搬送装置に取り付けられている状態についてセンサA1,A2を例に説明する。なお、以下に示す事項は、センサB1,B2,C1,C2に関しても同様に適用される。
図8は、油圧シリンダ13Aとその下方に配置される部材の側面図であり、図9は、油圧シリンダ13Aとその下方に配置される部材の正面図である。なお、図8では、説明の便宜のため、後述する連結部材21及びカバー部材22の一部を、図に示すA−A線に沿って切り除いて示している。
油圧シリンダ13Aの下方には、油圧シリンダ13Aのピストンロッド130Aに連結され、ピストンロッド130Aに連動して往復運動する補助軸20と、筒状を呈し、油圧シリンダ13Aのシリンダケース131Aに、連結部材21を介して連結されるカバー部材22とが配置され、補助軸20は、カバー部材22の内部に挿入されている。
補助軸20の外径はカバー部材22の内径よりも小さく、このため、補助軸20の外面20aとカバー部材22の内面22aとは離隔し、外面20aと内面22aとの間に隙間が存在している。そうして、この隙間内に、センサA1,A2の金属製の被検出体23が、補助軸20の外面20a上に取り付けられている。
被検出体23は、筒状を呈し、その内部を補助軸20が挿通することにより、補助軸20の外面20a上に取り付けられている。これにより、被検出体23は、補助軸20と共にピストンロッド130Aに連動して往復運動を行うものとなっている。またさらに、被検出体23は、その往復運動中にカバー部材22の内部から露出しない補助軸20の外面20a上の位置に配置されている。
センサA1,A2は、被検出体23との離隔距離が所定値以下となったときに、それぞれ被検出体23に対して反応するものである。即ち、センサA1,A2は、いわゆる近接センサであって、カバー部材22の内面22a上に取り付けられている。
センサA1は、ピストンロッド130Aが最収縮状態になったとき、すなわち床板材群11Aが後退端部に位置付けられたときに、被検出体23との離隔距離が上記所定値となるように配置されている。
また、センサA2は、ピストンロッド130Aが最伸長状態になったとき、すなわち床板材群11Aが前進端部に位置付けられたときに、被検出体23との離隔距離が上記所定値となるように配置されている。
これにより、床板材群11Aが後退端部に位置付けられたときには、センサA1は補助軸20の径方向に位置する被検出体23に対して反応し、床板材群11Aが前進端部に位置付けられたときに、センサA2は前記径方向に位置する被検出体23に対して反応する。
そうして、本実施形態の搬送装置には、センサA1〜C2の検出信号に基づいて床板材群の移動を制御するために、センサA1〜C2に接続され、センサA1〜C2から受信した検出信号に基づいて、油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動を制御する制御手段が配置されている。具体的には、制御手段は、センサA1〜C2から受信した検出信号に基づいて、バルブ15A,15B,15Cのスプールの位置を制御する。
図10は、第1の実施形態の積荷搬入時における制御手段による処理の流れを示すフローである。図に示す処理は、運転者により搬入開始ボタンが押されること等によって開始される。なお、図10に示す処理の開始前においては、バルブ15A,15B,15Cのスプールは中立位置に保たれている。
まず、床板材群11Aが後退端部に位置付けられているか否かを識別すべく、センサA1が反応したか否かが判断される(ステップS101)。
床板材群11Aが後退端部へ位置付けられていないことから、センサA1が反応していないと判断された場合には(ステップS101でNO)、バルブ15Aが中立位置から縮み側位置に切り替えられる(ステップS102)。この切り替えにより、ピストンロッド130Aは収縮方向への作動を開始し、床板材群11Aに後方への動力が伝達される。なお、ステップS101でYESの場合については後述する。
次に、センサA1が反応したか否かが再度判断され(ステップS103)、センサA1が反応したと判断された場合には(ステップS103でYES)、後方への動力を伝達されている床板材群11Aが、図3に示すように後退端部への移動を完了したことから、バルブ15Bが中立位置から縮み側位置に切り替えられる(ステップS104)。この切り替えにより、ピストンロッド130Bは収縮方向への作動を開始し、床板材群11Bに後方への動力が伝達される。
次に、センサB1が反応したか否かが判断され(ステップS105)、センサB1が反応したと判断された場合には(ステップS105でYES)、後方への動力が伝達されている床板材群11Bが、図4に示すように後退端部への移動を完了したことから、バルブ15Cが中立位置から縮み側位置に切り替えられる(ステップS106)。この切り替えにより、ピストンロッド130Cは収縮方向への作動を開始し、床板材群11Cに後方への動力が伝達される。
次に、センサC1が反応したか否かが判断され(ステップS107)、センサC1が反応したと判断された場合には(ステップS107でYES)、床板材群11Cが図5に示すように後退端部への移動を完了したことから、バルブ15A,15B,15Cが、縮み側位置から伸び側位置に切り替えられる(ステップS108)。この切り替えにより、ピストンロッド130A,130B,130Cは伸長方向への作動を開始し、後退端部への移動が完了した床板材群11A,11B,11Cに、前方への動力が伝達される。
次に、センサA2,B2,C2が反応したか否かが判断され(ステップ109)、センサA2,B2,C2が反応したと判断された場合には(ステップS109でYES)、前進を開始した床板材群11A,11B,11Cが図6に示すように前進端部への移動を完了したことから、バルブ15B,15Cは伸び側位置から中立位置に切り替えられ、またバルブ15Aは伸び側位置から縮み側位置に切り替えられる(ステップS110)。この切り替えにより、ピストンロッド130Aは収縮方向への作動を開始して、前進端部に位置付けられている床板材群11Aに、後方への動力が伝達される。また、バルブ15B,15Cは中立位置に切り替えられることにより、床板材群11B,11Cへの動力の伝達が停止される。
そうして、ステップS110が実行された場合には、再びステップS103に戻り、これ以降、ステップS103からステップS110の処理が、処理の停止指示がなされるまで繰り返され、この間において、床板材群11A,11B,11Cは、上述した後退端部への移動と前進端部への移動のサイクルを所定回数繰り返すことになる。なお、上述した処理の停止指示は、運転者により搬入停止ボタンが押されること等によって実行される。
次に、ステップ101で、床板材群11Aが図3に示すように後退端部に位置付けられていることから、センサA1が反応したと判断された場合(ステップS101でYES)について説明する。
この場合には、続くステップS111で、センサB1が反応したか否かが判断される(ステップS111)。この処理は、床板材群11Bが、図4に示すように後退端部に位置付けられているか否かを識別すべく実行される。
次いで、床板材群11Bが後退端部に位置付けられていないことから、センサB1が反応していないと判断された場合には(ステップS111でNO)、バルブ15Bが、中立位置から縮み側位置に切り替えられる(ステップS112)。この切り替えにより、ピストンロッド130Bは収縮方向への作動を開始し、床板材群11Bに後方への動力が伝達される。
このステップS112の処理が実行された場合には、ステップS104が実行された場合と同様に、床板材群11Aは後退端部に位置付けられ、床板材群11Bへは後方への動力が伝達されている状態になることから、ステップS105の処理へと移行する。そうして、ステップS105からステップS110を経た後は、ステップS103からステップS110までの処理が、処理の停止指示がなされるまで繰り返され、この間において、床板材群11A,11B,11Cは、上述した後退端部への移動と前進端部への移動のサイクルを所定回数繰り返す。
一方、ステップS111で、床板材群11Bが後退端部に位置付けられていたことから、センサB1が反応したと判断された場合には(ステップS111でYES)、センサC1が反応したか否かが判断され(ステップS113)、さらに、床板材群11Cが図5に示すように後退端部に位置付けられていないことから、センサC1が反応していないと判断された場合には(ステップS113でNO)、バルブ15Cが中立位置から縮み側位置に切り替えられる(ステップS114)。この切り替えにより、ピストンロッド130Cは収縮方向への作動を開始し、床板材群11Cに後方への動力が伝達される。
このステップS114が実行された場合には、ステップS106が実行された場合と同様に、床板材群11A,11Bは後退端部に位置付けられ、床板材群11Cには後方への動力が伝達されている状態になることから、ステップS107の処理に移行する。そうして、ステップS108〜110を経た後は、ステップS103からステップS110までの処理が、処理の停止指示がなされるまで所定回数繰り返され、この間において、床板材群11A,11B,11Cは、上述した後退端部への移動と前進端部への移動のサイクルを所定回数繰り返す。
一方、ステップS113で、床板材群11Cが後退端部に位置付けられていることから、センサC1が反応したと判断された場合には(ステップS113でYES)、バルブ15A,15B,15Cの全てが中立位置から伸び側位置に切り替えられる(ステップS115)。この切り替えにより、ピストンロッド130A,130B,130Cは伸長方向への作動を開始し、後退端部に位置付けられていた床板材群11A,11B,11Cに、前方への動力が伝達される。
このステップS115の処理が実行された場合には、ステップS108が実行された場合と同様に、後退端部に位置付けられている床板材群11A,11B,11Cへ、前方への動力が伝達される状態になることから、ステップS109の処理に移行する。そうして、ステップS110を経た後は、ステップS103からステップS110までの処理が、処理の停止指示がなされるまで所定回数繰り返され、この間において、床板材群11A,11B,11Cは、上述した後退端部への移動と前進端部への移動のサイクルを所定回数繰り返す。
以上のように、本実施形態の搬送装置では、一の床板材群が後退端部に移動するときに、一の床板材群が後退端部に位置づけられたことをセンサA1,B1,C1により検出され、その検出信号に基づいて一の床板材群が後退端部への移動を完了したと識別された場合に、次に後退すべき床板材群の後退が開始されるように油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動の切り替えが制御される。またさらに、センサA1,B1,C1の検出信号に基づいて、最後に後退すべき床板材群が後退端部への移動を完了したか否かが識別された場合に、全床板材群の前進が開始されるように油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動は切り替えられる。すなわち、本発明によれば、位置センサにより実際の床板材群の位置が検出され、その検出信号に基づいて、油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動の切り替えが制御される。これにより、走行用エンジンの回転数の変更に伴い油圧シリンダに供給される油の流量が変更されて、油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動速度が速くなったり、遅くなったりした場合であっても、床板材群11A,11B,11Cの動きに合わせて、油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動が切り替えられる。このため、例えば、積荷の搬送速度を速めるために、アクセルを吹かしてエンジンの回転数を上げて油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動速度を速める等、状況に応じて車両の走行用エンジンの回転数を変更することにより、油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動速度がコントロール可能になることから、積荷の搬送効率が向上する。
また、床板材群11A,11B,11Cの動きに合わせて、油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動が切り替えられることになるから、全床板材群の前進時には、全床板材群は確実に後退端部に位置付けられた状態で前進を開始することになり、全床板材群の前方への移動量が充分確保され、積荷の搬送効率が向上する。
また、一の床板材群の後退端部への移動が完了した後には、次に後退すべき床板材群の後退が開始され、さらに全床板材群の後退が完了した後には、全床板材群の前進を開始するように、バルブ15A,15B,15Cのスプール位置が制御される。このため、後退を完了した床板材群にかかる油圧シリンダに対して、油の供給の停止や、油の供給位置の変更が正確に行われるため、油圧回路の油圧が過度に上昇して油圧回路が破壊するのを防ぎ得る。また、位置センサが故障した場合に、リリーフ弁18があるので安全である。また、油圧回路の油圧が、リリーフ弁18の弁体が開く設定圧力にまで頻繁に上昇することがなく、弁体が頻繁に開くことがない。このため、騒音の発生や、油の温度が上昇して油圧回路にダメージが与えられることが防止される。
ここで、センサA1〜C2は、金属製の被検出体23に対して反応するセンサであるため、被検出体23の周辺に配置される部材について、センサA1〜C2には反応し難いような被検出体23とは異なる材料から形成された部材を使用することで、センサA1〜C2の誤作動が防止される。例えば、被検出体23には鉄が使用され、その周辺に配置される部材には、ステンレスが使用される。
また、被検出体23は、その往復運動中に、カバー部材22から露出しない補助軸20の外面20a上の位置に配置されているため、常にカバー部材22に覆われた状態となる。これにより、被検出体23にゴミが付着するのが防止され、センサA1〜C2の誤作動がさらに防止される。
次に、第1の実施形態の積荷搬出時における制御手段の処理について説明する。
図11は、第1の実施形態の積荷搬出時における制御手段による処理の流れを示すフローである。
積荷搬出時は、上述した積荷搬入時と比較して、床板材群11A,11B,11Cをスライドさせる順序と方向とが反対になるように、油圧シリンダ13A,13B,13Cは、制御手段により制御される。
これに関連して、図11に示す処理は、図10に示す処理の各ステップに対応するステップを有しているが、図10に示す処理と比較して、バルブの切り替えに関するステップで、切り替えの対象となるバルブと、そのバルブが切り替えられる位置とが異なる。
まず、図10に示す処理で、切り替えの対象がバルブ15Aであるステップに関しては、そのステップに対応する図11に示すステップで、切り替えの対象はバルブ15Cとなり、図10に示す処理で、切り替えの対象がバルブ15Cであるステップに関しては、そのステップに対応する図11に示すステップで、切り替えの対象はバルブ15Aになる。
また、図10に示す処理で、バルブが縮み側位置に切り替えられるステップに関しては、そのステップに対応する図11に示すステップで、バルブは伸び側位置へ切り替えられ、図10に示す処理でバルブが伸び側位置に切り替えられるステップに関しては、そのステップに対応する図11に示すステップで、バルブは縮み側位置へ切り替えられる。
さらに、図11に示す処理は、図10に示す処理と比較して、センサの反応の有無を判断するステップで、判断の対象となるセンサが異なる。すなわち、図10に示す処理で、判断の対象となるセンサがセンサA1又はセンサA2であるステップに関しては、そのステップに対応する図11に示すステップで、判断の対象となるセンサはセンサC2又はセンサC1となり、すなわち、図10に示す処理で、判断の対象となるセンサがセンサB1又はセンサB2であるステップに関しては、そのステップに対応する図11に示すステップで、判断の対象となるセンサはセンサB2又はセンサB1となり、図10に示す処理で、判断の対象となるセンサがセンサC1又はセンサC2であるステップに関しては、そのステップに対応する図11に示すステップで、判断の対象となるセンサはセンサA2又はセンサA1となる。
図11に示す処理は、図10に示す処理と上述した関係を有するものであるため詳細な説明は省略するが、積荷搬出時においても、積荷搬入時と同様にセンサA1〜C2の検出信号に基づいて、油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動及び床板材群11A,11B,11Cの移動が制御されるために、搬入時と同様の作用効果が発揮され得る。
なお、第1の実施形態では、ピストンロッド130A,130B,130Cの位置を検出して、その検出結果に基づき油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動の制御することとしたが、ピストンロッド130A,130B,130Cの位置を検出する代わりに、床板材群11A,11B,11Cの位置を検出して、その検出結果に基づき油圧シリンダ13A,13B,13Cの制御を行うこととしてもよい。
この場合には、上述したセンサA1〜C2と制御手段に代えて、床板材群11A,11B,11Cの位置を検出するためのセンサと、該センサから受信した検出信号に基づいて、油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動を制御する制御手段とが、油圧制御システムに配置される。
具体的には、床板材群11A,11B,11Cのそれぞれに対しては、床板材群11A,11B,11Cの各々が後退端部に位置付けられた場合に反応するセンサと、床板材群11A,11B,11Cの各々が前進端部に位置付けられた場合に反応するセンサと、該センサの検出信号に基づいて、バルブ15A,15B,15Cの位置を制御する制御手段とが油圧制御システムに配置される。
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
なお、第2の実施形態の搬送装置は、上述したセンサA1〜C2と制御手段とを除き、第1の実施形態の搬送装置と同様の構成を有する。そのため、以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、また第1の実施形態と共通する点については、第1の実施形態と同一の符号を図に付してその説明を省略する。
また、第2の実施形態の搬送装置においても、第1の実施形態の搬送装置と同様に、積荷を徐々に前方へ搬送させるべく、上述した床板材群11A,11B,11Cの後退と前進とが所定回数繰り返される。
図12は、第2の実施形態の搬送装置における油圧回路の回路図である。第2の実施形態における油圧回路には、床板材群11A,11B,11Cの後退速度を検出するための速度算出用センサとして、ピストンロッド130A,130B,130Cの所定部分が検出領域を通過する間にそれぞれ反応するセンサA3,B3,C3が配置されている。なお、ピストンロッド130Aの所定部分がセンサA3の検出領域よりも伸長側に位置づけられた場合には、ピストンロッド130B,130Cの所定部分も、センサB3,C3の検出領域よりも伸長側に位置づけられている。また、センサA3,B3,C3やその被検出体が搬送装置に取り付けられている状態等は、第1の実施形態で示した事項と同様である。よって、これに関する説明は省略する。
そうして第2の実施形態における油圧回路には、センサA3,B3,C3に接続され、センサA3,B3,C3から受信した検出信号に基づいて、油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動を制御する制御手段が配置されている。具体的には、制御手段は、センサA3,B3,C3から受信した検出信号に基づいて、バルブ15A,15B,15Cのスプールの位置を制御する。
図13は、第2の実施形態の積荷搬入時における制御手段による処理の流れを示すフローである。図に示すフローは、図10に示すフローと同様、運転者により搬入開始ボタンが押されること等によって開始される。
ここで図13に示す処理は、大きく2つの処理に大別される。
まず、第1の処理は、ステップS301からステップS306又はステップS308に至る処理であり、これは、床板材群11A,11B,11Cを後退開始前の初期位置に位置づけるための処理である。ここで、上記初期位置とは、ピストンロッド130A,130B,130Cの所定部分がセンサA3,B3,C3の検出領域よりも伸長側にある場合の位置、すなわち床板材群11A,11B,11Cの後退開始後に、収縮中のピストンロッド130A,130B,130Cの所定部分がセンサA3,B3,C3の検出領域を通過することになる場合の位置である。
そうして、第2の処理は、ステップS309からステップS336に至る処理であり、これは、床板材群11A,11B,11Cに上述した後退と前進とを所定回数繰り返させるための処理である。なお、第2の処理の初回実行時においては、床板材群11A,11B,11Cは、第1の処理により上記初期位置に位置づけられた状態で後退を開始する。以下、第1の処理から順に説明する。
まず、ピストンロッド130Aの所定部分がセンサA3の検出領域に位置していないことにより、センサA3が反応していないか否かが判断される(ステップS301)。
ピストンロッド130Aの所定部分がセンサA3の検出領域に位置していないことから、センサA3が反応していないと判断された場合には(ステップS301でYES)、バルブ15A,15B,15Cが、伸び側位置に切り替えられる(ステップS302)。この切り替えにより、ピストンロッド130A,130B,130Cは伸長方向への作動を開始して、床板材群11A,11B,11Cに前方への動力が伝達される。また、このステップS302の処理が実行された場合には、これ以降の経過時間tの計測がタイマにより開始される。なお、ステップS301でNOの場合については後述する。
ステップS302に続き、タイマにより計測された経過時間tが、5秒未満であるか否かが判断される(ステップS303)。
ここで、本実施形態では、ピストンロッド130A,130B,130Cに伸長方向への動力の伝達が開始されてから5秒を経過した場合には、ピストンロッド130A,130B,130Cの所定部分は、その初期位置にかかわらず、センサA3,B3,C3の検出領域よりも伸長側に到達している。これに基づき、ステップS303の処理では、ピストンロッド130A,130B,130Cの所定部分が、センサA3,B3,C3の検出領域よりも伸長側に到達したか否かを識別すべく、ステップS302の実行後から5秒が経過したか否かが判断される。
タイマにより計測された経過時間tが5秒以上であると判断された場合には(ステップS303でNO)、ピストンロッド130A,130B,130Cの所定部分が、センサA3,B3,C3の検出領域よりも伸長側に到達したことに基づき、バルブ15A,15B,15Cが伸び側位置から中立位置に切り替えられる(ステップS308)。この切り替えにより、ピストンロッド130A,130B,130Cは伸長方向への作動を停止して、床板材群11A,11B,11Cに前方への動力の伝達が停止される。
一方、ステップS303で、タイマにより計測された経過時間tが5秒未満であると判断された場合には(ステップS303でYES)、センサA3が反応しているか否かが判断される。これは、ピストンロッド130Aが伸長することにより、ピストンロッド130Aの所定部分がセンサA3の検出領域に入ったか否かを識別するために実行される。
センサA3が反応していないと判断された場合には(ステップS304でNO)、再びステップS303の処理へ戻る。
一方、センサA3が反応していると判断された場合には(ステップS304でYES)、続くステップS305で、センサA3が反応を停止したか否かが判断される。これは、ピストンロッド130Aの所定部分がセンサA3の検出領域よりも伸長側に到達したか否かを識別するために実行される。ここで、ステップS305でピストンロッド130Aに着目するのは、ピストンロッド130Aの所定部分がセンサA3の検出領域よりも伸長側に到達した場合には、ピストンロッド130B,130Cの所定部分についてもセンサB3,C3の検出領域よりも伸長側に到達していることに基づく。
そうして、ピストンロッド130Aが上記伸長側に到達したことから、センサA3が反応を停止したと判断された場合には(ステップS305でYES)、バルブ15A,15B,15Cが、伸び側位置から中立位置に切り替えられる(ステップS306)。この切り替えにより、ピストンロッド130A,130B,130Cは伸長方向への作動を停止して、床板材群11A,11B,11Cに前方への動力の伝達が停止される。このステップS306が実行される場合には、ピストンロッド130B,130Cも、センサB3,C3の検出領域よりも伸長側に到達している。
次に、ステップS301でセンサA3が反応中にあると判断された場合(ステップS301でNO)について説明する。
この場合には、続くステップS307で、バルブ15A,15B,15Cが伸び側位置に切り替えられる。この切り替えにより、ピストンロッド130A,130B,130Cは伸長方向への作動を開始して、床板材群11A,11B,11Cに前方への動力が伝達される。
そうして、続くステップS305で、センサA3が反応を停止したか否かが判断される。この処理も、先のステップS305の説明で述べたのと同様の目的で実行される。
そうして、上記と同様に、センサA3が反応を停止していないと判断された場合には(ステップS305でNO)、センサA3が反応を停止したと判断されるまで待機され、一方、センサA3が反応を停止したと判断された場合には(ステップS305でYES)、ピストンロッド130A,130B,130CがセンサA3,B3,C3の検出領域よりも伸長側に到達していることに基づき、バルブ15A,15B,15Cが、伸び側位置から中立位置に切り替えられる。この切り替えにより、床板材群11A,11B,11Cに動力の伝達が停止される。
以上述べたように、ステップS306又はステップS308が実行された場合には、ピストンロッド130A,130B,130CはセンサA3,B3,C3の検出領域よりも伸長側に到達している。これにより、床板材群を後退すべく、ピストンロッド130A,130B,130Cが収縮を開始した場合に、その後において、ピストンロッド130A,130B,130Cの検出部分がセンサA3,B3,C3の検出領域を通過することが可能になる。
そうして、ステップS306又はステップS308が実行されることにより、第1の処理は終了し、この際には、床板材群は、上記初期位置に位置づけられている。そうして、第1の処理が終了した後は、ステップS309からの第2の処理に移行する。以下、第2の処理について説明する。
まず、バルブ15Aが中立位置から縮み側位置に切り替えられて(ステップS309)、ピストンロッド130Aに収縮方向への作動を開始し、床板材群11Aに後退方向への動力が伝達される。なお、バルブ15Bとバルブ15Cとは中立位置が維持されており、これにより、床板材群11B,11Cは、ステップS306又はステップS308の実行時における位置が維持される。
次に、センサA3が反応したか否かが判断され(ステップS310)、ピストンロッド130Aの検出部分がセンサA3の検出領域に入ったことから、センサA3が反応したと判断された場合には(ステップS310でYES)、ピストンロッド130Aの収縮速度V1(床板材群11Aの後退速度)を計測するための処理が開始される(ステップS311)。具体的には、センサA3の反応時間の計測が開始される。
次に、センサA3が反応を停止したか否かが判断され(ステップS312)、ピストンロッド130Aの検出部分がセンサA3の検出領域を出たことから、センサA3が反応を停止したと判断された場合には(ステップS312でYES)、ステップS311から開始された計測処理が終了される(ステップS313)。具体的には、センサA3の反応時間の計測が終了される。
次に、センサA3の検出領域の長さを、ステップS311からステップS313に至る過程で計測されたセンサA3の反応時間で除することにより、ピストンロッド130Aの収縮速度V1が計算されるとともに、計算された収縮速度V1に基づき、ピストンロッド130Aが最収縮状態に至るまでのt1時間、すなわち床板材群11Aが図3に示すように後退端部への移動を完了するまでのt1時間が計算される(ステップS314)。
次に、ステップS314の実行後からの経過時間Tが、t1時間を越えたか否かが判断される(ステップS315)。この処理は、ピストンロッド130Aが最収縮状態に至ったことにより、床板材群11Aが後退端部への移動を完了したか否かを識別するために実行される。
経過時間Tがt1時間を越えたと判断された場合には(ステップS315でYES)、床板材群11Aが後退端部への移動を完了したことに基づき、バルブ15Bが中立位置から縮み側位置に切り替えられる(ステップS316)。この切り替えにより、ピストンロッド130Bは収縮方向への作動を開始して、前進端部に位置付けられている床板材群11Bに後方への動力が伝達される。なお、バルブ15Cは、中立位置が維持されており、床板材群11Cは、ステップS306又はステップS308の実行時における位置が引き続き維持される。また、バルブ15Aは継続して縮み側位置が維持されており、床板材群11Aは後退端部に位置付けられた状態が維持される。
次に、センサB3が反応したか否かが判断され(ステップS317)、ピストンロッド130Bの検出部分がセンサB3の検出領域に入ったことから、センサB3が反応したと判断された場合には(ステップS317でYES)、ピストンロッド130Bの収縮速度V2(床板材群11Bの後退速度)を計測するための処理が開始される(ステップS318)。具体的には、センサB3の反応時間の計測が開始される。
次に、センサB3が反応を停止したか否かが判断され(ステップS319)、ピストンロッド130Bの検出部分がセンサB3の検出領域を出たことから、センサB3が反応を停止したと判断された場合には(ステップS319でYES)、ステップS318から開始された計測処理が終了される(ステップS320)。具体的には、センサB3の反応時間の計測が終了される。
次に、センサB3の検出領域の長さを、ステップS318からステップS320に至る過程で計測されたセンサB3の反応時間で除することにより、ピストンロッド130Bの収縮速度V2が計算されるとともに、計算された収縮速度V2に基づき、ピストンロッド130Bが最収縮状態に至るまでのt2時間、すなわち床板材群11Bが図4に示すように後退端部への移動を完了するまでのt2時間が計算される(ステップS321)。
次に、ステップS321の実行後からの経過時間Tが、t2時間を越えたか否かが判断される(ステップS322)。この処理は、ピストンロッド130Bが最収縮状態に至ったことにより、床板材群11Bが後退端部への移動を完了したか否かを識別するために実行される。
経過時間Tがt2時間を越えたと判断された場合には(ステップS322でYES)、床板材群11Bが後退端部への移動を完了したことに基づき、バルブ15Cが中立から縮みに切り替えられる(ステップS323)。この切り替えにより、ピストンロッド130Cは収縮方向への作動を開始して、前進端部に位置付けられている床板材群11Cに後方への動力が伝達される。
次に、センサC3が反応したか否かが判断され(ステップS324)、ピストンロッド130Cの検出部分がセンサC3の検出領域に入ったことから、センサC3が反応したと判断された場合には(ステップS324でYES)、ピストンロッド130Cの収縮速度V3(床板材群11Cの後退速度)を計算するための計測処理が開始される(ステップS325)。具体的には、センサC3の反応時間の計測が開始される。
次に、センサC3が反応を停止したか否かが判断され(ステップS326)、ピストンロッド130Cの検出部分がセンサC3の検出領域を出たことから、センサC3が反応を停止したと判断された場合には(ステップS326でYES)、ステップS325から開始された計測処理が終了される(ステップS327)。具体的には、センサC3の反応時間の計測が終了される。
次に、センサC3の検出領域の長さを、ステップS325からステップS327に至る過程で計測されたセンサC3の反応時間で除することにより、ピストンロッド130Cの収縮速度V3が計算されるとともに、計算された収縮速度V3に基づき、ピストンロッド130Cが最収縮状態に至るまでのt3時間、すなわち床板材群11Cが図5に示すように後退端部への移動を完了するまでのt3時間が計算される(ステップS328)。
次に、ステップS328の終了後からの経過時間Tが、t3時間を越えたか否かが判断される(ステップS329)。この処理は、ピストンロッド130Cが最収縮状態に至ったことにより、床板材群11Cが後退端部への移動を完了したか否かを識別するために実行される。なお、このt3時間が経過した場合には、床板材群11Cを含め、床板材群11A,11B,11Cの全てが後退端部への移動を完了していることになる。
経過時間Tがt3時間を越えたと判断された場合には(ステップS329でYES)、床板材群11A,11B,11Cの全てが後退端部への移動を完了していることに基づき、バルブ15A,15B,15Cが縮み側位置から伸長側位置に同時に切り替えられる(ステップS330)。このステップS330の実行時には、ピストンロッド130A,130B,130Cは全て最収縮状態にあるが、上記のバルブの切り替えにより、最収縮状態にあるピストンロッド130A,130B,130Cは伸長方向に作動して、後退端部へ位置付けられている床板材群11A,11B,11Cに前方への動力が伝達される。
次に、センサA3が反応しているか否かが判断され(ステップS331)、ピストンロッド130Aの検出部分がセンサA3の検出領域に入ったことから、センサA3が反応したと判断された場合には(ステップS331でYES)、ピストンロッド130Aの伸長速度V4(床板材群11Aの前進速度)を計算するための計測処理が開始される(ステップS332)。具体的には、センサA3の反応時間の計測が開始される。
次に、センサA3が反応を停止したか否かが判断され(ステップS333)、ピストンロッド130Aの検出部分がセンサA3の検出領域を出たことから、センサA3が反応を停止したと判断された場合には(ステップS333でYES)、ステップS332から開始された計測処理が終了される(ステップS334)。具体的には、センサA3の反応時間の計測が終了される。
次に、センサA3の検出領域の長さを、ステップS332からステップS334に至る過程で計測されたセンサA3の反応時間で除することにより、ピストンロッド130Aの伸長速度V4が計算されるとともに、計算された伸長速度V4に基づき、ピストンロッド130Aが最伸長状態に至るまでのt4時間、すなわち床板材群11Aが図6に示すように前進端部への移動を完了するまでのt4時間が計算される(ステップS335)。
次に、ステップS335の終了後からの経過時間Tが、t4時間を越えたか否かが判断される(ステップS336)。この処理は、ピストンロッド130Aが最伸長状態に至ったことにより、床板材群11Aが前進端部への移動を完了したか否かを識別するために実行される。
なお、床板材11Aが前進端部に移動を完了した際には、床板材群11B,11Cも前進端部への移動を完了している。このことから、上述したステップS331からステップS336に至る処理は、床板材群11A,11B,11Cのすべてが前進端部に移動を完了したか否かを識別すべく、床板材群11Aの前進端部への移動完了時が経過したか否かを判断するために実行されるものである。
経過時間Tがt4時間を越えたと判断される場合には(ステップS336でYES)、床板材群11A,11B,11Cが前進端部への移動を完了しており、再び、床板材群11Aの後退を開始すべく、ステップS309の処理に移行する。すなわち、バルブ15Aを伸長側位置から縮み側位置に、バルブ15B,15Cを伸長側位置から中立位置に切り替える。
そうして、この移行後、ステップS309からステップS336までの処理が、図13に示す処理の停止指示がなされるまで繰り返され、この間において、床板材群11A,11B,11Cは、上述した後退端部への移動と前進端部への移動のサイクルを所定回数繰り返すことになる。
以上のように、本実施形態の搬送装置では、一の床板材群の後退端部への移動途中で、速度算出用センサによる検出信号に基づいて、該一の床板材群の後退速度が算出され、さらに、この後退速度に基づいて、該一の床板材群の後退端部への移動完了時間が算出される。そうして、当該移動完了時間が経過したと判断された場合に、次に後退すべき床板材群の後退が開始されるように油圧シリンダの作動が制御される。またさらに、最後に後退すべき床板材群の後退端部への移動途中で、速度算出用センサによる検出信号に基づいて、その後退速度と後退端部への移動完了時間とが算出される。そうして、該移動完了時間が経過したと判断された場合に、全床板材群の前進が開始されるように油圧シリンダの作動が制御される。すなわち、本発明によれば、速度算出用センサにより実際の床板材群の後退速度が検出され、その検出信号に基づいて、油圧シリンダの作動の切り替えが制御される。これにより、床板材群の動きに合わせて、油圧シリンダの作動が切り替えられることになる。このため、第1の実施形態と同様に、状況に応じて車両の走行用エンジンの回転数を変更することにより、油圧シリンダの作動速度をコントロール可能になり、積荷の搬送効率が向上する。
図14は、第2の実施形態の積荷搬出時における制御手段による処理の流れを示すフローである。
積荷の搬出時は、積荷の搬入時と比較して、床板材群11A,11B,11Cをスライドさせる順序と方向とが反対になるように、油圧シリンダ13A,13B,13Cは制御手段により制御される。
これに関連して、図14に示す処理も、図13に示す処理の各ステップに対応するステップを有しており、また、図13に示す処理とのバルブの切り替えに関するステップについての関係は、第1の実施形態における図10に示す処理と図11に示す処理との関係と同様になる。
また、図14に示す処理は、図13に示す処理と比較して、センサの反応の有無を判断するステップにおいて、判断の対象となるセンサが異なる。すなわち、図13に示す処理で、判断の対象となるセンサがセンサA3であるステップに関しては、そのステップに対応する図14に示すステップにおいて、判断の対象となるセンサはセンサC3となり、図13に示す処理で、判断の対象となるセンサがセンサC3であるステップに関しては、そのステップに対応する図14に示すステップにおいて、判断の対象となるセンサはセンサA3となる。
また、図13に示すステップS303では、ステップS302でピストンロッド130A,130B,130Cが伸長方向への作動を始めてからの経過時間が、5秒と設定されているのに対して、図14に示すステップS403では、ステップS402でピストンロッド130A,130B,130Cが収縮方向への作動を始めてからの経過時間が、3秒と設定されている。これは、本実施形態の油圧シリンダ13A,13B,13Cでは、縮み側油室は伸び側油室よりも、容積が小さく形成されており、このことから、ピストンロッド130A,130B,130Cの収縮速度が、伸長速度よりも速くなることに基づく。
図14に示す処理は、図13に示す処理と上述したような関係を有するものであることから、詳細な説明は省略するが、積荷搬出時においても、積荷搬入時と同様に、センサA3,B3,C3の検出信号に基づいて、油圧シリンダ13A,13B,13Cの作動及び床板材群11A,11B,11Cの移動が制御されるために、搬入時と同様の作用効果が発揮され得る。
なお、第2の実施形態では、床板材群11A,11B,11Cの後退速度を検出すべく、上述したセンサA3,B3,C3と制御手段に代えて、横板材12A,12B,12C又は床板材群11A,11B,11Cの検出部分が、検出領域を通過する際に反応するセンサと、当該センサによる検出結果に基づき、油圧シリンダの作動を制御するための制御手段とが配置されてもよい。