JP4915492B2 - ノーマライズ/サブトラクトされたcDNAライブラリーの作成方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改善されたノーマライズされた及び/又はサブトラクトされたcDNAs又はcDNAライブラリーの作成方法に関する。
本発明は、更に、非特異的結合ハイブリッドの除去によるノーマライゼイション及びサブトラクション段階の改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
cDNAsライブラリーの調製方法は、既に開示され、従来技術において良く知られたものである。例えば、Ederly I., ら, 1995, Mol Cell Biol, 15:3363-3371;Kato S., ら, 1994, Gene, 150:243-250; 又は K. Maruyamaら, 1995, Gene, 138:171-174に記載されている。
【0003】
それらの中で、 Carninciら, 1996, Genomics 37:327-336; Carninciら, 1997, DNA Research, 4:61-66; 及び Carninciと Hayashizaki, 1999, Methods Enzymol, 303: 1-44は、cDNAsの効果的な調製方法を記載している。これらの方法は、キャップ構造をタッグした後に、長鎖、完全コーディング及び/又は完全長cDNAsライブラリーを選択するための、修飾された「タグを付けられたキャップトラッパー」を含み、全ての特異的コーディング配列並びにその3'及び5'末端非翻訳領域(UTRs)を含む長鎖、完全コーディング及び/又は完全長cDNAsライブラリーの調製を可能にする。このようなライブラリーは、短くした(トランケートされた)クローン(EST配列)からの長鎖、完全コーディング鎖及び/又は完全長(完全コーディング/完全長(full-coding/length))クローンの回収が必須である大量配列決定プロジェクトにおいて特に有用である。
【0004】
しかしながら、長鎖、完全コーディング/完全長cDNAsライブラリーの調製は、幾つかの問題を抱えている。長鎖、完全コーディング/完全長cDNAsの調製は、 長鎖mRNAsについてよりも短鎖mRNAs(転写物)についての方が、効率的に行える。加えて、クローニング及び増幅は、短鎖cDNAsに比べ長鎖cDNAsではより困難であるため、更に長さについての偏り(バイアス)を生じてしまう。トランケートされた cDNAsを用いて完全長鎖相当物(cognate)を回収することは、ゲノムスケールでは実用的ではない。しかし、標準ライブラリーにおいては、cDNAsは、長鎖、完全コーディング/完全長又はトランケートされた形態であってもクローニングが可能であり、その長さに関係なく、いずれの遺伝子においても少なくとも1つのESTを発見するために有利である。
【0005】
もう一つの問題は、細胞mRNAの性質に関連している。mRNAは、その発現に基づいて「非常に優勢な (又は、発現量の多い) mRNA」、「発現量が中程度のmRNA」及び「発現量が少ない mRNA」に区別することができる。典型的な細胞において、5〜10種の非常に優勢なmRNAは少なくとも全mRNA量の20%含まれ、500から2000種の発現量が中程度である mRNAは全mRNA量の40から60%含まれ、かつ、10,000から20,0000の発現量の少ないmRNAは全mRNA量の20から40%未満存在する。この平均分布は、組織源により大きく異なり、高率で発現される遺伝子の存在により、更にこの分布は変化する。標準cDNAライブラリーについてのcDNAs配列決定では、発現量が中程度のcDNA及び多いcDNAが余計に何度も配列決定されてしまうため、発現量の少ない遺伝子を効率的に発見することはできない。
【0006】
上記のように、非常に優勢なmRNA及び発現量が中程度のmRNAが同定される場合、重複度レベル(redandancy level)は60%を超えると予測される。そこで、この問題を解決するために、ハイブリダイゼイションノーマライゼイション法が発案された。ノーマライゼイションの原理は、優勢ではないcDNAsの頻度を増加させながら、最も発現量の多いクローンの頻度を低減することである。EST cDNAsの調製のためのノーマライゼイション法の幾つかは、EST配列調製のためのノーマライゼイション法を開示しているSoaresら, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. 91:9228-9232において紹介されている。この方法は、増幅されたプラスミドライブラリーの再会合(reassociation)に基づいている。しかし、ノーマライゼイションされる増幅されたプラスミドライブラリーは、長鎖、完全コーディング/完全長cDNAsの調製には適していない。何故なら、プラスミドライブラリーは、cDNAの大きさに対するクローニングバイアスを伴い、短鎖cDNAsは効率よくクローニングされるが、長鎖であればあるほど、クローニング効率は低下する。実際、Soares et al., 1994では、DNAはプラスミドへクローン化され、その後、テスター単鎖DNAへ転換されており、プラスミドへのライゲイションを経ると、長鎖cDNAは回収されにくくなる(即ち、長鎖cDNAは失われやすい)。
【0007】
更に、ノーマライゼイションに先立ち行われるライブラリーの増幅において、プラスミドの長さによりcDNAクローンの生育のし易さは変化する。そのため、長鎖、完全コーディング/完全長クローンはライブラリーをバルク(bulk)増幅した後は、過少に現われる(underrepresent)傾向がある。 増幅されたプラスミドライブラリーでは、長鎖、完全コーディング/完全長クローンの回収はより難しくなる。
【0008】
Tanakaら, 1996, Genomics, 35:231-235のような他の文献では、mRNAが固体マトリックスへ共役結合したオリゴdTへ最初にアニーリングするEST配列の調製法を開示している。この方法は、cDNA合成の前にmRNA分解を行うため、ノーマライズされた長鎖、完全コーディング/完全長cDNAsの作成には適していない。更に、固相へ固定された核酸のハイブリダイゼイションの速度は、液体ハイブリダイゼイションの速度よりも遅い。
従来技術において知られているPCR及び固相マトリックスに基づくノーマライゼイション技術により生成されたライブラリーは、ESTsプロジェクトにおいて使用されているノーマライゼイションされていないcDNAライブラリーと同様の配列重複(sequence redundancy)を示す。
【0009】
更に、cDNAライブラリー又は百科事典(例えば、哺乳類全長cDNA百科事典)の調製、又は、組織由来に関わらず発現遺伝子当たりの少なくとも1つの長鎖、完全コーディング/完全長cDNAsの回収を目的とした調製におけるもう一つの問題は、新規で長鎖、完全コーディング/完全長cDNAをより早く見出すために、 ライブラリー内でリダンタントな(重複している)cDNAsのみを除去するだけでなく、前のライブラリー中に既に含まれているcDNAsをも除去することが望ましいということである。
【0010】
この問題を解決するために、ハイブリダイゼイションサブトラクション法が発案された。
Sagerstrom, ら, Annu. Rev. Biochem., 1997, 66:751-83では、従来技術において知られているサブトラクション法の全体像を報告している。サブトラクションの基礎となる考え方は、単離したい引き算の結果残る発現される配列(トレーサー又はテスター)の核酸は、問題の配列を含まないと考えられる相補的核酸(ドライバー)へハイブリダイズするが、その際、ドライバーはテスターよりも遥かに高濃度で存在するというものである。テスター及びドライバー核酸集団は、ハイブリダイズできる状態にすると、2つの集団において共通する配列のみがハイブリッドを形成する。ハイブリダイゼイションの後、ドライバー-テスターハイブリッド及びハイブリダイズされなかったドライバーは除去され、残った核酸はテスター特異的クローンに富むライブラリーの調製のため、又は、テスター特異的クローンのためのライブラリースクリーニングのために使用するプローブ作成に使用することができる。
【0011】
一方、サブトラクション法は、ノーマライゼイションにおいて説明されたと同様にPCR及び固相マトリックスに基づく技術に関連する問題を抱えており、EST配列の調製に適しているが、長鎖、完全コーディング/完全長cDNAsには使用することができない。
【0012】
Bonaldoら, 1996, Genome Research, 6:791-806は、更にまた検討の必要があるノーマライゼイションされたライブラリーから既に配列決定されたクローン集団の発現を減少させるために特別に適用されるサブトラクディブハイブリダイゼイションを開示している。
【0013】
しかしながら、このノーマライゼイション及びサブトラクション技術(Bonaldoら1996)は、EST研究を通した大規模の遺伝子の発見には有用であるが、従来技術(Soaresら, 1994に開示された増幅されたプラスミドにおいてクローン化されたcDNA)において既に示された欠点があり、長鎖及び完全コーディング/完全長cDNAインサートには適していない。
【0014】
特に、前述のように、ノーマライゼイション及びサブトラクション段階に先立つライブラリーの増幅において、cDNAクローンの増幅はプラスミドの長さにより変化し、ライブラリーをバルク増幅した後では、長いクローンの発現は減少する。即ち、長鎖cDNAsクローニングの発現が相対的に減少し、かつ、そのクローニングを困難なものにしてしまう。
【0015】
Bonaldoらにより開示されたノーマライゼイション及びサブトラクション段階のもう一つの問題は、ノーマライゼイション及びサブトラクション段階の両方が、プラスミドの破壊、特に(長鎖cDNAsを含む)大きなプラスミドの破壊を生じるインキュベーション及びインキュベーション期間を必要とし、ノーマライゼイション及びサブトラクションの段階のため、長鎖クローンの数はとても限られたものとなるか、又は完全に無くなってしまうことである。
【0016】
このことからも、この方法はノーマライゼイション及びサブトラクションされた長鎖、完全コーディング/完全長cDNAsの調製には適していないことが明白である。
ノーマライゼイション及び/又はサブトラクション法に関する更なる問題は、これらの段階中、不完全な配列相補性結合による非特異的結合テスター/ドライバーハイブリッドの形成が発生することに関連している。このようなハイブリッドの除去は、目的物であるcDNAを、豊富に存在するcDNA及び/又は他のライブラリー中で既に配列決定しているcDNAと誤って認識する結果となり、実際には優勢でもなく既に配列決定もされていないcDNAであって、目的物であるcDNAをテスターから除去してしまうことになる。
【0017】
そこで本発明の目的は、従来技術における幾つかの問題を解決することであり、ノーマライゼイション及び/又はサブトラクションされた長鎖及び完全コーディング/完全長cDNAライブラリーの効率的な調製方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、cDNAをノーマライズすることができるだけではなく、他のライブラリーで既に明らかにされたcDNAをサブトラクトすることができる手順(方法論)を提供する。したがって、本発明によれば、ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNA、好ましくは、長鎖、及び/又は完全コーディング/完全長cDNA、若しくはcDNAライブラリーのための効率のよい作成方法が提供され、この方法によれば、PCR及び固体マトリクスに基づく課題が解決される。
【0019】
即ち、本発明の1つの態様は、ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAの作成方法であって、ノーマライズ及び/又はサブトラクトされるcDNAがmRNAの逆転写物であって、クローニングされていないcDNA(以下、cDNAテスターと言う)であることを特徴とする方法に関する。この方法は、プラスミドで増幅されたクローニングされたcDNAテスターにより生じる従来技術における課題を解決する。
【0020】
さらに本発明の他の1つの態様は、次の工程を含む。
I)クローニングされていないcDNAテスター、好ましくは、プラスミドにクローニングされていないcDNAを調製する工程;
II)ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションのためのポリヌクレオチドドライバーを調製する工程;
III)ノーマライゼーション及び/又はサブトラクション工程(1つ又は2以上の工程)、ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションから得られたテスター/ドライバーハイブリッドを除去する工程、並びにハイブリダイズされていないポリヌクレオチドドライバーを除去する工程
IV)ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAを回収する工程。
上記cDNAテスターは、好ましくは、長鎖、完全コーディング/完全長cDNAである。
【0021】
また、本発明の方法は、V)ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAに相補的な第二鎖cDNAを調製し、かつ回収された二本鎖cDNAをクローニングする工程を含むことができる。
【0022】
他の態様によれば、本発明はcDNA、好ましくは、長鎖、完全コーディング/完全長cDNAの作成方法に関するものあり、そこではノーマライゼーション及びサブトラクションドライバーが混合され、かつノーマライゼーション及びサブトラクションが単一工程(ノーマライゼーション/サブトラクション)で行われる。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、非特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドを、RNAドライバーのうちの一本鎖の部位を切断する能力を有する酵素で処理して、非特異的にcDNA(テスター)に結合したRNA(ドライバー)を除去することにより、ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションを向上させるための方法が提供される。この酵素は、ヌクレアーゼ、特に一本鎖RNAを切断することができるリボヌクレアーゼであるか、又はそれらの混合であることができる。好ましくは、RNase I(RNase1とも示される)が使用できる。
【0024】
しかしながら、この処理は、cDNAの作成方法におけるノーマライゼーション及びサブトラクションハイブリッドに限定されるのではなく、いずれの種類の非特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドにおいても、非特異的な結合の結果、部分的に一本鎖になっているRNAの部位を切断し、それにより非特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドを選択的に除去するために使用できる。
【0025】
したがって、一本鎖RNAを切断する(部分的に一本鎖になっているRNAの部位を切断する)ことができる酵素で非特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドを処理することによる、一本鎖及び/又は二本鎖cDNAの作成方法、前記切断したRNAの除去方法、並びにcDNAの回収方法が提供される。
【0026】
本発明によるいずれの方法で作成したノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAは、一本鎖cDNA及び二本鎖cDNAのいずれであることも出来る。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の1つの態様によれば、ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNA、又はcDNAライブラリー、好ましくは長鎖、及び/又は完全コーディング/完全長cDNAライブラリー作成の効率的な方法が提供される。
【0028】
この方法では、ノーマライゼーション及び/又はサブトラクション工程(1つ又は2以上工程)前のPCRクローニング工程、及び固体マトリクスにオリゴ−dTを結合することが不要であり、その結果として、長鎖、及び/又は完全コーディングcDNA/完全長cDNAが回収される。
したがって、本発明による方法は、ノーマライゼーション工程のみ、サブトラクション工程のみ、又は順不同にノーマライゼーション工程及びサブトラクション工程の両方を含むか、あるいはノーマライゼーション及びサブトラクションは、単一工程で同時に行うこともできる。
【0029】
これらのノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAは、一本鎖の場合、相補的第二鎖の合成のために処理され、最終的にクローン化される。
したがって、この方法では、次の工程を含む。
I)クローニングされていないcDNA(テスター)を調製する工程;
II)ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションのためのポリヌクレオチド(ドライバー)を調製する工程;
III)ノーマライゼーション及び/又はサブトラクション工程(1つ又は2以上の工程)を行い、得られたテスター/ドライバーハイブリッド及びハイブリダイズされていないポリヌクレオチドドライバーを除去する工程;
IV)ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNA(レアな及び/又は新規なcDNA)を回収する工程。
【0030】
さらに、本発明による方法は、cDNAテスターが一本鎖の場合、V)cDNAの第二鎖を調製し、かつクローニングする工程を含む。
上記工程I)からV)は、適宜何度か(例えば、2回、3回等)繰り返すことができる。
工程I)のクローニングされていないcDNAテスターは、プラスミドにクローニングされていないcDNAであることができる。工程I)のクローニングされていないcDNAテスターは、クローニングされていないcDNAの形態の mRNAの逆転写物であることができる。工程I)のクローニングされていないcDNAテスターは、長鎖、及び/又は完全コーディングcDNA/完全長cDNAであることが好ましい。
【0031】
本発明の目的に関しては、完全長cDNAの用語は、5’及び3’UTRシークエンス並びに(ポリ−Aを含有するmRNAに相補的である)T−プライマーオリゴヌクレオチドを表す。完全コーディングcDNAとは、少なくとも開始及び停止コドンを含むcDNAシークエンスである。長鎖cDNAとは、ほぼ完全コーディング及び/又は完全長であり、3’末端(mRNAの5’末端に相当する)において、又は、仮にそのmRNAに相補的なcDNAと相補的であるcDNA鎖(即ち、このcDNA鎖は遺伝子と同じ方向を有する)を考慮すれば、5’末端において、1つ又は2以上の塩基が欠損しているcDNA配列であると理解される。この初期停止(5’末端に到達する前の停止)は、mRNAがCap構造のレベルで2次構造を形成することにより生じ得るものであり、cDNA合成を妨げることになる。
【0032】
本発明によるcDNAテスターは、一本鎖または二本鎖であることができる。二本鎖である場合には、二本鎖を一本鎖に解離させ、かつ、RNAドライバーの存在下、cDNA/RNAハイブリッドを形成させる既知の技術によって処理される。この技術の一例は、テスター二本鎖cDNAにRNAドライバーを、50%、好ましくは80%を越える濃度のホルムアミドの存在下、温度40-60℃、好ましくは50℃で、通常のハイブリダイゼーションバッファー中、混合することを含む。
工程 I)のcDNAテスターは、従来技術として知られるいかなるcDNAの調製方法、好ましくは、長鎖、及び/又は完全コーディング完全長cDNAの調製として知られるいかなる方法を用いて行うこともできる。例えば、Ederly ら;Katoら;又はMaruyamaらの(オリゴ−キャッピング法)である。
【0033】
特に、このオリゴ−キャッピング法は、5’Capのない不完全なcDNAのリン酸エステルがアルカリフォスファターゼを使用することにより除去され、次いで、完全長cDNAのみがリン酸を有するようにするように、全cDNAs が脱キャッピング酵素としてのタバコモザイクウィルス(TAP)により処理される。
【0034】
好ましくは、Carninciら1996,Genomics 37:327-336、及びCarninciとHayashizaki 1999,Method Enzymol,303:1-44に述べられているCAP‐捕獲技術を使用する方法である。
この方法の一例は、図1のセクションAにおいて概略的に示される。
【0035】
mRNAは組織から単離され、かつRNA-DNAハイブリッドは、鋳型としてmRNAを使用することにより、オリゴdTのようなプライマー、又はランダム若しくは特異的プライマー−アダプターから開始される逆転写酵素により作られる。次いで、タッグ分子は、ハイブリッドを形成しているmRNAの5’CAP(7MepppN)サイトのジオール構造に化学的に結合される。最終的に、タッグ分子を有するハイブリッドから長鎖、完全コーディング/完全長mRNAに一致するDNAを有するRNA-DNAハイブリッドが、前記タッグ分子を結合することにより単離される。
【0036】
RNA-DNAハイブリッド形成後のCapに結合したタッグ分子は、特に有益である。なぜなら、RNA-DNAのハイブリッド構造は、タッグ分子で標識するmRNAに必要なジオール構造のアルデヒド化において、mRNAの化学的切断を避けることができるからである。結果として、完全コーディング/完全長cDNA合成の効率が増加する。
【0037】
タッグ分子の5’Capサイトへの結合は、例えば、ジアルデヒドを形成するために、過ヨウ素酸ナトリウムのような酸化剤を用いて5’Capサイトジオール構造の酸化開環反応、次いでヒドラジン末端を有するタッグ分子とジアルデヒドの反応により進行され得る。
【0038】
ヒドラジン端末を有するタッグ分子としては、例えば、ビオチン、アビジン若しくはストレプトアビジン、又はヒドラジン端末を有するジゴキシゲニン分子を挙げることができる。抗原又は抗体のような反応特異性を示す分子も、タッグ分子として使用できる。とりわけ、タッグ分子として使用される標識分子は、特に限定されない。
【0039】
したがって、本発明による方法のいずれかを行うために使用されるcDNAの作成は、次の工程を含む。
(1) mRNA/cDNAハイブリッドを形成する逆転写酵素により第一鎖cDNAを合成する工程;
(2) ハイブリッドを形成しているmRNAの5’CAP(7MepppN)サイトのジオール構造にタッグ分子を化学的に結合する工程;
(3) 長鎖、完全コーディング、完全長cDNAハイブリッドの捕獲工程;及び
(4) 一本鎖mRNAを切断することのできる酵素を用いた(好ましくはRNase Hを用いた)消化又はアルカリを使用すること(好ましくはNaOH)により一本鎖mRNAを除去する工程。
【0040】
上記方法のより具体的な方法(cDNA作成のためのより具体例)として、(1)最初のcDNA鎖の合成から、(7)2本鎖の完全コーディング/完全長cDNA(例えばビオチンをタッグ分子として有する)の合成までの工程を含む、次の方法を挙げることが出来る。
(1) 第1鎖cDNAの合成(RNA-DNAハイブリッドの合成);
(2) RNA-DNAハイブリッドのmRNAのビオチン化;
(3) リボヌクレアーゼI(RNaseI)消化;
(4)(アビジン又はストレプトアビジンビーズを用いた)完全コーディング/完全長cDNAハイブリッドの捕獲;
(5) RNAハイブリッドの除去(RNase H消化);
(6) 末端デオキシヌクレオチジル転移酵素によるGテイル(G tail)付加;
(7) オリゴCで開始される第2鎖(2本鎖の完全コーディング/完全長cDNA)の調製。
【0041】
あるいは、工程(5)は、アルカリ(好ましくはNaOH)を使用することにより行うことができる。工程(6)において調製されたcDNAは、本発明の目的のためにcDNAテスターとして使用することができる。 ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションの後、工程(7)を実行することもできる。工程I)の方法で得られるcDNAは、図1のセクションBに示されるように、様々なcDNA集団、すなわち、スーパープレバレント(即ち、高発現の若しくはクラスI)、インターメデェート(即ち、クラスII)及びレアcDNA(即ち、クラスIII)からなる(インターメデェート及びスーパープレバレントは一緒に、アバンダントとしてセクションBに示されている)。これらのcDNAの一部では、他で以前にライブラリーにおいて既に回収され、かつセクションBで示されたcDNAを、既に回収されたcDNAとして考慮されなければならない。得られたcDNAは、“テスター”としてセクションBにおいて示される。
【0042】
工程II)では、ノーマライゼーション及び/又はサブトラクション用“ドライバー”が調製される。
ノーマライゼーションドライバーは、除去を行おうとする集団と同一の組織及び/又は同一の集団から得られたRNA又はDNAである。
ノーマライゼージョンドライバーは、例えば、同一のライブラリーの細胞mRNAであることができ、それは、最初にcDNAライブラリー調製(出発物質のmRNA)のために使用されるmRNAのアリコットである。ノーマライゼーションドライバーは、ノーマライズを行おうとする同一のライブラリーから得られたcDNAであることもできる。この場合、例えば、PCRを使用することにより、一本鎖cDNAがcDNAライブラリーから調製される。
【0043】
サブトラクションドライバーは、サブストラクトを行おうとするものとは異なる組織から得られたRNA又はDNA、サブストラクトを行おうとするものと同一若しくは異なる株(系統)から得られたRNA又はDNAであるか、又は除去を行おうとする集団とは異なる集団に属するが同一の組織であることができる。
DNAライブラリーのin vitro転写RNA、好ましくはキャップトラップ(Cap-trap)法で作成された、異なる組織から又は異なる集団に属するが同一の組織からのクローンを、サブトラクション工程のために使用することができる。しかし、Sagerstromら1997,Annu. Rev. Biochem., 66:751-83に記載されているようないずれの公知の方法で調製されるサブトラクションドライバーも、本発明の目的のために使用できる。
【0044】
サブトラクションドライバーは、例えば、発現した遺伝子、再配列されたクローン及び場合によっては、以前シークエンスしたcDNA(必須ではないが)が含まれたミニライブラリーからのランオフ(run-off)転写物であることができる。
サブトラクションランオフ転写物は、例えばプロモーターに隣接したDNA配列、プラスミド、ファージ及びその類似体のような適切なプロモーターを有するDNA鋳型から、RNAポリメラーゼ(例えば、T7,T3、SP6又はK11 RNAポリメラーゼ)により得られる。プラスミドの場合、サブトラクション転写物は、固相又は液相により、cDNAライブラリー、再配列したライブラリーを増幅さることにより調製され得る。好ましくは、サブトラクション転写物は、ウエルプレート(例えば、384ウエルプレート)から得たコロニーをLB+アンピシリン寒天プレート上にスポットし、30〜37℃の温度で成長させることにより調製され、翌日、成長したコロニーがかき取られ、バルクプラスミド調製用として使用され得る。
【0045】
DNAは、サブストラクションドライバーのためにも使用できる。この場合、異なる組織、又は異なるDNA集団に属するが同一の組織から得られたクローンから単離された一本鎖DNAが使用できる。
ミニライブラリーは、原料組織のクローンの一部又は異なる組織のクローンの一部を含むライブラリーである。
【0046】
ノーマライゼーション用の及び/又はサブトラクション用のドライバーの概略例は、図1のセクションCにおいて示されるように調製される。しかしながら、本発明による方法は、ノーマライゼーション工程のみ、サブトラクション工程のみ、順不同としてノーマライゼーション工程及びサブトラクション工程、又は単一工程でのノーマライゼーション/サブトラクションを含み得る。これらのドライバーはタッグ分子と結合したものであることができる。この(第一の)タッグ分子は、結合可能ないずれかの分子又はタッグとしてのドライバーに結合することもでき、またドライバーの除去が可能となるようなマトリクスに結合することもできる。タッグ分子はさらに別のタッグ分子(それは第1のタグ分子あるいは異なる分子と同じでありえる)と結合することができ、この第2のタッグ分子は、マトリックスあるいは一層のタッグ分子に結合することができる。タッグ分子は、好ましくはビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、ジゴキシゲニン、又はいずれかの抗体、好ましくは、抗ビオチン抗体、抗アビジン抗体、抗ストレプト抗体若しくは抗ジゴキシゲニン、又はいずれかの抗抗原抗体であり得る。しかしながら、タッグ分子はこれらの物質に限定されない。
【0047】
工程III)及びIV)に関しては、これらは、ノーマライゼーション及びサブトラクション工程が連続して行われるか、又は単一工程で行われるかに応じて異なった順で実施することができる。
最初のアプローチによれば、ノーマライゼーション工程III)は、ノーマライゼーションドライバーを混合することにより行われ、次いでハイブリッドの除去及びノーマライズされた一本鎖cDNAの回収(工程IV)が行われる。次いで、これらの1本鎖cDNAは、さらにサブトラクトするドライバーと混合され(工程III)、ハイブリッドの除去及び(ノーマライズされ、かつ)サブトラクトされた1本鎖cDNAの回収(工程IV)が行われる。回収された1本鎖cDNAは、図1のセクションDに例示されるようにレア及び新規なcDNAを含む。上記ノーマライゼーション及びサブトラクション工程は順序を逆にしても行える。
【0048】
別のアプローチによれば、工程II)において調製されたノーマライゼーションドライバー及びサブトラクトするドライバーを混合し、工程III)を単一のノーマライゼーション/サブトラクション工程として行う。
単一工程でのノーマライゼーション/サブトラクションの実施は、1回のインキュベーション工程で行うことができるという利点を有する。異なる別個の2工程でノーマライゼーション/サブトラクションを実行することは、2つのインキュベーション工程を実行する問題を引き起し、かつ各インキュベーション工程の回数が増えると、長鎖、及び/又は完全コーディング/完全長cDNAの数が減少する傾向があるので、1回のインキュベーション工程で行うことができるのは利点である。
【0049】
但し、レアかつ新規なcDNAの最終的な回収及びcDNA第2鎖の合成を行う前に必要であれば、ノーマライゼーション及び/又はサブトラクション工程、並びに単一ノーマライゼーション/サブトラクション工程は繰り返し行うこともできる。
従って、本発明は、I)cDNAテスター(それは上記第1の形態によってクローニングされないが、それには限定されない)を調製する工程、II)ポリヌクレオチドノーマライゼーションドライバーおよびポリヌクレオチドサブトラクションドライバー(ノーマライゼーション/サブトラクションドライバー)を調製する工程、III) テスターおよびノーマライゼーション/サブトラクションドライバーを混合することで、単一の工程でノーマライゼーションおよびサブトラクションを実行する、及びIV) ノーマライゼーションおよびサブトラクションされたcDNAを回収する工程を含む、ノーマライゼーションおよびサブトラクションされたcDNAの調製方法も開示する。
この方法は、一本鎖RNAドライバーを解裂し得る酵素、例えば、RNase Iを加える工程、及び解裂した一本鎖RNAドライバーを回収する工程を含むこともできる。このRNase I または一本鎖RNAドライバーを解裂し得る他の酵素は、後に詳細に説明する。
【0050】
ノーマライゼーション及び/又はサブトラクトするドライバーの調製、ハイブリダイゼージョン工程(1つ又は2以上の工程)、並びにノーマライゼーション及び/又はサブトラクション工程で作られたハイブリッド及び単一ドライバー(ハイブリッドを形成していないドライバー)のような“不要なcDNA”の除去は、例えばBonaldoら1996、Sagerstromら1997、Annu. Rev. Biochem. 66:751‐783(765ページから;表1も)に記載されたいずれかの公知の技術を用いて行うことができる。
【0051】
具体例として、Barr F. G. とBeverly S. Emanuel(1990, Analytical Biochemistry, 186: 369-373)又は Hazel L. SiveとTom St John(1988, Nucleic Acids Research, Vol. 16, number 22, 10937ページから)、に記載された光活性のあるビオチン、ストレプトアビジン結合及び有機抽出が関係するハイブリダイゼーション技術を使用できる。
但し、例えばSagerstromら1997に記載されたような公知の技術も使用できる。
【0052】
ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションの後、テスター/ドライバーハイブリッドは、例えば、Sagerstromら1997(765ページから)に記載されているようないずれかの公知の技術を用いて除去される。例えば、マトリックス、例えばビーズ、好ましくは磁気ビーズ又はアガロースビーズが使用され得る。ビーズは、好ましくは上述のようにタッグ分子で覆われ、又はタッグ分子と結合している。好ましくは、ストレプトアビジンで覆われたビーズ(一般にストレプトアビジンビーズとも呼ばれる)、より好ましくは、磁気多孔性ガラス(MPG)、ストレプトアビジンビーズ(CPG社製)である。アビジン、ビオチン、ジゴキシゲニン、抗体若しくは抗原で覆われ又は結合しているビーズも使用され得る。このビーズ(1種または2種以上のビーズ)を覆い又は結合する抗体は、一般にタッグ分子、好ましくは、ドライバーに結合した抗体を認識する抗体、又はドラーバーに結合したビオチン、アビジン、ストレプトアビジン若しくはジゴキシゲニンを認識する抗ビオチン抗体、抗アビジン抗体、抗ストレプトアビジン抗体、若しくは抗ジゴキシゲニン抗体を認識可能な抗体であり得る。
【0053】
ビオチンに結合し又はビオチンで覆われた磁気ビーズの例は、テスター/ドライバーハイブリッドの集合体を形成するタッグ分子として、図1のセクションFにおいて示される。
磁気ビーズの代わりにストレプトアビジン又はアビジン/フェノールもハイブリッドを除去するために使用され得る(Sive H. L. とSt. John T., 1988, Nuceic Acids Res., 16: 10937; 及びSagerstrom et al., 1997)。テスター/ドライバーハイブリッドの除去のためにはヒドロキシアパダイト(HAP)及び非標識RNAを使用することもできる。例えばSagerstromら765ページ表1に記載されている。
【0054】
本発明によるサブトラクション法を使用したテスター/ドライバーの除去は、図6の電気泳動及び実施例3から明らかなように、ほぼ100%の除去が可能である。
テスター/ドライバーハイブリッドを除去したcDNAは、図1のセクションFに示されるように、さらなるサブストラクション工程用として使用するためのcDNAミニライブラリーの作成に使用され得る。
【0055】
工程IV)で回収したノーマライズ及びサブトラクトされたcDNA(レアかつ新規なcDNA)は、図1のセクションEにおいて概要的に例示されているように、cDNA第2鎖の合成、制限酵素、ライゲーション反応及びベクターへのクローニングのために処理される。
本発明による方法の利点は、サブストラクトされ/ノーマライズされたライブラリーにおいて、長鎖、完全コーディング/完全長cDNAの割合を高く維持できることである。さらに、本方法は、従来技術で作成した標準の完全長cDNAライブラリーを使用して得られた結果と比較して、新規な遺伝子の発見を高めることができる。
即ち、本発明の方法では、ノーマライズ及び/又はサブトラクトされるcDNA(テスターcDNA)が、クローニングされていないcDNAである。好ましくはプラスミドにクローニングされていない。好ましくは、本発明のテスターは、クローニングされていないcDNA の形態のmRNAの逆転写物である。このcDNAは、好ましくは一本鎖である。そのため、従来法における、プラスミドライブラリーにおけるcDNAの大きさに対するクローニングバイアスの問題や、PCR及び固相マトリックスに基づくノーマライゼイション技術により生成されたライブラリーにおける問題を回避することができ、新規な遺伝子の発見を高めることができるという利点がある。
【0056】
従来技術の項で述べたように、ノーマライゼーション及び/又はサブストラクション法に関するもう1つの問題は、これらの工程間で不完全な配列の相補的結合のために非特異的なテスター/ドライバーハイブリッドが形成されることである。例えば、これは、テスターとドライバー間の類似するが同一でない配列間の交差反応性によるものである。そのようなハイブリッドの除去は、テスターcDNAから、誤ってアバンダント及び/又は既に他のライブラリーに全て含まれている配列であると考えられたcDNAや、その他の望ましい配列のcDNAを除くことであり、このことはノーマライズ/サブトラクトされたライブラリーの重大な欠点である。
【0057】
この問題は、図2において図式的に例示される。図2の左側で、ノーマライズ及び/又はサブトラクトされるドライバー(mRNA、上方の鎖)が、新規な及び/又はレアであるが、間違ってアバンダントであると信じられた及び/又は既に捕集されたcDNA(下方の鎖)に非特異的に結合される(mRNA の一部にcDNAに結合していない部分が有る)。非特異的な結合であってもドライバーと結合したcDNAテスターは、図1において示されたようにノーマライゼーション及び/又はサブトラクションにおいて除去される。そのため、cDNAテスターが新規な及び/又はレアなcDNAであった場合、それらも失われてしまう。
本発明の方法においては、このような非特異的な結合は、例えば、図2の右側に示すように、非特異的な状態でcDNAテスターと結合したドライバーは、RNaseI又は後段で述べるような他の酵素でRNAを分解することにより除去され、そして新規な及び/又はレアなcDNAが回収される。
【0058】
本発明の1つの態様によれば、図2に示すように、一本鎖RNAを切断する酵素(cDNAテスターに非特異的に結合したRNAドライバーのうちの一本鎖の部位を切断する能力を有する酵素)により非特異的に結合するRNA/DNAハイブリッドを処理(消化)して、非特異的にcDNA(テスター)に結合したRNA(ドライバー)の一本鎖の部位を切断し、次いで、cDNAテスターと切断されたRNAの間のハイブリッドを解消する(変性する)ことにより、切断されたRNAを系から除去し、cDNAテスターを残すことでノーマライゼーション及びサブトラクションの効率を改良した(即ち、レアなcDNAの系からの意図しない排除を低減した)方法を提供する。
【0059】
一本鎖RNAを切断する酵素で処理された非特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドからのRNA片の除去の方法に制限はないが、例えば、図2に示されているように、ハイブリッドを適当な温度で処理することで、cDNAテスターと切断されたRNAの間のハイブリッドを解消し、即ち、変性し、cDNAテスターから遊離したRNAを、例えば、RNAに結合したタッグを利用して除去することができる。上記cDNAテスターと切断されたRNAの間のハイブリッドの解消は、特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドにおけるハイブリッドには影響を与えず、切断され、ハイブリッドしている部分の鎖長が短くなったハイブリッドが選択的に変性する条件を適宜選択する。変性の条件は、温度のみならず、系(ハイブリッドを含む水溶液)のpHや塩濃度等にも依存する。変性の温度条件は、例えば、25〜100℃の温度(即ち沸点まで)、好ましくは37〜70℃、より好ましくは65℃で処理されることで行われる。例えば、上記温度にすることによりRNAが部分的に切断されたハイブリッドは変性し、このハイブリッドを構成していたRNAとcDNAとは解離し、解離したRNAは、RNAに結合したタッグを利用してビーズに結合させ、ビーズに結合したRNA片は常法により磁石を用いて除去できる。また、特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドは、上記変性条件では、ハイブリッドを維持し、上記と同様にRNAに結合したタッグを利用してビーズに結合させ除去できる。即ち、本来のノーマライゼーション及び/又はサブトラクションが行われる。
【0060】
上記一本鎖RNAを切断する酵素としては、例えば、1本鎖特異的RNAエンドヌクレアーゼ(リボヌクレアーゼ)を使用することができる。例えば、ピリミジン(U及びC)に特異的なRNaseA、Uに特異的なRNase IV、Gに特異的なRNaseT1、Uに特異的なRNase II若しくはRNase III、又はいずれの種類のリボヌクレオシドも分解することができるRNaseIを使用できる(Hyone-Myong Eun, Chapter for "Nucleases"; Sorrentino Salvatore and Libonati Massimo, 1997, FEBS Letters, 404:1-5)。あるいは、ほとんど塩基特異性を有しないRNaseT2 も一本鎖RNAを切断する酵素として使用できる(BioTechniques, 232, Vol.12, No.2, 1992)。
【0061】
一本鎖RNAを切断する酵素として、より好ましくは、RNase Iが使用される。上記で例示したリボヌクレアーゼの混合物も使用され得る。1本鎖特異的RNAエンドヌクレアーゼは常法にしたがってハイブリッドに作用させることができる。例えば、1μgのドライバー当たり0.01〜1ユニットの1本鎖特異的RNAエンドヌクレアーゼを作用させることが出来る。
非特異的にcDNAテスターに結合したmRNAドライバーの分解工程は、本発明によるノーマライゼーション/サブトラクションの工程において行うことができ、ノーマライゼーション及び/又はサブトラクション工程を行った後でも、又は単一のノーマライゼーション/サブトラクション工程を行った後も行うことができる。
本方法によるcDNAテスターは、クローニングされたまたはクローニングされていないcDNAであることができる。クローニングされていないテスターは、例えば、プラスミド中でクローニングされていないcDNAであることができる。このcDNAテスターは、好ましくはクローニングされていないcDNAの形態であるmRNAの逆転写物である。
cDNAテスターは、好ましくは上述のキャップ-トラッピング法により調製した長鎖、完全コーディング及び/又は完全長cDNAである。
【0062】
本発明の1つの態様は、具体的には次の工程を含む方法である。
(a) cDNAテスターを調製する工程;
(b) ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションRNAドライバーを調製する工程;
(c) ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションを2つの工程として順不同に、又はノーマライゼーション/サブトラクションを1つの工程として、ノーマライゼーション/サブトラクションRNAドライバーを前記cDNAテスターに混合することにより行う工程;
(d) cDNAテスターに非特異的に結合したRNAドライバーのうちの一本鎖の部位を切断する能力を有する酵素の付加を含む工程;
(e) 工程 d) において切断された一本鎖RNAドライバーをテスターから除去し、かつ、テスター/ドライバーハイブリッドを除去する工程;
(f) ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAを回収する工程;
(g) cDNAの第二鎖を調製した後、回収したcDNAをクローニングする工程。
【0063】
上記一本鎖RNAドライバーを除去するための処理方法は、cDNAの作成方法におけるノーマライゼーション及びサブトラクションハイブリッド以外にも適用することが出来る。例えば、いずれかの種類の非特異的RNA/DNAハイブリッドにおいて部分的に一本鎖となっているRNAを除去するためにも使用することができる。
【0064】
即ち、本発明は、非特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドを、一本鎖RNAを分解する能力を有する酵素で処理することによる、非特異的にDNAに結合したRNAの除去方法を包含する。この方法は、非特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドを、一本鎖RNAを分解する能力を有する酵素で処理し、DNAに非特異的に結合していたRNAを分解して、DNA及び/又はDNAと特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドとの混合物から除去する方法である。この方法は、RNAと非特異的に結合したDNAを回収することを目的として、またはRNA特異的に結合したDNAハイブリッドのみを回収することを目的として用いることができる。
この方法では、前記と同様に、一本鎖RNAを分解する能力を有する酵素は、RNaseI、RNaseA、RNaseIV、RNaseT1、RNaseT2、RNaseII及びRNaseIIIからなる群から選択されるか、又はそれらの混合であることができ、RNase Iであることが好ましい。
【0065】
また、前記非特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドを含有するRNA/DNAハイブリッドは、ノーマライゼーション法の結果物、サブトラクション法の結果物、順不同で行われたノーマライゼーション及びサブトラクション工程からなる方法、又はノーマライゼーション/サブトラクションの単一工程からなる方法の結果物であることができる。即ち、従来のノーマライゼーション及び/又はサブトラクション法により得られたRNA/DNAハイブリッドから、非特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドを除去し、長鎖またはレアなcDNAの回収効率を向上させることもできる。従って、前記非特異的に結合したRNA/DNAハイブリッドを形成するcDNAは長鎖、完全コーディング及び/又は完全長cDNAであることができる。
【0066】
さらに本発明は、一本鎖cDNAの単離方法であって、前記cDNAに非特異的に結合したRNAを含むハイブリッドが一本鎖RNAを分解する能力を有する酵素で処理され、前記分解した一本鎖RNAを除去し、かつ、前記DNAを回収することを含む方法を包含する。この方法では、一本鎖RNAを分解する能力を有する酵素で処理されることにより生成する一本鎖RNA(分解した)が、前記ハイブリッドを含有する系から除去され、その結果、一本鎖cDNAが回収される。この方法によれば、あるRNAと非特異的に結合するcDNAを選択的に回収することが出来る。
この方法でも、前記と同様に、一本鎖RNAを分解する能力を有する酵素は、Rnase I、RNaseA、RNaseIV、RNaseT1、RNaseT2、RNaseII及びRNaseIIIからなる群から選択されるか、又はそれらの混合であることができ、RNaseIであることが好ましい。また、前記cDNAは長鎖、完全コーディング及び/又は完全長cDNAであることができる。
【0067】
さらに本発明は、cDNAテスターに非特異的に結合した一本鎖RNAドライバーを分解する能力を有する酵素を添加し、前記分解された一本鎖RNAドライバーを除去することを含むノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAの作成方法を包含する。この方法では、cDNAテスターとこのcDNAテスターに非特異的に結合した一本鎖RNAドライバーとからなるハイブリッドに一本鎖RNAドライバーを分解する能力を有する酵素を作用させて分解し、分解後、分解された一本鎖RNAドライバーを、前記ハイブリッドを含む系から除去する方法である。
この方法でも、前記と同様に、一本鎖RNAを分解する能力を有する酵素は、RNaseI、RNaseA、RNaseIV、RNaseT1、RNaseT2、RNaseII及びRNaseIIIからなる群から選択されるか、又はそれらの混合であることができ、RNaseIであることが好ましい。また、前記cDNAは長鎖、完全コーディング及び/又は完全長cDNAであることができる。
【0068】
上記本発明の方法は、1つ又は2以上のcDNAライブラリーを作成するために使用することができ、本発明は、これら本発明の方法により得ることのできるcDNA又はcDNAライブラリーを包含する。
【0069】
最後に、本発明の態様による方法は、次のことを可能にする。
(i)mRNAドライバーの高効率除去;
(ii)長鎖・完全コーディング・完全長cDNAの頻度に影響を及ぼし得る関係あるcDNAサイズに減少が見られないこと;
(iii)ノーマライゼーション及びサブトラクションの両方ヘの適合性;
(iv)類似するが同一でない配列間の低い交差反応性、及び
(v)作成されるドラーバーの大きさ及びライブラリー数の点では両方とも高水準で再生産でき、かつ取扱いやすい。
【0070】
【実施例】
本発明の方法及び態様を、以下の実施例を参照してさらに説明する。
実施例1
RNAの調製
脳組織のスライス(0.5-1g)(または実施例2に記載のその他の組織)は、溶液D(Chomczynski、P.及びSacchi、N.、1987、Annal. Biochem.、162:156-159) 10ml中でホモジナイズされ、2M酢酸ナトリウム(pH 4.0)1ml及び同量のフェノール/クロロホルム混合物(容量比5:1)を用いて抽出された。抽出後、同量のイソプロパノールを水相へ添加してRNAを沈殿させた。このサンプルは、氷上で1時間インキュベートされ、沈殿を回収するために冷却しながら4000 rpmで15分間遠心分離された。沈殿物は、70%エタノールで洗浄され、8mlの水に溶解された。2mlの5M NaCl及び1%のCTAB (セチルトリメチルアンモニウムブロミド)、4M尿素、及び50mMトリスを含む16mlの水溶液(pH 7.0)16 mlの添加により、RNAは沈殿され、多糖類は除去された(CTAB沈殿物)。4000rpmで、15分間、室温で遠心分離後、得られたRNAは、4mlの7Mグアニジン-Clに溶解された。その後、2倍量のエタノールが溶液に添加され、1時間氷上でインキュベートされ、4000 rpmで15分間遠心された。得られた沈殿物は、70%エタノールで洗浄され、回収された。沈殿物は、再度水に溶解され、RNA純度がOD比260/280 (>1.8)及び230/260 (<0.45)の測定により決定された。
【0071】
cDNA合成
このRNA 5から10 μg、 BamHI及びSstI制限酵素サイトを含む5 μgの第一鎖プライマー(5'-(GA)5AGGATCCAAGAGCTC(T)16VN-3') (SEQ ID NO:1)と11.2 μlの80%グリセロールを混合し、全容量を24 μlにした。このRNAプライマー混合物は、65℃で10分間変性された。並行して、18.2 μlの5X第一鎖合成緩衝液、9.1 μlの 0.1 M DTT、6.0 μlの 10 mM (それぞれ) dTTP、dGTP、dATP及び 5-メチル-dCTP (dCTPの代り)、29.6 μlの飽和トレハロース (約80%,低金属含有 ; Fluka Biochemika)、及び 10.0 μlの 逆転写酵素Superscript II (200 U/μl)を最終容量76μlLになるように混合した。第三チューブへ 1.0 μlの [α-32P]dGTPを入れた。mRNA、グリセロール及びプライマーは前記Superscript IIを含む溶液と氷上で混合され、アリコット(20%)は手早く[α-32P]dGTP含むチューブへ添加された。第一鎖cDNA合成は、下記のプログラムを用いた加熱蓋(例えば、MJ Research)を有するサーモサイクラー内で行われた:第一段階、45℃で2分間;第二段階、勾配アニーリング:35℃へ冷却1分間;第三段階、完全アニーリング、35℃で2分間;第四段階、50℃で5分間;第五段階、0.1℃/秒で60℃まで上昇;第六段階、55℃で2分間;第七段階、60℃で2分間;第八段階、第六段階へ戻り、更に10サイクル。放射能の取り込みによりcDNAの収率を概算することができる(CarninciとHayashizaki, 1999)。得られたcDNAは、プロティナーゼKで処理され、フェノール/クロロホルム及びクロロホルム抽出され、並びに塩として酢酸アンモニウムを用いてエタノール沈殿された(CarninciとHayashizaki, 1999)。
【0072】
mRNAのビオチン化
ビオチン化の前に、キャップのジオール基及びmRNAの3'末端は、懸濁されたmRNA/第一鎖cDNAハイブリッド、66 mM酢酸ナトリウム(pH 4.5)、及び5mM NaIO4を含む最終容量50μl中で酸化された。サンプルは、氷上で暗条件下45分間インキュベートされた。mRNA/cDNAハイブリッドは、続いて0.5 μlの10% SDS、11 μlの 5M NaCl、及び61 μlのイソプロパノールの添加により沈殿された。暗条件下、氷上で45分間、又は、−20若しくは-80℃で30分間インキュベートした後、サンプルは10分間15,000 rpmで遠心された。最終的に、mRNA/cDNAハイブリッドを70%エタノールで2回洗浄し、50 μlの水に再懸濁した。続いて、キャップは、5μlの1M酢酸ナトリウム(pH6.1)、5μlの10% SDS、及び150 μlの10 mMビオチンヒドラジド長側鎖(long-arm) (Vector Biosystem) の添加により、最終容量210 μl中でビオチン化された。
【0073】
室温(22から26℃)で終夜(10から16時間)インキュベーションした後、mRNA/cDNAハイブリッドは75 μlの1 M酢酸ナトリウム (pH 6.1)、 5 μlの5 M NaCl、及び 750 μlの無水エタノールの添加により沈殿され、氷上で1時間、又は、-20から-80℃で30分間インキュベートされた。mRNA/cDNAハイブリッドは15,000 rpmで10分間の遠心分離によりペレットとし、続いて得られたペレットを70%エタノールで1回、更に80%エタノールで1回洗浄した。mRNA/cDNAハイブリッドは 70 μlの0.1X TE (1 mMトリス[pH 7.5]、0.1 mM EDTA)中に再懸濁した。
【0074】
完全長cDNAの捕獲及び分離
500 μlのMPG-ストレプトアビジンビーズと100μgのDNA遊離tRNAを混合し、その混合物を時々攪拌しながら、氷上で30分間インキュベートした。ビーズは、3分間磁気スタンドを用いて分離し、上清は除去された。ビーズは続いて500 μlの洗浄/結合溶液(2 M NaCl、50 mM EDTA、pH 8.0)により3回洗浄した。
【0075】
同時に、製造者に提供された緩衝液中のmRNA/cDNAハイブリッドサンプルへ原料mRNA1μg当たり1単位のRNase I(Promega)を添加した(最終容量200μl);サンプルは37℃で15分間インキュベートされた。反応を止めるために、サンプルを氷上に置き100 μgのtRNA及び100 μlの5M NaClを添加した。完全コーディング/完全長mRNA/cDNAハイブリッドを捕獲するために、ビオチン化された、RNase Iで処理されたmRNA/cDNAと洗浄されたビーズを混合し、400μlの洗浄/結合溶液中で再懸濁した。混合の後、チューブを30分間室温で穏やかに回転した。完全コーディング/完全長cDNAはビーズに残り、短くなったcDNAsは残らなかった。ビーズは、磁気攪拌器で上清から分離された。非特異的に吸着したcDNAsをビーズから除去するために、ビーズは穏やかに洗浄された:洗浄/結合溶液で2回;0.4% SDS、50 μg/mlのtRNAで1回;10 mMトリス-HCl (pH 7.5)、0.2 mM EDTA、 40 μg/ml tRNA、 10 mM NaCl、及び20%グリセロールで1回;水中の 50 μg/ml
tRNAで1回。
cDNAは、 50 μlの50 mM NaOH、5 mM EDTAの添加により、かつ、時々攪拌しながら10分間の室温でのインキュベーションによりビーズから放出された。ビーズは、続いて磁気を用いて除去され、抽出されたcDNAは氷上の50 μlの 1 Mトリス-HCl、 pH 7.5を含むチューブへ移した。溶出サイクルは、ビーズから大部分のcDNAが回収されるまで(手動モニターで放射能を観察しながら、80%から90%)、50 mM NaOH, 5 mM EDTAの50 μl-アリコットを用いて1又は2回繰り返された。
【0076】
次いで、後の工程でビオチン化されたRNAを妨害することのあるRNAの残さを除去するために、氷上で回収されたcDNAに素早く100 μlの1 Mトリス-HCl、 pH 7.0及び 1 μlのRNase I (10U/μl)を添加し、そのサンプルは続いて37℃で10分間インキュベートされた。cDNAはプロティナーゼKで処理され、フェノール/クロロホルム抽出され、かつ、逆抽出(back-extracted)された。 その後、シリコン化されたチューブに2から3 μgのグリコーゲンを添加し、サンプルをエタノール沈殿させた。あるいは、サンプルは、40-60分間2000rpmでMicrocon 100 (Millipore)を用いた1回の限外濾過により濃縮された。エタノール沈殿された場合、cDNAは20 μlの0.1X TEに再溶解することができた。
【0077】
この実験では、RNase H消化は行われなかったが、二本鎖を同時に加水分解及び変性することができるNaOHによる加水分解が行われた。
【0078】
cDNAのCL-4Bスピンカラム濾過
cDNAサンプルは、基本的に製造者により記載されたように、CL−4Bクロマトグラフィー(Carninci及びHayashizaki, 1999)又はS-400スピンカラム(Amersham-Pharmacia)により処理された。
【0079】
第一鎖cDNAのオリゴ-dGテイリング
cDNAサンプル、5 μlの10X TdT緩衝液(2 Mカコジル酸カリウム [pH 7.2]、10 mM MgCl2、10 mM 2-メルカプトメタノール), 5 μlの50 μM dGTP、5 μlの10 mM CoCl2、及び40 Uターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを最終容量が50μlなるように混合した。サンプルは、37℃で30分間インキュベートされた。最後に、反応はEDTA 20 mMにより止められ、cDNAはプロティナーゼKにより処理され、フェノールクロロホルムにより抽出され、エタノール沈殿された。サンプルは最終的にTE (10 mMトリス pH 7.5-8.0、EDTA 1 mM)中に再溶解された。記載されているように(CarnincとHayashizaki、1999)テールの長さを確認した後、cDNAはライブラリーの確認(下記参照)に使用するための第2鎖合成において使用されるか、またはノーマライゼイション及び /又はサブトラクションに使用されるためのcDNAテスターとして使用された。
【0080】
ノーマライゼイションドライバー
原料mRNAのアリコットを含むmRNAドライバーは、「ノーマライジング又はノーマライゼイションドライバー」と呼ばれる。ノーマライジングドライバーの濃度を計算するために、第一鎖合成の取り込み率が実際のmRNA濃度を反映している、即ちプライミング及び伸長の効率を100%と推測することにより、原料mRNA中のリボソーマル/構造RNA不純物を見積もった。また、第一鎖cDNAへ転換されるmRNAの割合は実際のmRNA濃度に対応しているものとして完全長に満たないcDNAは計算から除外した;通常全てのmRNAがプライミングを受ける訳ではないが、ノーマライゼイションドライバーの少しの過剰は、ドライバー不足が与えるような劇的な影響を与えることは少ない。従って、サンプル中のmRNA量は、生成された第一鎖cDNAの分量と同じであると推測した。
【0081】
サブトラクションドライバー
サブトラクティブドライバーは、T7及びT3 RNAポリメラーゼを用いることにより重複性のない理研(RIKEN) cDNA百科事典から調製された再配列されたライブラリーやクローンされたミニライブラリーから調製されたバルクランオフ(bulk run-off)転写物を含んでいた。
【0082】
ミニライブラリーは、このサンプル中、本実施例に記載されたと同様の実験方法で行われた前記ノーマライゼイション実験に由来する約1000から2000クローンのcDNAを含む。標準プロトコルを用いて、ノーマライゼイション実験の副産物であるアリコット(発現量の多いcDNAフラクション)からミニライブラリーを調製した。ノーマライゼイションの後、発現量の多いcDNAフラクションは、50 mM NaOH/5 mM EDTAを用いてビーズから除去された;中和の後、第二鎖cDNAが調製された。クローニングは、前記(CarninciとHayashizaki, 1999)と類似した方法で行われた。プラスミドは、続いてバルク切開され(bulk-excised)、ミニライブラリー当たり1000−2000クローンがアガローズ/アンピシリン上で増幅された。ドライバー調製のために、SOBアガローズ/アンピシリン上に20,000から50,000コロニーをプレート(プレートサイズ半径150 mm)に塗布し(Sambrookら1989、"Molecular Cloning: A laboratory Manual" Cold Spring Harbor Laboratory Press、 Cold Spring Harbor、 NY)、そのプレートを終夜37℃でインキュベートし、再懸濁溶液(Wizard DNA抽出キット; Promega)の存在下、プレートから細菌細胞をはぎ取り、その後は製造者プロトコルに従った。
【0083】
重複性のないcDNAライブラリードライバーの調製
本実施例に記載されたと同様の方法で行われた前実験において得られた完全長cDNAsからの単一クローンが、サブトラクションのために再配列された。384ウェルプレートから、再配列されたcDNAsは、続いてSODアガローズ/アンピシリンプレート上に塗布された。プラスミド抽出、 DNA切断及びRNA調製がミニライブラリーと同様に行われた。
【0084】
ライブラリーがSstIサイトへクローンされた場合、抽出されたプラスミドは、SstIを用いて3'末端の複数のクローニングサイトにおいて処理された。(mRNAが肝臓及び肺から抽出された場合は、代りに、ミニライブラリーは、3'末端サイトにおいてXhoIを用いてクローンされ、及びPvuIを使用して処理した。) RNAは、ドライバー調製、センスランオフ(run-off)RNAs調製のために使用された構築物のマップに応じて、T3又はT7 RNAポリメラーゼ(Life Technologies)のいずれかを用いて調製された。PvuIで切断されたミニライブラリーにはT3ポリメラーゼを使用し、SstIで切断されたミニライブラリーにはT7ポリメラーゼを使用した。RNAは、製造者の指示に従って、RNAポリメラーゼ(Life Technologies) を用いて調製した。1から2 μlのDNaseI(RQ1, RNase-free, Promega)による過剰消化が30分間行われた。その後、プロティナーゼK消化が行われ、続いて、フェノール/クロロホルム及びクロロホルムにより抽出され、cDNAを沈殿させた。
【0085】
ノーマライジング/サブトラクティングRNAドライバーのビオチン標識化
標識を行う前にRNAドライバーを更に精製するため、製造者の指示に従いRNeasyキット(QIAGEN)を使用した。続いて、Mirus核酸ビオチン化キット (Panvera)を基本的には製造者が記載しているように使用した。10 μgのRNA混合物は、キットプロトコル指示書に従い、最終容量が100 μlになるように、10μlの標識IT試薬及び10 μlの標識緩衝液Aと混合することにより標識された。反応を37℃で1時間インキュベーションすることにより行い、その後、ビオチン化したRNAを1/20容量の5M NaCl及び2倍容量の99%エタノールの添加により沈殿した。標準エタノール沈殿の後、ペレットは、80%エタノールで1回洗浄され、20 μlの「1X Mirus標識緩衝液A 」中に再懸濁し、使用するまで-80℃で保存した(代りに、製造者の指示に従って、psoralen-ビオチン化キット(Ambion)を用いてmRNAを標識することもできる)。
【0086】
ノーマライゼイション/サブトラクション
RNAドライバー及びcDNAは、プロティナーゼKを用いて除タンパクが行われ、続いて、フェノール/クロロホルム抽出、クロロホルム抽出及びエタノール沈殿を行った。オリゴ-dG-テイリングされたcDNAは基質として使用され、RNAドライバー、サブトラクティングドライバー中に存在するCストレッチとハイブリダイズするように、ブロッキングオリゴヌクレオチド(ビオチン-dG5から-dG30、ここではビオチン-dG16が使用された)、ポリA配列をブロックするためのオリゴdTプライマーが混合された。しかし、ドライバーとcDNAsとの共通配列をブロックすることができるものであれば、いずれのオリゴヌクレオチドも使用することができる。
【0087】
ハイブリダイゼイションは、80%ホルムアミド(脱イオン化ストックから) 250 mM NaCl、25 mM HEPES (pH 7.5)及び5 mM EDTAを含む緩衝液中で、典型的には、RoT値が1から500で行った(RoTはSagerstromら、 1997の実施例において定義されている)。ハイブリダイゼイションは、42℃の乾燥オーブン内で行われ;5μl程度の小容量ではミネラル油被覆は必要とされなかった。ハイブリダイゼイションの後、2.5容量の無水エタノールの添加によりサンプルは沈殿され、30分間氷上でインキュベートされた。サンプルは、10分間15,000 rpmで遠心分離され、70%エタノールで1回洗浄された;cDNA(一本鎖cDNA及びmRNA/一本鎖cDNAハイブリッドの両方)を10 μlの水中に氷上で注意深く再懸濁した。
【0088】
RNase Iによる処理
必要により、上記段階において得られたテスター/ドライバーハイブリッドは、テスターcDNAへ非特異的に結合したmRNAノーマライゼイション及びサブトラクションドライバーを除去するためにRnaseIを用いて処理することができる。
上記ハイブリダイゼイションの後に沈殿させたサンプルから上清を除去した後、ペレットは、氷上で(非特異的再アニーリングを最小限にするため)45 μlの2回蒸留された水又はTE 0.1 X(1 mMトリス、0.1 mM EDTA、pH 7.5)を用いて再懸濁された。次の段階へ進む前に、完全に再溶解された。
【0089】
その後、5 μlの10 x RNase I緩衝液 (Promega)、及び10 μgのドライバーRNA当たり0.5単位のRNase 1が添加された。
混合物は37℃で10分間インキュベートされた。その後、65℃で10分間加熱され、氷上に移された(必要により、次の段階に進む前に、サンプルはプロティナーゼK、フェノール/クロロホルム、クロロホルムで処理し、エタノールによる沈殿を行うことができる)。
【0090】
ハイブリッドの除去
次の段階は、上記段階に示されるようにRNase Iにより処理された又はされていないノーマライズ/サブトラクトされた混合物に適用することができる。
並行して、1 μgのビオチン化ドライバーRNAそれぞれに50 μlのMPG-ストレプトアビジン磁気ビーズ(CPG Inc.)を調製した;5 μlのビーズは400 ngより多くのビオチン化ドライバーを結合することができた。50μlのビーズそれぞれに、ブロッキング試薬として10 μgのtRNAを添加し、その後ビーズを室温で10から20分間又は氷上で30から60分間時々振りながらインキュベートした。ビーズを除去するために磁気スタンドを使用し、ビーズを大量の過剰1 M NaCl、10 mM EDTAにより3回洗浄し、ビーズ懸濁液の元の容量と等量の1M NaCl、10 mM EDTA中に再懸濁した。
【0091】
ブロックされたビーズを再溶解されたテスター/ドライバー混合物と混合し、全サンプルを室温で15分間時々穏やかに攪拌しながらインキュベートした。磁気スタンドを3分間用いてビーズを除去した後、一本鎖ノーマライズ/サブトラクトされたcDNAを含む上清が回収された。ビーズは、残っているssDNAを回収するため、過剰容量の結合緩衝液(1 M NaCl、10 mM EDTA)で1回洗浄された。ノーマライゼイション/サブトラクション収率を評価するために、操作の前と後に標識されたサンプルの放射能を測定した。
【0092】
cDNA溶液を約50μlに濃縮するために、製造者(Millipore)の記載に従ってMicrocon 100限外濾過を使用した。続いて、cDNAは標準イソプロパノール手順を用いてペレット化された;ペレットは44 μlの0.1 x TEに再懸濁され、そこへ5 μlのRNase I緩衝液及び1 UのRNase Iが容量50 μlになるように添加された。サンプルは、続いて、20分間37℃でインキュベートされ、その後RNase Iを不活性化するために400μlの0.2% SDSを添加した。分解されたRNAの残さ、ブロッキングオリゴヌクレオチド、SDS及び緩衝液は、容量が20 μl未満になるまでMicrocon 100フィルターを用いて2000 rpm、25℃で限外濾過し、除去された。サンプルは、400 μlの0.1X TEの添加により脱塩され、続いて全3回の洗浄のために上記のように遠心された。フィルターを新しいチューブへ逆さに移し、9000 rpmで1分間遠心してcDNAを回収した。
【0093】
第二鎖cDNA合成
ノーマライズ/サブトラクトされたcDNA、標準参照ライブラリー及びミニライブラリーについても第二鎖合成及びクローニング段階は同じであった。第一鎖cDNAプライマーと同様に、XhoIを含むプライマー5'-(GA)7TTCTCGAGTTAATTAAATTAATC13-3' (SEQ ID NO:2)を含むXhoIが調製され、標準技術を用いて精製された。
【0094】
第二鎖反応の準備のために、オリゴ-dG-テイリングされたcDNAを6μlの100 ng/μlの第二鎖プライマーアダプター、6 μlのEX-Taq第二鎖緩衝液(Takara)、及び6 μlの2.5 mM(それぞれ)dNTPsを混合した。プライミングの高い特異性を確保するために、試薬は50℃(通常45℃から約80℃)で酵素と混合された(ホットスタート(Hot start)と呼ばれる)。その後、プライミングは、サーモサイクラー中で、3μlの5 U/μl ExTaqポリメラーゼ(Takara)を65℃で添加することにより行われた。混合の後、アニーリング温度は、マイナス傾斜(negative ramp)でXhoIプライマーについては45℃にした(実施例2の肝臓と肺のライブリーの場合には、SstIプライマーについて35℃)。アニーリング温度を10分間続けた後、第二鎖cDNAは、68℃で20分間のインキュベーション中に伸長された。アニーリング伸長サイクルは、もう一度繰り返され、続いて最終伸長段階を72℃で10分間行った。ホットスタートの初めに、結合させるために、0.5 μlの[α-32P]dGTP又は[α-32P]dCTPを5 μlのアリコットと混合し、取り込みを行った。反応の終わりに標識されたアリコットを使用し、cDNAの測定や第二鎖の収率を計算した (CarninciとHayashizaki, 1999)。
【0095】
cDNAクローニング
第二鎖cDNAはプロティナーゼKで処理し、フェノール-クロロホルム及びクロロホルムで抽出し、かつ、エタノール沈殿を標準の手順で行った。その後、cDNAをそれぞれ25 U/μgのBamHI及びXhoIを用いて切断した(又は、実施例2の肺及び肝臓ライブラリーについてはSstIとXhoI)。消化の後、cDNAはプロティナーゼKにより処理され、フェノール-クロロホルムで抽出し、かつ、CL-4Bカラム(Pharmacia)で精製された。エタノール沈殿の後、基本的に(CarninciとHayashizaki, 1999)に記載されているようにcDNAをクローン化した。
【0096】
方法及び使用された器具
プラークハイブリダイゼイションは、標準の手順による無作為のプライマーと標識された特異的プローブにより行われた(Sambrookら、1989)。
アルカリ電気泳動は記載されているように行われた(Sambrookら 1989)。全てのオートラジオグラフィー信号は、Bas 2000イメージングシステム(Fuji)を用いて可視化された。
【0097】
細菌は、市販のピッキングマシーン(Q-bot及びQ-pix; Genetics, UK)で採取され、384ミクロウェルプレートへ移された。
プラスミドDNAの調製には2つの同一のプレートが使用された。384ウェルプレートそれぞれから得たプラスミドDNAは分割され、4枚の96ディープウェルプレートで生育された。一夜の生育の後、プラスミドは手動(Itohら1997、Nucleic Acids Res 25:1315-1316)又は自動(Itohら1999、Genome Res. 9:463-470)で抽出された。
【0098】
典型的には、配列はRISA配列決定装置(Shimadzu, JAPAN)にかけられるか、又は、Perkin Elmer-Applied Biosystems ABI 377を用いて、例えば、Hillierら, 1996, Genome Research, 6:807-828に記載されているように標準配列決定法で行われる。シークエンシングプライマーは、M13順及び逆プライマー(上記SEQ ID NO:5及びSEQ ID NO:6)である。
【0099】
実施例2
肺及び肝臓組織
実施例1の脳について記載されたと同様に、cDNAノーマライズ/サブトラクトされたライブラリー(及びミニライブラリー)が肺及び肝臓組織から調製された。但し、mRNAが肺及び肝臓から抽出される場合、XhoIサイトを持つプライマー(5'(GA)8ACTCGAG(T)16VN-3') (SEQ ID NO:4)及びSstI含有プライマー5'-(GA)9GAGCTCACTAGTTTAATTAAATTAATC11-3' (SEQ ID NO:3)が使用されるという違いはある。他の段階は脳について説明されたと同様である。
【0100】
実施例3
ドライバー/テスター捕獲の除去効率
RNAテンプレートの調製
5 Kbフラグメントであるリーラー(reeler) cDNA(Hirotsuneら、Nature Genetics、1995、May、10(:77-83))を含むpBluescriptプラスミドが使用された。
2.5μlのテンプレートプラスミドDNA(NotI制限酵素サイトで切断された)から、RNAは下記の標準条件を用いてインビトロで転写された:20μlのGibco-BRL 5 X緩衝液、5μlのrNTPs(それぞれ10 mM)、5 μlの0.1M DTT、20単位のT7 RNAポリメラーゼを最終容量100μlとする。 反応は、37℃で3時間インキュベートすることにより行った。更に、2μlのα-32P-rUTPはRNAを標識するために反応物へ添加された。
【0101】
続いて、微量のテンプレートDNA(プラスミド)を除去するために20単位のRQ1 DNase (Promega)が添加され、得られたサンプルは、37℃で15分間インキュベートされた。最終濃度が250 mMになるようにサンプルへNaClが添加され、得られたサンプルは、フェノール (トリスと平衡化した) /クロロホルムで一度、クロロホルムで一度タンパク分解し、続いて2倍量のエタノールをRNAに添加してRNAが沈殿された。20分間、15,000 rpmでの遠心分離の後、沈殿されたRNAは上清から分離され、沈殿物は70%エタノールで1回洗浄した後、遠心にかけられた。ペレットは最終的に水に再溶解された。
【0102】
cDNA(テスター)の調製
このクローンに特異的なプライマーはSKプライマー(5'CGCTCTAGAACTAGTGGATC3')(SEQ ID NO:7)であり、かつ、後のトレーシング(tracing)でアルファ-32P dGTPが第一鎖の標識のために使用されることを除いては、cDNAは、Superscript II (Gibco BRL-Life Technology)の指示書に特定されているようにRNAテンプレートから調製された。標準の手順を用いたフェノール/クロロホルム抽出及びエタノール沈殿の後、cDNAは、続いて、加水分解されたハイブリッドしたRNAを除去するためにアルカリ(50 mM NaOHで30分間)で処理され、200 mMトリスpH 7.00で中和され、かつ、20 UのRNase Iを添加された。最後に、DNAは、標準条件下で、もう一度フェノール/クロロホルムで抽出され、エタノールで沈殿された。
【0103】
RNAのビオチン化
RNAテンプレートはドライバーとしても使用された。500 ngのRNAのアリコットは、Biotin-Psoralenキット(Ambion)を用いて氷上で(サンプル1-3に対応) 又は室温で(サンプル4-6に使用)、30分間(1、4)、45分間(2、5)及び60分間(3、6)ビオチン化された(図6参照)。
【0104】
ビオチン化の後、150 ngのビオチン化ドライバー(条件1-6で調製、つまり6つのチューブ)(21,000 CPMでカウントされた)へ、50 ngのcDNAが添加され(6,000 CPM)、10μgのtRNAが添加された。標準フェノール/クロロホルム抽出及びエタノール沈殿の後、サンプルは5 μlのハイブリダイゼイション緩衝液(80% ホルムアミド、250 mM NaCl、25 mM Hepes pH 7.5、5 mM EDTA)に再溶解され、42℃で一夜(14時間)インキュベートされた。
【0105】
エタノール沈殿(他の実施例と同様に行われる)の後、サンプル(6チューブ)は、続いてストレプトアビジン/磁気(実施例1に記載されたサブトラクション段階)と混合された。上清(非結合)は、続いて、標準条件に加えて定量沈殿を確実にするために4μgのグリコーゲンを添加してエタノール沈殿を行い、再懸濁後、標準RNA/ホルムアルデヒドミニゲル(レーン1-6)にかけられた。60Vで1時間の電気泳動の後、ゲルは乾燥され、Bas 2000イメージ分析器(Fuji)に露出された。これは、ドライバー+テスターの除去効率を示す。レーン7-9側は、それぞれ100の出発時カウント、10%及び2%に対応する処理されていないサンプル(mRNA/cDNA)に使用された。信号の強度は、ドライバー/テスター混合物の除去効率を示す。
【0106】
実施例 4
本発明の評価方法
発現量の多いcDNAsの頻度の低減
既に存在するクローンの不要な再配列決定を低減するために、脳について記載されたと同様に、前記実施例において調製された再配列された重複性のないcDNAsに由来したミニライブラリー及びRNAドライバーを用いて膵臓組織から、幾つかのノーマライズ/サブトラクトされたcDNAライブラリーを調製した。
【0107】
標準膵臓cDNAライブラリー(ノーマライゼイション/サブトラクションなし)から得た第二鎖cDNAとそのノーマライズ/サブトラクトされた対応物とを比較した(図3)。 ノーマライズ/サブトラクトされたcDNAは、単独のノーマライゼイション/サブトラクション段階により調製された。ノーマライゼイションはRoT = 10で行われ、サブトラクションは上記のように調製されたミニライブラリーのそれぞれ肝臓、肺、脳又は膵臓の1000から2000の主にアバンダントな主要クローンを含むセットを用いて、RoT = 20で行われた(但し、サブトラクションはRoT値が少なくとも約500までであれば行うことができる)。先に調製された、ノーマライズされたcDNAライブラリー中での発現量の多いフラクションをクローニングしてミニライブラリーを生成した。増幅されたcDNAミニライブラリーは、続いて、サブトラクティングドライバーを調製するために(上記のように)使用された。サブトラクティングドライバーのRoTはそれぞれ200クローンに対して1単位に等しい(例えば、1000クローンが使用された場合はRoT = 5)。ノーマライズされ、サブトラトされたcDNAの平均サイズは、ノーマライズされず、サブトラクトされていないcDNAより長く、長いcDNAs(より遅く移動する)は、最短のものよりも更に希にしか発現されないことを示唆する。更に、発現量の多いmRNAのcDNAsに対応するバンドは、ノーマライズ-サブトラクトされたライブラリーでは観察されない。
【0108】
図3は、ノーマライゼイション/サブトラクションされていないもの(標準cDNA)の電気泳動を示し、発現量の非常に多いアバンダントRNAs由来のとてもはっきりとしたバンドを僅かに見ることができ、一方、ノーマライズ-サブトラクトされたcDNAでは、それらのバンドは観察できず、これは、cDNAでの低減を示唆している。更に、ノーマライズ/サブトラクトされたcDNAでは、長いmRNA(>〜3 Kb)サイズに対応するcDNAsの比較強度は標準ライブラリーと比べた場合増加している。
ノーマライゼイション/サブトラクションの利点を証明する他の方法は図4に示される。
【0109】
上記のように調製された 肺臓の第一鎖cDNAをテンプレートとして使用した。ノーマライズされたcDNAライブラリーと機能対応するプラークハイブリダイゼイションから発現量の多い遺伝子はノーマライズされたライブラリーでは減少していた。ノーマライズさた肺ライブラリーの10,000プラークがスクリーニングされた場合、伸長因子1-アルファは、参照ライブラリーでは90であったものが、ノーマライズされたライブラリーでは10に低減しており、カルボニルレクターゼは約70から3へ減少し、ウテログロビンは約510から2プラークヘ減少していた。プラークを数えたところ、標準cDNAライブラリーにより多くのプラークが存在した(ノーマライズされたライブラリーと比較すると標準化されたライブラリーでは〜10倍以上)。これらの結果から、ノーマライズされたライブラリー中の発現頻度の高いcDNAsは参照に比べより少ないことが証明された。
【0110】
実施例5
発現量の少ない遺伝子の発見頻度の増加
発現量の少ないcDNAsを濃縮するためには、ライブラリーの大量配列決定は最も適切な試験法である。上記の方法により、幾つかのマウス組織から幾つかのライブラリー(表1)を調製し、cDNAインサートの平均サイズ(インサートサイズ)、配列パス(Seq.)、クラスター(Sp.)、重複度(Red.)、新規クローン(ユニーク)の出現、第一ATGコドンを有する配列の%(コーディング%)から調べた完全コーディング/完全長cDNAの存在を評価した。
【0111】
【表1】
Figure 0004915492
【0112】
配列の重複度の評価は、ノーマライゼイション/サブトラクション工程効率の最終評価である。原料cDNAのアリコットから調製された標準ライブラリー(参照番号22-000、23-000、26-000、及び31-000と示されている)は比較として示されている(表1)。
【0113】
上手くノーマライズ-サブトラクトされたcDNAライブラリーの1つ(例えば、マウス睾丸組織から得たライブラリー49-304)では、3'末端配列の重複度は1.63と低かった(8900クローンの配列決定において配列決定された総数を異なるクラスター5444の数で割ることにより計算された)。10,000から15,000より多くの3'末端配列における2.0未満の重複度は、複合的な組織(例えば、睾丸、脳、及び胸腺)から得たcDNAライブラリーについて成功であると期待できたものである。
【0114】
ノーマライズ/サブトラクトされたcDNAライブラリーは未知遺伝子の回収を効率よく増加させた。例えば、ライブラリー22-100、23-100、26-100、及び31-100は、標準ライブラリーの対応物22-100、23-100、26-100、及び31-100よりも高い配列決定反応当たりの新規データ生成値を有していた(図5)。いくつかのライブラリーからのいくつかのcDNAをシークエンスしてみると標準cDNAライブラリーに比べてノーマライズ/サブトラクトされたライブラリーでは配列重複度に減少が見られる(図5)。
【0115】
図5では、100%の新規遺伝子の発見は重複度1に対応し、50%は重複度2に、25%は重複度4に対応するなどである。
ノーマライゼイションは、与えられた配列決定試験中に、標準ライブラリーと比較して新規遺伝子発見頻度を増加させる。
【0116】
実施例 6
本発明のノーマライゼイション-サブトラクション法の比較例
非特異的にcDNA(テスター)へ結合した1本鎖RNA(ドライバー)を切断する酵素の使用の重要性を調べた。そのため、本発明のノーマライゼイション/サブトラクション法を用いて調製されたサブライブラリーが、ノーマライゼイション/サブトラクション法及び非特異的ハイブリッド除去段階を用いて調製されたサブライブラリーと比較された。
【0117】
実施例1の最初の部分(ノーマライゼイション/サブトラクション段階を含む部分まで)により調製されたノーマライズ/サブトラクトされたcDNAsは、2つのサブトラクションライブラリーに分割された。第一サブライブラリーについては、第二鎖cDNA合成及びクローニングを行い(つまり、非特異的結合ハイブリッド除去なし)、一方、第二サブライブラリーについては、RNase I処理(非特異的結合ハイブリッド除去)を実施例1に記載されているように行った。調製されたマウス組織は、下記のとおりである:ライブラリー63に延髄、ライブラリー64に嗅覚脳、ライブラリー90に結腸及びライブラリー91に盲腸。表2にデータが報告されている
【0118】
【表2】
Figure 0004915492
【0119】
サブライブラリー63-304-R、64-304-R、90-300-R、90-304-R、91-300-Rは、RNase I処理されていないサブライブラリーを示す。
サブライブラリー63-305-R、64-305-R、90-302-R、90-306-R、91-302-Rは、RNase I処理されたサブライブラリーを示す。
【0120】
同じライブラリーに属するサブライブラリーの組合わせは、63-304-Rと63-305-R、64-304-Rと64-305-R、90-300-Rと90-302-R、90-304-Rと 90-306-R、91-300-Rと91-302-Rである。
それぞれのサブライブラリーのクラスター数は、サブライブラリーに含まれる異なるクローン(つまりクラスター)の数を示す。それぞれのクラスターは、1以上の同じ配列(何度も取り出される同じ配列)を有するクローンを含むことができる。
【0121】
「ユニーククローン」は、それぞれのサブライブラリーのクラスターから得られるクローンであって未だ配列決定されていない新規のものの数を示してる。
「ユニーククローン%」(例えば、サブライブラリー63-304-Rについての「8.4」という値)は、見つかったユニーククローンの数(サブライブラリー63-304-Rについては「252」)をクラスターの数(サブライブラリー63-304-Rについては「2987」)で割ったものを示している。
【0122】
表2のデータは、全てのRNase I処理の試験は、ユニーククローン%の高い数を得(例えば、サブライブラリー63-304-R及び63-305Rの場合15.4%)、これは、RNase I処理によりmRNAドライバーへ非特異的結合した幾つかの発見されていないクローン(ユニーク)はハイブリッドから放出され、回収され、かつ、発見されたことを示している。
【0123】
クローン配列は、RISA配列決定装置(Shimadzu、JAPAN)に掛けられた。シークエンシングプライマーは、M13順及び逆プライマーとした。 順:M13オリゴ(5' TGTAAAACGACGGCCAGT 3') (SEQ ID NO:5);逆:1233REVオリゴ(5' AGCGGATAACAATTTCACACAGGA 3') (SEQ ID NO:6)。
配列決定法は、公知の標準配列決定プロトコル(Hillierら、1996、Genome Res.、6:807-828)によって行われた。
【配列表】
Figure 0004915492
Figure 0004915492
Figure 0004915492

【図面の簡単な説明】
【図1】 好適なノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNA作成プロトコルの概要である。A)長鎖、完全コーディング/完全長の一本鎖cDNA調製のための一般図;B)異なるcDNAテスター集団を表現したもの;C)ノーマライジングドライバー(細胞mRNA)及びサブトラクティングドライバー(ランオフ転写物);D)ハイブリダイゼーション;E)レアな/新規なcDNAが第二鎖cDNAの調製のために使用される(ノーマライズ/サブトラクトされたcDNAライブラリー);F)アバンダントcDNA/不要なcDNAが除去され、サブトラクションを実施するためミニライブラリーの作成のために使用できる。
【図2】RNaseIの使用が認識でき、かつRNase Iが非特異的にcDNA(テスター)に結合したRNA(ドライバー)を切断し得ることを(図の右側に)示す。この方法で用いる新規な及び/又はレアなcDNAが回収される。一方、図の左側に示されるように、RNase I処理が行われないときは、非特異的にドライバーと結合し得る新規な及び/又はレアなテスターは、ビーズによって捕獲され、除去される。
【図3】ノーマライズ/サブトラクトされていない膵臓cDNAの例と比較した、単一工程で行われた膵臓cDNAノーマライゼーション/サブトラクションの電気泳動のパターンを右側に示す。このノーマライゼーション/サブトラクションの例は、かなり余分な完全長cDNAの除去を視覚化するものであり、それはノーマライズ又はサブトラクトされていないcDNAの例で明確に示される(矢印で示す)。
【図4】標準(ノーマライズされず、かつ、サブトラクトされないもの)長cDNAライブラリー(左)又はノーマライズされた長さのcDNAライブラリー(右)を含む遺伝子EF-1アルファ、カルボニル還元酵素、及びウテログロビン(uteroglobin)のためのレプリカのプラークハイブリダイゼージョンである。右パネル(ノーマライズされたもの)において、矢印は計測されたプラークを示す。ノーマライズされたライブラリーとして計測したプラーク数(クローン)は、標準ライブラリーよりも感度的に(sensitively)少ない。
【図5】シークエンシング重複度の増加(又は新規な遺伝子の発見の減少)は、標準cDNAライブラリー(−000ライブラリー)において急に増加するが、ノーマラーズ/サブトラクトされた完全長cDNAライブラリー(−100ライブラリー)ではその重複度の増加はかなり遅い。新規な遺伝子(%)は、与えられるcDNAライブラリーの中でシングルトン(%)として示される。
【図6】本発明によるサブトラクション法を使用したドライバー/テスター捕獲の除去効率を評価するための電気泳動試験を示したものである。
単一のクローン(cDNA)テスターのみが使用され、かつ同じcDNAでできたドライバーでサブストラクトされた。
レーン1〜3は、氷中でビオチン化が行われたサブトラクトされたcDNAを示し、レーン4〜6は、室温(RT)で行ったものを表す。レーン7〜9は、ビーズ処理していない(従って除去されていない)テスターとドライバーで構成され、それぞれ100%、10%及び2%の残存量を表す。
レーン9は、たとえ少ない2%の量であっても、依然として明らかであることを示す。むしろ、レーン1〜6においては、サブトラクションがほぼ100%であったということを示すテスター/ドライバーハイブリッドは存在しないことが明らかである。

Claims (64)

  1. ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAの作製方法であって、I)クローニングされていない一本鎖cDNAテスターを調製する工程;
    II)ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションのためのRNAドライバーを調製する工程;
    III)ノーマライゼーション及び/又はサブトラクション工程を行い、得られたテスター/ドライバーハイブリッド及びハイブリダイズされていないRNAドライバーを除去する工程;
    IV)ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAを回収する工程を含み、
    前記工程III)において、テスター/ドライバーハイブリッド及びハイブリダイズされていないRNAドライバーを除去する前に、1本鎖cDNAテスターに非特異的に結合した1本鎖RNAドライバーを切断することを含み、その後、切断された一本鎖RNAドライバーは除去されて、非特異的に結合した1本鎖RNAドライバーを切断した1本鎖cDNAテスターは、工程IV)において回収される、前記方法。
  2. 工程I)のcDNAテスターがmRNAの逆転写物であって、クローニングされていないcDNAである請求項1に記載の方法。
  3. 工程III)において、最初にノーマライゼーション工程、次にサブトラクション工程を含む請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  4. 工程III)において、最初にサブトラクション工程、次にノーマライゼーション工程を含む請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程III)において、前記テスター及びドライバーが混合され、ノーマライゼーション及びサブトラクションが単一工程で行われる請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAが長鎖、完全コーディング及び/又は完全長cDNAである請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程III)において、一本鎖cDNAテスターに非特異的に結合した一本鎖RNAドライバーを切断する能力を有する酵素の添加と、前記切断された一本鎖RNAドライバーの除去、とを含む前記請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記酵素が一本鎖特異的RNAエンドヌクレアーゼである請求項に記載の方法。
  9. 前記酵素が、RNaseI、RNaseA、RNaseIV、RNaseT1、RNaseT2、RNaseII及びRNaseIIIからなる群から選択されるか、又はそれらの混合である請求項に記載の方法。
  10. 前記酵素がRNaseIである請求項に記載の方法。
  11. 前記cDNAテスターが、RNAの5'末端をCAP捕獲することにより調製される請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記cDNAテスターの調製が次の工程を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
    (1) mRNA/cDNAハイブリッドを形成する逆転写酵素により第一鎖cDNAを合成する工程;
    (2) ハイブリッドを形成しているmRNAの5'CAP(7MepppN)サイトのジオール構造にタッグ分子を化学的に結合する工程;
    (3) 長鎖、完全コーディング、完全長cDNAハイブリッドの捕獲工程;及び(4) 一本鎖mRNAを切断することのできる酵素を用いた消化により一本鎖mRNAを除去する工程。
  13. 前記タッグ分子が、ジゴキシゲニン、ビオチン、アビジン又はストレプトアビジンである請求項12の方法。
  14. 前記ノーマライゼーションドライバーが、ノーマライズを行おうとするものと同一のライブラリーからの細胞mRNA、ノーマライズを行おうとするものと同一の組織からの細胞mRNA、又はノーマライズを行おうとするものと同一のcDNA集団からの細胞mRNAである請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記サブトラクションドライバーが、サブトラクトを行おうとするものとは異なるライブラリー、組織又はcDNA集団からの細胞mRNAである請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 回収されたcDNAの第二鎖cDNAを調製し、かつクローニングする工程V)をさらに含む請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAの作製方法であって、I)プラスミド内にクローニングされていない一本鎖cDNAテスターを調製する工程;
    II)ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションのためのRNAドライバーを調製する工程;
    III)ノーマライゼーション及び/又はサブトラクション工程を行い、得られたテスター/ドライバーハイブリッド及びハイブリダイズされていないRNAドライバーを除去する工程;
    IV)ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAを回収する工程を含み、
    前記工程III)において、テスター/ドライバーハイブリッド及びハイブリダイズされていないRNAドライバーを除去する前に、1本鎖cDNAテスターに非特異的に結合した1本鎖RNAドライバーを切断することを含み、その後、切断された一本鎖RNAドライバーが除去されて、非特異的に結合した1本鎖RNAドライバーを切断した1本鎖cDNAテスターは、工程IV)において回収される、前記方法。
  18. 工程III)において、最初にノーマライゼーション工程、次にサブトラクション工程を含む請求項17に記載の方法。
  19. 工程III)において、最初にサブトラクション工程、次にノーマライゼーション工程を含む請求項17に記載の方法。
  20. 工程III)において、前記テスター及びドライバーが混合され、ノーマライゼーション及びサブトラクションが単一工程で行われる請求項17に記載の方法。
  21. 前記ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAが長鎖、完全コーディング及び/又は完全長cDNAである請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 工程III)において、一本鎖cDNAテスターに非特異的に結合した一本鎖RNAドライバーを切断する能力を有する酵素の添加と、前記切断された一本鎖RNAドライバーの除去、とを含む前記請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記酵素が一本鎖特異的RNAエンドヌクレアーゼである請求項22に記載の方法。
  24. 前記酵素が、RNaseI、RNaseA、RNaseIV、RNaseT1、RNaseT2、RNaseII及びRNaseIIIからなる群から選択されるか、又はそれらの混合である請求項22に記載の方法。
  25. 前記酵素がRNaseIである請求項22に記載の方法。
  26. 前記cDNAテスターが、RNAの5'末端をCAP捕獲することにより調製される請求項17〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記ノーマライゼーションドライバーが、ノーマライズを行おうとするものと同一のライブラリーからの細胞mRNA、ノーマライズを行おうとするものと同一の組織からの細胞mRNA、又はノーマライズを行おうとするものと同一のcDNA集団からの細胞mRNAである請求項17〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記サブトラクションドライバーが、サブトラクトを行おうとするものとは異なるライブラリー、組織又はcDNA集団からの細胞mRNAである請求項17〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 回収されたcDNAの第二鎖cDNAを調製し、かつクローニングする工程V)をさらに含む請求項17〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAの作製方法であって、I)一本鎖cDNAテスターを調製する工程;
    II)ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションのためのRNAドライバーを調製する工程;
    III)テスター及びドライバーを混合することで、ノーマライゼーション及びサブトラクションを単一の工程として行う工程;
    IV)ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAを回収する工程を含み、
    前記工程III)において、テスター/ドライバーハイブリッド及びハイブリダイズされていないRNAドライバーを除去する前に、1本鎖cDNAテスターに非特異的に結合した1本鎖RNAドライバーを切断することを含み、その後、切断された一本鎖RNAドライバーが除去されて、非特異的に結合した1本鎖RNAドライバーを切断した1本鎖cDNAテスターは、工程IV)において回収される、前記方法。
  31. cDNAテスターがクローニングされた、またはクローニングされていないcDNAである請求項30に記載の方法。
  32. 工程I)のcDNAテスターがmRNAの逆転写物であって、クローニングされていないcDNAである請求項30に記載の方法。
  33. 前記ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAが長鎖、完全コーディング及び/又は完全長cDNAである請求項30〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 工程III)において、一本鎖cDNAテスターに非特異的に結合した一本鎖RNAドライバーを切断する能力を有する酵素の添加と、前記切断された一本鎖RNAドライバーの除去、とを含む前記請求項30〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記酵素が一本鎖特異的RNAエンドヌクレアーゼである請求項34に記載の方法。
  36. 前記酵素が、RNaseI、RNaseA、RNaseIV、RNaseT1、RNaseT2、RNaseII及びRNaseIIIからなる群から選択されるか、又はそれらの混合である請求項34に記載の方法。
  37. 前記酵素がRNaseIである請求項34に記載の方法。
  38. 前記cDNAテスターが、RNAの5'末端をCAP捕獲することにより調製される請求項34〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記cDNAテスターの調製が次の工程を含む請求項30〜38のいずれか1項に記載の方法。
    (1) mRNA/cDNAハイブリッドを形成する逆転写酵素により第一鎖cDNAを合成する工程;
    (2) ハイブリッドを形成しているmRNAの5'CAP(7MepppN)サイトのジオール構造にタッグ分子を化学的に結合する工程;
    (3) 長鎖、完全コーディング、完全長cDNAハイブリッドの捕獲工程;及び
    (4) 一本鎖mRNAを切断することのできる酵素を用いた消化により一本鎖mRNAを除去する工程。
  40. 前記タッグ分子が、ジゴキシゲニン、ビオチン、アビジン又はストレプトアビジンである請求項39の方法。
  41. 前記ノーマライゼーションドライバーが、ノーマライズを行おうとするものと同一のライブラリーからの細胞mRNA、ノーマライズを行おうとするものと同一の組織からの細胞mRNA、又はノーマライズを行おうとするものと同一のcDNA集団からの細胞mRNAである請求項30〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記サブトラクションドライバーが、サブトラクトを行おうとするものとは異なるライブラリー、組織又はcDNA集団からの細胞mRNAである請求項30〜40のいずれか1項に記載の方法。
  43. 回収されたcDNAの第二鎖cDNAを調製し、かつクローニングする工程V)をさらに含む請求項30〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAの作製方法であって、(a) 一本鎖cDNAテスターを調製する工程;
    (b) ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションRNAドライバーを調製する工程;
    (c) ノーマライゼーション及び/又はサブトラクションを2つの工程として順不同に、又はノーマライゼーション/サブトラクションを1つの工程として、ノーマライゼーション/サブトラクションRNAドライバーを前記cDNAテスターに混合することにより行う工程;
    (d) cDNAテスターに非特異的に結合したRNAドライバーのうちの一本鎖の部位を切断する能力を有する酵素の付加を含む工程;
    (e) 工程 d) において切断された一本鎖RNAドライバーをテスターから除去し、かつ、テスター/ドライバーハイブリッドを除去する工程;
    (f) ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNA及び非特異的に結合した1本鎖RNAドライバーを切断及び除去した1本鎖cDNAを回収する工程を含む前記方法。
  45. cDNAテスターがクローニングされた、またはクローニングされていないcDNAである請求項44に記載の方法。
  46. cDNAテスターがmRNAの逆転写物であって、クローニングされていないcDNAである請求項44に記載の方法。
  47. 工程c)において、最初にノーマライゼーション工程、次にサブトラクション工程を含む請求項44〜46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 工程c)において、最初にサブトラクション工程、次にノーマライゼーション工程を含む請求項44〜46のいずれか一項に記載の方法。
  49. 工程c)において、前記テスター及びドライバーが混合され、ノーマライゼーション及びサブトラクションが単一工程で行われる請求項44〜46のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記ノーマライズ及び/又はサブトラクトされたcDNAが長鎖、完全コーディング及び/又は完全長cDNAである請求項44〜49のいずれか1項に記載の方法。
  51. 前記酵素が、RNaseI、RNaseA、RNaseIV、RNaseT1、RNaseT2、RNaseII及びRNaseIIIからなる群から選択されるか、又はそれらの混合である請求項44〜50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 前記工程d) の酵素がRNaseIである請求項44〜50のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記cDNAテスターが、RNAの5'末端をCAP捕獲することにより調製される請求項44〜52のいずれか1項に記載の方法。
  54. 回収されたcDNAの第二鎖を調製し、かつクローニングする工程g)をさらに含む請求項44〜53のいずれか1項に記載の方法。
  55. 前記テスター/ドライバーハイブリッドがタッグ分子と結合している請求項1〜54のいずれか1項に記載の方法。
  56. 前記タッグ分子が、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、ジゴキシゲニン、抗体又は抗原である請求項55記載の方法。
  57. 前記テスター/ドライバーハイブリッドをマトリックスを使用することにより除去する請求項1〜56のいずれか1項に記載の方法。
  58. 前記マトリックスが、磁気ビーズ又はアガロースビーズである請求項57記載の方法。
  59. 前記磁気ビーズ又はアガロースビーズが、テスター/ドライバーハイブリッドに結合したタッグ分子に結合できるいずれかのタッグ分子で覆われ又は結合している請求項58記載の方法。
  60. 前記磁気ビーズ又はアガロースビーズが、ドライバー/テスターハイブリッドに結合したアビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、ジゴキシゲニン、抗体又は抗原に結合できるタッグ分子で覆われ又は結合している請求項59に記載の方法。
  61. 前記ビーズを覆う抗体又は前記ビーズと結合する抗体が、抗抗原抗体、又は抗ビオチン抗体、抗アビジン抗体、抗ストレプトアビジン抗体若しくは抗ジゴキシゲニン抗体である請求項59又は60に記載の方法。
  62. 前記テスター/ドライバーハイブリッドがストレプトアビジン/フェノールを使用することにより除去される請求項1〜61のいずれか1項に記載の方法。
  63. ヒドロキシアパタイト及び非標識RNAが前記テスター/ドライバーハイブリッドを除去するために使用される請求項1〜62のいずれか1項に記載の方法。
  64. 1つ又は2以上のライブラリーを作成するために用いられる請求項1〜63のいずれか1項に記載の方法。
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