JP4918725B2 - 薄切片搬送装置および薄切片搬送方法 - Google Patents
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また、本発明の薄切片搬送方法は、生体試料が包埋された包埋ブロックを薄切して作製された薄切片を、該薄切片が供給される供給ポイントから回収ポイントまで搬送して基板上にすくい取る薄切片搬送方法であって、本発明の薄切片搬送装置を用いて前記薄切片を搬送し基板上にすくい取ることを特徴とする。
本発明では、回収ポイントに搬送されてきた薄切片に、前記流動方向の下流側に向けて風を吹き付ける送風手段が備えられているので、すくい取り手段により基板を前記水路内に対して後退移動させるのに先立って、送風手段から前記流動方向の下流側に向けた風圧を前記薄切片に作用させることにより、この薄切片の基板上への乗り上げ量を増大することが可能になり、基板を前記水路内に対して後退移動させた際にこの基板上から薄切片が滑り落ちるのを抑制することができる。したがって、包埋ブロックから作製された薄切片が回収ポイントに到達したときに、この薄切片を確実に基板上にすくい取ることができる。
この場合、すくい取り手段が、回収ポイントに薄切片が到達したときに、基板を、少なくともその前記流動方向の上流側の端部は前記回収ポイントの液中に浸漬した状態に保ったまま前記薄切片に向けて押し付けるように移動させ、その後、この基板を前記水路内に対して後退移動させ薄切片をすくい取る構成とされているので、基板を前記水路内に対して後退移動させ液中から完全に抜き出す前に、薄切片において基板上に乗り上げた部分に基板を押し付けるようにしてこれらの間に介在している液体を排出し易くすることが可能になり、この介在液量を低減することができる。したがって、基板を前記水路内に対して後退移動させ液中から完全に抜き出す際に、薄切片が基板上から滑り落ちるのを抑制することができる。
この場合、すくい取り手段にクランプ機構が設けられているので、例えば、薄切片を基板の表面とクランプ機構とによって挟み込んだ状態で、基板を前記水路内に対して後退移動させ液中から抜き出すことが可能になり、薄切片が基板上から滑り落ちるのを確実に抑えることができる。
また、基板を前記水路内に対して後退移動させる前に、クランプ機構で薄切片を基板との間で挟み込み、その後この挟み込みを解除した後に、基板を前記水路内に対して後退移動させるようにしても、薄切片において基板上に乗り上げた部分と基板との間に介在していた液体が、前記クランプ機構による挟み込み時に押し出され、両者を密接させることが可能になるので、薄切片が基板上から滑り落ちるのを確実に抑えることができる。
なお、クランプ機構において薄切片に当接するクランプ部は、疎水性を有するフェルトやスポンジ等の多孔質弾性体で形成されるのが好ましい。
さらに、クランプ部に、下方に向けて突出するクランプ突部を設け、この突部を、例えば当該薄切片搬送装置の上面視において前記流動方向に直交する方向に間隔をあけて複数設けたり、あるいは1つだけ設けたりして、クランプ部で挟み込まれる薄切片の面積を極力小さくするのが好ましい。
これらの場合、クランプ機構を設けたことによって、薄切片が基板上から滑り落ちるのを抑えられる反面、薄切片に大きな負荷が作用して破損し易くなるのを防ぐことができる。
さらに、クランプ機構による薄切片の挟み込みに先立って、基板を前述のように鉛直方向上方に向けて移動させると、薄切片において基板上に乗り上げた部分と基板との間に介在している液体の量を低減できるので、クランプ部が薄切片に当接したときに、この薄切片が例えば前述のように破れたり、あるいは液膜の作用により基板上を滑りこの基板に対する薄切片の載置位置がずれたりするのを防ぐことが可能になるとともに、前述の介在液量をより一層低減することもできる。
この場合、前記感知手段と制御部とを備えているので、薄切片が回収ポイントに到達したときに限ってこの薄切片に前記流動方向の下流側に向けて風を吹き付けることが可能になり、水路内の液面が波打つのを抑えることができる。したがって、薄切片が供給ポイントから回収ポイントに向けて搬送される過程で、その姿勢が崩れたり、水路内で詰まったりするのを抑制することが可能になる。
また、薄切片Mは、この包埋ブロックBを図示しない切断刃によって例えば、3μm〜5μmに薄切することで平面視長方形状に作製されたものである。
また、本実施形態の第1貯水槽15には、第1貯水槽15に溜まった水Waの水位を一定量に規制する蓋部15bが開口を塞ぐように設けられている。そして、第1貯水槽15に供給された水Waが、この蓋部15bの裏面に接触する。
そして感知手段4は、薄切片Mを感知すると、感知信号を制御部5に出力してその旨を知らせる。
さらに制御部5は、供給ポイントP1に無端ベルト6によって薄切片Mが供給されてきてから、所定時間経過してもまだ感知手段4から感知信号が送られてこない場合にも、やはり同様にバルブ25を作動させて排出路18を閉塞させるように制御を行っている。
クランプ機構9は、すくい取り手段7に取り付けられた基台部9aと、このクランプ機構9において前記流動方向L1の上流側の端部に配置され薄切片MをスライドガラスGとの間で挟み込むクランプ部9bと、基台部9aとクランプ部9bとを連結する連結部9cと、を備えている。
すなわち、まず、基台部9aによりクランプ部9bを前記流動方向L1の上流側に向けて前進移動させ、このクランプ部9bをスライドガラスGにその上方から対向させる。その後、クランプ部9bを、前記軸線を中心に下方に向けて回動させて、クランプ突部9dを、薄切片MにおいてスライドガラスG上に乗り上げた部分に当接させることによって、この薄切片Mをクランプ突部9dとスライドガラスGとの間で挟み込み、その後この状態で、スライドガラスGをクランプ機構9とともに前記傾斜方向に沿って後退移動させ、スライドガラスG上に薄切片Mをすくい取るようになっている。
なお、水路2を流れた水Waは、第2貯水槽16に溜まった後、排水口16bを介して排出路18を流れ、貯水タンク19に流れる。その後、再び供給ポンプ20によって供給路17を通って第1貯水槽15に流される。このように、供給ポンプ20を作動させることで水Waを循環させることができるので、無駄のない効率的な使用を行うことができる。
これにより、すくい取り手段7でスライドガラスGを前記傾斜方向に沿って後退移動させるのに先立って、送風手段8から前記流動方向L1の下流側に向けた風圧を薄切片Mに作用させることにより、この薄切片MのスライドガラスG上への乗り上げ量を増大することが可能になり、スライドガラスGを前記傾斜方向に沿って後退移動させた際にこのスライドガラスG上から薄切片Mが滑り落ちるのを抑制することができる。
さらに本実施形態では、すくい取り手段7がスライドガラスGを前述のように鉛直方向上方に向けて移動するまでの間は、送風手段8から薄切片Mに前記流動方向L1の下流側に向けて風を継続して吹き付け続けるので、送風手段8からの風圧によって薄切片MにおいてスライドガラスG上に乗り上げた部分をさらにスライドガラスG上に押し付けることが可能になり、前述の介在水量をより一層確実に低減することができる。
すなわち、まず、基台部9aによりクランプ部9bを前記流動方向L1の上流側に向けて前進移動させ、図6の二点鎖線で示されるように、クランプ部9bをスライドガラスGにその上方から対向させる。次に、クランプ部9bを、前記軸線を中心に下方に向けて回動させて、クランプ突部9dを、薄切片MにおいてスライドガラスG上に乗り上げた部分に当接させることによって、この薄切片Mをクランプ突部9dとスライドガラスGとの間で挟み込む。
この際、クランプ部9bおよびクランプ突部9dが前述のように疎水性を有する多孔質弾性体で一体に形成されるとともに、薄切片Mに当接するクランプ突部9dが、当該薄切片搬送装置1の上面視において前記流動方向L1に直交する方向に間隔をあけて複数設けられているので、薄切片Mに作用する負荷が抑えられ、この薄切片Mが破損し易くなるのを防ぐことができる。
さらに、クランプ機構9による薄切片Mの挟み込みに先立って、スライドガラスGを前述のように鉛直方向上方に向けて移動させることにより、薄切片MにおいてスライドガラスG上に乗り上げた部分とスライドガラスGとの間に介在している水Waの量を低減するので、クランプ突部9dが薄切片Mに当接したときに、例えば前述のように破れたり、あるいは水膜の作用によりスライドガラスG上を滑り、このスライドガラスGに対する薄切片Mの載置位置がずれたりするのを防ぐことが可能になるとともに、前述の介在水量をさらに低減することもできる。
このように、薄切片MをスライドガラスGの表面とクランプ突部9dとで挟み込んだ状態で、スライドガラスGを前記傾斜方向に沿って後退移動させ水中から抜き出すので、薄切片MがスライドガラスG上から滑り落ちるのを確実に抑えることができる。
以上より、包埋ブロックBから作製された薄切片Mが回収ポイントP2に到達したときに、この薄切片Mを確実にスライドガラスG上にすくい取ることができる。
このように、薄切片Mを1枚処理する毎に、水Waを水路2外に溢れさせて塵埃等を排除するので、水路2内の水Waを常に清浄に維持することができる。よって、薄切片Mの詰まりや塵埃等が溜まってしまうことを未然に防止することができる。
例えば、前記実施形態では、クランプ部9bに、下方に向けて突出するクランプ突部9dを複数設けたが、1つだけ設けてもよいし、あるいはクランプ部9bの先端部に前記長手方向の全長にわたって延在させてもよいし、さらにはクランプ突部9dは設けなくてもよい。
さらに、前記実施形態では、すくい取り手段7として、スライドガラスGを前記傾斜方向に沿って水路2内に対して進退可能に保持した構成を示したが、これに代えて例えば鉛直方向等に沿って水路2内に対して進退可能に保持させてもよい。
さらにまた、前記実施形態では、すくい取り手段7として、スライドガラスGを水中から完全に抜き出すのに先立って、スライドガラスGを、少なくともその前記流動方向L1の上流側の端部は水中に浸漬した状態に保ったまま薄切片Mに向けて押し付けるように鉛直方向上方に向けて移動させたが、これに代えて例えば、スライドガラスGを前記流動方向L1の上流側に向かう斜め上方や、スライドガラスGをその前記流動方向L1の下流側の端部を中心に上流側の端部が上方に移動するように回動させる等して、スライドガラスGにおいて少なくともその前記流動方向L1の上流側の端部は水中に浸漬した状態に保ったまま薄切片Mに向けて押し付けるようにもよい。
さらに、送風手段8は、薄切片Mが回収ポイントP2に搬送されてきたときに限らず、供給ポイントP1から回収ポイントP2に搬送され、スライドガラスG上にすくい取られるまでの間、常に前記流動方向L1の下流側に向けて風を吹き付けるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、送風手段8として、水路2の幅方向における全域にわたって風を吹き付ける構成を示したが、これに代えて例えば、水路2の幅方向における両端部に限定して風を吹き付けるようにしてもよい。この場合、送風手段8からの風によって水路2内の薄切片Mが回転するのを防ぐことができる。
2 水路
3 流動手段
4 感知手段
5 制御部
7 すくい取り手段
8 送風手段
9 クランプ機構
B 包埋ブロック
G スライドガラス(基板)
L1 流動方向
M 薄切片
P1 供給ポイント
P2 回収ポイント
S 生体試料
Wa 水(液体)
Claims (5)
- 生体試料が包埋されてなる包埋ブロックを薄切して作製された薄切片を、該薄切片が供給される供給ポイントから回収ポイントまで搬送して基板上にすくい取る薄切片搬送装置であって、
前記供給ポイントと回収ポイントとを通過するように配設された水路と、
この水路内の液体を前記供給ポイントから回収ポイントに向けて流動させることにより、前記薄切片を回収ポイントに向けて搬送する流動手段と、
基板を、前記水路内の液体の流動方向における上流側に向かうに従い漸次、下方に向かうように傾斜させた状態で、前記水路内に対して進退可能に保持するすくい取り手段と、が備えられ、
基板を、その前記流動方向の上流側に位置する部分を前記回収ポイントの液中に浸漬させた状態で待機させ、薄切片が前記回収ポイントに到達したときに、この基板を前記水路内に対して後退移動させることにより、基板上に薄切片をすくい取る構成とされ、
前記回収ポイントに搬送されてきた薄切片に、前記流動方向の下流側に向けて風を吹き付ける送風手段が備えられていることを特徴とする薄切片搬送装置。 - 請求項1記載の薄切片搬送装置であって、
前記すくい取り手段は、前記回収ポイントに薄切片が到達したときに、基板を、少なくともその前記流動方向の上流側の端部は前記回収ポイントの液中に浸漬した状態に保ったまま前記薄切片に向けて押し付けるように移動させ、その後、この基板を前記水路内に対して後退移動させ前記薄切片をすくい取る構成とされたことを特徴とする薄切片搬送装置。 - 請求項1または2記載の薄切片搬送装置であって、
前記すくい取り手段には、前記基板を前記水路内に対して後退移動させ薄切片をすくい取る際に、この薄切片を基板との間で挟み込むクランプ機構が設けられていることを特徴とする薄切片搬送装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の薄切片搬送装置であって、
前記回収ポイントに到達した薄切片を感知する感知手段と、この感知手段が前記薄切片を感知したときに、この薄切片に前記送風手段から前記流動方向の下流側に向けて風を吹き付ける制御部と、を備えることを特徴とする薄切片搬送装置。 - 生体試料が包埋された包埋ブロックを薄切して作製された薄切片を、該薄切片が供給される供給ポイントから回収ポイントまで搬送して基板上にすくい取る薄切片搬送方法であって、
請求項1から4のいずれかに記載の薄切片搬送装置を用いて前記薄切片を搬送し基板上にすくい取ることを特徴とする薄切片搬送方法。
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